本発明に使用するトナーの特徴は、外添剤として使用する酸化チタンに重量平均分子量が150以上2000以下の炭化水素化合物、及びアルコキシシラン化合物を処理することである。
トナー用外添剤としての酸化チタンは流動性、帯電性を付与するものとして広く使用されている。流動性の良いトナーは現像性も良く、高精細な画像を容易に出力できる。そのため、特に二成分系現像ではトナーの流動性を長期に亘って維持させるために酸化チタンを多く添加することがこれまでの検討で試みられてきたが、酸化チタンの多量外添にはいくつかの課題があった。
まずトナーに外添された酸化チタンはトナーから遊離しやすく、それらが感光体やキャリア、帯電ローラーを汚染するという課題を克服しなければならなかった。また、多量外添された酸化チタンがトナー表面を覆うと、トナー中の離型剤成分が定着時に染み出し難くなり、定着性を悪化させるという課題もあった。
こういった課題を回避する為、シリカ微粒子を外添する検討を試みた。流動性を付与する外添剤としてシリカ微粒子も広く使われている。しかしシリカ微粒子は摩擦などのストレスによってトナーに埋め込まれ易いため、長期に亘って流動性を維持するのが困難であった。
次に酸化チタンの表面処理に着目した。酸化チタンは通常、その表面をシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等で疎水化処理を施したものを使用しているが、上記課題を克服する為、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、界面活性剤等から選ばれるものを1種もしくは2種以上を処理することも試みた。たしかにこれによりキャリアへの汚染性で若干改善されるものはあった。しかし外添剤を多量添加することで定着性が悪化することが発生し、更なる改善を必要とした。そこで本発明者らは酸化チタンに定着性を向上させる機能を付加することで上記問題を解決することを試みた。
本発明に使用するトナーには、重量平均分子量が150以上2000以下、より好ましくは350以上1500以下の炭化水素化合物、及びアルコキシシラン化合物を処理した酸化チタン微粒子が外添されている。重量平均分子量が150以上2000以下の炭化水素化合物とは、具体的にはトナー中の離型剤として使用している炭化水素ワックスの如きものである。本発明のように炭化水素化合物、及びアルコキシシラン化合物を処理することで以下のような効果があった。
酸化チタンにワックスの如き炭化水素、なかでも脂肪族飽和炭化水素を処理することで酸化チタン自身に定着性を向上させることができ、定着性が大幅に改善された。これによりトナー中の離型剤添加量を少なくしても充分な定着性を保持することができた。これは酸化チタン中の炭化水素成分が離型剤として働くだけでなく、トナー定着時にトナーから染み出た離型剤と、トナー表面の酸化チタン中の炭化水素成分が瞬時に液体架橋を起こし、染み出しを促進させている為ではないかと本発明者らは考えている。
逆に脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩では逆に定着性を悪化させる結果になった。これらはトナー中の離型剤だけでなく、トナーの結着樹脂との相溶性も良いため、離型剤の染み出しを阻害しているのではないかと考える。
炭化水素化合物の重量平均分子量が150未満では処理しても揮発する可能性が高く、定着性や汚染性改善としての効果は無く、汚染性や定着性が悪化する。また2000よりも大きくなると、転写中抜けなどの転写不良が発生する。この原因は定かではないが、重量平均分子量が2000を超えると酸化チタンへの処理が難しくなり、処理が不均一になる。その結果がトナー粒子間でトナー同士が接触する部分によってすべり性が大きく変わる。すべり性が大きい状態でトナー粒子間の摩擦力が小さくなり、その部分から転写中抜けが発生しているものと本発明者らは考えている。
本発明に使用する酸化チタンは、結晶型がルチル型であることが望ましい。ルチル型は結晶構造が針状であるために汚染に対して強く、定着性を阻害し難い。また本発明のように炭化水素化合物処理を施すことでトナーからの遊離が少なく、帯電ローラー汚染を抑制できる。
また、本発明に使用する酸化チタンは、四塩化チタン水溶液を加水分解する工程と、該加水分解生成物の表面に炭化水素化合物、及びアルコキシシラン化合物を被覆処理する工程から得られることがより好ましい。
そのなかでもさらに好ましいのは、四塩化チタン水溶液にアルカリを添加して水酸化チタンを析出させ、析出した水酸化チタンを水系媒体中にて加熱してスラリー状態のチタニアを生成し、生成したスラリー状態のチタニアを水系媒体から取り出して乾燥させること無く、炭化水素化合物、及びアルコキシシラン化合物により表面処理し、その後、加熱乾燥することにより得た酸化チタン微粒子である。
この状態で表面を処理することは、処理が酸化チタン粒子表面に均一に処理できる事から、トナーにこの酸化チタンを外添することでこれまでの酸化チタンよりも流動性や帯電安定性を付与できる。その結果、長期に亘り、高画質現像性が維持され、特にカブリや放置後の濃度変化を抑制できる効果がある。
四塩化チタンから酸化チタン微粒子を作製する方法は塩素法と呼ばれ、従来の塩素法では、原料鉱石に塩素ガスを供給し、1000℃付近の高温化で発熱反応を行う。それを精製することで四塩化チタンを得た後に、酸素で燃焼させることによって酸化チタン微粒子を得ていた。これは気相反応を主とした方法であり、特に酸化工程では反応速度が非常に短いため、微粒子の酸化チタンを得ようとすると反応制御が困難であった。そのため特に高い比表面積を有する酸化チタン微粒子を得ることが困難であった。
本発明では、酸化チタン微粒子は四塩化チタン水溶液にアルカリを添加して水酸化チタンを経て酸化チタン微粒子を得る。この方法では微結晶で表面積が大きいものが得られるという特徴があり、酸化チタン微粒子としても結晶形状が均一な微粒子が得られやすく、トナー表面を均一に被覆しやすい。
