以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
本発明のハイブリッドシステムは、使用が予測される使用熱量または使用電力に対して、タンクに蓄熱された蓄熱量及び太陽熱集熱器により集熱される熱量では不足する分の加熱熱量、または蓄電池に蓄電された蓄電量及び太陽光発電装置により発電される電力量では不足する分の蓄電量を、昼間の電気料金よりも安価な料金体系である所定の安価料金時間帯に、加熱運転を実施してタンクに蓄熱、または蓄電運転を実施して蓄電池に蓄電するシステムである。
(第1実施形態)
本発明のハイブリッドシステムの一実施形態である第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1は、太陽エネルギー利用のハイブリッド給湯装置1の概略構成を示した模式図である。
図1に示すように、ハイブリッドシステムの一例であるハイブリッド給湯装置1は、太陽熱を集熱する太陽熱集熱器4と、ヒートポンプサイクルを用いた加熱装置であるヒートポンプユニット2と、ヒートポンプユニット2によって沸き上げた湯を蓄えるタンク3と、を有しており、各装置を適宜使用して給湯を行うハイブリッド式のシステムである。つまり、浴槽やシャワーなどへ出湯するときには、状況に応じて、昼間における太陽熱集熱器4の集熱量によって作った太陽熱温水のみを使用したり、ヒートポンプユニット2によって作った貯湯水のみを使用したり、あるいは当該太陽熱温水と貯湯水を混合した温水を使用したりする。これにより、ハイブリッド給湯装置1は、太陽熱利用と、昼間の電気料金よりも安価な料金体系である所定の安価料金時間帯(例えば、深夜料金時間帯)に実施する沸き上げ運転とを活用して省エネルギー性を優先しつつ、ユーザーの要望を満たした給湯を行うものである。
ヒートポンプユニット2は、冷媒を熱交換媒体とするヒートポンプサイクルからなりタンク3内の水を加熱可能な加熱装置である。ヒートポンプユニット2は制御装置5からの制御信号により作動するとともに、その作動状態を制御装置5に出力するように構成されている。
タンク3は耐食性に優れた金属製のタンクであり、その外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用水を長時間に渡って保温することができる。タンク3の外壁面には、貯湯水の湯量、貯湯温度を検出するための複数個のタンクサーミスタ31,32,33,34,35,36,37が設けられており、本実施形態では縦方向にほぼ等間隔で最上部から順に7個のサーミスタが配設されている。これら7個のサーミスタの検出温度信号は、それぞれ制御装置5の入力回路に入力されるようになっており、各水位レベルでのタンク内流体の温度や湯量を検出可能である。したがって、制御装置5は、タンクサーミスタ31〜37からの温度情報に基づいて、タンク3内上方の沸き上げられた湯とタンク3内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出でき、さらに温度及び湯量の検出することにより、タンク3内に蓄えられている蓄熱量を算出することができる。
タンク3には、タンク3の内部に水道水を供給するための給水管11と、ヒートポンプユニット2とタンク3の内部とを接続しヒートポンプユニット2により加熱された湯が循環する加熱用循環回路12と、給湯端末に繋がる給湯管13等からなる配管系統と、給湯管13に混合弁15を介して連結される市水流入管14と、が接続されている。さらにタンク3の内部には、熱交換器8が設置されている。この熱交換器8には、太陽熱集熱器4で太陽熱により加熱された太陽熱温水が循環する集熱器用循環回路9が接続されている。
集熱器用循環回路9には、当該太陽熱温水を強制的に循環させるポンプ7が設けられている。熱交換器8においては、当該太陽熱温水とタンク3内部の貯湯水とが熱交換することにより、当該貯湯水が太陽熱温水から吸熱して加熱される。太陽熱集熱器4から太陽熱温水が流出する出口に相当する集熱器用循環回路9の一部には、太陽熱集熱器4で加熱された後の太陽熱温水の温度を検出する集熱器サーミスタ20が設けられている。集熱器サーミスタ20は、太陽熱集熱器4によって加熱された後、熱交換器8で熱交換される前の太陽熱温水の温度(熱媒体の温度)を検出する第1の熱媒体温度センサとして使用できる。
熱交換器8から太陽熱温水が流出する出口に相当する集熱器用循環回路9の一部には、熱交換器8で熱交換後の太陽熱温水の温度を検出する熱交換後サーミスタ21が設けられている。熱交換後サーミスタ21は、熱交換器8で熱交換された後、太陽熱集熱器4によって加熱される前の熱媒体の温度を検出する第2の熱媒体温度センサとして使用できる。熱交換後サーミスタ21は、集熱器用循環回路9を構成する環状の配管のうち、タンクユニットを取り囲む筐体内であって熱交換器8よりも下流側でタンク3外に露出する配管部位に設置されている。
熱交換前サーミスタ22は、太陽熱集熱器4によって加熱された後、熱交換器8で熱交換される前の熱媒体(太陽熱温水)の温度を検出する第1の熱媒体温度センサとして使用できる。熱交換前サーミスタ22は、集熱器用循環回路9を構成する環状の配管のうち、タンクユニットを取り囲む筐体内であって熱交換器よりも上流側でタンク3外に露出する配管部位に設置され、吸熱される前の集熱器用循環回路9を流れる熱媒体の温度を検出する。
タンク3内の熱交換器8の周囲には、熱交換器8の近傍における貯湯水の温度を検出する熱交換器サーミスタ23が設けられている。熱交換器サーミスタ23は、熱交換器8で熱交換された後、太陽熱集熱器4によって加熱される前の熱媒体(太陽熱温水)の温度を検出する第2の熱媒体温度センサとして使用できる。熱交換器サーミスタ23は、例えば、熱交換器8に近接した部位、熱交換器8と同じ高さの水位に相当する部位、熱交換器8の下流側出口に近接する部位、その他これらの部位に相当するタンク3の内壁面に設置されている。熱交換器サーミスタ23は、熱交換器8の周囲に位置するタンク3内の貯湯水の温度を検出することができる。
ポンプ7の駆動により太陽熱温水が循環する集熱器用循環回路9の一部には、循環する太陽熱温水(熱媒体)の流量を検出する流量センサ40が設けられている。流量センサ40は、太陽熱集熱器4によって加熱された後の太陽熱温水が熱交換器8を通過する流量を検出する。
制御装置5は、ユーザーが運転操作を設定できる運転操作部であるリモートコントローラ10上の各種のスイッチ10a及びヒートポンプユニット2からの通信信号、流量センサ40、大気圧検出手段の一例である大気圧センサ6、各種のサーミスタ20〜23,31〜37等からの検出信号が入力される入力回路と、入力回路からの信号を用いて各種演算を実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータによる演算に基づいてヒートポンプユニット2、ポンプ7、各種混合弁等を制御する制御信号を出力する出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、大気圧等のデータ、演算結果等を記憶する記憶手段としてのROM、RAM等を内蔵し、あらかじめ設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムを有し、後述する沸き上げ運転を制御する。
制御装置5は、大気圧センサ6により検出される大気圧の検出値に応じて天候を予測する天候予測手段、この天候予測結果及び過去の集熱量実績に基づき太陽熱集熱器4による集熱量の予測値を求める集熱量予測手段、及び集熱量の予測値に応じてヒートポンプユニット2による沸き上げ熱量(加熱熱量)を求める加熱量算出手段としての機能を有する。
