JP5381745B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
そして、定着ベルトがヒータによって加熱された金属部材によって加熱されて、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像がニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着されることになる。なお、このような定着装置では、駆動手段によって加圧ローラが回転駆動されることで、ニップ部の位置で加圧ローラに圧接する定着ベルトが摩擦抵抗によって従動回転することになる。
図1〜図8にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態1における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2〜図4に示すように、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26、金属部材22(加熱部材)、補強部材23、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、加圧回転体としての加圧ローラ31、第1温度検知手段としての第1温度センサ40、第2温度検知手段としての第2温度センサ55、移動機構51〜53、断熱部材27、ステー部材28、等で構成される。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が10〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、固定部材26、ヒータ(加熱手段)、金属部材22、補強部材23、断熱部材27、ステー部材28、等が固設されている。また、図示は省略するが、定着ベルト21と金属部材22との間には、潤滑剤が塗布されている。
ここで、固定部材26は、定着ベルト21の内周面21aに摺接するように固定されている。そして、固定部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3を参照して、固定部材26は、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に固定支持されている。なお、固定部材26の構成については、後でさらに詳しく説明する。
そして、略パイプ状に形成された金属部材22は、ヒータ25の輻射熱により加熱されて定着ベルト21を加熱する(熱を伝える。)。すなわち、金属部材22がヒータ25によって直接的に加熱されて、金属部材22を介して定着ベルト21がヒータ25によって間接的に加熱されることになる。定着ベルト21の加熱効率を良好に維持するためには、金属部材22の厚さを0.1mm以下に設定することが好ましい。
金属部材22の材料としては、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、鉄、等の金属熱伝導体(熱伝導性を有する金属である。)を用いることができるが、その中でも単位体積の熱容量比(密度×比熱である。)が比較的小さいフェライト系ステンレス鋼が好適である。本実施の形態1では、金属部材22の材料として、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430を用いている。また、金属部材22の厚さを0.1mmに設定している。
また、金属部材22と定着ベルト21とが摺接しても定着ベルト21の磨耗が軽減されるように、定着ベルト21の内周面には、双方の部材21、22の間にはフッ素グリスやシリコーンオイル等の潤滑剤が塗布されている。
なお、本実施の形態1では、金属部材22の断面形状が略円形になるように形成したが、金属部材22の断面形状が多角形になるように形成することもできる。
また、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、断熱部材を設けたり、鏡面処理を施したりすることもできる。これにより、ヒータ25から補強部材23に向かう熱(補強部材23を加熱する熱)が金属部材22の加熱に用いられることになるために、定着ベルト21(金属部材22)の加熱効率がさらに向上することになる。
なお、加圧ローラ31の両端(非通紙領域N)に設けられた第2加圧部33については、後で詳しく説明する。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径とほぼ同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
また、加圧ローラ31は、その幅方向両端部が、定着装置20の側板43に回動自在に支持された加圧レバー51に対して軸受42を介して回転自在に支持されている。そして、この加圧レバー51を含む移動機構51〜53によって、所定のタイミングで加圧ローラ31が図2の左右方向に移動されることになる(図2、図3の位置と、図5、図6の位置と、の間の移動である。)。
なお、移動機構51〜53の構成・動作については、後で詳しく説明する。
なお、加圧ローラ31の内部に、ハロゲンヒータ等の熱源を設けることもできる。
なお、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成する固定部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、固定部材26の摺接面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
金属板を曲げ加工することにより形成する略パイプ状の金属部材22は、その肉厚を薄くすることができるために、ウォームアップ時間を短縮することができる。しかし、金属部材22自身の剛性は小さくなっているため、加圧ローラ31の加圧力に抗しきれずに、撓んだり、変形することがある。パイプ状の金属部材22が変形してしまうと所望のニップ幅が得られずに、定着性が低下するという問題が生じる。これに対して、本実施の形態1では、薄肉の金属部材22とは別に高剛性の固定部材26を設置してニップ部を形成しているために、そのような問題が生じるのを未然に防止することができる。
