JP5392485B2 - 圧力開放弁 - Google Patents

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタや電解コンデンサなど電気化学素子に用いられる圧力開放弁に関する。
外装がアルミラミネートフィルムによる袋状の容器(ラミネートパック)からなる電気二重層キャパシタなどの電気化学素子では、充放電に際して、不純物や電解液の分解等によるガスが発生すると、これによって内圧が上昇する。そしてこのような内圧の上昇があるとラミネートパックが容易に膨出変形してしまうことから、このようなラミネートパックの膨出変形を抑制するために設けられる圧力開放弁としては、僅かな内圧上昇で開弁するものであることが望ましい。そしてこのような低い開弁圧で安定した開弁特性を示すものとして、一般に、図9に示されるような傘バルブaを用いることが知られている。すなわちこの傘バルブaは、内圧P1が外圧(大気の圧力)P2よりも僅かに上昇するだけで傘状部a1が撓んでホルダbに設けた通気口b1を開き、内圧を開放することができる。
しかしながら、この種の傘バルブaは、ホルダbへの係止部a3が形成された柄a2を有するため圧力開放弁全体を小型化することが困難で、係止部a3より先端側(図9に破線で示す位置)で柄a2を切断したとしても小型化には限界があり、切断することで製造工程が複雑化する問題があった。
そこで、このような傘バルブ以外の構造において、低い開弁圧で内圧を開放し得る圧力開放弁としては、従来、例えば特許文献1〜4のようなものが種々提案されている。
WO2007/004467 特許第3889029 特開2004−71725 特開2003−297700
これらのうち、特許文献1の圧力開放弁は、ゴムなどの柔軟性のある素材からなり、中央にスリット又は小孔が設けられ、このスリット又は小孔は、通常は素材の有する弾性によって閉塞した状態にあり、内圧が所定値以上に上昇したときに開いてこの内圧を開放するものである。
また、特許文献2の圧力開放弁は、圧力開放のための小孔を覆うようにゴムなどの弁膜を敷設し、この弁膜を合成繊維質材料により前記小孔へ弾性的に押し付けて、内圧が所定値以上に上昇したときに弁膜が合成繊維質材料の弾性に抗して小孔を開く方向へ変位するものである。
また、特許文献3の圧力開放弁は、樹脂からなる中空の台座にゴムからなり圧力上昇時に開くスリットを有する放圧ゴムを取り付けたものである。
また、特許文献4の圧力開放弁は、貫通孔が開設された本体に、前記貫通孔を塞ぐゴムなどの膜材を、シリコンオイルを介して張り付け、この膜材を押え部材で押さえているものである。
しかしながら、特許文献1や特許文献3のようにスリット又は小孔を形成したゴムなどからなるものは、通常圧力時に素材の弾性だけでスリット又は小孔を完全に閉塞状態としておくことは困難であり、良好な密封性が得られにくい。
また、特許文献2のように、ゴムなどの弁膜で圧力開放孔を覆うだけでは、通常圧力時の良好な密封状態が得られない。そして、弁膜自体はゴム膜を打ち抜くだけなのでそのコストは低くできるが、ゴム板を小孔へ弾性的に押し付けるための合成繊維質材料などが必要になり、結局部品数や組立工数が増え、サイズも大きくなってしまう。
また、通常圧力時の良好な密封状態を得るためには、特許文献4のように、弁膜をシリコンオイルなどで貼り付けることが考えられるが、開弁圧を低く抑えるために弁膜への押し付け力を小さくすると、当該電気化学素子の取付方向や振動などによって圧力開放弁の密封状態が容易に損なわれてしまい、しかも本体と弁膜との間に介在させたシリコンオイルの流出も起こり得る。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、電気二重層キャパシタなどの電気化学素子の圧力開放弁において、通常圧力時の十分な密封性を確保すると共に、低い開弁圧でも安定して開弁可能とし、省サイズで組立コストを抑えることにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る圧力開放弁は、容器の開口部に封着されるホルダと、ゴム状弾性材料からなる弁体とを備え、前記ホルダに、前記容器の外側へ向けて突出した取付軸が一体に形成されると共に通気口が開設され、前記弁体が、中央穴において前記取付軸に開弁圧より大きな締め付け圧力で密嵌されると共に、傘型をなして前記通気口を前記容器の外側から覆うように前記ホルダに接離可能に密接されたものである。
