JP4314370B2 - 高分子繊維材料のメッキ前処理方法、メッキ方法及び被膜形成方法並びに導電性繊維材料の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)アラミド繊維(Kevlar29(デュポン社製;繊度1670デシテックス)又はZylon(東洋紡績株式会社製;繊度555デシテックス))からなる長繊維糸を用いた。長繊維糸は、50cmに切断して輪状に巻いて使用した。
(2)(1)と同様のアラミド繊維により織成された織物を5cm角に切り取って使用した。
メッキ前処理には、図1に示す装置を使用した。反応器3の内容積は10cm3とし、高圧ボンベ1から5MPaの圧力で液体二酸化炭素を供給した。有機金属錯体は、有機フロロアセチルアセトネートパラジウム(以下「有機パラジウム錯体」という。)を用いた。投入量は、アラミド繊維材料の重量に対して、0.2wt%、0.5wt%、1.0wt%といったように変化させて行った。
43mlの純水に、ATS−ADDCOPPER IW−A(奥野製薬工業株式会社製)2.5mlを添加し、さらにATS−ADDCOPPER IW−M(奥野製薬工業株式会社製)4.0ml及びのATS−ADDCOPPER C(奥野製薬工業株式会社製)0.5mlを添加して、50mlの無電解銅メッキ液を調製した。図2に示すようなメッキ処理装置に調製した銅メッキ液を入れ、メッキ前処理したアラミド繊維材料を吊下した状態で浸漬し、超音波振動装置(ヤマト科学株式会社製BRANSON 3510)で銅メッキ液に42KHzの超音波振動を付与しながら、315±2Kの温度条件で銅メッキ処理した。
図4は、有機パラジウム錯体の投入量とKevlar織物への銅の付着量との間の相関関係を示すグラフである。銅の付着量は、質量測定法により行い、繊維材料の実験前後の重量変化から単位面積あたり付着量(g/m2)を算出した。この測定結果からみて、有機パラジウム錯体の投入量が増加するに従いKevlar織物への銅の付着量が増加することがわかる。これは、有機パラジウム錯体の投入量が増加することで、繊維材料表面に多くのパラジウムが付与されてより多くの銅が付着するためと考えられる。実験結果からみると、投入量は、アラミド繊維材料の重量に対して、0.2wt%以上が望ましい。
図5は、圧力が10MPa及び15MPaの場合の接触時間(横軸)とKevlar織物への銅の付着量(縦軸)との間の相関関係を示すグラフである。銅の付着量は図4の場合と同様の方法に基づいて測定した。この測定結果からみると、接触時間が長くなるに従い銅の付着量も増加するが、30分経過後にほぼ一定値に達して平衡状態となった。また、圧力が変化しても銅の付着量には大きな変化が見られなかった。
上述のメッキ前処理を施したアラミド繊維材料を無電解メッキ処理する際に従来用いられている撹拌装置により銅メッキ液を撹拌してメッキ処理を行った。図6は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、従来のメッキ処理した材料表面(図6(a))及び超音波振動によりメッキ処理した材料表面(図6(b))を観察した結果を示す写真である。従来の撹拌によりメッキ処理する場合には、材料表面に形成された銅被膜は気泡の影響により欠陥が生じており、均一な銅被膜が形成されていないが、超音波振動によりメッキ処理する場合には、材料表面にこうした欠陥は生じておらず均一な銅被膜が形成されていることがわかる。
Kevlar織物を、上述したメッキ前処理(温度423K、10MPa)により15分間、30分間、60分間、90分間の4通りの処理時間で処理して、上述した超音波振動による無電解メッキ処理で20分間処理したものを用意した。4通りの前処理時間ごとに織物から繊維を30本抜き出して揃え、強伸度引張り試験機4204型(インストロン社製)を用いて、引張強度を測定した。測定結果は4回の試験結果の平均値を採った。
実施例4と同様の装置を用いて、反応室内に同様のナイロンフィルム及び当該フィルムに対し7wt%のパラジウムアセトネートを入れ、シリンジポンプで加圧した二酸化炭素を供給して反応室内を温度408K、25MPaの超臨界状態に設定した。超臨界流体を1ミリリットル/分でフィルム表面に流下させながら20分間接触させた後、脱圧してフィルムを取り出した。ナイロンフィルムの表面には、金属被膜が確認できなかった。
2 シリンジポンプ
3 反応器
30 反応室
31 供給室
4 ろ過器
5 洗浄容器
100 メッキ槽
101 超音波振動子
200 メッキ液
Claims (20)
- 有機パラジウム錯体を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、超臨界温度以上650K以下の温度及び超臨界圧力以上35MPa以下の圧力で高分子繊維材料の表面に浸漬した状態で5分から30分までの時間接触させる接触工程と、接触工程において高分子繊維材料に含浸又は付着した前記有機パラジウム錯体を接触工程の間にメッキ用金属触媒に還元して活性化する活性化工程とを備えることを特徴とする高分子繊維材料のメッキ前処理方法。
- 前記高分子繊維材料は、アラミド繊維又はポリバラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の高分子繊維材料のメッキ前処理方法。
- 前記超臨界流体又は前記亜臨界流体は、CO2、H2O、N2、NH3、O2、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、アセチレン、エチルエーテル、エチルメチルケトン、ベンゼン、トルエン、ピリジンの中から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ前処理方法。
