電力消費部はシステムに搭載されており、スタックの電力のうち余剰電力を消費できるものであれば良く、ヒータ、キャパシタ、蓄電池などを例示できる。
本発明の好ましい形態によれば、システムの運転を強制的に停止させる強制停止操作部が設けられており、制御部は、第1試運転における第1操作〜第3操作を実行しているとき、強制停止操作部以外の操作を受け付けない。この場合、システムが第1試運転しているときにおいて、他のスイッチの誤操作、または、ノイズなどの誤信号が仮に発生したとしても、商用電源と誤って系統連系することが抑制され、且つ、第1試運転が良好に実行される。
本発明の好ましい形態によれば、システムの運転を強制的に停止させる強制停止操作部が設けられており、制御部は、第2試運転における第1手順、第2手順、第3手順を実行しているとき、強制停止操作部以外の操作を受け付けない。この場合、システムが第2試運転しているときにおいて、他のスイッチの誤操作、または、ノイズなどの誤信号が仮に発生したとしても、第2試運転が良好に実行される。
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。燃料電池システムは家庭や業務で使用される定置用タイプである。便宜上、システムから説明するが、システムの内部構造は図1に限定されるものではない。システムは、改質器1と、固体高分子形の燃料電池のスタック2と、改質器1およびスタック2を収容する収容室30をもつ筐体3と、温水を貯留する貯湯ユニット4と、貯湯通路5と、貯湯通路5の水を貯湯槽41に搬送させるための貯湯ポンプ59(水搬送源)と、貯湯通路5の水温を検知するための水温センサ71と、外気の温度を検知するための外気温度センサ72と、水温センサ71の温度信号、外気温度センサ72の温度信号に応じて貯湯ポンプ59を制御する制御部8とを有する。筐体3は発電ユニットの外箱を形成する。
外気温度センサ72は、筐体3の収容室30の下部のうち側壁3s付近に設けられており、実質的に外気温度とみなし得る温度を検知する。なお、外気温度センサ72を筐体3の外面に取り付けると、外気温度センサ72が損傷するおそれがあるため、外気温度センサ72は筐体3の収容室30において実質的に外気温度と近似できる温度を検知できる位置に設けられている。
スタック2は、イオン伝導性を有する有機系の電解質を挟むアノード20およびカソード21と、スタック2を温度調整する温調媒体としての水が通過する通路22とを有する。改質器1は、改質触媒を有する改質部10と、改質反応に適するように改質部10を加熱させる燃焼部12とを有する。
燃料原料源90cに繋がる原料通路90から、分岐通路91が分岐されている。ブロア12x(空気搬送源)が駆動すると、燃焼用の空気が燃焼部12に供給される。このため分岐通路91を流れる燃料原料は燃焼部12で燃焼用空気により燃焼され、改質部10を加熱させる。燃焼部12で燃焼された燃焼排ガスは、燃焼排ガス通路92および第8熱交換器68を経て排気部99に排出される。
改質水ポンプ56pが駆動して改質水タンクの改質水が蒸発部10wを介して改質部10に水蒸気として供給される。また、原料通路90からバルブ90vを介して供給された燃料原料は、改質部10で水蒸気で改質され、アノードガス(水素含有ガス,アノード流体)となる。発生したアノードガスは、アノードガス通路93から第9熱交換器69および入口バルブ20iを介してスタック2のアノード20に供給される。燃料原料としてはガス状または液状でも良く、天然ガス、バイオガス、アルコール、LPG、灯油、ガソリン等が例示される。
カソードガスポンプ95(カソードガス搬送源)が作動すると、空気であるカソードガス(カソード流体)は、筐体3の吸気口31、カソードガス通路94および入口バルブ21iを介してスタック2のカソード21に供給される。カソードガスおよびアノードガスでスタック2が発電する。
カソードオフガス通路96は出口バルブ21pおよび第7熱交換器67を介してスタック2のカソード21と排気部99とを繋いでいる。アノードオフガス通路97は、出口バルブ20p,第2熱交換器62を介してスタック2のアノード20の出口と改質器1の燃焼部12の入口ポート12iとを繋ぐ。
スタック2の温度を温調させるスタック温調回路23が設けられている。スタック温調回路23はループ状をなしており、スタック2の内部の通路22と、温調媒体としての水を搬送させる温調ポンプ24(温調媒体搬送源)と、電力消費部として機能する電気式のヒータ25と、第4熱交換器64と、第9熱交換器69とを繋ぐ。
システムの起動時にはスタック2の温度は低いため、発電運転の安定性を向上させる必要がある。このため、起動時にヒータ25を発熱させた状態で温調ポンプ24が駆動すると、ヒータ25で加熱された水がスタック温調回路23を流れ、スタック2の通路22に至り、スタック2を昇温させ、スタック2の発電運転の安定化を図り得る。
スタック2が発電運転に移行すると、スタック2は次第に昇温される。スタック2が過剰に高温になると、スタック2の発電出力が低下する傾向がある。そこでスタック2が発電運転しているときには、制御部8は、ヒータ25の発熱を停止させた状態で温調ポンプ24を駆動させ、スタック温調回路23の水を循環させる。これによりスタック2の過熱が抑えられると共に、スタック温調回路23の水が加熱される。スタック温調回路23の水の熱は、第4熱交換器64を介して貯湯通路5の水に伝熱される。これにより貯湯通路5の水は昇温される。
図1に示されるように、貯湯ユニット4は筐体3から空間39(ΔL)を介して分離されて配置されている。貯湯ユニット4は、貯留できる貯湯室40をもつ貯湯槽41と、貯湯槽41を収容するハウジング42と、温水消費部43aに繋がる給湯通路43と、貯湯槽41および給湯通路43に繋がる補水通路44とをもつ。貯湯槽41の水が消費されると、補水通路44から水が貯湯槽41に補充され、貯湯槽41の貯湯室40の水量が一定に維持されることが好ましい。貯湯槽41の内部には、これの高さ方向に沿って複数個の貯湯槽温度センサ41rが設けられている。
