JP5379603B2 - 金属類含有材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機高分子基体(例えば、プラスチックやゴム)や無機物基体(例えば、セラミックス)などを被処理材とし、この被処理材の表面近傍に金属類を含浸させた金属類含有材を製造する方法に関するものである。
有機高分子基体や無機物基体などの被処理材には、その用途によって染色が施されたり、金属の性質(例えば、導電性、帯電防止性、金属光沢など)が付与されることがある。被処理材に金属の性質を付与するために被処理材の表面に金属皮膜を形成する方法としては、無電解めっき法が知られている。無電解めっき法は、被処理材の表面近傍に存在する触媒の還元作用によって行われる。そのため無電解めっきする前処理として、被処理材の表面近傍に触媒として作用する金属を含浸させておく必要がある。
被処理材の表面近傍に金属類を含浸させる方法としては、高圧二酸化炭素流体(例えば、亜臨界状態や超臨界状態の二酸化炭素流体)を利用する技術が研究されている(特許文献1〜4)。このうち特許文献1には、高圧容器内で、有機高分子基体と、有機金属化合物を含む高圧流体とをバッチ式で接触させることにより、有機高分子基体表面に有機金属化合物を固定する方法が開示されている。特許文献2には、無機微粒子の前駆体を溶解した高圧流体を有機高分子材料に接触させることによって有機高分子材料の内部に前駆体を注入し、次いで高圧流体の圧力を維持した状態で温度を上昇させることにより前駆体を無機微粒子に変換する機能性透明有機高分子材料の製造方法が開示されている。特許文献3には、アミド基を有するプラスチック表面に、有機金属錯体を溶解した超臨界流体を接触させてプラスチックの表面に有機金属錯体を含有させる技術が開示されている。特許文献4には、有機金属錯体を含む超臨界流体または亜臨界流体に、高分子繊維材料を浸漬することにより高分子繊維表面に有機金属錯体を付着させた後、高分子繊維表面に付着した有機金属錯体を還元する高分子繊維のめっき前処理方法が開示されている。
特開2004−26986号公報 特開2006−96810号公報 特開2006−131769号公報 特開2008−208456号公報
被処理材の表面近傍に金属類を含浸させた金属類含有材を製造するには、上述した文献に記載されているように、被処理材に高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を接触させて被処理材の表面近傍に金属錯体類を含浸させ、この金属錯体類を還元すればよい。金属錯体類を還元するには、被処理材に高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を接触させた後、高圧状態のまま、(a)この被処理材に高圧二酸化炭素流体と、金属錯体類を還元するための還元剤とを接触させたり、(b)被処理材を金属錯体の還元温度以上に加熱すればよい。また、高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を接触させた後、処理容器内を大気圧まで減圧してから、(c)被処理材に金属錯体類を還元するための還元剤を接触させたり、(d)被処理材を金属錯体の還元温度以上に加熱しても金属錯体類を還元できる。
しかし上記(a)、(b)の方法では、被処理材に含浸されなかった金属錯体類が処理容器内で還元され、処理容器の内壁や配管内壁に金属が析出することがある。一方、上記(c)、(d)の方法では、処理容器内を大気圧まで減圧する過程で、高圧二酸化炭素流体に溶解していた金属錯体類が流体から析出し、処理容器の内壁や配管内壁に金属錯体類が付着することがある。ところが金属錯体類は非常に高価なため、被処理物に含浸されなかった余分な金属錯体類は回収し、再利用することが望まれる。
本発明は、上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、被処理材の表面近傍に金属類を含浸させた金属類含有材を製造する際に用いた金属錯体類のうち、被処理材に含浸されず、処理容器内に残留している金属錯体類を効率良く回収できる金属類含有材の製造方法を提供することにある。
ところで金属類含有材には、表面近傍に金属類が均一に含浸していることが望まれる。しかし、被処理材の表面近傍に金属錯体類を含浸させた後、この金属錯体類を還元または酸化すると、金属類の含浸状態が不均一となり、バラツキが発生することがあった。
そこで本発明の第二の目的は、被処理材の表面近傍に金属類を均一に含浸させた金属類含有材を製造できる方法を提供することにある。
上記目的を達成できる本発明に係る金属類含有材の製造方法は、被処理材を入れた容器に、高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を供給し、被処理材の表面近傍に高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を含浸させる工程と、前記金属錯体類の溶解度が前記高圧二酸化炭素流体よりも小さい第二の高圧流体を容器に供給し、容器内に残留している高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を容器外へ排出する工程と、容器外へ排出された金属錯体類を回収する工程と、前記被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する工程とを含む点に要旨を有する。
上記第二の高圧流体としては、還元剤または酸化剤を含有する流体を用いることが好ましい。
上記還元または酸化する工程は、下記(a)〜(d)のいずれかの手順で行えばよい。
(a)金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を、被処理材に接触させる。
(b)被処理材を加熱する。
(c)容器内を大気圧まで減圧した後、金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を、被処理材に接触させる。
(d)容器内を大気圧まで減圧した後、被処理材を加熱する。
上記(b)の手順において、被処理材の温度は徐々に上げることが好ましい。
上記(a)または(b)の手順において、被処理材内の金属錯体類を還元または酸化した後、還元または酸化させたときの温度未満で高圧二酸化炭素流体を接触させて被処理材を洗浄することが好ましい。
上記第二の目的を達成できる本発明に係る金属含有材の製造方法は、被処理材を入れた容器に、高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を供給し、被処理材の表面近傍に高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を含浸させる工程と、被処理材の温度を徐々に上げて前記被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する工程とをこの順で含む点に要旨を有する。
前記還元または酸化する工程では、加熱した高圧二酸化炭素流体を用いて被処理材の温度を徐々に上げることが好ましい。また、上記還元または酸化する工程では、容器内の圧力を徐々に上げることが好ましい。
被処理材内の金属錯体類を還元または酸化した後は、還元または酸化させたときの温度未満で被処理材に高圧二酸化炭素流体を接触させて被処理材を洗浄することが好ましい。
