JP5377128B2 - 光電変換装置および光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は色素増感型太陽電池等の光電変換装置およびその製造方法に関するものである。
太陽電池には、バルク型結晶系のシリコン太陽電池、非晶質のシリコン薄膜を用いてなる薄膜型アモルファスシリコン系太陽電池等の様々な形態がある。また、シリコン原料の削減を目的とし、このようなシリコンを利用しない次世代太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。
このような色素増感型太陽電池としては、増感色素が坦持された第1の電極と、該第1の半導体電極と対向するように配置された第2の電極と、この一対の電極間に注入された電解質と、を備えている。この電解質は、外部に漏れないように、電解質室に収納されている。電解質室に電解質を注入するためには、電解質の注入孔を電解質室の一部に形成する必要があった。そこで、この注入孔から電解質が外部へ漏れるのを防止すべく、封止部等によって電解質室を外部から封止していた。このような封止部は、外部への漏れを十分に抑制すべく、第1封止部と該第1封止部を覆うように設けられた第2封止部のように、二重封止されているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された色素増感型太陽電池は、第1封止部および第2封止部から成る接合材が外部から応力を受けると、接合材が変形することにより応力が発生する。
このような外部からの応力は、接合材の破壊、接合材接着部位の剥がれ等の不具合を発生させ、その結果、光電変換装置の信頼性を低下させてしまう問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、長期間、気密性および接合信頼性を維持することが可能な信頼性の高い光電変換装置を得ることである。
本発明の光電変換装置に係る一実施形態は、収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体と、前記収容部に収容された光電変換体と、前記孔部の開口を覆うように、前記基体に接合材を介して接合された蓋体と、を備え、前記接合材の断面において、前記接合材は、前記孔部側の端部およびその反対側の端部よりも中央部が薄くなっていることを特徴とする。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記孔部を塞ぐ封孔部材をさらに具備することを特徴とする。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記接合材は、前記封孔部材と離間して前記基体に接合されていることを特徴とする。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記蓋体は、前記封孔部材と接触していることを特徴とする。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記蓋体は、前記封孔部材と空隙を介して離間していることを特徴とする。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記接合材はガラスから成ることを特徴とする。
本発明の光電変換装置の製造方法に係る一実施形態は、光電変換体の収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体を準備する工程と、前記基体上に接合材を介して蓋体を、前記孔部の開口を覆うように載置する工程と、前記接合材を、その中央部が側面側の部位よりも高温となるように熔融させて前記蓋体と前記基板とを貼り合わせる工程と、前記接合材を冷却し、前記中央部を前記側面側の部位よりも大きく収縮させて前記接合材の中央部を薄くする工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の光電変換装置の製造方法に係る他の実施形態は、光電変換体の収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体を準備する工程と、前記基体上に接合材を介して蓋体を、前記孔部の開口を覆うように載置する工程と、前記接合材を熔融させて前記蓋体と前記基板とを貼り合わせる際、前記接合材の中央部に気泡を発生させるか、または、気泡を大きくする工程と、前記接合材を冷却し、前記気泡を収縮させて前記接合材の中央部を薄くする段階と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、長期間、気密性および接合信頼性を維持することが可能な信頼性の高い光電変換装置を得ること。
本発明の光電変換装置は、収容部を有する基体を具備する。基体は、例えば、一対の基板を対向させ、枠状の封止材でこれらを接合することにより、一対の基板と封止材で形成された収容部を有するものとなる。これに限らず、凹部を有する基板に蓋を接合したものでもよい。
