以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、全体として前面を開放した箱状に形成されており、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11には、その正面から見て左側部に上下一対の支軸13a,13bが設けられており、前面扉12には、各支軸13a,13bと対応する位置に軸受部14a,14bが設けられている。そして、各軸受部14a,14bに各支軸13a,13bが挿入された状態では、前面扉12が筐体11に対して両支軸13a,13bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、前面扉12の回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。また、前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置20によって開放不能な施錠状態とされる。前面扉12の右端側上部には、施錠装置20と一体化されたキーシリンダ21が設けられており、キーシリンダ21に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル25が設けられている。遊技パネル25には、縦長の3つの表示窓26L,26M,26Rが横並びに形成されており、各表示窓26L,26M,26Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓26L,26M,26Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板30によりその内部が上下2分割されており、仕切り板30の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット31が取り付けられている。リールユニット31は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール32L,中リール32M,右リール32Rを備えている。各リール32L,32M,32Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール32L,32M,32Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール32L,32M,32Rが各表示窓26L,26M,26Rと1対1で対応している。したがって、各リール32L,32M,32Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓26L,26M,26Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール32L,32M,32Rが正回転すると、各表示窓26L,26M,26Rを通じてリール32L,32M,32Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
ここで、リールユニット31の構成を簡単に説明する。
各リール32L,32M,32Rは、それぞれがステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール32L,32M,32Rが個別に、すなわちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。ステッピングモータは、例えば504パルスの駆動信号(以下、励磁パルスとも言う。)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータの回転位置、すなわちリールの回転位置が制御される。また、リールユニット31には、リールが1回転したことを検出するためのリールインデックスセンサが各リール32L,32M,32Rに設置されている。そして、リールインデックスセンサからは、リールが1回転したことを検出した場合、その検出の都度、後述する主制御装置101に検出信号が出力されるようになっている。このため主制御装置101は、リールインデックスセンサの検出信号と、当該検出信号が入力されるまでに出力した励磁パルス数とに基づいて、各リール32L,32M,32Rの角度位置を1回転毎に確認するとともに補正することができる。
各リール32L,32M,32Rの外周面には、その長辺方向(周回方向)に、識別情報としての図柄が複数個描かれている。より具体的には、21個の図柄が等間隔に描かれている。このため、所定の位置においてある図柄を次の図柄へ切り替えるには、24パルス(=504パルス÷21図柄)の励磁パルスの出力を要する。主制御装置101は、リールインデックスセンサの検出信号が入力されてから出力した励磁パルス数により、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な状態となっている図柄を把握したり、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な位置に所定の図柄を停止させたりする制御を行うことができる。
次に、各リール32L,32M,32Rに描かれている図柄について説明する。
図6には、左リール32L,中リール32M,右リール32Rの図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール32L,32M,32Rには、それぞれ21個の図柄が一列に配置されている。また、各リール32L,32M,32Rに対応して番号が0〜20まで付されているが、これら番号は主制御装置101が表示窓26L,26M,26Rから視認可能な状態となっている図柄を認識するための番号であり、リール32L,32M,32Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
図柄としては、「ベル」図柄(例えば、左リール32Lの20番目)、「青7」図柄(例えば、左リール32Lの19番目)、「リプレイ」図柄(例えば、左リール32Lの18番目)、「スイカ」図柄(例えば、左リール32Lの17番目)、「青チェリー」図柄(例えば、左リール32Lの16番目)、「白7」図柄(例えば、左リール32Lの13番目)、「青年」図柄(例えば、左リール32Lの12番目)、「赤7」図柄(例えば、左リール32Lの7番目)、「赤チェリー」図柄(例えば、左リール32Lの3番目)の9種類がある。そして、図6に示すように、各リール32L,32M,32Rにおいて各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
各表示窓26L,26M,26Rは、対応するリールに付された21個の図柄のうち図柄全体を視認可能となる図柄が3個となるように形成されている。このため、各リール32L,32M,32Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が表示窓26L,26M,26Rを介して視認可能な状態となる。
本スロットマシン10では、これら9個の図柄が視認可能となる各位置を結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが設定されている。より詳しくは、図7に示すように、横方向の組合せラインとして、各リール32L,32M,32Rの上段図柄を結んだ上ラインL1と、各リール32L,32M,32Rの中段図柄を結んだ中ラインL2と、各リール32L,32M,32Rの下段図柄を結んだ下ラインL3と、が設定されている。また、斜め方向の組合せラインとして、左リール32Lの上段図柄,中リール32Mの中段図柄,右リール32Rの下段図柄を結んだ右下がりラインL4と、左リール32Lの下段図柄,中リール32Mの中段図柄,右リール32Rの上段図柄を結んだ右上がりラインL5と、が設定されている。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合には、入賞成立として、遊技媒体たるメダルが所定数払い出される特典が付与されたり、遊技状態が移行される特典が付与されたりするようになっている。また、前面扉12の背面側には、図4に示すように、補助演出部を構成する発光ユニット33が配設されている。発光ユニット33の前面側には、図7に示すように、視認可能となる9個の図柄と対応する位置に、左右一対の発光表示部34L〜36L,34M〜36M,34R〜36Rがそれぞれ設けられている。
図8には、入賞となる図柄の組合せと、入賞となった場合に付与される特典とが示されている。
メダル払出が行われる入賞としては、スイカ入賞と、ベル入賞と、第1及び第2チェリー入賞とがある。各リール32L,32M,32Rの「スイカ」図柄が有効ライン上に並んで停止した場合、スイカ入賞として15枚のメダル払出が行われ、各リール32L,32M,32Rの「ベル」図柄が有効ライン上に並んで停止した場合、ベル入賞として10枚のメダル払出が行われる。また、左リール32Lの「赤チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合、第1チェリー入賞として2枚のメダル払出が行われ、左リール32Lの「青チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合、第2チェリー入賞として2枚のメダル払出が行われる。すなわち、第1及び第2チェリー入賞の場合には、中リール32Mと右リール32Rについて、有効ライン上に停止する図柄がどのような図柄であっても良い。換言すれば、左リール32Lのいずれかの「チェリー」図柄と、中リール32M及び右リール32Rの任意の図柄との組合せが有効ライン上に停止した場合、対応するチェリー入賞が成立するとも言える。したがって、左リール32Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段と下段)に「赤チェリー」図柄又は「青チェリー」図柄が停止した場合には、各有効ライン上にて対応するチェリー入賞が成立することとなり、結果として4(=2×2)枚のメダル払出が行われる。なお、本スロットマシン10では、チェリー入賞が成立する場合、左リール32Lの「赤チェリー」図柄又は「青チェリー」図柄が上段と下段のいずれかに停止するようになっており、常に4枚のメダル払出が行われるようになっている。
遊技状態の移行が行われる入賞としては、第1〜第3BB入賞の3種類のBB入賞がある。各リール32L,32M,32Rの同色の「7」図柄が有効ライン上に並んで停止した場合、BB入賞として遊技状態がビッグボーナス状態(以下、「BB状態」と言う。)に移行する。具体的には、有効ライン上に左から「赤7」図柄,「赤7」図柄,「赤7」図柄と並んで停止した場合には、第1BB入賞成立となり、有効ライン上に左から「青7」図柄,「青7」図柄,「青7」図柄と並んで停止した場合には、第2BB入賞成立となり、有効ライン上に左から「白7」図柄,「白7」図柄,「白7」図柄と並んで停止した場合には、第3BB入賞成立となる。
メダル払出や遊技状態の移行以外の特典が付与される入賞としては、再遊技入賞がある。各リール42L,42M,42Rの「リプレイ」図柄が有効ライン上に並んで停止した場合、再遊技入賞として、メダル払出や遊技状態の移行は行われないものの、メダルを投入することなく次ゲームの遊技を行うことが可能となる。
その他の入賞として、遊技状態がBB状態である場合に限って入賞となるRB入賞がある。BB状態下で有効ライン上に左から「リプレイ」図柄,「ベル」図柄,「リプレイ」図柄と並んで停止した場合、RB入賞として、メダル払出は行われないものの遊技状態がレギュラーボーナス状態(以下、「RB状態」と言う。)に移行する。
なお以下では、各入賞と対応する図柄の組合せを入賞図柄の組合せとも言う。例えば、第1BB図柄の組合せとは、第1BB入賞となる図柄の組合せ、すなわち「赤7」図柄,「赤7」図柄,「赤7」図柄の組合せである。また、各入賞と対応する各リール32L,32M,32Rの図柄を入賞図柄とも言う。例えば、第1BB図柄とは、各リール32L,32M,32Rにおける「赤7」図柄である。
遊技パネル25の下方左側には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー41が設けられている。スタートレバー41はリール32L,32M,32Rを回転開始、すなわち図柄の可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。所定数のメダルが投入されている状態でスタートレバー41を操作された場合、各リール32L,32M,32Rが回転を開始するようになっている。
スタートレバー41の右側には、回転している各リール32L,32M,32Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ42〜44が設けられている。各ストップスイッチ42〜44は、停止対象となるリール32L,32M,32Rに対応する表示窓26L,26M,26Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ42が操作された場合には左リール32Lの回転が停止し、中ストップスイッチ43が操作された場合には中リール32Mの回転が停止し、右ストップスイッチ44が操作された場合には右リール32Rの回転が停止する。ストップスイッチ42〜44はリール32L,32M,32Rの回転に基づく図柄の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。
表示窓26L,26M,26Rの下方右側には、メダルを投入するためのメダル投入口45が設けられている。メダル投入口45は遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口45が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、遊技媒体を直接入力する直接入力手段を構成するものとも言える。
メダル投入口45から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ46によって貯留用通路47か排出用通路48のいずれかへ導かれる。より詳しくは、セレクタ46にはメダル通路切替ソレノイド46aが設けられており、そのメダル通路切替ソレノイド46aの非励磁時にはメダルが排出用通路48側に導かれ、前記メダル通路切替ソレノイド46aの励磁時にはメダルが貯留用通路47側に導かれるようになっている。貯留用通路47に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置51へと導かれる。一方、排出用通路48に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口49からメダル受け皿50へと導かれ、遊技者に返還される。
ホッパ装置51は、メダルを貯留する貯留タンク52と、メダルを遊技者に払い出す払出装置53とより構成されている。払出装置53は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路48に設けられた開口48aへメダルを排出し、排出用通路48を介してメダル受け皿50へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置51の右方には、貯留タンク52内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク54が設けられている。ホッパ装置51の貯留タンク52内部には、この貯留タンク52から予備タンク54へとメダルを排出する誘導プレート52aが設けられている。したがって、誘導プレート52aが設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク54に貯留されることとなる。
メダル投入口45の下方には、ボタン状の返却スイッチ55が設けられている。メダル投入口45に投入されたメダルがセレクタ46内に詰まった状況下で返却スイッチ55を操作された場合、セレクタ46が機械的に連動して動作され、当該セレクタ46内に詰まったメダルがメダル排出口49から返却されるようになっている。
表示窓26L,26M,26Rの下方左側には、遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するための第1クレジット投入スイッチ56が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ56の左方には、第2クレジット投入スイッチ57と、第3クレジット投入スイッチ58とが設けられている。第2クレジット投入スイッチ57は仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ58は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ56〜58は前記メダル投入口45とともに遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口45が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し、各クレジット投入スイッチ56〜58は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、遊技媒体を間接入力する間接入力手段を構成するものとも言える。
スタートレバー41の左方には、精算スイッチ59が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算スイッチ59を操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口49から払い出されるようになっている。この場合、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、精算スイッチ59は貯留記憶された遊技媒体を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものとも言える。
遊技パネル25の表示窓26L,26M,26R下方には、クレジットされている仮想メダル数を表示するクレジット表示部60と、BB状態が終了するまでに払い出される残りのメダル数を表示する残払出枚数表示部61と、入賞時に払い出したメダルの枚数を表示する払出枚数表示部62とがそれぞれ設けられている。これら表示部60〜62は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
ここで、メダルのベット数と、有効化される組合せラインとの関係を、図7を用いて説明する。遊技の開始時にメダル投入口45からメダルが投入されるとベットとなる。
1枚目のメダルがメダル投入口45に投入された場合、ベット数は1となり、中ラインL2が有効化される。2枚目のメダルがメダル投入口45に投入された場合、ベット数は2となり、中ラインL2に加えて上ラインL1と下ラインL3を含む合計3本の組合せラインが有効化される。3枚目のメダルがメダル投入口45に投入された場合、ベット数は3となり、組合せラインL1〜L5の全てが有効化される。
なお、4枚以上のメダルがメダル投入口45に投入された場合、そのときに貯留記憶されている仮想メダルが50枚未満であれば、3枚を超える余剰メダルはスロットマシン10内部に貯留され、クレジット表示部60の仮想メダル数が加算表示される。一方、仮想メダル数が50枚のとき又は50枚に達したときには、セレクタ46により貯留用通路47から排出用通路48への切替がなされ、メダル排出口49からメダル受け皿50へと余剰メダルが返却される。
また、仮想メダルが貯留記憶されており、遊技の開始時に第1〜第3クレジット投入スイッチ56〜58のいずれかが操作された場合にも、仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ56〜58のいずれかが操作された場合については、投入された仮想メダルの枚数分だけクレジット表示部60に表示されている仮想メダル数が減算されることを除き、メダル投入口45からメダルを投入した場合と同じため、説明を省略する。
ちなみに、第1〜第3クレジット投入スイッチ56〜58のいずれかが操作された場合に投入されるべき仮想メダルが貯留記憶されていない場合、例えばクレジット表示部60の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ56が操作された場合等には、クレジット表示部60の数値が全て減算されて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ63と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ64と、遊技者に各種情報を与える補助表示部65とが設けられている。補助表示部65は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール32L,32M,32Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部65と称している。補助表示部65の背面には、発光ユニット33や上部ランプ63、スピーカ64、補助表示部65を駆動させるための表示制御装置81が設けられている。
筐体11の内部においてホッパ装置51の左方には、電源ボックス70が設けられている。電源ボックス70は、その内部に電源装置91を収容するとともに、電源スイッチ71やリセットスイッチ72、設定キー挿入孔73などを備えている。電源スイッチ71は、主制御装置101を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ72は、スロットマシン10のエラー状態をリセットするためのスイッチである。また、設定キー挿入孔73は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔73へ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。なお、リセットスイッチ72は、エラー状態をリセットする場合の他に、スロットマシン10の当選確率を変更する場合にも操作される。