つまり、制御装置5は、省エネルギー、低ランニングコストのため、天候を予測し、天候予測等に基づく昼間の太陽熱の集熱量を予測し、この集熱量とタンク3内に蓄えた熱量を加味して深夜料金時間帯のヒートポンプユニット2による沸き上げ熱量を決定する。この沸き上げ熱量は、ユーザーの過去の使用熱量実績による学習値から、タンク3内に残存するタンク残存熱量と、翌日の集熱量(集熱量の予測値)とを減算することにより算出されるものである。そして、制御装置5は、電力が安価な深夜時間帯にヒートポンプユニット2を作動させ、加熱量算出手段として算出した沸き上げ熱量(加熱熱量)に応じてヒートポンプユニット2に貯湯水の加熱を行わせることにより、加熱された高温水がタンク3内に供給されて当該沸き上げ熱量がタンク3内の貯湯水に加わることになる。
また、制御装置5による天候予測演算は、検出された大気圧値、当該大気圧値の振動の割合、及び当該大気圧値の変化率のパラメータに基づいて、分類された複数種類のうち、一の天候予測結果を決定する。例えば、制御装置5は天候予測演算に使用する所定のマップを記憶している。当該マップは、当該大気圧値の振動の割合が大きく2つに分類されており、この振動の割合の分類毎に大気圧値の変化率に関する不等式がさらに複数に分類され、当該変化率の分類毎にさらに大気圧値に関する不等式が割り当てられている。そして、当該マップに、大気圧値、当該振動の割合、及び当該変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の天候予測結果を決定することができる。本実施形態では、天候予測結果は、「晴」、「曇」、「雨」の3種類のうち、いずれかに決定される。また例えば、大気圧値としては演算に現在の検出値を使用し、当該振動の割合及び当該変化率としては4時間前から現在までの振動の割合及び変化率を使用するものである。
また、制御装置5は、日照時間帯に太陽熱温水から貯湯水に伝熱可能な状態になったら太陽熱温水のポンプ7を作動させ、太陽熱温水に蓄えられた太陽熱を貯湯水に伝達させる。このとき制御装置5は、太陽熱温水から貯湯水へ伝熱可能か否かの判定を、太陽熱温水の温度を検出する第1の熱媒体温度センサ(集熱器サーミスタ20)から得られる検出値と第2の熱媒体温度センサ(熱交換器サーミスタ23)から得られる検出値との温度差を利用して実施する。つまり、制御装置5は、両検出値の温度差が所定値以上になれば、太陽熱温水が貯湯水よりも充分に高い温度であり太陽熱温水から貯湯水に伝熱可能であると判定してポンプ7を作動させる。なお、第1の熱媒体温度センサには集熱器サーミスタ20、熱交換前サーミスタ22を使用することができ、第2の熱媒体温度センサには熱交換後サーミスタ21、熱交換器サーミスタ23を使用することができる。
上記構成のハイブリッド給湯装置1における深夜料金時間帯の沸き上げ運転の作動について図2、図3及び図4を参照して説明する。図2は、第1実施形態における沸き上げ運転の作動を示したフローチャートである。図3は図2に示すフローチャートにおける「翌日の集熱量Qso算出ステップ(ステップ70)」に関するサブルーチンである。図4は図3に示すサブルーチンにおけるステップ720で使用する「天候寄与度Kを決定するテーブル」である。
図2に示す各ステップは、制御装置5によって実行される。まず、ステップ10では、最初の大気圧データの保存を行う場合は、現在時刻が19時から深夜料金時間帯内であるか否か、つまり、19時から翌日の7時までの時間帯であるか否かが判定される。そして、19時から深夜料金時間帯内であれば(YES)、ステップ20に進み、記憶手段への大気圧データの保存を実行する。ステップ10でNOと判定するとステップ30に進む。
次にステップ30では、最初の演算である場合は現在時刻が深夜料金時間帯であるか否かが判定される。そして、深夜料金時間帯であれば(YES)、ステップ40に進み、深夜料金時間帯でなければ(NO)、ステップ10に戻る。ステップ40では、現在時刻から4時間前までの全体の気圧データを記憶手段から読み込む処理を実行する。なお、ステップ40は、ここでは4時間という時間幅であるが、これに限定するものではなく、予め定めた時間幅の全大気圧データを読み込むステップである。
次にステップ50では、天候予測値の算出を実行する。このステップ50は、ステップ40で読み込んだ所定期間の過去の大気圧データを用いて天候予測結果を算出する天候予測演算ステップである。この天候予測演算は、前述したマップに、大気圧値、大気圧値の振動の割合、及び大気圧値の変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の天候予測結果として、「晴」、「曇」、「雨」のいずれかを決定できる。そして、天候予測値は、「晴」に決定した場合は1、「曇」に決定した場合は2、「雨」に決定した場合は3としてそれぞれ出力される。
次にステップ60では、記憶手段に記憶されている過去の集熱量を読み込む処理を実行する。なお、ステップ60で読み込まれる集熱量実績は、過去の予め定めた日数分の実績(例えば7日分の実績)である。ステップ70で使用する集熱量実績Qmaxは、例えば、所定日数分の実績の中から集熱量が多い日の1番目と2番目の平均値を算出して採用する。各日の実績は、例えば、当該日における集熱量の経時変化のグラフから、1日のトータル集熱量を積算によって算出する。また、1日の集熱量は、当該グラフにおける所定時間帯の集熱量の変化率に基づいて算出してもよいし、日照時間における集熱量の最大値と最小値の差に基づいて算出してもよい。
そしてステップ70では、ステップ50で算出された天候予測値とステップ60で読み込まれた過去の集熱量実績とを用いて翌日の集熱量Qsoを算出する。このステップ70は、天候予測結果を用いて、太陽熱集熱器4で昼間に集熱されうる熱量の予測量を算出する予測集熱量演算ステップである。予測集熱量演算ステップでは、ステップ50で求めた天候予測値(上記の「1」、「2」、「3」のいずれか)が予測集熱量の算出結果に与える天候寄与度を可変させる天候寄与度可変処理を実行して、翌日の集熱量Qsoを決定する。
翌日の集熱量Qsoは、図3に示すサブルーチン及び図4のテーブルにしたがって算出される。図3に示すようにステップ710で運転モードを読み込む。この運転モードは、自動運転が設定されている場合に所定の制御プログラムによる演算結果から得られる運転モード、ユーザーが各種のスイッチ10aを操作することにより手動設定される運転モード、各種のスイッチ10aの操作によって詳細な運転条件が手動設定される運転モード等である。
ここでは、一例として図4に示す各種運転モードを参照して説明する。自動設定または手動設定が可能な当該各種運転モードは、「おまかせ」、「深夜のみ(深夜時間帯のみでタンク3に蓄熱するモード)」、「満タン(タンク3の湯量を満タンにするモード)」である。さらに、手動設定可能な詳細な運転条件としてタンク3内に確保する最低貯湯量を設定できる。「おまかせモード」では、さらに最低貯湯量を「控えめ」、「中」、「多め」に設定でき、「深夜のみモード」では、さらに最低貯湯量を「控えめ」、「多め」に設定できるようになっている。例えば、「おまかせ」かつ「控えめ」ならば、予測集熱量の結果が大きくなるように天候寄与度を大きく決定することで、深夜料金時間帯での加熱熱量を小さく算出し、できるだけ経済的に使用したいユーザー向けのモードになる。また、「おまかせ」かつ「中」または「多め」ならば、予測集熱量の結果が小さくなるように天候寄与度を小さく決定することで、深夜料金時間帯での加熱熱量を大きく算出し、経済的でなくても湯切れを起こしたくなく、さらに昼間時間帯の加熱運転を防止してランニングコストの上昇を避ける安全モードになる。