四塩化チタン水溶液から酸化チタン微粒子を得る具体的な方法の一例を下記に示す。四塩化チタン水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で中和加水分解してスラリー状態の水酸化チタンを析出させ、これを60乃至80℃の温度で1乃至10時間熟成することでスラリー状態のチタニアが得られる。
本発明のトナーで使用する酸化チタンは、炭化水素化合物とアルコキシシラン化合物で表面処理している。本発明ではアルコキシシラン化合物であれば特に限定は無い。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を使用することができる。
次に、トナーについて説明する。
トナーは、重量平均粒径(D4)が4.0μm以上10.0μm以下であることが高画質及び耐久性を両立するために好ましい。重量平均粒径(D4)が上記の範囲内にある場合には、トナーの流動性が良好であり、十分な帯電量を得やすく、また、良好な解像度を得やすい。
トナーは、平均円形度が0.940以上0.990以下であることが好ましい。トナーの平均円形度が上記の範囲内にある場合には、キャリアとトナーとの離型性が良好となる。また、良好なクリーニング性が得られやすい。尚、平均円形度は、フロー式粒子像測定装置によって計測された粒子の円形度を、円形度範囲0.20乃至1.00を800分割したチャンネルに振り分けて解析した円形度分布に基づくものである。フロー式粒子像測定装置としては、一視野が512画素×512画素であり、1画素あたり0.37μm×0.37μmの解像度である装置を用いた。
重量平均粒径が上記範囲であり、平均円形度が上記範囲であるトナーと、本発明のコート樹脂を被覆したキャリアとを併用することにより、現像剤としての流動性を適度にコントロール出来る。その結果、現像剤担持体上における二成分系現像剤の搬送性が良好となり、また、キャリアからのトナー離れが良好となり、優れた現像性が得られるようになる。粒径が大きく、円形度の高いトナーと用いた場合には、トナーとキャリア間の離型性が高くなりすぎるために、現像剤担持体上で現像剤がスリップして、搬送不良をおこしやすくなる場合がある。また、粒径が小さく、円形度の低いトナーとを用いた場合には、トナーとキャリアとの付着力が高すぎるために本発明の重合体樹脂であっても現像性が低下する場合がある。
また、トナーは、結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を有するものが用いられる。
トナー粒子に含有される結着樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリエステル、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂。
トナーは、粉砕法で製造されたものであっても、懸濁重合法や乳化凝集法といった水系媒質中でトナー粒子を製造する方法で得られたものであってもよい。
平均円形度が高いトナーを得るためには、懸濁重合法や乳化凝集法といった水系媒質中でトナー粒子を製造する方法を用いることが好ましい。
懸濁重合法を行う際に用いることのできる重合性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー、ビニルエステル類のモノマー、ビニルエーテル類のモノマー、ビニルケトン類のモノマー、N−ビニル化合物のモノマー、その他のビニルモノマー。
スチレン系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン。
アクリル系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類。
また、メタクリル系モノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類。
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンが挙げられる。
ビニルエステル類のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルが挙げられる。
ビニルエーテル類のモノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルが挙げられる。
ビニルケトン類のモノマーとしては、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンが挙げられる。
N−ビニル化合物のモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
その他のビニルモノマーとしては、例えば、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩、過酸化水素。
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例としては、例えば、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンの如きラジカル重合性多官能重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーは、離型剤を含有しているが、示差走査熱量分析(DSC)測定における吸熱ピークにおいて、該吸熱ピークの最大吸熱ピーク温度が60℃以上110℃以下、より好ましくは65℃以上100℃以下の範囲にある離型剤を使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス、ベヘン酸ベヘニルの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
その中でも好適な離型剤としては、脂肪族飽和炭化水素ワックスであり、低分子量ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。このような離型剤を用いた場合には、酸化チタンに処理した炭化水素成分との親和性が良くなり、トナーからの遊離を抑えることができる。これは非常に耐久性の強いトナーを得ることができる。