- 前記活性化工程では、熱還元により前記有機パラジウム錯体を前記メッキ用金属触媒に還元することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメッキ前処理方法。
- 前記活性化工程では、還元剤により前記有機パラジウム錯体を前記メッキ用金属触媒に還元することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメッキ前処理方法。
- 前記還元剤は、水素、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、ヒドロキノンの中から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載のメッキ前処理方法。
- 前記超臨界流体又は前記亜臨界流体は、前記有機パラジウム錯体の分解を促進する添加剤を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメッキ前処理方法。
- 前記添加剤は、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2‐プロパノール、1−ブタノール、アリルアルコール、アセトン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンの中から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項7に記載のメッキ前処理方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載のメッキ前処理方法で処理された高分子繊維材料に無電解メッキ処理を行うことを特徴とする高分子繊維材料のメッキ方法。
- 前記無電解メッキ処理では、銅、銀、金、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム、コバルト又はインジウムの中から選択される少なくとも一種を含むメッキ液が用いられることを特徴とする請求項9に記載のメッキ方法。
- 前記無電解メッキ処理では、メッキ液に超音波振動が付与されることを特徴とする請求項9又は10に記載のメッキ方法。
- 有機パラジウム錯体を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、超臨界温度以上650K以下の温度及び超臨界圧力以上35MPa以下の圧力で高分子繊維材料の表面に浸漬した状態で5分から30分までの時間接触させる接触工程と、接触工程において高分子繊維材料に含浸又は付着した前記有機パラジウム錯体を接触工程の間に還元、酸化又は硫化処理して前記高分子繊維材料表面に金属被膜、金属酸化被膜又は金属硫化被膜を形成する被膜形成工程とを備えることを特徴とする高分子繊維材料の被膜形成方法。
- 前記有機パラジウム錯体は、ベータージケトネート類、ジエン類、メタロセン類の中から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項12に記載の被膜形成方法。
- 前記被膜形成工程では、熱還元により前記有機パラジウム錯体を還元することを特徴とする請求項12又は13に記載の被膜形成方法。
- 前記被膜形成工程では、反応剤により前記有機パラジウム錯体を反応処理することを特徴とする請求項12又は13に記載の被膜形成方法。
- 前記反応剤は、水素、硫化水素、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、ヒドロキノン、酸素、亜酸化窒素の中から選択されることを特徴とする請求項15に記載の被膜形成方法。
- 前記超臨界流体又は前記亜臨界流体は、前記有機パラジウム錯体の分解を促進する添加剤を含むことを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載の被膜形成方法。
- 前記添加剤は、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2‐プロパノール、1−ブタノール、アリルアルコール、アセトン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンの中から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項17に記載の被膜形成方法。
- 有機パラジウム錯体を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、超臨界温度以上650K以下の温度及び超臨界圧力以上35MPa以下の圧力で高分子繊維材料の表面に浸漬した状態で5分から30分までの時間接触させる接触工程と、接触工程において高分子繊維材料に含浸又は付着した前記有機パラジウム錯体を接触工程の間にメッキ用金属触媒に還元して活性化する活性化工程と、活性化された前記メッキ用金属触媒を有する高分子繊維材料に無電解メッキ処理を施すことで表面に金属被膜を形成するメッキ工程とを備えることを特徴とする導電性繊維材料の製造方法。
- 有機パラジウム錯体を含む超臨界流体又は亜臨界流体を、超臨界温度以上650K以下の温度及び超臨界圧力以上35MPa以下の圧力で高分子繊維材料の表面に浸漬した状態で5分から30分までの時間接触させる接触工程と、接触工程において高分子繊維材料に含浸又は付着した前記有機パラジウム錯体を接触工程の間に還元、酸化又は硫化処理して前記高分子繊維材料表面に金属被膜、金属酸化被膜又は金属硫化被膜を形成する被膜形成工程とを備えることを特徴とする導電性繊維材料の製造方法。
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