JP5378407B2 - ロールのクラウンコントロールのための冷却ロール及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロールのクラウンコントロールのための冷却ロール及びその制御方法に関し、より詳しくは、熱電モジュールを用いた内部冷却方式による冷却ロール及びその制御方法に関する。
図1は、従来のロールを示す斜視図である。図1に示すように、鋳造工程や圧延工程において、ロール1は、素材2との摩擦により発生した熱や素材2から伝達された熱によって熱膨張する。このようなロールの熱膨張は、製品の厚みに影響を与え、結果的に製品の品質を低下させる。
ロール1の膨張を抑制するための、従来のロールの冷却方法は、内部冷却方式と外部冷却方式に分けられる。内部冷却方式は、主として鋳造プロセスで用いられ、ロール1の内部に備えられたパイプ状の冷却回路に冷却液体(通常は水である)を通し、ロール1の内部からロール1を冷却させる方法である。また、外部冷却方式は、複数のスプレーノズルを設け、外部からロール1に冷却液体を直接噴射して、ロール1の表面からロール1を冷却させる方法である。
図2(a)は、従来の内部冷却方式の冷却ロールを示し、図2(b)は、従来の外部冷却方式の冷却ロールを示す斜視図である。
図2(a)に示すように、内部冷却方式のロール1は、ロール1の内部に流体を通すための空間を有している。内部冷却方式のロール1は、圧延プロセスのように大きな荷重のかかる作業において、荷重による変形を生ずることがあり、使用上の制限がある。また、このような内部冷却方式では、冷却パイプ3を流れる冷却液体4の温度を、ロール1の各部分で自由に変化させることができないので、ロール1の表面形状を制御することが難しい。
図2(b)に示すように、外部冷却方式では、ロール1内部の温度上昇を制御することができないので、長時間使用すると、ロール1の中心部の温度が上昇してしまう。このような場合、外部冷却方式では、ロール1の外部からスプレーノズル5で冷却液体4をロール表面に噴射させても、ロール1の表面のみが冷却されて、ロール1の中心部まで冷却させるには相当の時間がかかる。従って、外部冷却方式は、冷却の応答性が遅い 。
図3は、従来の熱電モジュールを示す斜視図である。図3に示すように、熱電モジュールは、p型半導体6、n型半導体7、金属板タイプの高温部8及び低温部9を含んで構成されている。
熱電モジュールでは、n型半導体7から金属板タイプの低温部9に電流が流れると、内部の伝導電子が金属板からn型半導体7に電流が流れる。このとき、内部の伝導電子の平均運動エネルギーは増加するが、この運動エネルギーの変化は、熱の吸収によって引き起こされたものである。電流がその逆方向に流れると、電子の運動エネルギーが減少し、発熱反応が引き起こされる。
金属とp型半導体6の接合では、ホールの流れが電流の方向と一致し、金属とn型半導体7の接合の電流方向とは、逆方向に吸熱反応及び発熱反応が起こる。このような原理から、モジュールに電流が流れると、金属板タイプの高温部8から金属板タイプの低温部9に熱を移動させることができる。移動する総熱量Qtotalは、下記式1により決定される。
Figure 0005378407
ここで、αpnはゼーベック(Seebeck)係数、Iは電流、Tは金属板タイプの高温部8の温度、Tは金属板タイプの低温部9の温度、Kは熱伝達係数、rは抵抗である。
このようにモジュールを直列に多数連結すると、金属板タイプの高温部8の温度を所望の温度または一定の温度に維持することができる。
しかし、前述の従来のロールの冷却方式は、ロールに対する圧縮変形を抑えつつ、ロールを冷却することが困難であるという問題点があった。また、従来のロールの冷却方式は、熱膨張によるロールクラウンを抑制するための速い応答ができず、素材の表面形状を所望の形状に制御できないという問題点も有していた。
本発明は、圧縮変形に対する強さを維持しつつロールの冷却が可能な、内部冷却方式の冷却ロール及びその制御方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱膨張によるロールクラウンを抑制する速い応答ができ、ロール表面の温度を自由に変化させて、素材の表面形状を所望の形状に制御することができる、冷却ロール及びその制御方法を提供することを他の目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の第1の発明に係るロールのクラウンコントロールのための冷却ロールは、ヒートシンク(heat sink)と、ヒートシンクの外側に、複数層の熱電モジュールがロールの長手方向に積層された内部モジュールと、内部モジュールの外側に、複数層の熱電モジュールがロールの長手方向に積層された外部モジュールと、を含み、
内部モジュール及び外部モジュールは、各々がリング状の熱電モジュールからなる単位リングからなり、前記単位リングがロールの長手方向に積層され、外部モジュールは、複数の層のそれぞれに流れる電流の量を制御して内部モジュールに流し、内部モジュールは、外部モジュールの表面から流れてくる電流を、ヒートシンクに流すことを特徴とする。
