JP5386934B2 - 荷電粒子ビーム装置及びその対物レンズのコンタミネーション防止装置 - Google Patents

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本発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)、電子顕微鏡、走査イオン顕微鏡等の荷電粒子ビーム装置及びその対物レンズのコンタミネーション防止装置に関する。
EPMAや電子顕微鏡、走査イオン顕微鏡等の荷電粒子ビーム装置は、真空状態に維持された鏡筒の内部に測定すべき試料を収納し、これに電子ビーム又はイオンビームなどの荷電粒子ビームを照射することにより試料を励起し、試料から放出される二次電子線、反射電子線、特性X線等を検出し、この検出信号に基づいて試料の定性及び定量分析を行う装置である。
このような荷電粒子ビーム装置における、荷電粒子ビームの光学系をなす対物レンズは真空チャンバ内に配置される磁界型レンズであり、対物レンズを励磁するために流す電流によるジュール熱による、温度上昇を抑制するために、対物レンズの周囲には冷却水配管が設けられている。励磁中の対物レンズの表面温度は真空チャンバ内の他の部分よりも高いが、非励磁状態では冷却水温度近傍まで低下し、真空環境においてはより温度の低い部分にコンタミネーション物質を吸着する。このため非励磁状態では、対物レンズにコンタミネーションが生じる。このようなコンタミネーションでは、対物レンズが再び励磁によって温められると対物レンズ表面からコンタミネーション物質が再放出され、対物レンズ近傍に配置された測定サンプルの汚染の危険性がある。
従来、このようなコンタミネーションを防止するため、図4に示すように、対物レンズ3dが非励磁時の間は冷却水の供給を止め、対物レンズ3dが励磁時に再び冷却水の供給を開始するように制御するために、対物レンズ3dの冷却水系は冷却水パネル25上にフロースイッチ11(F.S1)及び流量調整バルブ26(P.R1)を備え、更に電磁切替弁27を備える。
図4に示すような荷電粒子ビーム装置においては、冷却水供給を制御する流量調整バルブ26及び電磁切替弁27は、その構造上、荷電粒子ビーム装置内部での流路が絞られているため、冷却水を流すことにより流路に発生した渦によって機械的振動の原因となっている。この機械的振動は冷却水管を流れる水を介して対物レンズ3dに伝達されるため、結果として対物レンズ3dにより制御される荷電粒子ビームも振動で不安定になり、二次分解能が低下するという不具合がある。
又、図4に示す電磁切替弁27は、定期的に正常動作の確認及び詰まりがないことの確認が必要であり、電磁切替弁27等のメインテナンスにも余計な時間が費やされていた。
このような従来技術の問題点を鑑み、本発明は、対物レンズの温度低下によるコンタミネーション物質の付着を防止することが可能で、振動が発生せず、メインテナンスが容易で、高精度且つ信頼性の高い荷電粒子ビームを用いた分析(測定)や作業が可能な荷電粒子ビーム装置及びその対物レンズのコンタミネーションを防止するためのコンタミネーション防止装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、真空チャンバと、この真空チャンバの内部を真空に排気する真空ポンプと、真空チャンバ1の内部に設けられた荷電粒子線源、この荷電粒子線源から出射される荷電粒子ビームを制御する光学系、荷電粒子ビームが照射される試料を載置する試料ステージとを備える荷電粒子ビーム装置に関する。即ち、本発明の第1の態様に係る荷電粒子ビーム装置は、光学系の一部をなし、荷電粒子ビームを試料に収束させるための対物レンズが、(イ)対物レンズを加熱するために、対物レンズに流す補助加熱電流を制御する作動制御部と、(ロ)対物レンズを冷却する冷却水系と、(ハ)冷却水系の冷却流入口又は排出口に設けられた蛇口と、(ニ)真空チャンバの外側部分に配置され、冷却水系の水流の有無を検出する水流検出部とを備え、冷却水系は、冷却流入口から冷却排出口までの間に水流検出部のみを備え、水流検出部の検出信号に基づいて、冷却水が供給されている間は対物レンズに補助加熱電流を流すコンタミネーション防止装置によって、コンタミネーションが防止されることを特徴とする。
本発明の第2の態様は、荷電粒子ビーム装置の荷電粒子ビームを制御する対物レンズのコンタミネーションを防止するためのコンタミネーション防止装置に関する。即ち、本発明の第2の態様に係るコンタミネーション防止装置は、(イ)対物レンズを加熱するために、対物レンズに流す補助加熱電流を制御する作動制御部と、(ロ)対物レンズを冷却する冷却水系と、(ハ)冷却水系の冷却流入口又は排出口に設けられた蛇口と、(ニ)真空チャンバの外側部分に配置され、冷却水系の水流の有無を検出する水流検出部とを備え、冷却水系は、冷却流入口から冷却排出口までの間に水流検出部のみを備え、水流検出部の検出信号に基づいて、冷却水が供給されている間は対物レンズに補助加熱電流を流すことを特徴とする。


