以下においては、図面を参照しつつこの発明に係る燃料ホルダを説明する。
図1に示すように、燃料ホルダ1は、収容殻2、受板3、及び付勢手段4を備えている。また、燃料ホルダ1は、燃料集合体5を収容すると共に、燃料集合体5の固定及び輸送に必要な部材であるところの固定板6、緩衝材7、台座8、上蓋9、及び下蓋10を備えている。なお、この燃料ホルダ1はこの発明に係る燃料ホルダの一実施態様である。
この発明に係る燃料ホルダが収容する燃料集合体5は、複数の燃料棒及び水管が上部タイプレート14、支持格子15、及び下部タイプレート16で束ねられて構成されている。
燃料棒としては、例えばプルトニウム酸化物(PuO2)とウラン酸化物(UO2)とを混合したMOX燃料を挙げることができる。
燃料集合体5を収容殻2に収容したときに、上蓋9は収容殻2における上部タイプレート14側の開口部を閉鎖し、下蓋10は収容部2における下部タイプレート16側の開口部を閉鎖する。燃料集合体5の上部タイプレート14及び下部タイプレート16は、それぞれの周側面が受板3及び固定板6により固定的に支持されている。受板3及び固定板6は、いずれも板状であり、収容殻2内の臨界条件及び温度条件等に耐え得る材料により形成される。
燃料集合体5の収容殻2への収容は、通常、収容殻2と燃料集合体5とを直立させて行われることが多い。下蓋10の内部に取り付けられて成る台座8は、燃料集合体5を直立させたときに、燃料集合体5の下部タイプレート16を支持可能なように位置決めされ、かつ燃料集合体5の重量に耐え得る強度等を有している。
緩衝材7は、複数の燃料ホルダを収容する輸送容器に燃料ホルダを搬送する際に燃料ホルダが落下した場合、及び輸送容器を目的地まで搬送する際に輸送容器が落下した場合等に、落下時の衝撃を吸収するために設けられている。緩衝材7は、ステンレス鋼、ホウ素含有ステンレス鋼、及び耐熱ニッケル基合金等により形成され、上部タイプレート14と同程度の強度を有しているのが好ましい。
上蓋9と下蓋10とはそれぞれが収容殻2に固定されているのが好ましい。なお、固定手段としては特に限定されず、接着、溶着、係合、嵌合又は螺合等の公知の手段又はこの発明の技術分野における通常の知識を有する者により容易に想到可能な手段を採用することができる。
図1に示すように、燃料集合体5の上部タイプレート14、及び下部タイプレート16は、通常、受板3及び固定板6等により固定的に支持されている。上部タイプレート14及び下部タイプレート15を受板3及び固定板6で固定するだけでは、輸送時の振動等が燃料集合体5に伝播したときに、上部タイプレート14から下部タイプレート15までの間に位置する燃料棒(図示せず。)及び水管(図示せず。)が装入されている部位が撓む等の不都合が生じることがある。燃料棒及び水管が装入されている部位が撓んだ場合は燃料集合体に機械的損傷が生じることがあるので、燃料集合体の上部タイプレートから下部タイプレートまでが撓んだりしないようにバランスよく固定する必要がある。この必要に応える好適な固定手段が、上部タイプレートから下部タイプレートまでの適宜の部位に装着される受板及び付勢手段の組合せである。
図1に示すように、燃料集合体5の中央部には、燃料集合体5の長手方向に直交する方向に張り出すように突出した支持格子15が、取り付けられている。支持格子15は、その1基又は2基以上が燃料集合体5の適宜位置に設けられることができる。付勢手段4及び受板3は、支持格子15に当接するように、収容殻2に設けられている。
次に、燃料ホルダ1における収容殻2、受板3、及び付勢手段4について、図2を参照しつつ更に詳述する。
図2は、図1に示した燃料ホルダ1及び燃料集合体5を、燃料ホルダ1及び燃料集合体5の長手方向軸線に直交し、かつ支持格子15を通る切断面で切断して得られる断面図である。なお、燃料集合体5内に装入される燃料棒及び水管等は省略している。
収容殻2は、燃料集合体5を収容可能な収容空間Sを形成するところの、互いに直交する4個の内壁面171、172、173及び174を有している。
前記収容空間Sは、図1に示す燃料集合体5だけでなく、他の規格に従って形成され、外形寸法の異なる燃料集合体をいずれも収容可能なように寸法等が決定されている。燃料集合体の規格としては、沸騰水型原子炉及び加圧水型原子炉等の軽水炉の種類及び大きさに応じて適宜の規格を採用することができ、例えば沸騰水型原子炉では、8×8燃料、並びに9×9燃料のS格子、C格子、N格子、及びD格子等を挙げることができる。沸騰水型原子炉に使用される燃料集合体はその規格によって、燃料集合体の外形寸法が例えば1〜2mm異なることがある。通常の場合、異なる規格で形成された燃料集合体のうちもっとも大きな規模の燃料集合体を収容することができる大きさの収容空間Sとなるように、収容殻2が設計される。この発明に係る燃料ホルダは、沸騰水型原子炉及び加圧水型原子炉のいずれにも採用できるが、現状の燃料ホルダの構造上沸騰水型原子炉に好適に使用される。
また、図2に示すように、燃料集合体5の長手方向の軸線に直交する面で燃料集合体5を切断するときに、その断面の輪郭が正方形を成す場合に、4個の内壁面171、172、173及び174を全て同一寸法にすることにより、2個の受板3をそれぞれ同一形状及び大きさにすることができ、また2個の付勢手段4をそれぞれ同一形状及び大きさにすることができる。受板3及び付勢手段4の形状及び大きさがそれぞれ同一であると、形状及び大きさの異なる部材を作り分けるという製造工程を省くことができる。
収容殻2の材料は、燃料集合体5を収容殻2に収容するときから、燃料集合体5を輸送するときまでの温度条件、要求される機械的強度、及び未臨界性等を満足する材料であれば特に制限されることは無く、例えばステンレス鋼、ホウ素含有ステンレス鋼、及び耐熱ニッケル基合金等を採用することができる。
また、図1及び2に示すように、収容殻2は、収容殻2の長手方向に直交する断面が正方形を成す筒体である。燃料集合体5を収容する前段階において、各内壁面171、172、173及び174を与える4個のパネル部材は、相互に固定されていても良く、固定されていなくとも良い。もっとも、燃料集合体5を収容した後の収容殻2は、輸送時等に収容殻2に作用する衝撃等によって、内壁面171、172、173及び174が互いに直交しなくなるような変形を生じることが無いように、適宜の補強材を内壁面の適宜個所に設けておくのが好ましい。
図2に示すように、付勢手段4は、4個の内壁面171、172、173及び174のうち、隣接する2個の内壁面171及び172それぞれに設けられている。付勢手段4は、付勢手段4が設けられた内壁面171及び172それぞれに相対向する内壁面173及び174に向かう付勢力を有している。つまり、内壁面171に設けられた付勢手段4は内壁面173に向かう付勢力を有していると共に、内壁面172に設けられた付勢手段4は内壁面174に向かう付勢力を有している。なお、付勢手段4の内壁面171及び172に対する固定態様としては、燃料集合体5の輸送時に収容殻2から付勢手段4に伝播する衝撃又は振動等によって付勢手段4が内壁面171及び172から離脱しないような固定態様であれば良く、例えば係合、接着又は溶着等の適宜の手段または付勢手段の技術分野における通常の知識を有する者であれば当然に案出することのできる手段を採用することができる。
