JP5379963B2 - 拭き取り用洗浄剤組成物および洗浄方法 - Google Patents
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Description
たとえば、トリガー式スプレーヤーに収容して用いる洗浄方法に好適な洗浄剤組成物が開発されている。
その一例としては、過酸化水素と、陰イオン界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩など)、アルカノールアマイド、アミンオキサイド、およびベタインから選ばれる1種以上の界面活性剤と、酢酸、乳酸、グリコール酸、およびそれらの塩からなる群から選ばれる1種以上と、水とを含有し、泡状に吐出させることにより被洗物への塗布性が改善された、泡形成機構を有するトリガー式スプレーヤーに収容されて用いられる漂白剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また、過酸化水素と、高分子化合物とを含有する過酸化物漂白剤含有組成物、およびこれをスプレー状に噴霧して用いるカーペットのクリーニング方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、たとえば特許文献2に記載される組成物などの従来の洗浄剤組成物を、トリガー式スプレーヤーに収容し、該トリガー式スプレーヤーから噴霧した場合、均一でかつ細かい液滴径の洗浄剤組成物粒子が噴霧されるものの、該洗浄剤組成物粒子が鼻・口腔内に吸引されて違和感を覚えたり、あるいは、ムセて咳き込んだりするおそれがある。
また、たとえば特許文献3に記載の組成物を用いた場合、該組成物をトリガー式スプレーヤーから噴霧して汚れ部位を拭き取った後、拭き取られた部位に、該組成物又は汚れ等の拭き残り(曇り)が生じやすい問題がある。この拭き残りは、特にガラス面において目立つため、洗浄剤組成物においては、拭き残りが抑制されることも重要な特性である。
すなわち、本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤーに収容されて用いられる拭き取り用洗浄剤組成物において、過酸化水素(A)0.1〜5質量%と、下記一般式(1)で表されるアルカンスルホン酸又はその塩(B)0.2〜3.5質量%とを含有し、かつ、下記一般式(3)で表されるアルキルもしくはアルケニル硫酸エステル又はその塩(C)の含有割合が0.5質量%以下であり、25℃での粘度が10mPa・s未満であることを特徴とする。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤーに収容されて用いられるものであって、過酸化水素(A)(以下、(A)成分という。)0.1〜5質量%と、下記一般式(1)で表されるアルカンスルホン酸又はその塩、および下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種(B)(以下、(B)成分という。)0.2〜3.5質量%とを含有し、かつ、下記一般式(3)で表されるアルキルもしくはアルケニル硫酸エステル又はその塩(C)(以下、(C)成分という。)の含有割合が0.5質量%以下である。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物において、(A)成分は過酸化水素であって、拭き取り用洗浄剤組成物中の(A)成分の含有割合は0.1〜5質量%であり、0.5〜2質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有割合が0.1質量%以上であると、良好な洗浄力が得られる。一方、5質量%以下であると、拭き取り用洗浄剤組成物をトリガー式スプレーヤーから噴霧した際にムセにくくなる効果が得られ、2質量%以下であると、ムセにくくなる効果がより向上する。
(A)成分の含有割合が5質量%を超えると、ムセるようになったり、鼻又はのどに違和感を覚えたりするようになる。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物において、(B)成分は、前記一般式(1)で表されるアルカンスルホン酸又はその塩(以下、(B1)成分という。)、および前記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(以下、(B2)成分という。)からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
(B1)成分は、前記一般式(1)で表されるアルカンスルホン酸又はその塩である。
前記一般式(1)中、m+n=10〜14であり、すなわち、(B1)成分は、炭素数13〜17(ただし、式(1)におけるM中の炭素数を除く。)の二級アルキルスルホン酸又はその塩である。
m+n=10以上であると、洗浄力が向上する。一方、m+n=14以下であると、(B1)成分自体の溶解性が良好となるため、保存時における析出などが抑制される。
前記一般式(1)中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン、又はアンモニウムを表す。具体的には、水素原子;ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;アンモニウムなどが挙げられ、これらが混在していてもよい。なかでも、Mとしては、アルカリ金属原子が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