最大吸熱ピーク温度が60℃未満の場合、トナーの可塑化が促進され、現像特性に影響が出る。また最大吸熱ピーク温度が110℃を超える場合、定着性に影響が出るほか、離型剤と本発明で使用する酸化チタンとの親和性が低下するためか、帯電ローラーの汚染が促進される。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して2.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上9.5質量部以下であることがより好ましい。離型剤の含有量が2.0質量部未満では定着性が悪化し易くなり、15.0質量部よりも多いとカブリ等の現像性が悪化し易くなる。
また、トナー中の離型剤の平均分散粒径は0.05μm以上0.80μm以下であることが好ましく、0.07μm以上0.70μm以下であることがより好ましい。離型剤の平均分散粒径が0.05μmよりも小さい場合には、定着性に若干の影響が出る。逆に0.80μmよりも大きい場合には、トナーの流動性を悪化、磁性キャリアの汚染なども発生し易くなるその結果濃度変化が発生し易くなる。
なお、ワックスの平均分散粒径を制御する方法は、例えば離型剤の添加量を少なくすることで離型剤の平均分散粒径を小さくすることができる。さらにトナーの製造方法によっても離型剤の平均分散粒径を制御できるが、それについては後述する。
また、トナーは荷電制御剤を含有していてもよい。荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、金属塩、及びキレート化合物が挙げられる。有機金属錯体としては、例えば、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体が挙げられる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類の如きカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体も挙げられる。また、ビスフェノール類、カリックスアレーンの如きフェノール誘導体も荷電制御剤として用いることができる。トナーの帯電立ち上がりを良好にする点から、中でも芳香族カルボン酸の金属化合物が、トナーの帯電の立ち上がりが良好になるという点で好ましい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。荷電制御剤を上記の範囲内で用いた場合には、高温高湿から低温低湿までの環境において安定した摩擦帯電を行うことができる。
二成分系現像剤におけるトナーの摩擦帯電量は、絶対値が25mC/kg以上65mC/kg以下であることが好ましい。ここで規定する摩擦帯電量は、トナー濃度が3質量%以上20質量%以下となるように調製した現像剤をポリ瓶に入れ、ターブラーミキサーや各種振とう機により、2分間混合した際の帯電量である。上記の範囲であれば、高画質な画像を得やすく、カブリのない画像を得えられやすい。
トナーに含有される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1乃至30質量部であり、より好ましくは0.5乃至20質量部であり、最も好ましくは3乃至15質量部である。
本発明で使用する酸化チタンのほかに、帯電性や転写性の向上を狙って、トナー粒子にその他の外添剤が添加されていてもよい。トナー粒子表面に外添される外添剤は、酸化アルミナ、シリカの如き無機微粒子を含むことが好ましく、複数の種類を併用しても良い。
該外添剤の総含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.8質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
また、外添剤として用いられる無機微粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤の如きカップリング剤;シリコーンオイル;またはそれらの組み合わせによってなされることが好ましい。
チタンカップリング剤としては、例えば以下のものが挙げられる。テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート。
シランカップリング剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
疎水化処理は、被処理粒子に対して1質量%以上30質量%以下(より好ましくは3質量%以上7質量%以下)の疎水化処理剤を被処理粒子に添加して、被処理粒子を被覆することにより行われることが好ましい。
疎水化処理された外添剤の疎水化の程度は特に限定されないが、例えば、処理後の疎水化度が40以上98以下であることが好ましい。疎水化度とは、試料のメタノールに対する濡れ性を示すものであり、疎水性の指標である。
次に本発明のトナーを二成分系現像方法で使用される場合の補給用現像剤及び二成分現像剤に用いられるキャリアについて説明する。
磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1乃至30質量%(好ましくは0.5乃至20質量%)が好ましい。これらキャリアの個数平均粒径は10乃至100μm、好ましくは20乃至70μmを有することが好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
本発明のトナーの製造方法としては様々な方法が挙げられるが、例えば粉砕法により製造する場合には、トナー粒子を構成する少なくとも樹脂、着色剤などの材料(内添剤)を所定量秤量して配合し、混合する(これを「原料混合工程」という)。原料を混合する際に用いられる混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
次に、上記混合されたトナー原料を溶融混練して樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させることにより、着色樹脂組成物を得る(これを「溶融混練工程」という)。以下に本発明で使用される好ましい混練機の一例を示す。
