JP5385325B2 - ブラシレスモータ及び送風ファン - Google Patents
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Description
本発明は、電機子の防水を行うようにしたブラシレスモータ及び該ブラシレスモータを用いた送風ファンに関する。
例えば冷蔵庫の庫内で使用される送風ファンは、特殊な温度及び湿度環境下に設置されているため、そのような送風ファンのブラシレスモータとしては、電機子(ステータ)に対して防水・防湿に配慮した構造にすることが要求されている。
そこで、例えば実用新案登録第3077710号公報では、ステータを載置する基板上の回路板を覆いかつ基板に粘着ゲルにより粘着される第1のカバー部と、第1のカバー部に接続され、ステータの磁力装置を覆う第2のカバー部とを備えることで、ステータの防湿を行うようにしている。
また、特開2007−110890号公報では、ステータアセンブリをモールドに配置し、モールドとステータアセンブリとの間に充填物を充填した後、モールドを除去し、前記充填物を硬化させることで、ステータアセンブリの周囲を保護膜で覆うようにしている。
さらに、特開2007−159393号公報では、第一カバーの収容空間にステータ組立部品を設置し、第一カバーとステータ組立部品との間に充填物を充填して、第一カバーと充填物とでステータ組立部品を覆うようにしている。
実用新案登録第3077710号公報
特開2007−110890号公報
特開2007−159393号公報
しかし、特開2007−110890号公報に記載のモータでは、充填物が多量に必要になるとともに、ステータアセンブリをモールドに配置する作業、充填物を充填する作業、充填物の充填後にモールドを除去する作業、及び、保護膜(充填物)で覆ったステータアセンブリをベース部に組み込む作業が必要になり、モータの製造工程が煩雑になるという問題がある。また、特開2007−159393号公報に記載のモータでは、モールドを除去する作業は不要になるが、充填物が多量に必要になることに変わりはなく、また、第一カバーの収容空間にステータ組立部品を設置する作業、充填物を充填する作業、及び、第一カバーと充填物とで覆ったステータアセンブリをベース部に組み込む作業が必要になり、モータの製造工程が煩雑になる。
一方、実用新案登録第3077710号公報に記載のモータでは、前記充填物の代わりに、第1のカバー部と基板との間の隙間を塞ぐための封止剤を用いる必要はあるが、封止剤を前記充填物のように多量に使用する必要はない。しかし、前記隙間は、モータによって回転するインペラの直ぐ近傍にあり、封止剤の使用量が多すぎると、封止剤がインペラと接触する可能性がある一方、少なすぎると、前記隙間を確実に封止することは困難になる。このため、封止剤の使用量を厳密に管理する必要があり、この点で組付作業性が悪くなるという問題がある。また、前記隙間は、インペラにより送風された空気が直に当たる可能性が高い部分であるため、ファンの長期間の使用により封止剤が劣化し易くなる問題がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電機子の防水を行うようにしたブラシレスモータの製造工程を簡略化することができるようにするとともに、ブラシレスモータによって回転するインペラにより送風された空気が、電機子を収容する空間内を密閉状にするための封止剤に直に当たらないようにして、その封止剤の劣化を長期間に亘って抑制することにある。
前記の目的を達成するために、本発明のブラシレスモータは、シャフトとロータマグネットとを有し、該シャフトの中心軸を中心として回転するロータ部と、前記ロータマグネットに対して前記ロータ部の径方向内側に対向するように配置されて、前記ロータマグネットとの間で、前記ロータ部を回転させるトルクを発生するように構成された電機子と、前記電機子に対して前記中心軸方向の一側に配置されたベース部と、前記ベース部に、前記中心軸方向の他側に突出するように一体成形され、内部に、前記中心軸方向の前記一側に開口する凹状空間を有するカップ状部と、前記カップ状部の底壁部に、前記中心軸方向の前記一側へ向かって延びるように一体的に設けられ、内周面にて前記シャフトを回転可能に支持するスリーブと、前記カップ状部の凹状空間の開口を気密状に閉塞する閉塞部材とを備え、前記電機子は、前記カップ状部の凹状空間内における前記スリーブの外周側に挿入された状態で、該スリーブにより支持されている、という構成とする。