付勢手段4としては、付勢手段4が設けられた内壁面171及び172それぞれに相対向する内壁面173及び174に向かう付勢力を有する限り特に限定されず、例えば板バネ、空気バネ、コイルバネ等を挙げることができる。
この発明に係る燃料ホルダにおける付勢手段は直接燃料集合体に当接することになるので、収容殻内の温度条件、燃料集合体から受ける荷重等に耐え得る機械的強度、及び未臨界性等に鑑みて付勢手段の材料を決定することができ、例えばステンレス鋼、ホウ素含有ステンレス鋼、及び耐熱ニッケル基合金等を採用することができる。
図2に示すように、受板3は、前記付勢手段4が設けられていない2個の内壁面173及び174(以下において、第1内壁面と称する。)に設けられている。なお、受板3の第1内壁面173及び174に対する固定態様としては、第1内壁面173及び174上での回転及び/又は第1内壁面173及び174に沿った並進移動等の移動が可能であり、かつ燃料集合体5の輸送時に収容殻2から受板3に伝播する衝撃又は振動等によって受板3が第1内壁面173及び174から離脱しないように形成されていれば良く、離脱防止手段として例えば螺合、係合等が採用される。なお、後述するように、受板3が2つ以上の部材により形成される場合には、それらのうちの少なくとも1つの部材が移動可能に形成されていればよいので、第1内壁面173及び174に対する受板の固定態様としては、第1内壁面173及び174上に接着及び溶着等により移動不能に固定される場合もある。
この燃料ホルダは規格の異なる燃料集合体を収容する場合でも、受板3が第1内壁面171及び172に固定された状態下で、所定規格で形成された燃料集合体における支持格子を受ける受板における受面と他の規格で形成された燃料集合対における支持格子を受ける第2受面とを燃料集合体に応じて変更することができる。
したがって、受板3を第1内壁面173及び174から取り外して別の受板に取り替える必要がなく、そのため厚みの異なる受板や受板の厚みを変更するためのフリーパーツのカバー乃至補助板を別部品として用意する必要もない。その結果、受板やカバーの設置し忘れといったヒューマンエラー及び受板やカバーの離脱を防止することができる。また、燃料集合体の規格に応じて受板3を取り替えることを予定していないので、燃料集合体5の輸送時に受板3が離脱し難くなるように受板3を第1内壁面173及び174に固定的に設置することができる。
この発明に係る燃料ホルダにおける受板はその受面又は第2受面で直接燃料集合体に当接することになるので、収容殻内の温度条件、燃料集合体から受ける荷重等に耐え得る機械的強度、及び未臨界性等に鑑みて受板の材料を決定することができ、例えばステンレス鋼、ホウ素含有ステンレス鋼、及び耐熱ニッケル基合金等を採用することができる。
図2に示されるように、受板3は、収容空間Sに収容された燃料集合体5を束ねた支持格子の側面181及び182からこの側面181及び182とは反対側の支持格子の側面183及び184までの支持格子寸法Wsと、支持格子15の側面181及び182(以下において、第1側面と称する。)を受ける受板3における受面から受板3が設置された第1内壁面173及び174までの寸法である受板3の受面寸法Wpとの合計が、受面及び他の受面についても一定となるように配置される。
すなわち、図2に示すように、燃料集合体5の支持格子寸法Wsとこの燃料集合体5における側面181,182を受ける受板3の受面3Aから受板3が設置されている第1内壁面173,174までの寸法である受板3の受面寸法Wpとの合計が、他の規格で形成された燃料集合体5の支持格子寸法Ws2とこの燃料集合体5における側面181,182を受ける受板3の第2受面から第1内壁面173,174までの寸法である受板3の受面寸法Wp2との合計に等しくなるように(図示せず。)、受板3が第1内壁面173,174に配置される。
つまり、ある規格で形成された燃料集合体を収容する場合に、受板における受面で燃料集合体における支持格子の側面を受けているときに、その燃料集合体よりも大きい寸法を有する他の規格に従って形成された燃料集合体を収容殻に収容する場合には、受板を移動することにより、燃料集合体の第1側面及びに当接する受板の受面から第1内壁面までの受面寸法Wpを小さくすることにより、支持格子寸法Wsと受面寸法Wpとの合計を、収容殻に収容される燃料集合体の規格が相違しても、一定にすることができる。
いずれの規格に従って形成された燃料集合体を用いた場合にも、燃料集合体の支持格子寸法Wsと、第1側面を受ける受面から第1内壁面及びまでの受面寸法Wpとの合計が、燃料集合体の規格に拘わらずに一定となるように、受板を移動することにより前記受面寸法Wpが変更されるので、いずれの規格に従って形成された燃料集合体でも、ガタつきなく一つの燃料ホルダ1に収容することができる。これにより、燃料ホルダにおける受板及び付勢手段を、燃料集合体の規格に応じて変更し、付け替える必要がなくなる。また、受板及び付勢手段の厚みを変更するためのカバーを別部品つまりフリーパーツとして用意する必要もない。換言すると、この発明に係る燃料ホルダにおいては、収容殻と受板と付勢手段とを1種類製造するだけで、種々の規格で形成された複数種の燃料集合体をガタつくことなく収容することができるので、燃料集合体の規格に応じて燃料ホルダを作り分ける必要がなく、また燃料ホルダの製造工程、材料等を削減することができる。
この燃料ホルダにおける受板の実施態様の一つを、図を参照しつつ説明する。
図3(a)〜(d)に示す実施態様の受板3は、凹部21と凸部22とを有し、受板3を図3(c)に示す位置から90°回転して図3(d)に示す位置に変更することにより、支持格子の第1側面181を受ける受面における受板3の受面寸法が受面21Aから第1内壁面173までの長さすなわち受面寸法Wpから受面26A及び26Bから第1内壁面173までの長さすなわち第2受面寸法Wp2に変更される。
図3(c)及び(d)に示されるように、この実施態様の受板3は、第1内壁面173に、直接に、又は受板3に固定された補助部材(図示せず。)を介して間接に当接する面である第1当接面263が正方形に形成されている。なお、この実施態様においては、受板3の第1当接面すなわち受面21Aの背面が直接に第1内壁面173に当接するように形造られているときには受面寸法Wpは受板における受面から受板の背面までの長さとなるが、この発明においては、受板が複数の部材により一体に形成された組立体であるとき、または受板と第1内壁面との間にフリーパーツではない高さ調節部材が一体的かつ固定的に介装されているときには、受面寸法Wpは受板の受面から第1内壁面までの長さである。