図1(a)は回転二軸押出機(a)の概略図である。本発明で使用される回転二軸押出機のバレル100は複数に分割され、その内部には電気ヒーター等の加熱手段と冷却配管等の冷却手段を有しており、温度制御盤によって所望する温度に調節されるものである。バレル100内には2軸のスクリュー101が噛み合さって同方向に100乃至500rpm程度で高速に回転する。スクリューの構成は適時選択することができるが、送り部スクリューとニーディング部スクリューなどで構成されていてもよい。トナー原材料混合物はホッパ102からスクリューフィーダー(不図示)により送り部スクリューに投入される。そしてトナー原材料は徐々に予熱されていき、バレル100のヒーターや、スクリュー101のシェアによる主原料自体の自己発熱で原料は分散され、固体または半溶融状態から溶融状態に変化する。また混練物が溶融状態になる部位より後部に複数のベント口103を設けガス抜きをしてもよい。さらにはベント口103の一部または全部をポンプなどで真空吸引することにより、混練物の充満状態が良くなり、分散性が向上し、発揮成分の除去効率がよくなり好ましい。
図1(b)の回転二軸押出機(b)は、図1(a)に対して原料供給口から出口までの長さを短くし、ベント口を無くしたものである。図1(b)の回転二軸押出機(b)では原料の分散性は低下し、離型剤の平均分散粒径は大きくなる。また、原料の供給速度を小さくすることで離型剤の平均分散粒径を小さくすることができる。
上記溶融混練工程よって得られた着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。この混練物を冷却する方法によっても平均分散粒径を調整することが可能であり、混練物を急冷すると混練物内の離型剤が微分散される。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕を行う。その後更に、例えば、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径が4乃至10μmのトナー粒子を得る。
必要に応じて、表面改質工程で表面改質(即ち球形化処理)を行い、トナー粒子としてもよい。このような表面改質を行う装置としては、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム、日本ニューマチック社製のサーフュージングシステム等が挙げられる。さらに必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
また、重合性単量体組成物を水中に懸濁し、これを重合することにより直接トナー粒子を製造する方法、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を製造する分散重合方法、乳化重合により製造したエマルションと着色剤等を凝集・会合させることによりトナー粒子を製造する方法等、従来公知の製造方法も採用可能である。
更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することによりトナーを得ることができる。
次に本発明の補給用現像剤を用いる現像装置を備えた画像形成装置について例を挙げて説明するが、本発明の現像方法に使用される現像装置はこれに限る物ではない。
図2は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。補給用現像剤に含有されるキャリアによって増量した余剰キャリアは、容量UP分がオーバーフローして現像剤回収オーガに取り込まれ、補給用現像剤容器あるいは別の回収容器へ搬送される。
フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、静電潜像担持体としての直径30mmの感光体61aを具備し、この感光体61aは矢印a方向へ回転移動される。帯電手段を有する一次帯電器62aは、直径16mmのスリーブの表面に形成された帯電ローラーが感光体61aの表面に接触するように配置されている。レーザー光67aは、一次帯電器62aにより表面が均一に帯電されている感光体61aに静電潜像を形成するために、図示されていない露光装置により照射される。感光体61a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー像を形成するための現像手段としての現像装置63aは、カラートナーを保持している。転写手段としての転写ブレード64aは、感光体61aの表面に形成されたカラートナー像をベルト状の転写材担持体68によって搬送されて来る転写材(記録材)の面に転写する。この転写ブレード64aは、転写材担持体68の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電器62aによって感光体61aを均一に一次帯電した後、露光装置67aにより感光体に静電潜像を形成し、現像装置63aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー像を第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体68の裏面側に当接する転写ブレード64aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、トナー/キャリア比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサー85で検知し、消費されたトナー量に応じて補給用現像剤容器65aから補給用現像剤を補給する。なお、トナー濃度検知センサー85は図示されないコイルを内部に有している。