図1に示すように、貯湯通路5は、迂回通路50eをもつループ状の循環通路50と、筐体3の収容室30内において循環通路50に設けられた貯湯ポンプ59(水搬送源)と、循環通路50から貯湯槽41の上部に繋がるようにハウジング42内に設けられた温水通路51と、迂回通路50eの流れと温水通路51の流れとを切り替える迂回バルブ52とを備えている。迂回バルブ52は、温水通路51を開放させるポート52aと、迂回通路50eを開放させるポート52bと、循環通路50に繋がるポート52cとを有する。
迂回バルブ52は、水循環形態と貯湯形態とに切替可能とされている。迂回バルブ52が水循環形態に切り替えられる場合には、迂回バルブ52のポート52c,52bが開放され、ポート52aが閉鎖される。このため、貯湯通路5の水は循環通路50および迂回通路50eを循環するものの、温水通路51から貯湯槽41の入口ポート41iには供給されない。また迂回バルブ52が貯湯形態に切り替えられている場合には、迂回バルブ52のポート52a,52cが開放され、ポート52bが閉鎖される。このため、貯湯通路5の循環通路50において熱回収して加熱された水は、温水通路51を流れて入口ポート41iから貯湯槽41に供給される。
システムが発電運転しているときには、貯湯通路5における熱回収量が期待できるため、迂回バルブ52は貯湯形態に切り替えられる。よって、貯湯通路5の循環通路50において熱回収して加熱された水は、温水通路51を流れて入口ポート41iから貯湯槽41に供給される。これに対して、システムの発電運転が停止されているときには、貯湯通路5における熱回収量が低下するため、迂回バルブ52は循環形態に切り替えられている。よって、貯湯通路5の循環通路50における水は温水通路51を流れない。これにより貯湯槽41における温水の低温化が抑えられる。図1に示すように、貯湯通路5の水温を検知するための水温センサ71が設けられている。
システムで発生したガス系の排熱を回収するループ状の熱回収通路48が設けられている。熱回収通路48は、熱回収ポンプ49(熱回収媒体搬送源)、第2熱交換器62、第7熱交換器67、第8熱交換器68、第10熱交換器60とを繋ぐ。熱回収ポンプ49が駆動すると、熱回収通路48の水(熱回収媒体)が循環する。従って、熱回収通路48の水は、アノードオフガス通路97を流れるアノードオフガスの排熱を第2熱交換器62から回収し、且つ、カソードオフガス通路96を流れるカソードオフガスの排熱を第7熱交換器67から回収し、且つ、燃焼排ガス通路92を流れる燃焼排ガスの排熱を第8熱交換器68から回収する。この結果、熱回収通路48の水は昇温される。
制御部8は、CPU、入力処理回路、出力処理回路、メモリをもつ。水温センサ71、外気温度センサ72等の温度信号が制御部8のCPUに入力される。制御部8は、貯湯ポンプ59、温調ポンプ24、熱回収ポンプ49、カソードガスポンプ95、迂回バルブ52、ヒータ25を制御させる。筐体3の収容室30には収容室用温度センサ30rが配置されている。収容室用温度センサ30r、貯湯槽温度センサ41rの温度信号は制御部8のCPUに入力される。
図2は、スタック2と商用電源100との接続部分を示す。図2に示すように、商用電源100はブレーカ101を介して、家庭用または業務用の通常電力負荷110に電気的に接続されている。図2に示すように、制御部8は、スタック2と商用電源100との間にパワーコンデショナー120と、パワーコンデショナー120に電気的に接続された制御基板130と、制御基板130に電気的に接続されたスイッチ設定基板140とを備えている。
図2に示すように、パワーコンデショナー120は、第1スイッチング素子151と、充電式の第2スイッチング素子152と、電力消費部としてのヒータ25を作動させるためのヒータ駆動回路15と、ヒータ25およびヒータ駆動回路15に対する給電および遮断を切り替えるためのヒータ用第3スイッチング素子153と、商用電源100と補機135との間に設けられ商用電力の交流電力を直流電力に変換させるための整流回路16と、スタック2の発電した直流の発電電力を異なる電圧をもつ直流電力に変換させるためのDC/DCコンバータ(DC/DC変換器)17と、DC/DCコンバータ17で変換された直流の発電電力を交流電力に変換させるためのDC/ACインバータ18(DC/AC変換器)と、パワーコンデショナー用の制御回路19とを有する。
DC/ACインバータ18は、電力の高調波波形を抑えて電力を安定化させるPFC回路18cを内蔵する。ヒータ25に給電するための給電線25mは、交流電力をヒータ25に給電できるように。DC/ACインバータ18と第1スイッチング素子151との間の配線180,182の部位180a,182bに接続されている。整流回路16に繋がる給電線16mは、第1スイッチング素子151の入力側の配線160,162の部位160a,162bに接続されている。
第1スイッチング素子151は商用電源100と系統連系するためスイッチング素子である。第1スイッチング素子151は、商用電源100の商用電力とスタック2の発電電力とを電気的に接続させる接続形態と、スタック2と商用電源100との間を電気的に遮断させる非接続形態とに切り替え可能とされている。第1スイッチング素子151は、複数のスイッチ151a,151cを直列に配置して構成されている。スイッチ151a,151cはリレースイッチで形成できるが、半導体スイッチでも良い。
