JP5383882B1 - 不揮発性記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誤動作を抑制した不揮発性記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記憶素子と制御部とを含む不揮発性記憶装置が提供される。磁気記憶素子は、第1及び第2積層部を含む。第1積層部は、第1強磁性層と第2強磁性層と第1非磁性層とを含む。第2強磁性層の磁化の方向は、可変である。第2積層部は、第3強磁性層と非磁性トンネルバリア層とを含む。第3強磁性層の磁化の方向は、可変である。制御部は、磁気記憶素子を第1状態に設定する第1動作を実施する。第1動作は、第1立ち上がり時間を有する第1パルス電圧を磁気記憶素子に印加する第1予備動作と、第1予備動作の後に、第1立ち上がり時間よりも長い第2立ち上がり時間を有する第2パルス電圧を磁気記憶素子に印加する第1設定動作と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、不揮発性記憶装置に関する。
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)において、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling MagnetoResistive)効果を示す強磁性トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)素子をデータ記憶部に用いる構成がある。この構成は、高速・大容量の不揮発性記憶装置として注目を集めている。このような不揮発性記憶装置において、誤動作を抑制することが望まれている。
特開2012−69958号公報
本発明の実施形態は、誤動作を抑制した不揮発性記憶装置を提供する。
本発明の実施形態によれば、磁気記憶素子と、制御部と、を含む不揮発性記憶装置が提供される。前記磁気記憶素子は、積層体を含む。前記積層体は、第1積層部と、第2積層部と、を含む。前記第1積層部は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、第1非磁性層と、を含む。前記第1強磁性層の磁化の方向は、固定されている。前記第2強磁性層の磁化の方向は、可変である。前記第1非磁性層は、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に設けられる。前記第1強磁性層、前記第2強磁性層及び前記第1非磁性層は、積層方向に積層されている。前記第2積層部は、第3強磁性層と、非磁性トンネルバリア層と、を含む。前記第3強磁性層は、前記積層方向に沿って前記第1積層部と積層される。前記第3強磁性層の磁化の方向は、可変である。前記非磁性トンネルバリア層は、前記積層方向に沿って前記第3強磁性層と積層され、前記第3強磁性層と接する。前記制御部は、前記磁気記憶素子と電気的に接続される。前記制御部は、前記磁気記憶素子を第1状態に設定する第1動作を実施する。前記第1動作は、第1立ち上がり時間を有する第1パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第1予備動作と、前記第1予備動作の後に、前記第1立ち上がり時間よりも長い第2立ち上がり時間を有する第2パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第1設定動作と、を含む。
第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置を示す模式的断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、磁化を示す模式図である。 図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を示す模式図である。 図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を示す模式図である。 図5(a)〜図5(c)は、第1の実施形態に係る磁気記憶素子の動作を示す模式図である。 図6(a)〜図6(e)は、第1の実施形態に係る磁気記憶素子の動作を示す模式図である。 図7(a)〜図7(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を示すグラフ図である。 図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を示すグラフ図である。 図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を示すグラフ図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 図11(a)〜図11(c)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 図12(a)〜図12(d)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 図14(a)及び図14(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。 図17(a)及び図17(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式図である。 図18(a)〜図18(e)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の実施例を示す模式図である。 図19(a)〜図19(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の別の実施例を示す模式図である。 図20(a)〜図20(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の別の実施例を示す模式図である。 第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置を示す模式図である。
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置を示す模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置610は、磁気記憶素子110と、制御部550と、を含む。
磁気記憶素子110は、積層体SB0を含む。積層体SB0は、第1積層部SB1と、第2積層部SB2と、を含む。
制御部550は、磁気記憶素子110と電気的に接続される。制御部550は、磁気記憶素子110に対して電圧の印加及び電流の供給を行うことにより、磁気記憶素子110の動作を制御する。
第1積層部SB1は、第1強磁性層10と、第2強磁性層20と、第1非磁性層10nと、を含む。
第1強磁性層10は、主面10aを有する。第1強磁性層10の磁化の方向は、実質的に固定されている。第1強磁性層10の磁化の方向は、例えば、主面10aに対して垂直な成分を有する。第1強磁性層10の磁化の方向は、主面10aに対して非平行である。
第2強磁性層20の磁化の方向は、可変である。第1非磁性層10nは、第1強磁性層10と第2強磁性層20との間に設けられる。第1強磁性層10、第2強磁性層20及び第1非磁性層10nは、積層方向SD1に積層されている。積層方向SD1は、例えば、主面10aに対して垂直である。
本願明細書において、積層されている状態は、直接接して重ねられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて重ねられる場合も含む。
第1積層部SB1の積層方向SD1に対して平行な方向をZ軸方向とする。Z軸に対して垂直な1つの軸をX軸とする。X軸とY軸とに対して垂直な軸をY軸とする。積層体SB0に含まれる層の膜面は、X−Y平面に対して平行である。例えば、主面10aは、X−Y平面に対して平行である。
第2積層部SB2は、積層方向SD1に沿って第1積層部SB1と積層される。第2積層部SB2は、第3強磁性層30と非磁性トンネルバリア層31とを含む。第3強磁性層30は、積層方向SD1に沿って第1積層部SB1と積層される。第3強磁性層30の磁化の方向は、可変である。第3強磁性層30の幅(積層方向SD1に対して垂直な方向に沿う長さ)は、例えば、35ナノメートル(nm)以下である。例えば、X−Y平面に投影したときの第3強磁性層30の形状が円形である場合、第3強磁性層30の直径は、35nm以下である。第3強磁性層30の厚さ(積層方向SD1に沿う長さ)は、例えば、0.5nm以上3.5nm以下である。
非磁性トンネルバリア層31は、積層方向SD1に沿って第1積層部SB1と積層され、第3強磁性層30と接する。非磁性トンネルバリア層31とは、例えば、絶縁体を含み、電圧を印加したときに、トンネル効果による電流(トンネル電流)の流れる非磁性の層である。非磁性トンネルバリア層31の厚さは、例えば、2nm以下である。これにより、電圧を印加したときに、非磁性トンネルバリア層31にトンネル電流が流れる。第3強磁性層30は、絶縁体を含む非磁性トンネルバリア層31と直接接する界面を有する。
この例では、第2積層部SB2が、第4強磁性層40をさらに含む。第4強磁性層40は、第3強磁性層30と積層方向SD1に沿って積層される。第4強磁性層40の磁化の方向は、実質的に固定されている。非磁性トンネルバリア層31は、第3強磁性層30と第4強磁性層40との間に設けられる。
この例では、積層体SB0は、第2非磁性層20nをさらに含む。第2非磁性層20nは、第1積層部SB1と第2積層部SB2との間に設けられる。第2非磁性層20nは、例えば、流れる電子のスピン偏極度を消失させるスピン消失層である。
この例では、磁気記憶素子110は、第1導電層81と、第2導電層82と、をさらに含む。第1積層部SB1は、第1導電層81と第2導電層82との間に配置される。第2積層部SB2は、第1積層部SB1と第2導電層82との間に配置される。第1導電層81は、第1積層部SB1に電気的に接続される。この例では、第1導電層81は、第2強磁性層20に電気的に接続される。第2導電層82は、第2積層部SB2に電気的に接続される。この例では、第2導電層82は、第3強磁性層30に電気的に接続される。
第1導電層81及び第2導電層82は、制御部550と電気的に接続される。磁気記憶素子110は、第1導電層81及び第2導電層82を介して制御部550と直接または間接に接続される。第1導電層81及び第2導電層82は、磁気記憶素子110とは別と見なしても良い。
実施形態に係る不揮発性記憶装置610によれば、誤動作を抑制した不揮発性記憶装置が提供できる。例えば、磁気記憶素子110の幅を35nm以下とした場合でも、双方向の書き込みにおいて第2強磁性層20の磁化反転をアシストすることができる。これにより、例えば、書き込み時における誤動作が抑制される。また、書き込み時の電流値を低減させることもできる。
以下では、磁気記憶素子110の構成及び動作の例について説明する。以下の説明は、磁気記憶素子110に加え、実施形態に係る、後述する他の磁気記憶素子にも適用できる。
磁気記憶素子110においては、積層方向SD1に沿って第1積層部SB1及び第2積層部SB2に電流を流すことによりスピン偏極した電子を第2強磁性層20に作用させる。また、磁気記憶素子110においては、第3強磁性層30の磁化を歳差運動させることにより発生する磁場を第2強磁性層20に作用させる。これにより、第2強磁性層20の磁化の方向が、電流の向きに応じた方向に決定される。
第1強磁性層10は、例えば、第1の磁化固定層として機能する。第1強磁性層10においては、例えば、磁化が膜面に対して略垂直方向に固定されている。例えば、第1強磁性層10の磁化の方向は、膜面に対して略垂直方向である。
第2強磁性層20においては、例えば、磁化容易軸が膜面に対して略垂直方向である。例えば、第2強磁性層20の磁化の方向は、膜面に対して略垂直方向である。第2強磁性層20の磁化は、比較的容易に反転可能である。第2強磁性層20は、データを記憶する役割をもつ。第2強磁性層20は、例えば、磁気記憶層として機能する。