受板における第1当接面の形状は正方形以外に、長方形、円形、楕円形、及び不定形であっても良く、第1当接面の形状及び面積は、付勢手段と受板とで燃料集合体をガタつきなく収容することができるように設計される。凹部は受板の略中央部に設けられ、この例においては溝が形成されている。この凹部の溝は直方体の支持格子を嵌め込むことのできる形状及び寸法を有している。
図3(a)及び(b)に示すように、この実施形態における支持格子15は、燃料集合体5の長手方向に沿う軸線の直交する方向に突出する鍔部18を有し、この鍔部18における受板3に対向する第1側面181が平面に形成されている。図2に示すように、支持格子15の収容殻2の長手方向に直交する方向の幅は、受板3の幅よりも大きく、受板3は第1側面181の一部に当接している。したがって、凹部21は、図3(c)及び(d)に示すように、板状の受板3の略中央部に、端から端までに至る溝の形状に形成され、しかも溝の底が平面となるように形成される。つまり、図3(c)に示すように、受板3の底面23が第1側面181に当接することができるように、受板3における溝の底面23は平面に形成されている。また、凹部21は、長方形に形作られた底面23と、この底面23における長手方向の端縁のそれぞれから垂直に立ち上がる側面24及び25とを有している。側面24及び25と支持格子15との間にはクリアランスが設けられている。凸部は、この凹部21の両側に設けられ、側面24と突出平面26Aとで形成され、また側面25と突出平面26Bとで形成され、凹部21の底面23から突出した状態になっている。この実施形態においては、凸部22は2個形成されている。また、側面24及び側面25は凹部21と凸部22とにより共有される。この実施形態では、側面24及び25が底面23に対して垂直に立ち上がっているが、側面24及び25が外側に向かって傾斜してテーパ状に形成されていても良い。
この実施形態では、凸部22における突出平面26A及び26Bは底面23から同じ高さに設計されている。この突出平面26A及び26Bは、この発明における第2受面となる。また、凹部21の底面23が受面となる。なお、「受面」及び「第2受面」と称するときの「第2」は相対的呼称であり、突出平面26A、26Bを「受面」と称するならば、凹部21の底面23が第2受面となる。
図3(c)に示すように、凹部21の底面23の中央には軸穴28が設けられ、この軸穴28に回転軸27(この回転軸を第1回転軸X1と称する。)が装着され、この回転軸27は回転手段(図示せず。)に結合され、回転手段の駆動により回転軸27が回転し、回転軸27の回転により受板3が回転軸27を中心にして回転することができるようになっている。
図3(a)に示す燃料ホルダは、相対的に大きな支持格子寸法Wsを有する燃料集合体を収容する例である。このとき、支持格子寸法Wsと受面寸法Wpとの合計が一定となるように、支持格子15における第1側面181は凹部21における底面23に当接している。したがって、燃料集合体5は、受板3と付勢手段4との間に隙間なく支持されて、付勢方向においてガタつくことなく燃料ホルダに収容される。
図3(b)及び(d)に示す燃料ホルダは、前記燃料集合体よりも相対的に小さな寸法Ws2を有する燃料集合体を収容する例である。図3(b)に示される燃料ホルダにおける受板3は、その凸部22におけるその突出平面26A、26Bに、支持格子15における第1側面181が、当接している。この突出平面26A、26Bがこの発明における第2受面である。したがって、寸法Ws2は、受板3の凸部22における突出平面26A、26Bから第1内壁面173までの長さ寸法である。この支持格子寸法Ws2と受面寸法Wp2との合計はXであり、支持格子寸法Wsと受面寸法Wpとの合計Xと同じ値である。換言すると、支持格子寸法Ws2と受面寸法Wp2との合計値と支持格子寸法Wsと受面寸法Wpとの合計値とが等しくなるように、受板の各寸法が決定される。
燃料集合体5は、受板3と付勢手段4との間に隙間なく支持されて、付勢方向においてガタつくことなく燃料ホルダに収容される。
受板3の移動は、回転軸27を回転させることにより受板3を回動させることにより、図3(c)及び(d)に示す受板3にあっては90°の回転を行うことにより、実現される。
この実施形態の燃料ホルダによると、外形寸法の異なる2種類の燃料集合体5及び105に合わせて、受板3の回転移動により、受板3における支持格子15における第1側面181を受ける受面から第1内壁面までの受面寸法Wpを変更することができるので、いずれの燃料集合体もガタつきなく収容することができる。
この発明の燃料ホルダは図3に示される実施形態に限定されない。
この発明においては、第2受面は必ずしも突出平面であるに限らず、たとえば受板3における突出平面26A、26Bを受面とするならば、凹部21における溝の底面23を第2受面とすることもできる。受面のいずれが第2受面とするかは相対的である。
図3に一例として示される実施形態の燃料ホルダは、受板3を90°回転することにより、一つの受板3でありながら二種類の受面寸法Wpを実現し、外形寸法の異なる2種類の燃料集合体をガタつきなく収容することができるが、例えば、次のようにして規格の異なる3種類の燃料集合体をガタつきなく収容することもできる。例えば、受板を収容殻における第1当接面に直接に、または受板と一体に結合された補助部材を介して間接に設置されるとする場合に、受板が、第1当接面からの厚みが最も小さい底面すなわち受面を有する第1の凹部と、第1当接面からの厚みが第1当接面から第1の凹部の底面までの厚みよりも大きい底面すなわち第2の受面を有する第2の凹部と、第1当接面からの厚みが第1当接面から第2の凹部の底面までの厚みよりも大きい凸部の突出平面とを有し、受板を60°回転する毎に第1の凹部における底面、第2の凹部の底面、及び凸部の突出平面の順に支持格子が当接するように、この受板を回転移動させるだけで、規格が異なることにより外形寸法の異なる3種類の燃料集合体をガタつきなく収容殻に収容することができる。規格が異なることにより外形寸法の異なる4種類以上の燃料集合体を収容する場合にも、同様の設計とすれば良く、例えばn種類の燃料集合体をガタつきなく収容する場合には、受板を180°/n回転する毎に受板の受面寸法Wpを変更できるように、(n−1)種類の厚みを有する凹部を設ければ良い。
図3に示される受板3はその回転移動ではなくて並進移動によっても回転移動をさせたときと同様の技術的効果を奏することができる。
つまり、図3(c)に示される受板3の凹部21における底面23を、支持格子15の第1側面181を受ける受面21Aとしている状態から、この受板3を並進移動させることにより他の規格により製造された燃料集合体における支持格子の第1側面181を受板3の凸部22における突出平面26A又は26Bで受けてこの突出平面26A又は26Bを第2受面とすることもできる。
なお、この発明における「回転」は「回動」の意味を含む。
次に、燃料ホルダ1の使用方法、並びに燃料集合体5の輸送方法の一例を説明する。
ある規格で形成された燃料集合体をこの燃料ホルダに収容する場合を想定する。