更に、制御基板130は、補機135を作動させるための駆動回路を搭載する補機駆動電源131と、補機駆動電源131を介して補機135を制御するCPUをもつ制御回路132と、設置者や使用者が操作可能なスイッチ設定基板140とをもつ。補機駆動電源131に給電する給電線135mは、補機駆動電源131に直流電力を給電できるように、DC/DCコンバータ17とDC/ACインバータ18との間の配線170,172の部位170a,172bに整流子174を介して接続されている。スイッチ設定基板140は、第1試運転開始スイッチ201(第1発電運転開始操作部)と、第2試運転開始スイッチ202(第2発電運転開始操作部)と、強制停止スイッチ203(強制停止操作部)を有する。第1試運転開始スイッチ201および第2試運転開始スイッチ202は互いに独立しているが、これに限らず、単数のスイッチの操作位置の相違によって、第1試運転開始スイッチ201の機能および第2試運転開始スイッチ202の機能を果たすことにしても良い。
補機135はシステムの発電運転に伴う動作を行う機器である。従って、補機135としては、前記した図1に示す筐体3の収容室30の内部に配置されている温調ポンプ24、熱回収ポンプ49、カソードガスポンプ95、貯湯ポンプ59、迂回バルブ52、さらにはバルブ20i,20p,21i,21p,90v,91vが挙げられる。これらは個別に駆動回路を有する。但し、便宜上、本明細書では、これらを補機135としてまとめる。補機135は直流電力で駆動される。
第1試運転開始スイッチ201は、スタック2を商用電源100に系統連系するための系統連系協議がされていない状態において、システムの第1試運転を開始させるためのスイッチである。第2試運転開始スイッチ202は、スタック2を商用電源100に系統連系するための系統連系協議を実行する際にスタック2の試運転を開始させるためのスイッチである。第1試運転開始スイッチ201および第2試運転開始スイッチ202は互いに独立して操作可能である。強制停止スイッチ203は、非常時等においてシステムの運転を強制的に停止させるためのスイッチである。
ここで、システムが設置場所に設置されたとき、システムの配線接続および配管接続が良好であるか否かを再確認することが好ましい。従来では、前述したように、電力会社の立会人の立ち会いのもとで系統連系協議が実行され、系統連系協議においてシステムを初めて試運転させる。このため、万一、システムにおける配線間違いや配管間違い等の不具合が存在した場合には、電力会社との系統連系協議が後日に延期されるため、システムの正式稼動が更に遅れるおそれがあった。
そこで電力会社との系統連系協議がされる前の状態において、設置者等によりシステムの運転の状況を予め確認することが好ましい。そこで本実施形態によれば、システムが設置された場合、系統連系協議がされる前であるにも拘わらず、設置者などにより第1試運転開始スイッチ201が操作されると、制御部8のCPUは第1試運転を開始する。この場合、制御部8のCPUは、次の(i)の第1操作、(ii)の第2操作、(iii)の第3操作を実行する。
(i)商用電源100と系統連系するため電力会社との系統連系協議がされていない状態において、第1試運転開始スイッチ201が操作されると、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続形態に切替えると共に、PFC回路18cの駆動指令を出力する。その状態では、商用電源100の交流の商用電力は、部位160a,162bを介して,整流回路16に至り、直流電力に変換された後、給電線135mo,135mを介して補機駆動源131に直流電力として給電され、補機135を駆動させる。この場合、スタック2が発電していないため、補機135が消費する電力は商用電源100で(商用電源100のみで)賄われ、補機135が作動してシステムの第1試運転が開始される。このようにシステムの第1試運転を起動させるにあたり、まだスタック2の発電電力が発生していないため、制御部8のCPUは、補機135の電力を商用電源100の電力で賄ってシステムの第1試運転を開始させる。
すなわち、商用電力で、システムの発電起動暖機制御が実行される。発電起動暖機制御においては、具体的には、制御部8のCPUは、ブロア12x(補機)を作動させて燃焼用空気を燃焼部12に供給し、且つ、バルブ90v(補機)を閉鎖させた状態でバルブ91v(補機)を開放させ、燃料原料源90cの燃料原料を燃焼部12に供給して燃焼部12にて燃焼させ、改質部10を改質反応に適するように昇温させて暖機させる。このように改質部10が暖機された状態で、制御部8のCPUがバルブ90v(補機)を開放して燃料原料を改質部10に供給させる。更に制御部8のCPUは改質水ポンプ56p(補機)を作動させて改質水タンク56の改質水を改質部10に供給させる。これにより改質部10において水蒸気を利用した改質反応が発生し、水素含有ガスであるアノードガスが改質部10において生成される。更に制御部8のCPUはバルブ20i,20p,21i,21p(補機)を開放させ、アノードガスをアノードガス通路93を介してスタック22のアノード20に供給させる水素投入処理を実行すると共に、カソードガスポンプ95(補機)を駆動させてカソードガスとしての空気をスタック22のカソード21に供給させる。これにより時間経過につれてスタック2の発電電力は次第に上昇する。
(ii)第1操作後においてスタック2の発電電力が所定の電力以上に上昇するとき、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を接続状態から非接続状態に切り替え、更に第2スイッチング素子152をオンにし、DC/DCコンバータ17に内蔵されている充電回路を充電開始させる。充電回路の充電量が所定量となると、第4スイッチング素子154がオンとなり、スタック2とDC/DCコンバータ17とが電気的に接続される。この状態でスタック2の発電電力が所定の電力以上に上昇すると、部位170a,172b,給電線135mを介してスタック2の発電電力(直流)が補機駆動電源131に給電され、補機135の電力が賄われ、補機135の作動が継続される。これによりシステムの第1試運転が継続される。