第1非磁性層10nは、第1のスペーサ層として機能する。第1非磁性層10nが絶縁材料に基づくトンネルバリア層である場合に、第1強磁性層10、第1非磁性層10n及び第2強磁性層20を含む第1積層部SB1は、例えば、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)の構造を有する。
第3強磁性層30においては、例えば、積層方向SD1へ投影した磁化成分が、積層方向SD1に対して垂直な方向へ投影した磁化成分よりも大きい。第3強磁性層30の磁化容易軸は、膜面に対して略垂直よりやや傾いていることが望ましい。第3強磁性層30は、書き込み時に高周波磁場を発生させる役割をもつ。第3強磁性層30は、例えば、磁化回転層(発振層)として機能する。
第4強磁性層40は、例えば、第2の磁化固定層として機能する。第4強磁性層40の磁化の方向は、例えば、膜面に対して略垂直方向に固定されている。例えば、第4強磁性層40の磁化の方向は、膜面に対して略垂直方向である。非磁性トンネルバリア層31は、第2のスペーサ層として機能する。
第1強磁性層10、第2強磁性層20、第3強磁性層30及び第4強磁性層40には、例えば、垂直磁化膜が用いられる。
図2(a)及び図2(b)は、磁化を例示する模式図である。
図2(a)は、垂直磁化膜における磁化を例示している。図2(b)は、面内磁化膜における磁化を例示している。
図2(a)及び図2(b)に表したように、積層方向SD1に対して垂直な1つの方向を面内方向SD2とする。面内方向SD2は、X−Y平面内の方向である。磁化72の面内磁化成分72bは、磁化72をX−Y平面に投影した成分である。面内磁化成分72bは、面内方向SD2に対して平行である。磁化72の垂直磁化成分72aは、磁化72をZ軸方向に投影した成分である。垂直磁化成分72aは、積層方向SD1に対して平行である。
図2(a)に表したように、垂直磁化膜においては、垂直磁化成分72aが、面内磁化成分72bよりも大きい磁化状態を有する。垂直磁化膜において、磁化の方向が膜面に対して略垂直であることが動作特性上望ましい。
図2(b)に表したように、面内磁化膜においては、面内磁化成分72bが、垂直磁化成分72aよりも大きい磁化状態を有する。面内磁化膜において、磁化の方向が膜面に対して略平行であることが動作特性上望ましい。
説明の便宜上、第1積層部SB1から第2積層部SB2に向かう方向を「上」または「上向き」と言う。第2積層部SB2から第1積層部SB1に向かう方向を「下」または「下向き」と言う。
既に説明したように、第1強磁性層10の磁化の方向は、実質的に固定される。第4強磁性層40の磁化の方向は、実質的に固定されている。
図1に表したように、磁気記憶素子110において、第1強磁性層10の磁化の方向は上向きであり、第4強磁性層40の磁化の方向も上向きである。ただし、第1強磁性層10の磁化の方向及び第4強磁性層40の磁化の方向は、種々の変形が可能である。例えば、第1強磁性層10の磁化の方向及び第4強磁性層40の磁化の方向の両方を下向きとしてもよいし、一方を上向きとし、他方を下向きとしてもよい。
磁気記憶素子110において、例えば、第1導電層81及び第2導電層82を介して、第1積層部SB1及び第2積層部SB2に電子電流を流すことができる。電子電流は電子の流れである。上向きに電流が流れるときには、電子電流は下向きに流れる。
膜面に対して垂直な方向に電子電流を流すと、磁界発生源の第3強磁性層30における磁化が歳差運動する。これにより、回転磁界(高周波磁界)が発生する。高周波磁界は、第2強磁性層20の磁化に対して垂直方向の成分(第2強磁性層20の磁化困難軸の方向の成分)を有する。従って、第3強磁性層30から発生した高周波磁界の少なくとも一部は、第2強磁性層20の磁化困難軸の方向に印加される。第3強磁性層30から発生した高周波磁界が、第2強磁性層20の磁化困難軸の方向に印加されると、第2強磁性層20の磁化が非常に反転し易くなる。
磁気記憶素子110においては、電子電流を第1積層部SB1及び第2積層部SB2に流すことによって、第2強磁性層20の磁化の方向を制御することができる。具体的には、電子電流の流れる向き(極性)を変えることで第2強磁性層20の磁化の向きを反転させることができる。情報を記憶させる場合において、例えば、第2強磁性層20の磁化の方向に応じて、「0」と「1」とがそれぞれ割り当てられる。磁気記憶素子110は、第1状態、または、第1状態とは異なる第2状態、を有する。第1状態及び第2状態のそれぞれは、第2強磁性層20の磁化の異なる2つの方向に応じている。
前述のように、第3強磁性層30の幅(直径)は、35nm以下であることが好ましい。第3強磁性層30の幅が、35nmよりも大きくなると、例えば、第3強磁性層30の磁化の歳差運動にともなって、ボルテックス(還流磁区)が発生する。第3強磁性層30の断面形状の円相当直径を35nm以下とし、第3強磁性層30の厚さを0.5nm以上3.5nm以下とすることで、例えば、ボルテックスの発生を抑制することができる。これにより、例えば、第3強磁性層30から発生した高周波磁界を第2強磁性層20の磁化反転により適切に作用させ、第2強磁性層20の磁化反転をアシストすることができる。すなわち、第2強磁性層20の位置において、第2強磁性層20の磁化が反転する十分な磁界強度を得ることができる。
第3強磁性層30の横断面形状(積層方向SD1に対して垂直な平面で切断したときの断面形状)の円相当直径をR(nm)、「R」の半分の値をr(=R/2)(nm)、層厚をt(nm)とするとき、r<0.419t−2.86t+19.8の関係式を満たすサイズとすることが望ましい。
本願明細書において、「円相当直径」とは、対象とする平面形状の面積と同じ面積を有する円を想定し、その円の直径をいうものとする。例えば、第3強磁性層30の横断面形状が円形の場合、「R」は直径を意味する。第3強磁性層30の横断面形状が楕円の場合、「R」は、その楕円の面積と同じ面積を有する円の直径を意味する。第3強磁性層30の横断面形状が多角形の場合、「R」は、その多角形の面積と同じ面積を有する円の直径を意味する。
磁気記憶素子110における動作の具体例として、まず「書き込み」動作の例について説明する。
図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示する模式図である。
これらの図は、磁気記憶素子110における「書き込み」動作の際の第1積層部SB1及び第2積層部SB2の状態を例示している。
図3(a)は、第1強磁性層10から第2強磁性層20に向かって電子電流60を流し始めた状態を例示している。すなわち、図3(a)においては、下向きに電子電流60を流す。図3(b)は、第1強磁性層10から第2強磁性層20に向かって電子電流60を流し終えた状態(磁化が反転した状態)を例示している。図3(c)は、第2強磁性層20から第1強磁性層10に向かって電子電流60を流し始めた状態を例示している。すなわち、図3(c)においては、上向きに電子電流60を流す。図3(d)は、第2強磁性層20から第1強磁性層10に向かって電子電流60を流し終えた状態(磁化が反転した状態)を例示している。図3(c)及び図3(d)は、図3(a)及び図3(b)に示した場合に対して、電子電流60の向きを反転させた場合に相当する。
書き込み動作においては、第1強磁性層10の膜面及び第2強磁性層20の膜面を横切るように電子電流60を流すことにより、第2強磁性層20に対して書き込み動作が実施される。ここでは、第1非磁性層10nを介した磁気抵抗効果が、ノーマルタイプである場合について説明する。
「ノーマルタイプ」の磁気抵抗効果においては、非磁性層の両側の磁性層の磁化どうしが互いに平行である時の電気抵抗は、反平行である時の電気抵抗よりも低い。ノーマルタイプの場合、第1非磁性層10nを介した第1強磁性層10と第2強磁性層20との間の電気抵抗は、第1強磁性層10の磁化が第2強磁性層20の磁化に対して平行である時には、反平行である時よりも低い。
図3(a)に表したように、膜面に対して略垂直方向の磁化11を有する第1強磁性層10を通過した電子は、第1強磁性層10の磁化11と同じ方向のスピンをもつようになる。この電子が、第2強磁性層20へ流れると、このスピンのもつ角運動量が第2強磁性層20へ伝達され、第2強磁性層20の磁化12に作用する。すなわち、いわゆるスピントランスファトルクが働く。
この例において、電子電流60を下向きに流す場合には、第3強磁性層30の磁化13の向きを上向きにしておく。非磁性トンネルバリア層31を通過した電子のうちで、第4強磁性層40の磁化14と同じ向き(図3(a)において上向き)のスピンをもった電子は、第4強磁性層40を通過する。一方、第4強磁性層40の磁化14に対して逆向き(図3(a)において下向き)のスピンをもった電子は、第4強磁性層40と非磁性トンネルバリア層31との界面において反射される。この反射された電子のスピンの角運動量は、第3強磁性層30へ伝達され、第3強磁性層30の磁化13に作用する。これにより、第3強磁性層30の磁化13が歳差運動し、高周波磁界が発生する。また、第4強磁性層40を通過した電子のスピン偏極度は、第2非磁性層20nの通過によって消失される。
図3(b)に表したように、第2強磁性層20の磁化12は、スピントランスファトルクの作用及び高周波磁界の作用によって反転し、第1強磁性層10の磁化11と同じ向きになる。この向きは、図3(b)において上向きであり、例えば積層方向SD1に対して平行な1つの方向である。この向きの磁化12を有する第2強磁性層20の状態に、例えば「0」を割り当てる。磁気記憶素子110は、例えば、第2強磁性層20の磁化12の向きが上向きである状態が、第1状態に対応する。
図3(c)に表したように、第1非磁性層10nを通過した電子のうちで、第1強磁性層10の磁化11と同じ向き(図3(c)において上向き)のスピンをもった電子は、第1強磁性層10を通過する。一方、第1強磁性層10の磁化11に対して逆向き(図3(c)において下向き)のスピンをもった電子は、第1強磁性層10と第1非磁性層10nとの界面において反射される。この反射された電子のスピンの角運動量が第2強磁性層20へ伝達され、第2強磁性層20の磁化12に作用する。
この例において、電子電流60を上向きに流す場合には、第3強磁性層30の磁化13の向きを下向きにしておく。上向きの磁化14を有する第4強磁性層40を通過した電子は、第4強磁性層40の磁化14と同じ方向のスピンをもつようになる。この電子が、第3強磁性層30へ流れると、このスピンのもつ角運動量が第3強磁性層30へ伝達され、第3強磁性層30の磁化13に作用する。これにより、第3強磁性層30の磁化13が歳差運動し、高周波磁界が発生する。また、第1強磁性層10を通過した電子のスピン偏極度は、第2非磁性層20nの通過によって消失される。
図3(d)に表したように、第2強磁性層20の磁化12は、スピントランスファトルクの作用及び高周波磁界の作用によって反転し、第1強磁性層10の磁化11に対して逆向き(図3(d)において下向き)になる。この向きの磁化12を有する第2強磁性層20の状態に、例えば「1」を割り当てる。磁気記憶素子110は、例えば、第2強磁性層20の磁化12の向きが下向きである状態が、第2状態に対応する。
このような作用に基づいて、第2強磁性層20の異なる複数の状態のそれぞれに、「0」または「1」が適宜割り当てられる。これにより、磁気記憶素子110における「書き込み」が実施される。
一方、磁気抵抗効果が「リバースタイプ」の場合は、第1非磁性層10nを介した第1強磁性層10と第2強磁性層20との間の電気抵抗は、第1強磁性層10の磁化が第2強磁性層20の磁化に対して平行である時には、反平行である時よりも高い。リバースタイプにおける「書き込み」動作は、ノーマルタイプの場合と同様である。
この例においては、例えば、第1状態が「0」であり、第2状態が「1」である。第1状態を「1」とし、第2状態を「0」としてもよい。第1状態及び第2状態は、「0」または「1」に限ることなく、他の状態でもよい。磁気記憶素子110に設けられる状態の数は、3つ以上でもよい。すなわち、磁気記憶素子110は、マルチビットの記憶素子でもよい。