また、請求項2の発明に係る圧力開放弁は、請求項1に記載された構成において、取付軸の根元の外周に弁体の位置決めのための大径段差部が形成されたものである。
また、請求項3の発明に係る圧力開放弁は、容器の開口部に封着されるホルダと、ゴム状弾性材料からなる弁体と、前記弁体を前記ホルダに固定する取付軸とを備え、前記取付軸が、すり割りによって分割され径方向への弾性を有する脚部及びこの脚部の端部外周に形成された被係止突条を有し、前記被係止突条が、前記ホルダに開設された通気口に、前記脚部の弾性復帰力によって係止され、前記弁体が、中央穴において前記取付軸に抜け止め状態に密嵌されると共に、傘型をなして前記通気口を前記容器の外側から覆うように前記ホルダに接離可能に密接されたものである。
また、請求項4の発明に係る圧力開放弁は、請求項3に記載された構成において、ホルダが熱可塑性樹脂材料からなり、取付軸が熱硬化性樹脂材料からなるものである。
また、請求項5の発明に係る圧力開放弁は、請求項3に記載された構成において、ホルダが相対的に融点の低い熱可塑性樹脂材料からなり、取付軸が相対的に融点の高い熱可塑性樹脂材料からなるものである。
請求項1の発明に係る圧力開放弁によれば、ホルダと弁体の2部品のみからなるため、省サイズで組立工数も少なく、また、ゴム状弾性材料からなる傘型の弁体の有する弾性によって、容器内の通常圧力時の十分な密封性が確保されると共に、安定した開弁圧を得ることができる。
請求項2の発明に係る圧力開放弁によれば、請求項1の発明による効果に加え、弁体の中央穴を取付軸に通すことによってこの弁体をホルダに取り付ける際に、取付軸の根元の外周に形成された大径段差部によって取付軸への弁体の押し込み過ぎを防止して、適切に位置決めすることができる。
請求項3の発明に係る圧力開放弁によれば、ゴム状弾性材料からなる傘型の弁体の有する弾性によって、容器内の通常圧力時の十分な密封性が確保されると共に、安定した開弁圧を得ることができる。また、取付軸がホルダと別部材であるため、取付軸に、弁体に対する顕著な抜け止めを施して突発的な内圧上昇に対する弁体の抜け荷重を大きく設定することができる。しかもホルダの通気口が取付軸をホルダに係止する手段を兼ねるため、ホルダの形状を簡素化することができる。
請求項4又は請求項5の発明に係る圧力開放弁によれば、請求項3の発明による効果に加え、ホルダを熱溶着によって容器の開口部に封着する際に前記容器への前記取付軸の誤溶着を防止することができる。
本発明に係る圧力開放弁の第一の形態を示す断面図である。 本発明に係る圧力開放弁の第一の形態を示す分離状態の断面図である。 本発明に係る圧力開放弁の第一の形態を示す開弁状態の断面図である。 本発明に係る圧力開放弁の第二の形態を示す断面図である。 本発明に係る圧力開放弁の第二の形態を示す分離状態の断面図である。 本発明に係る圧力開放弁の第二の形態で用いられる取付軸を示す斜視図である。 本発明に係る圧力開放弁の第二の形態を示す開弁状態の断面図である。 図6の取付軸の形状変更例を示す斜視図である。 傘バルブによる従来の圧力開放弁の一例を示す断面図である。
以下、本発明に係る圧力開放弁の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る圧力開放弁の第一の形態を示す断面図、図2は、分離状態の断面図、図3は、開弁状態の断面図である。
まず図1において、参照符号100は外装がアルミラミネートフィルムにより形成された電気二重層キャパシタなどの電気化学素子であって、すなわちアルミラミネートフィルムからなる袋状のラミネートパック101を有し、このラミネートパック101の内部空間Aには、例えば集電極及び作用電極を、セパレータを介して積層した不図示の電極積層体が収納されると共に、不図示の電解液が封入されている。なお、ラミネートパック101は、特許請求の範囲に記載された容器に相当するものである。