前記の構成により、電機子を、ベース部に一体成形されたカップ状部の凹状空間内におけるスリーブの外周側に、中心軸方向の一側から挿入し、その後、その凹状空間の開口を閉塞部材により気密状に閉塞することで、電機子をベース部の密閉された空間内(カップ状部の凹状空間内)に容易に組み込むことができ、こうして電機子を組み込むことで、電機子の防水を行うことができる。また、閉塞部材(凹状空間の開口)は、ベース部におけるロータ部とは反対側の部分に位置しているので、凹状空間の開口を気密状に閉塞するに際して封止剤を使用する場合に、封止剤のインペラとの干渉を考慮する必要がなく、これにより、封止剤の使用量を、確実に封止可能な量にすることができ、厳密に管理する必要はない。さらに、インペラにより送風された空気が前記封止剤に直に当たることはなく、封止剤の劣化を長期間に亘って抑制することができる。
本発明の一実施形態によれば、前記カップ状部は、樹脂材料により成形され、前記スリーブは、金属材料からなるとともに、前記カップ状部の成形時に、インサート成形により該カップ状部と一体化されたものである。或いは、前記ベース部及び前記カップ状部は、同じ樹脂材料により成形され、前記スリーブは、前記ベース部及び前記カップ状部と同じ樹脂材料により、これらと一体成形されたものであってもよい。これらの成形方法により、スリーブをカップ状部の底壁部に一体的に設けることが容易にできる。
本発明の他の実施形態によれば、前記閉塞部材には、前記スリーブが嵌合する貫通孔が形成されており、前記閉塞部材は、前記カップ状部の凹状空間の開口における径方向外側周縁と前記スリーブの外周面(前記凹状空間の開口の径方向内側周縁に相当する)との間を気密状に閉塞するように環状に形成されている。
これにより、閉塞部材の中心部をスリーブにより支持することができる。
本発明の他の実施形態によれば、前記電機子は、磁性体で形成されたステータコアを有し、前記ステータコアは、その外周側に複数の磁極歯を有し、前記カップ状部の周側壁部の内周面に、前記複数の磁極歯の間に位置して該磁極歯と共に前記電機子の周方向の位置決めを行うためのリブが前記中心軸方向に延びるように形成されている。
このことにより、電機子を、回転しないように位置決めした状態で、カップ状部の凹状空間内に挿入することができる。
前記リブは、該リブの幅が前記中心軸方向の前記他側に向かって大きくなるように形成されている、ことが好ましい。
こうすることで、電機子をカップ状部の凹状空間内に挿入し易くなるとともに、挿入完了時には、電機子を、回転しないように位置決めすることができる。
本発明の別の態様は、ブラシレスモータと、該ブラシレスモータによって回転するインペラと、該インペラの外周側全周を覆うハウジングとを備えた送風ファンの発明であり、この発明では、前記ブラシレスモータは、シャフトとロータマグネットとを有し、該シャフトの中心軸を中心として回転するロータ部と、前記ロータマグネットに対して前記ロータ部の径方向内側に対向するように配置されて、前記ロータマグネットとの間で、前記ロータ部を回転させるトルクを発生するように構成された電機子と、前記電機子に対して前記中心軸方向の一側に配置され、前記ハウジングに一体成形されたベース部と、前記ベース部に、前記中心軸方向の他側に突出するように一体成形され、内部に、前記中心軸方向の前記一側に開口する凹状空間を有するカップ状部と、前記カップ状部の底壁部に、前記中心軸方向の前記一側へ向かって延びるように一体的に設けられ、内周面にて前記シャフトを回転可能に支持するスリーブと、前記カップ状部の凹状空間の開口を気密状に閉塞する閉塞部材と、を備え、前記電機子は、前記カップ状部の凹状空間内における前記スリーブの外周側に挿入された状態で、該スリーブにより支持されている、という構成とするものである。