本実施の形態1では、定着ベルト21と金属部材22とがほぼ全周にわたって近接しているため、加熱待機時(プリント動作待機時)においても定着ベルト21を周方向に温度ムラなく加熱できる。したがって、プリント要求を受けた後、速やかにプリント動作をおこなうことができる。このとき、従来のオンデマンド方式の定着装置(例えば、特許第2884714号公報参照。)では、ニップ部で加熱待機時に加圧ローラを変形させたまま熱を与えてしまうと、加圧ローラのゴムの材質によっては、熱劣化を起こして加圧ローラの寿命が短くなってしまったり、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生してしまったりする(ゴムの圧縮永久ひずみは、ゴムの変形に加熱が加わることにより増大する。)。そして、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生すると、加圧ローラの一部が凹んだ状態になり、所望のニップ幅が得られないため、定着不良が発生したり、回転時に異音が生じたりする。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26と金属部材22との間に断熱部材27が設置されているために、加熱待機時に金属部材22の熱が固定部材26に達しにくくなる。したがって、加熱待機時に加圧ローラ31が変形した状態で高温加熱される不具合が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26と金属部材22との間に断熱部材27が設置されているために、金属部材22の熱がニップ部の潤滑剤に達しにくくなる。したがって、潤滑剤の高温による劣化が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
略パイプ状の金属部材22は、0.1mm厚のステンレス板に曲げ加工を施して形成したものである。したがって、ステンレス板を曲げ加工によって所望のパイプ形状に加工しようとしても、そのままでは、スプリングバックによって径が大きくなる方向に開いてしまい所望のパイプ形状を形成することができない。そして、金属部材22がスプリングバックによって開いてしまうと、定着ベルト21の内周面に接触してしまい定着ベルト21を傷つけたり、定着ベルト21との接触ムラによる定着ベルト21の加熱ムラが生じたりしてしまう。本実施の形態1では、このような不具合が生じるのを抑止するために、金属部材22の開口部が形成された凹部(曲げ部)をステー部材28で固定することによって、金属部材22のスプリングバックによる変形を抑止している。具体的には、スプリングバック力に抗するように曲げ加工が施された金属部材22の形状を保持しながら、金属部材22の内周面側からステー部材28を凹部に圧入する。
上述したように、金属板を曲げ加工することにより形成する略パイプ状の金属部材22は、その肉厚を薄くすることができるために、ウォームアップ時間を短縮することができる。しかし、金属部材22自身の剛性は小さくなっているため、加圧ローラ31の加圧力が金属部材22に作用すると、その加圧力に抗しきれずに、撓んだり、変形してしまう。そして、パイプ状の金属部材22が変形してしまうと所望のニップ幅が得られずに、定着性が低下するという問題が生じてしまう。これに対して、本実施の形態1では、薄肉の金属部材22に凹部(固定部材26が挿設されている部分である。)をニップ部から離れるように設けて、加圧ローラ31の加圧力が金属部材22に直接的に作用しないように構成しているために、そのような問題が生じるのを未然に防止することができる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、不図示の駆動手段によって加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、金属部材22(ヒータ25)によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31(第1加圧部32)との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
上述したように、図2及び図3を参照して、本実施の形態1における定着装置20の加圧ローラ31(加圧回転体)には、芯金34上に、通紙領域Mに第1加圧部32が形成され、非通紙領域Nに第2加圧部33が形成されている。この第1加圧部32と第2加圧部33とは、それぞれ、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性材料で形成されている。ここで、第1加圧部32の外径(無負荷状態の外径である。)が30mmに設定されているに対して、第2加圧部33の外径(無負荷状態の外径である。)は30.5〜33mm(本実施の形態1では、32mmに設定されている。)に設定されている。
詳しくは、移動機構(接離機構)は、加圧レバー51、カム52、引張スプリング53等で構成されている(幅方向両端にそれぞれ設置されている。)。加圧レバー51は、支軸51aを中心に回動可能に側板43に設置されている。加圧レバー51の一端側には軸受42を介して加圧ローラ31の芯金34の軸部が回転可能に保持され、他端側には引張スプリング53の一端が接続されている。また、図示は省略するが、引張スプリング53の他端側は側板43に接続されている。また、定着装置20の側板43には、不図示の駆動モータに接続されたカム52が回動可能に設置されている。そして、このカム52が回動制御されて加圧レバー51に対して接離することで、上述した第1の状態と第2の状態とが切り替えられることになる。