リールユニット31の上方には、遊技を統括管理する主制御装置101が筐体11に取り付けられている。主制御装置101は、主制御基板が透明な合成樹脂材料にて形成された基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、開放不能に又は開放されるとその痕跡が残るように封印処理が施されており、主制御装置101は、筐体11から取り外し不能に又は筐体11から取り外すとその痕跡が残るように封印処理が施されている。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図9のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置101には、演算処理手段であるCPU102を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU102には、電源装置91の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路103や、入出力ポート104などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置101は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。
主制御装置101の入力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rが1回転したことを個別に検出するリールインデックスセンサ)、スタートレバー41の操作を検出するスタート検出センサ41a、各ストップスイッチ42〜44の操作を個別に検出するストップ検出センサ42a〜44a、メダル投入口45から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ45a、ホッパ装置51から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ51a、各クレジット投入スイッチ56〜58の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ56a〜58a、精算スイッチ59の操作を検出する精算検出センサ59a、リセットスイッチ72の操作を検出するリセット検出センサ72a、設定キー挿入孔73に設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する設定キー検出センサ73a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート104を介してCPU102へ出力されるようになっている。
また、主制御装置101の入力側には、入出力ポート104を介して電源装置91が接続されている。電源装置91には、主制御装置101を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部91aや、停電監視回路91bなどが搭載されている。
停電監視回路91bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ71による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路91bは、電源部91aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU102と入出力ポート104のそれぞれに供給され、CPU102ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。また、この停電信号は表示制御装置81にも供給されるように構成されている。
電源部91aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置101などの制御系において駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置101による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置101の出力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rを回転させるためのステッピングモータ)、セレクタ46に設けられたメダル通路切替ソレノイド46a、ホッパ装置51、クレジット表示部60、残払出枚数表示部61、払出枚数表示部62、表示制御装置81、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板121等が入出力ポート104を介して接続されている。
表示制御装置81は、発光ユニット33や上部ランプ63、スピーカ64、補助表示部65を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された表示制御基板81aを備えている。そして、主制御装置101からの信号を受け取った上で、表示制御装置81が独自に発光ユニット33、上部ランプ63、スピーカ64及び補助表示部65を駆動制御する。また、表示制御装置81は、表示制御装置81からの信号を主制御装置101が受信できないように、すなわち一方向通信となるように、主制御装置101と電気的に接続されている。したがって、表示制御装置81は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置101との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。なお、各種表示部60〜62も表示制御装置81が駆動制御する構成としてもよい。
上述したCPU102には、このCPU102によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM105と、このROM105に記憶されている制御プログラムを実行するにあたって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM106の他に、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM105とRAM106によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図10以降のフローチャートに示される各種処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM105に記憶されている。
RAM106は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源装置91からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。RAM106には、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、役の抽選結果を記憶するための当選フラグ格納エリア106a、各リール32L,32M,32Rの停止制御を行う場合に用いるスベリテーブルを記憶するためのスベリテーブル格納エリア106b、BB状態等の遊技状態を記憶するための状態情報格納エリア106c等の他に、バックアップエリアが設けられている。
バックアップエリアは、停電等の発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ71の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタの値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ71の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図10参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。
また、CPU102のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路91bからの停電信号が入力されるように構成されている。そして、電源遮断時には、停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行されるようになっている。
続いて、主制御装置101のCPU102により実行される各制御処理について説明する。かかるCPU102の処理としては、大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子への停電信号の入力に伴い起動されるNMI割込み処理とがある。以下では、これら各処理のうち遊技の進行に関わる処理、すなわちタイマ割込み処理と、メイン処理にて行われる通常処理とを図10〜図19のフローチャートを参照しながら説明する。
図10は、主制御装置101で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置101のCPU102により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、ステップS101に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU102内の全レジスタの値をRAM106のバックアップエリアに退避させる。ステップS102では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS103に進み、停電時処理を実行する。
ここで、停電時処理について概略を説明する。
停電の発生等によって電源が遮断されると、電源装置91の停電監視回路91bから停電信号が出力され、当該停電信号がNMI端子を介して主制御装置101に入力される。主制御装置101は、停電信号が入力された場合、即座にNMI割込み処理を実行し、停電フラグをRAM106に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。
停電時処理では、先ずコマンドの送信が終了しているか否かを判定し、送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンドの送信を終了させる。コマンドの送信が終了している場合には、CPU102のスタックポインタの値をRAM106のバックアップエリアに保存する。その後、入出力ポート104における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。そして、停電解消時にRAM106のデータが正常か否かを判定するためのRAM判定値を算出してバックアップエリアに保存することにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する。以上の処理を行った後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM106への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、タイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。ちなみに、無限ループ下においても停電信号が出力されているか否かを確認しており、停電信号が出力されなくなった場合にはメイン処理に移行する。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS102にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS104以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS104では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS105では、CPU102自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS106では、各リール32L,32M,32Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS107では、入出力ポート104に接続されたストップ検出センサ42a〜44a,投入メダル検出センサ45a,払出検出センサ51a等の各種センサ(図9参照)の状態を読み込むと共に、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。ステップS108では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS109では、メダルのベット数や、払出枚数をカウントした結果を外部集中端子板121へ出力するカウンタ処理を行う。
ステップS110では、後述する開始コマンドや抽選結果コマンド等の各種コマンドを表示制御装置81へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS111では、クレジット表示部60、残払出枚数表示部61及び払出枚数表示部62にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS112では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部60〜62に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS113では、入出力ポート104からI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS114では、先のステップS101にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU102内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS115にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図11のフローチャートに基づき説明する。
先ずステップS201では、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行う。ステップS202では、遊技を可能とするための開始前処理を行う。開始前処理では、表示制御装置81等が初期化を終了するまで待機する。表示制御装置81等の初期化が終了した場合には、ステップS203〜ステップS213に示す遊技管理処理を行う。
遊技管理処理として、ステップS203では、RAM106に格納された各種遊技情報等のデータ(例えば前回の遊技で用いた乱数値等)をクリアする。その後、ステップS204では開始待ち処理を行う。
開始待ち処理では、前回の遊技で再遊技入賞が成立したか否かを判定する。再遊技入賞が成立していた場合には、前回のベット数と同数の仮想メダルを自動投入する自動投入処理を行うと共に、投入完了コマンドをセットして開始待ち処理を終了する。ここで、投入完了コマンドとは、自動投入の完了を把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。なお、自動投入処理では、クレジット表示部60に表示された仮想メダル数を減じることなく仮想メダルの投入を行う。つまり、前回の遊技で再遊技入賞が成立した場合には、遊技者は所有するメダルを減らすことなく且つメダルを投入することなく今回の遊技を行うことができる。再遊技入賞が成立していなかった場合には、タイマ割込み処理のセンサ監視処理ステップS107にてなされたセンサの読み込み結果に異常が発生していないかを確認するセンサ異常確認処理を行い、異常が発生している場合にはスロットマシン10をエラー状態とすると共にエラーの発生を報知する異常発生時処理を行う。かかるエラー状態は、リセットスイッチ72が操作されるまで維持される。センサの読み込み結果が正常である場合には精算スイッチ59が操作されたか否かを判定し、精算スイッチ59が操作された場合には、クレジットされた仮想メダルと同数のメダルを払い出すメダル返却処理を行うと共に精算コマンドをセットする。ここで、精算コマンドとは、クレジットされた仮想メダルの返却を行っていることを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。メダル返却処理の終了後又は精算スイッチ59が操作されていない場合には、前回の開始待ち処理から今回の開始待ち処理までの間にメダルの投入又はクレジット投入スイッチ56〜58の操作がなされたか否かを判定し、いずれかが行われた場合には、有効ラインの設定等を行うメダル投入処理を行うと共に、投入コマンドをセットして開始待ち処理を終了する。ここで、投入コマンドとは、メダルのベットがなされたことを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。また、前回の開始待ち処理から今回の開始待ち処理までの間にメダルの投入とクレジット投入スイッチ56〜58の操作のいずれもなされていない場合には、そのまま開始待ち処理を終了する。
ステップS205では、メダルのベット数が規定数に達しているか否かを判定し、ベット数が規定数に達していない場合には、ステップS204の開始待ち処理に戻り、当該処理のうちセンサ異常確認処理以降の処理を行う。ベット数が規定数に達している場合には、ステップS206に進み、スタートレバー41が操作されたか否かを判定する。スタートレバー41が操作されていない場合には、ステップS204の開始待ち処理に戻り、当該処理のうちセンサ異常確認処理以降の処理を行う。
一方、規定数のメダルがベットされている状況下でスタートレバー41が操作された場合(ステップS205,ステップS206が共にYESの場合)には、遊技を開始させるべく開始指令が発生したことを意味する。かかる場合にはステップS207に進み、メダル通路切替ソレノイド46aを非励磁状態に切り替えてベット受付を禁止し、続くステップS208にて開始コマンドをセットする。ここで、開始コマンドとは、開始指令が発生したことを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。その後、ステップS209の抽選処理、ステップS210のリール制御処理、ステップS211のメダル払出処理、ステップS212のRT状態処理、ステップS213のBB状態処理を順に実行し、ステップS203に戻る。
なお、通常処理では、投入コマンドや開始コマンド等の各種コマンドをリングバッファにセットするのみであり、表示制御装置81に対してコマンドを送信しない。表示制御装置81へのコマンド送信は、先述したタイマ割込み処理のコマンド出力処理S110にて行われる。
次に、ステップS209の抽選処理について、図12のフローチャートに基づき説明する。
ステップS301では、役の当否判定を行う際に用いる乱数を取得する。本スロットマシン10では、スタートレバー41が操作されると、ハード回路がその時点におけるフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。フリーランカウンタは0〜65535の乱数を生成しており、CPU102は、スタートレバー41の操作を確認した後、ハード回路がラッチした値をRAM106に格納する。かかる構成とすることにより、スタートレバー41が操作されたタイミングで速やかに乱数を取得することが可能となり、同期等の問題が発生することを回避することが可能となる。本スロットマシン10のハード回路は、スタートレバー41が操作される毎にその都度のフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。
乱数を取得した後、ステップS302〜S306では、役の当否判定を行うための抽選テーブルを選択する。具体的には、先ずステップS302において、現在の遊技状態がRT状態か否かを判定する。RT状態でない場合には、さらにステップS303にて現在の遊技状態がBB状態か否かを判定する。そして、現在の遊技状態がBB状態とRT状態のいずれでもない場合には、ステップS304にて通常状態用抽選テーブルを選択する。また、現在の遊技状態がBB状態である場合には、ステップS305にてBB状態用抽選テーブルを選択し、現在の遊技状態がRT状態である場合には、ステップS306にてRT状態用抽選テーブルを選択する。ここで、本スロットマシン10では、「設定1」から「設定6」まで6段階の当選確率が予め用意されており、電源投入時に設定キー挿入孔73に設定キーを挿入してON操作するとともに所定の操作を行うことにより、いずれの当選確率に基づいて内部処理を実行させるのかを設定することができる。ステップS304〜S306では、設定状態が「設定1」のときにメダル払出の期待値が最も低い抽選テーブルを選択し、「設定6」のときにメダル払出の期待値が最も高い抽選テーブルを選択する。
抽選テーブルについて、簡単に説明する。図13は、「設定3」の通常状態で選択される通常状態用抽選テーブルである。通常状態用抽選テーブルには、11のインデックス値IVが設定されており、各インデックス値IVには、当選となる役がそれぞれ一義的に対応付けられると共に、ポイント値PVが設定されている。本スロットマシン10における通常状態では、再遊技、スイカ、ベル、第1及び第2チェリー、第1〜第3BBの8種類の役について判定が行われるようになっており、IV=1〜8には、1つの役がそれぞれ対応付けられており、IV=9〜11には、複数の役(具体的にはスイカといずれかのBB)がそれぞれ対応付けられている。
抽選テーブルを選択した後、ステップS307ではインデックス値IVを1とし、続くステップS308では役の当否を判定する際に用いる判定値DVを設定する。かかる判定値設定処理では、現在の判定値DVに、現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVを設定する。なお、初回の判定値設定処理では、ステップS301にて取得した乱数値を現在の判定値DVとし、この乱数値に現在のインデックス値IVである1と対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとする。
その後、ステップS309ではインデックス値IVと対応する役の当否判定を行う。役の当否判定では判定値DVが65535を超えたか否かを判定する。65535を超えた場合には、ステップS310に進み、そのときのインデックス値IVと対応する役の当選フラグを、RAM106の当選フラグ格納エリア106aにセットする。例えば、IV=3のときに判定値DVが65535を超えた場合、ステップS310ではベル当選フラグをセットし、IV=9のときに判定値DVが65535を超えた場合、ステップS310では第1BB当選フラグとスイカ当選フラグをセットする。つまり、IV=1〜8のいずれかのときに判定値DVが65535を超えた場合には、1回のゲームで1つの役に当選となり、IV=9〜11のいずれかのときに判定値DVが65535を超えた場合には、1回のゲームで複数の役に当選となる。
ちなみに、セットされた当選フラグが再遊技当選フラグ,スイカ当選フラグ,ベル当選フラグ,第1チェリー当選フラグ,第2チェリー当選フラグのいずれかである場合、この当選フラグは該当選フラグがセットされたゲームの終了後にリセットされる(通常処理のS203参照)。一方、当選フラグが第1〜第3BB当選フラグのいずれかである場合、これらBB当選フラグは対応するBB入賞が成立したことを条件の1つとしてリセットされる。すなわち、第1〜第3BB当選フラグは、複数回のゲームにわたって有効とされる場合がある。なお、いずれかのBB当選フラグを持ち越した状態におけるステップS310では、現在のインデックス値IVが1〜5であればインデックス値IVと対応する当選フラグをセットし、現在のインデックス値IVが6〜8であれば対応するBB当選フラグをセットせず、現在のインデックス値IVが9〜11であればスイカ当選フラグのみをセットする。つまり、いずれかのBB当選フラグが持ち越されているゲームでは、再遊技やベル,スイカ,第1又は第2チェリーに当選した場合には対応する当選フラグをセットする一方、いずれのBBに当選した場合であっても新たにBB当選フラグをセットしない。