収容部には光電変換体が収容される。光電変換体は、光を受光して電気を生じるものも含まれ、導電させることにより光を生じるものも含まれる。光電変換体は、例えば、チップ状や層状等の種々の形状の半導体素子が含まれる。また、光電変換体は、電解質と色素が吸着された半導体とを具備する色素増感型光電変換体も含まれる。
基体は、収容部と基体の外部とを連通する孔部を有する。孔部は、光電変換体の一部としての電解質や、光電変換体を封止するための絶縁材料等を、収容部内に注入するための注入孔でもよい。また、孔部は、収容部内の気体を排出するための排出孔でもよい。
以下に、本発明の光電変換装置に係る実施の形態について模式的に示した図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の光電変換装置に係る第1の実施形態を示した断面図である。光電変換装置Xは、一主面同士が対向するように配置された一対の基板(以下、第1の基板1、第2の基板2とする)と、第1の基板1および第2の基板2の一主面にそれぞれ第1の電極3および第2の電極4が形成されている。また、光電変換装置Xは、第1の基板1と第2の基板2の一主面間における間隙内に電解質5が配されている。言い換えれば、電解質5は、第1の電極3と第2の電極4との間に挟まれるように配されている。この電解質5は、外部への漏れを防止すべく、周囲が封止材6で覆われている。また、第1の電極3上には、色素が坦持された半導体層7が形成されている。
また、第2の基板2および第2の電極4には、外部から電解質5を注入するため等に用いる孔部8が形成されている。そして、光電変換装置Xは、電解質5が外部に漏れるのを防止すべく、第2の基板2の他主面側に、蓋体10が接合材12を介して接合されている。そして、第2の基板2と蓋体10の対向面に直交するとともに接合材12の孔部8側の側面およびその反対側の側面を横切る接合材12の断面において、接合材12の中央部が薄くなっている。すなわち、孔部8を取り囲むように接合材12は枠状に形成されており、その枠状の接合材12の内周側および外周側の部位の厚みに比べて、中央部が薄く形成されている。そのため、接合材12による気密封止を確保しながら、接合材12の形状により蓋体10に応力を加え、蓋体10との接合部分を対向する第2の基板2側に凸となるように変形させている。このようにすることで、蓋体10の孔部8に対応する部位、すなわち、蓋体10の接合材12より内側の部位が、光電変換装置Xの外側(孔部8とは反対側)に凸となるように変形し、光電変換装置Xの外部からの応力に強い形状とすることができる。
以下に、上述した本発明の実施の形態に係る光電変換装置を構成する部材の詳細を示す。
<第1および第2の基板>
第1の基板1は、一主面上で第1の電極3、および該第1の電極3上に配置された半導体層7を支持するものである。また、第1の基板1は、主として光が入射される側に設けられるため、透光性を有している。
第1の基板1は、一主面上で第1の電極3、および該第1の電極3上に配置された半導体層7を支持するものである。また、第1の基板1は、主として光が入射される側に設けられるため、透光性を有している。
この第1の基板1の材質としては、例えば、可視光に対して透光性を有する青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂材料が挙げられる。
第2の基板2は、一主面上で第2の電極4を支持するものである。この第2の基板2は、第1の基板1と同様に透光性を有する材質で構成されていれば、光の入射面(受光面)をより拡大し、光電変換効率を高めることができる。また、この第2の基板2は、光の入射側に位置していなくとも良いため、透光性が小さいものであってもよい。このような透光性が小さい材質としては、例えば、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、タングステン、ステンレスまたはアルミニウム合金等の金属材料が挙げられる。このような導電性を有する金属材料であれば、第1の基板1自体が電極として作用するため、第2の電極4は不要となり、部品点数を低減できる。また、第2の基板2は、電解質5に対する耐食性を向上させるという観点から、チタン、ニッケル、タングステンで構成すると好適である。
また、第2の基板2には、電解質5を外部から注入するため等に用いる孔部8が形成されている。この孔部8は、電解質5を第1および第2の基板の間に注入できる大きさであれば、形状等は特に限定されるものではなく、例えば、横断面形状が円形状、楕円形、または四角形等の多角形等であってもよい。孔部8の大きさとしては、例えば、横断面形状が円形状であれば、直径が0.1〜3mm程度がよい。また、本実施の形態では、孔部8が1つしか設けられていないが、複数個あってもよい。さらに、本実施の形態では、第2の基板2に孔部8が設けられているが、第1の基板1のみに設けてもよく、また、第1および第2の基板それぞれに設けてもよい。なお、孔部8は、電解質5を注入するだけでなく、電解質5の排出、色素溶液の注入および排出等にも使用可能である。