その燃料集合体についての第1側面からこの第1側面とは反対側の側面183までの支持格子寸法Wsは既知である。この発明においては、支持格子寸法Wsと受面寸法Wpとの合計が一定にされているので、ある規格で形成された燃焼集合体の支持格子寸法Wsが決まると受面寸法Wpも決まる。そこで、それまでその燃料ホルダに収容されていた燃料集合体の支持格子寸法Ws2である場合にはそれに対応する受面寸法Wp2が受面寸法Wpになるように受板を移動する。受板の移動例えば回転によりそれまでの受面寸法Wp2が受面寸法Wpとなる。
続いて、図2に示されるように、収容殻2に燃料集合体5を配置する。燃料集合体5を配置した後の収容殻2は4個の内壁面171、172、173及び174が互いに直交する状態が固定されている必要があるが、燃料集合体5を配置する前の収容殻2は、各内壁面171、172、173及び174が相互に固定されていても良く、固定されていなくとも良い。つまり、燃料集合体5を配置する前の収容殻2は、例えば各内壁面171、172、173及び174がそれぞれ分離されている態様、隣接することになる内壁面171及び172と内壁面173及び174との2個ずつの内壁面が固定されている態様、内壁面171、172及び173が固定されており、内壁面174のみが分離されている態様、及び4個の内壁面171、172、173及び174が互いに直交するように固定されている態様のいずれであっても良い。
なお、燃料集合体5は図2に示す断面の形状が正方形であるので、燃料集合体5の第1側面182からその反対側に位置する側面184までの寸法が、図2における支持格子寸法Wsと同一である。よって、第1内壁面173に設けられる受板3の形状及び大きさと、第1内壁面174に設けられる受板3の形状及び大きさとは、同一にすることができる。1個の燃料ホルダ1において、用いる受板3の形状及び大きさが1種類のみで済むと、受板3を多数種作製するために要する工程及び材料を省略することができる。
いずれの規格にしたがって形成された燃料集合体を収容する場合でも、ある規格で形成された燃料集合体における支持格子寸法Wsと受板における受面の第1内壁面173からの長さである受面寸法Wpとの合計が、他の規格で形成された燃料集合体における支持格子寸法Ws2と受板における第2受板の第1内壁面173からの長さである受面寸法Wp2との合計が同じであって一定の値であるので、付勢手段4から燃料集合体5に作用する付勢力と、付勢手段4から他の規格の燃料集合体(図示せず)に作用する付勢力とは一定になる。
したがって、燃料ホルダ1が燃料集合体5をガタつきなく収容することができるのであれば、受板3を回転することにより受面寸法Wpを変更することで、付勢手段4から燃料集合体5に作用する付勢力が一定になることを考慮すると、他の規格の燃料集合体を収容するときもガタつきなく収容することができる。また、燃料集合体5が他の規格の燃料集合体に変更されても、燃料集合体の規格に応じて受板の受面寸法Wpが変更されるので、付勢手段4は変更する必要がない。さらに、受板3も、付勢手段4と同様に、燃料集合体の規格に応じて変更する必要がない。つまり、燃料ホルダ1において、受板3と付勢手段4とは1種類製造するだけで済むので、受板や付勢手段を多数種作製するために要する工程及び材料を省略することができる。
この燃料ホルダ1の使用方法によると、燃料集合体における支持格子を支持する受板3の厚みを、様々な規格に従って形成される燃料集合体の外形寸法に合わせて変更することで、いずれの規格に従って形成された燃料集合体であっても、ガタつきなく収容することができるので、規格の異なる燃料集合体毎に燃料ホルダを製造する必要がない。また、規格の異なる燃料集合体毎に燃料ホルダを選択するといった煩雑な作業がない。また、いずれの規格に従って形成された燃料集合体であっても一種類の燃料ホルダを使用することが出来るので、燃料ホルダの検査方法、管理方法等が一様になり、メンテナンスの煩雑さがなくなる。さらに、燃料集合体が収容されていない場合でも、受板3は常に収容殻2に設置されていてフリーパーツではないので、受板3の設置し忘れといったヒューマンエラーを防止することができ、また、受板3を取り替えることを予定していないので、燃料集合体の輸送時に受板3が離脱し難くなるように受板3を設置することができる。
この燃料集合体1の輸送方法によると、いずれの規格に従って形成された燃料集合体であっても、ガタつきなく収容することのできる燃料ホルダ1に燃料集合体を収容して輸送するので、規格の異なる燃料集合体毎に燃料ホルダを選択するといった煩雑な作業がない。また、例えば、従来のようにある規格Xに従って製造された燃料集合体しか収容することのできない燃料ホルダAを10本用意するとともに別の規格に従って製造された燃料集合体Yしか収容することのできない燃料ホルダBを10本用意しておいた場合に、燃料集合体X10本を需要地Pに、燃料集合体Y10本を需要地Rに輸送する場合には問題ないが、燃料集合体Xを2箇所の需要地P,Rに10本ずつ配送する必要がある場合、一方の需要地Pに10本の燃料集合体Xを燃料ホルダAに収容して配送していると、他方の需要地Rに配送する燃料集合体Xを収容する燃料ホルダAが足りない状態となるので、一方の需要地Pへの燃料集合体Xの配送を完了して燃料集合体Aの積載地(MOX燃料工場を含む)に燃料ホルダAが戻ってくるまで、他方の需要地Rに配送すべき燃料集合体Aを待機せざるを得なかった。しかしながら、この発明に係る燃料集合体の輸送方法は、X及びYいずれの規格にしたがって製造された燃料集合体であってもこれを燃料ホルダに収容することができ、燃料集合体X及びYいずれに対しても燃料ホルダを共用することができるので、配送すべき全ての燃料集合体Xを規格に依らずに積載地において積載することができる。結果として、需要地Pに配送する燃料集合体Xを収容する燃料ホルダAは足りているが、需要地Rに配送する燃料集合体Xを収容する燃料ホルダAが足りないという状態に陥ることが無く、燃料集合体Aの積載地における出荷を待つ間の待機時間を削減することができる。
次に、前述した燃料ホルダ1における受板3の第2の実施態様について、図を参照しつつ説明する。図4は、この発明の燃料ホルダに設けられた受板の一例を示す概略図である。
図4に示される受板を一例とするところの、第2の実施態様に係る受板は、図3に示される受板を一例とするところの、第1の実施態様に係る受板と、次に説明する機能を有する点において同一である。この共通の機能は、第2の実施態様に係る受板及び第1の実施態様に係る受板は、受板自体を所定の回転軸を中心にして回転させるという回転移動、及び受板自体を所定の位置から他の所定の位置へとスライド移動から選択される一種の移動運動によって、規格が異なることにより大きさが異なり、しかも方形の枠体である複数種の支持格子のいずれであってもそれら支持格子の第1側面に当接する複数の平面部を有する機能である。