これに対して、カム52が加圧レバー51に当接するように、その回動方向の姿勢が制御されているときには、引張スプリング53のスプリング力に抗するように、加圧レバー51が加圧ローラ31を定着ベルト21から遠ざける方向に回動する。これにより、図5及び図6に示すように、第1加圧部32は定着ベルト21から離間して、第2加圧部33のみが定着ベルト21に圧接してニップ部(図2、図3の状態よりも圧接力は小さい。)を形成することになる。そして、この状態でも、不図示の駆動手段が稼動すると、駆動手段からギア45への駆動力の伝達によって加圧ローラ31が回転駆動されて、第2加圧部33との摩擦抵抗によって定着ベルト21が図2の反時計方向に従動回転することになる。そして、このような状態で、ウォーミングアップ(定着工程がおこなわれる前の初期動作である。)等がおこなわれることになる。なお、図5及び図6を参照して、本実施の形態1では、第1加圧部32が定着ベルト21から離間した状態において、双方の部材21、32のギャップBが0.5〜1mmになるように設定されている。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、駆動手段が稼動したとき(加圧ローラ31が回転したとき)に、第1の状態(図2及び図3の状態)であっても第2の状態(図5及び図6の状態)であっても、定着ベルト21が所定方向に走行するように構成されている。すなわち、2つの加圧部32、33の外径や材料、移動機構51〜53の移動範囲等が最適化されて、駆動手段が稼動したときに、第1の状態であっても第2の状態であっても、定着ベルト21が所定方向に走行するように構成されている。
これにより、ウォーミングアップ時において、定着ベルト21は図5の反時計方向に走行(回転)しながらヒータ25(金属部材22)によって加熱されることになるため、周方向に温度ムラが生じることなく定着ベルト21が効率的に迅速に加熱されることになる。すなわち、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、定着画像に定着ムラ等の定着不良が生じにくくなる。
また、ウォーミングアップ時にも、休止時と同様に、第1加圧部32(非通紙領域Nに形成された第2加圧部33とは異なり、定着画像の画質の良否を決定する。)が、定着ベルト21から離間されているため、定着画像の画質の良否を左右するような定着ベルト21や加圧ローラ31の磨耗劣化や圧縮永久歪や破損を軽減することができる。
さらに、記録媒体Pの通紙動作(定着工程)が終了した後には、再び第1の状態から第2の状態になるように移動機構51〜53を制御して、装置が休止状態になる。
なお、本実施の形態1における定着装置20は、休止時であっても稼動時であっても加圧ローラ31の第2加圧部33が定着ベルト21に常に圧接した状態になるため、第2加圧部33と第2加圧部33が圧接する定着ベルト21の部分とに劣化が生じやすくなるが、第2加圧部33は非通紙領域Nに設けられているために、定着画像の画質への影響が生じないことになる。
このように構成することにより、第2の状態(第2加圧部33のみが定着ベルト21に圧接している状態である。)であっても、定着ベルト21に対する第2加圧部33の摩擦抵抗をある程度大きく維持できるため、第2の状態における定着ベルト21の走行不良が生じにくくなる。
このように構成することにより、第1の状態(第1加圧部32と第2加圧部33とが定着ベルト21に圧接している状態である。)でおいて、双方の加圧部32、33に外径差があっても双方の加圧部32、33によってそれぞれ形成されるニップ部において大きな圧接力の差異が生じにくくなるため、第1の状態における通紙領域Mの良好なニップ部が確保されるとともに、第1の状態における定着ベルト21の走行不良が生じにくくなる。
まず、ウォーミングアップが開始されると(ステップS1)、第2温度センサ55によって検知される加圧ローラ31の温度が40℃以下であるかが判別される(ステップS2)。
その結果、加圧ローラ31の温度が40℃以下であると判別された場合(例えば、装置の放置状態(休止状態)が長時間あった場合等である。)、定着ベルト21の判定温度(第2の状態から第1の状態への移行をおこなうタイミングを判断するための値である。)がT1に設定される(ステップS3)。そして、ヒータ25への電力供給と加圧ローラ31の駆動とが開始される(ステップS4、S5)。そして、第1温度センサ40によって検知される定着ベルト21の温度が判定温度T1以上であるかが判別され(ステップS6)、定着ベルト21の温度が判定温度T1以上であると判別された場合に加圧ローラ31を第2の状態から第1の状態へ移動して通紙を開始する(ステップS11、S12)。
まず、通紙動作(プリント動作)が終了して装置が待機状態(第1の状態から第2の状態になるように移動機構51〜53が制御される。)になると(ステップS20、S21)、加熱待機モードが設定されているかが判別される(ステップS22)。
その結果、加熱待機モードが設定されているものと判別された場合には、第1温度センサ40によって定着ベルト21の温度が150℃に維持されるようにヒータ25が出力制御されるとともに、加圧ローラ31の回転駆動がおこなわれる(ステップS23、S24)。そして、60秒が経過した後に、加熱待機モードを終了する(ステップS28)。なお、60秒が経過する前に、ユーザーによってプリント動作が選択された場合には、本フローを直ちに終了して、プリント動作が優先される。
これに対して、ステップS22にて、加熱待機モードが設定されていないものと判別された場合には、ヒータ25への電力供給と加圧ローラ31の回転駆動とを停止して(ステップS26、S27)、本フローを終了する(ステップS28)。
なお、本実施の形態1において、加熱待機モードが所定時間経過後に終了するように構成したのは、ユーザーによる次のプリント作業が即座におこなわれない場合に、装置の省エネルギーを優先させた方がユーザーの利益になるとの考えによるものである。したがって、装置の省エネルギーを優先させない場合等には、加熱待機モードが所定時間経過後であっても終了しないように構成することもできる。
図9にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図9は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2における定着装置は、金属部材22が電磁誘導によって加熱される点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
ここで、本実施の形態2における定着装置20は、加熱手段として、ヒータ25の代わりに、誘導加熱部50が設置されている。そして、本実施の形態2における金属部材22は、ヒータ25の輻射熱によって加熱される前記実施の形態1のものとは異なり、誘導加熱部50による電磁誘導によって加熱される。