次に、ステップ720で、自動設定または手動設定された運転モード及び天候予測結果に応じた天候寄与度Kを決定する。この天候寄与度Kは、予め記憶されている図4に示すテーブルにしたがって決定される。例えば、「おまかせ」かつ「控えめ」の運転条件である場合には、天候予測結果が「晴」、「曇」、「雨」についてα1,β1,0がそれぞれ決定される。同様に、「おまかせ」かつ「中」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα2,β2,0がそれぞれ決定される。同様に、「おまかせ」かつ「多め」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα3,β3,0がそれぞれ決定される。また「深夜のみ」かつ「控えめ」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα4,β4,0がそれぞれ決定される。同様に、「深夜のみ」かつ「多め」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα5,β5,0がそれぞれ決定される。また、例えば、「満タン」の運転条件である場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα6,β6,0がそれぞれ決定される。
各αは、同じ運転条件の各βよりも大きい値であり、天候寄与度Kが大きく設定される。「雨」の場合は、天候寄与度Kはゼロであるので、下記の式1から予測集熱量Qsoもゼロになる。「晴」の場合のαは、α1が1.0であり、α1>α2>α3、α4>α5の大小関係となっており、α6は最も小さい値である。したがって、天候寄与度Kは、運転条件が「満タン」のときが最も小さく決定されて予測集熱量Qsoも小さくなる。同様に「曇」の場合のβは、β1>β2>β3、β4>β5の大小関係となっており、β6は最も小さい値である。したがって、天候寄与度Kは、運転条件が「満タン」のときが最も小さく決定されて予測集熱量Qsoも小さくなる。
次に、ステップ730では、翌日の集熱量である予測集熱量Qsoを算出し、サブルーチンを終了する。予測集熱量Qsoは次の式1により算出する。
Qso=Qmax × K …(式1)
Qmaxはステップ60で読み込んだ集熱量実績であり、Kはステップ720で決定した天候寄与度である。
以下に、ステップ720及びステップ730の処理について、具体的な数値を用いて演算の一例を示す。例えば、過去7日間の集熱量実績が8100kcal,4500kcal,4000kcal,100kcal,3500kcal,9300kcal,7900kcalであり、運転条件が「おまかせ」かつ「中」であり、天候予測結果が「曇」であった場合には、図4のテーブルから以下の演算が行われる。
集熱量実績Qmax=(9300+8100)÷2=8700kcal
Qso=Qmax × K=8700 × β2 kcal
また、翌日の集熱量Qsoと、タンクサーミスタ31〜37のうちタンク3の下部に設置されたサーミスタの検出値から求めたタンク内下部の貯湯温度とから、太陽熱集熱器4から得られるソーラー確保湯量を求めるようにしている。ソーラー確保湯量は、制御装置5が記憶手段に予め記憶しているテーブルを用いて求められる。当該テーブルは、タンク内下部の貯湯温度と翌日の集熱量Qsoとが決まれば、タンク3の容量に対応するソーラー確保湯量が求まる特性マップである。
次にステップ80,90,100で、深夜料金時間帯に実施する沸き上げ運転の制御に必要なパラメータを算出する。ステップ80では前述した沸き上げ熱量を算出し、ステップ90では目標沸き上げ温度を算出し、ステップ100では沸き上げ開始時刻を算出する。制御装置5は、ステップ80で算出した沸き上げ熱量(使用熱量実績による学習値から、タンク残存熱量及び翌日の集熱量Qsoを減算して得られた熱量)を用いて、タンク3が満タンとなる湯量にて当該沸き上げ熱量を割戻して、目標沸き上げ温度を算出する。つまり、ステップ90で算出する目標沸き上げ温度は、翌日得られる集熱量Qsoを見越してその分を差し引いた熱量を沸き上げるために必要とする沸き上げ温度である。また、沸き上げ開始時刻は、目標沸き上げ温度または沸き上げ熱量を達成するようにタンク3を満タンにするために必要な運転時間を算出し、この必要な運転時間が深夜料金時間帯の終了時刻までに終了するように逆算することにより算出する。
そして、ステップ110で、現在時刻がステップ100で算出した沸き上げ開始時刻になったか否かを判定する。そして、沸き上げ開始時刻になったら(YES)、ステップ120に進み、ステップ80,90,100で算出したパラメータを満たすように沸き上げ運転を実施する。
沸き上げ開始時刻になっていなければ(NO)、ステップ10に戻り、沸き上げ開始時刻になるまで以降のステップを実行する。ハイブリッド給湯装置1が実行するフローチャートによれば、深夜料金時間帯に入ってから1回の演算処理で沸き上げ開始時刻に突入することはない。したがって、2回目の演算処理を行うべく、必ずステップ110からステップ10に戻ることになる。そして、ステップ10では、現在時刻が19時から深夜料金時間帯内であるか否か、かつ前回の大気圧データの保存から第1の所定時間が経過しているか否かの2つの条件を判定する。そして、この両方の条件がYESである場合には、ステップ20に進み、大気圧データを記憶手段に再度保存する処理を実行する。
さらにステップ30では、現在時刻が深夜料金時間帯か否か、かつ前回の天候予測演算ステップ(S50)及び予測集熱量演算ステップ(S70)の演算から第2の所定時間が経過しているか否かの2つの条件を判定する。ステップ30で、第2の所定時間が経過していない場合(NO)は、ステップ10に戻り、ステップ30でYESと判定するまでこのループの各ステップを繰返し実行する。ステップ30で、両方の条件がYESと判定した場合には、ステップ40に進み、以降のステップ110までの各ステップを実行して、2回目の演算を行い、沸き上げ熱量等のパラメータが更新される。さらに、ステップ110でまだ沸き上げ開始時刻に達していないと判定すると、再度ステップ10に戻り、3回目以降の演算処理を実施するルートに入ることになる。
このように、本フローチャートによれば、ハイブリッド給湯装置1は深夜料金時間帯の沸き上げ運転の開始までに、複数回の天候予測演算ステップ(S50)及び予測集熱量演算ステップ(S70)を行い、沸き上げ熱量等のパラメータを複数回更新する。
本実施形態のハイブリッド給湯装置1がもたらす作用効果を以下に述べる。ハイブリッド給湯装置1の制御装置5は、天候予測結果を算出する天候予測演算ステップ(S50)と、天候予測結果を用いて太陽熱集熱器4によって集熱される熱量の予測集熱量(翌日の集熱量Qso)を算出する予測集熱量演算ステップ(S70)と、を実行する。さらに制御装置5は、天候予測演算ステップ(S50)で算出された天候予測結果が予測集熱量演算ステップ(S70)での予測集熱量の算出に与える天候寄与度Kを可変させる天候寄与度可変処理を実行して、タンク3の蓄熱量及び太陽熱集熱器4により集熱される熱量では不足する分の深夜料金時間帯での加熱熱量を求める。
天候予測結果を用いて翌日の集熱量を算出する給湯装置においては、天候予測は必ずしも高い確率で的中するわけではないため、以下のような不具合が生じうる。具体的には、天候予測結果が「雨」で、実際が「晴」であった場合には、深夜料金時間帯に実施するタンク3への蓄熱量が過大になり、タンク3内の残湯が多く、太陽熱の集熱が不要なため、年間給湯効率(1年間で使用する給湯に係る熱量を1年間で必要な消費電力で除算した値)が低下することになる。また、天候予測結果が「晴」で、実際が「雨」であった場合には、実際に昼間の集熱量が予測量よりも大きく不足し、深夜料金時間帯に実施するタンク3への蓄熱量が不足するようになるため、貯湯量が不足して湯切れが生じ易く、後で追加の沸き増し運転が必要になり、ランニングコストが上昇することになる。また、ユーザーの好みや習慣により、午前中や昼間に大量の給湯を使用する場合には、湯切れが生じやすくなる。