第1状態または第2状態の設定は、制御部550によって実施される。例えば、第1状態の設定が「書き込み」に対応し、第2状態の設定が「消去」に対応する。第2状態の設定が「書き込み」に対応し、第1状態の設定が「消去」に対応しても良い。
制御部550は、磁気記憶素子110を第1状態にする第1動作を実施する。第1動作では、例えば、第2強磁性層20の磁化12の方向を第1方向に設定する。第1動作は、第1予備動作と第1設定動作とを含む。第1予備動作は、第3強磁性層30の磁化13の方向を第2方向に変化させることを含む。第1設定動作は、第1予備動作の後に実施される。第1設定動作は、第2強磁性層20の磁化12の方向を第1方向に設定することを含む。この例において、第1動作は、図3(a)及び図3(b)に示した動作である。すなわち、第1方向は、上向きであり、第2方向は、上向きである。
制御部550は、磁気記憶素子110を第2状態にする第2動作をさらに実施する。第2動作では、第2強磁性層20の磁化12の方向を第3方向に変化させる。第2動作は、第2予備動作と第2設定動作とを含む。第2予備動作は、第3強磁性層30の磁化13の方向を第4方向に変化させることを含む。第2設定動作は、第2予備動作の後に実施される。第2設定動作は、第2強磁性層20の磁化12の方向を第3方向に設定することを含む。この例において、第2動作は、図3(c)及び図3(d)に示した動作である。すなわち、第3方向は、下向きであり、第4方向は、下向きである。なお、第1方向〜第4方向の向きは、例えば、第1強磁性層10の磁化11の方向、及び、第4強磁性層40の磁化14の方向に応じて変化する。
次に、「読み出し」動作の例について説明する。
磁気記憶素子110における第2強磁性層20の磁化の方向の検出は、例えば、磁気抵抗効果を利用して実施される。磁気抵抗効果においては、各層の磁化の相対的な向きにより電気抵抗が変わる。磁気抵抗効果を利用する場合、第1強磁性層10と第2強磁性層20との間にセンス電流を流し、磁気抵抗が測定される。センス電流の電流値は、書き込み時(記憶時)に流す電子電流60に対応する電流値よりも小さい。
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示する模式図である。
これらの図は、磁気記憶素子110における「読み出し」動作の際の第1積層部SB1の状態を例示している。これらの図では、第2積層部SB2、第1導電層81、第2導電層82及び第2非磁性層20nは省略されている。
図4(a)は、第1強磁性層10の磁化11の方向が、第2強磁性層20の磁化12の方向と同じ場合を例示している。図4(b)は、第1強磁性層10の磁化11の方向が、第2強磁性層20の磁化12の方向と反平行(逆向き)である場合を例示している。
図4(a)及び図4(b)に表したように、第1積層部SB1にセンス電流61を流し、電気抵抗を検出する。
ノーマルタイプの磁気抵抗効果においては、図4(a)の状態の抵抗は、図4(b)の状態の抵抗よりも低い。リバースタイプの磁気抵抗効果においては、図4(a)の状態の抵抗は、図4(b)の状態の抵抗よりも高い。
これらの抵抗が互いに異なる複数の状態のそれぞれに、それぞれ「0」と「1」とを対応づけることにより、2値データの記憶の読み出しが可能となる。なお、センス電流61の向きは、図4(a)及び図4(b)に例示した方向に対して逆向きでも良い。
上記のように、磁気記憶素子110において、第2積層部SB2は、磁界発生源として機能する。第1積層部SB1は、磁気記憶部として機能する。以下、第2積層部SB2を、磁界発生源、または、STO(Spin Torque Oscillator)と言う場合がある。一方、第1積層部SB1を、磁気記憶部、または、MTJと言う場合がある。
上記のように、MTJ素子の記憶層である第2強磁性層20への書き込みが、スピントルク書き込み方式により行われる。このような磁気記憶素子110において、例えば、高記憶密度化の要請から磁気記憶素子110の幅を35nm以下とすることが望まれている。磁気記憶素子110の幅とは、例えば、磁気記憶素子110のX軸方向またはY軸方向に沿う長さである。また、磁気記憶素子110のX−Y平面に投影した形状が、円形または楕円形である場合、磁気記憶素子110の幅とは、磁気記憶素子110の直径(長径)である。
本願発明者は、磁気記憶素子110の幅を35nm以下とする場合に、高い垂直磁気異方性の材料を第2強磁性層20などに用いることで、熱擾乱耐性を維持できることを見出した。この場合、第2積層部SB2(STO)から発生させる高周波磁界は、例えば、20GHz以上であることが必要となる。
磁気記憶素子110において、例えば、第3強磁性層30に垂直磁化膜を用いることで、20GHz以上の磁界を発生させることができる。しかしながら、第3強磁性層30に垂直磁化膜を用いる場合、片側方向の電流でしかSTOが発振しないという課題がある。
垂直磁化膜において双方向の電流で発振させるためには、第3強磁性層30または第4強磁性層40のどちらか一方の磁化の向きを電流方向に応じて反転させる必要がある。図1に表したように、磁気記憶素子110において、第3強磁性層30に垂直磁化膜を用い、且つ、第3強磁性層30を非磁性トンネルバリア層31に接触させた構造とした上で、立ち上がり時間の速いパルス電圧を印加することにより、第3強磁性層30の磁化の向きを反転させることが可能となる。例えば、パルス電圧の立ち上がり時間を1ns(ナノ秒)未満(10ピコ秒以上1ナノ秒未満)とする。これにより、パルス電圧の印加によって、第3強磁性層30の磁化の向きを変化させることができる。
第3強磁性層30の磁化の向きを変えた後で、第3強磁性層30の磁化がスピントランスファトルクで歳差運動する電流を流す。これにより、双方向の電流によって、20GHz以上の磁界を発生させることができる。
次に、書き込み時の第2積層部SB2の動作について説明する。
図5(a)〜図5(c)は、第1の実施形態に係る磁気記憶素子の動作を例示する模式図である。
図5(a)〜図5(c)は、パルス電圧の印加にともなう第3強磁性層30の磁化反転の方法を表す。図5(a)〜図5(c)では、簡単のため、第2積層部SB2だけを図示して説明する。図5(a)は、パルス電圧を印加する前の第2積層部SB2を表す。図5(b)は、パルス電圧を印加する前の第3強磁性層30を表す。図5(c)は、パルス電圧を印加している時の第3強磁性層30を表す。図5(a)及び図5(b)において、第3強磁性層30の磁化13の積層方向SD1に投影した成分の方向は、上向きである。
図5(a)及び図5(b)に表したように、パルス電圧を印加する前の状態(印加していない状態)においては、第3強磁性層30の磁化13の積層方向SD1に投影した成分が、面内方向SD2に投影した成分よりも大きい。磁気記憶素子110に立ち上がり時間の短いパルス電圧を印加すると、磁化13の積層方向SD1に沿う方向の異方性磁界が、磁化13の面内方向SD2に沿う方向の有効磁界より小さくなる。この結果、第3強磁性層30の磁化容易軸EAが、積層方向SD1から45度以上面内方向SD2側に傾き、この磁化容易軸EAを軸として磁化13が歳差運動する。その結果、歳差運動中に、磁化13の積層方向SD1に投影した成分が、上向きの状態と下向きの状態とを繰り返す。
図6(a)〜図6(e)は、第1の実施形態に係る磁気記憶素子の動作を例示する模式図である。
図6(a)〜図6(e)は、第3強磁性層30の磁化方向の決定方法について説明した図である。図6(a)〜図6(e)では、簡単のため、第2積層部SB2だけを図示して説明する。図6(a)、図6(b)及び図6(d)では、歳差運動中の第3強磁性層30の磁化13の運動状態を球体SP内で考える。球体SPは、例えば、磁化13の歳差運動の軸PA上に中心CTを配置した仮想的な球である。
図6(a)に表したように、歳差運動中においては、第3強磁性層30の磁化13が、球体SPの上半球にある状態と球体SPの下半球にある状態とを繰り返す。ここで、上半球とは、球体SPにおいて、中心CTを含みX−Y平面に対して平行な平面よりも上側の部分である。下半球とは、球体SPにおいて、中心CTを含みX−Y平面に対して平行な平面よりも下側の部分である。この例において、軸PAは、中心CTを含みX−Y平面に対して平行な平面上の線である。この例において、磁化13の磁化ベクトルの原点VOは、中心CTとする。すなわち、歳差運動中においては、磁化13が、中心CTを含みX−Y平面に対して平行な平面をよぎるようになる。
図6(b)及び図6(c)に表したように、磁化平行状態を作るためには、磁化13が上半球にいる状態でパルス電圧をオフにする。パルス電圧をオフにすると、磁化13の積層方向SD1の成分の影響が強くなり、磁化13は上向きに緩和する。その結果、第3強磁性層30の磁化13と第4強磁性層40の上向きの磁化14とが、磁化平行状態となる。
図6(d)及び図6(e)に表したように、磁化反平行状態を作るためには、磁化13が下半球にいる状態でパルス電圧をオフにすればよい。この場合、第3強磁性層30の磁化13は、下向きに緩和する。これにより、磁化13と磁化14とが、磁化反平行状態となる。
図7(a)〜図7(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するグラフ図である。
図7(a)〜図7(d)は、パルス電圧による磁化の制御方法について、より詳細に説明した図である。
図7(a)〜図7(d)の横軸は、時間TMである。図7(a)及び図7(c)の縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。図7(b)及び図7(d)の縦軸は、磁化13が上向きの状態を「1」、磁化13が下向きの状態を「−1」として正規化した正規化値Mzである。図7(a)及び図7(c)では、第3強磁性層30の磁化13に着目し、磁化状態を球面で表している。
図7(a)及び図7(b)に表したように、例えば、磁化13が下向きの状態を初期状態とした場合に、パルス電圧PVを印加する。パルス電圧PVは、立ち上がり時間tr、第1時間幅tp1、及び、立ち下がり時間tfを有する。第1時間幅tp1は、例えば、立ち上がり時間trの終点と、立ち下がり時間tfの始点と、の間の時間である。第1時間幅tp1におけるパルス電圧PVの電圧値は、実質的に一定でもよいし、変化してもよい。
立ち上がり時間trが1nsより短い場合、第3強磁性層30の面内方向SD2の磁化投影成分が、積層方向SD1の磁化投影成分より大きくなり、磁化13が歳差運動を始める。磁化13が上半球にいる間にパルス電圧PVをオフすると、磁化13は上向きに緩和する。すなわち、Mz=1となる。磁化13の歳差運動の周期Cp(秒)は、例えば、磁化容易軸方向の有効磁界の大きさで決まる。
第1時間幅tp1(秒)は、例えば、
(Cp/2)×(2n−1)の0.75倍以上1.25倍以下(nは、1以上の整数)である。
これにより、始状態Mz=−1を終状態Mz=1にすることができる。
また、立ち上がり時間trは、第3強磁性層30の磁化13の方向の変化の緩和時間τrelaxより短くする。これにより、第3強磁性層30において、磁気異方性の変調をより効果的に働かせることができる。すなわち、tr<τrelaxであるパルス電圧PVを印加する。これにより、第3強磁性層30の磁化13が、第2方向及び第4方向とは異なる方向を軸として歳差運動する。τrelaxは、例えば、(1)式で求めることができる。
Figure 0005383882

(1)式には、Gilvertのダンピング定数α、磁気ジャイロ定数γ(Hz/Oe:ヘルツ/エルステッド)、及び、磁化容易軸方向の有効磁界Heff(Oe)が用いられる。
有効磁界Heffは、例えば、Heff=H+Hdemag+Hextの式で求めることができる。この式では、積層方向SD1の結晶磁気異方性H、反磁界Hdemag(Oe)、及び、外部磁界Hext(Oe)が用いられる。
磁化13が下向きを初期状態とした場合、磁化反平行状態を作る方法について以下に示す。この場合、磁化方向を変える必要がないため、パルス電圧PVは印加しなくてもよい。
図7(c)及び図7(d)に表したように、パルス電圧PVを印加する場合、パルス電圧PVは、立ち上がり時間tr、第2時間幅tp2、及び、立ち下がり時間tfを有する。磁化13が下半球にいる間となるように第2時間幅tp2を選択してパルス電圧PVをオフする。これにより、磁化13が下向きに緩和する。すなわち、Mz=−1となる。