本発明によれば、対物レンズの温度低下によるコンタミネーション物質の付着を防止することが可能で、振動が発生せず、メインテナンスが容易で、高精度且つ信頼性の高い荷電粒子ビームを用いた分析(測定)や作業が可能な荷電粒子ビーム装置及びその対物レンズのコンタミネーションを防止するためのコンタミネーション防止装置を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、縦横の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1及び第2の実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成物品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置は、図1に示すように、真空チャンバ(鏡筒)1と、真空チャンバ1の内を真空に排気し、真空を維持する真空ポンプ19と、真空チャンバ1の内部に設置される荷電粒子線源2、荷電粒子線源2によって放出される荷電粒子ビーム4を制御する光学系3、及び荷電粒子ビームを照射される試料6bを配置する試料ステージ6aを備える。光学系3は、細い荷電粒子ビームを得るための集束レンズ(コンデンサーレンズ)3a,3b、荷電粒子ビームを走査するための磁界型偏向器(走査コイル)3c及び荷電粒子ビーム4を試料6b上に収束するための磁界形の対物レンズ3d等を備える。
真空ポンプ19としては、クライオポンプ、ターボ分子ポンプ、イオンポンプ等各種の公知のポンプが利用可能であるが、図1の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置においては、油拡散ポンプを備えるとするが、これに限られるものではない。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置は、対物レンズ3dには対物レンズ3dに、対物レンズ3dを加熱するために流す補助加熱電流17を制御する対物レンズ作動制御部(以下において「作動制御部」という。)9が接続されている。作動制御部9は、対物レンズ3dに正規の駆動電流を流す制御部(図示省略。)を用いてもよく、対物レンズ3dに正規の駆動電流を流す制御部とは別のハードウェア構成として実現してもよい。例えば、対物レンズ3dに正規の駆動電流を流す制御部が、対物レンズ3dのオフ時に一定の電流を補助加熱電流17として流すような構成としてもよい。
更に、対物レンズ3dには、対物レンズ3dの電磁コイル(巻き線)から真空チャンバ1の隔壁フランジ5を介して真空チャンバ1の外へと延長され、対物レンズ3dを冷却する冷却水管10からなる冷却水系とを備える。冷却水系は更に、水流の有無を検出する水流検出部11を備える。ここで水流検出部11としては、それ自体の振動の発生がごく軽微な、フロースイッチ等の装置が利用可能である。図1では、水流検出部11を冷却水管10上の流入側である流入口10a近傍に設置する場合を示しているが、排出側である排出口10b近傍に設置することも可能である。なお、冷却水管10に流す水量の調整は水取り出し口の蛇口の調整等で行えばよい。即ち、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置においては、対物レンズ3dに流す補助加熱電流17を制御する作動制御部9と、対物レンズ3dを冷却する冷却水系10と、冷却水系10の水流の有無を検出する水流検出部11とで、コンタミネーション防止装置が構成されている。
このような第1の実施形態に係るコンタミネーション防止装置(9,10,11)の構成により、水流検出部11からの水流検出信号15が作動制御部9へ送信され、水流検出部11で水流が検出された場合に作動制御部9から、対物レンズ3dの正規の駆動電流よりも十分小さな電流値の補助加熱電流17を流して、対物レンズ3dを加熱する。補助加熱電流17は、真空チャンバ1中の他の構造物の表面温度より対物レンズ3dの表面温度が下がらないような値に選べばよい。真空チャンバ1中の他の構造物の表面温度として、真空チャンバ1の内壁の温度を採用してもよい。
図4に示した従来技術を比較例として、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の実施例1,2について、EPMA電子銃の対物レンズの冷却水の供給量変化に伴う対物レンズに伝達される振動の変化を測定した結果を図3に示す。振動量の測定は対物レンズにピックアップを取り付けて行い、それぞれの測定については、流量を変化させたときの振動量を測定した。
比較例に係る荷電粒子ビーム装置の冷却水管は、図4に示すように、冷却水管流入口10aにはじまり、冷却水パネル25を通過し、流量調整バルブ26において流量の制御を受けた後、電磁切替弁27を経て隔壁フランジ5を通り、対物レンズ3d近傍に到る。その後再び隔壁フランジ5を通り、フロースイッチ11で水流の検出を受けた後、冷却水パネル25を通過して冷却水管の排出口10bへと戻る。一方、図4に示した比較例に対し、冷却水パネル25、流量調整バルブ26、及び電磁切替弁27は、図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の実施例1,2においては除かれている。
実施例1は、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置において、冷却水の流入側(IN側)にフロースイッチ(水流検出部)11を設ける構成のものである。即ち、実施例1に係る冷却水管は冷却水管流入口10aにはじまり、水流検出部であるフロースイッチ11で水流を検出された後、隔壁フランジ5を通り、対物レンズ3d近傍に到る。その後再び隔壁フランジ5を通り、冷却水管排出口10bへと戻る。