本発明の他の好ましい実施形態において、外部モジュールは、外部モジュールの外側部に配置された高温部と、高温部と内部モジュールの間に配置された低温部と、を含み、高温部は、外部モジュールの表面から流れてくる電流を低温部に流すことができるようになっている。
本発明の第2の発明に係るロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの制御方法は、ロールの長手方向に複数層の熱電モジュールがリング状に積層された外部モジュールの表面から、外部モジュールの内側に複数層の熱電モジュールがロールの長手方向にリング状に積層されたものである内部モジュールに、電流が流されるステップと、
内部モジュールから、内部モジュールの内側に備えられたヒートシンクに電流が流されるステップと、を含み、
外部モジュールの複数の層それぞれに流れる電流の量を、それぞれ制御することを特徴とする。
本発明の他の好ましい実施例において、ロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの制御方法は、外部モジュールの表面から外部モジュールの外側部に配置された高温部に電流が流されるステップと、高温部から高温部と内部モジュールの間に配置された低温部に電流が流されるステップと、を含む。
本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールは、内部冷却方式を用いてロールを冷却するため、熱膨張によるロールクラウンを速い応答性で制御することができる。
また、本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールは、ロールの長手方向に独立した温度制御ができるように熱電モジュールが配置されているため、ロールの表面形状を変化させて、ロールの長手方向に対応する素材の表面形状を制御することができる。
さらに、本発明によると、p−n素子はセラミックであるので、圧縮荷重に強く、圧延のような大きな荷重がかかる場合にも使用することができる。
従来のロールを示す斜視図である。 (a)は従来の内部冷却方式を、(b)は外部冷却方式の冷却ロールを示す斜視図である。 従来の熱電モジュールを示す斜視図である。 本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの分解斜視図である。 (a)は本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの外部モジュールの単位リングを、(b)は単位リングがロールの長手方向に積層された状態を示す分解斜視図である。 本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの外部モジュールと内部モジュールが結合された状態を示す斜視図である。
以下では、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。しかし、本発明の実施の形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は、以下に詳述する実施の形態のみに限られるものではない。また、図面上の同一の符号で表示される要素は同一の要素とする。
図4は、本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの分解斜視図である。図4に示すように、本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールは、大きくは、ヒートシンク12、内部モジュール11及び外部モジュール10で構成される。
内部モジュール11は、ヒートシンク12の外側に、複数層の熱電モジュールが、ロールの長手方向に積層されている。また、外部モジュール10は、内部モジュール11の外側に、複数層の熱電モジュールが、ロールの長手方向に積層されている。そして、ヒートシンク12と内部モジュール11の間、及び内部モジュール11と外部モジュール10の間は、絶縁体で絶縁されている。
内部モジュール11は、外部モジュール10の表面から流れてきた電流を、ヒートシンク12に流す。ここで、外部モジュール10は、複数の層に流れる電流の量をそれぞれ制御する。
以下に、上述のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの制御方法について、より詳細に説明する。
電流は、外部モジュール10の表面から、外部モジュール10の内側の複数層の熱電モジュールがロールの長手方向に積層された内部モジュール11に、流れる。この過程を詳しく説明すると、電流は、外部モジュール10の表面から、外部モジュール10の外側部に配置された高温部10aに流れ、さらに、電流は、高温部10aから高温部10aと内部モジュール11の間に配置された低温部10bに流れる。