前記機能を有する具体的一例である受板103は、図4に示されるように、凹部121と凸部122とを有する。凹部121は平面である底面123とその底面123に対して直角に立ち上がる側面124とで凹状に形成され、凸部122は前記凹部121に隣接し、かつ前記底面123に対して直角に立ち上がる側面124とその側面124の端縁部から、前記底面123と平行な平面を形成するように延在する上面129とで凸状に形成される。この凸部122は、凹部121における底面123から上方に突出する状態となって存在する上面129を有して成る。凹部121は、この凸部122における上面129から下方に窪んでいる状態となって存在する底面123を有して成る。なお、この実施態様においては、側面124が底面123に対して垂直に立ち上がっているが、側面は底面123から外側に傾斜する傾斜面を形成していてもよい。
図4に示される受板103が第1内壁面173に設置される場合に、この受板103の凹部121における底面123は、規格の相違により大小の相違を有する方形の枠体である二種の支持格子のうちの大きな支持格子の第1側面181に当接し、受板103の凸部122における上面129は、規格の相違により大小の相違を有する方形の枠体である二種の支持格子のうちの小さいほうの支持格子の第1側面181に当接する。
この受板103を第1内壁面173に設置される場合に、第1内壁面173に接する受板103の面264が第2当接面264となる。この第2当接面264から底面123までの厚みWpとこの底面123に当接して配置される支持格子15における支持格子寸法Wsとの合計が、第2当接面264から上面129までの厚みWp2とこの上面129に当接して配置される支持格子15における支持格子寸法Ws2との合計と等しくなるように、前記厚みWp及び前記厚みWp2とが決定される。
この受板103における第2当接面264が第1内壁面173に当接するようにこの受板103が収容殻2に設置された場合に、この受板103に設けられた適宜の回転軸(図示せず。)を中心にしてこの受板103を回転移動させることにより、所定の規格に従って大小の大きさを有する二種の支持格子15のうち大きな支持格子の第1側面181が底面123に当接し、また、小さな支持格子の第1側面181が上面129に当接するように、受板103を回転させる回転移動手段が設けられる。回転移動手段としては、この受板103を前記回転軸を中心にして回動させることのできる適宜の機構が、適宜に設計されることができる。
また、この受板103における第2当接面264が第1内壁面173に当接するようにこの受板103が収容殻2に設置された場合に、この受板103を第1内壁面173に沿って並進移動させることにより、所定の規格に従って大小の大きさを有する二種の支持格子15のうち大きな支持格子の第1側面181が底面123に当接し、また、小さな支持格子の第1側面181が上面129に当接するように、受板103を並進移動させる並進移動手段が設けられる。この並進移動手段としては、受板103を並進移動させることのできる適宜の機構が、適宜に設計されることができる。
図4に示される実施態様である受板103にあっては、底面123がこの発明における受板の受面又は第2受面であり、上面129がこの発明における受板の第2受面又は受面である。
また、図4に示される受板103は並進移動により底面123及び上面129を支持格子の第1側面を受けるようになっているが、受板103を回転移動させることにより底面123及び上面129を支持格子の第1側面を受けることができるようにすることもできる。
次に、前述した燃料ホルダ1における受板3の第3の実施態様について、図を参照しつつ説明する。図5(a)及び(b)は、収容殻を、その長手方向に沿い、且つその軸線を含む平面で、切断して表れる収容殻の断面と、その収容殻の内部に配置された受板、付勢手段例えばバネ、及び燃料集合体を束ねた支持格子とを示す、一部断面概略配置説明図である。図6は、図5(a)及び(b)に示す燃料ホルダにそれぞれ設けられた受板の概略図であり、図6(a)及び(b)はそれぞれ支持格子の第1側面に当接する第1受板を支持格子側から見た平面概略図であり、図6(c)は第1内壁面に当接する第2受板を支持格子側から見た平面概略図である。
この実施態様の受板は、図5に示すように、支持格子215の第1側面181に当接する受面及び第2受面を有する第1受板203と第1内壁面173に当接する第2受板303とを有する。
図6(a)に示すように、前記第1受板203は2つの第1平板31及び32を有し、図6(b)に示すように、前記第2受板303は2つの第2平板33及び34を有し、2つの第1平板31及び32と2つの第2平板33及び34とは全て略同一形状を有している。第1平板31及び32と第2平板33及び34とは、紙面上面から見ると中心角が90°の略扇形であり、第2受板303の第1内壁面173及び174に当接する面である第3当接面265に直交する軸(この軸を第2回転軸X2と称する。)を中心として2回対称に配置されている。このように、第2回転軸X2は、第1平板31及び32及び第2平板33及び34の外部に存在する。図6(a)及び(b)に示すように、第1平板31及び32と第2平板33及び34とは、相補的な形状を有し、同一平面上に嵌め合わされて一個の円盤形状となるように形成されている。図6(a)に示す位置にある第1受板203を第2回転軸X2を中心にして回転方向Yに向かって90°回転させると、第1受板203は図6(c)に示す位置に移動し、第1受板203と第2受板303とが重なり合う重畳様態を形成するように、第1平板31及び32と第2平板33及び34との大きさ及び形状が設計されている。
第1平板31及び32と第2平板33及び34との形状及び配置等はこのような実施の形態に限定されず、第1平板31及び32と第2平板33及び34とは、第1受板203及び/又は第2受板303を第2回転軸X2を中心として回転することにより、第1受板203と第2受板303とが嵌合しない状態、すなわち重なり合う重畳状態、又は重なり合わない非重畳状態となることにより、受面寸法Wpを変更可能であれば良く、例えば上面から見た形状が中心角45°の略扇形を有する第1平板と第2平板とが4回対称に配置されても良いし、上面から見た形状が正方形、長方形及び不定形であっても良いし、第1平板と第2平板とが同一の形状でなくても良い。
図6(a)に示すように、第1受板203は、支持格子側から見た形状、換言すると図6(a)の紙面上方から見た形状が正方形の基盤35の裏側面に2つの第1平板31及び32を有し、第2受板303はこのような基盤はなく、2つの第2平板33及び34同士が第2回転軸X2上にあるネジ穴328(図5参照)を介して接合されている。
変形例として第2受板303は、第1受板と同様に、第1内壁面173に当接する基盤(図示せず。)上に第2平板が設けられていても良い。第1受板203及び第2受板303は、第1側面181及び第1内壁面173に当接する基盤を有していても有していなくても良いが、第1受板203が基盤を有していると、基盤全面で支持格子15を支持することができるので好ましい。