この電気化学素子100に用いられる第一の形態による圧力開放弁は、ラミネートパック101の開口部101aの内側に配置されて前記ラミネートパック101に熱溶着により封着される熱可塑性樹脂からなるホルダ1と、ゴム状弾性材料からなる弁体2とを備える。
このうち、ホルダ1は、板状の弁座11と、その外周に沿ってラミネートパック101の外側空間Bへ向けて突設されてラミネートパック101に熱溶着されるハウジング部12と、前記弁座11の中央に一体に形成されラミネートパック101の外側空間Bへ向けて突出した取付軸13とを備える。そして、弁座11には取付軸13の外周側に位置する少なくとも1つの通気口14が開設されており、取付軸13の根元の外周には大径段差部13aが形成されており、取付軸13の先端外周には抜け止め鍔部13bが形成されている。
また弁体2は、中央部が外側空間Bへ向けて漸次高くなる傘型に成形されたものであって、中央穴21においてホルダ1の取付軸13に密嵌状態で外挿されると共に、この取付軸13の先端の抜け止め鍔部13bによって抜け止めされ、可撓部22がホルダ1の通気口14を外側空間B側から覆うようにテーパ状に延びて、その外径に形成されたリップ部23が前記ホルダ1の弁座11に接離可能に密接されている。
そして図2に示されるように、弁体2における中央穴21の内径φ2が、取付軸13の外径φ1より小径に形成され、弁体2の軸方向高さh2が、ホルダ1の弁座11と取付軸13の抜け止め鍔部13bとの間の軸方向高さh1より適宜高く形成されている。したがって、図1の組立状態では中央穴21の内周面が取付軸13の外周面に適当な締め代をもって密着されると共に、可撓部22が軸方向へ適宜曲げ変形を受けることによる付勢力により、リップ部23がホルダ1の弁座11に弾性的に密接されている。
以上の構成を備える圧力開放弁は、電気化学素子100の外装を構成しているラミネートパック101の内部空間Aの圧力(内圧)が上昇して外側空間Bの圧力(大気の圧力)に対する圧力差が、予め設定された開弁圧以上となった時に、図3に示されるように開弁して前記内圧を大気開放し、ラミネートパック101の膨出変形を防止するものである。
すなわち、ホルダ1の弁座11と弁体2との間の空間Sは、ホルダ1の通気口14を介してラミネートパック101の内部空間Aと連通しているので、電気化学素子100の充放電に際してラミネートパック101の内部空間Aに不純物や電解液の分解等によるガスが発生すると、その圧力は、前記通気口14を介して空間Sへ導入される。このため、弁体2の可撓部22が外側へ膨らむように変形を受け、外径のリップ部23がホルダ1の弁座11から離間して、通気口14を開くようになっている。
この圧力開放弁における開弁圧は、弁体2のサイズ(受圧面積及び肉厚など)や材質、可撓部22の曲げ変形量などによって一義的に決まるので、ラミネートパック101の形状や強度などに応じて、前記開弁圧を任意に設定することができる。したがって、開弁圧を低く設定しても安定した開弁特性が得られ、すなわち低い開弁圧でも弁体2が応答良く開弁するので、ラミネートパック101が僅かな内圧上昇によって膨出変形してしまうのを有効に防止することができる。また、ラミネートパック101の内圧が低下して外側空間Bとの圧力差が開弁圧未満となった場合は、弁体2は可撓部22の付勢力によってリップ部23がホルダ1の弁座11に密接されて通気口14を閉塞するので、ラミネートパック101の内部空間Aを確実に密封することができる。
そしてこの圧力開放弁は、弁体2自体は傘状(円錐台状)であることによって、軸方向に対するある程度のサイズは必要であるが、弁体2の中央穴21をホルダ1側に設けた取付軸13に挿通して組み付けた構造とすることによって、先に説明した図9に示される傘バルブaのような柄a2に相当する部分が存在せず、弁体2を弁座11に密接させるための押圧部材などが不要となるので、圧力開放弁全体としての軸方向サイズ(厚さ)を小さくすることができる。