<第1および第2の電極>
第1の電極3は、半導体層7で発電された電流を取りだす機能を有し、第1の基板1の一主面に設けられている。この第1の電極3は、第1の基板1の他主面側から光が入射されるため、可視光に対して透光性を有するほうが好ましい。
第1の電極3は、半導体層7で発電された電流を取りだす機能を有し、第1の基板1の一主面に設けられている。この第1の電極3は、第1の基板1の他主面側から光が入射されるため、可視光に対して透光性を有するほうが好ましい。
第1の電極3の材質としては、例えば、ITO(錫ドープインジウム酸化物:酸化インジウム錫)層、FTO(フッ素ドープ錫酸化物)層、または酸化錫層で形成される。また、第1の電極3の厚みは、製造の簡易さ、および適度なシート抵抗とするという観点から、0.3〜2μm程度がよい。このような第1の電極3は、例えば、CVD法、スパッタリング法、スプレー法等によって層状に形成される。
第2の電極4は、電解質5に電荷を渡すためのものであり、第2の基板2の一主面に設けられている。この第2の電極4の材質としては、第2の基板4も受光部として利用するのであれば、第1の電極3と同じ材料、即ち、上述した透光性を有する材料を用いればよい。一方、第2の基板4から光を受光しないのであれば、第2の電極4は、透光性材料で
構成しなくてもよく、例えば、チタン、ニッケル、またはタングステン等の金属材料で構成してもよい。
構成しなくてもよく、例えば、チタン、ニッケル、またはタングステン等の金属材料で構成してもよい。
また、第2の電極4は、電解質5との接触面にPt、Pd、Ru、Os、Rh、Ir等や、カーボン、PEDOT:TsO(ポリエチレンジオキシチオフェン−トルエンスルフォネート)等から成る図示していない触媒層を形成すれば、電解質5への電荷移動を効率良く行うことができる。
<電解質>
電解質5は、第2の電極4から受けとった電荷を半導体層7に坦持された色素に渡す機能を有している。この電解質5は、孔部8から注入できる状態のものであればよく、例えば、液状(電解液)、ゲル状等を用いることができ、注入後に固体になるようなものであってもよい。
電解質5は、第2の電極4から受けとった電荷を半導体層7に坦持された色素に渡す機能を有している。この電解質5は、孔部8から注入できる状態のものであればよく、例えば、液状(電解液)、ゲル状等を用いることができ、注入後に固体になるようなものであってもよい。
電解質5は、電解液の場合、例えば、ヨウ素/ヨウ化物塩、臭素/臭化物塩、コバルト錯体、フェロシアン化カリウム等が挙げられる。なお、「ヨウ素/ヨウ化物塩」という表記は、電解質の化学反応によってヨウ素とヨウ化物塩の含有率が変化するものであることを意味する。また、電解質5は、注入時に液状またはゲル状であり、注入後に固体となるものの場合、ゲル電解質、ポリマー電解質等の固体電解質、ポリチオフェン・ポリピロール、ポリフェニレンビニレン等の導電性ポリマー、またはフラーレン誘導体、ペンタセン誘導体、ペリレン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の有機分子電子輸送剤等が挙げられる。また、電解質5の厚み、即ち、第1の基板1の一主面と第2の基板の一主面との間の距離は、1〜500μm程度がよい。
<封止部材>
封止部材6は、第1の基板1と第2の基板2との間に電解質5を閉じ込めるべく、電解質5の周囲に配され、電解質5の外部への漏れを低減するための部材である。この封止部材6は、例えば、ガラスフリットのようなガラス材料、ポリエチレン、変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、封止部材6を樹脂材料で構成する場合は、電解質5と接触する部位に、上述した有機材料を配し、該有機材料の外周部をさらにガラス材料で覆うような構成であれば、より気密性および機械的強度を高めることができる。
封止部材6は、第1の基板1と第2の基板2との間に電解質5を閉じ込めるべく、電解質5の周囲に配され、電解質5の外部への漏れを低減するための部材である。この封止部材6は、例えば、ガラスフリットのようなガラス材料、ポリエチレン、変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、封止部材6を樹脂材料で構成する場合は、電解質5と接触する部位に、上述した有機材料を配し、該有機材料の外周部をさらにガラス材料で覆うような構成であれば、より気密性および機械的強度を高めることができる。
第1の実施形態においては、この封止部材6と第1の基板1と第2の基板2とで、収容部を有する基体20を構成している。
<半導体層>
