JP5393502B2 - 複合ファブリック、該複合ファブリックを含む衣料及び該複合ファブリックを製造する方法 - Google Patents

複合ファブリック、該複合ファブリックを含む衣料及び該複合ファブリックを製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合ファブリック及び該複合ファブリックを含む衣料に関する。また、本発明は、複合ファブリックを製造する方法に関する。
従来から、衣服内環境を快適に保つことを目的とした防風性、高透湿性を有する様々なファブリックが開発されてきた。例えば、特許文献1には、熱可塑性エラストマーを用いた多孔質シートと繊維シートの積層体からなる防風衣料が開示されている。特許文献1に記載された防風衣料は、高い透湿性を有するため、着用者がムレを感じないことが記載されている。しかしながら、こうした快適性の指標となる透湿性は、一定条件下で布帛を通過する揮発水分量を測定するものであり、布帛が汗等の液体に直接接した場合については、なんら考慮されていないものである。布帛が汗等の液体に直接接した場合に、布帛内部を通じて該液体が即時に外部に放出され、かつ布帛自体も素早く乾燥することを示す指標の一つとして、吸水速乾性がある。特許文献1に記載された衣料は、この吸水速乾性についてはなんら検討されていないものである。
また、特許文献2には、表面層、親水性繊維を含有してなる極細糸で構成される中間層、疎水性繊維で構成されている裏面層からなる透湿防水性布帛が開示されている。特許文献2の布帛は、高い吸汗性に優れ、スポーツ時等の発汗量が多い場合にも衣類内部がベトつかないことが記載されている。しかしながら、特許文献2に記載されている布帛は、表面が樹脂コーティングされていることから、肌触りや風合いが良くない。また、防水性を有しているため、液滴の汗を生地の外側に拡散できず、必ずしも十分な吸水速乾性を得ることができないという問題があった。
従って、吸水速乾性、保温性、防風性、透湿性、さらに柔らかさを兼ね備えた複合ファブリックは未だないのが現状である。
特開2002−54009号公報 特開平5−230770号公報
本発明は、吸水速乾性、保温性、防風性、透湿性、さらに柔らかさを兼ね備えた複合ファブリック、ならびにその製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面及び裏面に特定のシート形状体を積層してなる複合ファブリックとすることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記態様の発明を提供する。
項1.繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面及び裏面にシート形状体を積層してなる複合ファブリックであって、表面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%以上であり、裏面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である複合ファブリック。
項2.表面のシート形状体が、公定水分率8%以上の素材をシート形状体全重量に対して20重量%以上含むシート形状体であり、裏面のシート形状体が、公定水分率8%未満の素材をシート形状体全重量に対して80重量%以上含むシート形状体である、上記項1に記載の複合ファブリック。
項3.ナノファイバー不織布の吸水性が、バイレック法での測定値が3.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が200秒以下である上記項1又は2に記載の複合ファブリック。
項4.ナノファイバー不織布が、ポリウレタン構造中に親水性部分を有するポリウレタン系樹脂からなる不織布である上記項1〜3のいずれかに記載の複合ファブリック。
項5.吸水速乾性試験による複合ファブリックの表面シート形状体側の水分率が10.0%以下であり、複合ファブリックの水分拡散面積が5.0cm以上、透湿性試験による透湿率が30%以上、及びKES法の通気抵抗が0.5kPa・s/m以上、である上記項1〜4のいずれかに記載の複合ファブリック。
項6.ナノファイバー不織布が電界紡糸法により得られた不織布である上記項1〜5のいずれかに記載の複合ファブリック。
項7.上記項1〜6のいずれかに記載の複合ファブリックを含む衣料。
項8.繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%以上の表面シート形状体を積層し、該ナノファイバー不織布の裏面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である裏面シート形状体を積層する工程を含む、複合ファブリックの製造方法。
本発明によれば、吸水速乾性、保温性、防風性、透湿性、さらに柔らかさを兼ね備えた快適な複合ファブリックを提供することができる。より詳しくは、本発明の複合ファブリックは、肌への直接的な外気の接触を抑制しながら衣服内の湿度を適度に保つことができ、汗を素早く衣類外に放出することができる。また、本発明の複合ファブリックは、重すぎることがなく、シート形状体として編物を用いた場合には、編み生地特有のしなやかさや伸縮性を損なうこともない。この様な特性を有する本発明の複合ファブリックは、衣服、特に肌着の素材として有用である。また、本発明の複合ファブリックを用いた衣服は、外気温が低い時でも衣服内を快適に保つことができる。
1.複合ファブリック
本発明の複合ファブリックは、繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面及び裏面にシート形状体を積層してなる複合ファブリックであって、表面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%以上であり、裏面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である。以下に本発明の構成について詳細に説明する。