ステップS309にて判定値DVが65535を超えなかった場合には、インデックス値IVと対応する役に外れたことを意味する。かかる場合にはステップS311にてインデックス値IVを1加算し、続くステップS312ではインデックス値IVと対応する役があるか否か、すなわち当否判定すべき判定対象があるか否かを判定する。具体的には、1加算されたインデックス値IVが抽選テーブルに設定されたインデックス値IVの最大値を超えたか否かを判定する。当否判定すべき判定対象がある場合にはステップS308に戻り、役の当否判定を継続する。このとき、ステップS308では、先の役の当否判定に用いた判定値DV(すなわち現在の判定値DV)に現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとし、ステップS309では、当該判定値DVに基づいて役の当否判定を行う。
ステップS310にて当選フラグをセットした後、又はステップS312にて当否判定すべき判定対象がないと判定した場合には、役の当否判定が終了したことを意味する。かかる場合には、ステップS313にて抽選結果コマンドをセットする。ここで、抽選結果コマンドとは、役の当否判定の結果を把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。ちなみに、図13に示した抽選テーブルを用いて役の当否判定を行う場合、ベル,第1チェリー及び第2チェリーの当選確率はそれぞれ約14分の1、スイカのみに当選となる確率は約720分の1、第1BB,第2BB,第3BBのいずれかのみに当選となる確率はそれぞれ約1200分の1、スイカと第1BBに共に当選となる確率は約1200分の1、スイカと第2BBに共に当選となる確率は約1200分の1、スイカと第3BBに共に当選となる確率は約1200分の1である。また、いずれの役にも当選しない外れの確率は約1.8分の1である。さらにいうと、スイカに当選となる確率は256分の1であり、スイカ当選時の約64%が第1〜第3BBのいずれかに共に当選となる。同様に、各BBの当選確率はそれぞれ約601分の1であり、各BB当選時の約50%がスイカに共に当選となる。
役の当否判定を行った後、ステップS314ではリール停止制御用のスベリテーブル(停止テーブル)を設定するスベリテーブル設定処理を行い、本処理を終了する。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ42〜44が操作されたタイミングからリール32L,32M,32Rをどれだけ滑らせた(回転させた)上で停止させるかが定められたテーブルである。すなわち、スベリテーブルとは、ストップスイッチ42〜44が押された際に基点位置(本実施の形態では下段)に到達している到達図柄(到達図柄番号)と、前記基点位置に実際に停止させる停止図柄(停止図柄番号)との関係を導出することが可能な停止データ群である。
本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rを停止させる停止態様として、ストップスイッチ42〜44が操作された場合に、基点位置に到達している到達図柄をそのまま停止させる停止態様と、対応するリールを1図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、2図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、3図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、4図柄分滑らせた後に停止させる停止態様との5パターンの停止態様が用意されている。そして、各リール32L,32M,32Rの図柄番号毎に前記5パターンの停止態様のいずれかを設定されたスベリテーブルが、各役について複数用意されている。
このように、ストップスイッチ42〜44が操作されたタイミングから規定時間(190msec)が経過するまでの間に各リール32L,32M,32Rが停止するようスベリテーブルを設定することにより、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な範囲に停止する図柄配列(以下、停止出目と言う。)があたかも遊技者の操作によって決定されたかのような印象を遊技者に抱かせることが可能となる。また、4図柄分までは滑らせることが可能な構成とすることにより、かかる規定時間内で可能な限り抽選に当選した役と対応する図柄の組合せを有効ライン上に停止させることが可能となる。
図14は、「赤7」図柄を有効ライン上に停止させる場合にセットされるスベリテーブルの一例である。滑り数が0である番号の図柄は、下段に実際に停止する図柄である。例えば、左リール32Lの7番の「赤7」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作された場合、左リール32Lは滑ることなくそのまま停止し、「赤7」図柄が下段に停止する。また、滑り数が0でない番号の図柄は、記載された図柄数分だけリールが滑ることを意味する。例えば、左リール32Lの1番の「リプレイ」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作された場合、左リール32Lは4図柄分だけ滑り、5番の「リプレイ」図柄が下段に停止すると共に7番の「赤7」図柄が上段に停止する。このように、スベリテーブルでは、各リール32L,32M,32Rに付された図柄が下段に到達したタイミングでストップスイッチ42〜44を操作された場合の滑り数が図柄番号毎に設定されている。
さて、スベリテーブル設定処理では、RAM106の当選フラグ格納エリア106aにセットされている当選フラグを確認し、セットされている当選フラグと一義的に対応するスベリテーブルを、RAM106のスベリテーブル格納エリア106bにセットする。このとき、本スロットマシン10では、左リール32Lの当選役と対応する図柄(以下、「当選図柄」と言う。)が上段又は下段に停止するように、中リール32Mの当選図柄が上段又は中段に停止するように、右リール32Rの当選図柄が上段又は下段に停止するように設定されたスベリテーブルをセットする。
図14に示すスベリテーブルは、第1BBにのみ当選している場合に最初にセットされるスベリテーブルである。但し、かかるスベリテーブルが最初にセットされた場合であっても、ストップスイッチ42〜44の操作されたタイミングによっては「赤7」図柄が上述した位置に停止しないこともある。これは、滑らせることのできる範囲をストップスイッチの押されたタイミングから190msec以内(最大4図柄分)と予め決めており、各リール32L,32M,32Rには「赤7」図柄をそれぞれ1つずつしか配置していないためである。
ここで、各リール32L,32M,32Rの図柄配列について簡単に説明する。
「リプレイ」図柄は、下段に先に到達する図柄と次に到達する図柄との間隔が4図柄以下となるように、各リール32L,32M,32Rに配置されている。例えば、中リール32Mの11番の「リプレイ」図柄と14番の「リプレイ」図柄はその間隔が2図柄となるようにして配置されており、左リール32Lの9番の「リプレイ」図柄と14番の「リプレイ」図柄はその間隔が4図柄となるようにして配置されている。このように、「リプレイ」図柄は、同種図柄同士の間隔が4図柄以下となるようにして各リール32L,32M,32Rに配置されている。上述した通り、リール32L,32M,32Rはストップスイッチ42〜44の操作されたタイミングから最大4図柄分滑らせた後に停止させることができる。したがって、かかる図柄配列とすることにより、ストップスイッチ42〜44が如何なるタイミングで操作された場合であっても、再遊技入賞を成立させる際に「リプレイ」図柄を任意の位置に停止させることができる。例えば左リール32Lの9番の「リプレイ」図柄が下段に到達した際に左ストップスイッチ42が操作された場合、左リール32Lをそのまま停止させればこの「リプレイ」図柄を下段に停止させることができ、左リール32Lを2図柄分滑らせた後に停止させれば14番の「リプレイ」図柄を上段に停止させることができ、左リール32Lを3図柄分滑らせた後に停止させれば14番の「リプレイ」図柄を中段に停止させることができる。
一方、「赤7」図柄は、左リール32Lにおいては7番、中リール32Mにおいては12番、右リール32Rにおいては2番の位置に1つずつ配置されているのみであり、同種図柄同士の間隔が4図柄以下となるようにして各リール32L,32M,32Rに配置されていない。このため、例えば左リール32Lの11番の「青年」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42が操作された場合、仮に左リール32Lを4図柄分滑らせても「赤7」図柄を有効ライン上に停止させることはできない。したがって、第1BBに当選し、「赤7」図柄が有効ライン上に停止するように設定されたスベリテーブルがセットされた場合であっても、ストップスイッチ42〜44の操作されたタイミングによっては「赤7」図柄が有効ライン上に停止せず、第1BB入賞が成立しない場合がある。本スロットマシン10では、かかる「赤7」図柄の他、「青7」図柄、「白7」図柄、「スイカ」図柄についても5図柄以上離れた区間が形成されるようにして各リール32L,32M,32Rに配置されている。また、左リール32Lにおいては、「赤チェリー」図柄、「青チェリー」図柄、「ベル」図柄も5図柄以上離れた区間が形成されるようにして配置されている。このため、各BB、各チェリー、スイカ、ベルのいずれかに当選した場合には、当選図柄が有効ライン上に停止するよう狙ってストップスイッチ42〜44を操作する必要がある。
スベリテーブル設定処理の説明に戻り、BB当選フラグと他の当選フラグがセットされている場合には、以下に示すスベリテーブルをセットする。
BB当選フラグと再遊技当選フラグがセットされている場合、再遊技入賞を優先して成立させるための再遊技入賞用スベリテーブルをセットする。
BB当選フラグとベル当選フラグ、スイカ当選フラグ、第1〜第2チェリー当選フラグのいずれかがセットされている場合、BB入賞を優先して成立させるためのBB優先入賞用スベリテーブルをセットする。但し、BB当選フラグと対応する「7」図柄は5図柄以上離れた区間が形成されるようにして各リール32L,32M,32Rに配置されているため、ストップスイッチ42〜44の操作タイミングによっては当選BB図柄を有効ライン上に停止させることができない場合がある。そこで、BB優先入賞用スベリテーブルでは、当選BB図柄を有効ライン上に停止させることが可能であれば優先して停止させるように、当選BB図柄を有効ライン上に停止させることが不可能であって他の当選図柄を有効ライン上に停止させることが可能であれば当該他の当選図柄を有効ライン上に停止させるように設定されている。
次に、ステップS210のリール制御処理について、図15のフローチャートに基づき説明する。
リール制御処理では、先ずステップS401において各リール32L,32M,32Rの回転を開始させる回転開始処理を行う。
回転開始処理では、前回の遊技でリールが回転を開始した時点から予め定めたウエイト時間(例えば4.1秒)が経過したか否かを確認し、経過していない場合にはウエイト時間が経過するまで待機する。ウエイト時間が経過した場合には、次回の遊技のためのウエイト時間を再設定するとともに、RAM106に設けられたモータ制御格納エリアに回転開始情報をセットするモータ制御初期化処理を行う。かかる処理を行うことにより、タイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S106にてステッピングモータの加速処理が開始され、各リール32L,32M,32Rが回転を開始する。このため、遊技者が規定数のメダルをベットしてスタートレバー41を操作したとしても、直ちに各リール32L,32M,32Rが回転を開始しない場合がある。また、ウェイト時間が経過した場合には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始したことを表示制御装置81に把握させるべく送信される回転開始コマンドをセットする。その後、各リール32L,32M,32Rが所定の回転速度で定速回転するまで待機し、各リール32L,32M,32Rが定速回転となった場合には、定速回転コマンドをセットして本処理を終了する。ここで、定速回転コマンドとは、各リール32L,32M,32Rの回転速度が一定となったことを表示制御装置81に把握させるべく送信されるコマンドである。また、CPU102は、各リール32L,32M,32Rの回転速度が定速となると、各ストップスイッチ42〜44の図示しないランプを点灯表示することにより、停止指令を発生させることが可能となったことを遊技者等に報知する。
回転開始処理に続き、ステップS402では停止前処理を行う。
停止前処理では、図16のフローチャートに示すように、先ずステップS501にてストップスイッチ42〜44のいずれかが操作されたか否かを判定する。いずれのストップスイッチ42〜44も操作されていない場合には、ストップスイッチ42〜44のいずれかが操作されるまで待機する。ストップスイッチ42〜44のいずれかが操作されたと判定した場合には、ステップS502に進み、回転中のリールと対応するストップスイッチが操作されたか否か、すなわち停止指令が発生したか否かを判定する。停止指令が発生していない場合には、ステップS501に戻り、ストップスイッチ42〜44のいずれかが操作されるまで待機する。停止指令が発生した場合には、ステップS503に進み、今回の停止指令が第3停止指令か否か、すなわち1つのリールのみが回転しているときにストップスイッチが操作されたか否かを判定する。今回の停止指令が第3停止指令の場合には、ステップS503にて肯定判定を行い、そのまま停止前処理を終了する。一方、全リール32L,32M,32Rが回転しているときに発生する第1停止指令、又は2つのリールが回転しているときに発生する第2停止指令の場合には、ステップS503にて否定判定を行うとともにステップS504にてスベリテーブル第1変更処理を行い、停止前処理を終了する。
ここで、スベリテーブル第1変更処理とは、RAM106のスベリテーブル格納エリア106bに格納されたスベリテーブルを、停止指令と対応するリールを停止させる前に変更する処理である。スベリテーブル第1変更処理では、例えば左ストップスイッチ42以外のストップスイッチ43,44が操作されて第1停止指令が発生した場合等に、スベリテーブルを変更する。かかる処理を行うことにより、停止出目の多様化を図ったり、セットされた当選フラグと対応する入賞が成立することなく当選フラグがクリアされる所謂取りこぼしの発生頻度を低減させたりすることができる。
リール制御処理の説明に戻り、ステップS402にて停止前処理が終了した場合、遊技を進行させるべく回転中のリールと対応するストップスイッチが操作され、停止指令が発生したことを意味する。かかる場合には、回転中のリールを停止させるべくステップS403〜ステップS411に示す停止制御処理を行う。
すなわち、ステップS403では、ストップスイッチの操作されたタイミングで下段に到達している到達図柄の図柄番号を確認する。具体的には、リールインデックスセンサの検出信号が入力された時点から出力した励磁パルス数により、下段に到達している到達図柄の図柄番号を確認する。続くステップS404では、スベリテーブル格納エリア106bにセットされたスベリテーブルのうち到達図柄と対応する図柄番号のデータから今回停止させるべきリールのスベリ数を算出する。ステップS405では、算出したスベリ数を到達図柄の図柄番号に加算し、下段に実際に停止させる停止図柄の図柄番号を決定する。ステップS406では今回停止させるべきリールの到達図柄の図柄番号と停止図柄の図柄番号が等しくなったか否かを判定し、等しくなった場合にはステップS407にてリールの回転を停止させるリール停止処理を行う。その後、ステップS408では、現在の各リール32L,32M,32Rの回転状況を表示制御装置81に把握させるべく回転情報コマンドをセットし、ステップS409では、停止図柄コマンドをセットする。ここで、回転情報コマンドとは、各リール32L,32M,32Rの回転状況を把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドであり、停止図柄コマンドとは、表示窓から視認可能な範囲(上段、中段、下段)に停止した図柄を把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。そして、ステップS410では、全リール32L,32M,32Rが停止したか否かを判定する。全リール32L,32M,32Rが停止していない場合には、ステップS411にてスベリテーブル第2変更処理を行い、ステップS402の停止前処理に戻る。
ここで、スベリテーブル第2変更処理とは、RAM106のスベリテーブル格納エリア106bに格納されたスベリテーブルを、リールの停止後に変更する処理である。スベリテーブル第2変更処理では、セットされている当選フラグと、停止しているリールの停止出目と、に基づいてスベリテーブルを変更する。例えば、第1BB当選フラグのみがセットされ、左リール32Lの「赤7」図柄が下段に停止した場合、中リール32Mの第1BB図柄たる「赤7」図柄が中段又は下段に停止するように設定されたスベリテーブルに変更する。かかる処理を行うことにより、リールの停止結果に応じてその後に停止させるリールの停止出目の多様化を図ることができるとともに、取りこぼしの発生頻度を低減させることができる。
一方、ステップS410にて全リール32L,32M,32Rが停止していると判定した場合には、ステップS412にて払出判定処理を行い、本処理を終了する。払出判定処理とは、入賞図柄の組合せが有効ライン上に並んでいることを条件の1つとしてメダルの払出枚数を設定する処理である。
払出判定処理では、各リール32L,32M,32Rの下段に停止した停止図柄の図柄番号から各有効ライン上に形成された図柄の組合せを導出し、有効ライン上で入賞が成立しているか否かを判定する。入賞が成立している場合には、さらに入賞成立役が当選フラグ格納エリア106aにセットされている当選フラグと一致しているか否かを判定する。入賞成立役と当選フラグが一致している場合には、入賞成立役と、当該入賞成立役と対応する払出数と、をRAM106に設けられた払出情報格納エリアにセットする。一方、入賞成立役と当選フラグが一致していない場合には、スロットマシン10をエラー状態とするとともにエラーの発生を報知する異常発生時処理を行う。かかるエラー状態は、リセットスイッチ72が操作されるまで維持される。全ての有効ラインについて払出判定が終了した場合には、入賞コマンドと入賞ラインコマンドをセットし、払出判定処理を終了する。ここで、入賞コマンドとは、いずれの入賞が成立したかを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドであり、入賞ラインコマンドとは、入賞がいずれの有効ラインで成立したかを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。
次に、ステップS211のメダル払出処理について、概略を説明する。
メダル払出処理では、払出情報格納エリアにセットされた払出数が0か否かを判定する。払出数が0の場合、先の払出判定処理にてメダルの払い出される入賞が成立していないと判定したことを意味する。かかる場合には、払出判定処理にてセットした入賞成立役に基づいて、再遊技入賞が成立したか否かを判定する。再遊技入賞が成立していない場合にはそのままメダル払出処理を終了し、再遊技入賞が成立している場合には、遊技状態を再遊技状態とする再遊技設定処理を行うとともに、再遊技コマンドをセットし、メダル払出処理を終了する。ここで、再遊技コマンドとは、次回のゲームが再遊技であることを把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。なお、先に説明した開始待ち処理S204では、現在の遊技状態が再遊技状態であると判定した場合に自動投入処理を行っている。
一方、払出情報格納エリアにセットされた払出数が0でない場合には、当該払出数と同数のメダルを払い出し、メダル払出処理を終了する。メダルの払い出しについて具体的には、クレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達していない場合、クレジットカウンタのカウント値に払出数を加算するとともに加算後の値をクレジット表示部60に表示させる。また、クレジットカウンタのカウント値が上限に達している場合、又は払出数の加算途中でカウント値が上限に達した場合には、メダル払出用回転板を駆動し、メダルをホッパ装置51からメダル排出口49を介してメダル受け皿50へ払い出す。なお、メダル払出処理では、メダルの払い出しにあわせて払出枚数表示部62に表示される払出数を変更する処理も行っている。また、現在の遊技状態がBB状態である場合には、後述する残払出数カウンタの値から払出数を減算するとともに、残払出枚数表示部61に表示される残払出数を減算する処理を行う。
次に、ステップS213のBB状態処理を、図17のフローチャートに基づいて説明する。
BB状態処理の説明に先立ち、BB状態について説明する。BB状態は、RB移行待ち状態とRB状態とより構成されている。RB移行待ち状態とは、スイカ入賞、ベル入賞、第1〜第2チェリー入賞に加えて、RB入賞を成立させることが可能な遊技状態である。そして、RB移行待ち状態で有効ライン上に左から「リプレイ」図柄、「ベル」図柄、「リプレイ」図柄と並んで停止した場合、RB入賞成立として、メダル払出は行われないものの遊技状態がRB移行待ち状態からRB状態に移行する。RB状態は、12回のJACゲームで構成されている。JACゲームとは、メダル払出の特典が付与される入賞の成立する確率が通常状態と比して非常に高いゲームである。そして、JACゲーム中に入賞が8回成立すると、JACゲームが12回行われる前であってもRB状態が終了し、RB移行待ち状態に復帰する。つまり、BB状態では、RB移行待ち状態とRB状態との間で遊技状態が繰り返し移行される。そして、BB状態は、メダル払出数が所定数(具体的には400枚)に達したことを以って終了する。また、RB状態の途中でメダル払出数が所定数に達した場合には、BB状態のみならずRB状態も終了する。これは、BB状態中のメダル払出数に上限をもたせることにより遊技者の射幸心を抑え、遊技の健全性を担保するための工夫である。