この発明により、前記ブラシレスモータと同様の作用効果が得られるとともに、ベース部が、ハウジングに一体成形されているので、ブラシレスモータの各構成部品の組付作業を行えば、基本的に送風ファンが完成する。
以上説明したように、本発明によると、ブラシレスモータの製造工程(延いては、送風ファンの製造工程)を簡略化することができるとともに、封止剤の劣化を長期間に亘って抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るDCブラシレスモータ1を備えた送風ファンとしての軸流ファンAを示す。この軸流ファンAは、後述の電機子3に対して防水構造が必要になるような環境下(例えば冷蔵庫の庫内)に設置されるものである。図1では、軸流ファンAのファン軸(後述の中心軸J)が図面の上下方向に延びるように描いており、便宜上、図面の上下方向を軸流ファンAの上下方向とする。但し、軸流ファンAの実際の取付状態では、これに限定するものではない。
軸流ファンAは、ロータ部2と電機子3とを有するDCブラシレスモータ1と、このDCブラシレスモータ1によって回転しかつ回転により上側から下側への空気流を発生するインペラ5とを備えている。このインペラ5は、樹脂製のハブ6と、このハブ6の外周面に周方向に略等間隔をあけてハブ6に一体成形された複数のプロペラ翼7とを有している。ハブ6は、下側が開放されたカップ状をなし、ハブ6の上端面部における中心部には、下側に突出するシャフト固定部6aが形成されており、このシャフト固定部6aに、インサート成形により、金属製のシャフト8がハブ6と一体的に回転するように固定されている。このシャフト8は、ハブ6の上端面部から下側へ延びている。すなわち、シャフト8の中心軸J(以下、単に中心軸Jという)は上下方向に延びている。インペラ5(ハブ6及びプロペラ翼7)は、後述の如く、DCブラシレスモータ1のロータ部2の回転によって、中心軸Jを中心として回転するようになっている。以下、中心軸Jが延びる方向を中心軸方向といい、この中心軸方向と垂直な方向を径方向という。
また、軸流ファンAは、プロペラ翼7の外周側全周を覆う筒状の樹脂製ハウジング11を更に備えている。図3に示すように、このハウジング11の外形は、前記中心軸方向から見て、略矩形状をなし、4つの角部近傍には、ハウジング11(つまり軸流ファンA)を被取付部材に取り付けるためのネジ挿通孔11aがそれぞれ設けられている。ハウジング11の内周面は、インペラ5の回転によって発生する空気流が流れる流路を形成しており、空気がその流路内を流れることによって、空気の流れが持つエネルギが静圧エネルギに変換される。
ロータ部2は、インペラ5のハブ6及びシャフト8と、ハブ6の内側にてシャフト8の周囲を囲むように配設された円筒状のロータマグネット25とを有している。このロータマグネット25は、N極とS極とが周方向に交互に並ぶように着磁されたものであって、ハブ6の上端面部に固定されたロータヨーク26に支持されている。ロータヨーク26は、磁性体で構成されていて、ロータマグネット25の外周側に位置し、これにより、ロータマグネット25によって形成される磁界が、軸流ファンAの外部に漏れるのを防止する。本実施形態では、インペラ5のハブ6及びシャフト8は、DCブラシレスモータ1のロータ部2を兼用している。そして、ロータ部2は、中心軸Jを中心として回転することにより、インペラ5を中心軸Jを中心として回転させることになる。
前記電機子3は、ロータマグネット25に対してロータ部2の径方向内側に対向するように配置されていて、ロータマグネット25との間で、ロータ部2を回転させるトルクを発生するように構成されたものである。詳細には、ロータマグネット25と電機子3における後述のステータコア31の磁極歯31bの周方向延設部の径方向外側の面とが互いに対向する。電機子3の中心部には、後述のスリーブ15が挿通される挿通孔30が前記中心軸方向に延びるように設けられている。尚、本実施形態のDCブラシレスモータ1は、ロータマグネット25が電機子3よりも径方向外側に位置するアウタロータ型のDCブラシレスモータである。