一方、実施例2は、本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置において、冷却水の排出側(OUT側)にフロースイッチ(水流検出部)11を設ける構成である。実施例2に係る却水管は冷却水管流入口10aにはじまり、隔壁フランジ5を通り、対物レンズ3d近傍に到る。その後再び隔壁フランジ5を通り、フロースイッチ11で水流を検出された後、冷却水管排出口10bへと戻る。
なお、実施例1,2のフロースイッチ11は、冷却水パネル25に固定しない形を採用したことにより、比較例のフロースイッチ11と比較して、隔壁フランジ5からより離れた位置に設置されている。
比較例、及び実施例1,2は、流量を0.25〜2 l/分(0.25 l/分毎)と変化させて測定した。また、流量検出は、フローメータを用い、0.1〜1.5 l/分,0.4〜5.0 l/分の測定範囲で検出した。
図3(a)は比較例1及び実施例1,2について測定された振幅の変化を示す。図3(b)は図3(a)に記載されたグラフから、実施例1、2のみについて抜き出し、拡大して表したものである。図3(a)及び(b)には周波数178Hzでの測定データについて振幅の変化を示したが、これは測定を行った系において、特に周波数178Hzで流量による顕著な違いが見られたため、比較のために示したものである。その他の周波数においてもいくつか小さなピークが観測されたが、いずれも流量による顕著な違いは認められなかった。
図3(a)に示す測定結果から、冷却水系の流量増加にしたがって振動量が増加することが分かる。ここで、比較例と、本発明による実施例1、2とでは、実施例1、2の方が顕著に振動を低減することが確認された。しかし、実施例1と2の間の、フロースイッチ11を流入側・排出側のいずれに設けるかによる振動低減効果への影響の比較では、測定を行った最大流量である1.50 l/分においても振幅の差異は0.01nm以下に抑えられており、大きな差異は認められない。又流量0.25 l/分と1.50 l/分とでは、より大きな振幅を示す実施例が逆転していることが示されたため、フロースイッチを流入・排出のいずれに設けるかが振幅に大きく影響するとは言えない。
以上の測定結果より、本発明の冷却水系と対物レンズの通電制御の構造を備えるコンタミネーション防止装置では、従来技術より顕著に対物レンズの振動を低減し、二次電子解像度を維持することが分かる。
第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置によれば、対物レンズ3dの温度低下によるコンタミネーション物質の付着を防止することが可能となると共に、対物レンズ3dを冷却する冷却水系に電磁切替弁を有しないので、電磁切替弁の構造に起因した機械的振動も発生せず、より高精度且つ信頼性の高い荷電粒子ビームを用いた分析(測定)や作業が可能となる。例えば、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置が、EPMAや電子顕微鏡、走査イオン顕微鏡等の表面分析装置であれば、冷却水系に電磁切替弁を省略しているので、機械的振動も発生せず、高い二次分解能を維持することが可能になる。第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置が、電子ビーム描画装置であれば、冷却水の供給開始動作による振動で電子ビームが不安定となることもないので、より高精度なパターンを描画することが可能になる。
図4に示した従来の冷却水系と比較すると、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の冷却水系は、水流検出部11のみを備え、冷却水の流量制御は、冷却水管流入口10a又は排出口10bに蛇口などを設けることによって行えばよいので、従来設置されていた冷却水パネル25、流量調整バルブ26及び電磁切替弁27はいずれも不要である。特に第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の冷却水系では、水流検出部11は、冷却水管10のいずれの箇所にも設置可能であるため、水流検出部11を、荷電粒子ビーム装置本体へ振動が伝達されにくい、真空チャンバ1の外部分に設置することにより、冷却水水量の検出によって生じるより微小な振動の伝達をも低減することが可能となる。
又、図4に示す電磁切替弁27は、定期的に正常動作の確認及び詰まりがないことの確認が必要であったが、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置では、電磁切替弁27を用いないので、電磁切替弁27の正常動作の確認及び詰まりがないことの確認の作業(工程)は不要となるので装置のメインテナンスが容易となる。
(第2の実施形態)
荷電粒子ビーム装置の真空チャンバ1中の種々の構造物の温度は、荷電粒子ビーム装置の稼働状態や室温等の外部環境や他の構造物の稼働状況等により影響を受けることがある。又、冷却水の温度も、水道から直接採取するように、温度制御されていなければ、夏と冬、昼間と夜間で変化する場合がある。