(1)ナノファイバー不織布
本発明の複合ファブリックにおいて、極細繊維からなるナノファイバー不織布は、衣服内の湿気及び汗を外部に素早く逃がしつつ外部からの空気の侵入を防ぐものであり、優れた保温効果及び吸水速乾性を発揮するはたらきを有する。
本発明において使用されるナノファイバー不織布を構成する極細繊維の直径は、50nm以上2μm未満であり、50〜900nmであることが好ましく、50〜700nmであることがより好ましく、100〜700nmであることが特に好ましい。ここで、極細繊維の直径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(SEM)、倍率:10000〜50000倍)にて撮影し、無作為に選んだ繊維の太さ(繊維軸直行方向断面の直径)を30点測定し、その平均値によって表される。
極細繊維の材料としては、シート形状体の伸縮性に追従できるほどの伸度を持つ素材であれば特に限定されず従来公知のものを使用することができる。また、後述するシート形状体の素材として例示されている合成繊維、熱可塑性エラストマー繊維の中から選択することができ、ポリウレタン(例えば、スパンデックス等)、エラストマー系ポリマー(例えば、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー繊維)等が挙げられる。これらの中でも、得られた複合ファブリックの吸水速乾性が優れる点から、ポリウレタン、ウレタン系エラストマーが好ましく、特に、吸水性又は透湿性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
以下に、吸水性又は吸湿性ポリウレタン樹脂について説明をする。
前記吸水性又は透湿性ポリウレタン樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、ポリエーテル系ポリオール、鎖伸張剤及びポリイソシアネートを反応して得られたポリエーテル系ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
前記ポリエーテル系ポリウレタン樹脂は、軟質のエラストマーであり、分子量としては数平均分子量が5,000以上であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリウレタンの製造に従来から使用されている公知のものがいずれも使用できるが、例えば、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテル等のポリエーテルポリオール等を挙げることができる。
前記鎖伸張剤としては、特に限定されるものではないが、従来公知の多価アルコール類やアミン類を挙げることができ、特に、平均分子量が250以下の2価アルコールが好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の脂環族グリコール;キシリレングリコール等の芳香族グリコール等を挙げることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、従来公知のポリイソシアネートがいずれも使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等を挙げることができる。
前記吸水性又は透湿性ポリウレタン樹脂は、従来公知の製造方法により製造することができ、特に限定されるものではないが、例えば、前記ポリエーテル系ポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤を適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し反応させる方法や、無溶剤で溶融反応させる方法等、適宜採用することができる。また、各原料の配合割合は、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9〜1.1程度となるように調整すればよい。
本発明においては、前記吸水性又は透湿性ポリウレタン樹脂の中でも、ポリウレタン構造中に親水性部分を有するものが好ましい。親水性部分としては、例えば、エチレンオキシド単位からなる部分(−(OCHCH−)等のポリオキシアルキレン(−(OR)−、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、nは整数である)、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等の親水性基等を挙げることができる。
ポリウレタン構造中に親水性部分を含まない場合、ロータス効果により、撥水性を示し、その結果水分の移行を妨げる場合があるが、親水性部分を含む前記吸水性又は透湿性ポリウレタン樹脂を用いることで、後述する水分率が1.4%未満の裏面のシート形状体に接触した水分を、ナノファイバー不織布に移行することができる。また、ナノファイバー不織布に移行した水分は、より親水度が強い表面のシート形状体(後述する水分率が1.4%以上の表面シート形状体)にまで容易に移行することが可能である。つまり、親水度が低いシート形状体から、ナノファイバー不織布を経由して、より親水度が高いシート形状体に水分が容易に移行することができるため、得られる複合ファブリックの吸水速乾性が優れるものである。
従って、本発明の複合ファブリックを衣料に用いた場合には、衣料内に発生した汗等の水分を裏面シート形状体から、ナノファイバー不織布を経由して、表面シート形状体まで移行し、該表面シート形状体から汗等の水分を外気中に蒸発することができるため、衣料内を快適な状態に保つことができるものである。