電機子3に対して前記中心軸方向の一側(下側)には、ハウジング11と同じ樹脂材料で構成された、電機子3を支持するための樹脂製のベース部14が配置されている。このベース部14は、図3に示すように、前記中心軸方向から見て円形状をなしていて、ハウジング11に一体成形されたものである。具体的には、ベース部14の外周面に、複数(本実施形態では、4つ(図3では、3つしか見えていない))の支持脚12が径方向外側に向かって延びる(正確には、径方向外側に向かって周方向の一側に傾斜して延びる)ように設けられている。これら支持脚12は、ハウジング11の下端面の内周縁部の下側位置で上側に延びて該内周縁部に接続されている。こうしてベース部14が支持脚12を介してハウジング11に支持される。
図2に拡大して示すように、ベース部14の中心部には、内部に、前記中心軸方向の前記一側(下側)に開口する凹状空間を有するカップ状部21が、前記中心軸方向の他側(上側)に突出するように一体成形されている。このカップ状部21は、ベース部14と同じ樹脂材料により一体成形されたものである。カップ状部21の周側壁部は、ロータマグネット25とステータコア31の磁極歯31bとの間に位置しているため、出来る限り薄肉に形成されている。カップ状部21の底壁部(本実施形態では、上壁部となっている)の中心部には、中心軸Jを中心とする貫通孔15aを有する金属製のスリーブ15が、前記中心軸方向の前記一側(下側)へ向かって延びるように一体的に設けられている。このスリーブ15は、カップ状部21(及びベース部14)の成形時に、インサート成形により該カップ状部21と一体化されたものである。スリーブ15の内周面(貫通孔15aの内周面)における上下2箇所には、軸受部材である上側及び下側ボールベアリング16,17がそれぞれ設けられている。そして、スリーブ15の貫通孔15aにシャフト8が挿通され、このシャフト8が、上側及び下側ボールベアリング16,17によって、中心軸Jを中心として回転可能に支持されている。このことで、シャフト8は軸受部材(上側及び下側ボールベアリング16,17)を介して、スリーブ15の内周面にて回転可能に支持されていることになる。
ハブ6のシャフト固定部6aと上側ボールベアリング16との間におけるシャフト8の周囲には、円錐形の圧縮コイルバネからなる予圧バネ18が設けられている。この予圧バネ18は、上側ボールベアリング16の内輪を下側に押圧するとともに、ハブ6及びシャフト8を上側へ押圧する。シャフト8の下端近傍の溝8a(図4参照)には、シャフト8が下側ボールベアリング17から上側へ抜けないように、前記中心軸方向から見てC字状をなす抜止部材19が取り付けられ、この抜止部材19が下側ボールベアリング17の内輪を上側へ押圧する。上側ボールベアリング16は下側に押圧されても、スリーブ15の貫通孔15aの内周面において上側ボールベアリング16の外輪の直ぐ下側に形成された段部により、それ以上、下側へは移動不能になっている。また、下側ボールベアリング17は上側に押圧されても、貫通孔15aの内周面において下側ボールベアリング17の外輪の直ぐ上側に形成された段部により、それ以上、上側へは移動不能になっている。これにより、シャフト8並びに上側及び下側ボールベアリング16,17がスリーブ15に対して所定の位置に保持される。また、上側及び下側ボールベアリング16,17は、予圧バネ18により予圧を与えることで、安定した軸受回転精度が得られるようになる。尚、各ボールベアリング16,17に代えて、例えばすべり軸受を採用してもよく、その他の軸受部材を採用してもよい。
前記スリーブ15は、小径部15bと、該小径部よりも外径が大きい大径部15cとを有している。大径部15cは、上側ボールベアリング16に対応する部分に位置し、その下側に小径部15cが位置する。
前記電機子3は、カップ状部21の凹状空間内におけるスリーブ15の外周側に挿入された状態で、該スリーブ15により支持されている。本実施形態では、スリーブ15の外周面に接着剤が塗布されて、この接着剤により電機子3が前記挿通孔30にてスリーブ15に固定されている。
