以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態によるコミュニケーションプレイバックシステム、コミュニケーションプレイバック方法、及びコミュニケーションプレイバックプログラムを説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるコミュニケーションプレイバックシステム1の構成例を示したブロック図である。図1を参照すると、コミュニケーションプレイバックシステム1は、複数の端末装置10a〜10eを備える。複数の端末装置10a〜10eの各々は、異なるユーザによって操作され、静止画及び動画などを共有するソフトウェア(コンテンツ共有ツール)と、音声通話を行うソフトウェアとを同時に実行することができる。複数の端末装置10a〜10eの各々は、コンテンツ共有ツール及び音声通話のソフトウェアによって、ユーザ同士がコミュニケーションに利用する音声、静止画及び動画などの複数のメディアを、それぞれデータ(以降、コミュニケーションデータと称する)として送受信し、それら複数のコミュニケーションデータを共有する。尚、コミュニケーションプレイバックシステム1は、接続する複数の端末装置の数を限定するものではなく、また、ネットワーク20を介して複数の端末装置10a〜10eの各々を接続しているが、ネットワーク20を介さなくてもよい。
図2は、ユーザAが使用する端末装置10aの構成例を示したブロック図である。尚、各端末装置10b〜10eは、端末装置10aと同様の構成であるため説明を省略する。図2を参照すると、端末装置10aは、データ共有部100と、コミュニケーション情報部110と、再生データ選択部120と、コミュニケーション再生部130と、省略データ検索部140とを備える。
データ共有部100は、ユーザAの入力に基づいて複数のコミュニケーションデータを生成し、他のユーザが使用する各端末装置10b〜10eへ複数のコミュニケーションデータを送信する。また、データ共有部100は、他のユーザ入力に基づく複数のコミュニケーションデータを他のユーザが使用する各端末装置10b〜10eから受信する。つまり、データ共有部100は、他のユーザが使用する各端末装置10b〜10eと複数のコミュニケーションデータを共有する。データ共有部100は、コンテンツ共有ツール及び音声通話のソフトウェアと、後述する端末装置10のハードウェアとによって実現可能である。ユーザAは、端末装置10aを使用することで、通信相手となる各端末装置10b〜10eのユーザと音声通話を行うと同時に、複数のコミュニケーションデータのうちで表示されるデータを共有することができ、コミュニケーションを効率良く行うことができる。データ共有部100は、音声入力部101と、操作部102と、データ格納部103と、出力部104と、通信部105とを含む。
音声入力部101は、マイクを含み、ユーザAの入力に基づいた声や周囲の音を取得し、音声データとしてデータ格納部103へ提供する。操作部102は、マウスやキーボードなどを含み、ユーザAの入力を取得し、操作データとしてデータ格納部103へ提供する。尚、音声データと操作データとは、それぞれコミュニケーションデータである。操作データは、共有操作データと、表示操作データとを含む。共有操作データは、ユーザAが視覚で認識出来るように、出力部104の所定の画面内に表示されるデータであり、ホワイトボードのペン入力が例示される。表示操作データは、表示形式を変更するデータであり、共有操作データと重ね合わされる背景データ(ページ)を選択するスイッチの押下が例示される。
データ格納部103は、複数のコミュニケーションデータを格納する。詳細には、データ格納部103は、ユーザAの入力に基づく複数の音声データと、ユーザAの入力に基づく複数の操作データとを格納する。また、データ格納部103は、通信部105を介して取得する、他のユーザ入力に基づく複数の音声データと、他のユーザ入力に基づく複数の操作データとを格納する。
出力部104は、データ格納部103に格納されたデータ、特にコミュニケーションデータを出力する。出力部104は、スピーカを含み、音声データをユーザAが認識できる音として出力する。また、出力部104は、ディスプレイを含み、操作データを画面上に静止画や動画として出力する。通信部105は、各端末装置10b〜10eと複数のコミュニケーションデータを共有するために、複数の音声データ及び複数の操作データの送受信を行う。
コミュニケーション情報部110は、端末装置10aと接続する全ての端末装置10b〜10eとの間でやり取りされた複数のコミュニケーションデータ、即ち複数の音声データ及び複数の操作データ(共有操作データ及び表示操作データ)を抽出し、格納する。コミュニケーション情報部110は、コミュニケーション情報生成部111と、コミュニケーション情報DB112とを含む。
コミュニケーション情報生成部111は、データ格納部103を参照し、ユーザAを含む全てのユーザの間でやり取りされたデータ、即ち端末装置10aと接続する全ての端末装置10b〜10eとの間で送受信し共有している複数のコミュニケーションデータの複数の音声データ及び複数の操作データを抽出する。このとき、コミュニケーション情報生成部111は、コミュニケーションデータが、音声データと操作データとのどちらであるかを判定し、更に、操作データが共有操作データであるか表示操作データであるかを判定する。そして、コミュニケーション情報生成部111は、各「コミュニケーションデータ」に、各コミュニケーションデータを識別するユニークな「データ識別子」と、音声データと共有操作データと表示操作データとを識別する「データ種別」と、データの発生開始を示す「開始時刻」と、データの発生終了を示す「終了時刻」とを関連付ける。データ識別子は、シーケンス番号などが例示される。以降、コミュニケーションデータ及び関連付けされた各データを、コミュニケーション情報と称する。尚、コミュニケーション情報には、コミュニケーションデータを送信した各端末装置10a〜10eを識別する情報が含まれていてもよい。コミュニケーション情報生成部111は、複数のコミュニケーション情報をコミュニケーション情報DB112に提供する。コミュニケーション情報DB112は、複数のコミュニケーション情報を格納する。
再生データ選択部120は、コミュニケーション情報DB112に格納されている複数のコミュニケーション情報のうちから、再生する複数のコミュニケーションデータを選択する。再生データ選択部120は、プレイバック要求部121と、設定情報DB122と、再生データ抽出部123とを含む。
プレイバック要求部121は、ユーザAの入力に基づいて、複数のコミュニケーションデータの再生を完了させたい時間(要求値)を取得し、その要求値を再生データ抽出部123へ提供する。また、プレイバック要求部121は、本発明のコミュニケーションプレイバックシステム1に係わる端末装置10aの処理動作を終了する場合、ユーザAの入力に基づく終了指示を取得し、処理動作を終了させる。
