JP5375808B2 - 新規bea型メタロアルミノシリケート - Google Patents
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Description
本発明は、新規BEA型メタロアルミノシリケートに関する。また、本発明はBEA型ゼオライト類の骨格に金属を導入する新規な方法に関する。
今日、ゼオライトは石油精製、石油化学、および環境浄化分野において、その固体酸特性および分子サイズの細孔に由来する特異な触媒特性及び吸着特性から、広範な用途に使用されている。
ゼオライトは狭義にはアルミニウム、珪素及び酸素からなる結晶骨格を有する結晶性縮合アルミノケイ酸塩であり、結晶構造やアルミニウム含有量の違いにより、その固体酸特性は異なっている。1980年代からその固体酸特性の改変を目的として、アルミニウム又は珪素の代わりにGa,Fe,Tiなど他の金属種をゼオライト骨格に導入したメタロアルミノシリケート或いはアルミニウムを含有しないメタロシリケート、更にはシリカのみからなるゼオライト結晶構造を有するものが合成されている。
本発明で言う結晶性ゼオライト類とは、狭義のゼオライトに加えて上記メタロシリケート、メタロアルミノシリケート、およびゼオライト構造を有する結晶性シリケートを言う。
結晶性ゼオライト類の製造方法としては、アルミニウム源、珪素源、金属源、及びアルカリを主原料とした水性混合物を水熱反応にて結晶化させる方法、即ち水熱合成法が当業界では一般的である。特許文献1には、金属(Al、Cr、Fe又はLa)/Siモル比が0.08以下であるBEA型のメタロシリケート及びメタロアルミノシリケートが報告されている。特許文献2には、Sn/Siモル比が0.001〜0.1であり、且つTi/Siモル比が0.1以下、Ge/Siモル比が0.08未満の範囲で随意的にTi又はGeを含有するBEA型メタロシリケートが報告されている。特許文献3には、Ti/Siモル比が0.05以下のBEA型チタノシリケートが報告されている。
また、シリカ源、金属源、アルミニウム源を混合して生成したゲルを、水蒸気雰囲気で熱処理することで結晶化させる方法も知られている。特許文献4には、シリカ、チタン及び有機鉱化剤を含有するゲルを水蒸気雰囲気下で熱処理することにより得た、Ti/Siモル比が0.033でありSi/Alモル比が352であるBEA型チタノアルミノシリケートが開示されている。
一方、一旦合成したゼオライト類を液相で金属塩水溶液処理を行ったり、気相で金属塩蒸気処理を行うことにより、骨格に金属を導入する方法も知られている。特許文献5には、BEA型アルミノシリケート又はボロアルミノシリケートを脱Al又は脱硼素した後ガリウム塩水溶液と接触させる事により得た、Ga/Siモル比が0.0004〜0.067であるBEA型ガロアルミノシリケート又はガロボロシリケートが報告されている。特許文献6には、クロム又はスズのフルオロ塩水溶液で処理することにより骨格中のAlをクロム又はスズと置換した金属/Siモル比が0.01〜0.98でSi/Alモル比が50〜98であるFAU型、MOR型、LTL型などのメタロアルミノシリケートが報告されている。特許文献7には、Si/Alモル比が1.75以上のFAU型ゼオライトをスチーミング焼成したのち酸及び鉄塩水溶液処理することによって、Fe/Siモル比が0.01〜0.30でSi/Alモル比が7.5〜50であるFAU型フェロアルミノシリケートが報告されている。
非特許文献1にはSi/Alモル比が37.5のBEA型アルミノシリケートを酸処理した後500℃にてTiCl4蒸気と接触させて得た、Ti/Siモル比が0.018〜0.048でSi/Alモル比が72〜450であるBEA型チタノアルミノシリケートが報告されている。
Microporous and Mesoporous Materials 31(1999)163〜173頁
ゼオライト類の製造法として水熱合成法は当業界で最も一般的であるが、アルミニウムに比べて他の金属種はゼオライト骨格に入りにくい為に比較的少量しか骨格に導入できず、また合成可能な結晶構造種類も限られている。
また、合成したゼオライトに気相反応によって金属種を導入する方法は、均一な固体−気体の接触が困難であることや、反応装置には特殊な耐熱耐食材質を必要とするなど工業的な製造方法であるとは言い難い。
本発明は、骨格に金属を導入した新規なBEA型メタロアルミノシリケート、及び簡便且つ工業的に適用可能なその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、ゼオライトに金属原子を結晶格子内に挿入することにより、従来のゼオライトでは得られなかった固体酸特性、吸着特性や触媒性能を有する新規ゼオライト類を製造することを目的に研究を重ねた結果、本発明に到達した。即ち、本発明者らは、格子欠陥を有する結晶性ゼオライト類を金属塩水溶液に混合した酸性スラリーのpHをアルカリを用いて増大させると、結晶格子の欠陥部位に金属が容易に導入されるとの驚くべき知見を見出し、本発明を完成するに到った。以下に本発明を詳述する。
本発明は、金属がTi、Fe、Ga、In、Sn、及びZrから選ばれた少なくとも一種であり、金属/Siモル比が0.005〜0.15で且つSi/Alモル比が30〜2500であるBEA型メタロアルミノシリケート、である。金属がTiである場合は、Ti/Siモル比が0.05〜0.15で且つSi/Alモル比が50〜2500であることが好適である。金属がSnである場合には、Sn/Siモル比が0.005〜0.15で且つSi/Alモル比が100〜2500であることが好適である。また、金属がFeである場合には、Fe/Siモル比が0.08〜0.15で且つSi/Alモル比が30〜2500であることが好適である。また、金属がGaである場合には、Ga/Siモル比が0.07〜0.15で且つSi/Alモル比が100〜2500であることが好適である。