そこで、ハイブリッド給湯装置1によれば、太陽光から得られる集熱量の予測に対して天候予測結果が与える影響度合いとしての天候寄与度Kを可変させる天候寄与度可変処理を実行する。この天候寄与度可変処理の実行により、算出された天候予測結果をそのまま予測集熱量(翌日の集熱量Qso)の算出に反映させるのではなく、天候予測結果の的中率に応じて起こり得る予測集熱量に対する実際の集熱量の過不足状態、ユーザーの使用頻度を検出して自動により設定される運転モード、ユーザーの積極的な手動操作によって決まる運転モード等に適合した天候寄与度Kを決定することができる。換言すれば、夜間の蓄熱量を求める式の中で重要なパラメータの一つである翌日の集熱量Qsoについて、従来固定値だった天候係数を1日の使用熱量や担保量の大小によって可変できるようにしたのである。
このように自動または手動で設定される運転条件によって変更可能に決定される天候寄与度Kによって、深夜料金時間帯の安価な電気料金を活用した無駄の少ない加熱運転を実施することができ、湯切れ等の不具合にも対策することができる。したがって、実際の天候に対して天候予測結果が外れた場合、ユーザー特有の使用形態がある場合等に適切に対応し得るエネルギー蓄えを可能にするハイブリッド給湯装置1を提供できる。
また、制御装置5は、タンク3の蓄熱量を使用して給湯を行うときに自動または手動設定で実行される運転モードに応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する(ステップ720)。この処理によれば、給湯時に実行される運転モードに適合した天候寄与度可変処理を行うことにより、自動または手動によって設定された運転モードに対して適切な天候寄与度Kの設定を可能とする。したがって、各種の運転モードの違いに適合する運転形態を満足した熱量が得られる加熱運転を実施できる。
また、制御装置5は、タンク3の蓄熱量を使用して給湯を行う場合に制御されるタンク内に確保する最低貯湯量に応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、ユーザーの過去の使用実績に基づいた最低限確保されるべき貯湯量、ユーザーの積極的な設定操作によって決定された最低貯湯量等に適合した天候寄与度を決定することができ、ユーザーの使用熱量に適した経済的な加熱運転を実施できる。
また、ユーザーが給湯機の運転動作を設定できるリモートコントローラ10をさらに備え、制御装置5はリモートコントローラ10によって手動設定された運転条件に応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、ユーザーによって手動で設定された各種の運転条件に適合する天候寄与度可変処理を行うことにより、当該各種の運転条件に対して適切な天候寄与度Kの設定を可能にする。したがって、ユーザー特有の使い方や好み、各回の給湯使用時におけるユーザー要求に応える熱量を確保できる加熱運転を実施できるのである。
また、制御装置5は、予測集熱量演算ステップ(S70)において予測集熱量を算出するために用いる過去の集熱量実績は、過去の所定期間(例えば過去7日間)における集熱量実績を集熱量の大きさによって順位づけし、予め複数定めた所定順位の集熱量実績(例えば、集熱量実績を集熱量の大きい順に並べた1番目と2番目)を平均した値が用いられる。
この処理によれば、予測集熱量Qsoの算出に用いられる過去の集熱量実績を過去実績値のばらつきを考慮した演算によって求めることができる。したがって、天候不順、天候変動等に伴う過去の集熱量の変動、システム設置場所の天候に係る固有の地域性及び季節性等に対応しうる集熱量の予測精度を確保することができる。また、上記の手法によれば、複雑な演算でない比較的簡単化した演算によって当該予測精度を確保することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態のステップ720で使用する図4に示したテーブルを図5に示すテーブルを置き換えたものである。図5は第2実施形態に係る「天候寄与度Kを決定するテーブル」であり、後述する「朝シャンモード」が設定されたときにも天候寄与度Kを決定することができるテーブルである。なお、第2実施形態は、システムの構成及び図2に示したフローチャートの各ステップは第1実施形態と同様であり、その作用効果も同様である。
図5に示すように、「天候寄与度Kを決定するテーブル」には、午前中にシャワーを使用する「朝シャンモード」がある。「朝シャンモード」は、自動または手動で設定される運転条件の一つであり、午前に給湯を実施する朝給湯モードの一例である。図示の通り、「朝シャンモード」が設定されると、天候予測結果が「晴」、「曇」、「雨」について天候寄与度Kとしてα7,α8,0がそれぞれ決定される。例えばα7,α8は、「おまかせ」かつ「多め」や「深夜のみ」かつ「多め」のモードよりも大きい値である。
そして、制御装置5は、過去の給湯使用実績に基づいて午前の給湯実績が高いと判断した場合は朝シャン(朝給湯モード)を自動設定し、深夜料金時間帯での加熱熱量を増加するように天候寄与度Kを決定する。また、制御装置5は、リモートコントローラ10によって手動設定された運転条件が午前に給湯を実施する朝シャン(朝給湯モード)である場合には、深夜料金時間帯での加熱熱量を増加するように天候寄与度Kを決定する。なお、この朝給湯モードは、「朝シャンモード」の他、午前中に風呂に湯を張る「朝風呂モード」または「風呂予約モード」を含むものである。
また、「朝風呂モード」または「風呂予約モード」においては、「朝シャンモード」よりも深夜料金時間帯での加熱熱量を増加するように天候寄与度Kを決定すればよい。
本実施形態によれば、制御装置5は、過去の給湯使用実績に基づいて(例えば、時間帯別の使用湯量の実績と日毎の出現率に基づいて)午前の給湯実績が高いと判断した場合は朝給湯モードを自動設定し、深夜料金時間帯の加熱熱量が増加するように、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、過去の使用実績に基づいて朝給湯モードで使用される熱量を得るための加熱熱量を確保できるとともに、手動設定の必要がなく、ユーザーの利便性が向上する。したがって、予測集熱量が大きくヒートポンプユニット2による加熱熱量が少ない場合であっても、過去の使用実績に基づいた午前の給湯使用の可能性を的確に判断することにより、湯切れ等の不具合を回避でき、昼間の沸き上げ運転を抑制できる。
また、制御装置5は、リモートコントローラ10によって設定された運転条件が午前に給湯を実施する朝給湯モードである場合には、深夜料金時間帯の加熱熱量が増加するように、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、ユーザーによって手動設定された朝給湯モードにしたがって、深夜料金時間帯のヒートポンプユニット2による加熱熱量が増加するように天候寄与度Kを決定するので、朝給湯モードで使用される熱量を得るための加熱熱量を確保できる。したがって、昼間の沸き上げ運転を抑制してランニングコストの低減が図れるとともに、朝風呂、朝シャンプー等の午前に給湯を行うユーザーの使用形態に対して湯切れ発生の可能性を抑えることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態に対してフローチャートにおけるステップ70のサブルーチンが異なる実施形態である。図6は、「翌日の集熱量Qso算出ステップ(ステップ70)」に関するサブルーチンである。なお、第3実施形態のフローチャートは、以下に説明するステップ以外の各ステップは第1実施形態のフローチャートと同様であり、その作用効果も同様である。
図6に示すように、ステップ70の「翌日の集熱量Qso算出ステップ」では、まずステップ700で過去の集熱量の実績を算出する。この集熱量の実績は、第1実施形態で上述した通りであるが、本実施形態では例えば30日分の過去実績を算出する。次にステップ702で、ステップ700の集熱量実績に基づく天候実績を算出する。この天候実績の算出は、例えば、30日分の各1日当たりの集熱量を所定の基準値に対して比較することにより、各日の天候を「晴」、「曇」、「雨」のいずれかに決定し、これを集熱量実績に基づく天候実績として決定する。