第2時間幅tp2(秒)は、例えば、
(Cp/2)×2(n)の0.75倍以上1.25倍以下(nは、1以上の整数)である。
これにより、始状態Mz=−1を終状態Mz=−1にすることができる。
第1強磁性層10(参照層)、第1非磁性層10n及び第2強磁性層20(記憶層)にパルス電圧を印加すると、第1強磁性層10から第2強磁性層20に電流が流れる。その際、第1強磁性層10を通過した電子は、第1強磁性層10の磁化11と同じ方向のスピンを持つようになる。この電子が、第2強磁性層20へ流れると、このスピンの持つ角運動量が第2強磁性層20へ伝達され、第2強磁性層20の磁化12に作用する。すなわち、いわゆるスピントランスファトルクが働く。第3強磁性層30の磁化方向の反転は、このスピントランスファトルクを利用しているのではない。ここでは電圧印加時に生じる磁気異方性の変調を利用している。このことは、電圧印加した時の磁気記憶素子110の保磁力(Hc)や共鳴周波数が変化していることから確かめることができる。また、本実施形態に係る第3強磁性層30の磁化反転を起こすために印加するパルス電圧の極性は、一方向でよい。
図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するグラフ図である。
図8(a)及び図8(b)の横軸は、時間TMである。図8(a)の縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。図8(b)の縦軸は、正規化値Mzである。
図8(a)及び図8(b)において、始状態の磁化13の向きは、下向き(Mz=−1)である。この状態のときに、第1立ち上がり時間tr1を有する第1パルス電圧PV1を印加する。第1立ち上がり時間tr1は、τrelax以下である。第1立ち上がり時間tr1は、例えば、1ns未満(例えば10ピコ秒以上1ナノ秒未満)である。また、第1パルス電圧PV1の時間幅(パルス幅)は、上記の第1時間幅tp1とする。これにより、第1パルス電圧PV1の印加の期間である第1期間P1において、第3強磁性層30の磁化13が反転し、磁化13の向きを上向きにすることができる。このように、第3強磁性層30の磁化13は、第1パルス電圧PV1が終了したときに、第2方向に向く。
第1パルス電圧PV1の印加の後に、第2立ち上がり時間tr2を有する第2パルス電圧PV2を印加する。第2立ち上がり時間tr2は、τrelaxよりも長い。すなわち、第2立ち上がり時間tr2は、第1立ち上がり時間tr1よりも長い。これにより、第2パルス電圧PV2の印加の期間である第2期間P2において、第3強磁性層30の磁化13が、スピントランスファトルクによって一斉歳差運動し、高周波磁界を発生する。この高周波磁界によって、第2強磁性層20の磁化反転がアシストされる。これにより、第2強磁性層20の磁化12を反転させるための電流値を低減することが可能となる。
図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するグラフ図である。
図9(a)及び図9(b)の横軸は、時間TMである。図9(a)の縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。図9(b)の縦軸は、正規化値Mzである。
図9(a)及び図9(b)において、始状態の磁化13の向きは、上向き(Mz=1)である。この状態のときに、第3立ち上がり時間tr3を有する第3パルス電圧PV3を印加する。第3立ち上がり時間tr3は、τrelax以下である。第3立ち上がり時間tr3は、例えば、1ns未満(例えば10ピコ秒以上1ナノ秒未満)である。また、第3パルス電圧PV3の時間幅は、第1時間幅tp1とする。これにより、第3パルス電圧PV3の印加の期間である第3期間P3において、第3強磁性層30の磁化13が反転し、磁化13の向きを下向きにすることができる。
第3パルス電圧PV3の印加の後に、第4立ち上がり時間tr4を有する第4パルス電圧PV4を印加する。第4立ち上がり時間tr4は、τrelaxよりも長い。すなわち、第4立ち上がり時間tr4は、第3立ち上がり時間tr3よりも長い。また、第4パルス電圧PV4の極性は、第2パルス電圧PV2の極性と異なる。第4パルス電圧PV4においては、第2パルス電圧PV2と反対向きの電流を磁気記憶素子110に流す。これにより、第4パルス電圧PV4の印加の期間である第4期間P4において、第2強磁性層20の磁化12の向きが反転する。この例においては、例えば、第2強磁性層20の磁化12の向きが、上向きから下向きに変化する。
第1パルス電圧PV1〜第4パルス電圧PV4の印加は、制御部550によって実施される。
制御部550は、第1予備動作において、第1立ち上がり時間tr1を有する第1パルス電圧PV1を磁気記憶素子110に印加することにより、第3強磁性層30の磁化13の方向を第2方向に変化させる。そして、制御部550は、第1設定動作において、第2立ち上がり時間tr2を有する第2パルス電圧PV2を磁気記憶素子110に印加することにより、第2強磁性層20の磁化12の方向を第1方向に変化させる。
また、制御部550は、第2予備動作において、第3立ち上がり時間tr3を有する第3パルス電圧PV3を磁気記憶素子110に印加することにより、第3強磁性層30の磁化13の方向を第4方向に変化させる。そして、制御部550は、第2設定動作において、第4立ち上がり時間tr4を有する第4パルス電圧PV4を磁気記憶素子110に印加することにより、第2強磁性層20の磁化12の方向を第3方向に変化させる。
このように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置610では、制御部550が、第1パルス電圧PV1〜第4パルス電圧PV4を磁気記憶素子110に印加する。これにより、例えば、磁気記憶素子110の幅を35nm以下とした場合でも、双方向の書き込みにおいて第2強磁性層20の磁化反転をアシストし、書き込み時における誤動作を抑制することができる。
第2非磁性層20nに配線を接続し、書き込み動作及び読み出し動作の少なくともいずれかにおいて、第1導電層81と第2非磁性層20nとの間の電流の大きさ及び向きを、第2導電層82と第2非磁性層20nとの間の電流の大きさ及び向きと変えても良い。この動作は、電流を流さない場合も含む。すなわち、第1積層部SB1と第2積層部SB2とを互いに独立して動作させても良い。
第3強磁性層30で発生する高周波磁界の特性(例えば周波数)は、第2強磁性層20の磁化の状態によって変化する。例えば、第2強磁性層20に記憶された記憶状態(磁化12の方向)に基づいて、第3強磁性層30での漏洩磁界が変化する。これを第3強磁性層30で発生する高周波磁界の周波数の変化として検出し、記憶状態を読み出しても良い。
以下、磁気記憶素子110の各層の構成の例について説明する。以下の説明は、実施形態に係る任意の磁気記憶素子に適用できる。
第1強磁性層10及び第2強磁性層20には、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む金属材料を用いることが好ましい。さらに、上記の群から選択された少なくともいずれかと、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びロジウム(Rh)よりなる群から選択された少なくともいずれかの金属を含む合金を用いることができる。
第1強磁性層10及び第2強磁性層20において、含まれる磁性材料の組成や熱処理の条件などを調整する。これにより、第1強磁性層10及び第2強磁性層20において、例えば、磁化量や磁気異方性などの特性を調整することができる。また、第1強磁性層10及び第2強磁性層20には、例えば、TbFeCo及びGdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金を用いることができる。第1強磁性層10及び第2強磁性層20には、例えば、Co/Pt、Co/Pd及びCo/Niなどの積層構造を用いてもよい。Co/Ru、Fe/Au、及び、Ni/Cu等は、下地層との組み合わせで垂直磁化膜となる。膜の結晶配向方向を制御することで、Co/Ru、Fe/Au、または、Ni/Cu等を、第1強磁性層10及び第2強磁性層20として用いることができる。
第1非磁性層10nには、例えば、非磁性トンネルバリア層として機能する絶縁材料を用いることができる。具体的には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む、酸化物、窒化物又は弗化物を用いることができる。
第1非磁性層10nには、例えば、Al、SiO、MgO、AlN、Ta−O、Al−Zr−O、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O、または、Si−N−O等を用いることができる。第1非磁性層10nには、例えば、非磁性半導体(ZnOx、InMn、GaN、GaAs、TiOx、Zn、Te、または、これらに遷移金属がドープされたもの)などを用いることができる。
第1非磁性層10nの厚さは、約0.2ナノメートル(nm)以上2.0nm以下程度の範囲の値とすることが望ましい。これにより、例えば、絶縁膜の均一性を確保しつつ、抵抗が過度に高くなることが抑制される。
第3強磁性層30には、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む磁性金属を用いることができる。
非磁性トンネルバリア層31には、例えば、第1非磁性層10nに関して説明した非磁性トンネルバリア層の材料が用いられる。非磁性トンネルバリア層31には、例えば、Al、SiO、MgO、AlN、Ta−O、Al−Zr−O、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O、及び、Si−N−Oなどを用いることができる。
非磁性トンネルバリア層31は、例えば、非磁性半導体(ZnOx、InMn、GaN、GaAs、TiOx、Zn、Te、または、これらに遷移金属がドープされたもの)でもよい。
STO(第2積層部SB2)の抵抗値は、例えば、磁気記憶素子110の磁気抵抗効果に対応して設定される。磁気記憶素子110の磁気抵抗効果が小さい場合には、STOの抵抗値を小さくする。例えば、STOの抵抗値は、MTJの抵抗変化量の10%〜30%相当の抵抗値に設定する。磁気記憶素子110の磁気抵抗効果が小さい場合、非磁性トンネルバリア層31の厚さは、例えば、約0.2nm以上2.0nm以下程度の範囲の値とすることが望ましい。これにより、例えば、非磁性トンネルバリア層31の膜厚の均一性を確保しつつ、STOの抵抗値が過度に高くなることを抑制することができる。また、非磁性トンネルバリア層31には、高誘電率材料を用いることが望ましい。これにより、電圧印加時において、第3強磁性層30の磁気異方性の変化を効率よく起こすことができる。
第4強磁性層40には、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む金属材料を用いることが好ましい。さらに、これらと、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びロジウム(Rh)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素と、を含む合金を用いることができる。
第4強磁性層40において、含まれる磁性材料の組成や熱処理の条件などを調整することにより、例えば、磁化量や磁気異方性などの特性を調整することができる。第4強磁性層40は、例えば、TbFeCo、及び、GdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金でもよい。第4強磁性層40は、Co/Pt、Co/Pd及びCo/Niなどの積層構造を用いてもよい。Co/Ru、及び、Fe/Au、Ni/Cu等は、下地層との組み合わせで垂直磁化膜となる。膜の結晶配向方向を制御することで、Co/Ru、Fe/Au及びNi/Cu等を第4強磁性層40として用いることができる。