本発明において用いることができる混合物(b1)としては、炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸塩を80質量%以上含有するものが好ましく、90質量%以上含有するものがさらに好ましい。
混合物(b1)を含有する原料として好適に用いることができる市販品としては、
HOSTAPUR SAS 30(商品名、クラリアントジャパン(株)製;炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量が90質量%以上)、
HOSTAPUR SAS 60(商品名、クラリアントジャパン(株)製;炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量が90質量%以上)、
MERSOL80(商品名、Bayer社製;平均炭素数15(炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量が80質量%以上))、
MARLONシリーズ(SASOL社製;PS65、PS60、PS60W(以上、商品名)、炭素数10〜18(炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量が90質量%以上))が挙げられる。
(B2)成分は、前記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩である。
前記一般式(2)中、R1は、炭素数8〜18のアルキル基又は炭素数8〜18のアルケニル基であり、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。該アルキル基又は該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
R1において、炭素数は8〜18であり、10〜16が好ましく、12〜13がより好ましい。R1の炭素数が8以上であると、疎水性が高まるため、洗浄力が向上する。一方、R1の炭素数が18以下であれば、(B2)成分自体の溶解性が良好となるため、保存時における析出などが抑制される。
ただし、式(2)におけるR1は、(B2)成分の原料である高級アルコールに由来する。そのため、該高級アルコールは、工業的に入手が容易な下記(a)〜(e)から選択されることが好ましい。なお、「分岐率」とは、全高級アルコールに対する、分岐鎖をもつ高級アルコールの割合(質量%)を示す。
(a)シェルケミカルズ社製、商品名「ネオドール23」(分岐率:20質量%)。これは、n−オレフィンから改良オキソ法により生成し、精留されたものである。
(b)ブテンの3量体からオキソ法により得られる炭素数13のアルコール(分岐率:100質量%)。
(c)中鎖アルコールからガーベット反応により得られる高級アルコール(分岐率:100質量%)。
(d)Sasol社製、商品名「Safol23」(分岐率:50質量%)。これは、石炭のガス化によって得られるオレフィンからオキソ法によりアルコールを得て、さらに水素化されたものである。
(e)天然油脂から合成された天然系高級アルコール(分岐率:0質量%)。
前記(a)〜(e)から選択される高級アルコールに、エチレンオキサイドを付加させてポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルコールエトキシレート)を得る。
得られたポリオキシエチレンアルキルエーテルを、サルファンでスルホン化あるいは硫酸化することによりポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルが製造でき、さらに中和することによりポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が製造できる。
上記の中でも、(B)成分としては、本発明の効果に優れることから、(B1)成分を含むことが特に好ましい。
拭き取り用洗浄剤組成物中の(B)成分の含有割合は0.2〜3.5質量%であり、1〜2質量%であることが好ましい。
(B)成分の含有割合が0.2質量%以上であると、良好な洗浄力が得られる。一方、3.5質量%以下であると、拭き取り用洗浄剤組成物をトリガー式スプレーヤーから噴霧した際にムセにくくなる効果が得られ、2質量%以下であると、ムセにくくなる効果がより向上する。
また、(B2)成分を使用する場合、上記のように(B2)成分を構成する一成分である(C)成分も一定量配合されるが、前記(B)成分の含有割合が上限値以下であれば、拭き取り用洗浄剤組成物中の(C)成分の含有割合を0.5質量%以下に容易に制御できる。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物において、(C)成分は、前記一般式(3)で表されるアルキルもしくはアルケニル硫酸エステル又はその塩である。
前記一般式(3)中、R2は、炭素数8〜18のアルキル基又は炭素数8〜18のアルケニル基である。R2としては、前記一般式(2)中のR1と同様のものが挙げられ、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン、又はアンモニウムを表す。Mとしては、前記一般式(1)中のMと同様のものが挙げられ、なかでもアルカリ金属原子が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