本発明の第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置は、図2に示すように、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置に加えて、対物レンズ3dの表面に接して、対物レンズ3dの表面温度の変化をモニターする温度検出部7aと、温度検出部7aに接続された対物レンズ温度制御部8aを更に備える。即ち、本発明の第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置においては、対物レンズ3dに流す補助加熱電流17を制御する作動制御部9と、対物レンズ3dを冷却する冷却水系10と、冷却水系10の水流の有無を検出する水流検出部11と、対物レンズ3dの表面温度の変化をモニターする温度検出部7aと、温度検出部7aに接続された対物レンズ温度制御部8aとで、コンタミネーション防止装置が構成されている。温度検出部7aとしては、熱電対等の各種の既知の温度センサーが利用可能である。
第2の実施形態に係るコンタミネーション防止装置(9,10,11,7a,8a)は、第1の実施形態に係るコンタミネーション防止装置(9,10,11)と同様に、冷却水の水流の有無を検出して水流検出信号15を作動制御部9に送ると同時に、温度検出部7aからの温度検出信号13に基づいて、対物レンズ温度制御部8aが、対物レンズ3dが作動しない電流値の範囲内で、真空チャンバ1中の他の構造物の表面温度より対物レンズ3dの表面温度が下がらないような大きさの補助加熱電流17を流すようにフィードバック制御する。真空チャンバ1中の他の構造物の表面温度として、真空チャンバ1の内壁の温度を採用可能である。補助加熱電流17は連続的に変化するようにフィードバック制御してもよく、離散的な電流値を複数通り予め決めておき、温度検出部7aからの温度検出信号13に基づいて、離散的な電流値のいずれかを選択するようにフィードバック制御してもよい。
又、装置が高価になる欠点はあるが、オンオフ制御、PID制御、オーバーライド制御、 時間比例制御、プログラム制御等の手法で、温度検出部7aからの温度検出信号13に基づいて、対物レンズ3dの温度をフィードバック制御してもよい。
図示を省略しているが、対物レンズ温度制御部8aが、真空チャンバ1中の他の構造物の表面温度より対物レンズ3dの表面温度が下がらないような大きさの補助加熱電流17を流すようにフィードバック制御するためには、例えば、真空チャンバ1や真空チャンバ1中の他の構造物にも熱電対等の各種の既知の温度センサーを設けて、測定された温度情報を対物レンズ温度制御部8aに帰還するようにしてもよい。
なお、図2は論理的なブロック図であるので、作動制御部9と対物レンズ温度制御部8aを別個に記載しているが、現実の物理的なハードウェア構成としては、作動制御部9と対物レンズ温度制御部8aとは一体でも構わないし、特定のコンピュータシステムを用いて、ソフトウェアで実現してもよい。他は、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置によれば、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置と同様に、対物レンズ3dの温度低下によるコンタミネーション物質の付着を防止することが可能となる。又、第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置によれば、対物レンズ3dを冷却する冷却水系に電磁切替弁を有しないので、電磁切替弁の構造に起因した機械的振動が発生しないので、より高精度且つ信頼性の高い分析(測定)や作業が可能となる。特に、荷電粒子ビーム装置の真空チャンバ1中の種々の構造物の温度が外部環境や他の構造物の稼働状況等により影響を受ける場合や、冷却水の温度が環境により変化する場合であっても、対物レンズ3dの表面温度を、真空チャンバ1中の他の構造物の温度より下がらないようにフィードバック制御することが可能になる。
図4に示した従来の冷却水系と比較すると、第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の冷却水系は、水流検出部11のみを備え、冷却水の流量制御は、冷却水管流入口10a又は排出口10bに蛇口などを設けることによって行えばよいので、従来設置されていた冷却水パネル25、流量調整バルブ26及び電磁切替弁27はいずれも不要であることも第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置と同様である。特に第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の冷却水系では、水流検出部11は、冷却水管10のいずれの箇所にも設置可能であるため、水流検出部11を、荷電粒子ビーム装置本体へ振動が伝達されにくい、真空チャンバ1の外部分に設置することにより、冷却水水量の検出によって生じるより微小な振動の伝達をも低減することが可能となる。