上記したようにスタック2の発電電力が所定の電力以上に上昇すると、制御部8のCPUは、ヒータ駆動回路15を作動させてヒータ25に給電する。これによりシステムの第1試運転で発電した電力のうち補機135で消費されなかった余剰の電力を、ヒータ25(電力消費部)の発熱で消費させる。これによりスタック温調回路23の水が昇温される。この場合、スタック2の発電電圧は、補機135を作動できるように、DC/DCコンバータ17により昇圧される。なおヒータ25はスタック温調回路23の水を加熱させるが、これに限定されず、貯湯通路5の水を加熱するヒータでも、貯湯室40の水を加熱させるヒータでも良い。このようにしてシステムの強制自立運転が可能となる。
このような第1試運転は、システムの設置後、電力会社と系統連系協議する前において実行される。このため、規制上、システムの第1試運転では、スタック2が発電した余剰の電力を、家庭用または業務用等の通常電力負荷110に給電しない。そこで制御部8のCPUは、スタック2が第1試運転において発電した電力のうち補機135で消費されなかった余剰の電力をヒータ25に給電し、ヒータ25の発熱で消費させる。この場合、余剰の発電電力(直流電力)はDC/ACインバータ18で交流電力に変換され、部位180a,182b,給電線25m、第3スイッチング素子153,ヒータ駆動回路15を介してヒータ25に給電されて、ヒータ25の発熱として消費される。なおヒータ25に給電されるときには、第3スイッチング素子153はオンとなる。
(iii)システムの第1試運転が良好に実行されたことが確認されるとき、あるいは、発電運転の開始後に所定時間M2経過すると、システムの配線接続および配管接続は良好であると考えられる。制御部8のCPUは、第1試運転を終了すべくスタック2の発電電力を低下させる。この場合、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続状態に切り替えると共にPFC回路18cを駆動させ、商用電源100の商用電力で補機135を作動させる。このように第3操作を実行する。
上記したようにシステムの第1試運転が良好に実行されたことが確認されたら、システムは正常に発電運転できることになる。従って、制御部8のCPUは、スタック2の発電停止指令を出力し、スタック2の発電電力を次第に低下させる。この場合、スタック2の発電電力が低下するため、補機135の電力をスタック2の発電電力で賄うには限界がある。そこで、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続状態に切り替えると共にPFC回路18cを駆動させると共に、DC/DCコンバータ17の駆動を停止させる。これにより商用電源100の交流電力が、部位160a,162b,給電線16mを介して整流回路16に至り、整流回路16で直流電力に変換された後、給電線135mo,135mを介して補機駆動電源131に給電される。よってシステムの補機135の電力を商用電源100の電力で賄い、システムの補機135を作動させる。
以上説明したように本実施形態によれば、電力会社と系統連系協議する前においても、設置後におけるシステムの第1試運転を実行することができる。この場合、システムの第1試運転において発電された電力のうち、補機135で消費されなかった余剰の電力は、ヒータ25の発熱として消費される。
上記したように本実施形態によれば、システムの第1試運転においては商用電源100に系統連系させない状態で、システムの第1試運転が可能であり、システムを設置する設置業者は、電力会社との系統連系の協議を実施する日時に拘わらず、システムの設置後において系統連系の協議を待つことなく、システムにおける故障、システムにおける配線接続、配管接続を再確認でき、作業効率が向上できる。
また本実施形態によれば、本発明に係る制御を行うための構成としては、余剰電力を消費するためのヒータ25と、連系用の第1スイッチング素子151を使用するが、これらはシステムにおいて従来から搭載されていることが多いため、特殊な追加部品が抑えられ、コストアップを抑えることができる。
加えて本実施形態によれば、第1試運転開始スイッチ201が操作されて第1試運転の第1操作〜第3操作が実行されているとき、制御部8のCPUは、強制停止スイッチ203以外の操作を受け付けない。従って、第1試運転開始スイッチ201が操作され、第1試運転を構成する(i)の第1操作、(ii)の第2操作、(iii)の第3操作が実行されている場合において、第2試運転開始スイッチ202等の他のスイッチが誤って操作されたとしても、制御部8のCPUは、第2試運転開始スイッチ202等の他のスイッチの操作を無視する。これにより電力会社との連系協議前において、第1試運転開始スイッチ201の操作に基づく第1試運転が良好に実行される。
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、電力会社と系統連系協議がされていない状態において、設置者等により第1試運転開始スイッチ201が操作されると、制御部8のCPUは第1試運転を実施する。この場合、制御部8のCPUは、前記した(i)の操作、(ii)の操作、(iii)の操作を実行する。このような本実施形態によれば、実施形態1と同様に、システムの第1試運転においては商用電源100に系統連系させない状態で、システムの第1試運転が可能である。このため、システムを設置する設置業者は、電力会社との系統連系の協議を実施する日時に拘わらず、システムの設置後において系統連系の協議を待つことなく、システムにおける故障、システムにおける配線接続、配管接続を再確認でき、作業効率が向上できる。