本発明によれば、被処理材の表面近傍に高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を含浸させた後、この金属錯体類を還元または酸化する前に、金属錯体類の溶解度が高圧二酸化炭素流体よりも小さい第二の高圧流体を用いて処理容器内に残留している高圧二酸化炭素流体と金属錯体類を処理容器外へ排出しているため、被処理材に含浸されなかった余分な金属錯体類を回収することができ、低コストで金属類含有材を製造できる。
また、本発明によれば、被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する際に、被処理材の温度を急激に上げるのではなく、徐々に上げているため、被処理材に含浸させた金属錯体類が被処理材から脱離することを防止できる。その結果、被処理材の表面近傍に金属類が均一に含浸している金属類含有材を製造できる。
図1は、本発明に係る金属類含有材の製造方法を実施するための装置の一構成例を示した説明図である。
本発明者は、被処理材の表面近傍に金属類が含浸している金属類含有材を製造するにあたり、
(1)被処理材に含浸されず、処理容器内に残留している金属錯体類を効率良く回収し、金属錯体類の再利用を促進すること、および
(2)被処理材の表面近傍に金属類を均一に含浸させた金属類含有材を製造すること、
を目指して検討を重ねてきた。その結果、
上記(1)に掲げた目的を達成するには、高圧二酸化炭素流体(以下、高圧CO2流体と表記することがある。)を用いて被処理材の表面近傍に金属錯体類を含浸させた後、この金属錯体類を還元または酸化する前に、被処理材を入れた容器内を、金属錯体類の溶解度が高圧CO2流体よりも小さい第二の高圧流体を用いて洗浄し、被処理材に含浸されなかった金属錯体類を容器外へ排出すればよいこと、
上記(2)に掲げた目的を達成するには、被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する際に、被処理材の温度を急激に上げるのではなく、徐々に上げればよいこと、
を見出し、本発明を完成した。
まず、上記(1)として掲げた目的を達成できる本発明に係る金属類含有材の製造方法(第一の製造方法)について説明する。
本発明に係る第一の製造方法は、
(A)被処理材を入れた容器に、高圧CO2流体と金属錯体類を供給し、被処理材の表面近傍に高圧CO2流体と金属錯体類を含浸させる工程(以下、含浸工程と呼ぶことがある。)と、
(B)前記金属錯体類の溶解度が前記高圧CO2流体よりも小さい第二の高圧流体を容器に供給し、容器内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器外へ排出する工程(以下、排出工程と呼ぶことがある。)と、
(C)容器外へ排出された金属錯体類を回収する工程(以下、回収工程と呼ぶことがある。)と、
(D)前記被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する工程(以下、還元・酸化工程と呼ぶことがある。)と
を含むところに特徴がある。
以下、本発明に係る金属類含有材の製造方法について、図面を用いて各工程に沿って順に説明する。なお、本発明の製造方法は、下記図例に限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えることも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
図1は、本発明に係る金属類含有材の製造方法を実施するための装置の一構成例を示した説明図である。図1中、10は容器、11は被処理材、12は液化CO2用貯留槽を示している。この液化CO2用貯留槽12と上記容器10は、配管100で接続されている。配管100の途中には、送給ポンプ13、凝縮器14、受け器15、冷却器16、昇圧ポンプ17、弁21、高圧循環ポンプ18、加熱器19、弁20、が設けられている。配管100は、加熱器19と弁20の間、弁20と容器10の間で夫々分岐しており、弁20を迂回するように副循環用配管101が接続されている。副循環用配管101の途中には、弁22、貯留回収槽23、弁24、が設けられている。なお、弁20、弁22、弁24を設ける代わりに、配管100と副循環用配管101との接続位置に、三方弁を設けてもよい。
また、容器10には、容器10内の流体を抜き出し、これを再度容器10へ返送するために配管102が接続されている。この配管102は、図1では、配管100の弁21と高圧循環ポンプ18の間に接続されている。配管102の途中には、容器10から抜き出す流体量を調整するための弁25を設けている。
なお、図1では、容器を2つ(容器10と容器10’)を設けた構成例を示しているが、以下では、便宜上、容器10のみを使用する場合について説明する。容器を2つ使用する場合は、配管上に設けられた弁の開閉を制御して流体の流路を変えればよい。なお、図1では、二つ目の容器10’を設ける構成を点線で示した。容器の数は2つに限定されるものではなく、必要に応じて3つ以上設けてもよい。
[(A)含浸工程]
含浸工程では、容器10に被処理材11を装入する。この容器10は、耐圧容器であり、後述するように、容器10内に供給される流体を亜臨界状態や超臨界状態に維持できる圧力に耐えられればよい。
被処理材11は、表面近傍に金属類を含浸させようとする対象物であり、その種類は特に限定されないが、例えば、有機高分子基体や無機物基体などが挙げられる。
有機高分子基体としては、いわゆるプラスチック(公知の各種樹脂)の他、ゴム、熱可塑性エラストマーが用いられる。その形態は、各種形状をした成形品そのままの形状(例えば、フィルム状、シート状、板状、容器状など)等の他、繊維状、粉末・粒子状等、一定形状を有するものであればいずれも利用可能である。即ち、例えば、平面状であってもよいし、線状であってもよい。平面状の例としては、厚みが比較的小さいフィルム状や、厚みが比較的大きいシート状、板状が挙げられる。また、フィルム状の被処理物をロール状に巻き取ったものでもよい。線状の例としては、繊維状や糸状が挙げられる。また、成形方法、紡糸方法、粒状化方法も特に限定されない。
プラスチックとしては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン含有樹脂等の汎用熱可塑性樹脂;液晶ポリマー等の特殊樹脂;ポリアセタール、ポリカーボネート、脂肪族または芳香族ポリアミド、ポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチック等が使用可能である。また、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、オリゴアクリレート等、成形材料として公知の硬化性樹脂の硬化体を用いることもできる。
ゴムとしては、例えば、天然ゴムやSBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EPM(エチレンプロピレンゴム)、EPDM(エチレンとプロピレンと第三成分の共重合物)等の合成ゴムが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、SEPS等のスチレン系エラストマーの他、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系等公知の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