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像装置に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行なわれる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器69によって転写材担持体68上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着装置70に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着装置70は、一対の直径40mmの定着ローラ71と直径30mmの加圧ローラ72を有し、定着ローラ71は、内部に加熱手段75及び76を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー像は、この定着装置70の定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図2において、転写材担持体68は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、80の駆動ローラによって矢印e方向に移動するものである。他に、転写ベルトクリーニング装置79、ベルト従動ローラ81であり、ベルト除電器82を有し、一対のレジストローラ83は転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体68に搬送するためものである。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えて、ローラ状の転写ローラの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。
しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。
<酸化チタンの粒径測定方法>
本発明における酸化チタン及びその他無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径については、透過型電子顕微鏡にて、トナー粒子上の酸化チタン及び無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径は走査電子顕微鏡でそれぞれ観察し、粒子の長軸と短軸の平均値を粒径とした。また粒子100個の粒径を測定してその平均値を一次粒子の個数平均粒子径とした。
<トナー粒子中のワックスの分散粒径>
トナー粒子中のワックスの分散粒径を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を必要により四三酸化ルテニウム、四三酸化オスミウムを用い染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナー粒子の断層形態を測定する。ワックス一次平均分散粒径は、ランダムに20個のワックスドメインを選択して、画像解析装置を用いてドメインの面積を測定し、そのドメインと等しい面積を持つ円の直径を円相当径として求めたものである。
<トナーの最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
ワックスおよびトナーの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30乃至200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のトナーのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下実施例に本発明を更に具体的に説明する。
〔処理酸化チタン1の製造例〕
原料となる合成ルチル鉱を粉砕したものとコークスを混合し、1000℃付近に昇温した流動床塩化炉内に入れ、供給される塩素ガスと発熱反応を行って粗四塩化チタンを得た。得られた粗四塩化チタンから不純物を分離精製し、四塩化チタン水溶液を得た。この四塩化チタン水溶液を室温に保持しながら、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを7.0に調整してコロイド状の水酸化チタンを析出させ、引き続き62℃の温度で2.5時間熟成してルチル核を有するスラリー状の酸化チタン母粒子とした。このスラリーに硫酸を加えpH3とした後、イソプロパノールに溶解させたノルマルパラフィンワックス1(Mw:500)溶液と、n−オクチルトリエトキシシランを添加し、1時間かけて温度を60℃に昇温することにより、酸化チタン母粒子表面にn−オクチルトリエトキシシランを、二酸化チタン母粒子に対し8.0質量%、ノルマルパラフィンワックス1を二酸化チタンに対し0.2質量%被覆した。この後、濾過、洗浄して、得られた湿ケーキを120℃で一昼夜熱処理し、粉砕して個数平均粒子径15nmの酸化チタン微粒子1を得た。
〔処理酸化チタン2の製造例〕
上記処理酸化チタン1の製造例のルチル核を有するスラリー状態の酸化チタン母粒子を分別、洗浄した後、電気炉で300℃の温度で3時間熱処理して平均一次粒子径25nmのルチル型酸化チタン母粒子を得た。上記ルチル型酸化チタン粒子を高速攪拌機に入れ、イソプロパノールに溶解させたノルマルパラフィンワックス1溶液と、n−オクチルトリエトキシシランを添加し、均一になるように攪拌した。
なお、表面処理量は、n−オクチルトリエトキシシランを、二酸化チタンに対し8.0質量%、ノルマルパラフィンワックス1を二酸化チタンに対し0.2質量%とした。この後、120℃で一昼夜熱処理し、粉砕して個数平均粒子径26nmの処理酸化チタン2を得た。
〔処理酸化チタン3の製造例〕
四塩化チタンをガス状で酸水素ガスの存在下で1500℃の温度で、原料ガス中のチタン濃度が二酸化チタン換算で15g/m3の条件下で熱加水分解することにより製造された、個数平均粒子径が14nmのアナターゼ型酸化チタン粒子を得た。
上記アナターゼ型酸化チタン粒子を高速攪拌機に入れ、イソプロパノールに溶解させたノルマルパラフィンワックス1溶液と、n−オクチルトリエトキシシランを添加し、均一になるように攪拌した。
なお、表面処理量は、n−オクチルトリエトキシシランを、二酸化チタンに対し8.0重量%、ノルマルパラフィンワックス1を二酸化チタンに対し0.2質量%とした。この後、120℃で一昼夜熱処理し、粉砕して個数平均粒子径が15nmの処理酸化チタン3を得た。