この例においては、第3強磁性層30と第4強磁性層40との間に非磁性トンネルバリア層31が設けられ、第4強磁性層40も非磁性トンネルバリア層31に接する。しかしながら、第4強磁性層40は、第3強磁性層30に比べて磁気異方性が大きい。このため、第4強磁性層40の磁化14は、第1パルス電圧PV1が印加されたときにも、実質的に変化しない。すなわち、第4強磁性層40の磁化14の方向は、実質的に変化しない。
第2非磁性層20nには、例えば、非磁性金属層が用いられる。
第2非磁性層20nに用いられる非磁性金属層には、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、白金(Pt)、ビスマス(Bi)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)よりなる群から選択された少なくともいずれかの非磁性金属、または、上記の群から選択された2つ以上の非磁性金属を含む合金を含むことができる。さらに、第2非磁性層20nに用いられる非磁性金属層は、例えば、上記の群から選択された少なくともいずれかの元素を含む、導電性窒化物、導電性酸化物及び導電性弗化物の少なくともいずれかでもよい。例えば、第2非磁性層20nには、例えば、TiN及びTaNなどを用いることができる。さらに、第2非磁性層20nには、これらの材料の膜を積層させた積層膜を用いても良い。第2非磁性層20nには、例えば、Ti膜/Ru膜/Ti膜の積層膜などを用いることができる。
第2非磁性層20nには、銅(Cu)などのスピン拡散長が長い材料、または、ルテニウム(Ru)などのスピン拡散長が短い材料を用いることができる。ルテニウム(Ru)などのスピン拡散長が短い材料を第2非磁性層20nに用いることにより、流れる電子のスピン偏極を消失させ易くすることができる。
第1導電層81及び第2導電層82には、例えば、導電性の磁性材料または導電性の非磁性材料が用いられる。導電性の磁性材料としては、例えば、第3強磁性層30及び第4強磁性層40に用いられる材料と実質的に同じ材料を挙げることができる。
第1導電層81及び第2導電層82に用いられる導電性の非磁性材料には、例えば、金(Au)、銅(Cu)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、白金(Pt)、ビスマス(Bi)及びアルミニウム(Al)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、上記の群から選択された2つ以上の金属を含む合金を用いることができる。さらに、第1導電層81及び第2導電層82に用いられる導電性の非磁性材料は、上記の群から選択された少なくともいずれかの元素を含む、導電性窒化物、導電性酸化物及び導電性弗化物の少なくともいずれかでもよい。第1導電層81及び第2導電層82に用いられる導電性の非磁性材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ及びグラフェンなどでもよい。
第1導電層81及び第2導電層82の少なくともいずれかに、トランジスタが直接または間接に接続される場合がある。このときには、第1導電層81及び第2導電層82の上記の少なくともいずれかには、例えば、そのトランジスタのソース部またはドレイン部が用いられても良い。また、このときには、第1導電層81及び第2導電層82の上記の少なくともいずれかには、例えば、そのトランジスタのソース部またはドレイン部に接続されるコンタクト部が用いられても良い。
X−Y平面に投影したときの第1積層部SB1の形状及び第2積層部SB2の形状は任意である。X−Y平面に投影したときの第1積層部SB1の形状及び第2積層部SB2の形状は、例えば、円形、楕円形、扁平円、及び、多角形などである。多角形とする場合には、四角形や六角形などの3つ以上の角を有することが好ましい。また、多角形は、角丸状でもよい。
次に、第1の実施形態に係る磁気記憶素子110の製造方法の例について説明する。
ウェーハ上に下部電極(図示せず)を形成した後、そのウェーハを超高真空スパッタ装置内に配置する。次に、下部電極上に、Ta/Ru層(電極とのコンタクト層、兼ストッパー層)、FePd/CoFeB層(第2強磁性層20)、MgO層(第1非磁性層10n)、CoFeB/FePt層(第1強磁性層10)、及び、Ru(キャップ層)をこの順に積層させる。ここで、磁場中でアニールすることによって、FePd/CoFeB層とCoFeB/FePt層との膜面垂直方向の磁気異方性の強さを調節することもできる。
次に、EBレジストを塗布してEB露光を行い、直径20nmのレジストマスクを形成する。イオンミリングによってレジストで被覆されていない部分を、ストッパ層を兼ねた下部電極上のTa層が露出するまで削る。
次に、ウェーハを超高真空スパッタ装置内に配置して、Ru層(第2非磁性層20n)を積層させる。
加工体の全面にレジストを塗布し、第2非磁性層20nの位置にレジストで被覆される部分ができるように、ステッパ露光装置を用いてレジストをパターニングする。イオンミリングによって、レジストで被覆されていない部分を削る。絶縁埋め込みすべくSiO膜を成膜した後、レジストをリフトオフする。
次に、ウェーハを超高真空スパッタ装置内に配置して、FePt/CoFeB/Cu/Py層(磁界発生源)、及び、その上にTa層(電極とのコンタクト層)をこの順に積層させる。
次に、磁気記憶素子110を絶縁埋め込みすべくSiO膜を成膜した後、CMP等で平坦化した後、RIE(Reactive Ion Etching)等で全面をエッチングすることで電極とのコンタクト層を露出させる。
加工体の全面にレジストを塗布し、ビアの位置にレジストが被覆されない部分ができるように、ステッパ露光装置を用いてレジストをパターニングする。イオンミリングによってレジストで被覆されていない部分を削り、レジストを除去する。
加工体の全面にレジストを塗布し、ビアと上部電極の位置にレジストで被覆されない部分ができるように、ステッパ露光装置を用いて、レジストをパターニングする。ビアと上部電極とに対応した開口をCuで埋め込み成膜し、レジストを除去する。上部電極には、図示しない配線を設けて電気的入出力ができるようにする。
以上により、磁気記憶素子110が完成する。
図10は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図10に表したように、この例においては、第2積層部SB2が、非磁性金属層32を、さらに含む。非磁性金属層32は、第3強磁性層30と第4強磁性層40との間に設けられる。例えば、第4強磁性層40と非磁性金属層32と第3強磁性層30と非磁性トンネルバリア層31とが、この順に積層される。
この例においては、第4強磁性層40が、磁化回転層として機能し、第3強磁性層30が、磁化方向の変化可能な磁化固着層として機能する。すなわち、この例では、第3強磁性層30の磁化の方向が変化可能であり、第4強磁性層40の磁化の方向も変化可能である。例えば、立ち上がり時間が1ns未満の第1パルス電圧PV1を印加すると、第3強磁性層30の磁気異方性が変調され、第3強磁性層30の磁化13が積層方向SD1から面内方向SD2へと変化する。そして、第3強磁性層30の磁化13が、面内方向SD2を軸として歳差運動をする。これにより、歳差運動の周期に合わせてパルス電圧をオフにすることで、第3強磁性層30の磁化13において、上向きと下向きとの磁化方向を作り出すことが可能となる。
また、第1パルス電圧PV1を印加したときの磁気異方性の変化は、非磁性トンネルバリア層31(絶縁体)と接する強磁性層において発現する。このため、第4強磁性層40の磁化14の方向は、第1パルス電圧PV1を印加した場合にも、実質的に変化しない。
第2パルス電圧PV2を印加すると、第4強磁性層40の磁化14が、第3強磁性層30の電子の通過に基づくスピントランスファトルクによって、例えば、積層方向SD1を軸に一斉歳差運動し、高周波磁界を発生させる。このとき、第3強磁性層30の磁化13の方向は、スピントランスファトルクの作用では変化しない。
このように、第1パルス電圧PV1の印加に応じて磁化方向の変化する第3強磁性層30は、磁化固着層でもよい。
非磁性金属層32には、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)及びビスマス(Bi)よりなる群から選択されたいずれかの非磁性金属、または、上記の群から選択された少なくともいずれか2つ以上の非磁性金属を含む合金を用いることができる。非磁性金属層32の厚さは、1.5nm以上、20nm以下とすることが望ましい。これにより、磁性層間で層間結合せず、かつ、伝導電子のスピン偏極状態が非磁性金属層32を通過する際に失われることが抑制される。
なお、図10の構成において、第3強磁性層30を磁化回転層とし、第4強磁性層40を磁化固着層としてもよい。
図11(a)〜図11(c)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図11(a)に表したように、磁気記憶素子111においては、第1強磁性層10、第1非磁性層10n、第2強磁性層20、第2非磁性層20n、第3強磁性層30、非磁性トンネルバリア層31、及び、第4強磁性層40が、この順に積層されている。
図11(b)に表したように、磁気記憶素子112においては、第2強磁性層20、第1非磁性層10n、第1強磁性層10、第2非磁性層20n、第3強磁性層30、非磁性トンネルバリア層31、及び、第4強磁性層40が、この順に積層されている。
図11(c)に表したように、磁気記憶素子113においては、第1強磁性層10、第1非磁性層10n、第2強磁性層20、第2非磁性層20n、第4強磁性層40、非磁性トンネルバリア層31、及び、第3強磁性層30が、この順に積層されている。
磁気記憶素子111〜磁気記憶素子113において、第2積層部SB2は、非磁性金属層32(図10参照)をさらに含んでもよい。このように、磁気記憶素子の積層構成は、種々の変形が可能である。
図12(a)〜図12(d)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図12(a)に表したように、磁気記憶素子114においては、第1強磁性層10の磁化11の方向の積層方向SD1に投影した成分の向きが、第4強磁性層40の磁化14の方向の積層方向SD1に投影した成分の向きに対して逆である。この例においては、磁化11の向きが下向きであり、磁化14の向きが上向きである。磁化11の向きを上向きとし、磁化14の向きを下向きとしてもよい。磁気記憶素子114の積層構成は、磁気記憶素子110の積層構成と実質的に同じである。
磁気記憶素子114においては、磁化11の向きを磁化14の向きに対して逆向きとすることにより、第2強磁性層20にかかる第1強磁性層10、第3強磁性層30及び第4強磁性層40からの漏れ磁界の影響を抑えることができる。例えば、磁界の存在による磁化反転電流の非対称性を抑制することができる。これにより、不揮発性記憶装置610における誤動作をより適切に抑制することができる。
図12(b)〜図12(d)に表したように、磁気記憶素子115〜磁気記憶素子117においては、磁気記憶素子114と同様に、第1強磁性層10の磁化11の方向の積層方向SD1に投影した成分の向きが、第4強磁性層40の磁化14の方向の積層方向SD1に投影した成分の向きに対して逆である。
磁気記憶素子115の積層構成は、磁気記憶素子111の積層構成と実質的に同じである。磁気記憶素子116の積層構成は、磁気記憶素子112の積層構成と実質的に同じである。磁気記憶素子117の積層構成は、磁気記憶素子113の積層構成と実質的に同じである。磁気記憶素子114〜磁気記憶素子117において、第2積層部SB2は、非磁性金属層32(図10参照)をさらに含んでもよい。このように、磁化11の向きを磁化14の向きに対して逆向きとした場合においても、磁気記憶素子の積層構成は、種々の変形が可能である。