半導体層7は、色素を気孔内に担持する機能を有する多孔質体で構成されている。このように多孔質の半導体層7は、表面積が大きく、色素をより多く担持(吸着)させることができるため、効率良く光を吸収して光電変換効率向上に寄与する。
半導体層7は、色素を気孔内に担持する機能を有する多孔質体で構成されている。このように多孔質の半導体層7は、表面積が大きく、色素をより多く担持(吸着)させることができるため、効率良く光を吸収して光電変換効率向上に寄与する。
このような多孔質の半導体層7の材料としては、例えば、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、タングステン(W)等の金属の少なくとも1種の金属酸化物半導体がよく、また窒素(N)、炭素(C)、弗素(F)、硫黄(S)、塩素(Cl)、リン(P)等の非金属元素の1種以上を含有していてもよい。特に、酸化チタンは、電子エネルギーバンドギャップが可視光のエネルギーより大きい2〜5eVの範囲にあり、好ましい。また、多孔質の半導体層は、電子エネルギー準位においてその伝導帯が色素の伝導帯よりも低いn型半導体がよい。
また、半導体層7は、多孔質体であるため、内部に微細な空孔(空孔径が好ましくは1
0〜40nm程度のもの)を多数有している。また、半導体層7の厚みは、光電変換作用を最適化するという観点から、1〜50μmがよく、より好適には10〜30μmがよい。また、半導体層7と第1の電極3との間に、n型酸化物半導体の極薄(厚み200nm程度)の緻密層を挿入するとよく、逆電流を抑制する効果がある。
0〜40nm程度のもの)を多数有している。また、半導体層7の厚みは、光電変換作用を最適化するという観点から、1〜50μmがよく、より好適には10〜30μmがよい。また、半導体層7と第1の電極3との間に、n型酸化物半導体の極薄(厚み200nm程度)の緻密層を挿入するとよく、逆電流を抑制する効果がある。
色素は、例えば、ルテニウム−トリス、ルテニウム−ビス、オスミウム−トリス、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、多核錯体、またはルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、またはフタロシアニンやポルフィリン、多環芳香族化合物、ローダミンB等のキサンテン系のものを用いること色素が好ましい。
多孔質の半導体層7に色素を吸着させるためには、色素に少なくとも1個以上のカルボキシル基、スルホニル基、ヒドロキサム酸基、アルコキシ基、アリール基、ホスホリル基等を置換基として有することが有効である。ここで、置換基は色素自体を多孔質の半導体層7に強固に化学吸着させることができ、励起状態の増感色素から多孔質の半導体層7へ容易に電荷移動できるものであればよい。
半導体層7に色素を吸着させる方法としては、例えば、第1の基板1上に形成された半導体層7を、色素を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。半導体層7に色素を吸着させる際、色素を溶解させる溶液の溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物等を1種または2種以上混合したものが挙げられる。溶液中の色素の濃度は5×10−5〜2×10−3mol/l(l(リットル):1000cm3)程度が好ましい。
第1の実施形態においては、色素が吸着された半導体層7と電解質5とで光電変換体21を構成している。
<蓋体>
蓋体10は、孔部8の開口を覆うことにより、電解質5の外部への漏れあるいは外部からの酸素、水分の浸入をより低減するための部材である。この蓋体10は、接合材12を介して第2の基板2の外表面に接合されている。蓋体10は、電解質5や酸素、水分を透過し難い材質のもがよく、特に無機材料が好ましい。このような無機材料としては、例えば、青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、タングステン、ステンレスまたはアルミニウム合金等の金属材料が挙げられる。
蓋体10は、孔部8の開口を覆うことにより、電解質5の外部への漏れあるいは外部からの酸素、水分の浸入をより低減するための部材である。この蓋体10は、接合材12を介して第2の基板2の外表面に接合されている。蓋体10は、電解質5や酸素、水分を透過し難い材質のもがよく、特に無機材料が好ましい。このような無機材料としては、例えば、青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、タングステン、ステンレスまたはアルミニウム合金等の金属材料が挙げられる。
<接合材>