このような吸水性又は透湿性ポリウレタンとしては、アクアファイブAQ−60(商品名、吸水性ポリウレタン樹脂、(株)オカダエンジニアリング製)、レザミンPM−2081(商品名、大日精化工業(株)製)、サンプレンLQ−120(商品名、三洋化成工業(株)製)、ハイムレンY−237NS(商品名、大日精化工業(株)製)、ハイムレンY−210B(商品名、透湿性ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製)、ハイムレンY−119E(商品名、大日精化工業(株)製)等が商品として流通しており、商業的に入手することができる。
このような吸水性又は吸湿性ポリウレタン樹脂からなる極細繊維は伸縮性に優れることから、本発明の複合ファブリックを肌着等の素材として用いることが好ましい。
本発明で用いるナノファイバー不織布の吸水性は、バイレック法での測定値が3.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が200秒以下であることが好ましく、バイレック法での測定値が5.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が200秒以下であることが好ましく、バイレック法での測定値が7.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が155秒以下であることがより好ましい。ナノファイバー不織布の吸水性が前記範囲にあることで、得られる複合ファブリックの吸水速乾性が優れるため好ましい。ここで、滴下法とは、JIS L 1907(1)(a)で規定された測定方法であり、バイレック法とは、JIS L 1907(1)(b)で規定された測定方法である。
本発明の複合ファブリックに使用されるナノファイバー不織布の目付は、300g/m未満であることが好ましく、10〜200g/mであることがより好ましく、10〜50g/mであることがさらに好ましい。目付は、20cm×20cmのサンプルの重量を測定し、単位面積あたりの重量を算出した値である。このような目付を有するナノファイバー不織布は、多くの不動空気層を有している。不動空気層とは、不織布中の極めて微小な空気の層であり、湿気の移動に伴って熱の対流を起こさないことから高い保温性を実現することができる。
本発明において使用されるナノファイバー不織布の総厚みは、10〜300μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。
本発明において使用されるナノファイバー不織布の製造方法は、特に限定されるものではないが、電界紡糸法(Electro Spinning Deposition(ESD))によって形成されることが好ましい。電界紡糸法については後述する。
また、本発明において、ナノファイバー不織布の表面、裏面とは、特に限定されるものではなく、ナノファイバー不織布の一方の面を表面とした場合、他方の面が裏面となる。
(2)シート形状体
本発明において使用されるシート形状体(表面シート形状体、裏面シート形状体)としては、例えば、織物、編物、不織布等の柔軟性を有するものであれば特に限定されない。柔軟性の程度は、用途に合わせて適宜選択することができる。
以下に、表面及び裏面シート形状体について説明する。
(2−1)表面のシート形状体
本発明で用いる表面のシート形状体の水分率は、1.4%以上であり、1.4〜15%が好ましく、1.45〜11%がより好ましく、1.45〜7%がさらに好ましい。水分率がこの範囲にあることで、前述したように、裏面のシート形状体に接触した水分を、ナノファイバー不織布を経由して表面のシート形状体にまで効率よく移行することができるため好ましい。なお、水分率は、JIS L1018の規定にしたがって、標準状態(温度20±2℃、相対湿度(65±4)%(JIS L0105))において測定した値である。
このような水分率を有するシート形状体としては、公定水分率8%以上(好ましくは、8〜20%であり、より好ましくは8〜15%)の素材をシート形状体全重量に対して20重量%以上含むシート形状体を挙げることができる。
公定水分率8%以上の素材の含有率は、表面のシート形状体全重量に対して20重量%以上であることが好ましく、20〜100重量%であることがより好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましく、21.5〜75重量%であることが特に好ましい。
公定水分率8%以上の素材としては、例えば、綿(公定水分率:8.5%)、麻(公定水分率:12.0%)、絹(公定水分率:12.0%)等の植物性繊維や、ウール(公定水分率:15.0%)等の獣毛繊維等の天然繊維が挙げられる。これらの中でも、肌触りや保温性の観点から綿、ウールが好ましい。また、キュプラ(公定水分率:11.0%)、レーヨン(公定水分率:11.0%)、ポリノジック(公定水分率:11.0%)、リヨセル等の再生繊維を用いることもできる。これらの素材を単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明で用いる表面シート形状体には、公定水分率8%未満(好ましくは、0〜8%であり、より好ましくは0〜3%)の素材を80重量%未満混合して用いることができる。