〔処理酸化チタン4乃至9の製造例〕
処理酸化チタン1乃至3で使用したパラフィンワックス1に変えて、表1に示す処理剤を添加した以外は処理酸化チタン3と同様にして処理酸化チタン4乃至9を製造した。
〔キャリアの製造例〕
個数平均粒径0.30μmのマグネタイト粉と、個数平均粒径0.30μmのヘマタイト粉に対して、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・処理したマグネタイト 80質量部
・処理したヘマタイト 4質量部
上記材料と、28%アンモニア水5質量部、水20質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性体含有樹脂キャリアコアを得た。
コート材として、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体(共重合比(質量%比)3:7、重量平均分子量54,000)を用い、これがコート時に前記磁性体分散樹脂コア100質量部に対して1.0質量部となるように、メチルエチルケトン及びトルエンの混合溶媒を溶媒として10質量%の前記メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体を含有するキャリアコート溶液を作製した。また、このキャリアコート溶液に、メラミン樹脂(個数平均粒径0.2μm)0.4質量部、カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量50ml/100g)0.6質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、この混合溶液に前記磁性体分散樹脂コアを投入し、これに剪断応力を連続して加えながら溶媒を70℃で揮発させて、磁性体分散樹脂コア表面へ前記メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体をコートした。
前記メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体でコートされた樹脂コート磁性体分散樹脂コアを100℃で2時間撹拌することによって熱処理後、冷却、解砕した。その後200メッシュの篩で分級して、個数平均粒子径36μm、真比重3.8g/cm3、磁化の強さ57.1Am2/kgの磁性キャリアを得た。
〔トナーの製造例1乃至21〕
ビニル系共重合体ユニットを得るための材料として、スチレン10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート4質量部、フマル酸2質量部、α−メチルスチレンの2量体5質量部、ジクミルパーオキサイド5質量部を滴下ロートに入れた。また、ポリエステル重合体ユニットを得るための材料として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16質量部、テレフタル酸22質量部、無水トリメリット酸6質量部、フマル酸10質量部及び2−エチルヘキサン酸錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、温度130℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系単量体及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで、温度を200℃まで昇温し、4時間反応させ、重量平均分子量89,000、数平均分子量3500のハイブリッド樹脂を得た。
・上記ハイブリッド樹脂 100.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 4.0質量部
上記の材料と、表2に示す質量部数の離型剤をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、得られた混合物を図1に示す回転二軸押出機(a)で溶融混練を行った。図1の回転二軸押出機の原料供給口から出口までの長さは1560mmスクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転型である。またバレル内の加熱温度は100℃、スクリュー回転速度は150回転/分、混合物の供給速度は12kg/時であった。ベント口4は真空吸引されている。尚、図1の回転二軸押出(b)を使用する場合、原料供給口から出口までの長さは926mmである。
使用した回転二軸押出機のタイプ、バレル内の加熱温度、原料供給速度を表3に示す。
得られた混練物をスチール製ベルト式圧延機にて挟みながら通過させ、更に冷却ローラにて圧延冷却し、冷却コンベアにて常温まで冷却後、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。このとき冷却ローラ、冷却コンベアの速度や設定温度を変更することで混練物の冷却条件を変化させた。冷却された混練物の温度、及び混練物の冷却速度を表3に示す。
得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を分級し、さらにハイブリダイザー(奈良機械製作所製)処理装置を用い4回繰り返し球形化処理を行い、重量平均粒径(D4)6.0μm、平均円形度0.950のシアントナー粒子を得た。
同様にしてC.I.ピグメントブルー15:3の替わりにC.I.ピグメントイエロー74を7.0質量部、C.I.ピグメントレッド122を6.3質量部、カーボンブラックを5.0質量部使用して、それぞれイエロー、マゼンタ、及びブラックトナー粒子を調製した。
得られた各トナー粒子100質量部に、表1、2に示す処理酸化チタンを1.6質量部と、個数平均粒径100nmであり、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリカ粒子を0.6質量部を添加した。そして、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)で混合して、重量平均粒径6.0μm、平均円形度0.950の各色トナー1を得た。
