JP5375322B2 - 充電装置 - Google Patents

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Description

本発明は電動工具用のリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池(以下ニカド電池と称する)等を充電するための充電装置に関するものである。
従来、補助電源回路を排し、単一の電源回路のみで充電用の電力と制御系用の電力を補う1電源方式充電装置が提案されている。このような充電装置においては、補助電源回路を排したことにより低コストで充電装置を構成できる。また、充電を行っていない充電待機中は、制御系を駆動するための定電圧回路へ電力を供給する補助巻線の出力電圧を制御系が駆動するために最低限必要なレベルまで抑制するため、充電ラインの電圧を電池電圧より低く抑えることができ低消費である。また、この制御方式により充電装置と電池とを接続するときに発生する突入電流を無くすことができ、リレー等の接続手段の破損率を大幅に低減できる。
このような1電源方式充電装置は、充電を行っているときと、充電待機中とで、スイッチング制御回路へ電力を供給する補助巻線に出力される電圧が大きく変動するため、2電源方式に比べると、電源としての安定度はやや劣る。特に充電を行っているときの定格出力時においては、補助巻線に出力される電圧が上昇し、電源装置から給電線路に伝播するノイズが発生し易くなる。また、充電装置の定格出力を大きくしようとした場合もノイズが発生し易くなるため、適正なノイズ対策が必要になる。
一般に、充電装置のような電源装置においては、電力のスイッチングに起因して発生するノイズ(雑音または電磁妨害波)の伝播を抑制または防止することが要求される。
電源装置から発生したノイズは、その電源装置に接続された給電線路に伝播し、他の給電線路に接続されるラジオ、テレビなど他の電気機器または電子機器に電磁妨害波として支障を及ぼすことが知られている。従って、このノイズに対し、国際規格であるCISPR Publication14(国際無線障害特別委員会)において規制値が定められている。
一般に、給電線路へ伝播するノイズの基本的な低減手段として、特許文献1図1の電源装置のごとく、コモンモードフィルタとして一対のチョークコイルを含むコモンモードチョークコイルとコンデンサを給電線路に挿入したり、他に特性の異なるコモンモードフィルタを更に一段追加し、広帯域のフィルタを構成する手段などがある。
他に、ノイズ低減をする手段の代表例として、図2に示すようにコンデンサと抵抗を直列接続して構成されるCRアブソーバ13を、スイッチング素子9の電力スイッチング端子間(例えば、FETのドレイン、ソース間)に接続し、スイッチング素子9のターンオフ時に発生するサージ電圧を抑制することにより、ノイズを低減する手段がある。
ノイズの発生原因としては様々だが、一つの例として、装置の基準電位の脈動が挙げられる。例えば、一般に、携帯用電動工具の電池を充電する充電装置は携帯性が重視されていて、接地端子は備えられないため、充電装置の基板グランドは大地に接地されない。そのため、充電装置は、基板グランドが接地電位に対して浮いた状態で使用される。一般に、基板グランドが大地に接地されない充電装置には、電源トランスの一次側基準電位点と二次側基準電位点との間にコンデンサが設けられ、充電装置の基板と大地との間の電位差が低減され、充電装置の動作の安定性がある程度確保されている。ただし、電源トランスの一次側から見た二次側の基準電位は直流的には浮いた状態であるため、その波形は、商用交流電源の周波数と充電装置のスイッチング周波数に基づき、一次側基準電位を基準に脈動する。
特開2008―178278
前述のコモンモードチョークコイルは、電磁妨害波対策用素子として一般的に使用されているものであるが、ノイズ除去の機能と同時に、商用電源の給電線路の一部を構成するものであるので、巻線を数十回から数百回巻き込まれた中空ボビンにフェライトコアを通して形成した構造となる。例えば、コモンモードチョークコイルは、ノイズ除去のために5mH以上のインダクタンスを必要とし、かつ充電装置の定格出力が70W以上である場合、要求されるインダクタンス値と定格電流値を実現し、かつ、コイルの温度上昇を規格値以下に適合させるために、約4mm×20mm×15mmのサイズの中空フェライトコアと、導体断面積0.13mm2のリード線を巻き込んだ直径15mm幅15mmの中空ボビンが必要であり、プリント基板上におけるコモンモードチョークコイルの占有スペースは、約15mm×20mmとなる。但し、装置のノイズレベルによって、上記のサイズより更に大型のコモンモードチョークコイルを使用したり、コモンモードチョークコイルを更に一段追加使用しなければならなくなる場合もある。
しかし、コモンモードチョークコイルを大型化したり、多段化すれば、装置は大型化し、更に、そのコストも高くなるという問題がある。
また、前述のCRアブソーバは、スイッチング素子のスイッチングロスを増大させる問題がある。そのためスイッチング素子の発熱が高まり、その分、スイッチング素子に装着される放熱器のサイズは大きくなり、そのコストも高くなるという問題がある。