さて、上記した第1試運転後に、電力会社の立ち会いのもとで系統連系協議が実施される。ここで、系統連系協議において第2試運転開始スイッチ202が操作されると、制御部8のCPUは次の(a)(b)(c)を実行し、システムの第2試運転を実施する。
(a)制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続形態に切替え、その状態で、補機135の電力を商用電源100の電力で賄って補機135を作動させてスタック2の発電運転を開始させる第1手順を実行する。この場合、スタック2は発電運転しておらず、スタック2の発電電力が発生していないので、制御部8のCPUは、商用電源100の電力を補機135に給電して補機135を作動させてシステムの第2試運転を開始させる。
(b)制御部8のCPUは、第1手順後においてスタック2の発電電力が所定の電力以上に上昇するとき、第1スイッチング素子151を接続状態から非接続状態に切り替える。その状態で、制御部8のCPUは、スタック2の発電電力で補機135の電力を賄うことにより補機135を作動させてシステムの第2試運転を実行する第2手順を実行する。第2手順においては、スタック2が発電運転しているため、制御部8のCPUは、システムの第2試運転で発電した電力を通常電力負荷110に給電させる。この場合、電力会社と系統連系協議しているため、スタック2の試運転で発電した電力のうち補機135に消費されなかった余剰の電力を、家庭用または業務用等の通常電力負荷110に給電することができる。そこで、スタック2が第2試運転において発電した余剰の電力を、商用電源100と電気的に接続されている通常電力負荷110に給電させて消費させる。通常電力負荷110で消費できなければ、制御部8はヒータ駆動回路15によりヒータ25を駆動させて発熱させる。
(c)第2手順におけるシステムの第2試運転が良好に実行されたことが確認されるとき、制御部8のCPUは、スタック2の発電電力を低下させると共に、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続状態に切り替え、その状態で、補機135の電力を商用電源100の電力で賄って補機135を作動させる第3手順を実行する。この場合、第2手順におけるシステムの第2試運転が良好に実行されたことが確認されたら、システムは正常に発電運転できることが確認されている。従って、制御部8のCPUはスタック2の発電電力を低下させる。この場合、スタック2の発電電力が低下するため、スタック2の発電電力に基づいてシステムの補機135を作動させるには限界がある。そこで制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続状態に切り替え、その状態で、商用電源100の商用電力でシステムの補機135を作動させる第3手順を実行する。
(実施形態3)
図3は実施形態3に係る制御部8のCPUが実行するフローチャートを示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用することができる。まず、システムの設置が完了すると、商用電源100とスタック2とを系統連系させるため、電力会社との系統連系協議がなされる。
電力会社との系統連系協議がなされる前の段階において、設置者等はシステムの第1試運転を開始させ、システムの配線接続および配管接続を予め再確認することが好ましい。そこで、実施形態1と同様に、電力会社と系統連系協議がされていない状態において、設置者等により第1試運転開始スイッチ201が操作されるとき、制御部8のCPUは第1試運転モードを実施する。この場合、制御部8のCPUは、前記した(i)の第1操作、(ii)の第2操作、(iii)の第3操作を実行する。(i)の第1操作はステップS102〜ステップS118に相当する。(ii)の第2操作はステップS122〜ステップS148に相当する。(iii)の第3操作はステップS150〜ステップS166に相当する。
すなわち、第1試運転開始スイッチ201がオン操作されているか否か判定する(ステップS102)。第1試運転開始スイッチ201がオン操作されていれば(ステップS102のYES)、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151をオンさせ(ステップS104)、商用電力でPFC回路18cを駆動させる(ステップS106)。更に、商用電力で、補機135を作動させてシステムの発電起動暖機制御を実行する(ステップS108)。
発電起動暖機制御においては、具体的には、ブロア12x(補機)を駆動させて燃焼用空気を燃焼部12に供給し、且つ、バルブ90v(補機)を閉鎖させた状態でバルブ91v(補機)を開放させ、燃料原料源90cの燃料原料を燃焼部12に供給して燃焼部12にて燃焼させ、改質部10を改質反応に適するように昇温させて暖機させる。このように改質部10が暖機された状態で、制御部8のCPUがバルブ90v(補機)を開放して燃料原料を改質部10に供給させる。更に制御部8のCPUは改質水ポンプ56p(補機)を作動させて改質水タンク56の改質水を改質部10に供給させる。これにより改質部10において水蒸気を利用した改質反応が発生し、水素含有ガスであるアノードガスが改質部10において生成される。
更に制御部8のCPUはバルブ20i,20p(補機)を開放させ、アノードガスをアノードガス通路93を介してスタック22のアノード20に供給させる水素投入処理を実行すると共に、バルブ21i,21p(補機)を開放させ、且つ、カソードガスポンプ95(補機)を駆動させてカソードガスとしての空気をスタック22のカソード21に供給させる(ステップS110)。