公定水分率8%未満の素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(公定水分率:0.4%);ポリアクリロニトリル;ナイロン−6、ナイロン−66等のナイロン系繊維等のポリアミド;ポリ塩化ビニル(公定水分率:0.0%);ポリ塩化ビニリデン(公定水分率:0.0%);例えば、スパンデックス等のポリウレタン(公定水分率:1.0%);ポリプロピレン等のポリオレフィン;アクリル(公定水分率:2%)、トリアセテート(公定水分率:3.5%)、ビニロン(公定水分率:5.0%)、ベンゾエート(公定水分率:0.4%)等の樹脂で構成される合成繊維、アセテート(公定水分率:6.5)等の再生繊維、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー繊維、フッ素繊維(公定水分率:0%)、を挙げることができる。また、ポリクラール(登録商標)(公定水分率:3.0%)、プロミックス(登録商標)(公定水分率:5.0%)等も好適に用いることができる。本発明においては、これらの素材を単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる表面シート形状体の好ましい具体的態様としては、ポリエステル/キュプラ/ポリウレタン(例えば、混合比(重量%)50〜90/10〜40/1〜10(合計100重量%))や、綿であることが好ましい。
(2−2)裏面シート形状体
本発明で用いる裏面シート形状体の水分率は、1.4%未満であり、0.1〜1.2%が好ましく、0.2〜1.0%がより好ましい。水分率がこの範囲にあることで、前述したように、裏面のシート形状体に接触した水分を、ナノファイバー不織布に効率よく移行することができるため好ましい。なお、水分率は、JIS L1018の規定にしたがって、標準状態(温度20±2℃、相対湿度(65±4)%(JIS L0105))において測定した値である。
このような水分率を有するシート形状体としては、公定水分率8%未満(好ましくは0〜8%、より好ましくは0〜3%)の素材をシート形状体全重量に対して80重量%以上含むシート形状体を挙げることができる。
公定水分率8%未満の素材の含有率は、裏面のシート形状体全重量に対して80重量%以上であることが好ましく、80〜100重量%であることがより好ましく、85〜100重量%であることがさらに好ましい。
公定水分率が8%未満の素材としては、表面シート形状体の欄で記載されたものを挙げることができ、これらの中でも、ポリエステル(公定水分率:0.4%)が好ましい。
本発明で用いる裏面シート形状体は、上記公定水分率8%未満の素材のほかに、公定水分率8%以上の素材を裏面のシート形状体全重量に対して20重量%未満であれば含有することができる。公定水分率8%以上の素材としては、表面シート形状体の欄に記載したものを挙げることができる。
本発明の複合ファブリックを衣服として用いる場合は、裏面シート形状体を肌に接する側とし、表面シート形状体を外側(外気に接する側)にして用いることが好ましい。
本発明の複合ファブリックは、ナノファイバー不織布に特定の表面シート形状体及び裏面シート形状体を積層することで、前述したように、親水度が低い裏面シート形状体に接した水分を、ナノファイバー不織布を経由して、より親水度が高い表面シート形状体にまで効率よく移行し、該表面シート形状体から該水分を外気中に蒸発することができるものである。
シート形状体を編物とする場合、組織の種類(編み方の種類)、繊維の長短(フィラメント(長繊維)、ステープル(短繊維))等は特に制限されるものではない。
本発明において採用され得る編物の組織としては、例えば、横編み、丸編からなる平編み組織、ゴム編み組織、両面編組織等が挙げられ、従来公知の方法に従って各種組織に製編することができる。例えば、編立組織にあった丸編み機を用いて、ゲージ数16〜40Gの範囲内で糸長及びループ長、給糸テンション、生地張力等を設定し編みたてることができる。また、たて編みであってもかまわない。
本発明のシート形状体として織物を用いる場合であっても、上記編物に使用される素材を選択することができる。また、織物の組織としては、例えば、平織り、綾織り、しゅす織り等が挙げられ、従来公知の方法に従って各種組織に製編することができる。
本発明のシート形状体として不織布を用いる場合であっても、その素材は上記した素材を挙げることができる。不織布の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、前述の素材を用いて、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法、スチームジェット法等により得ることができる。
本発明においてはシート形状体として、上記編物、織物、不織布のいずれを採用してもよいが、特に本発明の複合ファブリックを衣類の用途に使用する場合は、好ましくは編物である。
本発明の複合ファブリックにおいて、シート形状体の厚みは、100〜700μmであることが好ましく、100〜600μmであることがより好ましい。
(3)複合ファブリックの物性
本発明の複合ファブリックは、以下の物性を有することが好ましい。
(3−1)吸水速乾性(水分率、水分拡散面積)
本発明の複合ファブリックは、下記G式吸水速乾性試験による(肌側)水分率が10.0%以下、水分拡散面積が5.0cm以上であることが好ましい。
複合ファブリックの前記(肌側)水分率は、9.5〜3%であることがより好ましく、9〜5%であることがさらに好ましい。また、水分拡散面積は、7〜25cmであることがより好ましく、8〜20cmであることがさらに好ましい。水分率が10.0%以下、水分拡散面積が5.0cm以上であることにより、汗をすばやく衣類外に放出でき、衣類内が蒸れて不快に感じることもなく好ましい。
ここで、(肌側)水分率とは、下記G式吸水速乾性試験により測定したものである。
<G式吸水速乾性試験>
1)アクリル板上に液滴(水)を0.2ml滴下する。
2)複合ファブリックの裏面シート形状体が液滴に接するように、複合ファブリックを液滴にかぶせる。
3)複合ファブリックの上に5gの錘をのせて、1分間放置する。