さらにステップ704では、ステップ702で算出した30日分の天候実績を当該日の天候予測値と比較し、天候予測結果が的中したか否かに応じて、的中ポイントを決定する。例えば、天候予測値と天候実績が一致する場合は、1ポイントとする。天候予測値が「晴」で天候実績が「曇」の場合は0.5ポイント、天候予測値が「晴」で天候実績が「雨」の場合は0ポイントとする。これらの場合は、天候予測値が集熱量の不足する方向に外れていることになり、天候予測値に基づいた沸き上げ運転を実施した場合、タンク3内の貯湯熱量が実際の使用時に不足して湯切れを起こす可能性がある。
また、天候予測値が「雨」で天候実績が「曇」の場合は0.5ポイント、天候予測値が「雨」で天候実績が「晴」の場合は0ポイントとする。これらの場合は、天候予測値が集熱量の過剰方向に外れていることになり、天候予測値に基づいた沸き上げ運転を実施した場合、タンク3内の貯湯熱量が実際の使用時に無駄に余る可能性がある。以上のようにステップ704は、天候予測演算ステップ(S50)により過去に算出された天候予測結果と算出された過去の天候実績とを比較した天候予測精度を算出するステップである。
次にステップ706で、過去の天候予測値が、集熱量が不足する方向に外れているか否かを判定する。そして、ステップ706の判定がYESであれば、ステップ720Aに進み、天候寄与度可変処理を実行し、翌日の集熱量が増加する方向に天候寄与度Kを決定する。次に、ステップ730では、ステップ720Aで可変された天候寄与度Kを用いて、上記の式1によって翌日の集熱量である予測集熱量Qsoを算出し、サブルーチンを終了する。
一方、ステップ706でNOと判定するとステップ708に進み、過去の天候予測値が、集熱量が過剰な方向に外れているか否かを判定する。そして、ステップ708の判定がYESであれば、ステップ720Bに進み、天候寄与度可変処理を実行し、翌日の集熱量が減少する方向に天候寄与度Kを決定する。次に、ステップ730では、ステップ720Bで可変された天候寄与度Kを用いて、上記の式1によって翌日の集熱量である予測集熱量Qsoを算出し、サブルーチンを終了する。ステップ708の判定がNOであれば、第1実施形態のステップ710及びステップ720にしたがって天候寄与度Kを決定し、ステップ730で予測集熱量Qsoを算出する。このように求められた予測集熱量Qsoは、後のステップ80,90,100で採用されることになる。
本実施形態によると、制御装置5は、過去の集熱量実績を用いて過去の天候を算出し(S702)、天候予測演算ステップにより過去に算出された天候予測結果と算出された過去の天候とを比較した天候予測精度を算出し(S704)、当該天候予測精度に基づいて天候寄与度Kを決定する(S720A,S720B)。
この制御によれば、過去の天候予測結果と過去の天候とを比較した結果により過去の天候予測結果の予測精度を算出し、この予測精度を天候寄与度Kの決定に活用するため、ハイブリッド給湯装置1の予測集熱量演算を適正に見直すフィードバック機能を構築することができる。これにより、ハイブリッド給湯装置1の設置環境、設置場所の天候に係る固有の地域性及び季節性等に適した予測集熱量を算出するための適正化処理が行われ、結果的に予測集熱量Qsoの精度を向上することができる。したがって、沸き上げ運転制御の精度及び効率をさらに向上することができる。
(第4実施形態)
本発明のハイブリッドシステムの一実施形態である第4実施形態を図7〜図9を参照して説明する。図7は、太陽エネルギー利用のハイブリッド蓄電システム100の概略構成を示した模式図である。
図7に示すように、ハイブリッドシステムの一例であるハイブリッド蓄電システム100は、太陽光エネルギーを得て発電する太陽光発電装置である太陽電池130と、電力会社等から供給される系統電力170を受電して蓄電する蓄電池114と、使用が予測される電力量に対して、蓄電池114に蓄電された蓄電量及び太陽電池130により発電される電力量では不足する分の蓄電量を算出する制御装置111と、を主に備えるシステムである。ハイブリッド蓄電システム100は、制御装置111が算出した当該不足する分の蓄電量を、昼間の電気料金よりも安価な料金体系である所定の安価料金時間帯(例えば、深夜料金時間帯)に系統電力170から受電して蓄電池114に蓄電する。これにより、ハイブリッド蓄電システム100は、太陽光エネルギーを利用した発電と、深夜料金時間帯に蓄電池114に電力を蓄える蓄電運転とを活用して省エネルギー性を優先しつつ、ユーザーの要望を満たした電気エネルギーの供給を行うものである。
さらに図7を参照してハイブリッド蓄電システム100に関わる他の構成について説明する。太陽電池130が太陽光エネルギーから発電する直流電力及び系統電力から送電される交流電力は分電盤120に送られる。分電盤120に送られた電力は、HEMS装置110に送られ、HEMS装置110のパワーコンディショナー115によって交流と直流間で電力変換されて、蓄電池114に蓄電されたり、コンセント150に供給されたり、分電盤120に供給されたりする。HEMS装置110は、電力使用先である家庭等での電気機器の動作、エネルギー使用量を計測、表示して、住人に省エネルギーを喚起したり、電気機器の使用量等を制限したりしてエネルギー消費量を抑えるホームエネルギーマネジメントシステムである。
HEMS装置110は、制御装置111、大気圧センサ112、操作盤113、パワーコンディショナー115及び蓄電池114を少なくとも備えて構成される。パワーコンディショナー115は、太陽電池130で発電した直流電力を効率よく交流電力に変換したり、系統電力170からの交流電力を直流電力に変換したり、蓄電池114に蓄電されていた直流電力を交流電力に変換したりする電力変換装置である。パワーコンディショナー115で直流から交流に変換された電力は、電気配線を介して、建物に据え付けのコンセント150、建物内の各種の電化製品140、電源コードの先に付いている差込器具を利用して直接電力を供給し充電できるプラグインハイブリッド自動車160、電気自動車等に供給することができる。
制御装置111は、ユーザーが運転操作を設定できる運転操作部である操作盤113上の各種のスイッチ及びパワーコンディショナー115からの各種の通信信号、大気圧検出手段の一例である大気圧センサ112等からの検出信号が入力される入力回路と、入力回路からの信号を用いて各種演算を実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータによる演算に基づいてパワーコンディショナー115のスイッチング素子等を制御する信号を出力する出力回路と、を備えている。マイクロコンピュータは、大気圧等のデータ、演算結果等を記憶する記憶手段としてのROM、RAM等を内蔵し、あらかじめ設定された制御プログラムや更新可能な制御プログラムを有し、後述する蓄電運転を制御する。ハイブリッド蓄電システム100の運転状況は、制御装置111からの出力信号によって、操作盤113に設けられた表示画面に表示される。
制御装置111は、大気圧センサ112により検出される大気圧の検出値に応じて天候を予測する天候予測手段、この天候予測結果及び過去の発電量実績に基づき太陽電池130による発電量の予測値Esoを求める発電量予測手段、及び発電量の予測値Esoに応じて蓄電池114に蓄える蓄電量を求める蓄電量算出手段としての機能を有する。