(C)成分の含有割合が0.5質量%以下であることにより、拭き取り用洗浄剤組成物をトリガー式スプレーヤーから噴霧した際にムセにくくなる効果が得られ、該含有割合が低いほどムセにくくなる効果が優れる。
また、0.5質量%以下の範囲で(C)成分を配合すると、洗浄力がより向上する。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物においては、金属封鎖剤(D)をさらに含有することが好ましい。
(D)成分を含有することにより、良好な洗浄力が得られる。また、水中の微量金属イオン等が捕捉され、拭き取り用洗浄剤組成物の液安定性(特に(A)成分の安定性)が向上する。
(D)成分としては、金属イオンを封鎖する能力を有するものであれば特に制限されるものではなく、たとえば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレングルコースビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、イソアミレン−マレイン酸共重合体、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミジノ酢酸、イミジノ酢酸、ピロリン酸、トリポリリン酸ヘキサメタリン酸、又はそれらの塩等が挙げられる。
上記の中でも、(D)成分としては、洗浄力および液安定性に優れることから、エチレンジアミンテトラ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、アクリル酸−マレイン酸共重合体、又はそれらの塩が好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)又はその塩が特に好ましい。
拭き取り用洗浄剤組成物中の(D)成分の含有割合は0.01〜2質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。下限値以上であると、良好な洗浄力が得られる。また、拭き取り用洗浄剤組成物の液安定性が向上する。一方、上限値以下であると、金属イオンを封鎖する効果が充分に得られる。また、(D)成分自体の溶解性が向上する。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物には、前記(A)〜(D)成分以外に、必要に応じて通常、衣料用又は硬表面用等の洗浄剤組成物に用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、配合することができる。
具体的には、(B)成分および(C)成分以外の界面活性剤、ハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤、ラジカルトラップ剤、除菌剤、香料、色素等が挙げられる。
(B)成分および(C)成分以外の界面活性剤としては、通常、洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤を配合することができる。
ただし、本発明の拭き取り用洗浄剤組成物においては、界面活性剤としてカチオン界面活性剤および両性界面活性剤のいずれも含有しないことが好ましく、上記(B)成分のみを含有することが特に好ましい。これにより、拭き取り用洗浄剤組成物をトリガー式スプレーヤーから良好に噴霧できる。かかる理由としては、以下の通りである。
上記のように、洗浄剤組成物をスプレーヤーから良好に噴出させるためには、洗浄剤組成物の粘度を低く調整することが好ましい。本発明の拭き取り用洗浄剤組成物において、たとえばカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤を併用すると、(B)成分であるアニオン界面活性剤との相互作用により、拭き取り用洗浄剤組成物の粘度が高くなりやすいため、好ましくない。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物においては、香料等の油性成分を安定配合するために、ハイドロトロープ剤として有機溶媒が使用できる。具体的には、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール等の1価のアルコール類;エチレングルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類が使用できる。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物においては、該拭き取り用洗浄剤組成物の安定性を向上するために、安息香酸ナトリウムを、拭き取り用洗浄剤組成物中に0.05〜1質量%含有することが好ましく、0.1〜0.5質量%含有することがより好ましい。1質量%以下であれば、充分な安定性向上効果が得られ、0.05質量%以上であれば、安定性向上効果が向上する。
拭き取り用洗浄剤組成物のpHは、酸性物質又はアルカリ物質を適宜選択して添加することにより調整できる。