次に、制御部8のCPUは充電式の第2スイッチング素子152をオンさせる(ステップS112)。これによりDC/DCコンバータ17における充電回路(図略)が充電され、第4スイッチング素子154がオンする。これよりにスタック2とDC/DCコンバータ17とが電気的に接続される。そして、制御部8のCPUは、DC/DCコンバータ17の入力電圧Viが規定値Vset以上であるか否か判定する(ステップS114)。入力電圧Viが規定値Vset以上であれば(ステップS114のYES)、スタック2が正常である。そして制御部8のCPUは、DC/DCコンバータ17を動作させて補機135に給電する直流電圧を発生させる(ステップS116)。直流電圧は部位170a,172b,給電線135mを介して補機駆動電源131に給電される。これによりシステムの補機135がスタック2の発電電力により駆動可能となる。更に制御部8のCPUは商用電力を用いないので、PFC回路18cの動作を停止させる(ステップS118)。
更に制御部8のCPUは、スタック2の発電電力のうち補機135で消費されなかった余剰電力をヒータ駆動回路15を介してヒータ25に給電し、ヒータ25を駆動させて発熱させる(ステップS122)。これによりスタック2の発電電力のうち補機135で消費されなかった余剰電力がヒータ25の発熱で消費される。従ってスタック温調回路23の温調水が加熱される。
上記したようにスタック2の発電電力で補機135が駆動されるため、商用電力が不要となる。そこで制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を解列させてオフとさせる(ステップS124)。更に制御部8のCPUはDC/ACインバータ18を動作させる(ステップS126)。この場合、DC入力電圧に応じてDC/ACインバータ18は成り行きで動作する。更に、スタック2の運転状況をチェックするため、制御部8のCPUは、DC/DCコンバータ17のDC入力電流Iaを所定のステップで、スタック2の発電電力がWa[W]に到達するまで増加させる(ステップS128,S132)。Wa[W]はスタック2の定格電力とすることができるが、これに限定されない。
そして、制御部8のCPUは発電電力がWa[W]以上か否か判定する(ステップS132)。スタック2の発電電力がWa[W]以上であれば(ステップS132のYES)、DC入力電流Iaの増加を停止させる(ステップS134)。次に制御部8のCPUは発電電力Waで所定時間M1保持する(ステップS138)。M1は例えば2〜10分間が例示される。スタック2の発電電力がWaに到達するまでの時間、および、所定時間M1において、設置者等はシステムの不具合をチェックすることができる。
発電電力Waで所定時間M1保持されると(ステップS138のYES)、システムの不具合チェックを終了する。そこで、制御部8のCPUは、DC入力電流Iaを所定のステップで減少させる(ステップS142)。制御部8のCPUは、スタック2の現在の発電電力がWc(Wc<Wa,Wcは例えば300W)以下となるまで発電電力を低下させる(ステップS144)。スタック2の発電電力がWc以下になれば(ステップS144のYES)、補機135の電力のみ発生させるように、DC/DCコンバータ17を作動させる(ステップS146)。現段階では、第1スイッチング素子151がオフとされており、補機135と商用電源100との電気的接続が遮断されているため、スタック2の発電電力で補機135を駆動させる必要があるためである。
更に、制御部8のCPUはDC/ACインバータ18を停止させ(ステップS148)、次に、ヒータ25の駆動を停止させてヒータ25の発熱を停止させる(ステップS150)。システムのチェックは完了しているためである。次に、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151をオンにさせ(ステップS152)、PFC回路18cを駆動させる(ステップS154)。これにより商用電源100の電力で補機135の電力を賄う。更に、スタック2の発電電力を使用しないため、DC/DCコンバータ17の駆動を停止させ(ステップS156)、スタック2とDC/DCコンバータ17とを繋ぐ第2スイッチング素子152をオフとさせる(ステップS160)。これによりスタック2とDC/DCコンバータ17とは断電される。次に、制御部8のCPUはシステムの停止処理を実行する(ステップS162)。この場合、制御部8のCPUは、ブロア12x(空気搬送源)により空気を改質器1の燃焼部12に供給して改質器1を所定温度以下まで強制冷却させる。停止条件が成立すれば(ステップS164のYES)、第1スイッチング素子151をオフさせる(ステップS166)。これにより第1試運転が終了する。第1試運転において、設置者等はシステムの配線接続および配管接続を再確認できる。
さて図4は、実施形態4に係る制御部8のCPUが実行する第2試運転のフローチャートを示す。前述したように、システムの設置が完了すると、第1試運転においてシステムの不具合がチェックされる。システムが正常であれば、次に商用電源100とスタック2とを系統連系させるため、電力会社との系統連系協議がなされる。電力会社との系統連系協議がなされるときにおいて、電力会社の立会人の立ち会いのもと、設置者または管理等はシステムの第2試運転を開始させ、系統連系の状況を確認する。すなわち、電力会社と系統連系協議がされているとき、設置者等により第2試運転開始スイッチ202が操作されるとき、制御部8のCPUは第2試運転を実行する。この場合、制御部8のCPUは、前記した(a)(b)(c)を実行する。この制御は図4のフローチャートに示されている。