無機物基体としては、例えば、セラミックやシリコン、金属[例えば、鉄や鋼(特に、ステンレス鋼)、亜鉛、アルミニウムなど]等で構成され、表面に凹凸が形成されている基体や多孔質体等が挙げられる。無機物基体の場合は、表面に形成されている凹凸部分や多孔質体に形成されている微細な孔(開口部)に金属錯体類由来の金属類が付着・含浸する。
被処理材11の厚みは特に限定されないが、例えば、電磁波シールド用銅張フィルム(フィルムに銅めっきしたもの)を製造するには、被処理材11として厚み0.02〜2mm程度のフィルムを用いればよい。フレキシブル銅張積層板(ポリイミドや液晶ポリマーに銅めっきしたもの)を製造するには、被処理材11として厚み0.01〜0.1mm程度のシートを用いればよい。
容器10に被処理材11を装入した後は、容器10を密封し、容器10内に、高圧CO2流体と金属錯体類を供給し、被処理材11の表面近傍に高圧CO2流体と金属錯体類を含浸させる。高圧CO2流体を用いることで、被処理材11が有機高分子基体の場合は、被処理材11の表面近傍を可塑化できるため、金属錯体類を良好に含浸できる。また、被処理材11が無機物基体の場合は、被処理材11の表面を脱脂、洗浄でき、表面に付着している汚れ等を除去できるため、金属錯体類を良好に付着・含浸できる。
容器10に被処理材11を装入した後は、容器10内に高圧CO2流体と金属錯体類を供給するに先立って、容器10内を高圧CO2流体で予め充填しておくのがよい。
容器10内を高圧CO2流体で充填する方法としては、例えば、容器10に高圧CO2ガスを供給し、被処理材11と高圧CO2ガスを接触させた後、容器10内を昇圧して容器10内に充填した高圧CO2ガスを液化する方法や、CO2ガスを昇圧ポンプ(図1では、昇圧ポンプ17)等で昇圧して得られた高圧CO2流体を容器10に直接導入する方法、などが挙げられる。
高圧CO2流体とは、液化CO2流体や亜臨界状態のCO2流体、或いは超臨界状態のCO2流体を意味する。好ましくは超臨界状態のCO2流体とするのがよい。
ここで、上記容器10内を高圧CO2流体で充填する手順の一例を、図1を用いて説明する。
高圧CO2流体は、液化CO2用貯留槽12から供給する。受け器15内の液化CO2の量が所定量以下になると、液化CO2用貯留槽12に蓄えられた液化CO2を、送給ポンプ13を動作させることにより凝縮器14を介して受け器15へ送る。次に、受け器15に供給された液化CO2を、昇圧ポンプ17、加熱器19、弁20を介して容器10へ送る。このとき、液化CO2は、加熱器19を通る間にガス化され、高圧CO2ガスの状態で容器10へ供給される。なお、弁22と弁24は閉じている。
被処理材11に高圧CO2ガスを接触させた後、配管100の途中に設けられた昇圧ポンプ17を稼動し、容器10内を昇圧して容器10内に充填した高圧CO2ガスを液化する。容器10内の圧力は、CO2の臨界圧力である7.3MPa以上(好ましくは8〜30MPa程度)とすればよい。
容器10内を処理圧力以上(例えば、CO2の臨界圧力である7.3MPa以上)に昇圧した後、弁21を閉じると共に、弁25を開け、高圧循環ポンプ18を稼動して容器10内の液化CO2を、容器10→配管102→(高圧循環ポンプ18→加熱器19)→配管100→容器10、の順で循環させる。このとき加熱器19を稼動し、液化CO2を臨界温度である31℃以上(好ましくは32〜300℃程度)に加熱することによって超臨界状態とする。超臨界状態のCO2流体が、被処理材11と接触することで、被処理材11の表面近傍に超臨界状態のCO2流体が浸透・含浸する。このとき被処理材11が有機高分子基体の場合は、被処理材11の可塑化が起こる。被処理材11が無機物基体の場合は、表面が脱脂、洗浄され、表面に付着している汚れ等が除去される。
容器10内を高圧CO2流体で充填した後は、容器10内の高圧CO2流体を配管102から抜き出し、配管102→(高圧循環ポンプ18→加熱器19)→配管100→容器10、の順で容器10へ返送されるように循環させる。このとき必要に応じて、弁21を開け、受け器15内の液化CO2を昇圧ポンプ17で加圧し、加熱器19で加熱して高圧CO2流体としたものを更に供給してもよい。
容器10内を高圧CO2流体で充填した後は、弁20を閉じると共に、弁22と弁24を開けることによって、高圧CO2流体が貯留回収槽23内を通過するように流路を変更する。
貯留回収槽23内には金属錯体類を貯留しておき、この貯留回収槽23の内部を、高圧CO2流体を通過させることで、金属錯体類を溶解したか、或いは金属錯体類を随伴した高圧CO2流体を容器10へ供給する。このように被処理材11を入れた容器10に、高圧CO2流体と金属錯体類を供給することで、被処理材11の表面近傍に、高圧CO2流体と金属錯体類を含浸させることができる。
容器10へ金属錯体類を供給する手順はこれに限定されず、例えば、容器10へ金属錯体類を直接供給してもよい。また、高圧CO2流体と金属錯体類を別容器で予め混合したものを調製しておき、これを容器10へ直接供給してもよい。
被処理材11に、高圧CO2流体と金属錯体類を接触させるときの温度は、金属錯体類が還元または酸化するときの温度未満とする。金属錯体類が還元または酸化する温度以上に容器10内を加熱すると、被処理材11に金属錯体類が含浸する前に容器10内で金属錯体類の還元または酸化が起こり、容器10の内壁に金属類が析出する。また、金属錯体類を含む高圧CO2流体を加熱器19で、金属錯体類が還元または酸化する温度以上に加熱すると、加熱器19で金属錯体類が還元または酸化されるため、還元または酸化された金属が配管の内壁に析出する。従って金属錯体類が無駄に消費される。
高圧CO2流体と金属錯体類を被処理材11に接触させた後は、被処理材11に金属錯体類を均一に含浸させるために、容器10内の流体(高圧CO2流体+被処理材11に未含浸の金属錯体類)を配管102から抜き出し、系内を循環させて再度容器10へ返送すればよく、或いは、弁22と弁24を閉じると共に、弁20を開け、容器10内の流体を、配管102→(高圧循環ポンプ18→加熱器19)→配管100→容器10、の順で循環させることにより、被処理材11に金属錯体類を均一に含浸させてもよい。
金属錯体類とは、酸化・還元反応等によって金属、金属酸化物、或いは金属化合物(以下、これらを総称して金属類と呼ぶことがある。)となる物質で、高圧二酸化炭素流体に溶解するものであればよい。被処理材に金属錯体類を含浸させることにより、その後この金属錯体類を酸化或いは還元すれば金属類含有材を得ることができる。なお、金属錯体類が高圧二酸化炭素流体に溶解し難い場合は、高圧二酸化炭素流体に対する溶解性を高めるために、アルコール等の流体を溶解助剤(エントレーナ、モディファイア)として用いてもよい。
金属錯体類としては、種々のものを用いることができ、例えば、金属類含有材に無電解めっきを行う場合は、金属錯体類として、還元等を行った後に無電解めっき用触媒として作用する有機金属錯体を用いればよい。
また、金属類として酸化物を含有する素材を製造する場合は、金属錯体類として、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)などの金属アルコキシドや酢酸亜鉛等の化合物を用いればよい。高圧二酸化炭素に溶解助剤と共に金属錯体類を溶解させて、これを被処理材に接触させることで被処理材に金属錯体類を含浸させた後、この金属錯体類を酸化・還元反応等により金属酸化物(金属類)とすれば、酸化ケイ素(SiO2)や酸化亜鉛(ZnO)を含有する機能材を得ることができる。