電機子3は、ステータコア31と、上側インシュレータ32(絶縁部材)と、下側インシュレータ33(絶縁部材)と、コイル34と、回路基板35とを有している。ステータコア31並びに上側及び下側インシュレータ32,33には、前記挿通孔30としての貫通孔31a,32a,33aがそれぞれ設けられている。そして、ステータコア31の貫通孔31aにスリーブ15の小径部15bが嵌合しており、ステータコア31が貫通孔31aにて小径部15bに接着剤により固定されている。また、上側インシュレータ32の貫通孔32aにスリーブ15の大径部15cが嵌合しており、上側インシュレータ32が貫通孔32aにて大径部15cに接着剤により固定されている。こうして、電機子3がスリーブ15に固定される。尚、下側インシュレータ33とスリーブ15の小径部15bとの間には隙間があり、両者は接着剤により固定されていない。
ステータコア31は、薄板状の磁性体で形成されたステータラミネーションを前記中心軸方向に複数枚積層することで構成されている。本実施形態では、ステータコア31は、複数の磁極(本実施形態では、4極の磁極)を有している。すなわち、詳細な図示は省略するが、ステータコア31は、中心部に前記貫通孔31aが形成された円環状のコアバック部と、このコアバック部の外周面にて中心軸Jを中心とする周方向に略等間隔に配列された複数(本実施形態では、4つ)の磁極歯31b(図3参照)とを有している。各磁極歯31bは、コアバック部の外周面から径方向外側に向けて延びる径方向延設部と、この径方向延設部の先端側にて周方向に延びる周方向延設部とを有していて、前記中心軸方向から見て、略T字状をなしている。相隣接する磁極歯31bの周方向延設部の間には、周方向に所定量の隙間が形成されている。
上側インシュレータ32は、ステータコア31の上側部分を覆い、下側インシュレータ33は、ステータコア31の下側部分を覆っている。コイル34は、銅線で構成されていて、ステータコア31における各磁極歯31bの径方向延設部の周囲に、上側及び下側インシュレータ32,33を介して巻かれたものである。このように巻かれたコイル34とステータコア31との間には、上側及び下側インシュレータ32,33が介在しており、コイル34がステータコア31に直接接触することはない。
回路基板35は、その中心部に形成された貫通孔35a(図2及び図3参照)にて下側インシュレータ33に取付固定されている。この回路基板35は、プリント基板と、このプリント基板上に実装された回路部品とで構成されている。プリント基板上には、銅箔で形成された導通パターンがプリントされており、実装された回路部品と導通パターンとによって、制御回路が構成される。下側インシュレータ33には、前記コイル34の端部が接続される端子ピン36が植設されており、この端子ピン36が、回路基板35を貫通して、回路基板35の下側に出ていて、これにコイル34の端部がからげられた状態で、端子ピン36が前記制御回路の所定部分に半田付けされている。そして、回路基板35に外部電源から電流が供給されると、前記制御回路によってコイル34への通電制御がなされて、ロータ部2(つまりインペラ5)の回転が制御される。コイル34への通電制御により、ステータコア31に磁界が発生し、この磁界と、ロータマグネット25による磁界との相互作用によって、ロータ部2を中心軸Jを中心として回転させるトルクが発生する。これにより、インペラ5が、中心軸Jを中心として回転することになる。このインペラ5の回転により、前記中心軸方向の前記他側(上側)から空気がハウジング11内に吸い込まれて、その空気が前記一側(下側)へ吐出される。
前記カップ状部21の周側壁部の内周面には、径方向内側に突出しかつ前記中心軸方向に延びる複数のリブ21a(図3及び図4参照)が形成されている。本実施形態では、4つのリブ21aが、カップ状部21の周側壁部の内周面に周方向に略等間隔をあけて形成されている。これらのリブ21aは、前記複数(4つ)の磁極歯31bの周方向延設部の間に位置して該磁極歯31bの周方向延設部と共に前記電機子の周方向の位置決めを行うためのものである。各リブ21aは、該リブ21aの幅(周方向の大きさ)が前記中心軸方向の前記他側(上側)に向かって大きくなるように形成され、各リブ21aの上端部における幅は、相隣接する磁極歯31bの周方向延設部の間の隙間量である前記所定量と略同じになる。