4)複合ファブリックの裏面シート形状体の水分率をモイスチャーチェッカー707S(スカラー(株)製)を用いて測定する。測定は4回行い、その平均値を肌側水分率とする。また、複合ファブリックの表面シート形状体に抜けた液滴のシミの面積を測定する。測定は3回行い、その平均値を水分拡散面積とする。
(3−2)透湿率
本発明の複合ファブリックは、下記G式透湿性試験による透湿率が30%以上であることが好ましく、35〜42%であることがより好ましい。透湿率が30%以上であることで、衣類内が蒸れて不快に感じることもなく好ましい。
<G式透湿性試験>
G式透湿性試験は、以下の方法により実施することができる。
具体的方法としては、117.7cmの容積を有する容器(開放部面積19.62cm)に40℃の水を60mL入れて、15cm×15cmの大きさの複合ファブリックを裏面シート形状体が容器の淵にしっかり密着するように容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。ここで、密閉とは、容器の上端に両面テープを貼り、該両面テープにより複合ファブリックを固定し、かつ容器上部を複合ファブリック上から輪ゴムで止めることで密閉する。また、同様のカップに同量の水を入れて、複合ファブリックをセットせずに容器上部を開放状態にしたブランク試験体を準備する。これらの試験体の重量を予め測定しておく(ブランク試験体:a、試験体:b)。これらの試験体を20℃、65%の試験環境下で、45℃の均一な熱板の上に6時間置き、6時間経過後すぐに試験体の重量を測定する(ブランク試験体:a’、試験体:b’)。下記の式により透湿率を求める。
Figure 0005393502
(3−3)通気抵抗
本発明の複合ファブリックは、KES通気抵抗試験(KES−F8−AP1通気性試験機 カトーテック(株)製)による通気抵抗が、0.5kPa・s/m以上であることが好ましく、5.0kPa・s/m以上であることがより好ましい。通気抵抗が0.5kPa・s/m以上であることにより、通気性が遮断され、これにより防風性が保持される。
(3−4)保温性
本発明の複合ファブリックは、複合ファブリックのKES法による熱伝達抵抗(クロー値)が、0.06CLO以上であることが好ましく、0.064〜0.15CLOであることがより好ましく、0.07〜0.15CLOであることがさらに好ましい。0.07CLO以上であれば、衣服内の熱エネルギーが衣服外に大量に移動することがなく、寒く感じることもなく好ましい。また、外気(冷気)の衣服内への侵入を防ぐことも可能であるため、寒く感じることもなく好ましい。この様なクロー値を有するものであれば、冬場等の外気温が低い状況下において優れた保温性能を発揮することができる。
本発明の複合ファブリックは、衣服、特にインナーウェア(好ましくは防寒用肌着、保温性を目的とする肌着等)、スポーツウェア等の素材として好適に使用され得る。この様な肌着としては、例えば、シャツ、ブリーフ、腹巻き、ステテコ、パッチ、ショーツ、ガードル、ペチコート、レギンス、ソックス、タイツ等が挙げられる。また、スポーツウェアとしては、オートバイ、自転車ロードレース、フィッシング、ヨットセーリング、ゴルフ等の競技を行う際に着用されるウェアの用途が挙げられる。
本発明の複合ファブリックを用いて衣服等を製造する場合は、従来公知の方法に従えばよく、裁断方法、縫製方法等は特に限定されない。
2.製造方法
本発明は上記複合ファブリックの製造方法をも提供する。すなわち、本発明は、繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%以上の表面シート形状体を積層し、該ナノファイバー不織布の裏面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である裏面シート形状体を積層する工程を含む、複合ファブリックの製造方法に関する。
(1)ナノファイバー不織布の製造方法
本発明において使用されるナノファイバー不織布は、ナノファイバー不織布を構成する素材を溶媒に溶解させた溶液を用いて、電界紡糸法(Electro Spinning Deposition(ESD))によって形成されることが好ましい。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ヘキサフルオロイソプロパノール、メチルエチルケトン等が挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
電界紡糸法での製造条件の典型例としては、電圧−70〜70kV、ノズル径14〜32G、ノズル先端からコレクターまでの距離5〜30cmが挙げられる。また、使用されるポリマー素材によって適宜異なるが、例えばポリウレタン樹脂の場合、前記溶媒に3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の濃度で溶解させるのが望ましい。他のポリマー素材を使用する場合は、各種ポリマーに適した従来公知の溶媒を用いることができ、上記濃度を参考に溶解濃度を適宜設定することができる。
(2)複合ファブリックの製造方法
本発明の複合ファブリックの製造方法においては、前述のナノファイバー不織布の表面と裏面に特定のシート形状体を積層する工程を含むものである。特定の表面シート形状体、裏面シート形状体については、前述のものを用いることができる。
本発明のナノファイバー不織布とシート形状体の接着方法としては、特に限定されるものではなく、メッシュ状の熱融着フィルム、不織布状の熱融着フィルム等の熱融着フィルムを用いてホットプレスする方法、高透湿性接着剤等の接着剤をスプレーする方法、ナノファイバー不織布とシート形状体の間に何点か接着剤を塗布し、ポイント接着(ドット接着)等の方法等を採用することができる。