有機金属錯体としては、リチウム、アルミニウム、カリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、セシウム、バリウム、ランタノイド族元素(原子番号57〜71の元素)、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、ビスマスよりなる群から選択される1種以上の金属を含有する有機金属錯体が好ましい。
ランタノイド族元素の中では、ネオジム、サマリウムおよびジスプロシウムの1種以上の金属を含有する有機金属錯体が好ましい。
有機金属錯体としては、金属アルコキシド、アセチルアセトン錯体、カルボニル錯体など化合物を利用できる。
パラジウムを含有する有機金属錯体としては、具体的には、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトやパラジウムアセチルアセトナトなどを利用できる。
銀を含有する有機金属錯体としては、具体的には、銀アセチルアセトナトなどを利用できる。
有機金属錯体以外の物質としては、高圧二酸化炭素単独、或いは、助剤と共用して溶解する形態の化合物を用いることができ、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)等の金属アルコキシドや酢酸亜鉛、水酸化ストロンチウムなどを用いることができる。
被処理材11に金属錯体類を含浸させた後は、この金属錯体類を還元または酸化することで、表面近傍に金属類を含浸している金属類含有材を得ることができる。
金属錯体類を還元または酸化する方法としては、上述したように、(a)〜(d)の方法が知られている。しかし、被処理材11に金属錯体類を含浸させた後、(a)この金属錯体類を還元または酸化するために、容器10内に、還元剤または酸化剤を直ちに供給したり、(b)被処理材11を直ちに加熱すると、被処理材11に含浸されずに容器10内に残留している金属錯体類も還元または酸化され、金属として容器10の内壁や配管内壁に析出する。このように容器10内に残留している金属錯体類が還元または酸化されると、金属と配位子に分解するため、金属錯体類を回収・再利用できない。
そこで本発明では、含浸工程の後、金属錯体類の溶解度が高圧CO2流体よりも小さい第二の高圧流体を容器10に供給し、容器10内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器10外へ排出する。次に、この排出する工程について説明する。
[(B)排出工程]
上記(A)含浸工程の後、後述する(D)還元・酸化工程の前に、容器10内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器10外へ排出する。これらを排出することで、被処理材11に含浸されなかった余分な金属錯体類をそのままの形態で回収できるため、金属錯体類を再利用できる。
この排出工程では、第二の高圧流体を用いて容器10内を洗浄(リンス)する。第二の高圧流体としては、金属錯体類の溶解度が高圧CO2流体よりも小さい流体(以下、貧溶媒と呼ぶことがある。)を用いる。容器10内の洗浄に、金属錯体類の溶解度が大きい流体(以下、良溶媒と呼ぶことがある。)を用いると、被処理材11に含浸させた金属錯体類が被処理材11から脱離し、良溶媒へ溶解するため、金属類を均一に含浸した金属類含有材を製造できなくなる。これに対し、容器10内を貧溶媒を用いて洗浄すれば、金属錯体類は貧溶媒に殆んど溶解しないため、被処理材11の表面近傍に金属錯体類が含浸された状態を維持できる。
第二の高圧流体としては、金属錯体類の溶解度が高圧CO2流体よりも小さい流体を用いるが、高圧CO2流体の溶解度も小さいことが好ましい。高圧CO2流体の溶解度が大きい流体を用いると、被処理材11に含浸させた高圧CO2流体が被処理材11から脱離し易くなり、高圧CO2流体の脱離に追随して被処理材11に含浸させた金属錯体類も脱離してしまうからである。
第二の高圧流体としては、例えば、極性溶媒を用いればよい。極性溶媒としては、例えば、水やエチレングリコールなどが挙げられる。好ましくは第二の高圧流体として水または、高圧CO2流体を含有する水を用いるのがよい。
第二の高圧流体として水を用いると、容器10内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器10外へほぼ全量排出できる。即ち、例えば、20MPa、80℃の水に溶解する超臨界状態のCO2流体量は約4.9%である。また、金属錯体類は、水には殆んど溶解しない。そのため、高圧CO2流体および金属錯体類と、水は、ほとんど相溶しない。よって容器10に水を供給すれば、容器10内に残留している金属錯体類を含む高圧CO2流体と、水とを液液分離できる。このとき、例えば、超臨界状態のCO2流体の密度は、20MPa、80℃で、約595kg/m3であるのに対し、水の密度は、20MPa、80℃で、約980kg/m3であるため、超臨界状態のCO2流体と水の密度差は約385kg/m3となる。そのため容器10に水を供給すると、密度の大きい水は容器10の底部に溜まる。従って容器10の上方に高圧CO2流体と金属錯体類を排出する配管を接続しておき、容器10の底部から水が溜まっていくように水を徐々に供給し、容器10の上方から高圧CO2流体と金属錯体類を排出すれば、容器10内に残留している金属錯体類を含む高圧CO2流体をほぼ全量容器10外へ排出できる。
一方、第二の高圧流体として高圧CO2流体を含有する水を用いると、容器10内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器10外へほぼ全量排出できることに加えて、被処理材11から金属錯体類が脱離するのを防止できる。即ち、被処理材11として、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を用いると、このPMMAには、この質量に対して、20質量%以上の超臨界状態のCO2流体が含浸される。しかし、被処理材11に高圧CO2流体を含浸させた後に、第二の高圧流体として水のみを接触させると、被処理材11に含まれる高圧CO2流体の濃度が高いため、溶解度差による物質移動により、高圧CO2流体が被処理材11から抜け出し、水中に溶出する。このとき被処理材11に含浸された金属錯体類の一部も高圧CO2流体に追随して被処理材11から脱離する。
そこで第二の高圧流体として高圧CO2流体を含有する水を用いれば、第二の高圧流体中に高圧CO2流体が既に存在しているため、被処理材11から抜け出す高圧CO2流体量を低減できる。その結果、被処理材11から脱離する金属錯体類の量を低減できる。
第二の高圧流体としては、高圧CO2流体との密度差が100kg/m3以上(より好ましくは200kg/m3以上)の流体を用いることが好ましい。
上記第二の高圧流体は、例えば、図1に示すように、貯留槽31から供給すればよい。貯留槽31は、第二の高圧流体を貯留するための容器である。この貯留槽31は、配管106で配管100に接続しており、配管106上には、ポンプ32を設けている。第二の高圧流体を用いて容器10内を洗浄(リンス)する際は、ポンプ32を稼動させると共に、弁21を開けて貯留槽31から第二の高圧流体を容器10へ供給すればよい。
上記第二の高圧流体として、例えば、水を用いる場合は、貯留槽31に水を貯留しておき、この貯留槽31から水を容器10へ供給すればよく、高圧CO2流体を含有する水を用いる場合は、貯留槽31に水を貯留しておき、この貯留槽31から水を容器10へ供給すると共に、液化CO2用貯留槽12から高圧CO2流体を供給すればよい。