前記カップ状部21の凹状空間は、ベース部14を前記中心軸方向に貫通する貫通孔14b(カップ状部21の凹状空間の一部とする)を介して、ベース部14の下面に開口しており、そのカップ状部21の凹状空間の開口は、円形状をなしていて、円板状をなす閉塞部材41により気密状に閉塞されている。カップ状部21の凹状空間における回路基板35に対応する部分(ベース部14の貫通孔14bに相当する部分)は、回路基板35を収容するために、ステータコア31並びに上側及び下側インシュレータ32,33が収容される部分よりも拡径されている。
ベース部14の下面における前記凹状空間の開口周縁部は、閉塞部材41の厚みと略同じ量だけ凹んでおり、この開口周縁部に、閉塞部材41の外周部が、封止剤を兼ねる接着剤(例えばエポキシ系接着剤)により固定されている。閉塞部材41の上面における中心部には、上側に突出する突出部41aが形成されている。閉塞部材41の中心部(突出部41aを含む)には、スリーブ15の下端部(小径部15bの下端部)が嵌合する、前記中心軸方向に貫通する貫通孔41bが形成されている。これにより、閉塞部材41は、前記凹状空間の開口における径方向外側周縁とスリーブ15の外周面(前記凹状空間の開口の径方向内側周縁に相当する)との間を気密状に閉塞するように環状に形成されていることになる。また、閉塞部材41の上面における外周部には、環状の小突起部41cが形成されている。この小突起部41cは、ベース部14の下面に形成した環状の溝部14aに入り込んでいる。前記溝部14aないしその近傍及びスリーブ15の貫通孔41bとの嵌合部分に、前記封止剤兼接着剤が塗布されており、これにより、カップ状部21の凹状空間の開口が気密状に閉塞されることになる。
ここで、前記軸流ファンAの各構成部品の組付作業について、図4を参照しながら説明する。
予め、ロータ部2(インペラ5を含む)、電機子3及びハウジング11(ベース部14、カップ状部21及びスリーブ15を含む)を作製しておく。また、スリーブ15の貫通孔15a内に、上側及び下側ボールベアリング16,17を挿入しておく。上側ボールベアリング16は、前記中心軸方向の前記他側(上側)からスリーブ15の内側に挿入し、下側ボールベアリング17は、前記中心軸方向の前記一側(下側)からスリーブ15の内側に挿入する。尚、上側及び下側ボールベアリング16,17の挿入は、以下に説明する電機子3のカップ状部21の凹状空間内への挿入後であってもよい。
続いて、スリーブ15の外周面に接着剤を塗布した後、前記作製した電機子3を、ベース部14に一体成形されたカップ状部21の凹状空間内におけるスリーブ15の外周側に、前記中心軸方向の前記一側、つまり凹状空間の開口側から挿入する。このとき、ステータコア31における相隣接する磁極歯31bの周方向延設部の隙間(4箇所)が、4つのリブ21aの位置にそれぞれ対応するように、電機子3の周方向の位置合わせを行う。各リブ21aの幅は、前記中心軸方向の前記他側に向かって大きくなるので、電機子3は、その周方向の位置が各リブ21aによって案内されながらカップ状部21の凹状空間内に挿入されて、挿入完了時には、電機子3が、回転しないように位置決めされる。こうしてカップ状部の凹状空間21内に挿入された電機子3は、やがて、前記接着剤の硬化によって、スリーブ15の外周面に固定されて支持される。
次いで、前記中心軸方向の前記他側から、前記作製したロータ部2のシャフト8を、予圧バネ18の中心部に挿入した後、スリーブ15の貫通孔15a内に挿入し、その貫通孔15a内への挿入完了後に、前記中心軸方向の前記一側から、シャフト8の前記溝8aに抜止部材19を取り付ける。こうしてロータ部2(インペラ5)の組付が完了する。