酸性物質としては、上記(D)成分の酸タイプのものの他に、硫酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸が好適なものとして挙げられる。
また、アルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アルカノールアミンが好適なものとして挙げられる。
ラジカルトラップ剤としては、好ましくはフェノール系ラジカルトラップ剤が使用できる。フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノールおよびフェノール誘導体であり、該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。なお、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。なかでも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましい。そのなかでも、さらに好ましい化合物は、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)0が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは0.75V以下の化合物である。これらのなかで、さらに好ましくは、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
拭き取り用洗浄剤組成物中のラジカルトラップ剤の含有割合は、過酸化水素の分解抑制効果や経済性などの観点から、0.01〜6質量%とすることが好ましく、0.05〜1質量%とすることがより好ましい。
ただし、上記のように、(B2)成分には「エチレンオキサイドの付加モル数がゼロのもの」である(C)成分が含まれる。そのため、(B)成分として(B2)成分を用いると、(C)成分も配合されることになる。したがって、(B2)成分を用いる際、(B2)成分中の(C)成分が配合される量と、別途単独で配合される(C)成分の量との合計量が、拭き取り用洗浄剤組成物中の含有割合で0.5質量%以下となるように制御することが必要である。
(B2)成分中に(C)成分は、たとえば下記に例示する割合で含有される。
前記一般式(1)におけるR1の炭素数12と炭素数13との混合物で、かつ、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3である(B2)成分の場合、(B2)成分中の(C)成分の含有割合は、一例として23.2質量%である。
前記一般式(1)におけるR1の炭素数12と炭素数13との混合物で、かつ、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5である(B2)成分の場合、(B2)成分中の(C)成分の含有割合は、一例として6.1質量%である。
ここで、「(B2)成分中の(C)成分の含有割合」は、(B2)成分の原料であるアルコールエトキシレートのエチレンオキサイド付加体について、エチレンオキサイドの付加モル数分布をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定し、アルコールエトキシレート中の未反応アルコールの含有率を基に分子量換算した結果、求められる値を示す。
一方、(B)成分として(B1)成分を用いる場合、(B1)成分には(C)成分は含まれていないため、拭き取り用洗浄剤組成物中の(C)成分の含有割合が0.5質量%以下となるように、単独で配合する(C)成分の配合量を調整すればよい。
本発明において、拭き取り用洗浄剤組成物のpHは、25℃に調温した拭き取り用洗浄剤組成物を直接、ガラス電極式pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)により測定した値を示す。
本発明において、「25℃での粘度」とは、25℃に調温した拭き取り用洗浄剤組成物を、DV−I+VISCOMETER(製品名、BROOKFIELD社製)を用い、ロータNo.2で60rpm、60秒後の測定条件により測定した値(mPa・s)を示す。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物を収容するトリガー式スプレーヤーとしては、特に制限されるものではなく、たとえば、後述する≪洗浄方法≫におけるトリガー式スプレーヤーについての説明において例示されるものと同様のものが好適に挙げられる。
また、拭き取り用洗浄剤組成物を被洗物に塗布した後、該塗布部を水で洗い流す、あるいは該被洗物を洗濯機に投入して通常の洗濯を行うこともできる。
具体的には、後述する≪洗浄方法≫についての説明において例示される方法が好適に挙げられる。
また、本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤーから噴霧された際にムセにくく、かつ、拭き残りが抑制されたものである。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、過酸化水素(A)0.1〜5質量%と、特定のアルカンスルホン酸、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種(B)0.2〜3.5質量%とを含有し、かつ、特定のアルキルもしくはアルケニル硫酸エステル又はその塩(C)の含有割合が0.5質量%以下であり、25℃での粘度が10mPa・s未満である、という構成を備える。