接合材12は、孔部8を取り囲むようにして第2の基板2の外表面に接合されている。そして、接合材12は、接合材12中において、孔部側12aおよび外側12cと比べ、中央部12bが薄く形成されている。このようにすることで、蓋体10に応力を加えることができる。このとき、応力の加わる方向が、蓋体10の接合材12との接合部が接合材12側へ引っ張られる方向となる。その結果、蓋体10の孔部8に対応する部位(蓋体10の接合材12より内側の部位)を、孔部8とは反対側(光電変換装置Xの外側)に押し出すような応力が生じる。よって、光電変換装置Xに外部から応力が加わった場合、これに対抗する方向へ応力を加えられていることとなり、外部からの応力による蓋体10の変形を抑制するこができる。
接合材12は、孔部8を取り囲むようにして第2の基板2の外表面に接合されている。そして、接合材12は、接合材12中において、孔部側12aおよび外側12cと比べ、中央部12bが薄く形成されている。このようにすることで、蓋体10に応力を加えることができる。このとき、応力の加わる方向が、蓋体10の接合材12との接合部が接合材12側へ引っ張られる方向となる。その結果、蓋体10の孔部8に対応する部位(蓋体10の接合材12より内側の部位)を、孔部8とは反対側(光電変換装置Xの外側)に押し出すような応力が生じる。よって、光電変換装置Xに外部から応力が加わった場合、これに対抗する方向へ応力を加えられていることとなり、外部からの応力による蓋体10の変形を抑制するこができる。
このような中央部12bが薄い接合材12は、例えば、蓋体10と第2の基板2とを接合する際、接合材12を、その中央部12bが側面側(孔部8側およびその反対側)の部位12a,12cよりも高温となるように熔融させた後、接合材12を冷却し、接合材12の中央部12bを側面側の部位12a,12cよりも大きく収縮させることによって、接合材12の中央部12bを薄くさせることができる。つまり、接合材12がより高温となっている状態から冷却した場合の方が、収縮率が大きくなるため、冷却後の接合材12は高温となっていた部位が薄くなる。
接合材12の中央部12bを高温とする方法は、例えば、ビームパターン中央部で強度の大きいレーザー光を、接合材12に照射することにより、側面側の部位12a,12cと中央部12bとに温度差を生じさせることができる。
また、レーザー光のビームパターンが例えば円形であれば、レーザーを走査させることによって接合材12の側面側部位12a,12cは中央部12bより僅かに早くレーザー照射が終了し、固化する。その後中央部12bが固化・収縮する際には、側面側部位12a、12cは既に固化し、収縮に追随できないため、中央部12bの収縮は側面側部位12a、12cよりも薄く形成できる。
また、中央部12bが薄い接合材12は、接合材12を熔融させて蓋体10と第2の基板2とを接合する際、接合材12の中央部12bに気泡を発生させるか、または、中央部12bの気泡を大きくした後、接合材12を冷却し、上記の気泡を収縮させて接合材12の中央部12bを薄くさせることができる。つまり、気泡を構成する気体は冷却時の収縮率が大きいため、接合材12の熔融時において中央部12bの気泡の占有体積を側面側の部位12a,12cよりも大きくしておけば、接合材12を冷却した際、気泡で占有されていた部位が大きく収縮することとなる。
このように接合材12の中央部12bに気泡を発生させるか、または、中央部12bの気泡を大きくするための方法としては、接合材12中に気体や水分を含ませておき、蓋体10と第2の基板2とを接合材12を介して接合する際、接合材12の中央部12bをレーザー照射等で局所的に加熱することにより、含ませておいた気体や水分を気泡として成長させることができる。また、接合材12中に加熱によりガスを生じる物質を含ませておいてもよい。
接合材12は、スクリーン印刷法またはディスペンス法によって、蓋体10または第2の基板2上に形成されることが好ましい。スクリーン印刷法やディスペンス法で接合材12を塗布する際、空気が接合材12中に混入されやすくなる。その結果、接合材、混入した空気を膨張させることによって、気泡を良好かつ容易に生じさせることができる。
接合材12の材質としては、蓋体10と第2の基板2とを接合できるものであればどのような材料でもよいが、好ましくはガラスから成るのがよい。接合材10がガラスから成る場合、緻密な材料であるため気密封止を良好にすることができる。また、接合材12は、蓋体10と第2の基板2との接合時にレーザで局所的に加熱されることが好ましい。これにより、電解質5へ熱が伝達されるのを有効に抑制できる。このようなレーザで加熱可能な接合材12の材質としては、レーザ吸収成分とガラス成分を含むガラスフリットであることが好ましい。このレーザ吸収成分は、レーザ光を選択的に吸収し、そのエネルギーを熱に変換することでガラスフリットを効率よく熔融し、焼結させる役割を担う。このレーザ吸収成分は、ガラスフリットを成すマトリックスの一部として熔融されていることが好ましいが、マトリックス中に偏析していてもよい。また、ガラスフリットの熱膨張係数は、第2の基板2の熱膨張係数と近くなるようにすれば、クラック等の不具合の発生を低減することができる。ガラスフリットを成すガラス成分としては、例えば、SiO2−Bi2O3−MOX系、B2O3−Bi2O3−MOX系、SiO2−CaO−Na(K)2O−MOX系、P2O5−MgO−MOX系(Mは一種以上の金属元素で、Xは整数である。)などが挙げられる。また、レーザ吸収成分としては、例えば、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、または炭素の単体または酸化物、もしくはこれら2種以上の化合物が挙げられる。また、第2の基板2を、ガラスを含む材料で構成すれば、接合材12と第2の基板2とをレーザ溶着等で容易に接合できる。