図11(a)に表す磁気記憶素子111の構成及び図12(b)に表す磁気記憶素子115の構成において、第2非磁性層20nを通過した電子にスピン情報が保たれると、第3強磁性層30は、第2強磁性層20からのスピントランスファトルクの影響を受ける。このため、第3強磁性層30の磁化回転の制御性が低下する場合がある。このとき、第2非磁性層20nとして、例えばルテニウム(Ru)などのようなスピン拡散長の短い膜(スピン消失の機能を持つ材料)、または、スピン拡散長の短い構造を有する層を用いることが望ましい。これにより、第3強磁性層30の磁化回転の制御性の低下を抑制できる。
上記のように第2非磁性層20nの材料を選択した場合には、第3強磁性層30の磁化13を歳差運動をさせるためのスピントランスファトルクの大きさが、第4強磁性層40でのスピン偏極で決まる。この構成においては、他の電子のスピンの影響(スピントランスファトルク)を受けることなく、第3強磁性層30の磁化13を独立に制御することが可能となる。
第2非磁性層20nにおいて、スピン消失効果を得られる材料としては、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及びバナジウム(V)よりなる群から選択された金属、または、これらの群から選択された2つ以上の金属を含む合金を挙げることができる。
第2非磁性層20nの厚さは、第2強磁性層20と第3強磁性層30とが層間磁気結合しない値に設定されることが望ましい。具体的には、第2非磁性層20nの厚さは、1.4nm以上に設定することが望ましい。
第2非磁性層20nの厚さを1.4nm以上にした場合には、第2強磁性層20と第3強磁性層30との層間結合を抑えることができる。また、第2非磁性層20nの内部及び界面を通過する伝導電子のスピン偏極度を、第2非磁性層20nで消失させることができる。さらに、第2強磁性層20の磁化12の向きにより第3強磁性層30の歳差運動が変化することを、第2非磁性層20nによって抑えることができる。
一方、第2非磁性層20nの厚さが20nmを超えると、例えば、多層膜のピラー形成が困難となる。さらに、第3強磁性層30から発生する高周波磁界(回転磁界)の強度が、第2強磁性層20の位置で減衰する。このため、第2非磁性層20nの厚さは、20nm以下に設定されることが望ましい。
第2非磁性層20nとしては、前述した単層膜の他に、積層膜を用いることができる。この積層膜は、例えば、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及びバナジウム(V)よりなる群から選択された金属、または、その群から選択された2つ以上の金属を含む合金を含む層と、その層の少なくとも片側に積層された銅(Cu)層と、の積層構成を有することができる。
さらに、第2非磁性層20nに用いられる積層膜は、第1層と、第1層の少なくとも片側に積層された第2層と、を含む積層構成を有することができる。第1層は、例えば、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及びバナジウム(V)よりなる群から選択された金属、または、その群から選択された2つ以上の金属を含む合金を含む。第2層は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、タングステン(W)及びルテニウム(Ru)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物を含む。
図13は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図13に表したように、磁気記憶素子118においては、第2非磁性層20nが、第1積層部SB1と第2積層部SB2との間に設けられる。第2非磁性層20nは、例えば、第1強磁性層10と第4強磁性層40との間に設けられる。この例において、第2非磁性層20nは、第1強磁性層10及び第4強磁性層40に接する。第1強磁性層10の磁化11の方向及び第4強磁性層40の磁化14の方向は、積層方向SD1に対して斜めである。
磁気記憶素子118において、磁化11を積層方向SD1に投影した成分の向きは、磁化14を積層方向SD1に投影した成分の向きに対して、逆向きである。この場合には、第2強磁性層20の位置において膜面に対して垂直な方向にかかる漏洩磁界を低減させることができる。すなわち、第2強磁性層20の位置において膜面に対して垂直な方向にかかる漏洩磁界を打ち消すことができる。一方、第3強磁性層30の位置において膜面に対して垂直な方向にかかる漏洩磁界を残留させ、作用させることができる。
磁気記憶素子118において、第1強磁性層10と第4強磁性層40とは、第2非磁性層20nを介して反強磁性結合していても良い。このように、非磁性層を介して互いの磁化の方向が反強磁性結合し反平行となる構造は、シンセティックアンチフェロ(SAF:Synthetic Anti-Ferromagnetic)構造と呼ばれる。この例では、「第1の磁性層(例えば第1強磁性層10)/非磁性層(例えば第2非磁性層20n)/第2の磁性層(例えば第4強磁性層40)」の積層構造が、SAF構造に対応する。
SAF構造を用いることにより、互いの磁化固定力が増強され、外部磁界に対する耐性、及び、熱的な安定性を向上させることができる。この構造においては、磁気記憶層(例えば第2強磁性層20)の位置において膜面に対して垂直な方向にかかる漏洩磁界を実質的にゼロにすることができる。
SAF構造における非磁性層(中間層)には、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)またはオスミウム(Os)などの金属材料が用いられる。非磁性層の厚さは、例えば、3nm以下に設定される。これにより、非磁性層を介して十分強い反強磁性結合が得られる。
すなわち、第2非磁性層20nは、例えば、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及び、イリジウム(Ir)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、前記群から選択された少なくとも2つ以上の金属を含む合金を含む。第2非磁性層20nの厚さは、例えば、3nm以下である。
磁気記憶素子118において、第2積層部SB2は、非磁性金属層32(図10参照)をさらに含んでもよい。磁化11の方向及び磁化14の方向を積層方向SD1に対して斜めにする場合においても、磁気記憶素子の積層構成は、種々の変形が可能である。磁化11を積層方向SD1に投影した成分の向きと、磁化14を積層方向SD1に投影した成分の向きと、が同じ向きである構成において、磁化11の方向及び磁化14の方向を、積層方向SD1に対して斜めにしてもよい。
なお、実施形態に係る各磁気記憶素子110〜118に含まれる各層の寸法(幅及び厚さなど)は、例えば電子顕微鏡写真像などにより求められる。また、上記の各磁気記憶素子110〜118において、第1積層部SB1のX−Y平面に投影したときのサイズ(例えばX軸方向の幅や、Y軸方向の幅)は、第2積層部SB2のX−Y平面に投影したときのサイズと同じでも良く、小さくても良く、大きくても良い。
図14(a)及び図14(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図14(a)及び図14(b)に表したように、磁気記憶素子120及び磁気記憶素子121においては、第4強磁性層40が省略されている。磁気記憶素子120及び磁気記憶素子121においては、第1積層部SB1と第3強磁性層30との間に、非磁性トンネルバリア層31が設けられる。磁気記憶素子120においては、第2強磁性層20、第1非磁性層10n、第1強磁性層10、非磁性トンネルバリア層31及び第3強磁性層30が、この順に積層される。磁気記憶素子121においては、第1強磁性層10、第1非磁性層10n、第2強磁性層20、非磁性トンネルバリア層31及び第3強磁性層30が、この順に積層される。
磁気記憶素子120の構成及び磁気記憶素子121の構成においては、第1強磁性層10が、MTJの磁化固着層として用いられるとともに、STOの磁化固着層としても用いられる。磁気記憶素子120の構成及び磁気記憶素子121の構成においても、例えば、第1予備動作を実施した後に第1設定動作を実施することによって、第2強磁性層20に対する書き込みをアシストすることができる。不揮発性記憶装置610における誤動作を抑制することができる。このように、第4強磁性層40は、磁気記憶素子において必要に応じて設けられ、省略可能である。
図15は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図15に表したように、磁気記憶素子122は、磁気シールド51をさらに含む。磁気シールド51は、積層体SB0の側面SS0の少なくとも一部を覆う。換言すれば、磁気シールド51は、積層体SB0の側面SS0の少なくとも一部と対向する。積層体SB0の側面SS0は、例えば、第1積層部SB1の側面SS1と、第2積層部SB2の側面SS2と、第2非磁性層20nの側面SSnと、を含む。この例において、磁気シールド51は、側面SS1と側面SS2と側面SSnとを覆う。X−Y平面に投影した磁気シールド51の形状は、例えば、積層体SB0を囲む環状である。
磁気記憶素子122は、積層体SB0の側面SS0と磁気シールド51との間に設けられた保護層52をさらに含む。保護層52の厚さは、第2強磁性層20のZ軸方向の中心から第3強磁性層30のZ軸方向の中心までのZ軸方向に沿う距離と実質的に同じ長さか、それよりも長いことが望ましい。第2強磁性層20のZ軸方向の中心と第3強磁性層30のZ軸方向の中心との間のZ軸方向に沿う距離は、例えば、磁気記憶素子111の構成及び磁気記憶素子115の構成において最も近づき、磁気記憶素子110の構成及び磁気記憶素子114の構成において最も離れる。保護層52の厚さは、例えば、2nm以上30nm以下であることが望ましい。
例えば、第1積層部SB1の側面SS1及び第2積層部SB2の側面SS2が、SiNやAlなどの保護層52を介して、パーマロイ(Py)などの磁気シールド51により覆われる。これにより、例えば、複数の磁気記憶素子122が並べられた場合において、隣の磁気記憶素子122からの漏洩磁界が、第1積層部SB1及び第2積層部SB2の動作に悪影響を与えることが抑制される。例えば、各記憶セル(積層体SB0)において、第1積層部SB1に作用する有効磁界が実質的に同じであるため、ビット間の反転電流のばらつきが抑制される。第2積層部SB2についても発振電流のばらつきが同様に抑えられる。また、第1積層部SB1及び第2積層部SB2からの漏洩磁界が、隣の磁気記憶素子に作用することを抑制することができる。その結果、複数の磁気記憶素子どうしを近接して配置することができ、集積度を向上することができる。例えば、不揮発性記憶装置の記憶密度を向上させることができる。
磁気シールド51には、金(Au)、銅(Cu)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、白金(Pt)、ビスマス(Bi)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zn)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、上記の群から選択された2つ以上の金属を含む合金を用いることができる。
磁気シールド51は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、この群から選択された2つ以上の金属を含む合金でもよい。磁気シールド51は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかの金属と、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びロジウム(Rh)よりなる群から選択された少なくともいずれかの金属と、を含む合金でもよい。
磁気シールド51に含まれる磁性材料の組成や熱処理の条件を調整することにより、磁気シールド51の特性を調整することができる。磁気シールド51は、例えば、TbFeCo及びGdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金でもよい。また、磁気シールド51には、Co/Pt、Co/Pd及びCo/Niなどの積層構造を用いてもよい。