設定情報DB122は、予めユーザAによって設定された、設定ファイルを格納する。図3は、設定ファイルの構成例を示した図である。図3を参照すると、設定ファイルは、再生するデータを指定する複数の再生条件と、再生条件を識別する再生レベルとを含む。再生条件には、再生する複数のコミュニケーションデータと再生速度との条件が含まれる。詳細には、再生レベル「3」では、共有操作データと、そのときの音声データ(共有操作データと同時に発せられた音声データ)とを通常速度で再生すること、及び、表示操作データをショートカットで実行することが設定されている。再生レベル「2」では、再生レベル「3」のデータ(共通操作データ、音声データ)に加え、共通操作データ及び表示操作データを伴わない音声データを通常速度で再生することが設定されている。再生レベル「1」では、再生レベル「2」のデータに加え、表示操作データと、そのときの音声データ(表示操作データと同時に発せられた音声データ)を通常速度で再生することが設定されている。尚、端末装置10aは、後述する再生データ抽出部123が再生レベルを決定し、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーションデータをユーザAが認識できるように再生する。再生レベル「1」〜「3」を比較すると、再生レベル「3」が最も再生するコミュニケーションデータが少なく、他の再生レベルよりも短い時間で複数のコミュニケーションデータを再生できる。つまり、設定情報DB122は、ユーザ同士のコミュニケーションに用いられた複数のコミュニケーションデータの内で、視認性のある共有操作データの再生を、再生時間が短い場合でも特に優先するように設定している。このように設定することで、コミュニケーションデータが最も再生時間の短い再生レベル「3」で再生されても、共有操作データとその共有操作データに関連する音声データとに基づいて、ユーザはコミュニケーションの内容を容易に理解することができる。
再生データ抽出部123は、プレイバック要求部121から要求値を受け取ると、設定情報DB122の設定ファイルと、コミュニケーション情報DB112とを参照し、ユーザAの要求値の範囲内で再生可能な再生レベルを決定する。そして、再生データ抽出部123は、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーション情報を抽出し、コミュニケーション再生部130へ提供する。詳細には、再生データ抽出部123は、プレイバック要求部121から要求値を受け取ると、設定情報DB122の設定ファイルを参照して、複数の再生条件を取得する。再生データ抽出部123は、コミュニケーション情報DB112を参照し、取得した複数の再生条件の各々に該当するコミュニケーションデータが含まれるコミュニケーション情報を全て抽出する。そして、再生データ抽出部123は、抽出した各コミュニケーションデータの開始時刻から終了時刻までの経過時間である再生区間を、全て合計した再生時間を算出する。つまり、再生データ抽出部123は、再生条件毎のコミュニケーションデータの全てを再生するために必要な再生時間を、複数のコミュニケーション情報に基づいて算出する。再生データ抽出部123は、算出した再生時間が、要求値の範囲内であるか否かを判定する。再生データ抽出部123は、要求値の範囲内に収まる再生時間を有する、最も再生時間の長い再生レベルに決定する。そして、再生データ抽出部123は、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーションデータを複数のコミュニケーション情報として抽出し、コミュニケーション再生部130へ提供する。
ここで、再生データ抽出部123が再生レベル「3」の再生時間を算出する方法の詳細を説明する。図4は、端末装置10aのユーザAと端末装置10bのユーザBとが、コンテンツ共有ツールと音声通話とを用いてマルチメディアコミュニケーションを行った場合における、各コミュニケーションデータの再生区間を時間軸に基づいて示した図である。再生区間は、各データの開始時刻から終了時刻までの経過時間を表している。図4を参照すると、まず、ユーザAは、「音声データ1」となる言葉を発声中に、「共有操作データ1」となる操作を実行する。次に、ユーザBは、「共有操作データ2」となる操作を実行する。その後、ユーザAは「音声データ2」となる言葉を発声する。更にその後、ユーザBは「表示操作データ1」となる操作を実行する。最後に、ユーザAは「共有操作データ3」となる操作を実行し、直後に「音声データ3」となる言葉を発声する。
再生レベル「3」の再生条件は、「共有操作データと、そのときの音声データ(共有操作データと同時に発せられた音声データ)とを通常速度で再生すること、及び、表示操作データをショートカットで実行すること」である。再生データ抽出部123は、共有操作データと音声データとが同時に発生したデータとみなすための所定の時間を有し、共有操作データと音声データとが所定の時間内にある場合、同時に発生したデータとして扱う。再生データ抽出部123は、図4に示した音声データ、共有操作データ、表示操作データのうち、再生レベル「3」に該当するものとして、「音声データ1」、「共有操作データ1」、「共有操作データ2」、「共有操作データ3」及び「音声データ3」を抽出する。特に、再生データ抽出部123は、「共有操作データ3」と「音声データ3」とのように、共有操作データと音声データとが所定の時間内(例えば、数秒以内)にある場合、同時に発生したデータとして扱い、再生レベル「3」に含めることができる。これは、例えば共有操作データになる操作を実行した本人による音声データがある場合、その音声データを共有操作データに関連して扱うことができることを意味する。また、再生データ抽出部123は、図4に示すとおり、「共有操作データ3」と「音声データ3」とが再生区間内に同時に再生するように、「共有操作データ3」を実行する時間を調整する。つまり、再生データ抽出部123は、同時に発生した共有操作データと音声データとのうちで、再生区間の長い方の再生区間に基づいて、それらを合計した再生時間を算出する。図4では、再生データ抽出部123は、「共有操作データ1」より再生区間が長い「音声データ1」と、「共有操作データ2」と、「共有操作データ3」より再生区間が長い「音声データ3」との再生区間の合計値を、再生レベル「3」の再生時間として算出する。
尚、再生レベル「3」や再生レベル「2」では、表示操作データを全く実行しないと、コミュニケーション再生部130が再生するコミュニケーションデータの表示内容に誤差が生じる可能性がある。そこで、再生データ抽出部123は、再生レベル「3」や再生レベル「2」でも表示操作データを実行した結果を表示内容に反映させるため、表示操作データを実行するショートカットコマンドをコミュニケーション再生部130へ提供する。例えば、共有する複数のコミュニケーションデータが複数のページから成る場合、1ページ目から3ページ目へ遷移した後に、ユーザAが共有操作データとなる操作を実行したとすれば、共有操作データが実行されるページは3ページ目である。表示操作データであるページ遷移という操作を省略してしまうと、1ページ目に共有操作データとなる操作を実行することになるため、誤差が生じる。従って、再生データ抽出部123は、「表示操作データ1」となる操作を実行して得られる表示内容を再現するためのショートカットコマンドを生成する。再生レベル「3」や再生レベル「2」では、表示操作データはショートカットで瞬時に実行されるため、再生時間に含める必要はない。