さて、BB状態処理では、先ずステップS601にて現在の遊技状態がBB状態か否かを判定する。BB状態でない場合には、ステップS602〜ステップS604に示すBB判定処理を行う。
BB判定処理では、ステップS602にて第1〜第3BB当選フラグのいずれかがセットされているか否かを判定する。第1〜第3BB当選フラグのいずれかがセットされている場合には、ステップS603に進み、先の払出判定処理にてセットした入賞成立役に基づいて対応するBB入賞が成立したか否かを判定する。そして、BB入賞が成立した場合には、ステップS604にて遊技状態をBB状態に移行させるべくBB開始処理を実行する。具体的には、BB当選フラグをクリアするとともにBB設定フラグをRAM106の状態情報格納エリア106cにセットし、遊技状態をBB状態とする。また、前記状態情報格納エリア106cに設けられるとともに、BB状態中に払出可能な残りのメダル数をカウントするための残払出数カウンタに400をセットする。
BB判定処理が終了すると、ステップS605にて状態コマンドをセットし、本処理を終了する。ここで、状態コマンドとは、現在の遊技状態を把握させるべく表示制御装置81に対して送信されるコマンドである。ステップS605では、第1〜第3BB当選フラグのいずれもセットされていないと判定した場合(ステップS602がNOの場合)、通常状態であることを意味する状態コマンド又はRT状態であることを意味する状態コマンドをセットする。また、第1〜第3BB当選フラグのいずれかがセットされているもののBB入賞が成立していないと判定した場合(ステップS603がNOの場合)には、BB持ち越し状態であることを意味する状態コマンドをセットする。さらに、ステップS604にてBB開始処理を行った場合には、BB状態であることを意味する状態コマンドをセットする。
ステップS601にて現在の遊技状態がBB状態であると判定した場合には、さらにステップS606にてRB状態か否かを判定する。RB状態でないと判定した場合には、RB移行待ち状態であることを意味するため、ステップS607〜ステップS611に示すRB移行待ち状態処理を行う。
RB移行待ち状態処理では、ステップS607において、RB入賞が成立したか否かを先の払出判定処理にてセットした入賞成立役に基づいて判定する。そして、RB入賞が成立した場合には、ステップS608にて遊技状態をRB状態に移行させるべくRB開始処理を実行する。具体的には、RB設定フラグをRAM106の状態情報格納エリア106cにセットし、遊技状態をRB状態とする。ちなみに、先のステップS606におけるRB状態か否かの判定は、RB設定フラグの有無により判定している。また、RB状態下で成立した入賞回数をカウントするための残払出入賞カウンタに8をセットするとともに、JACゲームの残りゲーム数をカウントするための残JACゲームカウンタに12をセットする。なお、残払出入賞カウンタと残JAC入賞カウンタは、状態情報格納エリア106cに設けられている。RB開始処理を行った後、ステップS605ではRB状態であることを意味する状態コマンドをセットし、本処理を終了する。
ステップS607にてRB入賞が成立していないと判定した場合には、RB移行待ち状態下でRB入賞以外の入賞が成立した、又はいずれの入賞も成立しなかったことを意味する。そこで、ステップS609では、残払出数カウンタの値が0か否かを判定する。0でない場合には、BB状態中に払い出されたメダル数が所定数に達しておらず、BB状態の終了条件が成立していないことを意味するため、ステップS605にてRB移行待ち状態であることを意味する状態コマンドをセットし、本処理を終了する。一方、残払出数カウンタの値が0である場合には、BB状態の終了条件が成立したことを意味する。かかる場合には、BB終了処理として、ステップS610にてBB設定フラグをクリアする。続くステップS611では、遊技状態をRT状態に移行させるべくRT開始処理を実行する。RT開始処理では、RAM106の状態情報格納エリア106cにRT設定フラグをセットし、遊技状態をRT状態とする。また、前記状態情報格納エリア106cに設けられたRT状態の残りゲーム数をカウントするための残ゲーム数カウンタに100をセットする。その後、ステップS605にてRT状態であることを意味する状態コマンドをセットし、本処理を終了する。なお、上記ステップS302におけるRT状態か否かの判定は、RT設定フラグの有無により判定しており、ステップS605では、RT設定フラグがセットされている場合にRT状態であることを意味する状態コマンドをセットするようになっている。
ステップS606にて現在の遊技状態がRB状態であると判定した場合には、ステップS612にてRB状態処理を行う。ここで、RB状態処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS701では、先の払出判定処理にてセットした入賞成立役に基づいて、入賞が成立したか否かを判定する。入賞が成立した場合には、ステップS702にて残払出入賞カウンタの値を1減算する。その後、或いはステップS701にて入賞が成立していないと判定した場合には、JACゲームを1ゲーム消化したことになるため、ステップS703にて残JACゲームカウンタの値を1減算する。
ステップS704では、残払出入賞カウンタ又は残JACゲームカウンタのいずれかが0になったか否かを判定する。いずれかが0になっていた場合、すなわち入賞が8回成立したかJACゲームが12回消化された場合には、RB状態の終了条件が成立したことを意味するため、ステップS705にてRB状態を終了させるべくRB終了処理を実行する。具体的には、RB設定フラグをクリアするとともに、残払出入賞カウンタ及び残JACゲームカウンタの値をリセットする。RB終了処理を行った後、又はステップS704にてRB状態の終了条件が成立していないと判定した場合には、ステップS706に進み、残払出数カウンタの値が0か否かを判定する。残払出数カウンタの値が0でない場合には、BB状態の終了条件が成立していないことを意味するため、そのまま本処理を終了する。一方、残払出数カウンタの値が0である場合には、BB状態の終了条件が成立したことを意味するため、ステップS707にて上述したRB終了処理を行うと共に、ステップS708にてBB設定フラグをクリアする。その後、ステップS709にて上述したRT開始処理を実行し、本処理を終了する。
図17のフローチャートに戻り、ステップS612にてRB状態処理を行った場合には、ステップS605にて状態コマンドをセットした後に本処理を終了する。RB状態処理後のステップS605では、BB設定フラグの有無とRB設定フラグの有無を確認する。BB設定フラグとRB設定フラグが共にセットされている場合には、RB状態であることを意味する状態コマンドをセットし、BB設定フラグのみがセットされている場合には、RB移行待ち状態であることを意味する状態コマンドをセットし、いずれの設定フラグもセットされていない場合には、RT状態であることを意味する状態コマンドをセットする。
このように、本実施の形態では、BB状態が終了した場合、状態情報格納エリア106cにRT設定フラグがセットされ、遊技状態がRT状態に移行するようになっている。
ここで、RT状態について簡単に説明する。RT状態とは、抽選処理にてRT状態用に設定されたRT状態用抽選テーブルが選択され、この抽選テーブルに基づいて各役の当否判定が行われる遊技状態である。RT状態用抽選テーブルには、通常状態用抽選テーブルと同じ役が当否判定を行うべき役として設定されている。また、RT状態用抽選テーブルには、再遊技以外のポイント値PVは通常状態用抽選テーブルと同じ値が設定されているものの、再遊技のポイント値PVは、46393と設定されており、通常状態用抽選テーブルの設定値(8980)よりも非常に高く設定されている。したがって、RT状態に移行すると再遊技に当選する確率が非常に高くなり、外れの確率が非常に低くなる(65536分の1)。再遊技入賞はストップスイッチ42〜44の操作タイミングに関わらず成立する入賞であるため、再遊技入賞の成立する確率が非常に高くなる。この結果、RT状態に移行した場合、遊技者は、自己の所有するメダルの減少を抑制しつつゲームを行うことができる。かかるRT状態は、所定回数(本実施形態では100回)のゲームが行われた場合と、BBに当選した場合と、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立した場合と、に終了する。
ステップS212のRT状態処理では、図19のフローチャートに示すように、ステップS801にて現在の遊技状態がRT状態か否かを判定し、RT状態でない場合には、そのまま本処理を終了する。現在の遊技状態がRT状態である場合には、ステップS802に進み、残ゲーム数カウンタの値を1減算する。続くステップS803では、残ゲーム数カウンタの値が0か否かを判定する。残ゲーム数カウンタの値が0の場合には、RT状態において所定回数のゲームが行われたことを意味するため、ステップS804にてRAM106の状態情報格納エリア106cに格納されているRT設定フラグをクリアし、本処理を終了する。この結果、RT状態下で所定回数のゲームが行われた場合には、遊技状態がRT状態から通常状態に移行することとなる。また、残ゲーム数カウンタの値が0でない場合には、ステップS805に進み、当選フラグ格納エリア106aにBB当選フラグがセットされているか否かを判定する。BB当選フラグがセットされていない場合には、ステップS806に進み、先の払出判定処理にてセットした入賞成立役に基づいて第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立したか否かを判定する。BB当選フラグがセットされている場合、又はいずれかのチェリー入賞が成立した場合には、ステップS807に進み、残ゲーム数カウンタの値をクリアする。その後、ステップS804にてRAM106の状態情報格納エリア106cに格納されているRT設定フラグをクリアし、本処理を終了する。この結果、RT状態下でBBに当選した場合又はいずれかのチェリー入賞が成立した場合には、遊技状態がRT状態から通常状態に移行することとなる。一方、残ゲーム数カウンタの値が0でなく、BB当選フラグがセットされておらず、いずれのチェリー入賞も成立していない場合(ステップS803,ステップS805,ステップS806が全てNOの場合)には、RT状態の終了条件が成立していないことを意味するため、そのまま本処理を終了する。
本実施の形態では、発光ユニット33、上部ランプ63、スピーカ64及び補助表示部65の補助演出部において、各リール32L,32M,32Rの回転開始時に当選役を示唆したり何らかの役に当選したことを示唆したりする示唆演出が行われる場合がある。そこで以下では、補助演出部を駆動制御する表示制御装置81が示唆演出を行う際に実行する処理について説明する。
先ず、表示制御装置81の構成について説明する。表示制御装置81は、表示制御基板81aが透明な合成樹脂材料にて形成された基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、開放不能に又は開放されるとその痕跡が残るように封印処理が施されている。図20は、表示制御基板81aの実装面側の構成を示す平面図である。
表示制御基板81aは、デジタル回路等の電子部品を実装した実装面と、この実装面とバイアホールを介して電気的に接続される裏面とよりなり、これら各面には、導体パターンがプリントされている。実装面の略中央部には、主たる制御を司るCPU82や、CPU82の出力したデータをその都度対応する各種信号に加工する複数のラッチ回路IC83が搭載されている。
CPU82には、このCPU82によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、このROMに記憶されている制御プログラムを実行するにあたって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAMの他に、各種処理回路や各種カウンタが内蔵されている。RAMには、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、役の抽選結果を記憶するための抽選結果格納エリア、各リール32L,32M,32Rの回転状況を記憶するための回転情報格納エリア、示唆演出を実行する際に用いる各種データを記憶するための演出情報格納エリア等が設けられている。なお、ROM及びRAMは、CPU82と別体構成としても良い。
表示制御基板81aの図中における上部、下部及び右部には、コネクタ搭載領域が形成されており、当該領域には、主制御装置101や補助演出部等と接続するためのコネクタ84が搭載されている。また、表示制御基板81aの図中における右部にはバッファ回路IC搭載領域が形成されており、当該領域には、入力した信号の雑音除去や波形整形等を行うバッファ回路IC85が搭載されている。但し、コネクタ搭載領域には、コネクタ搭載が可能であるが実際には搭載されていないコネクタ非搭載領域84aが1カ所設けられており、バッファ回路IC搭載領域には、バッファ回路IC搭載が可能であるが実際には搭載されていないバッファ回路IC非搭載領域85aが2カ所設けられている。これら各非搭載領域84a,85aは、後述する性能試験を行う際に、対応する電子部品を搭載するための領域である。表示制御基板81aには、実装された各電子部品を結ぶ導体パターンのみならず、CPU82と各非搭載領域84a,85aを結ぶ導体パターンも予めプリントされている。つまり、表示制御基板81aには、バッファ回路ICとコネクタが搭載されていないことにより、電気配線の断線された部位が形成されている。なお、表示制御基板81aを収容する基板ボックスには、コネクタ84と対応する位置に当該コネクタ84を外部に露出させるための開口部が形成されている一方、コネクタ非搭載領域84aと対応する位置に開口部が形成されていない。
次に、抽選結果コマンド処理を、図21のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS901では、抽選結果コマンドを受信したか否かを判定し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。抽選結果コマンドを受信した場合にはステップS902に進み、抽選結果コマンドの示す情報、すなわち主制御装置101にて行われた役の抽選結果を、RAMの抽選結果格納エリアに格納する。その後、ステップS903では、抽選結果格納エリアに格納した情報に基づいて何らかの役に当選しているか否かを判定する。何らかの役に当選している場合には、ステップS904に進み、演出判定処理を実行する。
演出判定処理について概略を説明すると、演出判定処理では、当選役と、現在の遊技状態と、表示制御装置81が取得する乱数と、に基づいて、示唆演出を行うか否かを判定する。また、示唆演出を行うと判定した場合には、当選役対応演出と当選役非対応演出のいずれを行うかを決定する。ここで、当選役対応演出とは、当選図柄の組合せを補助表示部65に表示する示唆演出であり、当選役非対応演出とは、当選図柄の組合せを補助表示部65に表示しないものの何らかの役に当選したことを示唆する示唆演出である。例えば、第1チェリーに当選している状況で当選役対応演出を行う場合には、第1チェリー図柄たる「赤チェリー」図柄を補助表示部65に表示し、第2チェリーに当選している状況で当選役対応演出を行う場合には、第2チェリー図柄たる「青チェリー」図柄を補助表示部65に表示する。一方、第1チェリー等の何らかの役に当選している状況で当選役非対応演出を行う場合には、例えば「何かに当選したよ」という音声をスピーカ64から出力する。なお、遊技状態がRT状態であって第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況における演出判定処理では、必ず示唆演出を行うと判定し、当選役対応演出と当選役非対応演出のいずれを行うかを決定する。
ステップS903にていずれの役にも当選していないと判定した場合、又はステップS904にて演出判定処理を実行した場合には、ステップS905に進み、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作位置指定処理を実行する。その後、ステップS906にて補助演出部に示唆演出等を行わせるべく補助演出部を駆動制御する駆動制御処理を実行し、本処理を終了する。
ステップS905の操作位置指定処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。
ステップS1001では、今回のゲームで示唆演出を行うか否かを判定する。示唆演出を行う場合には、ステップS1002に進み、示唆演出が当選役対応演出であるか否かを判定する。当選役対応演出である場合には、ステップS1003に進み、当選役が第1チェリー又は第2チェリーであるか否かを判定する。当選役が第1チェリー又は第2チェリーである場合には、ステップS1004にて状況判断処理を実行し、本処理を終了する。
状況判断処理の説明に先立ち、第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合の遊技者の有利度合いについて説明する。
先ず、左リール32Lの図柄配列について簡単に説明する。左リール32Lには、第1チェリー図柄たる「赤チェリー」図柄は3番の位置に1つだけ配置されており、第2チェリー図柄たる「青チェリー」図柄は16番の位置に1つだけ配置されている。このため、第1チェリー入賞を成立させる場合には、18番の「リプレイ」図柄〜3番の「赤チェリー」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作する必要があり、第2チェリー入賞を成立させる場合には、10番の「ベル」図柄〜16番の「青チェリー」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作する必要がある。つまり、第1チェリー入賞を成立させるべく左ストップスイッチ42を操作した場合には、第2チェリー入賞が成立せず、第2チェリー入賞を成立させるべく左ストップスイッチ42を操作した場合には、第1チェリー入賞が成立しない。また、4番の「ベル」図柄〜9番の「リプレイ」図柄、17番の「スイカ」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作した場合には、第1チェリー入賞と第2チェリー入賞のいずれも成立しない。したがって、示唆演出が行われなかった場合又は当選役非対応演出が行われた場合、遊技者は、第1チェリーと第2チェリーのいずれに当選しているのかを推測した上で左ストップスイッチ42を操作する必要がある。
第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合、当選役と対応するチェリー入賞を成立させれば4枚のメダル払出が行われ、チェリー入賞を成立させなければメダル払出が行われない。1回のゲームには3枚のメダルが必要なため、当選役と対応するチェリー入賞を成立させれば遊技者の所有するメダルが1枚増加し、チェリー入賞を成立させなければメダルが3枚減少することとなる。つまり、1回のゲームで比較した場合には、当選役と対応するチェリー入賞を成立させれば遊技者の所有するメダルが1枚増加し、チェリー入賞を成立させなければメダルが3枚減少することとなるため、当選役と対応するチェリー入賞を成立させた方が遊技者の所有するメダルが多くなる。しかしながら、RT状態下で第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞を成立させた場合、遊技状態がRT状態から通常状態に復帰することとなる。このため、本実施の形態では、RT状態に移行してから99回のゲームを行う場合、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞を成立させることなくゲームを行う場合の方が、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞を成立させつつゲームを行う場合よりも多くのメダルを獲得することが期待できるようになっており、RT状態に移行してから100回目のゲームに限り、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞を成立させた場合の方が成立させない場合よりも多くのメダルを獲得することが期待できるようになっている。換言すれば、RT状態下で第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合には、RT状態に移行してから100回目のゲームを除き、当選役と対応するチェリー入賞を成立させない方が遊技者の有利度合いが大きくなる。
さて、状況判断処理では、図23のフローチャートに示すように、ステップS1101にて当選役が第1チェリーであるか否かを判定する。第1チェリーである場合には、ステップS1102にて現在の遊技状態がRT状態か否かを判定し、RT状態である場合には、さらにステップS1103にて現在のゲームがRT状態の最終ゲームであるか、すなわちRT状態に移行してから100ゲーム目であるか否かを判定する。上述したとおり、現在の遊技状態がRT状態でない場合又はRT状態の最終ゲームである場合、遊技者の獲得メダル数は、第1チェリー入賞を成立させないよりも成立させた方が多くなる。そこで、ステップS1104では、第1チェリー入賞を成立させる際のストップスイッチ42〜44の操作タイミングを示す操作情報を設定する(操作情報設定処理)。具体的には、左操作情報として、左リール32Lの「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットし、右操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする。一方、現在のゲームがRT状態の最終ゲームでない場合(ステップS1103がNOの場合)、遊技者の獲得メダル数は、第1チェリー入賞を成立させるよりも成立させない方が結果的に多くなる。そこで、ステップS1105では、第1チェリー入賞の成立を回避させる際のストップスイッチ42〜44の操作タイミングを示す操作情報を設定する(操作情報設定処理)。具体的には、左操作情報として、左リール32Lの当選図柄でない「青チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「16」をセットし、中操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットし、右操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする。