熱融着フィルム、接着剤としては、市販のものを用いることができるが、これらの素材としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ブタジエンゴム系、ポリウレタン系等が挙げられ、特に接着性や伸縮性の観点から好ましくはポリウレタン系である。
具体的には、例えば、ウレタン系熱融着フィルムとしては、東海サーモ(株)製FUSEC C6J5、東海サーモ(株)製FUSEC 6J5P28;ポリアミド系熱融着不織布としては、東海サーモ(株)製FUSEC 1G8 D8等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、高透湿性接着剤としては、例えば、親水基を導入したポリウレタン等が挙げられる。
接着剤の使用量は、シート形状体とナノファイバー不織布を十分に接着できるものであれば、特に限定されないが、複合ファブリックの風合いを損なわないためには、目付5〜100g/mが好ましく、より好ましくは8〜30g/mである。また、表面シート形状体とナノファイバー不織布の間に使用するものと、裏面シート形状体とナノファイバー不織布の間に使用するものとは、同じ素材のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
熱融着フィルム、接着剤からなる接着層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、200μm以下であることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。接着層が200μmを超えるとシート形状体のしなやかさを損失する傾向がある。
本発明の態様の一つとして、ポリウレタン素材のナノファイバー不織布と、シート形状体として、ポリエステル素材のニット生地とナイロン素材のニット生地を用いた場合について、説明する。しかし、下記方法は、本発明の一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
前述のナノファイバー極細繊維不織布を、ポリエステル素材のニット生地、熱融着フィルム、ポリウレタンのナノファイバー不織布、熱融着フィルム、ナイロン素材のニット生地、の順でたわみが無いように重ね合わせ、素材に適した条件で、熱プレスすることで複合ファブリックを作製することができる。熱プレスの条件は、特に限定されるものではなく、用いた熱融着フィルム、接着剤等の種類に応じて適宜選択することができる。
以下、参考例、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例
実施例及び比較例で用いる一液型ポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液(透湿性ポリウレタン、商品名:ハイムレンY−210B、不揮発分30%、大日精化工業(株)製)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(吸水性ポリウレタン、商品名:アクアファイブAQ−60、(株)オカダエンジニアリング製)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(ウレタン系エラストマー、商品名:Pandex1185、DIC Bayer Ltd.製)を用いて、下記実施例の方法に準じてナノファイバー不織布を作製した。また、下記評価方法に従ってナノファイバー繊維径及びナノファイバー不織布の吸水性を測定した。その結果を表1に示す。
なお、透湿性ウレタン樹脂は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とメチルエチルケトン(MEK)混合溶媒(1:1(体積比))を用いて、不揮発分が24重量%となるように希釈したものを用いた。
吸水型熱可塑性ポリウレタン樹脂は、28重量%のDMF溶液にしたものを、熱可塑性ポリウレタン樹脂については、19重量%、23重量%、28重量%のDMF溶液としたものを用いた。
(評価方法)
<ナノファイバー繊維径>
ナノファイバーの繊維径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope(SEM)、倍率:10000〜50000倍)にて撮影し、無作為に選んだ繊維の太さ(繊維軸直行方向断面の直径)を30点測定し、その平均値を求めた。
<ナノファイバー不織布の吸水性>
(滴下法)
JIS L 1907(1)(a)に準じて測定を行った。具体的には、20cm×20cmのナノファイバー不織布に、20±2℃の蒸留水1滴滴下した。なお、滴下には、蒸留水1mLを25±3滴に分割して滴下でき、かつ、20滴/分の速度で滴下することができるビューレットを用いた。複合ファブリックに滴下した蒸留水が吸収されて表面反射が消えるまでの時間を測定した。なお、測定は5回行い、その平均値を滴下法による吸水性とした。
(バイレック法)
JIS L 1907(1)(b)に準じて測定を行った。具体的には、2.5cm×20cmの短冊状のナノファイバー不織布の下端1cmを蒸留水中に漬け、10分後毛細管現象による水の上昇した高さ(mm)を測定した。なお、測定は3回行い、その平均値をバイレック法による吸水性とした。
Figure 0005393502
製造例1(ナノファイバー不織布Aの製造)
一液型ポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液(透湿性ポリウレタン、商品名:ハイムレンY−210B、不揮発分30%、大日精化工業(株)製)をDMFとMEK混合溶媒(1:1(体積比))を用いて、不揮発分が24重量%となるように希釈し、これを電界紡糸装置(ES−2300(装置名)、ヒューエンス社製)の溶液充填部に充填し、55kVの電圧をかけて電界紡糸を行い、ナノファイバー不織布Aを製造した。なお、この時に用いた金属製ノズルの径は21G(内径:0.51mm)で、コレクターまでの距離は15cmであった。得られたナノファイバー不織布Aは、厚み50μm、目付け12.2g/m、平均繊維径648nmであった。