表2に代表してシアントナーの離型剤の個数平均分散粒径を示すが、他のイエロー、マゼンタ、及びブラックトナーも殆ど差が無い個数平均分散粒径であった。
<実施例1>
磁性キャリアを92質量部に対し、表2に示す各色トナー1を8質量部加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、二成分系現像剤を調製した。
一方、磁性キャリアを10質量部に対し、各色トナー1を90質量部加え、常温常湿23℃/50%RHの環境において、V型混合機により5分間混合し、補給剤を得た。さらにこの補給剤を用いて以下の評価を行った結果を表5に示す。
画像形成装置として、キヤノン製カラー複写機imagePRESS C7000VPを下記条件で出力できるように改造し、各色現像器に上記現像剤を入れ、下記条件で各種評価を行った。
条件:
印刷環境 温度20℃以上27℃以下、湿度20%RH以上70RH%以下の範囲
で制御された環境。
印刷条件 画像面積比率10%で50万枚の通紙耐久
紙 カラーレーザーコピアペーパー(81.4g/m2)
画像形成速度 A4サイズ、フルカラーで70枚/分。
現像条件 キヤノン製カラーレーザービームプリンター、LBP9600Cの帯電
ローラーを有する帯電ユニットに付け替えできるように改造した。
定着条件 定着装置は、フルカラー複写機imagePRESS C1(キヤノン
株式会社)で使用している装置に付け替え、定着速度を自由に設定でき
るように改造した。また、120℃から200℃まで5℃刻みで定着温
度の設定が変更できるように改造した。
(1)定着性
出力画像を1色あたり0.4(mg/cm2)、合計1.6(mg/cm2)でA4サイズ全面4色ベタ画像を出力した。また評価紙は、SA金藤(坪量174.4g/m2)を使用した。定着開始温度の測定は、定着速度は300mm/秒、定着器の設定温度を120℃から200℃迄の温度範囲で5℃おきに温度調節して、各々の温度で定着画像を出力した。
それぞれのトナーに対して得られた定着開始温度から更に設定温度を15℃上げ、表4に示す紙種をそれぞれ通紙し、定着性を確認した。このとき定着速度は紙種によって変える事無く、定着速度は300mm/秒とした。
評価紙よりも坪量の小さいものは、定着画像を目視し、オフセットや巻き付き等が無いことを確認した。また評価紙よりも坪量の大きいものは、こすり試験を行った。こすり試験は定着画像を、50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度の低下率が7%以上のものを定着NGとして判断した。紙種は表4に示す坪量のものを使用し、使用可能範囲を確認した。
評価の基準はそれぞれ以下のとおりである。
定着温度幅
A:11種以上の紙で定着可能
B:9種以上10種以下の紙で定着可能
C:7種以上8種以下の紙で定着可能
D:5種以上6種以下の紙で定着可能
E:4種以下の紙で定着可能
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果を表5に示す。
(2)帯電ローラー汚染性評価
帯電ローラー汚れは、50万枚の耐久中、10万枚毎にローラー表面及びハーフトーン画像を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:ローラー表面、画像ともに欠陥は全く認められない。
B:40万枚目以降、ローラー表面に汚れが若干認められるが、画像には現れない。
C:30万枚目以降、ローラー表面に汚れが若干認められ、40万枚目以降には画像にも
若干の濃度ムラが生じている。
D:30万枚目以降、ローラー表面に汚れが認められ、画像濃度ムラも目立ち始めている
。
E:20万枚目以降、ローラー表面の汚れが認められ、画像にも濃度ムラがはっきり生じ
ているのが確認できる。
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果を表5に示す。
(3)転写中抜け
転写中抜けは耐久後、図3(a)に示した「驚」文字パターンを厚紙(209.4g/m2)にプリントした際の文字の中抜け(図3(b)の状態)を以下の基準に基づき、目視で評価した。
A:発生せず
B:ほとんど発生せず
C:軽微な中抜けが見られる
D:若干の中抜けが見られる
E:顕著な中抜けが見られる
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果を表5に示す。
(4)カブリ
50万枚耐久後、A4全面ベタ白画像をカラーレーザーコピアペーパーで出力した。カブリは白地部分の白色度をリフレクトメーター(東京電色社製)により測定し、その白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出し、50枚の中で最もカブリ濃度の高いものを評価結果とした。評価基準は次の通りである。
A:非常に良好(0.5%未満)
B:良好 (0.5%以上1.0%未満)
C:やや良好 (1.0%以上1.5%未満)
D:普通 (1.5%以上2.5%未満)
E:やや悪い (2.5%以上3.0%未満)
F:悪い (3.0%以上4.0%未満)
G:非常に悪い(4.0%以上)
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Dである。結果を表5に示す。
(5)50万枚耐久後、7日放置による画像濃度差
X−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)を使用し、50万枚耐久直後、及びそれから7日間放置後5枚通紙し、5枚目の画像濃度との差を測定した。評価基準は次の通りである。
A:0.00以上0.04未満 全く気づかない。
B:0.04以上0.08未満 全く気にならない。
C:0.08以上0.12未満 あまり気にならない。
D:0.12以上0.16未満 使用上問題ない。
E:0.16以上0.20未満 実使用上問題となるくらい、気になる。
F:0.20以上0.24未満 かなり濃度差が目立つ。