この様にして、再生データ抽出部123は、ユーザの要求値の範囲に収まる再生時間を有する再生レベルを決定し、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーション情報を抽出する。尚、再生データ抽出部123は、音声データと操作データとが同時に発生したと判断される場合は、再生時間が長い一方のデータの再生時間内で再生するように、「開始時刻」及び「終了時刻」を調整する。再生データ抽出部123は、コミュニケーションデータと、データ識別子及び調整済みの開始時刻を含むコミュニケーション情報を、ミュニケーション再生部130へ提供する。本発明のコミュニケーションプレイバックシステム1の端末装置10は、音声データ及び操作データが存在しない時間を、すべて自動的に省略して、再生する効果を奏している。
省略データ検索部140は、再生されない省略された複数のコミュニケーションデータを検索する。省略データ検索部140は、省略情報生成部141と、省略データ要求部142と、省略データ抽出部143とを含む。
省略情報生成部141は、再生データ抽出部123が抽出せず、コミュニケーション再生部130で再生しないと判断された複数のコミュニケーションデータ(以降、省略データと称する)をコミュニケーション情報DB112から取得する。省略情報生成部141は、省略データと、データ識別子と、開始時刻とを関連付けた省略情報を生成する。省略情報生成部141は、複数の省略情報をコミュニケーション再生部130へ提供する。各省略情報は、コミュニケーション再生部130にて複数のコミュニケーションデータを再生する際に、再生中に省略したデータが存在する時点で、省略データがあることをユーザAに明示するために使用される。つまり、後述するコミュニケーションデータ再生部130は、複数のコミュニケーションデータを再生している最中に、省略情報に基づいて、省略データの開始時刻に相当する時点で省略データが存在することをユーザAが認識できるように表示する。
省略データ要求部142は、コミュニケーション再生部130から出力された省略情報を見たユーザAの入力に基づいて、省略データの再生要求を取得する。省略データ要求部142は、省略データの再生要求を取得すると、省略されたデータを抽出する指示として省略情報に含まれるデータ識別子を、省略データ抽出部143へ提供する。
省略データ抽出部143は、省略データ要求部142からデータ識別子を取得すると、データ識別子に関連付けられたコミュニケーションデータを、コミュニケーション情報DB112から抽出する。そして、省略データ抽出部143は、省略データであるコミュニケーションデータを含むコミュニケーション情報を、コミュニケーション再生部130へ提供する。
コミュニケーション再生部130は、再生データ抽出部123と、省略データ抽出部143とからそれぞれ複数のコミュニケーション情報を受けとる。コミュニケーション再生部130は、受け取った複数のコミュニケーションデータを、ユーザAが認識できるようにプレイバック画面(不図示)にて再生する。プレイバック画面と、出力部104とは画面を共有していてもよい。特に、コミュニケーション再生部130は、複数のコミュニケーションデータを再生している最中に、省略データの開始時刻に相当する時点で、省略データを再生することができる。尚、コミュニケーション再生部130は、再生データ抽出部123又は省略データ抽出部143からデータ識別子のみ受け取り、コミュニケーション情報DB112から直接コミュニケーション情報を読み出してもよい。また、コミュニケーション再生部130は、省略情報生成部141から複数の省略情報を受け取り、各省略情報に基づいて、省略データがあることを表示する。特に、コミュニケーションデータ再生部130は、複数のコミュニケーションデータを再生している最中に、省略情報に基づいて、省略データの開始時刻に相当する時点で省略データが存在することをユーザAが認識できるように表示することができる。コミュニケーション再生部130は、省略データがあることのみ表示するだけでもよいが、省略情報にデータの操作種別や、操作者の情報を含めれば、どんなデータが省略されたのか、誰が操作・発言したのかを、ユーザAに明示することも可能である。操作種別とは、データ種別をさらに詳細化し、コンテンツ共有ツールが具備する操作の種類(たとえば、描画、指示マーク表示、ページ遷移など)も含んだ区別を意味する。
尚、コミュニケーション情報DB112や設定情報DB122は、ネットワーク20に接続したサーバが含んでいてもよい。端末装置10aは、サーバから関連するデータを取得して、再生するように動作してもよい。
本発明の実施の形態によるコミュニケーションシステム1が備える端末装置10aは、コンピュータを用いて実現可能である。図5は、端末装置10aの実施の形態における、ハードウェア構成例を示すブロック図である。図5を参照すると、本発明の端末装置10aは、CPU(Central Processing Unit)151と、記憶装置152と、入力装置153と、出力装置154と、各装置を接続するバス155とを備えるコンピュータシステムで構成される。
CPU151は、記憶装置152に格納されている本発明のコミュニケーションシステム1に係る演算処理及び制御処理を行う。記憶装置152は、ハードディスクやメモリなど、情報の記録を行う装置である。記憶装置152は、CD−ROMやDVD等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から読み取られたプログラム、入力装置153から入力された信号やプログラム、及びCPU151の処理結果を格納する。入力装置153は、マウス、キーボード、マイクロフォンなど、ユーザがコマンド及び信号を入力することが出来る装置である。出力装置154は、ディスプレイ、スピーカなど、ユーザに出力結果を認識させる装置である。尚、本発明はハードウェア構成例と示したものに限定されず、各部はハードウェアとソフトウェアとを単独又は組み合わせて実現することが出来る。
図6は、本発明のコミュニティシステム1の第1の実施の形態による処理動作を示したフローチャートである。図6を参照して、本発明の第1の実施の形態による処理動作を説明する。
プレイバック要求部121は、ユーザAの入力に基づいて、複数のコミュニケーションデータの再生を完了させたい時間である要求値、例えば「10分」などを取得する。プレイバック要求部121は要求値を取得した場合、プレイバック要求があるとして、要求値を再生データ抽出部123へ提供する。プレイバック要求部121は、ユーザAの入力に基づく終了指示を取得した場合、プレイバック要求がないため処理動作を終了させる(ステップS01)。
再生データ抽出部123は、プレイバック要求部121から要求値を受け取ると、設定情報DB122の設定ファイルを参照して、複数の再生条件を取得する。再生データ抽出部123は、コミュニケーション情報DB112を参照し、取得した複数の再生条件の各々に該当するコミュニケーションデータが含まれるコミュニケーション情報を全て抽出する。そして、再生データ抽出部123は、抽出した各コミュニケーションデータの開始時刻から終了時刻までの経過時間である再生区間を、全て合計した再生時間を算出する。つまり、再生データ抽出部123は、再生条件毎のコミュニケーションデータの全てを再生するために必要な再生時間を、複数のコミュニケーション情報に基づいて算出する。再生データ抽出部123は、算出した再生時間が、要求値の範囲内であるか否かを判定する。再生データ抽出部123は、要求値の範囲内に収まる再生時間を有する、最も再生時間の長い再生レベルに決定する。そして、再生データ抽出部123は、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーションデータを複数のコミュニケーション情報として抽出し、コミュニケーション再生部130へ提供する。また、省略情報生成部141は、再生データ抽出部123が抽出せず、再生しないと判断された複数のコミュニケーションデータである省略データを、コミュニケーション情報DB112から取得する。省略情報生成部141は、省略データと、データ識別子と、開始時刻とを関連付けた省略情報を生成する。省略情報生成部141は、複数の省略情報をコミュニケーション再生部130へ提供する(ステップS02)。