つまり、制御装置111は、省エネルギー、低ランニングコストのため、天候を予測し、天候予測等に基づく昼間の太陽光エネルギーから得られる発電量を予測し、この予測発電量と蓄電池114内に蓄えられた蓄電量を加味して深夜料金時間帯の蓄電池114への蓄電量を決定する。この蓄電量は、ユーザーの過去の使用電力量実績による学習値から、蓄電池114内に残存する蓄電量と、翌日の発電量(発電量の予測値)とを減算することにより算出されるものである。そして、制御装置111は、蓄電量算出手段として算出した蓄電量分の電力量を、電力が安価な深夜料金時間帯に系統電力170から交流電力を受電し、パワーコンディショナー115で電力変換して蓄電池114に蓄電する。また、制御装置111は、日照時間帯に太陽電池130で発電可能な状態になったら直流電力を取り込み蓄電池114に充電する。
また、制御装置111による天候予測演算は、検出された大気圧値、当該大気圧値の振動の割合、及び当該大気圧値の変化率のパラメータに基づいて、分類された複数種類のうち、一の天候予測結果を決定する。例えば、制御装置111は天候予測演算に使用する所定のマップを記憶している。当該マップは、当該大気圧値の振動の割合が大きく2つに分類されており、この振動の割合の分類毎に大気圧値の変化率に関する不等式がさらに複数に分類され、当該変化率の分類毎にさらに大気圧値に関する不等式が割り当てられている。そして、当該マップに、大気圧値、当該振動の割合、及び当該変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の天候予測結果を決定することができる。本実施形態では、天候予測結果は、「晴」、「曇」、「雨」の3種類のうち、いずれかに決定される。また例えば、大気圧値としては演算に現在の検出値を使用し、当該振動の割合及び当該変化率としては4時間前から現在までの振動の割合及び変化率を使用するものである。
上記構成のハイブリッド蓄電システム100における深夜料金時間帯の蓄電運転の作動について図8、図9及び図10を参照して説明する。図8はハイブリッド蓄電システム100における蓄電運転の作動を示したフローチャートである。図9は図8に示すフローチャートにおける「翌日の発電量Eso算出ステップ(ステップ70A)」に関するサブルーチンである。図10は図9に示すサブルーチンにおけるステップ720で使用する「天候寄与度Kを決定するテーブル」である。
図8に示す各ステップは、制御装置111によって実行される。まず、ステップ10では、最初の大気圧データの保存を行う場合は、現在時刻が19時から深夜料金時間帯内であるか否か、つまり、19時から翌日の7時までの時間帯であるか否かが判定される。そして、19時から深夜料金時間帯内であれば(YES)、ステップ20に進み、記憶手段への大気圧データの保存を実行する。ステップ10でNOと判定するとステップ30に進む。
次にステップ30では、最初の演算である場合は現在時刻が深夜料金時間帯であるか否かが判定される。そして、深夜料金時間帯であれば(YES)、ステップ40に進み、深夜料金時間帯でなければ(NO)、ステップ10に戻る。ステップ40では、現在時刻から4時間前までの全体の気圧データを記憶手段から読み込む処理を実行する。なお、ステップ40は、ここでは4時間という時間幅であるが、これに限定するものではなく、予め定めた時間幅の全大気圧データを読み込むステップである。
次にステップ50では、天候予測値の算出を実行する。このステップ50は、ステップ40で読み込んだ所定期間の過去の大気圧データを用いて天候予測結果を算出する天候予測演算ステップである。この天候予測演算は、前述したマップに、大気圧値、大気圧値の振動の割合、及び大気圧値の変化率の各パラメータを当てはめることにより、一の天候予測結果として、「晴」、「曇」、「雨」のいずれかを決定できる。そして、天候予測値は、「晴」に決定した場合は1、「曇」に決定した場合は2、「雨」に決定した場合は3としてそれぞれ出力される。
次にステップ60Aでは、記憶手段に記憶されている過去の発電量を読み込む処理を実行する。なお、ステップ60Aで読み込まれる発電量実績は、過去の予め定めた日数分の実績(例えば7日分の実績)である。ステップ70Aで使用する発電量実績Emaxは、例えば、所定日数分の実績の中から発電量が多い日の1番目と2番目の平均値を算出して採用する。各日の実績は、例えば、当該日における発電量の経時変化のグラフから、1日のトータル発電量を積算によって算出する。また、1日の発電量は、当該グラフにおける所定時間帯の発電量の変化率に基づいて算出してもよいし、日照時間における発電量の最大値と最小値の差に基づいて算出してもよい。
そしてステップ70Aでは、ステップ50で算出された天候予測値とステップ60Aで読み込まれた過去の発電量実績とを用いて翌日の発電量Esoを算出する。このステップ70Aは、天候予測結果を用いて、蓄電池114で昼間に蓄電されうる蓄電量の予測量を算出する予測発電量演算ステップである。予測発電量演算ステップでは、ステップ50で求めた天候予測値(上記の「1」、「2」、「3」のいずれか)が予測発電量の算出結果に与える天候寄与度を可変させる天候寄与度可変処理を実行して、翌日の発電量Esoを決定する。
翌日の発電量Esoは、図9に示すサブルーチン及び図10のテーブルにしたがって算出される。図9に示すようにステップ710で運転モードを読み込む。この運転モードは、自動運転が設定されている場合に所定の制御プログラムによる演算結果から得られる運転モード、ユーザーが操作盤113の各種スイッチを操作することにより手動設定される運転モード、各種スイッチの操作によって詳細な運転条件が手動設定される運転モード等である。
ここでは、一例として図10に示す各種運転モードを参照して説明する。自動設定または手動設定が可能な当該各種運転モードは、「おまかせ」、「深夜のみ(深夜時間帯のみで蓄電池114に蓄電するモード)」、「満タン(蓄電池114の蓄電量を満タンにするモード)」である。さらに、手動設定可能な詳細な運転条件として蓄電池114内に確保する最低逐電量を設定できる。「おまかせモード」では、さらに最低蓄電量を「控えめ」、「中」、「多め」に設定でき、「深夜のみモード」では、さらに最低蓄電量を「控えめ」、「多め」に設定できるようになっている。例えば、「おまかせ」かつ「控えめ」ならば、予測発電量の結果が大きくなるように天候寄与度Kを大きく決定することで、深夜料金時間帯の蓄電量を小さく算出し、できるだけ経済的に使用したいユーザー向けのモードになる。また、「おまかせ」かつ「中」または「多め」ならば、予測発電量の結果が小さくなるように天候寄与度Kを小さく決定することで、深夜料金時間帯の蓄電量を大きく算出し、経済的でなくても充電切れを起こしたくなく、さらに昼間時間帯の系統電力170を蓄電する蓄電運転を防止してランニングコストの上昇を避ける安全モードになる。
次に、ステップ720で、自動設定または手動設定された運転モード及び天候予測結果に応じた天候寄与度Kを決定する。この天候寄与度Kは、予め記憶されている図10に示すテーブルにしたがって決定される。例えば、「おまかせ」かつ「控えめ」の運転条件である場合には、天候予測結果が「晴」、「曇」、「雨」についてα1,β1,0がそれぞれ決定される。同様に、「おまかせ」かつ「中」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα2,β2,0がそれぞれ決定される。同様に、「おまかせ」かつ「多め」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα3,β3,0がそれぞれ決定される。また「深夜のみ」かつ「控えめ」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα4,β4,0がそれぞれ決定される。同様に、「深夜のみ」かつ「多め」の運転条件の場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα5,β5,0がそれぞれ決定される。また、例えば、「満タン」の運転条件である場合には、「晴」、「曇」、「雨」についてα6,β6,0がそれぞれ決定される。