[(C)回収工程]
容器10外へ排出された高圧CO2流体と金属錯体類は、分離器26で高圧CO2流体と金属錯体類に分離すれば金属錯体類を回収できる。即ち、弁27を開け、上記含浸工程で被処理材11と接触させた高圧CO2流体と金属錯体類を容器10から配管103を通して抜き出し、分離器26へ供給し、この分離器26で高圧CO2流体と金属錯体類を分離する。
分離器26で高圧CO2流体と金属錯体類を分離するには、例えば、図1に示すように、分離器26の上流側に蒸発器28と弁29を設け、高圧CO2流体を減圧してガス化すればよい。ガス化したCO2は、配管104を通して凝縮器14へ供給し、CO2源として再利用できる。一方、金属錯体類は、弁30を開けて配管105から抜き出し、再利用できる。
なお、上記では、図1に示した分離器26で金属錯体類を回収する構成例について説明したが、本発明はこの構成例に限定されるものではなく、容器10内に残留している高圧CO2流体と金属錯体類を容器10外へ排出するための新たな配管(即ち、配管102、配管103とは異なる配管)を容器10に接続し、この配管の途中に金属錯体類を回収するための回収槽を設けて金属錯体類を回収してもよい。
[(D)還元・酸化工程]
容器10内に残留している金属錯体類を容器10から排出・回収した後は、被処理材11に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する。
即ち、被処理材11に含浸させた金属錯体類を還元すると、下記(I)式や下記(II)式に示されるように、金属錯体類は金属となるため、金属含有材を得ることができる。
また、金属錯体類を含浸させた被処理材11を加熱すると、下記(III)式に示されるように、金属錯体類は熱分解して金属錯体類が還元されるため、金属含有材を得ることができる。また、被処理材11中に残存するCO2と反応させれば炭酸化物(例えば、SrCO3)とすることもできる。
また、被処理材11に含浸させた金属錯体類を酸化すると、下記(IV)式に示されるように、金属錯体類は酸化金属となるため、金属酸化物含有材を得ることができる。
《還元反応》
Pd[R2P(O)=S]2+H2→Pd+2[R2P(OH)=S] (I)
Cu(hfac)2+H2 →Cu+2H(hfac) (II)
《熱分解による還元反応》
Pd(hfac)2 →Pd+2CO+2hfac (III)
《酸化反応》
Hf[N(CH324+O2 →HfO2+4N(CH32 (IV)
なお、(I)式中、Pd[R2P(O)=S]2が金属錯体である。(II)式中、Cu(hfac)2が金属錯体であり、hfacは、ヘキサフルオロアセチルアセトナトを示している。(III)式中、Pd(hfac)2が金属錯体であり、hfacは、ヘキサフルオロアセチルアセトナトを示している。(IV)式中、Hf[N(CH324が金属錯体である。
金属錯体類を還元または酸化する方法としては、次の(a)〜(d)が挙げられる。
(a)金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を、被処理材11に接触させる。
(b)被処理材11を加熱する。
(c)容器10内を大気圧まで減圧した後、金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を、被処理材11に接触させる。
(d)容器10内を大気圧まで減圧した後、被処理材11を加熱する。
(a)金属錯体類を還元するための還元剤としては、錯体中の金属種を原子価が0の金属に変化させる作用を有する薬剤であれば特に限定されない。
上記還元剤の形態は特に限定されず、液体であってもよいし、気体であってもよい。還元剤が固体の場合は、固体還元剤を水に溶解して水溶液とすればよい。
上記還元剤は、(i)有機系流体、(ii)異なる価数を有するイオン、(iii)還元性ガス、(iv)活性な金属、(v)ヒドリドイオン化合物、(vi)硫黄系イオンなどに大別できる。
(i)有機系流体
アルコール類:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、n−ヘキサノール、i−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノールなど。アルデヒド類:ホルマリン、アセトアルデヒド、エナントアルデヒド(ヘプタナール)など。カルボン酸類:蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンテン酸(CH2=CHCH2CH2COOH)など。多価カルボン酸:シュウ酸など。ヒドロキシ酸:乳酸、グリセリン酸、酒石酸(ジヒドロキシコハク酸)、クエン酸、グリコール酸など。その他:アスコルビン酸(ビタミンC)など。
(ii)異なる価数を有するイオン
リン、チタン、クロム、鉄、コバルト、銅、スズ、セリウムなどのイオンを含有する水溶液を還元剤として用いることができる。
(iii)還元性ガス
水素、一酸化炭素など。
(iv)活性な金属
マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などを含有する水溶液を還元剤として用いることができる。
(v)ヒドリドイオン化合物
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、水素化トリエチルホウ素リチウム[LiBH(C253]、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム[LiBH(sec−C493]、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム[KBH(sec−C493]、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジボラン(B26)、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化トリブチルスズ[(n−C493SnH]など。
(vi)硫黄系イオン
硫化物イオン(例えば、硫化ナトリウム等)、硫化水素、チオ硫酸イオン(S23 2-)、次亜硫酸(S24 2-)、二亜硫酸イオン(S25 2-)、亜硫酸イオン(SO3 2-)などのイオンを含有する水溶液を還元剤として用いることができる。
金属錯体類を酸化するための酸化剤としては、例えば、酸素、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、亜塩素酸ナトリムなどを用いることができる。
還元剤または酸化剤を被処理材11に接触させるには、容器10に、還元剤または酸化剤を供給すればよい。例えば、貯留槽31に金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を貯留しておき、ポンプ32を稼動させて配管100から容器10内に還元剤または酸化剤を供給すればよい。このとき弁21と弁20を開け、弁22と弁24を閉じて還元剤または酸化剤が貯留回収槽23へ流入しないようにする必要がある。
なお、上記還元剤または酸化剤は、上記容器10に直接供給してもよい。
(b)被処理材11を加熱することで、被処理材の表面に含浸させた金属錯体類を酸化または還元できる。