なお、取付軸13の外周面に対する弁体2の中央穴21の締め代による締め付け圧力は、当然ながら開弁圧よりも大きくなるように設定される。このようにすることで、ラミネートパック101の内圧上昇時に、リップ部23がホルダ1の弁座11から離間して開弁される前に、弁体2の中央穴21と取付軸13の外周面との密接部から内部ガスが抜けたり、内圧によって弁体2が取付軸13から脱落することがないようになっている。
また上述のように、取付軸13の外周面に対する弁体2の締め付け力による固着力が開弁圧による軸方向移動力よりも十分に大きければ、内圧によって弁体2が取付軸13から脱落することはないが、図示の形態のように、取付軸13の先端外周に抜け止め鍔部13bを形成しておけば、急激な内圧上昇による弁体2の取付軸13からの脱落も有効に防止することができる。この場合、抜け止め鍔部13bの外径は、ホルダ1を射出成形する際に、離型の過程で金型から無理抜きできる程度とする。
また、上記構成を備える圧力開放弁は、組立に際しては、図2に示される分離状態から弁体2の中央穴21にホルダ1の取付軸13を圧入するように、この弁体2を取付軸13へ向けて押し込む。これによって、弁体2は、中央穴21が強制的に拡径されながら抜け止め鍔部13bを乗り越え、取付軸13の外周に締め付け装着される。
このとき、取付軸13の根元の外周には大径段差部13aが形成されているので、弁体2の装着の際の押し込み過ぎが規制され、取付軸13に対する弁体2の軸方向位置が安定する。また、弁体2の中央穴21のうち、ホルダ1の弁座11側の開口縁には面取り21aを形成しておくことによって、弁体2をホルダ1の取付軸13の外周に押し込む作業を容易に行うことができる。
次に、図4は、本発明に係る圧力開放弁の第二の形態を示す断面図、図5は、分離状態の断面図、図6は、この形態で用いられる取付軸の斜視図、図7は、開弁状態の断面図である。
この第二の形態による圧力開放弁は、図4に示されるように、電気化学素子100におけるラミネートパック101の開口部101aの内側に配置されて前記ラミネートパック101に熱溶着により封着される熱可塑性樹脂からなるホルダ1と、ゴム状弾性材料からなる弁体2と、この弁体2をホルダ1に固定する取付軸3とを備える。
このうち、ホルダ1は、板状の弁座11と、その外周に沿ってラミネートパック101の外側空間Bへ向けて突設されてラミネートパック101に熱溶着されるハウジング部12とを備える。そして、弁座11の中央部には通気口14が開設されており、この通気口14の内周面14aは、ラミネートパック101の外側空間B側の端部へ向けて漸次大径となるような円錐面状をなし、その最小径側(ラミネートパック101の内部空間A側)の端部には、後述の取付軸3の被係止突条34を係止する係止端部14bが形成されている。
取付軸3は、図5又は図6に示されるように、軸本体部31と、その先端外周に張り出し形成された抜け止め鍔部32と、軸本体部31における抜け止め鍔部32と反対側にすり割り35によって二股に分割された脚部33と、この脚部33の端部外周にすり割り35と反対側へ向けて180度対称に張り出し形成された被係止突条34とを備える。前記軸本体部31及び脚部33の外径φ3は、ホルダ1の通気口14における最小径部の内径φ4と略同等であると共に、被係止突条34の外径φ6は、前記通気口14における最小径部の内径φ4より大径かつ最大径部の内径φ5より小径であり、前記脚部33が図4におけるラミネートパック101の外側となる側からホルダ1の通気口14に挿通されると共に、前記被係止突条34が前記通気口14の係止端部14bに係止されている。
また、取付軸3の脚部33を形成するすり割り35の内端部から被係止突条34までの内のりの軸方向長さL1は、ホルダ1の通気口14における係止端部14bからその反対側の端部までの軸方向長さL2より長く形成されている。このため、図4に示される取付状態において、通気口14に挿通した取付軸3は通気口14を塞ぐものではなく、すり割り35によって通気口14内に通気経路が確保されている。