第2受板303は第1内壁面173に接着及び溶着等により固定され、回転しないように固定的に形成されている。図5(a)に示されるように、第1受板203は、回転手段327を有し、この回転手段327により第2回転軸X2を中心として回転し、かつ第2回転軸X2に沿って支持格子215に向かって、あるいは第1内壁面173に向かって並進移動可能に形成されている。すなわち、図5(a)に示されるように、第2受板303に設けられたネジ穴328に回転手段327としてネジを切った軸棒327例えばボルトが挿入され、この軸棒327が第1受板203に結合され、この軸棒327を回転することにより第1受板203が回転及び第2回転軸X2に沿って並進移動するように形成されている。
この実施形態では、第2受板303が固定され、第1受板203が回転するように形成されているが、第2受板が回転し、第1受板は回転せずに第1受板と第2受板とが重なり合うときに、第1受板が第2回転軸X2に沿って並進移動可能に形成されていても良い。また、第1受板と第2受板とのいずれもが回転するように形成されていても良い。要するに、受板は、第2回転軸X2を中心にして第1平板31、32及び/又は第2平板33、34が回転し、回転することにより、第1平板31、32と第2平板33、34とが同一平面上に位置することにより重なり合わない非重畳状態及び第1平板31、32と第2平板33、34とが重なり合う重畳状態を実現することのできる構造を有する限り様々の態様を有する。
この実施態様においては、第1受板と第2受板とが重なり合った重畳状態にあるときの第1受板が支持格子の第1側面に接する面、例えば基盤の表面が受面又は第2受面となり、第1受板と第2受板とが重なり合わない非重畳状態にあるときの第1受板が支持格子の第1側面に接する面、例えば基盤の表面が第2受面又は受面となる。
第1平板31及び32と第2平板33及び34とが重なり合う重畳状態を円滑に実現するには、第1平板31及び32と第2平板33及び34とは、第1受板203が回転する方向に直交する面に対して傾いている傾斜面を有しているのが好ましい。
図6(a)を参照して傾斜面について説明する。
図6(a)において、扇形の第1平板31及び32における回転方向Yの先端部は扇形の中心と円弧とを結ぶ直線Lで示されている。この直線Lは傾斜面と基盤35の裏側表面とが交差することにより形成される線となって現れ、この直線Lから直線Lを第2回転軸X2を中心にして回転方向と反対方向に約10°回転させた直線L’まで第1平板31及び32の厚みが次第に大きくなり、直線Lと直線L’とを結ぶ平面が傾斜面S1となっている。
同様にして、第2平板33及び34もまた傾斜面S1と同じ傾きを有する平面である傾斜面S2を有し、第1平板31及び32と第2平板33及び34とが重なり合わない非重畳状態のときには、傾斜面S1と傾斜面S2とが当接している。第1平板31及び32と第2平板33及び34とが、それぞれ傾斜面を有することにより、第1平板31及び32を回転させると、傾斜面S1と傾斜面S2との間にせん断すべりが生じることで、小さな力で第1受板203と第2受板303とを、平面上に配列された非重畳状態から重なり合った重畳状態にすることができる。
相対的に大きな支持格子寸法Wsを有する燃料集合体205を燃料ホルダ201に収容する場合には、図6(a)に示すように、第1受板203における第1平板31と第1平板32との間に第1平板31の傾斜面S1と第1平板32の後端面とに挟まれるように第2受板303における第2平板34が同一平面上に嵌められ、一方、第1受板203における第1平板31と第1平板32との間に第1平板32の傾斜面S1と第1平板31の後端面とに挟まれるように第2受板303における第2平板33が同一平面上に嵌められ、第1平板31の傾斜面S1と第2平板34の傾斜面S2とが接するように、第1平板31,32と第2平板33,34とが配置されている。相対的に小さな支持格子寸法Wsを有する燃料集合体305を燃料ホルダ201に収容する場合には、回転手段327を用いて第1受板203を90°回転し、図5(b)に示すように、第1受板203と第2受板303とが重なり合うように配置する。
回転手段327により第1受板203を、図6(a)に示す回転方向Yに向かって回転させると、第1平板31、32における傾斜面S1が第2平板33,34の傾斜面S2をせり上がっていき、90°の回転が終了した時点では図6(b)及び(c)から理解できるように、第1平板31,32が第2平板33、34に重なり合った重合状態が実現される。
次に、前述した燃料ホルダ1における受板3の第4の実施態様について、図を参照しつつ説明する。図7(a)及び(b)は、この発明の燃料ホルダに設けられた受板の一例を示す側面概略図である。
図7(a)及び(b)に示す受板400は、支持格子15、215,315における第1側面181及び182(図3(a)及び(b)並びに図5(a)及び(b)を参照)に当接する第1受板403と第1内壁面173及び174(図3(a)及び(b)並びに図5(a)及び(b)を参照)に当接する第2受板503とを有し、第1受板403及び/又は第2受板503を並進移動させると傾斜面S3及び傾斜面S4が互いに剪断滑りを生じて第2受板503に第1受板403が乗り上げることにより、第1受板403と第2受板503とが重なり面積が小さくなるように重なり合った重畳状態を実現し、又は重なり面積が大きくなるように重なり合った重畳状態を実現することにより、受面寸法Wpが変更されるように、第1受板403と第2受板503との形状が形成される点において、図5(a)及び(b)、図6(a)〜(c)に示す受板202及び303とは原理的に同一である。
図7(a)及び(b)に示すように、この実施態様の受板400は、支持格子(図5参照)の第1側面181及び182に当接する第1受板403と、第1内壁面173及び174に当接する第2受板503とを有する。
第1受板403は、前記第1側面181に当接する平面である第4当接面266と、この第4当接面266に平行に形成された平坦な第1外表面267と、前記第4当接面266に平行に形成された平坦な面を有するとともに、前記第4当接面266に対して垂直な方向での第4当接面266から前記第1外表面267までの長さよりも、第4当接面266からの長さが短く設計された第2外表面268と、前記第1外表面267から第2外表面268に連続して形成された傾斜面S3とを有する。
第2受板503は、前記第1内壁面173に当接する平面である第3当接面265と、この第3当接面265に平行に形成された平坦な第3外表面269と、前記第3当接面265に平行に形成された平坦な面を有するとともに、前記第3当接面265に対して垂直な方向での第3当接面265から前記第3外表面269までの長さよりも、第3当接面265からの長さが短く設計された第4外表面270と、前記第3外表面269から第4外表面270に連続して形成された傾斜面S4とを有する。