このようなガラスフリットを含んでなる接合材12は、第2の基板2上にガラスフリットを配置した後、例えば、YAGレーザをガラスフリットに照射し、当該ガラスフリットを熔融させて第2の基板2と接合することによって形成される。なお、接合材12の形状は、少なくとも孔部8の開口を囲うものであればよく、平面視して、円形、多角形等、特に限定されるものではない。但し、接合材12の上面は、蓋体10が接合されるため、平面状が好ましい。
また、蓋体10の接合方法としては、接合材12を蓋体10に形成した後、レーザ加熱により第2の基板2に接合してもよいし、接合材12を第2の基板2に形成した後、レーザ加熱により蓋体10を接合してもよい。
なお、上述した例では、接合材12自体をレーザ加熱で熔融させることによって、保護部材10を第2の基板2に接合しているが、それに限定されない。例えば、接合材12を、軟化点の異なる部材で構成し、レーザ加熱で軟化点の低い部材のみを熔融させることによって蓋体10を第2の基板2に接合してもよい。
<封孔部材>
孔部8には孔部8を塞ぐ封孔部材9が形成されていてもよい。封孔部材9は、第1および第2の基板の間に封入された電解質5が外部に漏れるのを防ぐための部材である。この封孔部材9は、孔部8を塞ぐように、第2の基板2の他主面と接着される。
孔部8には孔部8を塞ぐ封孔部材9が形成されていてもよい。封孔部材9は、第1および第2の基板の間に封入された電解質5が外部に漏れるのを防ぐための部材である。この封孔部材9は、孔部8を塞ぐように、第2の基板2の他主面と接着される。
封孔部材9は、電解質5に対する耐食性が高い樹脂材料を含んでいる。このような樹脂材料としては、例えば、フィルム形状のポリエチレン、変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、およびフッ素樹脂あるいは液体状のブチル樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂材料は、機械的強度を高めるという観点から、必要に応じてフィラー等を含有させてもよい。
封孔部材9は、有機材料、無機材料およびこれらの複合材料のいずれでもよいが、孔部8を容易に塞ぐという観点からは、有機材料であるのが好ましい。特に、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂であれば、孔部8をより容易に塞ぐことができる。すなわち、封孔部材9を、孔部8を簡易的な方法で塞いで電解質5の漏れを防ぐための仮止めとして機能させ、保護部材10で強固な封止を行なうことにより、作業性が良いとともに封止の信頼性をも高めることができる。
また、接合材12は、封孔部材9から、所定の距離だけ離れて形成されていることが好ましい。このような構成により、接合材12を第2の基板2と熱を使った溶着等で接合しても、当該熱が封孔部材9に伝わりにくい。その結果、このような形態では、封孔部材9の熱劣化を低減することができる。加えて、上述した熱が封孔部材9を介して電解質5に伝わるのを低減できるため、当該熱による電解質5の分解・変質等を低減することができる。
なお、封孔部材9と接合材12との間隙には、封孔部材9および接合材12よりも熱伝導率が小さい部材を充填させても、上述した効果を得ることができる。しかしながら、本実施の形態のように、接合材12と封孔部材9とを空隙を介して離間させれば、空気等の熱伝導率が小さい気体を接合材12と封孔部材9の間に介在させることができるため、接合材12から封孔部材9への熱伝導をより低減することができる。
また、光電変換装置Xでは、蓋体10が封孔部材9と接触している。このような形態によれば、封孔部材9に残留している熱を蓋体10に伝導させることができるため、封孔部材9の放熱性を高めることができる。このような放熱性を高めるという観点では、蓋体10を熱伝導率が比較的高い金属材料で構成すると好適である。加えて、このような形態によれば、高温の環境下において、電解質5が膨張しても、封孔部材9を蓋体10で直に抑えているため、封孔部材9の第2の基板2からの剥がれを低減できる。
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
図2は、本発明の光電変換装置に係る第2の実施形態を示した断面図である。光電変換装置X’は、蓋体10が封孔部材9と離間している点で光電変換装置Xと相違する。