まず、第2試運転開始スイッチ202が操作されているか否か判定する(ステップS302)。第1試運転開始スイッチ201が操作されていれば(ステップS302のYES)、第1スイッチング素子151をオンさせ(ステップS304)、商用電源100の商用電力をシステム側に給電し、商用電力でPFC回路18cを駆動させる(ステップS306)。更に、第1スイッチング素子151を介してシステム側の補機駆動電源131に給電される商用電力で、システムの発電起動暖機制御を実行する(ステップS308)。発電起動暖機制御においては、具体的には、前述同様に、バルブ90vを閉鎖させた状態でバルブ91vを開放させ、燃料原料源90cの燃料原料を燃焼部12に供給して燃焼部12にて燃焼させ、改質部10を改質反応に適するように昇温させて暖機させる。このように改質部10が暖機された状態で、制御部8のCPUがバルブ90vを開放して燃料原料を改質部10に供給させる。更に制御部8のCPUは改質水ポンプ56pを作動させて改質水タンク56の改質水を改質部10に供給させる。これにより改質部10において水蒸気を利用した改質反応が発生し、水素含有ガスであるアノードガスが改質部10において生成される。更に制御部8のCPUはバルブ20i,20pを開放させ、アノードガスをアノードガス通路93を介してスタック22のアノード20に供給させる水素投入処理を実行すると共に、バルブ21i,21pを開放させた状態で、カソードガスポンプ95を駆動させてカソードガスとしての空気をスタック22のカソード21に供給させる(ステップS310)。
次に制御部8のCPUは充電式の第2スイッチング素子152をオンさせる(ステップS312)。これによりDC/DCコンバータ17における充電回路(図略)が充電され、第4スイッチング素子154がオンする。これよりにスタック2とDC/DCコンバータ17とが電気的に接続される。そして、制御部8のCPUは、DC/DCコンバータ17の入力電圧Viが規定値以上であるか否か判定する(ステップS314)。入力電圧Viが規定値以上であれば(ステップS314のYES)、制御部8のCPUはDC/DCコンバータ17を動作させて補機135に給電する直流電圧を発生させる(ステップS316)。直流電圧は部位170a,172b,給電線135mを介して補機135の補機駆動電源131に給電される。これによりシステムの補機135がスタック2の発電電力により駆動可能となる。このため、制御部8のCPUはPFC回路18cの動作を停止させる(ステップS318)。この場合、スタック2が発電運転しているものの、第1スイッチング素子151はオフとされず、オンに維持されている。
更に制御部8のCPUはDC/ACインバータ18を動作させる(ステップS326)。この場合、DC入力電圧Viに応じてDC/ACインバータ18は成り行きで動作する。更に、スタック2の運転状況をチェックするため、制御部8のCPUは、DC/DCコンバータ17のDC入力電流を所定のステップで、スタック2の発電電力がWa[W]に到達するまで増加させる(ステップS328,S332)。Wa[W]はスタック2の定格電力とすることができる。
そして、制御部8のCPUは発電電力がWa[W]以上か否か判定する(ステップS332)。スタック2の発電電力がWa[W]以上であれば(ステップS332のYES)、DC入力電流Iaの増加を停止させる(ステップS334)。次に制御部8のCPUは、DC入力電流Iaを所定のステップで減少させる(ステップS342)。制御部8のCPUは、スタック2の現在の発電電力がWc(Wc<Wa,Wcは例えば300W)以下となるまで発電電力を低下させる(ステップS344)。スタック2の発電電力がWc以下になれば(ステップS344のYES)、補機135の電力のみ発生させるように、DC/DCコンバータ17を作動させる(ステップS346)。ここで、現段階では、第1スイッチング素子151がオンとされており、補機135と商用電源100とが電気的に接続されている。
更に、制御部8のCPUはDC/ACインバータ18を停止させ(ステップS348)、PFC回路18cを駆動させる(ステップS354)、DC/DCコンバータ17を停止させ(ステップS356)、更に、スタック2とDC/DCコンバータ17とを繋ぐ第2スイッチング素子152をオフとさせる(ステップS360)。これによりスタック2とDC/DCコンバータ17とは断電される。次に、制御部8のCPUはシステムの停止処理を実行する(ステップS362)。この場合、制御部8のCPUは、ブロア12x(空気搬送源)により空気を改質器1の燃焼部12に供給して改質器1を所定温度以下まで強制的に冷却させる。停止条件が成立すれば(ステップS364のYES)、システムを停止させると共に第1スイッチング素子151をオフさせる(ステップS366)。これにより第2試運転が終了する。第2試運転を実行していているとき、設置者等はシステムの配線接続および配管接続を再確認できると共に、系統連系するための作業をできる。
本実施形態においても、第1試運転開始スイッチ201が操作されて第1試運転の第1操作〜第3操作が実行されているとき、制御部8のCPUは、強制停止スイッチ203以外の操作を受け付けない。更に、第2試運転開始スイッチ202が操作されて第2試運転の第1手順〜第3手順が実行されているとき、制御部8のCPUは、強制停止スイッチ203以外の操作を受け付けない。これにより電力会社との連系協議前において、第1試運転開始スイッチ201の操作に基づく第1試運転が良好に実行される。
同様に、第2試運転開始スイッチ202が操作され、第2試運転を構成する(a)の第1手順、(b)の第2手順、(c)の第3手順が実行されている場合において、第1試運転開始スイッチ201等の他のスイッチが誤って操作されたとしても、制御部8のCPUは、他のスイッチの操作を無視する。これにより連系協議中において、第2試運転開始スイッチ202の操作に起因する第2試運転が良好に実行される。