弁体2は、基本的には先に説明した第一の形態と同様、中央部が外側空間Bへ向けて漸次高くなる傘型に成形されたものであって、中央穴21において取付軸3の軸本体部31に密嵌状態で外挿されると共に、この取付軸3の抜け止め鍔部32で抜け止めされることによって、この取付軸3を介してホルダ1に取り付けられ、可撓部22がホルダ1の通気口14を外側空間B側から覆うようにテーパ状に延びて、その外径に形成されたリップ部23が前記ホルダ1の弁座11に接離可能に密接されている。
そして図5に示されるように、弁体2における中央穴21の内径φ2が、取付軸3の軸本体部31の外径φ3より小径に形成され、弁体2の軸方向高さh2が、取付軸3の抜け止め鍔部32と被係止突条34との間の内のりの軸方向長さL3と、ホルダ1の通気口14における係止端部14bからその反対側の端部までの軸方向長さL2との差(図4におけるL4)より適宜高く形成されている。したがって、図4の組立状態では中央穴21の内周面が取付軸3の外周面に適当な締め代をもって密着されると共に、可撓部22が軸方向へ適宜曲げ変形を受けることによる付勢力により、リップ部23がホルダ1の弁座11に弾性的に密接されている。
以上の構成を備える圧力開放弁も第一の形態と同様、電気化学素子100の外装を構成しているラミネートパック101の内部空間Aの圧力(内圧)が上昇して外側空間Bの圧力(大気の圧力)に対する圧力差が、予め設定された開弁圧以上となった時に、図7に示されるように開弁して前記内圧を大気開放し、ラミネートパック101の膨出変形を防止するものである。
すなわち、ホルダ1の弁座11と弁体2との間の空間Sは、ホルダ1の通気口14に挿入された取付軸3のすり割り35による通気経路を介してラミネートパック101の内部空間Aと連通しているので、電気化学素子100の充放電に際してラミネートパック101の内部空間Aに不純物や電解液の分解等によるガスが発生すると、その圧力は、前記すり割り35による通気経路を介して空間Sへ導入され、これによって、弁体2の可撓部22が外側へ膨らむように変形を受け、外径のリップ部23がホルダ1の弁座11から離間して、通気口14を開くようになっている。
そしてこの圧力開放弁における開弁圧も、弁体2のサイズ(受圧面積及び肉厚など)や材質、可撓部22の曲げ変形量などによって一義的に決まるので、ラミネートパック101の形状や強度などに応じて任意に設定することができる。したがって、開弁圧を低く設定しても安定した開弁特性が得られ、すなわち低い開弁圧でも弁体2が応答良く開弁するので、ラミネートパック101が僅かな内圧上昇によって膨出変形してしまうのを有効に防止することができる。また、ラミネートパック101の内圧が低下して外側空間Bとの圧力差が開弁圧未満となった場合は、弁体2は可撓部22の付勢力によってリップ部23がホルダ1の弁座11に密接されて通気口14を閉塞するので、ラミネートパック101の内部空間Aを確実に密封することができる。
また、上記構成を備える圧力開放弁の組立に際しては、図5に示される分離状態から、まず取付軸3をその被係止突条34を先頭にして、弁体2の中央穴21へ図4における外側空間B側となる側から圧入する。これによって弁体2は、中央穴21が強制的に拡径されながら、取付軸3の被係止突条34を乗り越えるので、さらにこの弁体2を、取付軸3の脚部33の外周を経由して軸本体部31の外周に抜け止め鍔部32と当接する位置まで移動させる。
また、弁体2の中央穴21のうち、ホルダ1の弁座11と反対側の開口縁には面取り21bを形成しておくことによって、この中央穴21に取付軸3を圧入する作業を容易に行うことができる。
次に、このようにして弁体2を外挿した取付軸3を、その被係止突条34を先頭にしてホルダ1の通気口14へ挿入する。そして被係止突条34が通気口14における最大径部から最小径部の内周へ移動して行くことによって、脚部33がすり割り35を狭めるように縮経方向に曲げ変形され、さらに被係止突条34が通気口14における最小径部を通過した時点で脚部33の弾性復帰力によって、被係止突条34が通気口14における最小径側の係止端部14bに係止され、図4に示される取付状態となる。
そしてこの第二の形態によれば、取付軸3をホルダ1と別部材としたことによって、成形後の離型に際して抜け止め鍔部32が無理抜きとならないので、急激な内圧上昇などによって弁体2が取付軸3から脱落することがないように、この抜け止め鍔部32を軸本体部31に対して十分に大径に形成することができる。