また、本発明は、格子欠陥を有するBEA型結晶性ゼオライト類を、金属塩水溶液に懸濁させて酸性スラリーとし(a工程)、該酸性スラリーのpHをアルカリ添加により1以上増大させ、且つpHは6以下の範囲となし(b工程)、該pHを増大させたスラリーから結晶を濾別し、水洗し、乾燥する工程(c工程)、を含む事を特徴とする、新規BEA型メタロアルミノシリケートの製造方法である。
更に、前記c工程で得られた結晶を300℃〜800℃の温度で焼成する事により、骨格に導入した金属をより安定化することもできる。
また、アルカリとして水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを使用した場合、前記c工程で得られた結晶はイオンの一部がアルカリ金属イオンとなる場合もあるので、必要であれば前記c工程で得た結晶に通常のイオン交換処理を施すことよりアルカリ金属イオンを除去することができる。
本発明に言う格子欠陥とは、酸素、珪素、及びアルミニウムからなる結晶骨格のアルミニウムまたは珪素原子が欠落して4個のSi−OH基が集中した、当業界で所謂nestと呼ぶ部位のことを言う。この様な格子欠陥は、水熱合成反応で結晶化させた段階で既に存在する場合もあるし、合成後の処理により発生させることもできる。格子欠陥の生成手段としては、結晶を焼成して脱アルミニウムする方法、結晶を酸を用いて脱アルミニウムする方法、前記焼成と酸処理を組み合わせた方法、更には結晶をアルカリ水溶液を用いて脱珪素及び脱アルミニウムする方法、がある。
本発明の製造方法において使用する格子欠陥を有するBEA型結晶性ゼオライト類の調製原料としては、格子欠陥を有する又は生ぜしめることができるBEA型アルミノシリケート、メタロアルミノシリケート、又はシリケートである。格子欠陥の生成は、前記何れの方法で行っても良いが、酸を用いて脱アルミニウムする方法が工業的には簡便であり好適である。ただし、通常BEA型ゼオライト類は結晶内にテトラエチルアンモニウムイオン(以下TEAと呼ぶ)などの有機アミン類を含有した状態で水熱合成され、この有機物を焼成処理等によって除去しなければ酸による脱アルミニウムを行うことはできない。また、BEA型ゼオライトの焼成処理において水蒸気が存在すると酸処理時に脱アルミニウムが進行し難くなり金属を骨格内に導入し難くなるので、焼成は乾燥雰囲気で行うことが重要である。
本発明の製造方法において、a工程のスラリーは酸性であるから、該工程でゼオライト骨格の脱アルミニウムが生じて格子欠陥が生成することは自明の理であり、従って出発物質として欠陥のないアルミニウムを多く含むBEA型ゼオライト類を用いることもできるが、その場合には、骨格から脱離したアルミニウムの一部もb工程で骨格に再導入されるため、目的の金属の導入量を制御する事が困難となるので好ましくない。従って、格子欠陥を有するBEA型ゼオライト類のSi/Alモル比は、30以上であることが好ましく、より好ましくは50以上であり、更に好ましくは100以上である。
a工程において金属塩水溶液と原料ゼオライト類を混合したスラリーのpHは金属塩水溶液以下とすることが好ましい。原料ゼオライト類がHイオンタイプであれば酸を添加しなくても良いが、アルカリ金属イオンタイプの場合はpHが増大し局所的な金属析出のおそれが生じるため、酸を添加して金属塩水溶液のpH以下、好ましくはpHを1以下とし、混合スラリー中の金属塩を十分溶解させることが望ましい。また、金属は格子欠陥点にのみ導入されるのであり、使用する金属の量は出発原料のゼオライト類中の格子欠陥量と同等以下とすることが重要である。
b工程で使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等を使用することができる。水溶液の形態が取り扱い上好適である。使用するアルカリの濃度は特に限定されるものではないが、濃すぎると添加時に局所的な金属析出やゼオライト結晶構造の崩壊が生じる場合もあるため、できるだけ低濃度、好ましくは5%以下であることが望ましい。また、アルカリの添加速度は徐々に定量的に添加することが望ましい。格子欠陥を多く有するゼオライト類は耐アルカリ性に乏しいため、アルカリ添加したスラリーのpHは6以下とすることが重要である。pHが6を越えて高くなるほどゼオライト結晶構造の崩壊が進行するため、スラリーのpHは最終的に2〜6の範囲内が好ましく、3〜6の範囲内がより好ましい。
また、ゼオライトの水性スラリーにアルカリを添加してpHを高めた後に金属塩を添加したり、或いは金属塩水溶液のpHをアルカリ添加により高めた後にゼオライト類を添加しても、本発明のメタロアルミノシリケートを得ることはできない。
最終pHを高くする程、金属の導入量は多くなる。従って、a工程の金属塩と原料ゼオライト類の量比およびb工程の最終pHにより、金属導入量を制御することができる。
a工程及びb工程での反応温度は特に限定されるものではないが、温度が高い方が反応は速やかに進行するので、工業的には30℃〜100℃の範囲が好ましい。
本発明に使用する金属塩は、水溶性であり且つその水溶液が酸性を呈す3価又は4価の金属塩である。特に、Ti、Fe、Ga、In、Sn、Zrの塩化塩、硫酸塩、硝酸塩、又は酢酸塩が好適に使用できる。
本発明は、新規なBEA型メタロアルミノシリケートを提供するものである。また、本発明は、各種金属をゼオライト結晶骨格に導入するための簡便且つ工業的な方法を提供するものである。本発明により得られる新規BEA型メタロアルミノシリケートは、石油精製、石油化学、及び環境浄化分野において従来にない優れた性能の触媒、触媒基材、又は吸着剤として利用できる。
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例により限定されるものではない。
実施例1