ステップS1101にて当選役が第1チェリーでないと判定した場合には、当選役が第2チェリーであることを意味する。かかる場合には、ステップS1106にて現在の遊技状態がRT状態か否かを判定し、RT状態である場合には、さらにステップS1107にて現在のゲームがRT状態の最終ゲームであるかを判定する。上述したとおり、現在の遊技状態がRT状態でない場合又はRT状態の最終ゲームである場合、遊技者の獲得メダル数は、第2チェリー入賞を成立させないよりも成立させた方が多くなる。そこで、ステップS1108では、第2チェリー入賞を成立させる際のストップスイッチ42〜44の操作タイミングを示す操作情報を設定する。具体的には、左操作情報として、左リール32Lの「青チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「16」をセットし、中操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットし、右操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする。一方、現在のゲームがRT状態の最終ゲームでない場合(ステップS1107がNOの場合)、遊技者の獲得メダル数は、第2チェリー入賞を成立させるよりも成立させない方が結果的に多くなる。そこで、ステップS1109では、第2チェリー入賞の成立を回避させる際のストップスイッチ42〜44の操作タイミングを示す操作情報を設定する。具体的には、左操作情報として、左リール32Lの当選図柄でない「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットし、右操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする。
ここで、操作情報とは、補助表示部65等の補助演出部に出力されるのではなく、表示制御基板81aのCPU82からバッファ回路IC非搭載領域85a及びコネクタ非搭載領域84aを経由して外部に出力されるデータ信号である。つまり、操作情報とは、バッファ回路IC非搭載領域85aにバッファ回路ICが搭載されるとともにコネクタ非搭載領域84aにコネクタが搭載されることで外部に出力可能となるデータ信号である。換言すれば、操作情報とは、バッファ回路IC非搭載領域85aにバッファ回路ICが搭載されておらず、コネクタ非搭載領域84aにコネクタが搭載されていない場合、CPU82の出力ポート(操作情報出力手段)からは出力されているものの、表示制御装置81の外部には出力されていないデータ信号である。なお、操作情報の作用については後述することとする。
操作位置指定処理の説明に戻り、ステップS1002にて示唆演出が当選役対応演出でないと判定した場合、又はステップS1003にて当選役が第1チェリー及び第2チェリー以外の役であると判定した場合には、ステップS1005にて操作情報設定処理を実行し、本処理を終了する。
ステップS1005の操作情報設定処理では、示唆演出が第1チェリー及び第2チェリー以外の当選役と対応した当選役対応演出である場合、左,中,右の各操作情報として当選図柄が付された図柄番号を示す情報をセットする。例えば、当選役がスイカである場合には、左操作情報として、左リール32Lの「スイカ」図柄が付された図柄番号を示す「6」をセットし、中操作情報として、中リール32Mの「スイカ」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、右操作情報として、右リール32Rの「スイカ」図柄が付された図柄番号を示す「1」をセットする。
また、示唆演出が当選役非対応演出である場合には、以下の操作情報をセットする。
遊技状態が通常状態である場合、又はRT状態の最終ゲームである場合には、左操作情報として、「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中及び右の操作情報として、当選役と対応する入賞を成立させることができる図柄番号を示す情報をセットする。かかる操作情報を設定する理由は、以下のとおりである。本スロットマシン10では、取りこぼしの発生し得る入賞として各チェリー入賞、スイカ入賞、ベル入賞がある。そこで、当選役非対応演出が行われた場合、遊技者は、通常状態であれば取りこぼしが発生しないように、各ストップスイッチ42〜44を操作するものと想定される。左リール32Lには、「赤チェリー」図柄と隣接する2番及び4番の位置に「ベル」図柄が配置されており、「赤チェリー」図柄から2図柄分離れた0番及び6番の位置に「スイカ」図柄が配置されている。このため、「赤チェリー」図柄を上段,中段,下段のいずれかに到達させることが可能なタイミングで左ストップスイッチ42を操作するとともに、左リール32Lの停止結果に基づいて他のストップスイッチ43,44を操作した場合には、第2チェリーに当選している場合を除いて取りこぼしの発生を回避することができる。したがって、通常状態下で当選役非対応演出が行われた場合、遊技者は上述したタイミングでストップスイッチ42〜44を操作する可能性が高いと想定されるからである。また、第1チェリーの当選確率と第2チェリーの当選確率は共に約14分の1であり、左リール32Lの「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄のいずれを狙って左ストップスイッチ42が操作された場合であっても、チェリー入賞を取りこぼす確率は2分の1である。したがって、左操作情報として「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットすることにより、遊技者が「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄を狙い分けた場合と同様、2分の1の確率でチェリー入賞を取りこぼすこととなるからである。
遊技状態がRT状態であって当該RT状態の最終ゲーム以外である場合には、左操作情報として「4」をセットし、中及び右の操作情報として、当選役と対応する入賞を成立させることができる図柄番号を示す情報をセットする。かかる操作情報を設定する理由は、以下のとおりである。上述したとおり、RT状態では、現在のゲームが最終ゲームでない場合、第1チェリー入賞を成立させるよりも成立させない方が遊技者の獲得メダル数が結果的に多くなる。そこで、かかる状況で当選役非対応演出が行われた場合、遊技者は、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞の成立を回避しつつ、スイカ入賞とベル入賞は成立するように、各ストップスイッチ42〜44を操作するものと想定される。そして、左リール32Lの4番の「ベル」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップスイッチ42を操作するとともに、左リール32Lの停止結果に基づいて他のストップスイッチ43,44を操作した場合には、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞の成立を回避しつつ、スイカ入賞とベル入賞の取りこぼしの発生を回避することができるからである。
ステップS1001にて示唆演出を行わないと判定した場合には、ステップS1006に進み、左,中,右の各操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットし、本処理を終了する。
次に、本スロットマシン10の性能試験を行う際の構成について説明する。
図24は、性能試験時の試験装置を示す概略構成図である。性能試験を行う際には、図24に示すように、スロットマシン10の主制御装置101と第1中継端子基板201とをハーネス等の電気配線を通じて接続し、該第1中継端子基板201と性能試験機301とをハーネス等の電気配線を通じて接続する。また、スロットマシン10の表示制御装置81と第2中継端子基板202とをハーネス等の電気配線を通じて接続し、該第2中継端子基板202と性能試験機301とをハーネス等の電気配線を通じて接続する。上述した通り、表示制御基板81aの実装面には、コネクタ非搭載領域84aとバッファ回路IC非搭載領域85aとが設けられている(図20参照)。性能試験を行う際には、先ずこれら各非搭載領域84a,85aにバッファ回路IC及び試験用コネクタを搭載し、該試験用コネクタと第2中継端子基板202の入力用コネクタとをハーネス等の電気配線を通じて接続する。第1中継端子基板201及び第2中継端子基板202は、対応する制御装置101,81から出力されたデータ信号を中継するためのものであり、データ信号を加工する等の処理は行っていない。性能試験機301は、各中継端子基板201,202から出力されたデータ信号に基づいてスロットマシン10のメダル払出性能等の性能データを取得するためのものである。
ここで、具体的な例として、1ゲームの開始から終了までを説明する。但し、データ信号の加工に関与しない各中継端子基板201,202の説明は省略することとする。
ゲームを開始する場合、性能試験機301は、規定数のメダルを投入したことを示す投入信号と、スタートレバー41を操作したことを示す開始信号と、を主制御装置101に対して出力する。主制御装置101は、投入信号及び開始信号が入力された場合、通常処理のステップS206にて肯定判定をし、性能試験機301及び表示制御装置81に対して開始コマンドを出力する(図11参照)。その後、主制御装置101は抽選処理を実行し、抽選結果コマンドを性能試験機301及び表示制御装置81に対して出力する(図12参照)。
表示制御装置81は、抽選結果コマンドが入力された場合、抽選結果コマンド処理を実行し、各ストップスイッチ42〜44の操作タイミングを示す左操作情報、中操作情報、右操作情報を性能試験機301に対して出力する。このとき、表示制御装置81は、示唆演出を行うか否かを示すデータ信号や、示唆演出の種別を示すデータ信号を性能試験機301に出力しない。
主制御装置101は、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させた場合、回転開始コマンドを性能試験機301及び表示制御装置81に対して出力し、各リール32L,32M,32Rが定速回転となった場合には、定速回転コマンドを性能試験機301及び表示制御装置81に対して出力する。また、主制御装置101は、各リール32L,32M,32Rのそれぞれに設置されているリールインデックスセンサからの検出信号が入力される都度、性能試験機301に対していずれのリールが1回転したのかを示す回転信号を出力する。
性能試験機301は、定速回転コマンドが入力されることにより、停止指令を発生させることが可能となったことを把握し、回転信号が入力されることにより、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な状態となっている図柄を把握する。図柄の把握についてより詳細に説明すると、各リールインデックスセンサは、各リール32L,32M,32Rの0番の図柄が下段に位置する場合に検出信号を出力するように設置されており、主制御装置101は、1.49msecごとに励磁パルスを出力する(タイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S106、図10参照)ことで各リール32L,32M,32Rを回転させる。そこで、性能試験機301は、回転信号が入力されてからの経過時間を把握することにより、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な状態となっている図柄、より詳しくは各リール32L,32M,32Rの下段に位置している図柄番号を把握する。そして、性能試験機301は、定速回転コマンドの入力後に左リール32Lの下段に位置している図柄番号が左操作情報の示す図柄番号となる若干前(より詳しくは5msec前)のタイミングになった場合、左ストップスイッチ42を操作したことを示す左停止操作信号を主制御装置101に対して出力する。主制御装置101は、左停止操作信号が入力された場合、左リール32Lを停止させ、性能試験機301及び表示制御装置81に対して回転情報コマンドと停止図柄コマンドを出力する。性能試験機301は、停止図柄コマンドの入力後に中リール32Mの下段に位置している図柄番号が中操作情報の示す図柄番号となる若干前(より詳しくは5msec前)のタイミングになった場合、中ストップスイッチ43を操作したことを示す中停止操作信号を主制御装置101に対して出力する。主制御装置101は、中停止操作信号が入力された場合、中リール32Mを停止させ、性能試験機301及び表示制御装置81に対して回転情報コマンドと停止図柄コマンドを出力する。性能試験機301は、中リール32Mの停止図柄コマンドの入力後に右リール32Rの下段に位置している図柄番号が右操作情報の示す図柄番号となる若干前(より詳しくは5msec前)のタイミングになった場合、右ストップスイッチ44を操作したことを示す右停止操作信号を主制御装置101に対して出力する。主制御装置101は、右停止操作信号が入力された場合、右リール32Rを停止させ、性能試験機301及び表示制御装置81に対して回転情報コマンドと停止図柄コマンドを出力する。なお、性能試験機301は、操作情報として「21」が入力されている場合、定速回転コマンド又は停止図柄コマンドが入力されてから予め定めた規定時間が経過した場合に、主制御装置101に対して停止操作信号を出力する。
全リール32L,32M,32Rが停止した場合、主制御装置101は、払出判定処理やBB状態処理等の各種処理を実行し、入賞コマンドや状態コマンド、払出メダル数を示す払出数コマンド等を性能試験機301に対して出力する。そして、開始待ち処理に移行した場合には、次回のゲームを開始可能であることを示す開始待ちコマンドを性能試験機301に対して出力する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
表示制御装置81は、操作位置指定処理において、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成とした。かかる構成とすることにより、人が実際に示唆演出を確認しながらメダル払出性能の測定に必要な回数の遊技を行わずとも、性能試験機を用いて前記回数の遊技を行うことでスロットマシン10のメダル払出性能を把握することができる。故に、比較的容易にスロットマシン10の性能試験を行うことが可能となる。
確かに、上記操作情報を設定せず、当選役と対応する入賞が成立するように性能試験機301から停止操作信号を出力して性能試験を行うことも可能である。しかしながら、かかる構成においては、通常状態下で取りこぼしが発生せず、RT状態が第1チェリー又は第2チェリーに当選したゲームで終了することとなるため、遊技場等で遊技者が実際に遊技を行った場合のメダル払出性能と、性能試験機301を用いて取得したメダル払出性能と、に差異が生じることとなる。このため、スロットマシン10を製造する製造業者等が、スロットマシン10の開発段階で正確なメダル払出性能を把握することができない。また、かかる懸念を解消すべく、人が実際に示唆演出を確認しながらメダル払出性能の測定に必要な回数の遊技を行って性能試験を行った場合、性能試験に必要な時間が長大なものとなったり、人的コストが多大なものとなったりする。一方、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成においては、上記各懸念を解消することができ、好適な形で性能試験を行うことが可能となる。
また、かかる構成とすることにより、表示制御装置81に対して示唆演出に関わる不正がなされた場合に、当該不正を容易に発見することが可能となる。前記不正としては、例えば当選役非対応演出の選択頻度を低減させるとともに当選役対応演出の選択頻度を高め、通常状態においては取りこぼしの発生頻度を低減させ、RT状態においてはチェリー入賞成立に伴うRT状態の終了を回避させる不正が考えられる。より具体的には、示唆演出を行うと決定した場合には必ず当選役対応演出を行わせる不正や、何らかの役に当選した場合には必ず当選役対応演出を行わせる不正等が考えられる。かかる不正がなされた場合、遊技場等において不正に多くのメダルが獲得される可能性が懸念される一方、前記不正が実際になされているのか否かを判断することが困難なものとなる。遊技場等には多くのスロットマシンが設置されていることが一般的であり、当選役対応演出の発生頻度を確認することが困難だからである。また、当選役対応演出の選択頻度が高い場合であっても、不正によって選択頻度が高いのか、演出判定処理における判定の片寄りによって一時的に選択頻度が高いのかを見極めることが困難だからである。そこで、遊技場等の管理者等やスロットマシン10を製造する製造業者等が実際に当選役対応演出の発生頻度を確かめることが可能な回数の遊技を行って不正の有無を確認しようとした場合、不正の発見までに要する時間が長大なものとなり、不正の発見が遅れてしまう可能性が懸念される。また、人的コストの問題も懸念される。一方、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成においては、性能試験機301を用いて機械的に遊技を行った場合であっても、人が実際に遊技を行った場合と同様のメダル払出性能を得ることができ、当該測定から得られたメダル払出性能とスロットマシン10本来のメダル払出性能とを比較することで不正の有無を確認することができる。
さらには、性能試験機301による不正の発見を困難なものとすべく、当選役対応演出を行うと決定した場合に所定確率で当選役非対応演出を行うと決定した場合の操作情報設定処理を行わせる不正、すなわち行われる示唆演出と設定される操作情報とが一致しない不正がなされる可能性も考えられる。具体例を挙げると、示唆演出を行うと決定した場合の2分の1の確率で当選役対応演出を選択し、2分の1の確率で当選役非対応演出を選択する構成において、示唆演出を行うと決定した場合に必ず当選役対応演出を選択するよう不正を行うとともに、操作位置指定処理のステップS1002において肯定判定をした場合に2分の1の確率でステップS1005の操作情報設定処理に進むよう不正を行う。かかる不正がなされた場合、補助表示部65では示唆演出として常に当選役対応演出が行われる一方、操作情報としては2分の1の確率で当選役非対応演出と対応する操作情報が設定されるため、性能試験機301を用いた試験では不正の発見が困難なものとなる。しかしながら、かかる不正は、性能試験機301による性能試験の進行を人が確認していれば、示唆演出と停止出目との間で不一致が発生するため、当選役対応演出の発生頻度を確かめることが可能な回数よりも少ない回数で容易に発見することができる。例えば、通常状態でスイカ当選を示唆する当選役対応演出が行われているにも関わらずスイカ入賞が成立しない等の事象が発生するからである。
以上の結果、表示制御装置81に対して示唆演出に関わる不正がなされた場合に、当該不正を容易に発見することが可能となる。
さらにまた、主制御装置101は、基板ボックス自体のみならず筐体11とも封印処理がなされている、すなわち機能が異なる封印処理が複数なされているため、不正防止効果が高い。一方、表示制御装置81は、基板ボックスのみに封印処理がなされているため、主制御装置101と比して不正をなされる可能性が高く、表示制御基板81aのROMが不正ROMに交換される可能性が懸念される。
かかる不正ROMを発見する方法として、上述したような性能試験機301を用いた遊技を行って不正を発見するのではなく、ROMを解析することで不正を発見する方法が考えられる。しかしながら、示唆演出に関わる制御を主制御装置101ではなく表示制御装置81が実行する構成においては、性能試験機301を用いた場合よりも不正の発見が遅れてしまう可能性が懸念される。主制御装置101のROMは、不正防止の観点から最大でも16キロバイトであり、容量が比較的小さいために容易に解析することができる一方、表示制御装置81のROMは、演出の多様化やグラフィック性能の向上を図った結果としてその容量が主制御装置101のROMと比して非常に大きくなっており、解析に多大な時間を要するからである。
また、CPUとROMが表示制御基板に別個に搭載されている構成においては、CPUとROMの電気的な接続を切断し、当該正規ROMを表示制御基板上に搭載したまま他の位置に不正ROMを搭載し、当該不正ROMとCPUを電気的に接続する不正がなされる可能性がある。かかる不正がなされた場合、ROM解析を行ったとしても不正を発見することができない。解析されるROMは正規ROMだからである。他の位置に不正ROMが搭載されているのであれば表示制御基板を目視することで前記不正ROMを発見できるという考えもあるが、表示制御基板の実装面には多数の電子部品が搭載されているため、目視で不正ROMを発見することは困難である。一方、性能試験機301を用いた遊技を行った場合には、不正ROMのプログラムに基づいてCPUが動作するため、不正ROMが搭載されていることを容易に発見することができる。
当選役対応演出を行う場合、当選役が第1チェリー及び第2チェリー以外の役であれば、左,中,右の各操作情報として当選図柄が付された図柄番号を示す情報をセットし、当選役が第1チェリー又は第2チェリーであれば、左,中,右の各操作情報として遊技者の獲得メダル数が多くなるように図柄番号を示す情報をセットする構成とした。一般の遊技者は、より多くのメダルを獲得することを期待しながら遊技を行うものと想定される。そこで、かかる構成とすることにより、遊技者が遊技場等で実際に遊技を行った場合のメダル払出性能を性能試験で把握することが可能となり、好適な形で性能試験を行うことが可能となる。
第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況で当選役対応演出を行うと決定した場合、状況判断処理を行い、当選役と対応するチェリー入賞を成立させることができる操作情報、又は当選役と対応するチェリー入賞の成立を回避させることができる操作情報を設定する構成とした。第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立した場合には、4枚のメダル払出が行われるという遊技者に有利な特典が付与される一方、RT状態下では当該RT状態が終了してしまうという遊技者に不利な特典が付与されることとなる。このため、より多くのメダルの獲得を期待する遊技者は、第1チェリー又は第2チェリーに当選した際の遊技状態や、RT状態下であればRT状態に移行してからのゲーム数等を考慮し、当選役と対応するチェリー入賞を成立させるか否かを判断するものと想定される。そこで、状況判断処理を行って操作情報を設定する構成とすることにより、遊技者が遊技場等で実際に遊技を行った場合のメダル払出性能を性能試験で把握することが可能となり、好適な形で性能試験を行うことが可能となる。