コミュニケーション再生部130は、複数のコミュニケーション情報を受けとる。コミュニケーション再生部130は、受け取った複数のコミュニケーションデータを、ユーザAが認識できるようにプレイバック画面にて再生する(ステップS03)。尚、コミュニケーション再生部130は、省略データを再生する場合、複数のコミュニケーションデータを再生している最中に、省略データの開始時刻に相当する時点で省略データを再生する。
コミュニケーション再生部130は、省略データがある場合、省略データを再生するステップへ進み、省略データがない場合、複数のコミュニケーションデータの再生を継続する(ステップS04)。
コミュニケーション再生部130は、省略情報生成部141から複数の省略情報を受け取った場合、省略したデータが存在する時点において、省略データが存在していることを表示する。省略データ要求部142は、コミュニケーション再生部130から出力された省略情報を見たユーザAの入力に基づいて、省略データの再生要求を取得する。省略データ要求部142は、省略データの再生要求を取得すると、省略されたデータを抽出する指示として省略情報に含まれるデータ識別子を、省略データ抽出部143へ提供する。省略データ要求部142は、省略データの再生要求を取得しない場合、複数のコミュニケーションデータを再生するステップS03へ戻る(ステップS05)。
省略データ抽出部143は、省略データ要求部142からデータ識別子を取得すると、データ識別子に関連付けられたコミュニケーションデータを、コミュニケーション情報DB112から抽出する。そして、省略データ抽出部143は、省略データであるコミュニケーションデータを含むコミュニケーション情報を、コミュニケーション再生部130へ提供する(ステップS06)。
ステップS04において、複数のコミュニケーションデータを再生しているコミュニケーション再生部130は、ユーザAによる再生を終了させる指示がない限り、再生を継続し、最後のコミュニケーションデータを再生し終わったら、動作を終了する。また、ユーザAによるプレイバックの終了指示があれば、その時点で再生を中止する(ステップS07)。
本発明の第1の実施の形態によるコミュニケーションシステム1は、マルチメディアコミュニケーションにおいて、ユーザ同士のコミュニケーション中にやり取りされた複数のコミュニケーションデータの中から不要なコミュニケーションデータを省略し、通常速度で再生する複数のコミュニケーションデータを限定して抽出することにより、過去のコミュニケーションを短時間で再生することができる。言い換えると、本発明は、コミュニケーション中にユーザが実施した操作をダイジェストで再生し、それ以外の区間は再生を省略することができる。特に、本発明は、共有操作データを優先して再生し、音声データを伴う場合はその再生区間とあわせて再生することができるため、再生時点のコミュニケーションに必要な情報が欠落することなく、短時間で視認性のあるコミュニケーションデータの再生ができる効果を奏する。しかも、早送りではなく、通常速度で再生するため、情報が劣化せずに正確性をも保つことができる。また、本発明は、省略情報生成部141と、省略データ要求部142と、省略データ抽出部142とにより、一度省略したデータを、後から再生できるため、ユーザの要求に柔軟に対応することができる。更に、本発明の第1の実施の形態は、複数のコミュニケーションデータを、端末装置10a〜10eの各々に格納するため、外部のサーバに格納されたコミュニケーションデータを利用する形態に比べて、サーバや通信路のトラフィックの影響を受けることなく、スムーズにコミュニケーションデータを再生できる効果を奏する。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態によるコミュニケーションシステム1の構成例を示したブロック図である。図7を参照すると、コミュニケーションシステム1は、複数の端末装置11a〜11eと、サーバ30とを備える。そして、各端末装置11a〜11eは、ネットワーク20を介して接続されている。第1の実施の形態と同様に、複数の端末装置11a〜11eの各々は、異なるユーザによって操作され、静止画及び動画などを共有するソフトウェア(コンテンツ共有ツール)と、音声通話を行うソフトウェアとを同時に実行することができる。複数の端末装置11a〜11eの各々は、コンテンツ共有ツール及び音声通話のソフトウェアによって、ユーザ同士がコミュニケーションに利用する音声、静止画及び動画などの複数のメディアを、それぞれコミュニケーションデータとしてサーバ30へ送信し、それら複数のコミュニケーションデータをサーバ30から受信して共有する。尚、コミュニケーションプレイバックシステム1は、接続する複数の端末装置の数を限定するものではない。
図8は、ユーザAが使用する端末装置11aと、サーバ30との構成例を示したブロック図である。尚、各端末装置11b〜11eは、端末装置11aと同様の構成であるため説明を省略する。図8を参照すると、端末装置11aは、データ共有部200と、プレイバック要求部210と、省略データ要求部220と、データ受信部230と、コミュニケーション再生部240とを備える。
データ共有部200は、第1の実施の形態のデータ共有部100と同様である。プレイバック要求部210は、ユーザAの入力に基づいて、複数のコミュニケーションデータの再生を完了させたい時間(要求値)を取得し、その要求値をサーバ30へ送信する。また、プレイバック要求部210は、本発明のコミュニケーションプレイバックシステム1に係わる端末装置11aの処理動作を終了する場合、ユーザAの入力に基づく終了指示を取得し、処理動作を終了させる。
省略データ要求部220は、コミュニケーション再生部240から出力された省略情報を見たユーザAの入力に基づいて、省略データの再生要求を取得する。省略データ要求部220は、省略データの再生要求を取得すると、省略されたデータを抽出する指示として省略情報に含まれるデータ識別子を、サーバ30へ送信する。
データ受信部230は、サーバ30から複数のコミュニケーション情報を受信する。コミュニケーション再生部240は、サーバ30から受信した複数のコミュニケーション情報を受けとる。コミュニケーション再生部240は、受け取った複数のコミュニケーションデータを、ユーザAが認識できるようにプレイバック画面にて再生する。また、コミュニケーション再生部240は、省略情報生成部331で生成された複数の省略情報を受け取り、各省略情報に基づいて省略データがあることを表示する。コミュニケーション再生部240は、省略データがあることのみ表示するだけでもよいが、省略情報にデータの操作種別や、操作者の情報を含めれば、どんなデータが省略されたのか、誰が操作・発言したのかを、ユーザAに明示することも可能である。操作種別とは、データ種別をさらに詳細化し、コンテンツ共有ツールが具備する操作の種類(たとえば、描画、指示マーク表示、ページ遷移など)も含んだ区別を意味する。