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比18.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて乾燥雰囲気中650℃で2時間焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比870)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)44.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合して50℃で10分間撹拌した。この時のスラリーpHは1.0であった。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加してスラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型チタノアルミノシリケートを得た。
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比18.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて乾燥雰囲気中650℃で2時間焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比870)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)44.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合して50℃で10分間撹拌した。この時のスラリーpHは1.0であった。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加してスラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型チタノアルミノシリケートを得た。
得られた結晶の化学分析値を表1に示す。粉末X線回折測定から、このものはBEA型の高い結晶性を維持しており、且つBEA型以外の結晶性物質は認められなかった。また、得られた結晶のUV拡散反射スペクトル分析結果を図1に示す。図1のUVスペクトルではチタノアルミノシリケートは220〜250nmに大きな吸収が見られる。この吸収は、Microporous and Mesoporous Materials 31(1999)ページ163〜173に記述されているように、骨格内の四面体配位のチタンに起因する。これからも、大部分のチタンは骨格内に取り込まれていることがわかる。
実施例2
塩化鉄(III)六水和物(関東化学(株)製、含有量97%)11.9gを純水1Lに溶解して塩化鉄水溶液を調製し、実施例1で調製した脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合した後、1規定の塩酸を添加してpH1.0とし、50℃で10分間撹拌した。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加して、スラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型フェロアルミノシリケートを得た。
塩化鉄(III)六水和物(関東化学(株)製、含有量97%)11.9gを純水1Lに溶解して塩化鉄水溶液を調製し、実施例1で調製した脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合した後、1規定の塩酸を添加してpH1.0とし、50℃で10分間撹拌した。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加して、スラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型フェロアルミノシリケートを得た。
得られた結晶の化学分析値を表1に示す。粉末X線回折測定から、このものはBEA型の高い結晶性を維持しており、且つBEA型以外の結晶性物質は認められなかった。また、得られた結晶のNa/(Al+Fe)モル比は0.13であった。その結晶10gを1規定の硝酸ナトリウム水溶液500mlを用いて50℃にて2回イオン交換した。イオン交換後の結晶のNa/(Al+Fe)モル比は0.82であった。これによりFeの大部分が骨格内に挿入されていることがわかる。
実施例3
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比13.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて乾燥雰囲気中650℃で2時間焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比1500)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)61.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合して50℃で10分間撹拌した。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加してスラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型チタノアルミノシリケートを得た。
