JP5392908B2 - インサート用袋ナット - Google Patents
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Description
しかし、このような袋ナットはインサート用でないため、回り止め部や抜け止め部が形成されておらず、このままインサートナットとして適用することはできないものであった。また、凹みの全周縁をかしめるため大きな荷重が必要となり、全長が変化して寸法にバラツキを生じるという問題点や、前記の袋ナットに回り止め部と抜け止め部を形成するには、鍛造後に切削加工を追加するか、あるいは転造及び切削加工を追加して仕上げる必要があり、この結果、生産性が劣るとともに生産コストも高くなるという問題点もあった。更に、このような袋ナットをインサートナットに適用したとしても、凹み部に樹脂が流れ込まないので蓋体部が開放状態となり機密性を確保しにくいという問題点があった。
図面は、本発明に係るインサート用袋ナットを示すもので、図1は正面図、図2はその断面図、図3は底部側から見た斜視図、図4は要部の拡大断面図である。
図において、1はナット本体、2はナット本体1の中央に設けられた貫通孔、3はこの貫通孔2に形成された雌ネジである。また、本体1の上端面には凹み部4が設けられており、この凹み部4に蓋体5が嵌め込まれてインサート用袋ナットとされている。
ここで、本発明でいう溝形状にかしめるとは、図3に示すように、立設した縦壁部6を横切るような凹孔を形成することを意味し、例えば前記縦壁部6を十文字状のプレス治具により押圧して複数の溝部8を形成するものである。
図示のものでは、環状の縦壁部6を均等に4分割した位置で溝形状にかしめて、4個の溝部8が形成されている。図4に示すように、縦壁部6を溝形状にかしめると、押圧された肉は下方側へ押しやられるとともに、下端部において縦壁部内周面の内側に突出した内バリ部7aと、縦壁部外周面の外側に突出した外バリ部7bを形成する。そして、前記内バリ部7aが蓋体5の上面を押さえることにより、蓋体5がナット本体1に一体に結合した構造となっている。
また、凹み部4に蓋体5を嵌め込んで周縁の縦壁部6をかしめる際に、ナット本体1の高さ方向の精度出しが可能であるので、最終工程として切削加工による仕上げ工程を経なくても所望の寸法精度を確保することができ、優れた生産性を発揮するという利点もある。
この外バリ部7bは、インサート成形により合成樹脂製のワークと一体化した場合に、食い込んだ合成樹脂と外バリ部7bとが接触することにより、ボルトをねじ込む際の反力によってナット本体1が浮き上がるのを防止する抜け止め機能を発揮し、また、ボルトをねじ込む際にナット本体1が回転するのを防止する回り止め機能を発揮する。
これらの抜け止め機能や回転防止機能は、従来技術では、型抜きの関係から鍛造型のみではできないものであり、そのため鍛造後に切削加工等を追加して仕上げる必要があり、生産性に劣るとともに生産コストも高くなるという問題があった。これに対し、本発明では、溝形状にかしめると同時に外バリ部7bを簡単に成形するので、上記のような従来の問題点の解消が図れる利点がある。
この回り止め用の係止片9も、インサート成形により合成樹脂製のワークと一体化した場合に、係止片9の側面部とそこへ食い込んだ合成樹脂との接触により、ナット本体1の回りを防止するものである。
ナット本体1は、一対の成形型21、22間の所定位置にセットされ、型内に溶融樹脂が注入されて袋ナットを一体化した合成樹脂製のワーク20が成形されるが、本発明の袋ナットでは縦壁部6を溝形状にかしめて溝部8が形成されているので、インサート成形時に溶融樹脂は前記溝部8を通じてナット側へ流れ込む。この結果、蓋体5の上面が溝部8を通じて流入した樹脂により被覆されて気密状態となるため、気密性をより確実に確保することが可能となる。
なお、かしめる際に、ナット本体の高さ方向の精度出しが可能であるので、最終工程として切削加工による仕上げ工程を経なくても所望の寸法精度を確保することができることとなる。また、インサート成形により樹脂製のワークと一体化する際、雌ネジ内への樹脂の流れ込みを確実に防止することができるという利点も有する。また、溝かしめにより形成された外バリ部により、優れた回り止め機能と抜け止め機能も発揮することができる。更には、インサート成形された際に、蓋体の上面が溝部を通じて流入した樹脂により被覆されていて高い気密性を確保できるという利点や、ナット本体と蓋体とを別々にめっき処理できるので、ナット内側部におけるめっき未着の発生も防止できるという利点等の種々の利点もある。
2 貫通孔
3 雌ネジ
4 凹み部
5 蓋体
6 縦壁部
7a 内バリ部
7b 外バリ部
8 溝部
9 係止片
20 ワーク
21 成形型
22 成形型
Claims (3)
- ナット本体の中央に設けた貫通孔に雌ネジを形成するとともに、ナット本体の上端面に設けた環状の凹み部に蓋体を嵌め込んだインサート用袋ナットであって、前記凹み部周縁の縦壁部を複数の溝形状にかしめることによって形成される内側に突出した内バリ部により蓋体をナット本体に一体に結合し、また、凹み部周縁の縦壁部を複数の溝形状にかしめることによって形成される外側に突出した外バリ部が、抜け止め及び回り止め用の係止片として作用するようにしたことを特徴とするインサート用袋ナット。
- 凹み部周縁の縦壁部を均等に分割した位置で複数の溝形状にかしめてある請求項1に記載のインサート用袋ナット。
- インサート成形された際に、蓋体の上面が溝部を通じて流入した樹脂により被覆されて気密状態となる請求項1または2に記載のインサート用袋ナット。
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