次に、ベース部14の下面における前記環状の溝部14aないしその近傍及びスリーブ15の下端部の外周面に封止剤兼接着剤を塗布し、その後、閉塞部材41をベース部14の下面及びスリーブ15の下端部に固定する。こうしてDCブラシレスモータ1が完成するとともに、軸流ファンAも完成する。尚、図示は省略しているが、回路基板35には、カップ状部21の凹状空間の外部への引き出し用のリード線が接続されている。このリード線は、カップ状部21の凹状空間内の回路基板35から、ベース部14の貫通孔14bの内周面に設けられた溝を通って前記凹状空間の外部へ引き出され、前記凹状空間の外部において、1つの支持脚12を通って(支持脚12に形成された溝を通って)延びている。前記閉塞部材41の固定の際、ベース部14の前記溝と閉塞部材41との間にも前記封止剤兼接着剤が充填されて、前記リード線の引き出し部における気密性が確保される。
したがって、本実施形態では、電機子3を、ベース部14に一体成形されたカップ状部21の凹状空間内におけるスリーブ15の外周側に挿入して、その凹状空間の開口を閉塞部材41により気密状に閉塞することで、電機子3をカップ状部21(延いてはベース部14)に容易に組み込むことができ、こうして電機子3を、密閉されたカップ状部21の凹状空間内に組み込むことで、電機子3の防水を行うことができる。
また、前記封止剤兼接着剤は、ベース部14の下面側に塗布すればよく、上面側に塗布する必要はない。すなわち、前記封止剤兼接着剤は、ベース部14の下面と閉塞部材41の上面との間の隙間、及び、スリーブ15の下端部の外周面と、閉塞部材41の貫通孔41bとの間の隙間を封止すればよく、ベース部14の上面側には、そのような封止箇所は存在しない。そして、前記封止剤兼接着剤の塗布量は、前記隙間を確実に封止することが可能な量にすればよく、厳密に管理する必要はない。これは、前記封止剤兼接着剤の塗布量が多すぎて、封止剤兼接着剤が、カップ状部21の凹状空間内や、ベース部14の下面における閉塞部材41の外側部分等にはみ出したとしても、その近傍には、回転するインペラ5が存在せず、そのはみ出した封止剤兼接着剤のインペラ5との干渉を考慮する必要がないからである。
また、前記封止剤兼接着剤がベース部14の下面側に塗布されているので、インペラ5により送風された空気が、その封止剤兼接着剤に直に当たることはなく、長期間に亘って封止剤兼接着剤の劣化を抑制することができる。
本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、前記実施形態では、スリーブ15を金属で構成して、カップ状部21(及びベース部14)の成形時に、インサート成形によりカップ状部21と一体化して設けたが、スリーブ15を、ベース部14及びカップ状部21と同じ樹脂材料により構成して、これらと一体成形するようにしてもよい。要するに、スリーブ15は、ベース部14との間に封止剤を使用しなくても、カップ状部21の凹状空間内を気密状にすることが可能なように、カップ状部21に一体的に設けられていればよい。
また、前記実施形態では、閉塞部材41の中心部に、スリーブ15が嵌合する貫通孔41bを形成し、閉塞部材41を、カップ状部21の凹状空間の開口における径方向外側周縁とスリーブ15の外周面(前記凹状空間の開口の径方向内側周縁に相当する)との間を気密状に閉塞するように環状に形成したが、閉塞部材41を、貫通孔41bがない円板状としてもよい。
さらに、前記実施形態では、本発明のブラシレスモータを軸流ファンAに適用した例を示したが、本発明のブラシレスモータは、軸流ファンA以外の送風ファン(例えば遠心ファン)にも適用することができる。
前記実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、電機子の防水を行うようにしたブラシレスモータ及び該ブラシレスモータを用いた送風ファンに有用である。
A 軸流ファン
1 DCブラシレスモータ
2 ロータ部
3 電機子
5 インペラ
8 シャフト
14 ベース部
15 スリーブ
21 カップ状部
21a リブ
25 ロータマグネット
31 ステータコア
31b 磁極歯
41 閉塞部材
1 DCブラシレスモータ
2 ロータ部
3 電機子
5 インペラ