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比13.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて乾燥雰囲気中650℃で2時間焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比1500)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)61.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合して50℃で10分間撹拌した。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加してスラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、本発明のBEA型チタノアルミノシリケートを得た。
得られた結晶の化学分析値を表1に示す。粉末X線回折測定から、このものはBEA型の高い結晶性を維持しており、且つBEA型以外の結晶性物質は認められなかった。また、得られた結晶のUV拡散反射スペクトル分析結果を図1に示す。図1のUVスペクトルではチタノアルミノシリケートは220〜250nmに大きな吸収が見られる。これからも、大部分のチタンは骨格内に取り込まれていることがわかる。
参考例1
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比18.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて水蒸気濃度50%雰囲気中650℃で2時間スチーミング焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比83)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)34.6gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合し、50℃で10分間撹拌した。この時のpHは1.0であった。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加して、スラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、BEA型チタノアルミノシリケートを得た。
水熱合成したゼオライトβ(BEA型アルミノシリケート、Si/Alモル比18.5、有機物としてTEAを含有)500gを窒素雰囲気中450℃にて2時間焼成加熱後、続けて水蒸気濃度50%雰囲気中650℃で2時間スチーミング焼成してTEAを除去した。該焼成したゼオライトβを8規定の塩酸2,000mlに混合し80℃で2時間撹拌して脱アルミニウムした後、ろ過及び80℃の温純水で洗浄して、脱アルミニウムゼオライトβ(Si/Alモル比83)を調製した。硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)34.6gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、前記脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合し、50℃で10分間撹拌した。この時のpHは1.0であった。該スラリーを50℃で撹拌しながら、5%水酸化ナトリウム水溶液を14ml/minの速度で連続的に添加して、スラリーのpHを6.0とし、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥して、BEA型チタノアルミノシリケートを得た。
得られた結晶の化学分析値を表1に示す。粉末X線回折測定から、このものはBEA型の高い結晶性を維持しており、且つBEA型以外の結晶性物質は認められなかった。
比較例1
硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)44.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、実施例1で調製した脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合し、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥した。
硫酸チタン(IV)水溶液(関東化学(株)製、含有量24%)44.0gを純水1Lで希釈して硫酸チタン水溶液を調製し、実施例1で調製した脱アルミニウムゼオライトβ絶乾重量50gと混合し、50℃で30分間撹拌保持した後、結晶をろ別及び80℃の温純水で洗浄し、120℃で乾燥した。
得られた結晶の化学分析値を表1に示す。pHの上昇なしでは本発明の生成物は得られないことが明らかである。
得られた結晶は、粉末X線回折測定から、BEA型の高い結晶性を維持しておらず、XRDピーク強度は脱アルミニウムゼオライトβに対して12%であった。
Claims (5)
- 金属がTi、Fe、Ga、In、Sn、及びZrから選ばれた少なくとも一種であり、金属/Siモル比が0.005〜0.15で且つSi/Alモル比が870〜2500であるBEA型メタロアルミノシリケート。
- 金属がTiであり、Ti/Siモル比が0.05〜0.15で且つSi/Alモル比が870〜2500であることを特徴とする請求項第1項記載のBEA型メタロアルミノシリケート。
- 金属がSnであり、Sn/Siモル比が0.005〜0.15で且つSi/Alモル比が870〜2500であることを特徴とする請求項第1項記載のBEA型メタロアルミノシリケート。
- 金属がFeであり、Fe/Siモル比が0.08〜0.15で且つSi/Alモル比が870〜2500であることを特徴とする請求項第1項記載のBEA型メタロアルミノシリケート。
- 金属がGaであり、Ga/Siモル比が0.07〜0.15で且つSi/Alモル比が870〜2500であることを特徴とする請求項第1項記載のBEA型メタロアルミノシリケート。
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