サーバ30は、データ共有部300と、コミュニケーション情報部310と、再生データ選択部320と、省略データ検索部330と、データ送信部340とを備える。
データ共有部300は、ネットワーク20に接続する複数の端末装置11a〜11eから複数のコミュニケーションデータを受信し、各端末装置11a〜11eが複数のコミュニケーションデータを共有できるように、複数のコミュニケーションデータを送信する。データ共有部300は、通信部301と、データ格納部302とを含む。
通信部301は、複数の端末装置11a〜11eから複数のコミュニケーションデータを受信し、データ格納部302へ提供する。また、通信部301は、データ格納部302に格納されている複数のコミュニケーションデータを、複数の端末装置11a〜11eが共有できるように送信する。
コミュニケーション情報部310は、第1の実施の形態のコミュニケーション情報部110と同様であるため説明を省略する。
再生データ選択部320は、第1の実施の形態の再生データ選択部120と同様に、コミュニケーション情報DB321に格納されている複数のコミュニケーション情報のうちから、再生する複数のコミュニケーションデータを選択する。再生データ選択部320は、設定情報DB321と、再生データ抽出部322とを含む。
設定情報DB321は、第1の実施の形態の設定情報DB122と同様に設定ファイルを格納する。設定ファイルは、サーバ30の管理者によって設定することができる。設定情報DB321は、端末装置11aから送信される設定ファイルを格納してもよい。また、再生するコミュニケーションごとに、設定ファイルをカスタマイズしてもよい。もしくは、操作データや音声データごとに、再生レベルを変更するなどの、カスタマイズも可能である。この場合、コミュニケーションごとに、設定ファイルの差分に相当するカスタマイズファイルを生成し、サーバ30にて管理する。
再生データ抽出部322は、端末装置11aから要求値を受信すると、設定情報DB321の設定ファイルと、コミュニケーション情報DB312とを参照し、ユーザAの要求値の範囲内で再生可能な再生レベルを決定する。そして、再生データ抽出部322は、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーション情報を抽出し、データ送信部340へ提供する。再生データ抽出部322は、要求値を端末装置11aから受信する以外は、第1の実施の形態の再生データ抽出部123同様である。
省略データ検索部330は、第1の実施の形態の省略データ検索部140と同様に、再生されない省略された複数のコミュニケーションデータを検索する。省略データ検索部330は、省略情報生成部331と、省略データ抽出部332とを含む。
省略情報生成部331は、第1の実施の形態の省略情報生成部141と同様であるため、説明を省略する。省略データ抽出部332は、端末装置11aの省略データ要求部142からデータ識別子を受信し、データ識別子に関連付けられたコミュニケーションデータを、コミュニケーション情報DB312から抽出する。そして、省略データ抽出部332は、省略データであるコミュニケーションデータを含むコミュニケーション情報を、データ送信部340へ提供する。
データ送信部340は、再生データ抽出部322と、省略データ抽出部332とからそれぞれ複数のコミュニケーション情報を受け取り、端末装置11aへ送信する。
本発明のコミュニティシステム1の第2の実施の形態による処理動作は、第1の実施の処理動作と同様であるため、図6のフローチャートを参照して処理動作を説明する。
プレイバック要求部210は、ユーザAの入力に基づいて、複数のコミュニケーションデータの再生を完了させたい時間である要求値、例えば「10分」などを取得する。プレイバック要求部121は要求値を取得した場合、プレイバック要求があるとして、要求値をサーバ30へ送信する。プレイバック要求部210は、ユーザAの入力に基づく終了指示を取得した場合、プレイバック要求がないため処理動作を終了させる(ステップS01)。
サーバ30の再生データ抽出部322は、端末装置11aのプレイバック要求部210から要求値を受け取ると、設定情報DB321の設定ファイルと、コミュニケーション情報DB312とを参照し、ユーザAの要求値の範囲内で再生可能な再生レベルを決定する。そして、再生データ抽出部322は、決定した再生レベルに含まれる複数のコミュニケーション情報を抽出し、データ送信部340へ提供する。また、省略情報生成部331は、再生データ抽出部322が抽出せず、再生しないと判断された複数のコミュニケーションデータである省略データをコミュニケーション情報DB312から取得する。省略情報生成部331は、省略データと、データ識別子と、開始時刻とを関連付けた省略情報を生成する。省略情報生成部331は、複数の省略情報をデータ送信部340へ提供する。データ送信部340は、複数のコミュニケーション情報と、複数の省略情報とを端末装置11aへ送信する(ステップS02)。
端末装置11aのデータ受信部230は、複数のコミュニケーション情報と、複数の省略情報とをサーバ30から受信し、コミュニケーション再生部240へ提供する。コミュニケーション再生部240は、受け取った複数のコミュニケーションデータを、ユーザAが認識できるようにプレイバック画面にて再生する(ステップS03)。
コミュニケーション再生部240は、省略データがある場合、省略データを再生するステップへ進み、省略データがない場合、複数のコミュニケーションデータの再生を継続する(ステップS04)。
コミュニケーション再生部240は、省略情報生成部331で生成した複数の省略情報を受け取っている場合、省略したデータが存在する時点において、省略データが存在することを表示する。省略データ要求部220は、コミュニケーション再生部240から出力された省略情報を見たユーザAの入力に基づいて、省略データの再生要求を取得する。省略データ要求部220は、省略データの再生要求を取得すると、省略されたデータを抽出する指示として省略情報に含まれるデータ識別子を、サーバ30へ送信する。省略データ要求部220は、省略データの再生要求を取得しない場合、複数のコミュニケーションデータを再生するステップS03へ戻る(ステップS05)。
サーバ30の省略データ抽出部332は、端末装置11aの省略データ要求部220からデータ識別子を取得すると、データ識別子に関連付けられたコミュニケーションデータを、コミュニケーション情報DB312から抽出する。そして、省略データ抽出部332は、省略データであるコミュニケーションデータを含むコミュニケーション情報を、データ送信部340へ提供する。データ送信部340は、コミュニケーション情報を端末装置11aへ送信する(ステップS06)。
ステップS04において、複数のコミュニケーションデータを再生しているコミュニケーション再生部240は、ユーザAによる再生を終了させる指示がない限り、再生を継続し、最後のコミュニケーションデータを再生し終わったら、処理動作を終了する。また、ユーザによる再生終了の指示があれば、その時点で再生を中止する(ステップS07)。
本発明の第2の実施の形態の処理動作は、前述した第1の実施形態と同様であり、コミュニケーション情報部310と、再生データ選択部320と、省略データ検索部330とがサーバ30に含まれるため、コミュニケーション情報及び省略情報の受け渡しを、装置間で送受信する点が異なっている。