上記した制御は割込処理により実行される。図5は割込処理のフローチャートを示す。第1試運転および第2試運転している途中において、何らかのスイッチが操作されると、制御部8のCPUは割り込み信号により割込処理を実行する。まず、割込処理では、第1試運転が実行中か否か判定する(ステップS406)。第1試運転が実行中である場合には、誤って操作された他のスイッチ(強制停止スイッチ203以外のスイッチ)の操作をキャンセルさせる指令を出力する(ステップS406)。第1試運転が実行中でなければ、第2試運転が実行中か否か判定する(ステップS404)。第2試運転が実行中である場合には、操作されたスイッチ(強制停止スイッチ203以外のスイッチ)の操作をキャンセルさせる指令を出力する(ステップS406)。第1試運転および第2試運転の双方が実行中でなければ、メインルーチンに戻る。
(実施形態4)
図6は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。但し、ヒータ25は直流用とされている。ヒータ25への給電線25mは、ヒータ25に直流電力を給電できるように、DC/DCコンバータ17とDC/ACインバータ18との間の配線170,172の部位170e,172fに接続されている。ヒータ駆動回路15はPWM制御等のパルス制御により、ヒータ25への給電量を調整できる。図6に示されているように、スイッチ設定基板140には、商用電源100と系統連系するための系統連系協議においてシステムの第1試運転を実行させる第1試運転開始スイッチ201が設けられている。更に、スイッチ設定基板140には、商用電源100と系統連系するための系統連系協議においてシステムの第2試運転を実行させる第2試運転開始スイッチ202が設けられている。
(実施形態5)
本実施形態は実施形態1〜4と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用できる。本実施形態によれば、商用電源以外の第3電源が補機に給電可能に設けられている。第3電源として蓄電池、キャパシタ、小型発電機等を例示できる。
電力会社と系統連系協議する前においても、すなわち、システムが商用電源と系統連系されていない場合においても、システムの設置後において、第1試運転開始スイッチ201の操作により、制御部8は、実施形態1〜4と同様に、システムの状況を再確認する第1試運転を実行することができる。従って、システムにおける故障、システムにおける配線接続、配管接続等を再確認できる。
すなわち、電力会社との系統連系協議がされる前の状態において、設置者等によりシステムの運転の状況を予め確認することが好ましい。そこで本実施形態によれば、システムが設置された場合、系統連系協議がされる前であるにも拘わらず、設置者などにより第1試運転開始スイッチ201が操作されると、制御部8のCPUは第1試運転を開始する。この場合、前記した実施形態と同様に、制御部8のCPUは、(i)の第1操作、(ii)の第2操作、(iii)の第3操作を実行する。
(i)商用電源100と系統連系するため電力会社との系統連系協議がされていない状態において、第1試運転開始スイッチ201が操作されると、制御部8のCPUは、第1スイッチング素子151を非接続状態から接続形態に切替えると共に、PFC回路18cの駆動指令を出力する。その状態では、商用電源以外の第3電源の電力は、補機駆動源131に直流電力として給電され、補機135を駆動させる。この場合、スタック2が発電していないため、補機135が消費する電力は第3電源で賄われ、補機135が作動してシステムの第1試運転が開始される。このようにシステムの第1試運転を起動させるにあたり、まだスタック2の発電電力が発生していないため、制御部8のCPUは、補機135の電力を第3電源の電力で賄ってシステムの第1試運転を開始させる。
(ii)第1操作後においてスタック2の発電電力が所定の電力以上に上昇するとき、スタック2の発電電力(直流)が補機駆動電源131に給電され、補機135の電力が賄われ、補機135の作動が継続される。これによりシステムの第1試運転が継続される。
この場合においても、システムの第1試運転において発電された電力のうち補機135で消費されなかった余剰の電力は、システムに搭載されているヒータ25等の電力消費部で消費される。
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。システムは図1に示す構造に限定されるものではない。更に、燃料原料を改質させてアノードガスを生成させる改質器1が設けられているが、改質器1が設けられておらず、アノードガス貯蔵部に貯蔵されているアノードガスをスタック2のアノードに供給させる燃料電池システムに適用しても良い。スタック2のアノードに供給されるアノード流体としてはアノードガスに限定されず、メタノール、ガソリン、灯油など液体を用いても良い。
上記した実施形態では、第1試運転用の第1試運転開始スイッチ201と、第2試運転用の第2試運転開始スイッチ202とが設けられているが、これに限らず、第1試運転開始スイッチ201のみが設けられていることにしても良い。
燃料電池は固体高分子形に限定されず、ジルコニア系などの電解質を有する固体酸化物形の燃料電池、リン酸を電解質とするリン酸形の燃料電池、炭酸塩を電解質とする溶融炭酸塩形の燃料電池に適用しても良い。この場合、ヒータ25としては、貯湯槽41の貯湯室41に溜められている水を温めるヒータでも良いし、循環通路50の水を加熱させるヒータ25でも良い試し、凍結防止用のヒータでも良い。本明細書の記載から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]アノード流体とカソード流体とで発電する燃料電池のスタックと、前記スタックの発電運転に伴う動作を行うための補機と、前記スタックの発電電力を消費可能なヒータと、前記商用電源の電力を補機に給電可能な接続形態と商用電源の電力を補機に給電させない非接続形態とに切り替え可能な連系用のスイッチング素子と、前記スタックの発電運転を制御するための制御部とを具備する定置用燃料電池システム。