製造例2(ナノファイバー不織布Bの製造)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(吸水性ポリウレタン、商品名:アクアファイブAQ−60、(株)オカダエンジニアリング製)の28重量%N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を用い、電界紡糸の印加電圧を40kVとした以外は製造例1と同様にしてナノファイバー不織布Bを製造した。得られたナノファイバー不織布Bは、厚み70μm、目付け21g/m、平均繊維径682nmであった。
製造例3(ナノファイバー不織布Cの製造)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(ウレタン系エラストマー、商品名:Pandex1185、DIC Bayer Ltd.製)をDMFに溶解し、23重量%DMF溶液とした。これを44kVの電圧をかけて電界紡糸を行い、ナノファイバー不織布Cを製造した。なお、この時に用いた金属製ノズルの径は23G(内径:0.33mm)で、コレクターまでの距離は15cmであった。得られたナノファイバー不織布Cは、厚み60μm、目付け24.9g/m、平均繊維径652nmであった。
なお、得られたナノファイバー不織布A〜Cについて、上記評価方法により、吸水性(バイレック法、滴下法)を測定し、下記評価方法により、透湿性、保温性(クロー値)、通気抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
(評価方法)
<生地厚み>
ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製)を用いて、各複合ファブリックについて3箇所の測定を行い、その平均値を厚みとした。
<目付け>
150×150mmの試験片の重量を測定し、目付け(g/m)を測定した。
<透湿性>
以下のG式透湿性試験により測定した。
(G式透湿性試験)
117.7cmの容積を有する容器(開放部面積19.62cm)に40℃の水を60mL入れて、15cm×15cmの大きさの複合ファブリックを裏面シート形状体が容器の淵にしっかり密着するように容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。ここで、密閉とは、容器の上端に両面テープを貼り、該両面テープにより複合ファブリックを固定し、かつ容器上部を複合ファブリック上から輪ゴムで止めることで密閉する。また、同様のカップに同量の水を入れて、複合ファブリックをセットせずに容器上部を開放状態にしたブランク試験体を準備する。これらの試験体の重量を予め測定しておく(ブランク試験体:a、試験体:b)。これらの試験体を20℃、65%の試験環境下で、45℃の均一な熱板の上に6時間置き、6時間経過後すぐに試験体の重量を測定する(ブランク試験体:a’、試験体:b’)。下記の式により透湿率を求める。
Figure 0005393502
<保温性>
KES−F7−IIサーモラボ(カトーテック(株)製)を用いてクロー値を測定した。測定は3回繰り返し、その平均値をクロー値とした。
<通気抵抗>
KES通気抵抗試験(KES−F8−AP1通気性試験機 カトーテック(株)製)を用いて、KES法により通気抵抗を測定した。なお、測定は5回行い、その平均値を通気抵抗とした。
Figure 0005393502
実施例1
製造例1で得られた極細繊維不織布の両面に、熱可塑性接着シート(6J5P28(製品番号)、ポリウレタン系、厚み:148μm、東海サーモ(株)製)を用いて、フライスメッシュ生地(キュプラ/ポリエステル/ポリウレタン(73.7/21.6/4.7(重量%))厚み:550μm、生地の標準状態の水分率:1.47%)と、ポリエステルシングル生地(厚み:220μm、繊度:60dtex、ウェール数:24/inch、コース数:39/inch、生地の標準状態の水分率:0.32%)を、熱プレス機(TABLE TYPE TEST PRESS SA−302、テスター産業(株)製)を用いて、100〜135℃、プレス圧力3MPa、プレス時間20秒にて熱融着して、複合ファブリックを得た。
ここで、生地の標準状態の水分率は、JIS L1018の規定にしたがって、標準状態(温度20±2℃、相対湿度(65±4)%(JIS L0105))において測定した値である。
実施例2
シート形状体として、市販の綿100%のフライス生地(生地の標準状態の水分率:6.49%、グンゼ(株)製)とポリエステルシングル生地(厚み:220μm、繊度:60dtex、ウェール数:24/inch、コース数:39/inch、生地の標準状態の水分率:0.32%)を用いた以外は、実施例1と同様にして複合ファブリックを作製した。
実施例3
ナノファイバー不織布Aに代えて、ナノファイバー不織布Bを用いた以外は、実施例1と同様にして複合ファブリックを作製した。
比較例1
ナノファイバー不織布の代わりに、ルストレ(登録商標、多孔質ポリウレタン膜、平松産業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に複合ファブリックを作製した。
比較例2
市販品であるワコールCW−XのHXO−789 BS/L((株)ワコールホールディングス製)の防風部位について評価を行った。
比較例3
市販品であるゴアウィンドストッパーN2Sを用いたアンダーウェア“TECHNICAL UNDERWEAR”(登録商標、(株)ザップ製)の防風部位について評価を行
った。
比較例4