加圧ローラ31が図9中の矢印方向に回転駆動されると、定着ベルト21も矢印方向に従動回転する。そして、定着ベルト21は誘導加熱部50との対向位置で加熱される。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、金属部材22の周囲に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、金属部材22表面に渦電流が生じて、金属部材22自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、金属部材22が電磁誘導加熱されて、さらに加熱された金属部材22によって定着ベルト21が加熱される。
なお、金属部材22を効率的に電磁誘導加熱するためには、誘導加熱部50を金属部材22の周方向全域に対向するように構成することが好ましい。また、金属部材22の材料としては、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、金、白金、銀、スズ、パラジウム、これらのうち複数の金属からなる合金、等を用いることができる。
このような場合にも、加圧ローラ31や移動機構51〜53を本実施の形態2と同様に構成することで、本実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 金属部材(加熱部材)、
23 補強部材、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 固定部材、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、
32 第1加圧部、
33 第2加圧部、
40 第1温度センサ(第1温度検知手段)、
51 加圧レバー(移動機構)、
52 カム(移動機構)、
53 引張スプリング(移動機構)、
55 第2温度センサ(第2温度検知手段)、
P 記録媒体、 M 通紙領域、 N 非通紙領域。
Claims (9)
- 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側に固設された固定部材と、
前記定着ベルトを介して前記固定部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成するとともに、駆動手段によって所定方向に回転駆動される加圧回転体と、
前記定着ベルトの内周面に対向するように固設されて前記定着ベルトを加熱するとともに、加熱手段によって加熱されるパイプ状の金属部材と、
を備え、
前記加圧回転体は、通紙領域に形成された第1加圧部と、非通紙領域に形成された第2加圧部と、を具備し、
前記第1加圧部と前記第2加圧部とが前記定着ベルトを介して前記固定部材に圧接する第1の状態と、前記第1加圧部が前記定着ベルトに対して離間するとともに前記第2加圧部のみが前記定着ベルトを介して前記固定部材に圧接する第2の状態と、を切り替えるように前記加圧回転体を移動させる移動機構をさらに備え、
前記駆動手段が稼動したときに、前記第1の状態であっても前記第2の状態であっても、前記定着ベルトが所定方向に走行するように構成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記移動機構は、前記ニップ部に記録媒体が通紙される場合に前記第1の状態になるように制御され、前記ニップ部に記録媒体が通紙されない場合に前記第2の状態になるように制御され、
装置のウォーミングアップがおこなわれる場合と前記ニップ部に記録媒体が通紙される場合とに、前記駆動手段は前記加圧回転体を回転駆動するように制御されるとともに、前記加熱手段は前記金属部材を加熱するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加圧回転体は、前記第1加圧部の外周面の摩擦係数に比べて前記第2加圧部の外周面の摩擦係数が大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記加圧回転体は、前記第1加圧部の表面硬度に比べて前記第2加圧部の表面硬度が小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着ベルトの温度を検知する第1温度検知手段と、
前記加圧回転体の温度を検知する第2温度検知手段と、
を備え、
装置のウォーミングアップがおこなわれる場合、
前記駆動手段が稼動する直前に前記第2温度検知手段によって検知された温度が所定値未満であるときに、前記第1温度検知手段によって検知された温度が第1温度に達した後に前記第2の状態から前記第1の状態になるように前記移動機構が制御され、
前記駆動手段が稼動する直前に前記第2温度検知手段によって検知された温度が前記所定値以上であるときに、前記第1温度検知手段によって検知された温度が前記第1温度よりも高い第2温度に達した後に前記第2の状態から前記第1の状態になるように前記移動機構が制御されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。 - 前記ニップ部における記録媒体の通紙動作が終了した後に、前記第1の状態から前記第2の状態になるように前記移動機構が制御されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着ベルトの温度を検知する第1温度検知手段を備え、
前記ニップ部における記録媒体の通紙動作が終了した後に前記定着ベルトを加熱して待機する加熱待機モードが選択されている場合に、
前記ニップ部における記録媒体の通紙動作が終了した後に、前記第1の状態から前記第2の状態になるように前記移動機構が制御されるとともに、前記駆動手段が稼動されながら前記第1温度検知手段によって検知された温度が所定値に維持されるように前記加熱手段が制御されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。 - 前記金属部材は、前記ニップ部を除く位置で前記定着ベルトの内周面に対向するように固設され、
前記金属部材の内周面側に固設されて前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する補強部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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