従って、本発明の目的は、ノイズ除去用部材にかかるコストを低減し、かつノイズ電圧レベル(電磁妨害波端子電圧レベル)を低減し、また、電源部のスイッチングロスを低減し、放熱器にかかるコストを低減させた充電装置を提供することにある。
上記した目的は、携帯用電動工具の電池を充電するための充電装置であって、商用交流電源を整流平滑した直流電圧が入力される一次側主巻線と、前記電池への充電電力を出力する二次側主巻線と、前記充電装置の主電力を制御するスイッチング制御回路への電力を出力する一次側補助巻線と、前記充電装置の動作を制御する二次側制御回路への電力を出力する二次側補助巻線とで構成される単一のトランスと、少なくとも一つのコンデンサと少なくとも一つの抵抗を直列に接続して構成されるノイズ抑制回路とを有し、該ノイズ抑制回路を前記一次側補助巻線の正極側と前記二次側主巻線の負極側との間に接続したことを特徴とする充電装置により解決することができる。
本発明によれば、ノイズ除去用部材としてコンデンサと抵抗を追加するのみで、コモンモードチョークコイルを大型化または多段化せずに、ノイズレベルを抑制できる。すなわち、ノイズ除去用部材にかかるコストを低減し、かつノイズレベルを低減した充電装置を提供できる。
また、本発明によれば、CRアブソーバを用いずとも、十分なノイズ低減効果を得られるため、CRアブソーバを無くすことができ、CRアブソーバにより発生するスイッチングロスが無くなり、スイッチング素子に装着される放熱器を小型化または無くすことができる。すなわち、電源部のスイッチングロスを低減し、放熱器にかかるコストを低減させた充電装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る充電装置の電源部を示す回路図である。 従来の充電装置の電源部の一例を示す回路図である。 本発明の一実施形態に係る充電装置の妨害波雑音端子電圧の周波数特性を示す特性図である。 本発明の一実施形態に係る充電装置と電池を示す回路図である。 本発明の一実施形態に係る充電装置における、一次側基準電位点G1から見た二次側基準電位点G2の電位変動を示す波形図である。 本発明の一実施形態に係る充電装置における、一次側基準電位点G1から見た二次側基準電位点G2の電位変動を示す波形の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図5を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
図1は本発明の一実施形態に係る充電装置の電源部を示す回路図である。この電源部は、トランス2、コモンモードフィルタ3、整流平滑回路4、5、6、7、スイッチング制御回路8、スイッチング素子9、回路安定化用コンデンサ10、11、ノイズ抑制回路12、定電圧回路14、及びノイズ除去用コンデンサ31、32よりなる単一のスイッチング電源である。
トランス2は、商用電源1から供給される電力が入力される一次側主巻線2aと、電池を充電するための電力を出力する二次側主巻線2bと、スイッチング制御回路へ電力を出力する一次側補助巻線2cと、二次側の制御回路へ電力を出力する二次側補助巻線2dを有する。
コモンモードフィルタ3は、コモンモードチョークコイルとコンデンサにより構成され、電源部から給電線路に伝播するノイズ(電磁妨害波)を低減する。
整流平滑回路4は、ダイオードブリッジとコンデンサにより構成され、商用電源1から供給される交流電圧を直流へと整流平滑する。
整流平滑回路5は、ダイオードとコンデンサにより構成され、一次側補助巻線2cに誘起される電圧を直流へと整流平滑し、スイッチング制御回路8を駆動するための電圧を出力する。
整流平滑回路6は、ダイオードとコンデンサにより構成され、二次側主巻線2bに誘起される電圧を直流へと整流平滑し、電池を充電するための電圧を出力する。
整流平滑回路7は、ダイオードとコンデンサにより構成され、二次側補助巻線2dに誘起される電圧を直流へと整流平滑し、装置の動作を制御する図示していない二次側制御回路を駆動するための電圧を出力する。
スイッチング制御回路8は、図示していない二次側制御回路からのフィードバック信号に基づき、スイッチング素子9を駆動せしめるPWM制御された信号を出力する。
スイッチング素子9は、スイッチング制御回路8からのPWM信号に基づき駆動し、一次側主巻線2aに印加される電圧をスイッチングする。
定電圧回路14は、整流平滑回路7から出力される直流電圧を所定の電圧に変換し、二次側制御回路に電力を供給する。
回路安定化用コンデンサ10、11は、一次側の基準電位に対する、二次側の基準電位を安定化し、制御回路の誤動作を防止する。
ノイズ除去用コンデンサ31、32は、一般に30MHz〜300MHzの周波数帯におけるノイズを低減させる。
ノイズ抑制回路12は、本発明に従って、コンデンサ12a、12b、抵抗12cを直列に接続し構成され、一次側補助巻線2cの正極側と二次側基準電位点G2との間に接続されることにより、一次側の基準電位に対する、二次側の基準電位を更に安定化させ、0.15MHz〜30MHzの周波数帯におけるノイズを低減させる。