尚、ユーザAが複数のコミュニケーションデータの再生を要求する際、再生の要求を受信したサーバ30が再生レベルごとの再生時間を算出して、その結果を端末装置11aに送信してもよい。その場合、端末装置11aは、再生レベル毎の再生時間のリストを表示して、ユーザAがそのリスト中から要求値を選択するように動作することができる。具体的には、端末装置11aにおいて、プレイバック要求画面(不図示)を起動する際に、プレイバックの実行要求があることをサーバ30に送信する。サーバ30は、コミュニケーション情報DB312を参照して、再生レベル「3」〜「1」のそれぞれの再生時間を算出し、端末装置11aに通知する。このようにして、再生の要求値を指定した場合は、再生データ抽出部322は該当する再生レベルのコミュニケーション情報を抽出するのみでよい。
本発明の第2の実施の形態によるコミュニケーションプレイバックシステム1は、第1の実施の形態の効果に加え、サーバ30にてコミュニケーション情報を一括管理するため、各端末装置11a〜11eで複数のコミュニケーション情報や設定ファイルを生成・管理する必要がない。また、サーバ30に格納された複数のコミュニケーションデータを利用して再生するため、端末装置11aを使用するユーザAが介在しなかった他人の過去のコミュニケーションデータを取得して再生することもできる。更に、本発明の第2の実施の形態は、再生時に省略したコミュニケーションデータは送信せず、最小限の省略情報のみを送信し、省略データの再生要求があった時点で、省略したコミュニケーションデータを送信するように動作する。従って、本発明は、特許文献1のようにミュートする音声データを受信するシステムよりも、不必要なデータの送受信による通信トラフィックを低減することができる。
(実施例1)
次に、具体的な実施例に即して説明する。本発明の実施例1は、第1の実施の形態に基づいた携帯情報端末で動作する、コミュニケーションプレイバックシステム1である。AさんとBさんが、コミュニケーションシステムのVoIPツールとホワイトボードとを共有するツールを使用して対話している途中、回線切断によってコミュニケーションが一時的に中断したときに、コミュニケーションの再開に備えてAさんがそれまでのやり取りを振り返ることを想定する。
図9は、携帯情報端末の構成を示したブロック図である。図9を参照すると、Aさんが使用する携帯情報端末は、処理装置500と、タッチパネル式ディスプレイ600とを備える。処理装置500は、VoIPツールなどを含むコミュニケーションシステム(アプリケーション)を搭載する。更に、処理装置500は、プレイバック要求プログラム510と、再生データ抽出プログラム511と、コミュニケーション再生プログラム512と、コミュニケーション情報DB(データベース)513と、設定情報DB514と、省略情報生成プログラム515と、省略データ要求プログラム516と、省略データ抽出プログラム517と、コミュニケーション情報生成プログラム518とを備える。各プログラム及びデータベースは、物理的には、処理装置500が備えるハードディスク(不図示)に格納されており、必要に応じて処理装置500が備えるCPU(不図示)から、メモリ(不図示)上に転送され、実行されることを想定している。また、タッチパネル式ディスプレイ600は、データの表示機能と入力機能を備えており、処理装置500とタッチパネル式ディスプレイ600との間でデータの送受信が行われる。
図10は、設定情報DB514が格納する設定ファイルの構成例を示した図である。図10の設定ファイルについて詳しく説明する。設定ファイルは、再生レベル「0」〜「3」の4段階に対し、それぞれの再生条件が定義されている。「共有操作データ」と「表示操作データ」の判別は、実施の形態で前述したとおりであり、本実施例1では、「共有操作データ」にはホワイトボード上の描画イベントが含まれ、「表示操作データ」にはホワイトボード画面のページ切り替えイベントが含まれる。
再生レベル「3」は、共有操作データおよび、共有操作データと同時に発せられた音声データを通常速度で再生する。このとき、共有操作データを実施した結果、削除されて最終的に表示されていない共有操作データは除く。更に、再生レベル「3」は、表示操作データをショートカットで実行する。再生レベル「2」は、再生レベル「3」のデータに加え、共有操作データを実施した結果、削除されて最終的に表示されていない共有操作データも含める。再生レベル「1」は、再生レベル「2」のデータに加え、操作データを伴わない音声データを通常速度で再生する。再生レベル「0」は、再生レベル「1」のデータに加え、表示操作データと、表示操作データと同時に発せられた音声データとを通常速度で再生する。
このような再生条件にしたのは、視認性のある共有操作の再生を優先し、コミュニケーションが不要な独立した動作である表示操作の優先度を低くすることにより、効率的な再生が可能になるためである。また、コミュニケーションを実施した結果、削除されて最終的に表示されない共有操作データの優先度を低くしたのは、コミュニケーション中のメモであり、最終的にホワイトボードに残す必要がないデータであると判断できるためである。コミュニケーションシステムの利用中に作成された音声データや操作データは、コミュニケーション情報生成プログラム518によって、コミュニケーション情報DB513に格納される。このとき、コミュニケーション情報生成プログラム518は、各「コミュニケーションデータ」と対にして、各データを識別するためのユニークな「データ識別子」と、音声データなのか、共有操作データなのか、表示操作データなのかを識別する「データ種別」と、描画や削除などの「操作コマンドの種類」と、「開始時刻」と、「終了時刻」とを、コミュニケーション情報としてコミュニケーション情報DB513へ格納する。
次に、再生の手順を説明する。Aさんは直前のコミュニケーションを再生するため、本システムを起動し、タッチパネル式ディスプレイ600に表示されたプレイバックシステムの初期画面に、プレイバック希望時間を「10分」と入力して、プレイバック開始ボタンを押下する。
プレイバック要求プログラム510はこの要求を受け付け、再生データ抽出プログラム511に、「10分」という要求値を渡して、再生データの抽出を指示する。次に、再生データ抽出プログラム511は、設定情報DB514と、コミュニケーション情報DB513とを参照して、再生レベルの数字が高い順に、再生条件にあてはまるコミュニケーションデータの再生区間の合計値(再生時間)を算出し、要求値の範囲内で再生可能な再生レベルを決定する。再生時間の算出方法について、図11〜図14を用いてさらに詳しく説明する。
図11〜図14は、AさんとBさんの二者間における、VoIPツールとホワイトボード共有ツールを使用した各コミュニケーションデータの再生区間を、時間軸上に並べたものである。まず、Aさんが、「音声データ1」となる発声中に、「共有操作データ1」となる操作を実行する。次に、Bさんが、「共有操作データ2」となる操作を実行する。更にしばらくして、Bさんは、「音声データ2」となる発声中に、「共有操作データ2」として表示される結果を削除する「共有操作データ3」となる操作を実行する。更に、Bさんは、「表示操作データ1」となる操作を実行する。次に、Aさんが、「共有操作データ4」となる操作を実行した直後に、「音声データ4」となる発声をする。