第1受板403における前記第4当接面266は、その輪郭が、第1側面181からみて正方形をなすが、長方形、円形、楕円形、及び不定形であってもよい。この第4当接面266の面積ないし大きさは、付勢手段4と受板400とで燃料集合体をガタつきなく収容することのできる十分な面積ないし大きさに設計される。
第2受板503における前記第3当接面265は、その輪郭が、第1内壁面173からみて正方形をなすが、長方形、円形、楕円形、及び不定形であってもよい。この第3当接面265の面積ないし大きさは、付勢手段4と受板400とで燃料集合体をガタつきなく収容することのできる十分な面積ないし大きさに設計される。
第1外表面267は第2受板503と共同して燃料集合体の重量を支えることができるように、第1内壁面173側から見た第1外表面267の形状及び面積が決定される。
第3外表面269は第1受板403と共同して燃料集合体の重量を支えることができるように、第1側面181側から見た第3外表面269の形状及び面積が決定される。
第1受板403における傾斜面S3の傾斜角と第2受板503における傾斜面S4とは同じ傾斜角である。
第1受板403及び第2受板503は、第1受板403の第1外表面267と第2受板503の第4外表面270とを向き合わせ、傾斜面S3と傾斜面S4とを向き合わせ、第2外表面268と第3外表面269とを向き合わせて重ねたときに前記向き合う面が隙間なく接触することができるように、設計される。
第2受板503は、第1内壁面173を貫通するハンドル等の平面移動手段427を有し、このハンドル427を用いて第1内壁面173上を並進移動可能に形成されている。
第1受板403は軸棒527を有し、この軸棒527を介して第1内壁面173に、第1内壁面173に沿って移動不能に固定され、第1内壁面173に直交する方向すなわち軸棒527の軸線方向に沿って移動可能に形成されている。この実施態様では、平面移動手段427は第1内壁面173を貫通するように形成されているが、第2受板503の側面すなわち第1内壁面173に対して直交する4つの側面の少なくとも一箇所に設けられていてもよい。
この実施形態では、第1受板403が軸棒527の軸線方向に沿って移動可能に形成されるとともに第1内壁面173に沿って並進移動不可能に形成され、一方、第2受板503が平面移動手段427の軸線方向に沿って移動不可能に形成されるとともに第1内壁面173上を並進移動可能に形成されているが、第1受板403が軸棒527の軸線方向に沿って移動可能に形成されるとともに第1内壁面173上を並進移動可能に形成され、一方、第2受板503は第1内壁面173に接着及び溶着等により固定されていてもよい。
図7(a)及び(b)に示されるように、第2受板503に設けられたハンドル427を用いて第2受板503を第1内壁面173に沿って移動させると、第1受板403が第1内壁面173に沿って移動不能に固定され、軸棒527の軸線方向に移動可能であるので、第1外表面267と第4外表面270とが重なり合い、傾斜面S3と傾斜面S4とが重なり合い、かつ第2外表面268と第3外表面269とが重なり合った重畳状態から、第1外表面267と第3外表面269とが重なり合った重畳状態に変移し、受板400による受面寸法Wpが変化する。
相対的に大きな寸法Wsを有する燃料集合体を燃料ホルダに収容する場合には、図7(a)に示すように、第1外表面267と第4外表面270とが重なり合い、傾斜面S3と傾斜面S4とが重なり合い、かつ第2外表面268と第3外表面269とが重なり合った重畳状態となるように、第1受板403と第2受板503とを配置する。相対的に小さな寸法Wsを有する燃料集合体を燃料ホルダに収容する場合には、ハンドル等の平面移動手段427を用いて第2受板503を並進移動させ、図7(b)に示すように、第1外表面267と第3外表面269とが重なり合った重畳状態に変移させる。
この実施態様の受板においては、第1受板403と第2受板503とが重なり面積が小さくなるように重なり合った重畳状態と重なり面積が大きくなるように重なり合った重畳状態が実現され、第1受板403における前記第4当接面266が第1側面181を受ける第2受面又は受面となる。
次に、前述した燃料ホルダにおける受板の第5の実施態様について、図を参照しつつ説明する。図8(a)及び(b)は、燃料ホルダを燃料集合体の長手方向に沿って一部切断して燃料ホルダの断面を露出させるとともに内部に収容されている燃料集合体を露呈させた状態を示す一部断面概略図である。
図8(a)及び(b)に示すように、受板600は、第1側面181と第1内壁面173との間に配置された第3受板603と第1内壁面173に設置され、かつ第1内壁面173に接触しながら並進移動可能な第4受板703とを有する。
第3受板603は略板状であり、図8(a)において燃料集合体405から第1内壁面173に向かう方向で見ると正方形の平面形状を有するように設計される。なお、第3受板603は、図8(a)において燃料集合体405から第1内壁面173に向かう方向で見た形状として前記正方形以外に、長方形、円形、楕円形、及び不定形に設計されても良く、また、付勢手段4と第3受板603及び/又は第4受板703とで燃料集合体405又は505をガタつきなく収容することのできる面積を有しているのが良い。
第3受板603は、この第3受板603を第1内壁面173に設置する場合に、燃料集合体405側に向かう広大面604と、第1内壁面173側に向かう狭小面605と、この第3受板603の側面に相当するところの、前記広大面604の端縁から前記狭小面605の端縁までに至る傾斜面S5とを有する。第3受板603は前記傾斜面S5を二面有する。つまり、第3受板603は、収容殻2の長手方向に臨むように形成された二つの傾斜面S5を有する。
第3受板603は、前記広大面604と狭小面605と二つの傾斜面S5とを有することにより、第3受板603を設置した第1内壁面173の長手方向すなわち軸線方向に直交する方向からみると、図8(a)に示されるように、台形に形成される。
図8(a)及び(b)に示されるように、この実施形態における第4受板703は、2つの第4小受板703A,703Bとから形成される。二つの第4小受板703A及び703Bは同じ形状に形成され、第1内壁面173に設置された第4小受板703A及び703Bを、燃料集合体405から第1内壁面173に向かう方向で見ると長方形に形成された狭小面704と、第1内壁面173に向かう面であり、前記狭小面704よりも大きな面積を有する広大面705と、前記狭小面704の端縁から前記広大面705の端縁までを結ぶようにして形成された傾斜面S6とを有する。傾斜面S6の傾斜角すなわち傾斜面S6と広大面705とのなす角度は、第3受板603における傾斜面S5の傾斜角と同一に、設計される。
二つの第4小受板703Aと703Bとは、それらの傾斜面S5が互いに対向するように、第1内壁面173に配置される。
図8(b)に示すように、第3受板603と2つの第4受板703とが重なり合う重畳状態になったときに、付勢手段4と受板603及び703とで燃料集合体405及び505を安定して固定することができるように、第4小受板703A,703Bの大きさ及び寸法等が設計される。