保護層52には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む、酸化物、窒化物または弗化物を用いることができる。保護層52には、例えば、SiNが用いられる。
図16は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式的断面図である。
図16に表したように、磁気記憶素子123においては、第2積層部SB2が、第5強磁性層50と第3非磁性層30nとを、さらに含む。第5強磁性層50は、積層方向SD1に沿って第3強磁性層30と積層される。第3非磁性層30nは、第3強磁性層30と第5強磁性層50との間に設けられる。この例の第2積層部SB2においては、第4強磁性層40、非磁性トンネルバリア層31、第3強磁性層30、第3非磁性層30n及び第5強磁性層50が、この順に積層される。磁気記憶素子123の第2積層部SB2の積層構成は、これに限ることなく、種々の変形が可能である。
第5強磁性層50の磁化15は、例えば、面内方向SD2を向く。磁化15の面内方向SD2に投影した成分は、磁化15の積層方向SD1に投影した成分よりも大きい。第5強磁性層50は、例えば、面内磁化膜である。
磁気記憶素子123においては、第5強磁性層50からの漏洩磁界によって、例えば、第3強磁性層30の磁化13が、積層方向SD1に対して傾く。例えば、磁化13において、面内方向SD2を向く成分(面内磁化成分72b)が現れる。これにより、磁気記憶素子123においては、例えば、第1パルス電圧PV1の印加によって、第3強磁性層30の磁気異方性を、より効率よく変化させることができる。第3強磁性層30の磁化反転の制御性を向上させることができる。
第5強磁性層50の材料は、例えば、第1強磁性層10の材料、及び、第4強磁性層40の材料と、実質的に同じである。第3非磁性層30nの材料は、例えば、第1非磁性層10nの材料、及び、第2非磁性層20nの材料と、実質的に同じである。
図17(a)及び図17(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶素子を示す模式図である。
図17(a)は、第1の実施形態に係る別の第2積層部SB2を示す模式的平面図であり、図17(b)は、模式的斜視図である。
図17(a)及び図17(b)に表したように、この例の第2積層部SB2においては、第3強磁性層30のX軸方向に沿う幅Wxと、第3強磁性層30のY軸方向に沿う幅Wyと、の比が、Wx/Wy>1である。すなわち、幅Wxは、幅Wyよりも長い。
この例において、X−Y平面に投影した第3強磁性層30の形状は、楕円形である。この場合、幅Wxは、第3強磁性層30の長径であり、幅Wyは、第3強磁性層30の短径である。X−Y平面に投影した第3強磁性層30の形状は、例えば、多角形でもよい。また、X−Y平面に投影したときの、第1強磁性層10の形状、第1非磁性層10nの形状、第2強磁性層20の形状、非磁性トンネルバリア層31の形状、及び、第4強磁性層40の形状は、第3強磁性層30の形状と実質的に同じでもよいし、異なってもよい。
(第1実施例)
図18(a)〜図18(e)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の実施例を例示する模式図である。
図18(a)は、パルス電圧の印加を表すグラフ図である。
図18(b)は、正規化値Mzを表すグラフ図である。
図18(c)〜図18(e)は、磁気記憶素子114の各層の磁化の状態を表す模式的断面図である。
図18(a)及び図18(b)の横軸は、時間TMである。図18(a)の縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。図18(b)の縦軸は、正規化値Mzである。
第3強磁性層30では、例えば、磁化13が積層方向SD1に対して傾き(図5参照)、Δ値が小さい場合がある。Δ値とは、例えば、第3強磁性層30の磁気異方性エネルギーと熱エネルギーとの比である。Δ値が大きいほど、磁化13は安定する。そこで、制御部550は、始状態における第3強磁性層30の磁化13の方向を明らかにするため、第1パルス電圧PV1の印加の前に、磁化13の方向を読み出す(判定する)ためのパルス電圧PVrを磁気記憶素子114に印加する。
読み出し用のパルス電圧PVrの電圧値の絶対値は、第1パルス電圧PV1の電圧値の絶対値、及び、第2パルス電圧PV2の電圧値の絶対値よりも小さい。例えば、パルス電圧PVrの印加によって磁気記憶素子114に供給される電流の絶対値は、第1パルス電圧PV1の印加によって磁気記憶素子114に供給される電流の絶対値、及び、第2パルス電圧PV2の印加によって磁気記憶素子114に供給される電流の絶対値よりも小さい。
磁化13の方向の読み出しは、例えば、第2強磁性層20の磁化12の読み出しの場合と同様に、磁気抵抗効果を利用して実施される。例えば、磁気記憶素子114の磁気抵抗効果は、第2強磁性層20の磁化12の上向き及び下向きの2値、及び、第3強磁性層30の磁化13の上向き及び下向きの2値の、計4値を持つ。制御部550は、例えば、パルス電圧PVrを印加した際の磁気記憶素子114の抵抗値によって、磁化12及び磁化13の方向を判定する。
図18(b)及び図18(c)では、パルス電圧PVrを印加して読み出しを行った結果、磁化13の方向が下向きであると制御部550が判定した場合を示している。制御部550は、目的とする磁化13の方向と判定した磁化13の方向とが異なる場合に、第1パルス電圧PV1の印加を実施する。この例では、磁化13の方向を上向きにする場合に、制御部550が、第1立ち上がり時間tr1<τrelaxである第1パルス電圧PV1を磁気記憶素子114に印加する。その後、第2パルス電圧PV2を磁気記憶素子114に印加することにより、スピントランスファトルクによって第3強磁性層30の磁化13を発振(歳差運動)させ、高周波磁界を発生させる。また、制御部550は、目的とする磁化13の方向と判定した磁化13の方向とが異なる場合、第1パルス電圧PV1の印加を実施することなく第2パルス電圧PV2の印加を実施する。この結果、第2強磁性層20の磁化反転が高周波磁界によってアシストされ、低電流で第2強磁性層20の磁化反転をすることが可能となる。
(第2実施例)
図19(a)〜図19(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の別の実施例を例示する模式図である。
図19(a)及び図19(c)は、磁気記憶素子114の各層の磁化の状態を表す模式的断面図である。
図19(b)及び図19(d)は、パルス電圧の印加を表すグラフ図である。
図19(b)及び図19(d)の横軸は、時間TMであり、縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。
まず、第1積層部SB1(MTJ)の磁化が反平行から平行な状態への書き込みについて説明する。第2強磁性層20の磁化反転を効率よくアシストするためには、第2強磁性層20の歳差運動の向きと、第3強磁性層30の磁化13が発振した時に発生する回転磁界の向きと、が一致していることが望ましい。第3強磁性層30が歳差運動する向きは、例えば、(2)式のLLG方程式からわかる。
Figure 0005383882

(2)式には、第3強磁性層30の全スピン角運動量M(Nms:ニュートンメートル秒)、磁気ジャイロ定数γ(γ<0)(Hz/Oe)、Gilvertのダンピング定数α、第3強磁性層30にかかる有効磁界Heff(Oe)、スピントランスファー効率の関数g、電流I(A)、電子電荷e(C)、及び、第4強磁性層40の単位磁化p(emu/cm)、及び、プランク定数h(Js)が、用いられている。なお、(2)式において矢印を付して示したように、角運動量M、有効磁界Heff、及び、単位磁化pは、ベクトル量である。
(2)式の右辺の第1項は歳差運動を表し、第2項はダンピングを表し、第3項はスピントルクを表す。第3強磁性層30が発振する条件においては、右辺の第2項と第3項はキャンセルされ、第1項のみが残る。これより、第3強磁性層30の磁化13の回転方向は、M×Heffの向きとなる。
第3強磁性層30の磁化13の回転方向を決めるため、まずパルス電圧PVrを印加して、第3強磁性層30の磁化方向を読み出す。図19(a)に表したように、磁気記憶素子114の構成においては、第2強磁性層20の磁化12が上向きの場合に、第3強磁性層30の磁化13の向きを上向きにする。これにより、第3強磁性層30の磁化13が発振した時に発生する回転磁界の向きと、第2強磁性層20の歳差運動の向きと、が一致する。第3強磁性層30の磁化13の方向が下向きであった場合には、第1パルス電圧PV1の印加を実施して、磁化13の方向を上向きに反転させる。その後、第2パルス電圧PV2の印加を実施して、スピントランスファトルクによって第3強磁性層30の磁化13を発振させる。
次に、第1積層部SB1の磁化が平行から反平行な状態への書き込みについて説明する。第3強磁性層30の磁化13の回転方向を決めるため、まずパルス電圧PVrを印加して、第3強磁性層30の磁化方向を読み出す。図19(c)に表したように、磁気記憶素子114の構成においては、第2強磁性層20の磁化12が下向きの場合に、第3強磁性層30の磁化13の向きを下向きにする。これにより、第3強磁性層30の磁化13が発振した時に発生する回転磁界の向きと、第2強磁性層20の歳差運動の向きと、が一致する。第3強磁性層30の磁化13の方向が上向きであった場合には、第3パルス電圧PV3の印加を実施して、磁化13の方向を下向きに反転させる。その後、第4パルス電圧PV4の印加を実施して、スピントランスファトルクによって第3強磁性層30の磁化13を発振させる。
このように、本実施形態によれば、双方向の電流で磁化反転を効率よく起こすことが可能となる。
(第3実施例)
図20(a)〜図20(d)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の別の実施例を例示する模式図である。
図20(a)及び図20(c)は、磁気記憶素子115の各層の磁化の状態を表す模式的断面図である。
図20(b)及び図20(d)は、パルス電圧の印加を表すグラフ図である。
図20(b)及び図20(d)の横軸は、時間TMであり、縦軸は、印加するパルス電圧の電圧値である。
まず、第1積層部SB1の磁化が反平行から平行な状態への書き込みについて説明する。第3強磁性層30の磁化13の回転方向を決めるため、まずパルス電圧PVrを印加して、第3強磁性層30の磁化方向を読み出す。図20(a)に表したように、磁気記憶素子115の構成においては、第2強磁性層20の磁化12が下向きの場合に、第3強磁性層30の磁化13の向きを下向きにする。これにより、第3強磁性層30の磁化13が発振した時に発生する回転磁界の向きと、第2強磁性層20の歳差運動の向きと、が一致する。第3強磁性層30の磁化13の方向が上向きであった場合には、第1パルス電圧PV1の印加を実施して、磁化13の方向を下向きに反転させる。その後、第2パルス電圧PV2の印加を実施して、スピントランスファトルクによって第3強磁性層30の磁化13を発振させる。
次に、第1積層部SB1の磁化が平行から反平行な状態への書き込みについて説明する。第3強磁性層30の磁化13の回転方向を決めるため、まずパルス電圧PVrを印加して、第3強磁性層30の磁化方向を読み出す。図20(c)に表したように、磁気記憶素子115の構成においては、第2強磁性層20の磁化12が上向きの場合に、第3強磁性層30の磁化13の向きを上向きにする。これにより、第3強磁性層30の磁化13が発振した時に発生する回転磁界の向きと、第2強磁性層20の歳差運動の向きと、が一致する。第3強磁性層30の磁化13の方向が下向きであった場合には、第3パルス電圧PV3の印加を実施して、磁化13の方向を上向きに反転させる。その後、第4パルス電圧PV4の印加を実施して、スピントランスファトルクによって第3強磁性層30の磁化13を発振させる。
磁気記憶素子115では、第2実施例で示した磁気記憶素子114と比較して、第2強磁性層20と第3強磁性層30との間のZ軸方向に沿う距離を近づけることができる。このため、磁気記憶素子115では、第3強磁性層30の磁化13の磁化反転をより効率的に起こすことができる。