通常状態又はRT状態の最終ゲームで当選役非対応演出を行う場合、左操作情報として、「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中及び右の操作情報として、当選役と対応する入賞を成立させることができる図柄番号を示す情報をセットする構成とした。より多くのメダルの獲得を期待する遊技者は、当選役は分からないものの何らかの役に当選していることを察知した場合、通常状態又はRT状態の最終ゲームであれば取りこぼしが発生しないように、各ストップスイッチ42〜44を操作するものと想定される。故に、かかる構成とすることにより、遊技者が遊技場等で実際に遊技を行った場合のメダル払出性能を性能試験で把握することが可能となり、好適な形で性能試験を行うことが可能となる。
示唆演出を行わない場合、左,中,右の各操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする構成とした。かかる構成とすることにより、遊技場等で遊技者が実際に遊技を行った場合のメダル払出性能と、性能試験機301を用いて取得したメダル払出性能と、の間に生じる差異を小さくすることが可能となる。確かに、より多くのメダルの獲得を期待する遊技者は、示唆演出が行われない状況であっても取りこぼしの発生頻度が低減するように各ストップスイッチ42〜44を操作する可能性が考えられる。しかしながら、図柄を狙ってストップスイッチ42〜44を操作する技量の劣った遊技者や、遊技を長時間行う遊技者は、示唆演出が行われない状況下で図柄を狙うことなくストップスイッチ42〜44を操作するものと想定されるからである。
主制御装置101ではなく表示制御装置81が操作位置指定処理を実行し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成とした。かかる構成とすることにより、性能試験を行う際に必要であって実際の遊技に不必要な処理で主制御装置101の処理負荷が増大化することを回避できる。
表示制御基板81aには、コネクタ非搭載領域84a及びバッファ回路IC非搭載領域85aを結ぶ導体パターンを予めプリントしておく一方、これら非搭載領域84a,85aに対応する電子部品を搭載しない構成とした。前記導体パターンを予めプリントしておくことにより、好適に性能試験を行うことが可能となる。確かに、性能試験用の導電パターンがプリントされた試験用基板を別途準備し、当該試験用基板にCPU82等の電子部品を搭載して性能試験を行うことも可能である。しかしながら、試験用基板を用いて性能試験を行った場合、実際に販売されるスロットマシン10に実装される表示制御基板81aと、性能試験に用いた基板とが異なっているため、性能試験を行う意味自体が失われてしまうこととなる。取得された性能データが実際に販売されるスロットマシン10の性能データである保証がなくなってしまうからである。さらにいうと、性能試験専用に準備されたCPU等の電子部品を性能試験専用に準備された表示制御基板に搭載して性能試験を行うことも可能であるが、かかる場合には、販売されるスロットマシン10の性能データである保証が全くなくなってしまうため、性能試験を行う意味ばかりでなく価値までもが失われてしまうこととなる。また、コネクタ非搭載領域84aとバッファ回路IC非搭載領域85aとを設けておくことにより、性能試験を行う際に前記各非搭載領域84a,85aに対応する電子部品を搭載すればよく、性能試験を行わない例えば販売用のスロットマシン10には搭載する必要がないため、スロットマシン10のコストを低減させることが可能となる。確かに、販売用のスロットマシン10であっても、コネクタ非搭載領域84aに試験用コネクタを搭載し、バッファ回路IC非搭載領域85aにバッファ回路ICを搭載しておくことも可能である。しかしながら、かかる構成とした場合には、遊技場等において、コネクタ非搭載領域84aに搭載された試験用コネクタがハーネス等の電気配線に接続されていない状態となる。このため、試験用コネクタの出力端子から所定の信号をCPU82に入力することでCPU82を誤作動させるといった試験用コネクタの出力端子を悪用する不正がなされる可能性が考えられる。また、試験用コネクタまで操作情報が出力されることとなるため、試験用コネクタから操作情報を読み出して悪用する不正がなされる可能性も考えられる。一方、非搭載領域84a,85aに対応する電子部品を搭載しない構成においては、前記各不正を防止することが可能となる。
左リール32Lには、第1チェリー入賞を成立させるべく左ストップスイッチ42が操作された場合、第2チェリー入賞が成立せず、第2チェリー入賞を成立させるべく左ストップスイッチ42が操作された場合、第1チェリー入賞が成立しないよう、「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄を配置した。かかる構成においては、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞の成立する頻度やRT状態下で実行できる平均ゲーム数が、第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況で当選役対応演出が実行される頻度に依存することとなる。このため、当選役対応演出の実行に関わる不正がなされた場合、不正に多くのメダルを獲得される可能性が懸念される。そこで、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成とすることにより、前記不正がなされた場合であっても当該不正を容易に発見することが可能となる。
上記実施の形態では、4番の「ベル」図柄〜9番の「リプレイ」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作された場合、第1チェリー入賞及び第2チェリー入賞の成立を回避できる構成としたが、左ストップスイッチ42の操作タイミングに関わらずいずれかのチェリー入賞が成立する可能性がある構成としても良い。そこで、第2の実施の形態として、かかる構成について説明する。なお、基本構成は上記実施の形態と同じであるため、ここでは上記実施の形態との相違点について説明する。
図25には、左リール32L,中リール32M,右リール32Rの図柄配列が示されている。左リール32Lには、「赤チェリー」図柄が3番と9番の位置に配置されており、「青チェリー」図柄が16番と17番の位置に配置されている。かかる構成においては、0番の「スイカ」図柄〜3番の「赤チェリー」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップスイッチ42を操作された場合、3番の「赤チェリー」図柄を有効ライン上に停止させることが可能となる。4番の「ベル」図柄〜9番の「赤チェリー」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップスイッチ42を操作された場合には、9番の「赤チェリー」図柄を有効ライン上に停止させることが可能となる。10番の「リプレイ」図柄〜17番の「青チェリー」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップスイッチ42を操作された場合には、16番又は17番の「青チェリー」図柄を有効ライン上に停止させることが可能となる。18番の「リプレイ」図柄〜20番の「ベル」図柄が下段に到達しているタイミングで左ストップスイッチ42を操作された場合には、3番の「赤チェリー」図柄を有効ライン上に停止させることが可能となる。つまり、かかる構成においては、左ストップスイッチ42の操作タイミングに関わらず、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞の成立する可能性がある。
次に、表示制御装置81が行う演出判定処理(ステップS904、図21参照)を、図26のフローチャートに基づいて説明する。
演出判定処理では、ステップS1201にて乱数を取得する。表示制御装置81のRAMには、定期的に更新されるとともに0〜65535の値を生成可能なカウンタ領域が形成されており、ステップS1201では、そのときのカウンタ領域の値を乱数として取得する。続くステップS1202では、現在の遊技状態と対応する演出テーブルを選択する。図27(a)は、通常状態で選択される演出テーブルであり、図27(b)は、RT状態で選択される演出テーブルである。演出テーブルには、乱数と演出番号との対応関係が定められている。ここで、演出番号「0」とは、示唆演出を行わないことを示す情報であり、演出番号「1」とは、当選役非対応演出を行うことを示す情報であり、演出番号「2」とは、当選役対応演出を行うことを示す情報である。つまり、演出テーブルには、乱数と、示唆演出を行うか否か及び示唆演出を行う場合の演出種別と、の対応関係が定められている。ステップS1203では、選択した演出テーブルを参照し、取得した乱数と対応する演出番号をRAMにセットする。
ちなみに、通常状態では、何らかの役に当選している場合、約80パーセントの割合で演出番号「0」がセットされ、約14パーセントの割合で演出番号「1」がセットされ、約6パーセントの割合で演出番号「2」がセットされる。また、通常状態では、何らかの役に当選している場合、50パーセントの割合で演出番号「1」がセットされ、50パーセントの割合で演出番号「2」がセットされる。
ステップS1204では、セットされている演出番号が0か否か、すなわち示唆演出を行わないか否かを判定する。演出番号が0である場合には、そのまま本処理を終了し、演出番号が0でない場合には、ステップS1205にて補助演出部を駆動制御するための演出データを取得した後に本処理を終了する。より詳しくは、ステップS1205では、セットされている演出番号と当選役を参照し、ROMに記憶された演出データのうち対応する演出データを表示制御装置81のRAMに読み込む処理を行う。例えば、第1チェリーに当選し、演出番号「2」がセットされている場合には、第1チェリーと対応する当選役対応演出を行うための演出データをRAMに読み込む。そして、駆動制御処理(ステップS906、図21参照)では、RAMに読み込んだ演出データを補助演出部に対して順次出力する。これにより、補助演出部において示唆演出が行われることとなる。
ここで、第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合の示唆演出を、図28に基づいて説明する。第1チェリーに当選した場合の当選役対応演出では、図28(a)に示すように、第1停止指令を発生させることが可能となる前段階で補助表示部65に「赤チェリー」図柄が表示される。これにより、遊技者は、第1チェリーに当選したことを把握でき、そのときの遊技状況によって第1チェリー入賞を成立させるか否かを判断した上で左ストップスイッチ42を操作することができる。第2チェリーに当選した場合の当選役対応演出では、図28(b)に示すように、第1停止指令を発生させることが可能となる前段階で補助表示部65に「青チェリー」図柄が表示される。これにより、遊技者は、第2チェリーに当選したことを把握でき、そのときの遊技状況によって第2チェリー入賞を成立させるか否かを判断した上で左ストップスイッチ42を操作することができる。第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合の当選役非対応演出では、図28(c)に示すように、第1停止指令を発生させることが可能となる前段階で補助表示部65に「白チェリー」図柄が表示される。図25に示すように、「白チェリー」図柄は各リール32L,32M,32Rに付されていない。したがって、遊技者は、第1チェリーと第2チェリーのいずれかに当選したことを把握できるものの、いずれに当選したのかを把握できない。この結果、かかる示唆演出が行われた場合、遊技者はいずれのチェリーに当選したのかを推測した上で左ストップスイッチ42を操作する必要がある。
なお、本実施の形態における操作位置指定処理(図22参照)では、第1チェリー又は第2チェリーに当選するとともに示唆演出が当選役非対応演出である場合、左操作情報として、「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中及び右の操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする。かかる操作情報を設定する理由は、以下のとおりである。上述したとおり、本実施の形態では、左ストップスイッチ42を如何なるタイミングで操作した場合であっても第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞の成立する可能性がある。また、第1チェリーの当選確率と第2チェリーの当選確率は共に約14分の1であり、左リール32Lの「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄のいずれを狙って左ストップスイッチ42が操作された場合であっても、チェリー入賞を取りこぼす確率は2分の1である。したがって、左操作情報として「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットすることにより、遊技者が「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄を狙い分けた場合と同様、2分の1の確率でチェリー入賞を取りこぼすこととなるからである。
次に、性能試験機301の構成を図29に基づいて説明する。
性能試験機301は、CPU302を中心とするマイクロコンピュータと、定期的に更新されるとともに乱数を生成するための乱数生成器311と、性能試験結果を表示するためのデータ表示部312と、を有している。CPU302には、このCPU302によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM303と、このROM303に記憶されている制御プログラムを実行するにあたって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM304の他に、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路など必要な各種の処理回路が内蔵されている。RAM304には、スロットマシン10の主制御装置101や表示制御装置81から入力された各種の情報を一時的に記憶するためのメモリや、当選役を記憶するための当選役記憶エリア304a、左操作情報を記憶するための左操作情報記憶エリア304b、中操作情報を記憶するための中操作情報記憶エリア304c、右操作情報を記憶するための右操作情報記憶エリア304d、停止指令を発生させるリールを指定するための指定リール記憶エリア304e、乱数を記憶するための乱数記憶エリア304f等が設けられている。
次に、性能試験を行う場合に性能試験機301が行う性能測定処理を、図30のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1301では、主制御装置101から開始待ちコマンドを受信したか否かを判定し、受信していない場合にはそのまま待機する。開始待ちコマンドを受信した場合には、ゲームを開始可能であることを意味するため、ステップS1302〜ステップS1308に示す遊技進行処理を行う。遊技進行処理として具体的には、ステップS1302にて前回のゲームで再遊技入賞が成立したか否かを判定する。再遊技入賞が成立しなかった場合には、ステップS1303にて規定数のメダルを投入したことを示す投入信号を主制御装置101に対して出力するための投入信号出力処理を行い、ステップS1304に進む。再遊技入賞が成立した場合には、主制御装置101が自動投入処理を行うため、投入信号出力処理を行うことなくステップS1304に進む。ステップS1304では、スタートレバー41を操作したことを示す開始信号を主制御装置101に対して出力する。これにより、スロットマシン10においてゲームが開始される。
ステップS1305では、表示制御装置81から操作情報が入力されたか否かを判定し、入力されていない場合にはそのまま待機する。操作情報が入力された場合には、ステップS1306に進み、入力された操作情報の内容を性能試験機301のRAM304に記憶する。すなわち、左操作情報を左操作情報記憶エリア304bに記憶し、中操作情報を中操作情報記憶エリア304cに記憶し、右操作情報を右操作情報記憶エリア304dに記憶する。その後、ステップS1307では、主制御装置101から定速回転コマンドを受信したか否かを判定し、受信していない場合にはそのまま待機する。定速回転コマンドを受信した場合には、停止指令を発生させることが可能となったことを意味するため、ステップS1308にて停止操作信号出力処理を行う。
停止操作信号出力処理では、図31のフローチャートに示すように、ステップS1401にて指定リール記憶エリア304eの値を0とする。続くステップS1402では、指定リール記憶エリア304eの値と対応する操作情報記憶エリアを参照し、当該操作情報記憶エリアに記憶されている操作情報が「21」であるか否かを判定する。具体的には、指定リール記憶エリア304eの値が0である場合、左操作情報記憶エリア304bを参照し、指定リール記憶エリア304eの値が1である場合、中操作情報記憶エリア304cを参照し、指定リール記憶エリア304eの値が2である場合、右操作情報記憶エリア304dを参照する。操作情報が「21」である場合には、対応するストップスイッチを任意の操作タイミングで操作して良いことを意味する。かかる場合には、ステップS1403に進み、乱数生成器311の生成した乱数を取得し、乱数記憶エリア304fに格納する。一方、操作情報が「21」でない場合には、所定のタイミングで対応するストップスイッチを操作する必要があるため、ステップS1404にて操作情報加工処理を行う。操作情報加工処理では、操作情報が0でない場合、当該操作情報に24を乗算してから4を減算する処理を行い、操作情報が0である場合、当該操作情報に500を加算する処理を行う。ステップS1403にて乱数を取得した場合、又はステップS1404にて操作情報加工処理を行った場合には、ステップS1405に進み、取得した乱数又は操作情報加工処理にて得られた値をタイマにセットする。
ステップS1406では、主制御装置101から指定リール記憶エリア304eの値と対応する回転信号が入力されたか否かを判定し、入力されていない場合にはそのまま待機する。回転信号が入力された場合には、ステップS1407に進み、タイマの値を減算する処理を許可する。これにより、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理において、タイマの値を1減算する処理が開始される。ステップS1408では、タイマの値が0であるか否かを判定し、0でない場合にはそのまま待機する。タイマの値が0である場合には、ステップS1409に進み、ストップスイッチを操作したことを示す停止操作信号を主制御装置101に対して出力する。つまり、操作情報が「21」である場合には、回転信号が入力されてから取得した乱数と同数のタイマ割込み処理を行った後に操作信号を出力し、操作情報が「21」でない場合には、回転信号が入力されてから操作情報加工処理にて得られた値と同数のタイマ割込み処理を行った後に操作信号を出力する。このとき、指定リール記憶エリア304eの値が0である場合には、左停止操作信号を出力し、指定リール記憶エリア304eの値が1である場合には、中停止操作信号を出力し、指定リール記憶エリア304eの値が2である場合には、右停止操作信号を出力する。これにより、主制御装置101は、停止操作信号と対応するリールを停止させ、性能試験機301及び表示制御装置81に対して回転情報コマンドと停止図柄コマンドを出力する。
ここで、操作情報加工処理の作用について説明する。
スロットマシン10の各リールインデックスセンサは、各リール32L,32M,32Rの0番の図柄が下段に位置する場合に検出信号を出力するように設置されており、主制御装置101は、1.49msecごとに励磁パルスを出力する(タイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S106、図10参照)ことで各リール32L,32M,32Rを回転させる。また、ステッピングモータは、504パルスの励磁パルスが与えられることによって1回転されるように設定されており、所定の位置においてある図柄を次の図柄へ切り替えるには、24パルス(=504パルス÷21図柄)の励磁パルスを要する。このため、操作情報加工処理において操作情報が0でない場合に当該操作情報に24を乗算することにより、0番の図柄が下段に位置してから操作情報の示す図柄番号の図柄が下段に位置するまでに要する時間(より詳しくはタイマ割込みの割込み数)を導出することができる。また、前記乗算結果から4を減算する理由は、以下のとおりである。操作情報に24を乗算した値をタイマにセットし、タイマの値が0となった場合に停止操作信号を出力する構成とした場合、操作情報の示す図柄番号の図柄が下段に位置してから主制御装置101が停止操作信号の入力を把握するまでの間に、ステッピングモータが励磁されてリールが回転してしまう可能性が考えられる。そして、かかる状況でリールを停止させた場合には、操作情報の示す図柄番号の図柄が下段に停止するものの、停止操作信号の入力を把握するまでに出力した励磁パルス分だけずれた状態で前記図柄が停止することとなり、遊技者に違和感を抱かせることに繋がり得る。一方、操作情報に24を乗算してから4を減算した場合には、操作情報の示す図柄番号の図柄が下段に到達する少し前のタイミングで停止操作信号を出力することができ、前記懸念を好適な形で回避することができる。
停止操作信号を出力した後、ステップS1410では、指定リール記憶エリア304eの値に1を加算する。その後、ステップS1411では、指定リール記憶エリア304eの値が3か否かを判定し、3でない場合にはステップS1402に戻る。一方、指定リール記憶エリア304eの値が3である場合には、そのまま本処理を終了する。
かかる停止操作信号出力処理を行うことにより、左停止操作信号→中停止操作信号→右停止操作信号の順で停止操作信号が主制御装置101に対して順次出力される。
性能測定処理の説明に戻り、ステップS1308の停止操作信号出力処理が終了した場合には、全リール32L,32M,32Rが停止したことを意味する。そこで、ステップS1309では、主制御装置101から入力される入賞コマンドや状態コマンド、払出メダル数を示す払出数コマンド等が示す情報、すなわち当該ゲームのゲーム結果を示す情報を記憶するゲーム結果記憶処理を行い、ステップS1301に戻る。
以上詳述した本実施の形態においては、左ストップスイッチ42の操作タイミングに関わらずいずれかのチェリー入賞が成立する可能性があるため、RT状態の終了時期が当選役対応演出の発生頻度に依存することとなる。第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況下で当選役対応演出が行われた場合には、補助表示部65に表示されていない「チェリー」図柄を狙って左ストップスイッチ42を操作することでRT状態が終了することを回避できる一方、第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況下で当選役非対応演出が行われた場合には、2分の1の確率でRT状態が終了してしまうからである。そして、かかる構成において当選役対応演出の選択頻度を高める不正がなされた場合には、RT状態が不正に継続されることとなり、上記実施の形態と比してより多くのメダルを不正に獲得される可能性が懸念されることとなる。しかしながら、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成においては、性能試験を行うことで前記不正を容易に発見することが可能となり、遊技場等における不正の被害が拡大することを抑制することが可能となる。