8 シャフト
14 ベース部
15 スリーブ
21 カップ状部
21a リブ
25 ロータマグネット
31 ステータコア
31b 磁極歯
41 閉塞部材
Claims (7)
- ブラシレスモータであって、
シャフトとロータマグネットとを有し、該シャフトの中心軸を中心として回転するロータ部と、
前記ロータマグネットに対して前記ロータ部の径方向内側に対向するように配置されて、前記ロータマグネットとの間で、前記ロータ部を回転させるトルクを発生するように構成された電機子と、
前記電機子に対して前記中心軸方向の一側に配置されたベース部と、
前記ベース部に、前記中心軸方向の他側に突出するように一体成形され、内部に、前記中心軸方向の前記一側に開口する凹状空間を有するカップ状部と、
前記カップ状部の底壁部に、前記中心軸方向の前記一側へ向かって延びるように一体的に設けられ、内周面にて前記シャフトを回転可能に支持するスリーブと、
前記カップ状部の凹状空間の開口を気密状に閉塞する閉塞部材とを備え、
前記電機子は、前記カップ状部の凹状空間内における前記スリーブの外周側に挿入された状態で、該スリーブにより支持されている、ブラシレスモータ。 - 請求項1記載のブラシレスモータにおいて、
前記カップ状部は、樹脂材料により成形され、
前記スリーブは、金属材料からなるとともに、前記カップ状部の成形時に、インサート成形により該カップ状部と一体化されたものである、ブラシレスモータ。 - 請求項1記載のブラシレスモータにおいて、
前記ベース部及び前記カップ状部は、同じ樹脂材料により一体成形されたものであり、
前記スリーブは、前記ベース部及び前記カップ状部と同じ樹脂材料により、これらと一体成形されたものである、ブラシレスモータ。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のブラシレスモータにおいて、
前記閉塞部材には、前記スリーブが嵌合する貫通孔が形成されており、
前記閉塞部材は、前記カップ状部の凹状空間の開口における径方向外側周縁と前記スリーブの外周面との間を気密状に閉塞するように環状に形成されている、ブラシレスモータ。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のブラシレスモータにおいて、
前記電機子は、磁性体で形成されたステータコアを有し、
前記ステータコアは、その外周側に複数の磁極歯を有し、
前記カップ状部の周側壁部の内周面に、前記複数の磁極歯の間に位置して該磁極歯と共に前記電機子の周方向の位置決めを行うためのリブが前記中心軸方向に延びるように形成されている、ブラシレスモータ。 - 請求項5記載のブラシレスモータにおいて、
前記リブは、該リブの幅が前記中心軸方向の前記他側に向かって大きくなるように形成されている、ブラシレスモータ。 - ブラシレスモータと、該ブラシレスモータによって回転するインペラと、該インペラの外周側全周を覆うハウジングとを備えた送風ファンであって、
前記ブラシレスモータは、
シャフトとロータマグネットとを有し、該シャフトの中心軸を中心として回転するロータ部と、
前記ロータマグネットに対して前記ロータ部の径方向内側に対向するように配置されて、前記ロータマグネットとの間で、前記ロータ部を回転させるトルクを発生するように構成された電機子と、
前記電機子に対して前記中心軸方向の一側に配置され、前記ハウジングに一体成形されたベース部と、
前記ベース部に、前記中心軸方向の他側に突出するように一体成形され、内部に、前記中心軸方向の前記一側に開口する凹状空間を有するカップ状部と、
前記カップ状部の底壁部に、前記中心軸方向の前記一側へ向かって延びるように一体的に設けられ、内周面にて前記シャフトを回転可能に支持するスリーブと、
前記カップ状部の凹状空間の開口を気密状に閉塞する閉塞部材と、
を備え、
前記電機子は、前記カップ状部の凹状空間内における前記スリーブの外周側に挿入された状態で、該スリーブにより支持されている、送風ファン。
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