被処理材11を加熱するには、<1>容器10に加熱手段を設けて容器10内を加熱してもよいし、<2>容器10から第二の高圧流体を配管102を通して抜き出し、これを加熱器19で加熱してから容器10へ返送してもよいし、<3>加熱した第三の高圧流体を容器10へ供給してもよい。
容器10に加熱手段を設けて容器10内を加熱する方法としては、例えば、容器10の外壁に熱媒を供給する方法や、容器10の外壁に電気ヒータを巻き付けて加熱する方法、或いは容器10内に熱交換コイルや電気ヒータ等の加熱源を設ける方法が挙げられる。
加熱した第三の高圧流体を容器10へ供給する方法では、第三の高圧流体として、例えば、高圧CO2流体を用いればよい。この高圧CO2流体は、液化CO2用貯留槽12から供給すればよい。
ところで上記(a)または(b)の方法で金属錯体類を還元または酸化した後の容器10内には、還元または酸化によって生成した金属錯体類由来の配位子が存在しており、また金属類や金属錯体類が残留していることがある。そのため、還元・酸化工程後に、容器10内の圧力を一気に大気圧まで減圧すると、容器10内に残留している配位子等が析出し、容器10の内壁面に付着する。
そこで上記(a)または(b)の方法で金属錯体類を還元または酸化した後は、還元または酸化させたときの温度未満で被処理材11に高圧CO2流体を接触させて被処理材11を洗浄(リンス)してから大気圧まで減圧すればよい。被処理材11を高圧CO2流体で洗浄することで、容器10内に残留している金属錯体類由来の配位子等を容器10内から除去できる。
容器10内を洗浄した洗浄液(配位子等を含む高圧CO2流体)は、配管103を通して分離器26へ供給し、配位子等とCO2とを分離すればよい。
なお、被処理材11の洗浄に用いる高圧CO2流体は、液化CO2用貯留槽12から供給すればよい。
被処理材11を高圧CO2流体で洗浄した後は、容器10内の圧力を下げて大気圧まで減圧し、容器10から被処理材11(金属類含有材)を取り出す。
減圧時には、容器10内の温度も速やかに室温まで下げることが推奨される。被処理材11を長時間高温に曝すと、被処理材11の強度が低下することがある。
上記(a)、(b)の方法は、容器10内を高圧状態を維持したままで行うが、上記(c)、(d)に示すように、容器10内を大気圧まで減圧した後に、金属錯体類を還元するための還元剤または金属錯体類を酸化するための酸化剤を、被処理材11に接触させるか、被処理材11を加熱してもよい。
上記(c)の方法で用いる還元剤または酸化剤は、上記(a)の方法で用いる還元剤または酸化剤と同じものを使用できる。
上記(d)の方法で被処理材11を加熱する手段は、上記(b)の方法で採用した手段を適用できる。
上記(c)、(d)の方法においては、容器10内を大気圧まで減圧した後、この容器10内で還元・酸化工程を行ってもよいし、容器10から金属錯体類を含浸させた被処理材11を取り出し、別の容器に移してから、還元・酸化工程を行ってもよい。いずれの方法によっても金属類含有材を製造できる。
得られた金属類含有材は、含有している金属の種類によって、種々の特性が付与され、例えば下記の用途に利用できる。
Pd含有材:例えば、無電解めっきを施すための触媒。
Ag含有材:例えば、光吸収性が要求される用途で利用できる。
Cu含有材:例えば、導電膜。
ZnO含有材:例えば、透明導電膜。
SiO2含有材:被処理材を高硬度化したものとなり、硬度が要求される用途で利用できる。
HfO2含有材:被処理材を絶縁化したものとなり、絶縁性が要求される用途で利用できる。
Al23含有材:被処理材を絶縁化したものとなり、例えば、ガスバリア膜として利用できる。
ZrO2含有材:例えば、反射防止膜や高屈折性を有する膜。
SrCO3含有材:例えば、偏光フィルム。
次に、上記(2)として掲げた目的を達成することのできる本発明に係る金属類含有材の他の製造方法(第二の製造方法)について説明する。本発明に係る第二の製造方法は、
(E)被処理材を入れた容器に、高圧CO2流体と金属錯体類を供給し、被処理材の表面近傍に高圧CO2流体と金属錯体類を含浸させる工程(以下、含浸工程と呼ぶことがある。)と、
(F)被処理材の温度を徐々に上げて被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する工程(以下、加熱工程と呼ぶことがある。)、
を含むところに特徴がある。
この第二の製造方法は、(E)含浸工程の後、第一の製造方法として説明した上記(B)排出工程と上記(C)回収工程を経ることなく、第一の製造方法として説明した上記(D)還元・酸化工程に類似している(F)加熱工程に付している。
以下、本発明に係る第二の製造方法について、上記図1を用いて各工程に沿って順に説明する。
[(E)含浸工程]
上記(E)含浸工程は、上記(A)含浸工程と同じである。
[(F)加熱工程]
含浸工程の後は、被処理材11に含浸させた金属錯体類を還元または酸化する。金属錯体類を還元または酸化する方法としては、上記(a)〜(d)の方法が挙げられるが、(F)加熱工程は、被処理材の温度を徐々に上げて被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化するところに特徴がある。
即ち、第一の製造方法について、上記(D)還元・酸化工程の上記(b)の方法で説明したように、含浸工程の後、被処理材11を加熱すれば、被処理材11の表面近傍に含浸させた金属錯体類を還元または酸化できる。このとき容器10内に残留している流体(高圧CO2流体と被処理材11に含浸しなかった金属錯体類)を配管102を通して抜き出し、これを加熱器19で加熱したものを、配管100を通して容器10へ返送する。
加熱した高圧CO2流体を容器10へ供給することで、被処理材11に含浸されている金属錯体類は、高温の高圧CO2流体と接触するため還元または酸化される。
ところが容器10内の被処理材11自体の温度は低く、金属錯体類が還元または酸化するときの温度未満であるため、被処理材11が例えば長尺で、しかも長手方向に沿って高温の高圧CO2流体と接触する場合には、被処理材11との接触が進むに連れて高圧CO2流体の温度は徐々に低下する。そのため被処理材11のうち、高圧CO2流体と最後に接触した位置においては、被処理材11内の金属錯体類は未還元または未酸化のまま残ることがある。
これに対し高圧CO2流体に溶解している金属錯体類は、加熱されることで還元または酸化されるため、金属錯体類の濃度は低下している。そのため金属錯体類の濃度が低い高圧CO2流体が、金属錯体類が未還元または未酸化のまま残っている被処理材11と接触すると、溶解度差による物質移動により、被処理材11から未還元または未酸化の金属錯体類が高圧CO2流体へ抜け出してしまい、金属類の含浸状態が不均一となる。
しかも金属錯体類を構成している配位子は、高圧CO2流体に溶解し易いため、この配位子は、系内を循環し続ける。
そこで本発明では、被処理材11に含浸させた金属錯体類が抜け出すのを防止し、金属類の含浸状態を均一にするために、被処理材11の温度を徐々に上げて還元または酸化する。
被処理材11の温度を徐々に上げるには、配管100上に設けられた加熱器19による加熱条件を制御すればよい。即ち、容器10内に残留している流体を配管102から抜き出し、これを加熱器19で、例えば、10℃刻みで段階的に加熱し、加熱した流体を配管100から容器10へ返送する循環ルートを採用すればよい。