各αは、同じ運転条件の各βよりも大きい値であり、天候寄与度Kが大きく設定される。「雨」の場合は、天候寄与度Kはゼロであるので、下記の式2から予測発電量Esoもゼロになる。「晴」の場合のαは、α1が1.0であり、α1>α2>α3、α4>α5の大小関係となっており、α6は最も小さい値である。したがって、天候寄与度Kは、運転条件が「満タン」のときが最も小さく決定されて予測発電量Esoも小さくなる。同様に「曇」の場合のβは、β1>β2>β3、β4>β5の大小関係となっており、β6は最も小さい値である。したがって、天候寄与度Kは、運転条件が「満タン」のときが最も小さく決定されて予測発電量Esoも小さくなる。
次に、ステップ730Aでは、翌日の発電量である予測発電量Esoを算出し、サブルーチンを終了する。予測発電量Esoは次の式2により算出する。
Eso=Emax × K …(式2)
Emaxはステップ60Aで読み込んだ発電量実績であり、Kはステップ720で決定した天候寄与度である。
次にステップ80A,100Aで、深夜料金時間帯に実施する蓄電運転の制御に必要なパラメータを算出する。ステップ80Aでは前述した蓄電量を算出し、ステップ100Aでは蓄電運転の開始時刻を算出する。また、蓄電運転の開始時刻は、目標とする蓄電量を達成するように蓄電池114を満タンにするために必要な運転時間を算出し、この必要な運転時間が深夜料金時間帯の終了時刻までに終了するように逆算することにより算出する。
そして、ステップ110Aで、現在時刻がステップ100で算出した蓄電運転開始時刻になったか否かを判定する。そして、蓄電運転開始時刻になったら(YES)、ステップ120Aに進み、ステップ80A,100Aで算出したパラメータを満たすように蓄電運転を実施する。
蓄電運転の開始時刻になっていなければ(NO)、ステップ10に戻り、蓄電運転開始時刻になるまで以降のステップを実行する。ハイブリッド蓄電システム100が実行するフローチャートによれば、深夜料金時間帯に入ってから1回の演算処理で蓄電運転開始時刻に突入することはない。したがって、2回目の演算処理を行うべく、必ずステップ110Aからステップ10に戻ることになる。そして、ステップ10では、現在時刻が19時から深夜料金時間帯内であるか否か、かつ前回の大気圧データの保存から第1の所定時間が経過しているか否かの2つの条件を判定する。そして、この両方の条件がYESである場合には、ステップ20に進み、大気圧データを記憶手段に再度保存する処理を実行する。
さらにステップ30では、現在時刻が深夜料金時間帯か否か、かつ前回の天候予測演算ステップ(S50)及び予測発電量演算ステップ(S70A)の演算から第2の所定時間が経過しているか否かの2つの条件を判定する。ステップ30で、第2の所定時間が経過していない場合(NO)は、ステップ10に戻り、ステップ30でYESと判定するまでこのループの各ステップを繰返し実行する。ステップ30で、両方の条件がYESと判定した場合には、ステップ40に進み、以降のステップ110Aまでの各ステップを実行して、2回目の演算を行い、蓄電量等のパラメータが更新される。さらに、ステップ110Aでまだ蓄電運転の開始時刻に達していないと判定すると、再度ステップ10に戻り、3回目以降の演算処理を実施するルートに入ることになる。
このように、本フローチャートによれば、ハイブリッド蓄電システム100は深夜料金時間帯の蓄電運転の開始までに、複数回の天候予測演算ステップ(S50)及び予測発電量演算ステップ(S70A)を行い、蓄電量等のパラメータを複数回更新する。
本実施形態のハイブリッド蓄電システム100がもたらす作用効果を以下に述べる。ハイブリッド蓄電システム100の制御装置111は、天候予測結果を算出する天候予測演算ステップ(S50)と、天候予測結果を用いて予測発電量(翌日の発電量Eso)を算出する予測発電量演算ステップ(S70A)と、を実行する。さらに制御装置111は、天候予測演算ステップ(S50)で算出された天候予測結果が予測発電量演算ステップ(S70A)での予測発電量の算出に与える天候寄与度Kを可変させる天候寄与度可変処理を実行して、蓄電池114の蓄電量及び蓄電池114により蓄電される蓄電量では不足する分の深夜料金時間帯での蓄電量を求める。
天候予測結果を用いて翌日の発電量を算出するハイブリッドシステムにおいては、天候予測は必ずしも高い確率で的中するわけではないため、以下のような不具合が生じうる。具体的には、天候予測結果が「雨」で、実際が「晴」であった場合には、深夜料金時間帯に実施する蓄電池114への蓄電量が過大になり、蓄電池114内の残存電力量が多く、太陽光エネルギーの蓄電が不要なため、自然エネルギーの利用効率が低下することになる。また、天候予測結果が「晴」で、実際が「雨」であった場合には、実際に昼間の蓄電量が予測量よりも大きく不足し、深夜料金時間帯に実施する蓄電池114への蓄電量が不足するようになるため、充電量が不足して充電切れが生じ易く、後で昼間の系統電力170を利用した蓄電運転が必要になり、ランニングコストが上昇することになる。また、ユーザーの好みや習慣により、午前中や昼間に大量の電力量を使用する場合には、電池切れが生じやすくなる。
そこで、ハイブリッド蓄電システム100によれば、太陽光から得られる発電量の予測に対して天候予測結果が与える影響度合いとしての天候寄与度Kを可変させる天候寄与度可変処理を実行する。この天候寄与度可変処理の実行により、算出された天候予測結果をそのまま予測発電量(翌日の発電量Eso)の算出に反映させるのではなく、天候予測結果の的中率に応じて起こり得る予測発電量に対する実際の発電量の過不足状態、ユーザーの使用頻度を検出して自動により設定される運転モード、ユーザーの積極的な手動操作によって決まる運転モード等に適合した天候寄与度Kを決定することができる。換言すれば、夜間の蓄電量を求める式の中で重要なパラメータの一つである翌日の発電量Esoについて、従来固定値だった天候係数を1日の使用電力量や担保電力量の大小によって可変できるようにしたのである。
このように自動または手動で設定される運転条件によって変更可能に決定される天候寄与度Kによって、深夜料金時間帯の安価な電気料金を活用した無駄の少ない蓄電運転を実施することができ、充電切れ等の不具合にも対策することができる。したがって、実際の天候に対して天候予測結果が外れた場合、ユーザー特有の使用形態がある場合等に適切に対応し得るエネルギー蓄えを可能にするハイブリッド蓄電システム100を提供できる。
また、制御装置111は、蓄電池114の蓄電量を使用して電気機器への電力供給を行うときに自動または手動設定で実行される運転モードに応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する(ステップ720)。この処理によれば、運転モードに適合した天候寄与度可変処理を行うことにより、自動または手動によって設定された運転モードに対して適切な天候寄与度Kの設定を可能とする。したがって、各種の運転モードの違いに適合する運転形態を満足した蓄電量が得られる蓄電運転を実施できる。
また、制御装置111は、蓄電池114の蓄電量を使用して電気機器への電力供給を行う場合に制御される蓄電池114に確保する最低蓄電量に応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、ユーザーの過去の使用実績に基づいた最低限確保されるべき蓄電量、ユーザーの積極的な設定操作によって決定された最低蓄電量等に適合した天候寄与度を決定することができ、ユーザーの使用電力量に適した経済的な蓄電運転を実施できる。
また、ユーザーが運転動作を設定できる操作盤113をさらに備え、制御装置111は操作盤113によって手動設定された運転条件に応じて、天候寄与度可変処理における天候寄与度Kを決定する。この処理によれば、ユーザーによって手動で設定された各種の運転条件に適合する天候寄与度可変処理を行うことにより、当該各種の運転条件に対して適切な天候寄与度Kの設定を可能にする。したがって、ユーザー特有の使い方や好みに応える蓄電量を確保できる蓄電運転を実施できるのである。