本発明者らは、トリガー式スプレーヤーに収容されて用いられる洗浄剤組成物において、特に界面活性剤の種類によって、洗浄剤組成物をトリガー式スプレーヤーから噴霧した際におけるムセにくさが大きく異なることを見出した。そして、更なる検討の結果、洗浄剤組成物の粘度を低く調整し、(A)成分および(B)成分をいずれも特定の含有割合に設定し、かつ、(C)成分の含有割合を制御した上記構成を備えることにより、良好な洗浄力を有すること、ムセにくくなる効果が格別顕著に向上すること、および拭き残りが抑制されること、の全てを満足することを見出し、拭き取り用として好適な洗浄剤組成物を完成するに至ったものである。
また、(B1)成分又は(B2)成分のいずれかを含有することにより、トリガー式スプレーヤーの種類に依らず吐出性が良好であり、多様なトリガー式スプレーヤーを用いることができる。
また、本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、水で洗い流すことが困難な場所や物に対する拭き取り洗浄用として特に好適である。
本発明の拭き取り用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤー用の内容液として好適である。
本発明の洗浄方法は、上記本発明の拭き取り用洗浄剤組成物を、トリガー式スプレーヤーに収容し、前記トリガー式スプレーヤーから噴霧して被洗物に塗布し、該塗布部を拭き取る方法である。
トリガー式スプレーヤーとしては、特に制限されるものではなく、一般に、洗浄剤製品(トリガー式スプレーヤーに洗浄剤組成物が収容されたもの)に用いられているものが挙げられる。
具体的には、拭き取り用洗浄剤組成物を霧状に吐出できるものであればよい。また、霧状にも泡状にも吐出できる、これらの切り替えが可能なものでもよい。また、拭き取り用洗浄剤組成物を広範囲に吐出するワイドパターンと、狭範囲に吐出するナローパターンとの切り替えが可能なものでもよい。
該粒子径分布の範囲の上限値は300μm以下であり、150μm以下であることが好ましく、該粒子径分布の範囲の下限値は10μm以上であり、15μm以上であることが好ましい。
該粒子径分布が300μm以下であると、被洗物表面に塗布された拭き取り用洗浄剤組成物の液滴同士の凝集が抑えられ、拭き取り用洗浄剤組成物を、被洗物表面へ均一に塗布することが可能となる。また、拭き取り用洗浄剤組成物を被洗物表面へ均一に塗布できるため、被洗物表面をムラなく均一に洗浄でき、拭き残りが抑制されやすくなる。一方、該粒子径分布が10μm以上であると、噴霧後の拭き取り用洗浄剤組成物粒子の空間への舞い上がり(拡散)を効果的に防ぐことができ、被洗物表面へ効率よく塗布することができると共に、ムセにくくなる。
トリガー式スプレーヤーから噴霧した直後における拭き取り用洗浄剤組成物の粒子径分布は、トリガー式スプレーヤーの噴出口径、ランド長さ(噴出口を構成する部材の長さ)、スプレー量(吐出量)を調整することにより制御できる。
トリガー式スプレーヤーの噴出口径は0.2〜1.0mmであることが好ましく、ランド長さは0.1〜2.5mmであることが好ましく、トリガー式スプレーヤーからの吐出量は、1回(1ストローク)当たり0.3〜2.0mlであることが好ましい。
これら被洗物に対する拭き取り用洗浄剤組成物の塗布量は、被洗物の単位面積当たり、0.0001〜0.05ml/cm2であることが好ましい。
本発明の洗浄方法は、上記の従来の洗浄方法とは異なり、拭き取り用洗浄剤組成物を、トリガー式スプレーヤーから噴霧し、被洗物に薄く(少量で)広範囲に塗布しても良好な洗浄力が得られる。さらに、水で洗い流すことが困難な場所や物における汚れを容易に拭き取ることができる。
また、本発明の洗浄方法は、狭い空間などで使用してもムセにくく、使用性、簡便性、および安全性に優れた方法である。
表1〜2に示す組成に従って、各成分を常法に準じて混合することにより各例の拭き取り用洗浄剤組成物を製造した。ただし、実施例2、3、12、13はいずれも参考例である。
表中の配合量の単位は、拭き取り用洗浄剤組成物の全質量を基準とする質量%であり、各成分の純分換算量を示す。
また、拭き取り用洗浄剤組成物は、総量が100質量%となるように、水で全体量をバランスした。
また、拭き取り用洗浄剤組成物の25℃でのpHは、いずれの例もpH6であった。pHは、25℃に調温した各例の拭き取り用洗浄剤組成物を直接、ガラス電極式pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)により測定した。
また、拭き取り用洗浄剤組成物の25℃での粘度を表1〜2に示した。粘度(mPa・s)は、各例の拭き取り用洗浄剤組成物を25℃に調温し、DV−I+VISCOMETER(製品名、BROOKFIELD社製)を用い、ロータNo.2で60rpm、60秒後の測定条件により測定した。
以下に、表中に示した成分について説明する。
・過酸化水素(A)
過酸化水素:三菱ガス化学社製、商品名「35wt% 過酸化水素」。
SAS:第二級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン(株)製、商品名「HOSTAPUR SAS 30」(炭素数13〜17の二級アルキルスルホン酸ナトリウムの含有量が90質量%以上、純分30質量%、質量平均分子量:328)。