また、被処理材11の温度を徐々に上げるには、上記(E)の含浸工程で、被処理材11の表面に金属錯体類を含浸させた後の流体を、貯留回収槽23へ供給すると共に、この貯留回収槽23に金属錯体類を回収するための機構(例えば、フィルター等)を設けておき、貯留回収槽23で金属錯体類を回収した後の流体を容器10へ返送することで加熱してもよい。
高圧CO2流体の加熱条件を適切に制御することによって、容器10に供給する高圧CO2流体と、被処理材11の温度差を小さくできるため、被処理材11が長尺で、しかも長手方向に沿って高圧CO2流体を順次接触させた場合であっても、被処理材11の先端部分と末端部分での温度差を小さくできる。このように温度調整した高圧CO2流体を被処理材11に接触させることで、溶解度差による物質移動を防止でき、被処理材11から未還元または未酸化の金属錯体類が高圧CO2流体へ抜け出すのを抑制できる。また、被処理材11の温度を徐々に上げることで、被処理材11の可塑化が金属錯体類の含浸よりも先行的に進むため、被処理材11から金属錯体類が抜け出すのを防止できる。その結果、被処理材11の表面近傍に金属類が均一に含浸している金属類含有材を製造できる。
ところで被処理材11の温度を徐々に上げることで、被処理材11の可塑化が進むが、被処理材11の温度を上げるために、高圧CO2流体の温度を高めると、高圧CO2流体の密度が小さくなる。被処理材11に接触する高圧CO2流体の密度が小さくなると、被処理材11に含浸させた高圧CO2流体が、被処理材11から抜け出易くなる。被処理材11から高圧CO2流体が抜け出るときに追随して、被処理材11に含浸させた金属錯体類が被処理材11から脱離することがある。
そこで被処理材11に接触する高圧CO2流体の密度低下を抑制するために、高圧CO2流体の圧力を高めることが推奨される。このとき被処理材11の温度を徐々に上げるのに合わせて、容器10内の圧力を段階的に上げて、高圧CO2流体の温度と圧力を高めればよい。被処理材11に接触する高圧CO2流体の密度を一定に保つことにより、被処理材11に含浸させた高圧CO2流体が、被処理材11から抜け出るのを防止でき、被処理材11に含浸させた金属錯体類の脱離を抑制できる。
容器10内の圧力の上げ方は特に限定されないが、被処理材11の可塑化と密度低下との程度を考慮し、被処理材11の昇温度合いとの兼ね合いで昇圧度合いを制御すればよい。例えば、高圧CO2流体が循環ルートを一回りするときの上げ幅を2〜4MPa程度として昇圧すればよい。具体的には、容器10内に供給する高圧CO2流体を一定密度(595kg/m3)にするには、高圧CO2流体の温度と圧力を、以下の組合せになるように制御すればよい。
80℃,20MPa→90℃,23.5MPa→100℃,26.2MPa→110℃,28.4MPa→120℃,30.8MPa→130℃,33.7MPa→140℃,36.5MPa→150℃,38.8MPa
なお、金属錯体類を含む高圧CO2流体を加熱器19で加熱すると、高圧CO2流体に溶解していた金属錯体類が還元または酸化され、金属類が析出して高圧CO2流体中に浮遊して系内を循環する。この金属類は、容器10内や配管の内壁に付着する他、弁やセンサー類等のデッドスペース等で滞留、沈降付着し、運転上のトラブル要因になる。しかしこの金属類は高価なため、極力回収することが望まれる。
そこで金属錯体類を含有する高圧CO2流体を加熱器19で加熱する場合は、加熱器の下流側に金属類を回収するための回収槽を設け、還元または酸化された金属類を回収することが推奨される。図1では、貯留回収槽23にフィルター等を設け、この貯留回収槽23で高圧CO2流体中を浮遊している金属類を回収すればよい。
以上、(F)加熱工程について説明したが、この工程の条件は、上記(D)還元・酸化工程において、上記(b)の方法を採用する場合においても適用できる。即ち、被処理材11の表面近傍に高圧CO2流体と金属錯体類を含浸させた後、被処理材11を加熱する際に、被処理材11の温度を徐々に上げることが好ましい。このとき容器10内の圧力を徐々に上げることが好ましい。
上記(F)加熱工程の後は、上記(D)還元・酸化工程において上記(a)または(b)の手順で金属錯体類を還元または酸化した後と同様に、金属錯体類を還元または酸化したときの温度未満で被処理材11に高圧CO2流体を接触させて被処理材11を洗浄(リンス)してから大気圧まで減圧し、被処理材11(金属類含有材)を取り出す。
減圧時には、容器10内の温度も速やかに室温まで下げることが推奨される。被処理材11を高温に長時間曝すと、強度が低下することがある。
こうして得られた金属類含有材の表面近傍には、金属類が含浸している。表面近傍とは、被処理材11の表面から深さ数μmの位置(具体的には、500nmの位置)までの領域を意味する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実験例1]
図1に示す装置を用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面にPd金属を含浸させた金属含有材を製造した。
幅1000mm×長さ100m×厚み100μmのPETフィルムと、超臨界状態のCO2流体を透過する多孔質状の隙間保持シートを重ね、PETフィルム同士が接触しないようにロール状に巻いたものを容器10に横向きに装入した。
次に、容器10に、液化CO2用貯留槽12から配管100を通してCO2ガスを供給し、容器10内を6MPaに昇圧した。PETフィルムにCO2ガスを含浸させた後、昇圧ポンプ17を稼動して容器10内を20MPaまで昇圧すると共に、加熱器19でCO2ガスを80℃まで加熱してCO2ガスを超臨界状態とした。
次に、弁25を開け、高圧循環ポンプ18を稼動させて超臨界状態のCO2流体を、容器10→配管102→配管100→容器10の順で循環させた。超臨界状態のCO2流体を循環させてロール状に巻いたPETフィルムの隙間を通した。
次に、貯留回収槽23に、銅めっき用触媒として作用するPd錯体(具体的には、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト)を充填し、弁20を閉じ、弁22と弁24を開けて超臨界状態のCO2流体が貯留回収槽23を通るように流路を変更した。貯留回収槽23を通すことでパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを溶解させた超臨界状態のCO2流体を容器10へ供給し、PETフィルムの表面近傍にパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを含浸させた。PETフィルムの表面近傍には、約4質量%の超臨界状態のCO2流体も含浸している。
ここで、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトは、超臨界状態のCO2流体に溶解するが、90〜150℃で熱還元され金属Pdと配位子(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)に分解する。熱還元されて生成する金属Pdは、超臨界状態のCO2流体に溶解しないが、ヘキサフルオロアセチルアセトナト(配位子)は、超臨界状態のCO2流体に溶解する。
次に、ポンプ32を稼動し、水を貯留しておいた貯留槽31から20MPaに昇圧した水を配管106→配管100を通して容器10へ供給し、容器10内を洗浄(リンス)した。洗浄した液は、配管103から抜き出し、分離器26へ供給し、この分離器26で、PETフィルムに含浸されず、超臨界状態のCO2流体に溶解していたパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトとCO2流体を分離し、パラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを回収した。