また、抜け止め鍔部32を大きくできる結果、弁体2の抜け止めを取付軸3の軸本体部31に対する締め付け力にのみ依存する必要がなくなるので、弁体2の中央穴21の内径φ2と軸本体部31の外径φ3との差(締め代)を小さくすることができ、このため弁体2を低荷重で容易に取付軸3に圧入することができる。したがって、取付軸3をホルダ1と別部材としたことによって部品数は第一の形態よりも増えるが、組立作業が容易になる分、組立コストを抑えることができる。
しかも、ホルダ1の通気口14が取付軸3をホルダ1に係止する手段を兼ねるため、ホルダ1の形状を簡素化することができる。
なお、取付軸3の被係止突条34も、取付軸3の成形後の離型に際して無理抜きにはならない。なぜなら、この被係止突条34は、すり割り35により縮径方向へ弾性的に変形可能な脚部33に形成されているからである。
また、この第二の形態による圧力開放弁は、ホルダ1と取付軸3が同材質の熱可塑性樹脂からなるものとしても良いが、ホルダ1を熱可塑性樹脂からなるものとし、このホルダ1に取り付けられた取付軸3は熱硬化性樹脂又は融点が前記ホルダ1より高い熱可塑性樹脂からなるものとすれば、ホルダ1のハウジング部12の端面12aを電気化学素子100におけるラミネートパック101の内面に熱溶着する際に、過って取付軸3もラミネートパック101に熱溶着されてしまうようなことを防止することができる。
なお、図6に示される例では、取付軸3の脚部33が180度対称の二股に分割されたものとしたが、この脚部33は、図8に取付軸3の形状変更例として示すように、円周方向へ三股以上に分割した構造とすることもできる。
本発明による圧力開放弁は、特にラミネートパックにより密封された電気二重層キャパシタや電解コンデンサなど電気化学部品の過剰圧力開放手段として、十分な密封性を確保しつつ所定の圧力で安定して内部圧力を開放することができ、省サイズで組立コストを抑えることができる。
1 ホルダ
11 弁座
12 ハウジング部
13 取付軸
13b 抜け止め鍔部
14 通気口
14b 係止端部
2 弁体
21 中央穴
22 可撓部
23 リップ部
3 取付軸
31 軸本体部
32 抜け止め鍔部
33 脚部
34 被係止突条
35 すり割り
100 電気化学素子
101 ラミネートパック(容器)
A 内部空間
B 外側空間

Claims (5)

  1. 容器の開口部に封着されるホルダと、ゴム状弾性材料からなる弁体とを備え、前記ホルダに、前記容器の外側へ向けて突出した取付軸が一体に形成されると共に通気口が開設され、前記弁体が、中央穴において前記取付軸に開弁圧より大きな締め付け圧力で密嵌されると共に、傘型をなして前記通気口を前記容器の外側から覆うように前記ホルダに接離可能に密接されたことを特徴とする圧力開放弁。
  2. 取付軸の根元の外周に弁体の位置決めのための大径段差部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧力開放弁。
  3. 容器の開口部に封着されるホルダと、ゴム状弾性材料からなる弁体と、前記弁体を前記ホルダに固定する取付軸とを備え、前記取付軸が、すり割りによって分割され径方向への弾性を有する脚部及びこの脚部の端部外周に形成された被係止突条を有し、前記被係止突条が、前記ホルダに開設された通気口に、前記脚部の弾性復帰力によって係止され、前記弁体が、中央穴において前記取付軸に抜け止め状態に密嵌されると共に、傘型をなして前記通気口を前記容器の外側から覆うように前記ホルダに接離可能に密接されたことを特徴とする圧力開放弁。
  4. ホルダが熱可塑性樹脂材料からなり、取付軸が熱硬化性樹脂材料からなることを特徴とする請求項3に記載の圧力開放弁。
  5. ホルダが相対的に融点の低い熱可塑性樹脂材料からなり、取付軸が相対的に融点の高い熱可塑性樹脂材料からなることを特徴とする請求項3に記載の圧力開放弁。
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