AES(3):C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(前記一般式(1)におけるR1の炭素数12のものと炭素数13のものとの混合物、エチレンオキサイドの平均付加モル数3)、合成品[AES(3)に含まれるAS−Naの含有割合23.2質量%]。
AES(5):C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(前記一般式(1)におけるR1の炭素数12のものと炭素数13のものとの混合物、エチレンオキサイドの平均付加モル数5)、合成品[AES(5)に含まれるAS−Naの含有割合6.1質量%]。
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール[商品名、シェルケミカルズ社製;C12、13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%]400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド272gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数3の反応物を得た。なお、そのエチレンオキサイドの付加モル数分布を、HPLCにより下記条件(*1)で測定し、エチレンオキサイドの付加モル数0である未反応アルコールの含有量は、前記平均付加モル数3の反応物中に20質量%含まれていた。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)67gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES(3))を得た。
なお、AES(3)に含まれるAS−Naの含有割合は、アルコールエトキシレートのエチレンオキサイド付加体について、エチレンオキサイドの付加モル数分布をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定し、アルコールエトキシレート中の未反応アルコールの含有率を基に分子量換算した結果、23.2質量%であった。
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール[商品名、シェルケミカルズ社製;C12、13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%]400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド454gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数5の反応物を得た。なお、そのエチレンオキサイドの付加モル数分布を、HPLCにより下記条件(*1)で測定し、エチレンオキサイドの付加モル数0である未反応アルコールの含有量は、前記平均付加モル数5の反応物中に5質量%含まれていた。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)53gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES(5))を得た。
なお、AES(5)に含まれるAS−Naの含有割合は、アルコールエトキシレートのエチレンオキサイド付加体について、エチレンオキサイドの付加モル数分布をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定し、アルコールエトキシレート中の未反応アルコールの含有率を基に分子量換算した結果、6.1質量%であった。
装置 :LC−6A((株)島津製作所製)
検出器 :SPD−10A
測定波長:220nm
カラム :Zorbax C8(Du Pont(株)製)
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)
流速 :1mL/min
温度 :20℃
AS:ラウリル硫酸ナトリウム、ライオン(株)製、商品名「サンノールLM−1130」。
CP−5:マレイン酸アクリル酸共重合体、BASF社製、商品名「Sokalan CP5 Granules」。
EDTA:エチレンジアミン四酢酸、アクゾノーベル社製、商品名「ディゾルビンZ」。
HEDP:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、ローディア社製、商品名「BRIQUEST ADPA−60A」。
AE(5):ノニオン界面活性剤、高級アルコール(商品名「CO1270」、P&G社製)にエチレンオキサイド(平均付加モル数5)が付加されたもの。
LAS−Na:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ライオン社製、商品名「ライポンLS−250」。
各例の拭き取り用洗浄剤組成物を用いて、以下に示す方法により、該拭き取り用洗浄剤組成物をスプレーヤーから噴霧した際における粒子径分布の評価を行った。
スプレーヤーとしては、トリガー式スプレーヤー[ライオン(株)製の商品名「キッチンキレイキレイアルコール除菌スプレー」の容器;噴出口径0.6mm、ランド長さ0.5mm、スプレー量1回(1ストローク)当たり0.8ml]を用いた。