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記各実施の形態では、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立した場合、RT状態が終了する構成としたが、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立した場合の所定確率でRT状態が終了する構成としても良い。かかる構成とした場合であっても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
また、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞が成立した場合に、RT状態が終了しない構成としても良い。かかる構成とした場合であっても、第1チェリー入賞又は第2チェリー入賞の成立する頻度が、第1チェリー又は第2チェリーに当選している状況で当選役対応演出が実行される頻度に依存することとなる。このため、不正に多くのメダルを獲得される可能性が生じ、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、このように所定の入賞が成立した場合に遊技者に不利な特典が付与される状況が生じない構成においては、上記各実施の形態における状況判断処理は不要である。
(2)上記各実施の形態では、当選役と、現在の遊技状態と、表示制御装置81が取得する乱数と、に基づいて、示唆演出を行うか否かと、当選役対応演出と当選役非対応演出のいずれを行うかと、が決定される構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、遊技者の遊技結果によって当選役対応演出を行うと決定される頻度が変化する構成としても良い。例えば、RT状態下で第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合、BB状態下で予め定めた所定の停止出目を停止させた回数分だけ当選役対応演出を行うと決定する構成とする。かかる構成においては、RT状態下で第1チェリー又は第2チェリーに当選した場合に当選役対応演出を行うと決定する回数が変化するため、当選役対応演出の実行に関わる不正がなされた場合に、その発見がより困難なものとなる。しかしながら、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を判定し、ストップスイッチ42〜44の適正な操作タイミングを指定するための操作情報を設定する構成とすることにより、前記不正を容易に発見することが可能となる。
(3)上記各実施の形態では、操作情報として、図柄番号を示す情報をセットする構成としたが、励磁パルス数を出力する構成としても良い。かかる構成とした場合であっても、回転信号が入力されてからの経過時間によって励磁パルス数を把握するができるため、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することが期待できる。
または、操作情報として、入賞を成立させる(回避させる)ことができる図柄番号又は励磁パルス数の範囲をセットする構成としても良い。例えば第1の実施の形態において、第1チェリー入賞を成立させる場合には、左リール32Lの18番の「リプレイ」図柄〜3番の「赤チェリー」図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作すれば良いため、左操作情報として、「18」,「19」,「20」,「0」,「1」,「2」,「3」の全てをセットする構成とする。そして、性能試験機は、左リール32Lの下段に位置している図柄番号が左操作情報の示す図柄番号のいずれかとなった場合、左停止操作信号を主制御装置101に対して出力する構成とする。かかる構成とした場合には、左停止操作信号を出力可能な状態になってから実際に出力するまでに要する時間の短縮化を図ることが可能となり、ひいては1回のゲームに要する時間の短縮化を図ることが可能となる。この結果、性能試験に要する試験時間の短縮化を図ることが可能となる。
ここで、上述した操作情報としての図柄番号や励磁パルス数は、リールインデックスセンサが検出信号を出力する際のリールの角度位置を基点位置とした場合、当該基点位置からの回転角度を示す情報であるとも言える。
(4)上記各実施の形態では、表示制御装置81が、図柄番号を示す操作情報を性能試験機301に出力し、性能試験機301が、操作情報と、回転信号が入力されてからの経過時間と、に基づいて停止操作信号を出力するタイミングを把握する構成としたが、表示制御装置81が停止操作信号を出力するタイミングを把握する構成としても良い。具体的に説明すると、主制御装置101は、表示制御装置81に対して回転信号を出力する。表示制御装置81は、当選役と、回転信号が入力されてからの経過時間と、に基づいて、当選図柄を有効ライン上に停止させることが可能なタイミングか否かを判定する。そして、表示制御装置81は、当選図柄を有効ライン上に停止させることが可能なタイミングである場合、性能試験機301に対して前記タイミングであることを示す操作情報を出力する。性能試験機301は、操作情報が入力されているタイミングで停止操作信号を主制御装置101に対して出力する。
(5)上記各実施の形態では、操作情報として、図柄番号を示す情報をセットする構成としたが、これに代えて又は加えて、ストップスイッチ42〜44の操作順序を示す操作情報をセットする構成としても良い。特に、所定の役に当選した場合にストップスイッチ42〜44の操作順序によって入賞成立の有無が決定される構成においては、図柄番号を示す情報に代えて又は加えて、ストップスイッチ42〜44の操作順序を示す操作情報をセットすることが望ましい。
(6)上記各実施の形態では、RT状態の終了条件として、2種類の入賞態様を設定したが、1種類のみとしても良いし、3種類以上としても良く、その数は任意である。
例えば、左リール32Lにおいて、3番の位置に第1チェリー図柄たる「赤チェリー」図柄を配置し、10番の位置に第3チェリー図柄たる「白チェリー」図柄を配置し、16番ではなく17番の位置に第2チェリー図柄たる「青チェリー」図柄を配置し、第1〜第3チェリー入賞のいずれが成立した場合であってもRT状態が終了する構成とする。そして、第1チェリー当選確率と、第2チェリー当選確率と、第3チェリー当選確率と、を同一確率とする。
かかる構成とした場合、0番〜3番の図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作した場合、第1チェリー入賞の成立する可能性があり、4番〜10番の図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作した場合、第3チェリー入賞の成立する可能性があり、11番〜17番の図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作した場合、第2チェリー入賞の成立する可能性があり、18番〜20番の図柄が下段に到達している際に左ストップスイッチ42を操作した場合、第1チェリー入賞の成立する可能性がある。つまり、かかる構成とした場合には、いずれのタイミングで左ストップスイッチ42を操作した場合であっても、いずれかのチェリー入賞の成立する可能性があり、RT状態が終了する可能性がある。
上述した構成においては、示唆演出が当選役非対応演出である場合、当選役に関わらず、左操作情報として「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットする構成とすれば良い。上記図柄配列においては、遊技者が左リール32Lの「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄と「白チェリー」図柄のいずれを狙って左ストップスイッチ42を操作した場合であっても、各チェリー当選確率が等しいため、チェリー入賞の成立を回避できる確率は3分の1である。したがって、左操作情報として、当選役に関わらず、「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットすれば、遊技者が「赤チェリー」図柄と「青チェリー」図柄と「白チェリー」図柄を狙い分けた場合と同様、3分の1の確率でチェリー入賞の成立が回避される事象を発生させることができるからである。また、かかる構成とすることにより、操作位置指定処理のプログラム構成を比較的簡単なものとするとともにデバック工数の増大化を抑制することが可能となる。
なお、3分の1の確率で「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、3分の1の確率で「白チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「10」をセットし、3分の1の確率で「青チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「17」をセットする構成としても良い。
但し、第1チェリーの当選確率と第2チェリーの当選確率と第3チェリーの当選確率が異なる構成においては、これら当選確率の比率を考慮して各図柄番号をセットすることが望ましい。
例えば、50分の1の確率で第1チェリーに当選し、50分の3の確率で第2チェリーに当選し、50分の6の確率で第3チェリーに当選する構成の場合、通常状態又はRT状態の最終ゲームであれば、10分の1の確率で「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、10分の3の確率で「青チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「17」をセットし、10分の6の確率で「白チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「10」をセットする構成とする。また、RT状態の最終ゲーム以外では、10分の6の確率で「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、10分の3の確率で「青チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「17」をセットし、10分の1の確率で「白チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「10」をセットする構成とする。
(7)上記各実施の形態では、示唆演出を行わないと判定した場合、左,中,右の各操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする構成としたが、左操作情報として、「赤チェリー」図柄が付された図柄番号を示す「3」をセットし、中及び右の操作情報として、当選役と対応する入賞を成立させることができる図柄番号を示す情報をセットする構成としても良い。但し、かかる構成とした場合には、性能試験で得られるメダル払出性能と、遊技場等において遊技者が実際に遊技を行ったメダル払出性能とを比較した場合、性能試験で得られるメダル払出性能の方が高くなる可能性が懸念される。
(8)上記各実施の形態では、示唆演出を行わないと判定した場合、左,中,右の各操作情報として、任意の操作タイミングで良いことを示す「21」をセットする構成としたが、「0」〜「20」のいずれかをランダムにセットする構成としても良い。
(9)上記第1の実施の形態における性能試験機301は、操作情報として「21」が入力されている場合、定速回転コマンド又は停止図柄コマンドが入力されてから予め定めた規定時間が経過した場合に、主制御装置101に対して停止操作信号を出力する構成とした。これに代えて、性能試験機301を、操作情報として「21」が入力されている場合、定速回転コマンド又は停止図柄コマンドが入力されてからランダムな時間が経過した場合に、主制御装置101に対して停止操作信号を出力する構成としても良い。
(10)上記各実施の形態では、操作位置指定処理を行って操作情報を設定する構成としたが、かかる構成を変更する。表示制御装置のROMには、示唆演出の種別と、セットする操作情報と、の対応関係が定められた操作情報テーブルを、各役について予め記憶させる。また、第1チェリー及び第2チェリーについては、通常状態、RT状態の1〜99ゲーム目、RT状態の100ゲーム目、のそれぞれについて操作情報テーブルを予め用意する。かかる構成とした場合には、演出判定処理にて行うべき示唆演出を決定した後に、操作情報テーブルを参照して操作情報を設定することができる。故に、操作情報の設定に関わるプログラム構成を比較的簡単なものとすることができるとともに、デバック工数の低減を図ることが可能となる。
(11)上記各実施の形態では、操作位置指定処理を表示制御装置81が実行する構成としたが、主制御装置101が実行する構成としても良い。また、第2中継端子基板202が実行する構成としても良いし、性能試験機301が実行する構成としても良い。これら構成とした場合であっても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。但し、第2中継端子基板202又は性能試験機301が操作位置指定処理を実行する場合には、表示制御装置81から第2中継端子基板202又は性能試験機301に対し、示唆演出の実行有無や示唆演出の種別を示す演出信号を出力する必要がある。
(12)上記各実施の形態では、表示制御基板81aに、性能試験用のコネクタ及びバッファ回路ICを搭載しない構成としたが、コネクタとバッファ回路ICの少なくとも一方を搭載する構成としても良い。コネクタのみが搭載されていない構成や、バッファ回路ICのみが搭載されていない構成とした場合であっても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することが期待できる。
(13)上記各実施の形態では、性能試験を行う場合に、主制御装置101と表示制御装置81を別個の中継端子基板に接続する構成としたが、同一の中継端子基板に接続する構成としても良いし、中継端子基板を介することなく直接性能試験機に接続する構成としても良い。
(14)上記各実施の形態では、表示制御基板81aの実装面側の構成について説明したが、主制御装置101が有する主制御基板を表示制御基板81aと同様の構成、すなわち性能試験用の導体パターンを予めプリントしておく一方で性能試験用のコネクタ搭載領域とバッファ回路IC搭載領域に対応する電子部品が実装されていない構成としても良い。
(15)上記各実施の形態では、操作情報を性能試験機に出力する構成について説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、操作情報を他の装置に出力する構成としても良い。
例えば、補助表示部と別個に第2補助表示部をスロットマシンに設け、操作情報を第2補助表示部に出力する構成とする。かかる構成とした場合には、補助表示部にて示唆演出を行いつつ、第2補助表示部にてストップスイッチの操作タイミングを報知することができる。故に、RT状態下ではチェリー入賞の成立を回避させた方が有利となることを知らない遊技者が、RT状態下で第1チェリー又は第2チェリー当選を示唆する当選役対応演出が行われた場合に対応するチェリー入賞を成立させてRT状態を終了させてしまうことを回避することが可能となる。この結果、遊技者が遊技性を知らないことで不利益を被ることを回避することが可能となる。
または、停止操作確認装置を設け、当該停止操作確認装置に、操作情報と、実際にストップスイッチが操作された操作タイミングを示す操作結果情報とが入力される構成とする。かかる構成とした場合には、停止操作確認装置に入力された上記各情報を比較することにより、図柄を狙ってストップスイッチを操作する遊技者の技量や、遊技性の理解度等を確認することが可能となる。この結果、遊技場の管理者等が、遊技者の熟練度に即したメダル払出の管理を行うことが可能となる。
(16)上記各実施の形態では、当選役対応演出において、当選図柄の組合せを補助表示部65に表示する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、遊技者が当選役を認識できる構成であれば良い。例えば、ベルに当選した場合、補助表示部に黄色のシャツを着用したキャラクタを表示する構成とする。かかる構成とした場合であっても、シャツの色を通じて当選役を示唆することが可能である。
(17)上記各実施の形態では、遊技状態がRT状態であって第1チェリー又は第2チェリーに当選している場合、必ず示唆演出を行う構成としたが、通常状態と同様に所定確率で示唆演出を行う構成としても良い。
(18)上記各実施の形態では、メダルが3枚ベットされた後に開始指令が発生したか否かを判定する構成としたが、1枚ベットされた後や2枚ベットされた後にも開始指令が発生したか否かを判定する構成としてもよいことは言うまでもない。但し、かかる構成の場合には、ベット状況に応じた抽選テーブルを予め記憶させておく必要がある。
(19)上記各実施の形態では、付与される特典として、遊技状態が移行する特典と、再遊技の特典の他に、メダルを払い出す特典を備える構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、遊技者に何らかの特典が付与される構成であればよい。例えば、メダルを払い出す特典に代えてメダル以外の賞品を払い出す構成であってもよい。また、現実のメダル投入やメダル払出機能を有さず、遊技者の所有するメダルをクレジット管理するスロットマシンにおいては、クレジットされたメダルの増加が特典の付与に相当する。
(20)上記各実施の形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。
(21)上記各実施の形態では、いわゆるAタイプのスロットマシンについて説明したが、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプ、さらにはCTゲームを備えたタイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した各実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。なお、これらの各タイプにおけるボーナス当選としては、BB当選、RB当選、SB当選、CT当選などが挙げられる。
(22)上記各実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。
以下、本発明の遊技機を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
遊技機1.複数種の絵柄(図柄)を循環表示させる循環表示手段(リール32L,32M,32R)と、
前記循環表示手段に前記絵柄の循環表示を開始させると決定する開始決定手段(主制御装置101の開始指令判定処理機能S206)と、
前記開始決定手段の決定結果に基づいて役の抽選を行う抽選手段(主制御装置101の抽選処理機能)と、
前記絵柄の循環表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップスイッチ42〜44)と、
前記開始決定手段の決定結果に基づいて前記絵柄の循環表示を開始させるとともに、前記停止操作手段の操作に基づいて前記絵柄の循環表示を停止させるよう前記循環表示手段を表示制御する表示制御手段(主制御装置101のスベリテーブル設定処理機能及びリール制御処理機能)と、
前記役の抽選結果が当選であって、当選した役と対応する当選絵柄が予め定めた有効位置(有効ライン)に停止した場合に特典(メダル払出、BB状態への移行、再遊技等)を付与する特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211、BB開始処理機能S604)と、
前記役の抽選に当選した当選役を示唆する補助演出(当選役対応演出)を実行可能な補助演出実行手段(補助表示部65)と
を備えた遊技機において、
前記補助演出を実行するか否かを決定する補助演出決定手段(表示制御装置81の演出判定処理機能S904)と、
少なくとも前記補助演出決定手段が前記補助演出を実行すると決定した場合、前記停止操作手段の操作に関わる特定操作情報を設定する操作情報設定手段(表示制御装置81の操作位置指定処理におけるS1004、S1005)と
を備え、