次に、容器10に、還元剤としてエタノールまたは亜硫酸水溶液を供給し、容器10内のPETフィルムに含浸しているパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した。
《エタノールの場合》
貯留槽31に貯留しておいた水を抜き、代わりにエタノールを供給すると共に、ポンプ32を稼動し、貯留槽31から20MPaに昇圧したエタノールを配管106→配管100を通して容器10へ供給し、PETフィルムに含浸させたパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した。
《亜硫酸水溶液の場合》
貯留槽31に貯留しておいた水を抜き、代わりに亜硫酸水溶液を供給すると共に、ポンプ32を稼動し、貯留槽31から20MPaに昇圧した亜硫酸水溶液を配管106→配管100を通して容器10へ供給し、PETフィルムに含浸させたパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した。亜硫酸水溶液がパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトと接触すると、酸化還元反応でパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトは、金属パラジウムとヘキサフルオロアセチルアセトナトに分解され、亜硫酸は、酸化されて硫酸になる。
次に、PETフィルムに含浸しているパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した後、容器10内を大気圧まで減圧し、金属パラジウムを含浸したPETフィルムを取り出した。
[実験例2]
実験例2では、上記実験例1において、PETフィルムの表面近傍にパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを含浸させた後、容器10内のPETフィルムの温度を徐々に上げてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した。
即ち、実験例2では、液化CO2用貯留槽12から配管100を通して容器10へCO2を供給し、このときCO2を、加熱器19で80℃から150℃まで段階的に加熱すると共に、20MPaから38.8MPaまで段階的に昇圧して、PETフィルムに含浸させたパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した。具体的には、容器10内に供給する超臨界状態のCO2流体が一定密度(595kg/m3)となるように、温度と圧力を、以下の組合せで昇温・昇圧した。
80℃,20MPa→90℃,23.5MPa→100℃,26.2MPa→110℃,28.4MPa→120℃,30.8MPa→130℃,33.7MPa→140℃,36.5MPa→150℃,38.8MPa
次に、PETフィルムに含浸しているパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナトを還元した後、容器10内を大気圧まで減圧し、金属パラジウムを含浸したPETフィルムを取り出した。
10 容器
11 被処理材
12 液化CO2用貯留槽
13 送給ポンプ
14 凝縮器
15 受け器
16 冷却器
17 昇圧ポンプ
18 高圧循環ポンプ
19 加熱器
20〜22、24、25、27、29、30 弁
23 貯留回収槽
26 分離器
28 蒸発器
31 貯留槽
32 ポンプ
100、102〜106 配管
101 副循環用配管

Claims (8)

  1. 被処理材の表面近傍に金属類を含浸している金属類含有材を製造する方法であって、
    被処理材を入れた容器に、高圧二酸化炭素流体と、酸化、還元反応によって金属、金属酸化物、或いは金属化合物となる金属錯体を供給し、被処理材の表面近傍に高圧二酸化炭素流体と金属錯体を含浸させる工程、
    前記金属錯体の溶解度が前記高圧二酸化炭素流体よりも小さい第二の高圧流体を容器に供給し、容器内に残留している高圧二酸化炭素流体と金属錯体を容器外へ排出する工程、
    容器外へ排出された金属錯体を回収する工程、
    前記被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体を還元または酸化する工程、
    を含むことを特徴とする金属類含有材の製造方法。
  2. 上記第二の高圧流体として、還元剤または酸化剤を含有する流体を用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記還元または酸化する工程は、下記(a)〜(d)のいずれかの手順で行う請求項1または2に記載の製造方法。
    (a)金属錯体を還元するための還元剤または金属錯体を酸化するための酸化剤を、被処理材に接触させる。
    (b)被処理材を加熱する。
    (c)容器内を大気圧まで減圧した後、金属錯体を還元するための還元剤または金属錯体を酸化するための酸化剤を、被処理材に接触させる。
    (d)容器内を大気圧まで減圧した後、被処理材を加熱する。
  4. 上記(b)の手順において、容器内に残留している高圧二酸化炭素流体および被処理材に含浸しなかった金属錯体を抜き出し、これを加熱機で加熱してから容器へ返送することにより、被処理材の温度を上げる請求項3に記載の製造方法。
  5. 上記(a)または(b)の手順において、被処理材内の金属錯体を還元または酸化した後、還元または酸化させたときの温度未満で高圧二酸化炭素流体を接触させて被処理材を洗浄する請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 被処理材の表面近傍に金属類が含浸した金属類含有材を製造する方法であって、
    被処理材を入れた容器に、高圧二酸化炭素流体と、酸化、還元反応によって金属、金属酸化物、或いは金属化合物となる金属錯体を供給し、被処理材の表面近傍に高圧二酸化炭素流体と金属錯体を含浸させる工程、
    容器内に残留している高圧二酸化炭素流体および被処理材に含浸しなかった金属錯体を抜き出し、これを加熱機で加熱してから容器へ返送することにより、被処理材の温度を上げて前記被処理材の表面近傍に含浸させた金属錯体を還元または酸化する工程、
    をこの順で含むことを特徴とする金属類含有材の製造方法。
  7. 容器内に残留している高圧二酸化炭素流体および被処理材に含浸しなかった金属錯体を抜き出し、これを加熱機で加熱し、加熱した高圧二酸化炭素流体および被処理材に含浸しなかった金属錯体を容器へ返送する経路を循環ルートとしたとき、上記還元または酸化する工程では、高圧二酸化炭素流体および被処理材に含浸しなかった金属錯体が循環ルートを一回りするときの上げ幅を2〜4MPaとして、容器内の圧力を上げる請求項6に記載の製造方法。
  8. 被処理材内の金属錯体を還元または酸化した後、還元または酸化させたときの温度未満で被処理材に高圧二酸化炭素流体を接触させて被処理材を洗浄する請求項6または7に記載の製造方法。
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