測定条件
使用レンズ :300mm
焦点距離 :30cm
噴霧距離 :10cm
解析モデル式:ロジン・ラムラー式
実施例7の拭き取り用洗浄剤組成物を2回測定した。
組成物の粘度が5mPa・s以下である他の例の拭き取り用洗浄剤組成物においても、実施例7の拭き取り用洗浄剤組成物と同様の結果が得られた。
各例の拭き取り用洗浄剤組成物を用いて、以下に示す方法により、洗浄力の評価、ムセにくさの評価、および拭き残りの評価を行った。
各例の拭き取り用洗浄剤組成物を、前記トリガー式スプレーヤー(ライオン(株)製の容器)に収容し、25℃に調温した後、洗浄力の評価に供した。
[モデル手垢に対する洗浄力の評価方法]
オレイン酸30質量%とトリグリセリン30質量%と水40質量%とを加熱混合してモデル手垢汚れを調製し、該モデル手垢汚れ0.3gを、30cm×30cmのガラス板に均一に塗布し、25℃で1時間放置した。
このガラス板に、該ガラス板の面に対して垂直方向に20cm離れた位置から、各例の拭き取り用洗浄剤組成物を前記トリガー式スプレーヤーからそれぞれ1回(1ストローク)噴霧した。1分後、ティッシュペーパー(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「クリネックス ハイクオリティーフェイシャルティシュー」)で拭き取った際の汚れ落ちの状態を、下記の評価基準に従って目視判定した。評価は、○、◎、◎◎であれば合格とした。その結果を表1〜2に示す。
評価基準
◎◎:汚れ落ちが非常に良好であった。
◎:汚れ落ちがかなり良好であった。
○:汚れ落ちが良好であった。
△:汚れ落ちにムラがあった。
×:ほとんど汚れが落ちていなかった。
各例の拭き取り用洗浄剤組成物を、前記トリガー式スプレーヤー(ライオン(株)製の容器)に収容し、25℃に調温した後、ムセにくさの評価に供した。
[ムセにくさの評価方法]
温度25℃の環境下で、拭き取り用洗浄剤組成物が収容された前記トリガー式スプレーヤーの噴射口を、ガラス面から垂直方向に5cm離れた位置に該噴射口をガラス面に向けて固定し、パネラーの顔を、トリガー式スプレーヤーの噴射口の位置からガラス面と平行に上方へ20cm、かつ、ガラス面から垂直方向に20cm離れた位置(拭き取り用洗浄剤組成物の跳ね返りが最も飛散する位置)に固定した。そして、ガラス面に向かってトリガー式スプレーヤーを2回(2ストローク)噴霧した際における「鼻およびのどの感覚」を、10人のパネラーにより、下記の評価基準に従って官能評価した。評価は、○、◎であれば合格とした。その結果を表1〜2に示す。
評価基準
◎ :何も感じなかった。
○ :1〜3人が、鼻又はのどに違和感を覚えた。
△ :5〜10人が鼻又はのどに違和感を覚えた。
×:咳き込むパネラーがいた。
一方、本発明とは異なる比較例1〜5、7、8の拭き取り用洗浄剤組成物は、洗浄力の評価又はムセにくさの評価のいずれかが悪いことが確認できた。
また、組成物の粘度が60mPa・sである比較例6の拭き取り用洗浄剤組成物は、トリガー式スプレーヤーから霧状に噴霧されず、均一なスプレー塗布ができなかったため、いずれの評価も行うことができなかった。
各例の拭き取り用洗浄剤組成物を、前記トリガー式スプレーヤー(ライオン(株)製の容器)に収容し、25℃に調温した。その後、トリガー式スプレーヤー内の拭き取り用洗浄剤組成物を採取し、鏡表面に、該拭き取り用洗浄剤組成物0.1mlを滴下し、8つ折りにしたティッシュペーパー(商品名「クリネックス ハイクオリティーフェイシャルティシュー」、日本製紙クレシア株式会社製)で1往復拭いた後の、該拭き取り用洗浄剤組成物の鏡表面への残り方(くもりの程度)について、専門パネラー1名により、下記の評価基準に従って官能評価した。評価は、4点以上であれば合格とした。
評価基準
5点:鏡表面に、くもりが全くなかった。
4点:鏡表面に、極くわずかなくもりが確認された。
3点:鏡表面に、薄いくもりが確認された。
2点:鏡表面の一部に、白いくもりが確認された。
1点:鏡表面の全面に、白いくもりが確認された。
SASの配合量の多い比較例5の拭き取り用洗浄剤組成物は、3点であり、拭き残りが生じることが確認された。
組成物の粘度が高い比較例6の拭き取り用洗浄剤組成物は、1点であり、拭き残りが生じることが確認された。
Claims (3)
- トリガー式スプレーヤーに収容されて用いられる拭き取り用洗浄剤組成物において、
過酸化水素(A)0.1〜5質量%と、下記一般式(1)で表されるアルカンスルホン酸又はその塩(B)0.2〜3.5質量%とを含有し、かつ、
下記一般式(3)で表されるアルキルもしくはアルケニル硫酸エステル又はその塩(C)の含有割合が0.5質量%以下であり、
25℃での粘度が10mPa・s未満であることを特徴とする拭き取り用洗浄剤組成物。
- 金属封鎖剤(D)をさらに含有する請求項1記載の拭き取り用洗浄剤組成物。
- 請求項1又は2記載の拭き取り用洗浄剤組成物を、トリガー式スプレーヤーに収容し、前記トリガー式スプレーヤーから噴霧して被洗物に塗布し、該塗布部を拭き取る洗浄方法であって、
前記トリガー式スプレーヤーから噴霧した直後における前記拭き取り用洗浄剤組成物の粒子径分布が10〜300μmの範囲内であることを特徴とする洗浄方法。
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