(第2の実施形態)
本実施形態においては、複数の磁気記憶素子がマトリクス状に配置される。
図21は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置を示す模式図である。
図21に表したように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置620は、記憶セルアレイ部MCAを含む。記憶セルアレイ部MCAは、マトリクス状に配列された複数の記憶セルMCを有する。
各記憶セルMCは、第1の実施形態に係る磁気記憶素子のいずれかを記憶部として有する。この例では、磁気記憶素子110が用いられている。
記憶セルアレイ部MCAには、複数のビット配線対(ビット配線BL及びビット配線バー\BL)及び、複数のワード配線WLが配置されている。複数のビット配線対のそれぞれは、列(カラム)方向に延在する。複数のワード配線WLのそれぞれは、行(ロウ)方向に延在する。
ビット配線BLとワード配線WLとの交差部分に、記憶セルMCが配置される。各記憶セルMCは、磁気記憶素子(例えば磁気記憶素子110)と選択トランジスタSTとを有する。磁気記憶素子110の一端は、ビット配線BLに接続されている。磁気記憶素子110の他端は、選択トランジスタSTのドレイン端子に接続されている。選択トランジスタSTのゲート端子は、ワード配線WLに接続されている。選択トランジスタSTのソース端子は、ビット配線バー\BLに接続されている。
ワード配線WLには、ロウデコーダ751が接続されている。ビット配線対のうちの一方(例えばビット配線バー\BL)の一端は、読み出し部510に接続されている。ビット配線対のうちの一方(例えばビット配線バー\BL)の他端は、スイッチ756を介して第1の電源ソース/シンク回路757に接続されている。ビット配線対のうちの他方(例えばビット配線BL)は、スイッチ754を介して第2の電源ソース/シンク回路755に接続されている。
例えば、読み出し部510、ロウデコーダ751、第1の電源ソース/シンク回路757及び第2の電源ソース/シンク回路755によって、制御部550が構成される。制御部550は、ビット配線BL、ワード配線WL及び選択トランジスタSTなどを介して、複数の磁気記憶素子110のそれぞれと電気的に接続される。制御部550は、複数の磁気記憶素子110のそれぞれに対して、データの書き込み及びデータの読み出しを実施する。
このような構成により、記憶セルアレイ部MCAの任意の記憶セルMC(例えば磁気記憶素子110)にデータを書き込み、また、磁気記憶素子110に書き込まれたデータを読み出すことができる。このように構成された不揮発性記憶装置620においても、制御部550が、第1予備動作を実施した後に、第1設定動作を実施することにより、誤動作を抑制することができる。
実施形態によれば、誤動作を抑制した不揮発性記憶装置が提供される。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不揮発性記憶装置に含まれる磁気記憶素子、制御部、積層体、第1及び第2積層部、第1〜第4強磁性層、第1及び第2非磁性層、非磁性トンネルバリア層、非磁性金属層及び磁気シールドなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施形態として上述した不揮発性記憶装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性記憶装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…第1強磁性層、 10a…主面、 10n…第1非磁性層、 11〜15…磁化、 20…第2強磁性層、 20n…第2非磁性層、 30…第3強磁性層、 31…非磁性トンネルバリア層、 32…非磁性金属層、 40…第4強磁性層、 50…第5強磁性層、 51…磁気シールド、 52…保護層、 60…電子電流、 61…センス電流、 72…磁化、 72a、72b…磁化成分、 81…第1導電層、 82…第2導電層、 110〜118、120〜123…磁気記憶素子、 510…読み出し部、 550…制御部、 610、620…不揮発性記憶装置、 751…ロウデコーダ、 754…スイッチ、 755…第2の電源ソース/シンク回路、 756…スイッチ、 757…第1の電源シース/シンク回路、 \BL…ビット配線バー、 BL…ビット配線、 EA…磁化容易軸、 MC…記憶セル、 MCA…記憶セルアレイ部、 P1〜P4…期間、 PV、PV1〜PV4、PVr…パルス電圧、 SB0…積層体、 SB1、SB2…第1、第2積層部、 SD1…積層方向、 SD2…面内方向、 SS0〜SS2、SSn…側面、 ST…選択トランジスタ、 tf…立ち下がり時間、 tp1、tp2 …時間幅、 tr、tr1〜tr4…立ち上がり時間、 WL…ワード配線、 Wx、Wy…幅

Claims (16)

  1. 磁化の方向が固定された第1強磁性層と、
    磁化の方向が可変である第2強磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
    を含み、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層及び前記第1非磁性層が積層方向に積層されている第1積層部と、
    前記積層方向に沿って前記第1積層部と積層され磁化の方向が可変である第3強磁性層と、
    前記積層方向に沿って前記第3強磁性層と積層され前記第3強磁性層と接する非磁性トンネルバリア層と、
    を含む第2積層部と、
    を含む積層体を含む磁気記憶素子と、
    前記磁気記憶素子と電気的に接続された制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記磁気記憶素子を第1状態に設定する第1動作を実施し、前記第1動作は、
    第1立ち上がり時間を有する第1パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第1予備動作と、
    前記第1予備動作の後に、前記第1立ち上がり時間よりも長い第2立ち上がり時間を有する第2パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第1設定動作と、
    を含む不揮発性記憶装置。
  2. 前記第1動作は、前記第2強磁性層の前記磁化の方向を第1方向に設定する動作であり、
    前記第1予備動作は、前記第3強磁性層の前記磁化の方向を第2方向に変化させることを含み、
    前記第1設定動作は、前記第2強磁性層の前記磁化の方向を前記第1方向に設定する動作である請求項1記載の不揮発性記憶装置。
  3. 前記第3強磁性層の前記磁化は、前記第1パルス電圧の印加している時に、前記第2方向とは異なる方向を軸として歳差運動し、
    前記第3強磁性層の前記磁化は、前記第1パルス電圧が終了したときに、前記第2方向に向く請求項2記載の不揮発性記憶装置。
  4. 前記第1パルス電圧の時間幅tp1は、前記歳差運動の周期をCpとするとき、
    (Cp/2)×(2n−1)の0.75倍以上1.25倍以下である(nは、1以上の整数)請求項3記載の不揮発性記憶装置。
  5. 前記制御部は、前記磁気記憶素子を前記第1状態とは異なる第2状態に設定する第2動作をさらに実施し、前記第2動作は、
    第3立ち上がり時間を有する第3パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第2予備動作と、
    前記第2予備動作の後に、前記第3立ち上がり時間よりも長い第4立ち上がり時間と、前記第2パルス電圧の極性とは異なる極性と、を有する第4パルス電圧を前記磁気記憶素子に印加する第2設定動作と、
    を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  6. 前記第2動作は、前記第2強磁性層の前記磁化の方向を第3方向に設定する動作であり、
    前記第2予備動作は、前記第3強磁性層の前記磁化の方向を第4方向に変化させることを含み、
    前記第2設定動作は、前記第2強磁性層の前記磁化の方向を前記第3方向に設定する動作である請求項5記載の不揮発性記憶装置。
  7. 前記第1強磁性層の前記磁化の方向の前記積層方向の成分は、前記第1強磁性層の前記磁化の方向の前記積層方向に対して垂直な方向の成分よりも大きく、
    前記第2強磁性層の前記磁化の前記積層方向の成分は、前記第2強磁性層の前記磁化の前記垂直な方向の成分よりも大きく、
    前記第3強磁性層の前記磁化の前記積層方向の成分は、前記第3強磁性層の前記磁化の前記垂直な方向の成分よりも大きい請求項1〜6のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  8. 前記第3強磁性層は、前記第2パルス電圧の印加によって高周波磁界を発生し、前記高周波磁界は、前記第2強磁性層に印加される請求項1〜7のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  9. 前記非磁性トンネルバリア層は、前記第1積層部と前記第3強磁性層との間に配置される請求項1〜8のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  10. 前記第2積層部は、磁化の方向が固定された第4強磁性層を、さらに含み、
    前記非磁性トンネルバリア層は、前記第3強磁性層と前記第4強磁性層との間に配置される請求項1〜8のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  11. 前記第1強磁性層の前記磁化の方向の前記積層方向に投影した成分の向きは、前記第4強磁性層の前記磁化の方向の前記積層方向に投影した成分の向きに対して逆である請求項10記載の不揮発性記憶装置。
  12. 前記磁気記憶素子は、前記積層体の側面の少なくとも一部を覆う磁気シールドを、さらに含む請求項1〜11のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  13. 前記積層体は、前記第1積層部と前記第2積層部との間に設けられた第2非磁性層を、さらに含み、
    前記第2非磁性層は、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、及び、バナジウム(V)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、前記群から選択された少なくとも2つ以上の金属を含む合金を含む請求項1〜12のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  14. 前記積層体は、前記第1積層部と前記第2積層部との間に設けられた第2非磁性層をさらに含み、
    前記第2非磁性層は、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及び、イリジウム(Ir)よりなる群から選択されたいずれかの金属、または、前記群から選択された少なくとも2つ以上の金属を含む合金を含み、
    前記第2非磁性層の厚さは、3ナノメートル以下である請求項1〜12のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  15. 前記積層方向に対して垂直な方向に沿う前記第3強磁性層の長さは、35ナノメートル以下であり、
    前記積層方向に沿う前記第3強磁性層の長さは、0.5ナノメートル以上3.5ナノメートル以下である請求項1〜14のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
  16. 前記磁気記憶素子は、複数設けられ、
    前記制御部は、前記複数の磁気記憶素子のそれぞれと電気的に接続される請求項1〜15のいずれか1つに記載の不揮発性記憶装置。
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