なお、この実施形態では、第4受板703は2つの第4小受板703A及び703Bにより形成されるが、第4受板703は第4小受板1基であっても3基以上であっても良い。
また、この実施形態では、第4小受板703Aと第4小受板703Bとは同じ形状に形成されているが、第4小受板703Aと第4小受板703Bとは異なる形状であってもよい。
第4受板703を形成する第4小受板703A,703Bそれぞれは、第1内壁面173を貫通するハンドル等の平面移動手段627を有し、このハンドル627を用いて第1内壁面173上を並進移動可能に形成されている。変形例として、平面移動手段627は、第4小受板703A,703Bの側面すなわち第1内壁面173に対して直交する3つの側面の少なくとも一箇所に設けられていてもよい。
第3受板603は軸棒727を有し、この軸棒727を介して第1内壁面173に固定され、第1内壁面173に直交する方向にすなわち軸棒727に沿って移動可能に形成されている。
この実施態様における受板600の作用について説明する。
図8(a)に示す燃料集合体405における支持格子寸法Wsが図8(b)に示す燃料集合体505における支持格子寸法Wsよりも長いと仮定する。
まず、図8(a)に示すように、燃料集合体405を収容殻2に収容する場合、第4小受板703A及び703Bを互いに離れさせ、第4小受板703Aと第4小受板703Bとの間に第3受板603が配置されるに十分な間隔を設けて第4小受板703Aと第4小受板703Bとを位置させる。この位置関係では、第3受板603の傾斜面S5と第4小受板703A又は703Bの傾斜面S6とが向かい合っている。なお、傾斜面S5と傾斜面S6とは接触していてもいなくてもよい。
燃料集合体405における支持格子415の第1側面181を第3受板603の広大面604が受け、つまり第1側面181が広大面604に当接し、第3受板603の狭小面605が第1内壁面173に当接する。
この状態下にあっては、付勢手段4による付勢力により、支持格子415が広大面604に向かって押し付けられ、支持格子415による押圧力により第3受板603が第1内壁面173に押圧される。その結果として、燃料集合体405がガタつきなく収容殻2内に収容される。
図8(a)に示す燃料集合体405よりも小さなサイズの燃料集合体505を収容殻2内に収容するには、次にように操作する。
図8(a)に示される状態にある第3受板603の傾斜面S5に向かって第4小受板703A及び703Bを同時に第1内壁面173上をスライドさせて第4小受板703Aと第4小受板703Bとを互いに接近させる。第4小受板703A,703Bの傾斜面S6が第3受板603の傾斜面S5に接触するに至ってからさらに第4小受板703A及び703Bを互いにさらに近接するようにこれらを並進移動させると、傾斜面S5と傾斜面S6との間に剪断すべりが発生し、傾斜面S5の傾斜面上を傾斜面S6が競り上がっていく。さらに第4小受板703Aと第4小受板703Bとをさらに近接するようにこれらを並進移動させると、ついには第3受板603が第4小受板703A,703Bの狭小面704の表面に当接した状態になり、この状態は第3受板603と第4小受板703A,703Bとが重なり合った状態すなわち重畳状態である。
この重畳状態にある第3受板603の厚みと第4小受板703A,703Bの厚みとの合計がWpである。
この重畳状態下では、付勢手段4による付勢力により、支持格子515が広大面604に向かって押し付けられ、支持格子515による押圧力により第3受板603及び第4小受板703A,703Bが第1内壁面173に押圧される。その結果として、燃料集合体405がガタつきなく収容殻2内に収容される。
この実施態様においては、第3受板603と第4受板703とが重なり合う重畳状態及び重なり合わない非重畳状態のいずれにおいても、第3受板603における広大面604が第1側面181を受ける受面又は第2受面となる。
次に、前述した燃料ホルダ1における受板の第6の実施形態について、図を参照しつつ説明する。図9(a)及び(b)は、この発明の燃料ホルダに設けられた受板の一例を示す概略図である。
図9(a)及び(b)に示す受板800は、第1側面181と第1内壁面173との間に固定的に配置された第3受板803と第1内壁面173上を移動可能な第4受板903とを有し、第4受板903を移動させることにより、第3受板803と第4受板903とが重なり合う重畳状態及び第3受板803と第4受板903とが重ならない非重畳状態を実現することにより、前記受面寸法Wpが変更される点において、図8(a)及び(b)に示す受板603は同じ原理である。
この実施態様の受板800は、第1側面181と第1内壁面173との間に配置された第3受板803と第1内壁面173に設置され、かつ前記第1内壁面173との間に間隙を維持しながら移動可能な第4受板903とを有する。
第3受板803は板状であり、第1内壁面173に装着された第3受板803を収容殻の内部から第1内壁面173に向かって見ると長方形に形成されて成る。
なお、第3受板803の形状は、第1内壁面173に装着された第3受板803を収容殻の内部から第1内壁面173に向かって見て認識することのできる長方形以外に、正方形、円形、楕円形、及び不定形であっても良く、また、付勢手段4と受板803とで燃料集合体405及び505をガタつきなく収容することのできる面積を有しているのが良い。
第4受板903は略板状であり、第1内壁面173から第3受板803の厚み分だけ離れるように2つの脚部36を介して第1内壁面に設置されている。この実施形態における第4受板903は1つであるが、第3受板803の両側から2つの第4受板903を移動させて、第3受板803と2つの第4受板903とが重なるように形成されても良い。
第4受板903は第1内壁面173を貫通するハンドル等の平面移動手段827を有し、このハンドル827を用いて第1内壁面173上を直進移動可能に形成されている。第3受板803は第1内壁面173に接着、溶着等により固定されている。
相対的に大きなWsを有する燃料集合体を燃料ホルダに収容する場合には、図9(a)に示すように、第3受板803と第4受板903とが第1内壁面173上に重ならないように配置し、第3受板803のみが第1側面181と第1内壁面173との間に介在するようにする。相対的に小さなWsを有する燃料集合体を燃料ホルダに収容する場合には、平面移動手段827を用いて第4受板903を並進移動し、図8(b)に示すように、第4受板903と第3受板803とが重なり合い、第4受板903が第3受板803と第1側面181及び182との間に介在するように配置する。
この実施態様においては、第3受板803と第4受板903とが重なり合わないように配置されるとき、第3受板803における第5外表面804が第1側面181を受ける受面又は第2受面になり、第3受板803と第4受板903とが重なり合うように配置されるとき、第4受板903における第6外表面805が受面又は第2受面となる。