ナノファイバー不織布の代わりに、一液型ポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液(透湿性ポリウレタン、商品名:ハイムレンY−210B、不揮発分30%、大日精化工業(株)製)より作製したフィルム(30μm)を用いた以外は、実施例1と同様に複合ファブリックを作製した。
比較例5
フライスメッシュ生地(キュプラ/ポリエステル/ポリウレタン(73.7/21.6/4.7重量%))の代わりに、アクリルのフライス生地(アクリル100重量%、生地厚み:542μm、生地の標準状態の水分率:0.504%)を用いた以外は、実施例1と同様に複合ファブリックを作製した。
(評価方法)
<吸水速乾性>
G式吸水速乾性試験
1)アクリル板A上に液滴(水)を0.2ml滴下した。
2)複合ファブリックの裏面シート形状体が液滴に接するように、10cm×10cmサイズの複合ファブリックを液滴にかぶせた。
3)複合ファブリックの上に10cm×10cmサイズのアクリル板B(5gの錘)をのせて、1分間放置した。
4)複合ファブリックの裏面シート形状体の水分率をモイスチャーチェッカー707S(スカラー(株)製)を用いて測定した。測定は4回行い、その平均値を肌側水分率とした。また、複合ファブリックの表面シート形状体に抜けた液滴のシミの面積を測定する。測定は3回行い、その平均値を水分拡散面積とした。
<残存水分量>
前記G式吸水速乾性試験後のアクリル板A上の水分残量を測定した。なお、電子天秤を用いて測定し、小数点以下4桁目で切り捨てた値を残量水分量とした。
各複合ファブリックについての評価結果を表3に示す。
Figure 0005393502
また、各サンプルについて以下の試験を行った。その結果を表4に示す。
試験例1
上記実施例1〜3、比較例1、4、5で得られた複合ファブリック及び比較例2、3で用いた素材を用いて肌着を縫製し、吸水速乾性、保温性、ムレ感、肌触り、軽さについて評価した(被験者:年齢20代〜30代;男性3名女性3名)。評価方法は以下の通りである。
(吸水速乾性)
スポイトを用いて手の甲に液滴(水、0.2ml)を滴下し、該液滴上に、サンプル生地(5cm×5cm)の裏側(実施例1〜3、比較例1、4、5のポリエステルシングル生地側)を肌側になるようにして3分間置いたのち、どのように感じたかを下記指標により評価した。
○:べたつかない
△:少しべたつく
×:べたつく。
(保温性)
気温25度の室内において、20cm離れた位置から10℃の冷気を直径20cmのホースから流し、どのように感じたかを下記指標により評価した。
○:暖かい
△:少し寒い
×:寒い。
(ムレ感)
1分間に30往復の踏み台昇降運動を行った後の衣服内のムレ感について、下記指標により評価した。
○:ムレない
△:少しムレる
×:ムレる。
(肌触り)
着用した際や手で扱った際の肌ざわりについて、どのように感じたか、下記指標により評価した。
○:柔らかい
△:普通
×:かたい。
(軽さ)
着用した際や手で扱った際の重量感をどのように感じたか、下記指標により評価した。
○:軽い
△:普通
×:重い
Figure 0005393502
表3〜4より、本発明の複合ファブリックは、吸水速乾性が非常に優れており、その結果、保温性、ムレ感、肌触り及び軽さのいずれの評価においても良好な結果が得られたことがわかる。

Claims (7)

  1. 繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面及び裏面にシート形状体を積層してなる複合ファブリックであって、
    該ナノファイバー不織布の吸水性が、バイレック法での測定値が3.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が200秒以下であり、
    表面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%以上であり、裏面のシート形状体のJIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である複合ファブリック。
  2. 表面のシート形状体が、公定水分率8%以上の素材をシート形状体全重量に対して20重量%以上含むシート形状体であり、裏面のシート形状体が、公定水分率8%未満の素材をシート形状体全重量に対して80重量%以上含むシート形状体である、請求項1に記載の複合ファブリック。
  3. ナノファイバー不織布が、ポリウレタン構造中に親水性部分を有するポリウレタン系樹脂からなる不織布である請求項1又は2に記載の複合ファブリック。
  4. 吸水速乾性試験による複合ファブリックの表面シート形状体側の水分率が10.0%以下であり、複合ファブリックの水分拡散面積が5.0cm以上、透湿性試験による透湿率が30%以上、及びKES法の通気抵抗が0.5kPa・s/m以上、である請求項1〜のいずれかに記載の複合ファブリック。
  5. ナノファイバー不織布が電界紡糸法により得られた不織布である請求項1〜のいずれかに記載の複合ファブリック。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の複合ファブリックを含む衣料。
  7. 繊維軸直行方向断面の直径が50nm以上2μm未満の極細繊維からなるナノファイバー不織布の表面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%以上の表面シート形状体を積層し、該ナノファイバー不織布の裏面に、JIS L1018で規定される水分率が1.4%未満である裏面シート形状体を積層する工程を含該ナノファイバー不織布の吸水性が、バイレック法での測定値が3.0cm以上であり、かつ、滴下法での測定値が200秒以下である、複合ファブリックの製造方法。
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