図11は、図10の設定ファイルに基づいて、再生データ抽出プログラム511が再生レベル「3」の再生条件となる再生時間を算出する方法を示した図である。再生レベル「3」に該当するコミュニケーションデータは、「音声データ1」、「共有操作データ1」、「共有操作データ4」、及び「音声データ4」である。「共有操作データ2」は、「共有操作データ3」によって削除されているため、「共有操作データ3」と同時に発せられた「音声データ2」も含めて再生レベル「3」の対象外となる。携帯情報端末は、「共有操作データ4」及び「音声データ4」のように、数秒以内に共有操作データとなる操作を実行した本人による音声データが存在する場合は、共有操作データに関連する音声データとみなして共有操作データと並行して再生する。従って、図11に示すとおり、再生データ抽出プログラム511は、「共有操作データ4」を「音声データ4」の再生区間内に同時に再生するように、開始時刻を調整する。そして、再生データ抽出プログラム511は、「音声データ1」(「共有操作データ1」より再生区間が長いため、「音声データ1」の再生区間を採用)と、「音声データ4」(「共有操作データ4」より再生区間が長いため、「音声データ4」の再生区間を採用)との再生区間の合計値を、再生レベル「3」の再生時間として算出する。
尚、表示操作データを全く実行しないと共有画面の表示内容に誤差が生じる可能性があるため、携帯情報端末は表示操作データを実行した結果を共有画面に反映させる。再生データ抽出プログラム511は、「表示操作データ1」を実行した結果として得られる表示内容を再現するショートカットコマンドを生成する。再生レベル「3」、再生レベル「2」及び再生レベル「1」では、表示操作データはショートカットで瞬時に実行されるため、再生時間に含めず許容範囲となる。
図12は、図10の設定ファイルに基づいて、再生データ抽出プログラム511が再生レベル「2」の再生条件となる再生時間を算出する方法を示した図である。再生レベル「2」に該当するコミュニケーションデータは、「音声データ1」、「共有操作データ1」、「共有操作データ2」、「音声データ2」、「共有操作データ3」、「共有操作データ4」及び「音声データ4」である。そして、再生データ抽出プログラム511は、「音声データ1」と、「共有操作データ2」と、「音声データ2」(「共有操作3」より再生区間が長いため、「音声2」の再生区間を採用)と、「音声データ4」との再生区間の合計値を、再生レベル「2」の再生時間として算出する。
図13は、図10の設定ファイルに基づいて、再生データ抽出プログラム511が再生レベル「1」の再生条件となる再生時間を算出する方法を示した図である。再生レベル「1」に該当するコミュニケーションデータは、「音声データ1」、「共有操作データ1」、「共有操作データ2」、「音声データ2」、「共有操作データ3」、「音声データ3」、「共有操作データ4」及び「音声データ4」である。そして、再生データ抽出プログラム511は、「音声データ1」と、「共有操作データ2」と、「音声データ2」と、「音声データ3」と、「音声データ4」との再生区間の合計値を、再生レベル「1」の再生時間として算出する。
図14は、図10の設定ファイルに基づいて、再生データ抽出プログラム511が再生レベル「0」の再生条件となる再生時間を算出する方法を示した図である。再生レベル「0」に該当するコミュニケーションデータは、「音声データ1」、「共有操作データ1」、「共有操作データ2」、「音声データ2」、「共有操作データ3」、「音声データ3」、「表示操作データ1」、「共有操作データ4」及び「音声データ4」である。「表示操作データ1」は、ショートカットではなく通常速度で再現される。そして、再生データ抽出プログラム511は、「音声データ1」と、「共有操作データ2」と、「音声データ2」と、「音声データ3」と、「表示操作データ1」と、「音声データ4」との再生区間の合計値を、再生レベル「0」の再生時間として算出する。再生レベル「0」では、音声データも操作データも実行されなかった区間のみ再生時間が省略されるかたちとなる。この様にして得られた再生時間が、再生レベル「3」では8分、再生レベル「2」では10分、再生レベル「1」では18分、再生レベル「0」では20分だったとする。要求値は「10分」なので、再生データ抽出プログラム511は、10分以内に再生可能な再生レベル「2」を選択する。再生データ抽出プログラム511は、再生するデータをコミュニケーション情報DB513から読み出して、コミュニケーション再生プログラム512に、読み出したデータを渡しデータの再生を指示する。
更に、省略情報生成プログラム515は、再生データ抽出プログラム511において再生しないと判断された「音声データ3」及び「表示操作データ1」について、データ識別子とその開始時刻を含む省略情報を生成する。
コミュニケーション再生プログラム512は、タッチパネル式ディスプレイ600にプレイバック画面を表示し、再生データ抽出プログラム511で抽出した再生レベル「2」に相当するデータを再生しながら、省略情報生成プログラム515で生成した省略情報を随時提示する。具体的には、携帯情報端末は、「音声データ1」と「共有操作データ1」とを同時再生した後、「共有操作データ2」を再生し、「音声データ2」と「共有操作データ3」とを同時再生した後、「音声データ3」が省略されていることを提示する。その後、携帯情報端末は、「表示操作データ1」が省略されていることを提示し、「音声データ4」と「共有操作データ4」を同時再生する。
Aさんが、省略されている「表示操作データ1」の再生を希望して、プレイバック画面に提示されている「表示操作データ1」の省略情報のエリアを押下すると、省略データ要求プログラム516は省略データの再生要求を受け付ける。
省略データ要求プログラム516は、「表示操作データ1」のデータ識別子を、省略データ抽出プログラム517に渡して、「表示操作データ1」を検索するように指示する。省略データ抽出プログラム517は、「表示操作データ1」のデータ識別子と対に管理されている、操作データをコミュニケーション情報DB513から検索し、コミュニケーション再生プログラム512に読み出したコミュニケーション情報を渡す。コミュニケーション再生プログラム512は、タッチパネル式ディスプレイ600に表示中の、プレイバック画面にて「表示操作データ1」を再現する。
以上に述べたように、Aさんは、携帯情報端末に格納された複数のコミュニケーションデータを活用して、それまでのやり取りを確認することができるため、スムーズにコミュニケーションを再開できるようになる。即ち、携帯情報端末は、再生データ抽出プログラム511が、コミュニケーション中の音声データと操作データに基づいて再生区間を決定するように動作し、コミュニケーション再生プログラム512が不要な区間は省略しながら、コミュニケーションを再生するため、短時間で効率的にコミュニケーションを再生することができる。また、携帯情報端末は、プレイバック要求プログラム510にて、再生希望時間を指定でき、省略データ要求プログラム516にて、省略情報を選択するだけで該当するデータを再生するように動作するため、ユーザによる再生操作を、簡便化しユーザの要求に柔軟に対応することができる。
(実施例2)
本発明の実施例2は、第2の実施の形態に基づいた、サーバ・クライアント型で動作するコミュニケーションプレイバックシステム1である。実施例2のコミュニケーションプレイバックシステム1は、少なくとも一つ以上のプレイバックサーバと、複数のクライアント端末から構成され、それぞれがネットワークを介して接続される。AさんとBさんが、電子会議システムを使用してすでに遠隔会議を行っているとする。その会議にCさんが途中参加し、参加前のコミュニケーション内容を追っかけ再生することを想定する。