G:0.24以上 濃度差がはっきりと現れている。
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Dである。結果を表5に示す。
実施例1では全ての評価に於いて非常に優れた画像特性を示した。
<実施例2及び3>
表2に示す各色トナー2及び3を使用し、実施例1と同様に実施例2及び3で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。実施例2及び3では、離型剤分散粒径が異なる。実施例2では分散粒径がやや小さく、実施例3では分散粒径がやや大きくなったが、問題なく優れた画像特性を示した。結果を表5に示す。
<実施例4乃至7>
表2に示す各色トナー4乃至7を使用し、実施例1と同様に実施例4乃至7で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。実施例4乃至7では、離型剤の添加量の変更と、離型剤の分散粒径が異なる。
実施例4では離型剤が少ないにも関わらず、本発明で使用している酸化チタンのおかげで良好な定着性であった。実施例6ではさらに離型剤が少なくなったが、本発明で使用している酸化チタンのおかげで問題なく使用できるレベルの定着性であった。
また実施例5では離型剤が多いが、酸化チタンの表面離型剤に対する隠蔽性のおかげで良好な画像特性を示した。実施例7ではさらに離型剤が多くなり、カブリや放置後の画像濃度差が若干発生したが、問題なく使用できるレベルの現像特性であった。結果を表5に示す。
<参考例8>
表2に示す各色トナー8を使用し、実施例1と同様に参考例8で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。参考例8では酸化チタンの製造方法を変更している。
参考例8では酸化チタンの処理にややムラが生じた事による帯電性が若干不安定になったためか、放置後の画像濃度の差がおおきくなった。またカブリも発生しているが、実使用可能レベルであった。結果を表5に示す。
<参考例9>
表2に示す各色トナー9を使用し、実施例1と同様に参考例9で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。
参考例9ではアナターゼ型の酸化チタンを使用している。参考例9では酸化チタンが磁性キャリア表面に付着し易くなり、磁性キャリアの帯電特性がやや低下した。ゆえに特に放置後の画像濃度も若干低下し、カブリも発生した。しかし実使用可能レベルであった。結果を表5に示す。
<参考例10及び11>
表2に示す各色トナー10及び11を使用し、実施例1と同様に参考例10及び11で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。参考例10及び11では、酸化チタンを処理する炭化水素化合物の重量平均分子量が異なる。参考例10では炭化水素化合物の重量平均分子量がやや大きいものを使用している。これにより転写中抜けが若干発生する。また参考例11では炭化水素化合物の重量平均分子量がやや小さいものを使用している。これにより帯電ローラーの汚染が若干見られた。しかし参考例10及び11は実使用可能レベルであった。結果を表5に示す。
<参考例12乃至15>
表2に示す各色トナー12乃至15を使用し、実施例1と同様に参考例12乃至15で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。参考例12乃至15では、離型剤の種類が異なる。
参考例12では離型剤の融点が若干低いものを使用している。そのため現像性の部分に影響を及ぼし、帯電ローラーの汚染による濃度ムラやカブリが少し発生した。
参考例13では離型剤の融点が若干高いものを使用している。そのため定着性、帯電ローラー汚染に若干影響が出た。
また参考例14、15では脂肪族飽和炭化水素以外のワックスを使用している。これは本発明で使用する酸化チタンとの親和性が若干低下するためか、現像性、耐久性等関係する評価に影響した。
しかし参考例12乃至15はいずれも実使用可能レベルであった。結果を表5に示す。
<参考例16>
表2に示す各色トナー16を使用し、実施例1と同様に参考例16で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。
参考例16では酸化チタンの処理剤として不飽和炭化水素ワックスを使用している。そのため飽和炭化水素ワックスに比べて定着性が若干劣り、転写中抜けも見られるようになった。
しかし参考例16は実使用可能レベルであった。結果を表5に示す。
<比較例1>
表2に示す各色トナー17を使用し、実施例1と同様に比較例1で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。
比較例1では高融点の離型剤を使用している。比較例1では、処理酸化チタンと離型剤の充分な親和性が得られず、酸化チタンの遊離による帯電ローラーの汚染が目立つようになった。さらに酸化チタンの遊離は現像性にも影響を及ぼしていた。結果を表5に示す。
<比較例2>
表2に示す各色トナー18を使用し、実施例1と同様に比較例2で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。
比較例2では低融点の離型剤を使用している。比較例2では、離型剤によるトナーの可塑化が促進され、本発明で使用する酸化チタンの効果をもってしても現像性、耐久性を悪化させる結果になった。特にカブリが悪化した。結果を表5に示す。
<比較例3乃至5>
表2に示す各色トナー19乃至21を使用し、実施例1と同様に比較例3乃至5で使用する二成分系現像剤及び補給剤を調整した。また得られた二成分系現像剤及び補給剤を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。
比較例3乃至5では酸化チタンの処理剤に炭化水素化合物を処理していない。ゆえに定着性においては離型剤が定着時の離型剤の染み出しを阻害し、定着性が著しく悪化した。また現像性においても改善が見られなかった。結果を表5に示す。