また、制御装置111は、予測発電量演算ステップ(S70)において予測発電量を算出するために用いる過去の発電量実績は、過去の所定期間(例えば過去7日間)における発電量実績を発電量の大きさによって順位づけし、予め複数定めた所定順位の発電量実績(例えば、発電量実績を発電量の大きい順に並べた1番目と2番目)を平均した値が用いられる。
この処理によれば、予測発電量Esoの算出に用いられる過去の発電量実績を過去実績値のばらつきを考慮した演算によって求めることができる。したがって、天候不順、天候変動等に伴う過去の発電量の変動、システム設置場所の天候に係る固有の地域性及び季節性等に対応しうる発電量の予測精度を確保することができる。また、上記の手法によれば、複雑な演算でない比較的簡単化した演算によって当該予測精度を確保することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第4実施形態に対してフローチャートにおけるステップ70Aのサブルーチンが異なる実施形態である。図11は、「翌日の発電量Eso算出ステップ(ステップ70A)」に関するサブルーチンである。なお、第5実施形態のフローチャートは、以下に説明するステップ以外の各ステップは第4実施形態のフローチャートと同様であり、その作用効果も同様である。
図11に示すように、ステップ70Aの「翌日の発電量Eso算出ステップ」では、まずステップ700Aで過去の発電量の実績を算出する。この発電量の実績は、第4実施形態で上述した通りであるが、本実施形態では例えば30日分の過去実績を算出する。次にステップ702Aで、ステップ700Aの発電量実績に基づく天候実績を算出する。この天候実績の算出は、例えば、30日分の各1日当たりの発電量を所定の基準値に対して比較することにより、各日の天候を「晴」、「曇」、「雨」のいずれかに決定し、これを発電量実績に基づく天候実績として決定する。
さらにステップ704では、ステップ702Aで算出した30日分の天候実績を当該日の天候予測値と比較し、天候予測結果が的中したか否かに応じて、的中ポイントを決定する。例えば、天候予測値と天候実績が一致する場合は、1ポイントとする。天候予測値が「晴」で天候実績が「曇」の場合は0.5ポイント、天候予測値が「晴」で天候実績が「雨」の場合は0ポイントとする。これらの場合は、天候予測値が発電量の不足する方向に外れていることになり、天候予測値に基づいた蓄電運転を実施した場合、蓄電池114の残存電力量が実際の使用時に不足して充電切れを起こす可能性がある。
また、天候予測値が「雨」で天候実績が「曇」の場合は0.5ポイント、天候予測値が「雨」で天候実績が「晴」の場合は0ポイントとする。これらの場合は、天候予測値が発電量の過剰方向に外れていることになり、天候予測値に基づいた蓄電運転を実施した場合、蓄電池114の残存電力量が実際の使用時に無駄に余る可能性がある。以上のようにステップ704は、天候予測演算ステップ(S50)により過去に算出された天候予測結果と算出された過去の天候実績とを比較した天候予測精度を算出するステップである。
次にステップ706Aで、過去の天候予測値が、発電量が不足する方向に外れているか否かを判定する。そして、ステップ706Aの判定がYESであれば、ステップ720Cに進み、天候寄与度可変処理を実行し、翌日の発電量が増加する方向に天候寄与度Kを決定する。次に、ステップ730Aでは、ステップ720Cで可変された天候寄与度Kを用いて、上記の式2によって翌日の発電量である予測発電量Esoを算出し、サブルーチンを終了する。
一方、ステップ706AでNOと判定するとステップ708Aに進み、過去の天候予測値が、発電量が過剰な方向に外れているか否かを判定する。そして、ステップ708Aの判定がYESであれば、ステップ720Dに進み、天候寄与度可変処理を実行し、翌日の発電量が減少する方向に天候寄与度Kを決定する。次に、ステップ730Aでは、ステップ720Dで可変された天候寄与度Kを用いて、上記の式2によって翌日の発電量である予測発電量Esoを算出し、サブルーチンを終了する。ステップ708Aの判定がNOであれば、第4実施形態のステップ710及びステップ720にしたがって天候寄与度Kを決定し、ステップ730Aで予測発電量Esoを算出する。このように求められた予測発電量Esoは、後のステップ80A,100Aで採用されることになる。
本実施形態によると、制御装置111は、過去の発電量実績を用いて過去の天候を算出し(S702A)、天候予測演算ステップにより過去に算出された天候予測結果と算出された過去の天候とを比較した天候予測精度を算出し(S704)、当該天候予測精度に基づいて天候寄与度Kを決定する(S720C,S720D)。
この制御によれば、過去の天候予測結果と過去の天候とを比較した結果により過去の天候予測結果の予測精度を算出し、この予測精度を天候寄与度Kの決定に活用するため、ハイブリッド蓄電システム100の予測発電量演算を適正に見直すフィードバック機能を構築することができる。これにより、ハイブリッド蓄電システム100の設置環境、設置場所の天候に係る固有の地域性及び季節性等に適した予測発電量を算出するための適正化処理が行われ、結果的に予測発電量Esoの精度を向上することができる。したがって、蓄電運転の精度及び効率をさらに向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、天候予測演算ステップにおいて、所定期間内の大気圧データを用いて天候予測を行っているが、この形態に限定するものではない。例えば、当該大気圧データの他、過去の集熱量の実績値または過去の発電量の実績値に応じて天候を予測するようにしてもよい。
上記実施形態では、大気圧センサを用いて天候予測を実施しているが、インターネットに接続する接続手段を設け、インターネット上から気象庁等による天候予測を取得し、これを天候予測値に換算して使用するようにしてもよい。
上記実施形態において、集熱器用循環回路9を循環する太陽熱温水(熱媒体)の流量は、流量センサ40から制御装置5に入力される検出信号によって求めている。当該流量を求める方法は、他の方法であってもよい。例えば、熱交換器8を流れる熱媒体の流量は、熱交換器8の熱交換前後の温度差と、所定時間にタンク3内に蓄えられる増加熱量とを用いて算出してもよい。
具体的には、太陽熱集熱器4によって加熱された熱媒体の熱がタンク3内の流体に供給されている集熱動作中の所定時間に、タンクサーミスタ31〜37の検出値からタンク3内の流体に蓄えられる増加熱量(Q2−Q1)を算出するとともに、集熱器サーミスタ20による検出値と熱交換後サーミスタ21による検出値との差から求める熱交換前後の温度差(T20−T21)を積算する。そして、増加熱量の算出値と熱交換前後の温度差の積算値とを用いて熱交換器8を流れた熱媒体流量を算出する。
熱媒体の流量Fは次の式3により算出する。
F=(Q2−Q1)/Σ(T20−T21) …(式3)
(Q2−Q1)は所定時間の間に増加したタンク熱量であり、Σ(T20−T21)は、当該所定時間の間に検出した熱交換前後の温度差を積算した値である。
この方法によれば、熱交換前後の温度差を検出する検出装置と、タンクに蓄えられる熱量を求めるための既設のタンクサーミスタ31〜37とを活用することによって、タンク3内に太陽熱を輸送する熱媒体の流量Fを求めることができるのである。したがって、熱媒体の流量検出用の流量センサ40を必要としなくても、当該流量を求められる太陽熱利用のハイブリッド給湯装置を提供できる。
上記実施形態において説明する各運転モード及び各運転条件は、リモートコントローラ10に設けられ、直感的に分かりやすい所定の名称が付されたボタンをユーザーが操作することにより設定されるようにしてもよい。