図15は、サーバ・クライアント型で動作するコミュニケーションプレイバックシステム1のブロック図である。図15を参照すると、コミュニケーションデータを管理するプレイバックサーバ700と、Cさんが使用するクライアント端末800とが、ネットワーク900を介して接続されている。プレイバックサーバ700は処理装置701を備える。処理装置701は、再生データ抽出プログラム710と、再生データ送信プログラム711と、設定情報DB712と、コミュニケーション情報DB713と、省略情報生成プログラム714と、省略データ抽出プログラム715と、コミュニケーション情報生成プログラム716とを備える。
クライアント端末800は、処理装置801とタッチパネル式ディスプレイ802とを備える。処理装置801は、予め電子会議システムのアプリケーションを搭載する。更に、処理装置801は、プレイバック要求プログラム810と、コミュニケーション再生プログラム811と、再生データ受信プログラム812と、省略データ要求プログラム813とを備える。
タッチパネル式ディスプレイ802は、データの表示機能と入力機能を備えており、処理装置801とタッチパネル式ディスプレイ802との間で、データの送受信が行われる。各プログラムおよびデータベースは、物理的には処理装置701および処理装置801が備えるハードディスク(不図示)に格納されており、必要に応じて処理装置701および処理装置801が備えるCPU(不図示)からメモリ(不図示)上に転送され、実行されることを想定している。プレイバックサーバ700は、図10に示す設定ファイルが付加されており、設定情報DB712に格納する。
電子会議システムの利用中に作成された、音声データや操作データは、コミュニケーション情報生成手段716によって、コミュニケーション情報DB713に記録される。このとき、各「コミュニケーションデータ」と対にして、各データを識別するためのユニークな「データ識別子」と、音声データなのか、共有操作データなのか、表示操作データなのかを識別する「データ種別」と、描画や削除などの「操作コマンドの種類」と、「開始時刻」と、「終了時刻」とを、コミュニケーション情報として、コミュニケーション情報DB713に記録する。
次に、プレイバックの手順を説明する。Cさんが、クライアント端末800において、本システムを起動し、タッチパネル式ディスプレイ802に表示された、本システムの初期画面に、プレイバック希望時間に「10分」と入力して、プレイバック開始ボタンを押下する。ここでは、Cさんが、AさんとBさんが参加している会議に途中参加した後、本システムを起動することにより、本システムは、プレイバック対象のコミュニケーションが、AさんとBさんが参加している会議であると判断する。もし、Cさんが途中参加した会議以外の、コミュニケーションをプレイバックする場合は、本システムの初期画面を表示する前に、プレイバックの実行要求を、プレイバックサーバ700に送信し、プレイバックサーバ700にて、Cさんが再生可能なコミュニケーションのリスト(再生リスト)選出し、その結果をクライアント端末800に提供し、本システムの初期画面にて再生リストを表示する。そして、Cさんがそのリスト中から、プレイバックしたいコミュニケーションを選択するように動作してもよい。
次に、プレイバック要求プログラム810は、ネットワーク900を介して、再生データ抽出プログラム710に、「10分」という要求値を渡して、再生データの抽出を指示する。再生データ抽出プログラム710は、設定情報DB712およびコミュニケーション情報DB713中のデータを参照して、再生レベルの数字が高い順に、選定条件にあてはまるデータの再生区間の合計値(再生時間)を算出していき、要求値の範囲内で再生可能な再生レベルを決定する。
再生時間の算出方法については、本発明の実施例1で述べたとおりである。このようにして得られた再生時間が、再生レベル「3」では8分、再生レベル「2」では10分、再生レベル「1」では18分、再生レベル「0」では20分だったとする。要求値は「10分」なので、再生データ抽出プログラム710は10分以内に再生可能な再生レベル「2」を選択する。
更に、省略情報生成プログラム714は、再生データ抽出プログラム710において、再生しないと判別された、「音声データ3」及び「表示操作データ1」(図12参照)について、データ識別子と開始時刻を含む省略情報を生成する。
再生データ抽出プログラム710は、再生するデータをコミュニケーション情報DB713から読み出して、再生データ送信プログラム711に読み出したデータおよび省略情報を渡す。再生データ送信プログラム711は、再生データ抽出プログラム710または省略情報生成プログラム714から渡されたデータを、ネットワーク900を介して再生データ受信プログラム812に送信する。
再生データ受信プログラム812は、受信したデータを、コミュニケーション再生プログラム811に渡して、データの再生を指示する。次に、コミュニケーション再生プログラム811は、タッチパネル式ディスプレイ802にプレイバック画面を表示し、再生データ抽出プログラム710で抽出した再生レベル「2」に相当するデータを再生しながら、省略情報生成プログラム714で生成した省略情報を随時提示する。
Cさんが、省略されている「表示操作データ1」の再生を希望する場合に、プレイバック画面に提示されている、「表示操作データ1」の省略情報のエリアを押下すると、省略データ要求プログラム813が、省略データの再生要求を受け付ける。省略データ要求プログラム813は、「表示操作データ1」のデータ識別子を、ネットワーク900を介して省略データ抽出プログラム715に渡し、「表示操作データ1」のデータを検索するように指示する。
省略データ抽出プログラム715は、「表示操作データ1」のデータ識別子と対に管理されている操作データを、コミュニケーション情報DB713から検索し、再生データ送信プログラム711に読み出したデータを渡す。
再生データ送信プログラム711は、省略データ抽出プログラム715から渡されたデータを、ネットワーク900を介して再生データ受信プログラム812に送信する。再生データ受信プログラム812は、受信したデータをコミュニケーション再生プログラム811に渡して、省略データの再生を指示する。コミュニケーション再生プログラム512は、タッチパネル式ディスプレイ600に表示中のプレイバック画面にて、「表示操作データ1」を再現する。
以上に述べたように、Cさんは、会議に参加しながらも、AさんとBさんによる会議のコミュニケーションデータを、プレイバックサーバ700から取得することにより、過去の二人のやり取りを追っかけ再生できる。即ち、再生データ抽出プログラム710が、コミュニケーション中の音声データと操作データに基づいて、再生区間を決定するように動作し、コミュニケーション再生プログラム811において、不要な区間は省略しながら、コミュニケーションを再生することにより、短時間で効率的にコミュニケーションをプレイバックできる。また、プレイバック要求プログラム810にて、再生希望時間を指定でき、省略データ要求プログラム813にて、省略情報を選択するだけで、該当するデータを再生するように動作するためユーザによる再生操作を簡便化し、ユーザの要求に柔軟に対応したプレイバックシステムとなっている。
尚、これらは矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。