前記表示制御手段は、前記操作情報設定手段の設定した特定操作情報に基づいて前記停止操作手段が操作された場合、遊技者に有利な停止結果となるように前記循環表示手段を表示制御することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、当選役を示唆する補助演出が実行される場合、停止操作手段の操作に関わる特定操作情報が設定される。そして、特定操作情報に基づいて停止操作手段を操作した場合には、遊技者に有利な停止結果となるように循環表示手段が表示制御される。かかる構成においては、補助演出の実行に関して何らかの不正が行われた場合であっても、特定操作情報に基づいて停止操作手段を操作する又は停止操作手段の操作に相当する操作を行うことにより、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機2.上記遊技機1において、前記役の抽選結果が第1役(第1チェリー)当選であって第1絵柄(左リール32Lの「赤チェリー」図柄)が前記有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第1特典(4枚のメダル払出)を付与する第1特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211)と、前記役の抽選結果が前記第1役当選であって前記第1絵柄が前記有効位置に停止したことに基づいて、遊技者に有利な特定遊技状態(RT状態)を終了させる特定遊技状態終了手段(主制御装置101のRT状態終了処理機能S807、S804)とを備え、前記操作情報設定手段は、前記役の抽選結果が前記第1役当選である場合、遊技状況を判断し、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができる第1特定操作情報(左操作情報「3」、中操作情報「21」、右操作情報「21」)又は前記第1絵柄が前記有効位置に停止することを回避できる第2特定操作情報(左操作情報「16」、中操作情報「21」、右操作情報「21」)を設定することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、第1絵柄が有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第1特典が付与される。一方、特定遊技状態下で第1絵柄が有効位置に停止した場合には、当該特定遊技状態が終了される可能性がある。かかる構成においては、第1役当選を示唆する補助演出が実行された場合に、第1絵柄を有効位置に停止させるべく停止操作手段が操作されたり、第1絵柄が有効位置に停止することを回避させるべく停止操作手段が操作されたりすると想定される。そこで、遊技状況を判断し、第1絵柄を有効位置に停止させることができる第1特定操作情報又は第1絵柄が有効位置に停止することを回避できる第2特定操作情報を設定する構成とすることにより、循環表示手段を実際の遊技に即した停止結果とすることができ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機3.上記遊技機2において、前記操作情報設定手段は、前記第1絵柄を有効位置に停止させると、停止させない場合と比してその後の遊技でより多くの遊技媒体の払出が期待できる場合、前記第1特定操作情報を設定し、前記第1絵柄が有効位置に停止することを回避させると、停止させる場合と比してその後の遊技でより多くの遊技媒体の払出が期待できる場合、前記第2特定操作情報を設定することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、より多くの遊技媒体を払い出すことが期待できるように特定操作情報が設定される。遊技者は多くの遊技媒体を獲得することを期待して遊技を行うことが一般的であるため、かかる構成とすることにより、循環表示手段を実際の遊技に即した停止結果とすることができ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機4.上記遊技機1乃至遊技機3のいずれかにおいて、少なくとも前記抽選手段及び前記表示制御手段を有し、遊技を進行制御するメイン制御装置(主制御装置101)と、前記補助演出決定手段を有し、前記メイン制御装置から入力される制御信号に基づいて前記補助演出を制御するサブ制御装置(表示制御装置81)とを備えることを特徴とする遊技機。
本遊技機のように、メイン制御装置から入力される制御信号に基づいてサブ制御装置が補助演出を制御する構成においては、サブ制御装置に対して不正がなされた場合にその発見が困難なものとなる。そこで、本構成に上記遊技機1乃至遊技機3のいずれかの構成を適用することにより、サブ制御装置に対して不正がなされた場合であっても容易に発見することが可能となる。
遊技機5.上記遊技機4において、前記サブ制御装置に前記操作情報設定手段を設けたことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、特定操作情報の設定はサブ制御装置にて行われる。かかる構成とすることにより、メイン制御装置の処理負荷を増加させることなく不正対策を施すことが可能となる。
遊技機6.上記遊技機1乃至遊技機5のいずれかにおいて、前記操作情報設定手段を有する制御装置(表示制御装置81)には、前記特定操作情報を設定するための演算装置(CPU82)と、前記特定操作情報を遊技機外部に出力するための外部出力部材(バッファ回路IC、試験用コネクタ)を搭載可能とする出力部材搭載領域(コネクタ非搭載領域84a、バッファ回路IC非搭載領域85a)と、前記演算装置から前記出力部材搭載領域に前記特定操作情報を伝送可能とする伝送部材(配線パターン)と、を設け、前記出力部材搭載領域には、前記外部出力部材を非実装としたことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、操作情報設定手段を有する制御装置には、特定操作情報を設定するための演算装置と、特定操作情報を遊技機外部に出力するための外部出力部材を搭載可能とする出力部材搭載領域と、演算装置から出力部材搭載領域に特定操作情報を伝送可能とする伝送部材と、が設けられている。また、出力部材搭載領域には、外部出力部材が非実装とされている。出力部材搭載領域に外部出力部材を常時実装する構成とした場合、例えば遊技場等において、外部出力部材から不正信号を入力して演算装置を誤動作させる等の不正が行われる可能性がある。そこで、出力部材搭載領域に外部出力部材を非実装とすることにより、伝送部材の接続を断線させることが可能となり、前記不正を回避することが可能となる。また、制御装置に伝送部材を設けることにより、制御装置に不正がなされていないかを確認する場合に、出力部材搭載領域に外部出力部材を搭載することで前記確認を行うことが可能となる。故に、不正信号を入力して演算装置を誤動作させる等の不正を困難なものとしつつ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機7.上記遊技機1乃至遊技機6のいずれかにおいて、前記特定操作情報は、前記停止操作手段の操作タイミングを示す情報であることを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、特定操作情報の示す操作タイミングで停止操作手段を操作することにより、不正が行われたか否かを確認することが可能となる。
遊技機8.上記遊技機1乃至遊技機7のいずれかにおいて、前記役の抽選結果が第1役(第1チェリー)当選であって第1絵柄(左リール32Lの「赤チェリー」図柄)が前記有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第1特典(4枚のメダル払出)を付与する第1特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211)と、前記役の抽選結果が第2役(第2チェリー)当選であって第2絵柄(左リール32Lの「青チェリー」図柄)が前記有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第2特典(4枚のメダル払出)を付与する第2特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211)と、を備え、前記循環表示手段には、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることが可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることができず、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることが可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができないよう、前記第1絵柄と前記第2絵柄を離間して配置したことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、第1役に当選している状況で第2絵柄を有効位置に停止させることが可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第1絵柄が有効位置に停止せず、第1特典が付与されない。また、第2役に当選している状況で第1絵柄を有効位置に停止させることが可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第2絵柄が有効位置に停止せず、第2特典が付与されない。かかる構成においては、第1特典又は第2特典を付与される頻度が、第1役又は第2役に当選している状況で補助演出を実行すると決定する頻度に依存することとなり、補助演出の実行に関わる不正がなされた場合、特典を不正に取得される可能性が懸念される。そこで、本構成に上記遊技機1乃至遊技機7のいずれかの構成を適用することにより、前記不正がなされた場合であっても当該不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機9.複数種の絵柄(図柄)を循環表示させる循環表示手段(リール32L,32M,32R)と、
前記循環表示手段に前記絵柄の循環表示を開始させることを決定可能な開始決定手段(主制御装置101の開始指令判定処理機能S206)と、
前記開始決定手段の決定結果に基づいて役の抽選を行う抽選手段(主制御装置101の抽選処理機能)と、
前記絵柄の循環表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップスイッチ42〜44)と、
前記開始決定手段の決定結果に基づいて前記絵柄の循環表示を開始させるとともに、前記停止操作手段の操作に基づいて前記絵柄の循環表示を停止させるよう前記循環表示手段を表示制御する表示制御手段(主制御装置101のスベリテーブル設定処理機能及びリール制御処理機能)と、
前記役の抽選結果が当選であって、当選した役と対応する当選絵柄が予め定めた有効位置(有効ライン)に停止した場合に特典(メダル払出、BB状態への移行、再遊技等)を付与する特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211、BB開始処理機能S604)と、
前記役の抽選に当選した当選役を示唆する補助演出(当選役対応演出)を実行可能な補助演出実行手段(補助表示部65)と
を備えた遊技機において、
前記役の抽選結果が第1役(第1チェリー)当選であって第1絵柄(左リール32Lの「赤チェリー」図柄)が前記有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第1特典(4枚のメダル払出)を付与する第1特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211)と、
前記役の抽選結果が前記第1役当選であって前記第1絵柄が前記有効位置に停止したことに基づいて、遊技者に有利な特定遊技状態(RT状態)を終了させる特定遊技状態終了手段(主制御装置101のRT状態終了処理機能S807、S804)と、
前記補助演出を実行するか否かを決定する補助演出決定手段(表示制御装置81の演出判定処理機能S904)と、
少なくとも前記補助演出決定手段が前記補助演出を実行すると決定した場合、前記停止操作手段の操作に関わる特定操作情報を設定する操作情報設定手段(表示制御装置81の操作位置指定処理におけるS1004、S1005)と
を備え、
前記操作情報設定手段は、前記役の抽選結果が前記第1役当選である場合、遊技状況を判断し、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができる第1特定操作情報(左操作情報「3」、中操作情報「21」、右操作情報「21」)又は前記第1絵柄が前記有効位置に停止することを回避できる第2特定操作情報(左操作情報「16」、中操作情報「21」、右操作情報「21」)を設定し、
前記表示制御手段は、前記操作情報設定手段の設定した特定操作情報に基づいて前記停止操作手段が操作された場合、遊技者に有利な停止結果となるように前記循環表示手段を表示制御することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、当選役を示唆する補助演出が実行される場合、停止操作手段の操作に関わる特定操作情報が設定される。そして、特定操作情報に基づいて停止操作手段を操作した場合には、遊技者に有利な停止結果となるように循環表示手段が表示制御される。かかる構成においては、補助演出の実行に関して何らかの不正が行われた場合であっても、特定操作情報に基づいて停止操作手段を操作する又は停止操作手段の操作に相当する操作を行うことにより、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
また、第1絵柄が有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第1特典が付与される。一方、特定遊技状態下で第1絵柄が有効位置に停止した場合には、当該特定遊技状態が終了される可能性がある。かかる構成においては、第1役当選を示唆する補助演出が実行された場合に、第1絵柄を有効位置に停止させるべく停止操作手段が操作されたり、第1絵柄が有効位置に停止することを回避させるべく停止操作手段が操作されたりすると想定される。そこで、遊技状況を判断し、第1絵柄を有効位置に停止させることができる第1特定操作情報又は第1絵柄が有効位置に停止することを回避できる第2特定操作情報を設定する構成とすることにより、循環表示手段を実際の遊技に即した停止結果とすることができ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機10.上記遊技機9において、前記役の抽選結果が第2役(第2チェリー)当選であって第2絵柄(左リール32Lの「青チェリー」図柄)が前記有効位置に停止した場合、遊技者に有利な第2特典(4枚のメダル払出)を付与する第2特典付与手段(主制御装置101のメダル払出処理機能S211)と、前記役の抽選結果が前記第2役当選であって前記第2絵柄が前記有効位置に停止したことに基づいて、前記特定遊技状態を終了させる第2特定遊技状態終了手段(主制御装置101のRT状態終了処理機能S807、S804)を備え、前記循環表示手段には、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることが可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることができず、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることが可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができないように、且つ、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることが不可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることができ、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることが不可能なタイミングで前記停止操作手段が操作された場合、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができるように、前記第1絵柄と前記第2絵柄を離間して配置したことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、特定遊技状態は、第1絵柄が有効位置に停止した場合に加えて第2絵柄が有効位置に停止した場合にも終了される可能性がある。また、循環表示手段には、第1絵柄を前記有効位置に停止させることが可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第2絵柄を有効位置に停止させることができず、第2絵柄を有効位置に停止させることが可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第1絵柄を有効位置に停止させることができないように、且つ、第1絵柄を有効位置に停止させることが不可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第2絵柄を有効位置に停止させることができ、第2絵柄を有効位置に停止させることが不可能なタイミングで停止操作手段が操作された場合、第1絵柄を有効位置に停止させることができるように、第1絵柄と第2絵柄が離間して配置されている。かかる構成においては、特定遊技状態下で第1役当選を示唆する補助演出や第2役当選を示唆する補助演出が実行されなかった場合、停止操作手段の操作タイミングに関わらず特定遊技状態が終了する可能性が生じる。このため、特定遊技状態の終了時期が第1役又は第2役に当選している状況で補助演出を実行すると決定する頻度に依存することとなり、補助演出の実行に関わる不正がなされた場合、不正に特定遊技状態下での遊技が継続される可能性が懸念される。そこで、本構成に上記遊技機9の構成を適用することにより、前記不正がなされた場合であっても当該不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機11.上記遊技機10において、前記操作情報設定手段は、前記第1特定操作情報として、前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることが不可能であって前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることができる情報を設定し、前記第2特定操作情報として、前記第1絵柄を前記有効位置に停止させることが不可能であって前記第2絵柄を前記有効位置に停止させることができる情報を設定することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、第1特定操作情報として、第2絵柄を有効位置に停止させることが不可能であって第1絵柄を有効位置に停止させることができる情報が設定され、第2特定操作情報として、第1絵柄を有効位置に停止させることが不可能であって第2絵柄を有効位置に停止させることができる情報が設定される。かかる構成とすることにより、役の抽選結果が第1役当選である場合のみならず第2役当選である場合についても、第1特定操作情報と第2特定操作情報を用いて特定操作情報を設定することが可能となる。
遊技機12.上記遊技機9乃至遊技機11のいずれかにおいて、前記操作情報設定手段は、前記第1絵柄を有効位置に停止させると、停止させない場合と比してその後の遊技でより多くの遊技媒体の払出が期待できる場合、前記第1特定操作情報を設定し、前記第1絵柄が有効位置に停止することを回避させると、停止させる場合と比してその後の遊技でより多くの遊技媒体の払出が期待できる場合、前記第2特定操作情報を設定することを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、より多くの遊技媒体を払い出すことが期待できるように特定操作情報が設定される。遊技者は多くの遊技媒体を獲得することを期待して遊技を行うことが一般的であるため、かかる構成とすることにより、循環表示手段を実際の遊技に即した停止結果とすることができ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機13.上記遊技機9乃至遊技機12のいずれかにおいて、少なくとも前記抽選手段及び前記表示制御手段を有し、遊技を進行制御するメイン制御装置(主制御装置101)と、前記補助演出決定手段を有し、前記メイン制御装置から入力される制御信号に基づいて前記補助演出を制御するサブ制御装置(表示制御装置81)とを備えることを特徴とする遊技機。
本遊技機のように、メイン制御装置から入力される制御信号に基づいてサブ制御装置が補助演出を制御する構成においては、サブ制御装置に対して不正がなされた場合にその発見が困難なものとなる。そこで、本構成に上記遊技機9乃至遊技機12のいずれかの構成を適用することにより、サブ制御装置に対して不正がなされた場合であっても容易に発見することが可能となる。
遊技機14.上記遊技機13において、前記サブ制御装置に前記操作情報設定手段を設けたことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、特定操作情報の設定はサブ制御装置にて行われる。かかる構成とすることにより、メイン制御装置の処理負荷を増加させることなく不正対策を施すことが可能となる。
遊技機15.上記遊技機9乃至遊技機14のいずれかにおいて、前記操作情報設定手段を有する制御装置(表示制御装置81)には、前記特定操作情報を設定するための演算装置(CPU82)と、前記特定操作情報を遊技機外部に出力するための外部出力部材(バッファ回路IC、試験用コネクタ)を搭載可能とする出力部材搭載領域(コネクタ非搭載領域84a、バッファ回路IC非搭載領域85a)と、前記演算装置から前記出力部材搭載領域に前記特定操作情報を伝送可能とする伝送部材(配線パターン)と、を設け、前記出力部材搭載領域には、前記外部出力部材を非実装としたことを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、操作情報設定手段を有する制御装置には、特定操作情報を設定するための演算装置と、特定操作情報を遊技機外部に出力するための外部出力部材を搭載可能とする出力部材搭載領域と、演算装置から出力部材搭載領域に特定操作情報を伝送可能とする伝送部材と、が設けられている。また、出力部材搭載領域には、外部出力部材が非実装とされている。出力部材搭載領域に外部出力部材を常時実装する構成とした場合、例えば遊技場等において、外部出力部材から不正信号を入力して演算装置を誤動作させる等の不正が行われる可能性がある。そこで、出力部材搭載領域に外部出力部材を非実装とすることにより、伝送部材の接続を断線させることが可能となり、前記不正を回避することが可能となる。また、制御装置に伝送部材を設けることにより、制御装置に不正がなされていないかを確認する場合に、出力部材搭載領域に外部出力部材を搭載することで前記確認を行うことが可能となる。故に、不正信号を入力して演算装置を誤動作させる等の不正を困難なものとしつつ、補助演出の実行に関わる不正を容易に発見することが可能となる。
遊技機16.上記遊技機9乃至遊技機15のいずれかにおいて、前記特定操作情報は、前記停止操作手段の操作タイミングを示す情報であることを特徴とする遊技機。
本遊技機によれば、特定操作情報の示す操作タイミングで停止操作手段を操作することにより、不正が行われたか否かを確認することが可能となる。
10…遊技機としてのスロットマシン、32…循環表示手段を構成すると共に周回体としてのリール、33…示唆手段を構成する発光ユニット、41…開始操作手段又は始動操作手段としてのスタートレバー、42〜44…停止操作手段としてのストップスイッチ、56…開始操作手段又は入力操作手段としての第1クレジット投入スイッチ、57…開始操作手段又は入力操作手段としての第2クレジット投入スイッチ、58…開始操作手段又は入力操作手段としての第3クレジット投入スイッチ、63…補助演出実行手段を構成する上部ランプ、64…スピーカ、65…第2示唆手段を構成する補助表示部、81…示唆手段や示唆決定手段等を構成する表示制御装置、82…CPU、84a…コネクタ非搭載領域、85a…バッファ回路IC非搭載領域、101…メイン制御基板としての主制御装置、102…抽選手段やメイン制御手段等の各種制御手段を構成するCPU、201…第1中継端子基板、202…第2中継端子基板、301…性能試験機、302…CPU、303…ROM、304…RAM、304a…当選役記憶エリア、304b…左操作情報記憶エリア、304c…中操作情報記憶エリア、304d…右操作情報記憶エリア、304e…指定リール記憶エリア、311…データ表示部。