光電変換装置X’では、蓋体10を封孔部材9と空隙を介して離間させれば、接合材12から蓋体10を介して伝導する熱が封孔部材9に伝わりにくくなるため、封孔部材9の熱劣化を低減することができる。
図3は、本発明の光電変換装置に係る第3の実施形態を示した断面図である。光電変換装置X’’は、封孔部材9が孔部8の内壁で支持されるように形成された点で光電変換装置Xと相違する。
光電変換装置X’’のように、封孔部材9が孔部8の内壁で支持されるようにすれば、封孔部材9の第2の基板2の他主面側へのはみ出しを低減することができる。その結果、接合材12の厚みは、第2の基板2の他主面側へはみ出した封孔部材9の厚みの影響を受けにくくなり、接合材12の形状自由度が増す。接合材12の形状自由度が増せば、強度、形成しやすさのみで接合材12を設計することができる。
図4は、本発明の光電変換装置に係る第4の実施形態を示した断面図である。光電変換装置X’’’は、封孔部材9が孔部8の内壁と第2の基板2の他主面とで接着されている点で、光電変換装置X,X’,X’’と相違する。
光電変換装置X’’’のように、封孔部材9が孔部8の内壁と第2の基板2の他主面とで接着されれば、封孔部材9は接着面積増加による接着強度が増し、特に電解質5側への引っ張り応力に対する強度を増すことができる。
なお、図4では封孔部材9と蓋体10は離間しているが、このような形態に限定するものではない。図4の構成で封孔部材9と蓋体10を接触させると、封孔部材9の強度を蓋体10で補強できる、もしくは、蓋体10の強度を封孔部材9で補強することができる。
X、X’、X’’、X’’’:光電変換装置
1:第1の基板
2:第2の基板
3:第1の電極
4:第2の電極
5:電解質
6:封止部材
7:半導体層
8:孔部
9:封孔部材
10:蓋体
12:接合材
12a:接合材の孔部側部(内周部)
12b:接合材の中央部
12c:接合材の外側部(外周部)
20:基体
21:光電変換体
1:第1の基板
2:第2の基板
3:第1の電極
4:第2の電極
5:電解質
6:封止部材
7:半導体層
8:孔部
9:封孔部材
10:蓋体
12:接合材
12a:接合材の孔部側部(内周部)
12b:接合材の中央部
12c:接合材の外側部(外周部)
20:基体
21:光電変換体
Claims (8)
- 収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体と、
前記収容部に収容された光電変換体と、
前記孔部の開口を覆うように、前記基体に接合材を介して接合された蓋体と、を備え、
前記接合材の断面において、前記接合材は、前記孔部側の端部およびその反対側の端部よりも中央部が薄くなっていることを特徴とする光電変換装置。 - 前記孔部を塞ぐ封孔部材をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記接合材は、前記封孔部材と離間して前記基体に接合されていることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
- 前記蓋体は、前記封孔部材と接触していることを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。
- 前記蓋体は、前記封孔部材と空隙を介して離間していることを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。
- 前記接合材はガラスから成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電変換装置。
- 光電変換体の収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体を準備する工程と、
前記基体上に接合材を介して蓋体を、前記孔部の開口を覆うように載置する工程と、
前記接合材を、その中央部が側面側の部位よりも高温となるように熔融させて前記蓋体と前記基板とを貼り合わせる工程と、
前記接合材を冷却し、前記中央部を前記側面側の部位よりも大きく収縮させて前記接合材の中央部を薄くする工程と、を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。 - 光電変換体の収容部を有するとともに該収容部と外部とを連通する孔部を有する基体を準備する工程と、
前記基体上に接合材を介して蓋体を、前記孔部の開口を覆うように載置する工程と、
前記接合材を熔融させて前記蓋体と前記基板とを貼り合わせる際、前記接合材の中央部に気泡を発生させるか、または、気泡を大きくする工程と、
前記接合材を冷却し、前記気泡を収縮させて前記接合材の中央部を薄くする段階と、を含むことを特徴とする接合構造の製造方法。
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