その後、電流は、内部モジュール11から内部モジュール11の内部に備えられたヒートシンク12に流される。ここで、外部モジュール10の複数の層に流れるそれぞれの電流の量は、それぞれ制御される。
図5の(a)は、本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの外部モジュールの単位リングを示し、(b)は単位リングがロールの長手方向に積層された状態を示す分解斜視図である。
図5の(a)は、2段に積層された外部モジュール10の状態を示している。外部モジュール10は、高温部10aと低温部10bで構成される。高温部10aは、外部モジュール10の外側部に配置され、低温部10bは、外部モジュール10の内側部に配置されている。すなわち、外部モジュール10の高温部10aは、冷却ロールの表面側に面し、外部モジュール10の低温部10bは、高温部10aと内部モジュール11の間に配置されている。外部モジュール10の1つのリングは、電流量を制御する1つの単位である。
図5の(b)に示すように、外部モジュール10は、外側部の高温部10aと内側部の低温部10bとが連結されて単位リングを形成し、各単位リングはロールの長手方向に積層されている。このように、外部モジュール10の単位リングは、ロールの長手方向に独立した単位で形成されているため、各単位リングに流れる電流の量を、独立して制御することができる。そのため、冷却ロールの長手方向に沿って、単位リングの温度をそれぞれ異なるようにすることができる。
図6は、本発明のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの、外部モジュールと内部モジュールが結合された状態を示す斜視図である。図6に示すように、内部モジュール11は、ロールの長手方向に積層された熱電モジュールを有し、外側部の外部モジュール10の低温部10bと内側部のヒートシンク12に連結している。外部モジュール10及び内部モジュール11は、どちらも、リング状に積層された熱電モジュールを有している。
内部モジュール11は、外部モジュール10が冷却ロールの表面から冷却ロールの内部に移動させた熱を、さらにヒートシンク12に移動させる。ヒートシンク12は、冷却ロールの片側または両側に設置される。
本発明は、上述した実施の形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、請求の範囲により権利の範囲が限定されるものであり、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野の通常の知識を持った者にとって自明である。
10 外部モジュール
10a 高温部
10b 低温部
11 内部モジュール
12 ヒートシンク

Claims (4)

  1. ヒートシンクと、
    前記ヒートシンクの外側に、複数層の熱電モジュールがロールの長手方向に積層された内部モジュールと、
    前記内部モジュールの外側に、複数層の熱電モジュールがロールの長手方向に積層された外部モジュールと、を含み、
    前記内部モジュール及び前記外部モジュールは、各々がリング状の熱電モジュールからなる単位リングからなり、前記単位リングがロールの長手方向に積層され、
    前記外部モジュールは、前記複数の層のそれぞれに流れる電流の量を制御して前記内部モジュールに流し、
    前記内部モジュールは、前記外部モジュールの表面から流れてくる電流を、前記ヒートシンクに流すことを特徴とするロールのクラウンコントロールのための冷却ロール。
  2. 前記外部モジュールは、前記外部モジュールの外側部に配置された高温部と、前記高温部と前記内部モジュールの間に配置された低温部と、を含み、
    前記高温部は、前記外部モジュールの表面から流れてくる電流を、前記低温部に流すことを特徴とする請求項1に記載のロールのクラウンコントロールのための冷却ロール。
  3. ロールの長手方向に複数層の熱電モジュールがリング状に積層された外部モジュールの表面から、前記外部モジュールの内側に複数層の熱電モジュールがロールの長手方向にリング状に積層されたものである内部モジュールに、電流が流されるステップと、
    前記内部モジュールから、前記内部モジュールの内側に備えられたヒートシンクに電流が流されるステップと、を含み、
    前記外部モジュールの複数の層それぞれに流れる電流の量を、それぞれ制御することを特徴とするロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの制御方法。
  4. 前記外部モジュールの表面から、前記外部モジュールの上部に配置された高温部に、電流が流されるステップと、
    前記高温部から、前記高温部と内部モジュールの間に配置された低温部に、電流が流されるステップと、
    を含むことを特徴とする請求項に記載のロールのクラウンコントロールのための冷却ロールの制御方法。
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