又、第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置と同様に、第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置では、電磁切替弁27を用いないので、電磁切替弁27の正常動作の確認及び詰まりがないことの確認の作業(工程)は不要となるので装置のメインテナンスが容易となる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の対物レンズのコンタミネーション防止システムとしては、EPMA、電子顕微鏡、電子分光装置、走査イオン顕微鏡、電子ビーム描画装置、イオンビーム描画装置等の種々の荷電粒子ビーム装置に適用可能である。
又、第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置で説明した対物レンズ3dの表面温度の変化をモニターする温度検出部7aを更に備える構成と、第3の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置で説明した冷却水の水温変化をモニターする水温計7bを更に備える構成とを組み合わせて用いてもよい。
第1及び第2の実施形態では、作動制御部9が対物レンズ3dの正規の駆動電流よりも十分小さな電流値の補助加熱電流17を流して、対物レンズ3dを加熱する構成を示したが、対物レンズ3dの電磁コイルの巻き線とは別に、対物レンズ3dの表面を加熱するヒータを設けて、このヒータに補助加熱電流17を流すようにしてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の第1の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の構造の模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の対物レンズの冷却水系の構造の模式図である。 従来技術及び本発明に係るコンタミネーション防止装置を備える電子プローブマイクロアナライザの対物レンズ冷却水系において、水を流したときの流量に対する対物レンズの振動変化を測定した、実施例記載の実験結果を表したグラフである。 従来技術に係る荷電粒子ビーム装置の対物レンズの冷却水系の構造の模式図である。
符号の説明
1…真空チャンバ
2…荷電粒子線源
3…光学系
3a…集束レンズ(コンデンサーレンズ)
3c…磁界型偏向器(走査コイル)
3d…対物レンズ(OL)
4…荷電粒子ビーム、
5…隔壁フランジ
6a…試料ステージ
6b…試料
7a…温度検出部
7b…水温計
8a,8b…対物レンズ温度制御部
9…作動制御部(対物レンズ作動制御部)
10…対物レンズ冷却水管
10a…冷却水管流入口
10b…冷却水管排出口
11…対物レンズ水流検出部(フロースイッチ、F.S1)
13…温度検出信号
15…水流検出信号
17…補助加熱電流
19…油拡散ポンプ(DP)
25…冷却水パネル
26…流量調整バルブ(R.P1,R.P2)
27…電磁切替弁

Claims (4)

  1. 真空チャンバと、
    該真空チャンバの内部を真空に排気する真空ポンプと、
    真空チャンバの内部に設けられた荷電粒子線源、該荷電粒子線源から出射される荷電粒子ビームを制御する光学系、前記荷電粒子ビームが照射される試料を載置する試料ステージとを備える荷電粒子ビーム装置であって、
    前記光学系の一部をなし、前記荷電粒子ビームを前記試料に収束させるための対物レンズが、
    前記対物レンズを加熱するために、前記対物レンズに流す補助加熱電流を制御する作動制御部と、
    前記対物レンズを冷却する冷却水系と、
    前記冷却水系の冷却流入口又は排出口に設けられた蛇口と、
    前記真空チャンバの外側部分に配置され、前記冷却水系の水流の有無を検出する水流検出部
    とを備え、前記冷却水系は、前記冷却流入口から前記冷却排出口までの間に前記水流検出部のみを備え、前記水流検出部の検出信号に基づいて、冷却水が供給されている間は前記対物レンズに前記補助加熱電流を流すコンタミネーション防止装置によって、コンタミネーションが防止されることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 前記対物レンズの温度検出部を更に備え、前記温度検出部からの検出信号に基づいて、前記対物レンズに流す電流の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
  3. 荷電粒子ビーム装置の荷電粒子ビームを制御する対物レンズのコンタミネーションを防止するためのコンタミネーション防止装置であって、
    前記対物レンズを加熱するために、前記対物レンズに流す補助加熱電流を制御する作動制御部と、
    前記対物レンズを冷却する冷却水系と、
    前記冷却水系の冷却流入口又は排出口に設けられた蛇口と、
    真空チャンバの外側部分に配置され、前記冷却水系の水流の有無を検出する水流検出部
    とを備え、前記冷却水系は、前記冷却流入口から前記冷却排出口までの間に前記水流検出部のみを備え、前記水流検出部の検出信号に基づいて、冷却水が供給されている間は前記対物レンズに前記補助加熱電流を流すことを特徴とするコンタミネーション防止装置。
  4. 前記対物レンズの温度検出部を更に備え、前記温度検出部からの検出信号に基づいて、前記対物レンズに流す電流の制御を行うことを特徴とする請求項3に記載のコンタミネーション防止装置。
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