コンデンサ12a、12bの種類として、国際規格で認定されたセラミックコンデンサが選択される。容量として、コンデンサ10、11の合成容量とコンデンサ12a、12bの合成容量をより近い容量にすることで、より高いノイズ低減効果が得られる。但し、コンデンサの容量をあまり大きくすると、コンデンサ12a、12b、10、11、31、32の合成容量に応じて、電源一次側から二次側へこれらのコンデンサを介して流れる漏れ電流が増加するため、国際規格で規定されている漏れ電流の限度を超えないレベルの容量が選択される。例えば、国際規格の規定値を満たしながら、十分なノイズ低減効果を得るために、コンデンサ12a、12b、10、11、31、32の合成容量が、3300pF程度になるように選択すればよい。
抵抗12cは、一次側補助巻線2cとコンデンサ12a、12bによって形成される共振周波数付近のノイズを低減する。抵抗12cの抵抗値としては、数十Ω〜数百Ωの範囲で実験的に選択すればよい。
図4は、本発明の一実施形態に係る充電装置と電池を示す回路図である。
充電装置100は、電源部として、図1で示した単一のスイッチング電源を有し、制御部として、マイクロコンピュータ(以下、マイコンとする)18、定電圧フィードバック回路19、定電流フィードバック回路20、充電電流検出抵抗21、フォトカプラ22、リレー駆動回路24、電池電圧検出回路25、電池温度検出回路26、過充電信号検出回路27、電池識別回路28及び電圧降下回路30を有する1電源方式充電装置である。
電池パック50は、充電装置100に装着されると、前記25乃至28の各回路及びマイコン18により状態をチェックされた後、リレー23と逆流阻止ダイオード29を介して電源部に接続され、充電されるように構成されている。
なお、充電装置100において、電池50の充電を行っていない充電待機中は、整流平滑回路7の出力電圧をフィードバック制御することにより、制御部が最低限動作可能なレベルまで電源出力を抑制し、かつ電圧降下回路30により整流平滑回路6の出力電圧を電池電圧より低い電圧に保持するように構成されている。
図4においても図1同様、ノイズ抑制回路12を一次側補助巻線2cの正極側と二次側基準電位点G2との間に接続しているが、ノイズ抑制回路12の二次側接続端は、基準電位点G2から充電電流検出抵抗21を介した電位点G3に接続されてもよい。この場合、同時に回路安定化用コンデンサ10、11、ノイズ除去用コンデンサ31、32の二次側接続端も電位点G3に接続した方がよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る充電装置のノイズ電圧レベル(電磁妨害波端子電圧レベル)の周波数特性を示す特性図である。特性曲線15は、国際規格で規定されたノイズ周波数帯の許容限度値を示す特性曲線、特性曲線16は、ノイズ制御回路12を設けた場合のノイズ電圧レベルを示す特性曲線、特性曲線17は、ノイズ制御回路12を設けない場合のノイズ電圧レベルを示す特性曲線である。ノイズ抑制回路12により、0.15MHz〜30MHzの周波数帯におけるノイズ電圧レベル(電磁妨害波端子電圧レベル)を低減でき、国際規格の規定値に対して、より低い電圧レベルに改善することができる。
図5は、本発明の一実施形態に係る充電装置において、一次側基準電位点G1から見た二次側基準電位点G2の電位変動を示す波形図である。波形(a)はノイズ抑制回路12を設けない場合の波形、波形(b)はノイズ抑制回路12を設けた場合の波形である。何れの電圧波形も商用交流電源周波数の周期とスイッチング周波数の周期に基づき振動している。ノイズ抑制回路12を設けない場合の波形(a)に比べ、ノイズ抑制回路12を設けた場合の波形(b)は電位変動の振れ幅が小さくなる。この理由について、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る充電装置において、一次側基準電位点G1から見た二次側基準電位点G2の電位変動を示す波形の拡大図である。波形(c)はコンデンサ10、11を設け、ノイズ抑制回路12を設けない場合の波形、波形(d)はコンデンサ10、11を設けずに、ノイズ抑制回路12を設けた場合の波形、波形(e)はコンデンサ10、11、ノイズ抑制回路12の何れも設けた場合の波形である。
波形(e)のごとく、波形(c)と波形(d)を打消し合わせることで、電位変動の振れ幅を小さくできる。
このことは、ノイズ抑制回路12により、一次側に対する二次側の基準電位が、より安定化されていることを示している。これにより、0.15MHz〜30MHzの周波数帯のノイズ電圧レベルは、より低電圧レベルに改善された。
図2は従来の充電装置の電源部の一例を示す回路図である。この回路において、スイッチング素子9の電力スイッチング端子間に、CRアブソーバ13を接続している。CRアブソーバ13の効果により、スイッチング素子9のターンオフ時に発生するサージ電圧は低減され、サージ電圧により発生するノイズは低減される。しかしながら、CRアブソーバ13により発生するスイッチングロスにより、スイッチング素子9の発熱が高まるため、その分、スイッチング素子9に装着される放熱器のサイズが大きくなる。これに対し、本発明に従えば、図1のノイズ抑制回路12によって、CRアブソーバ13を備えなくとも十分なノイズ低減効果が得られるため、CRアブソーバ13を無くすことができ、これによりスイッチングロスを低減でき、放熱器を小型化または無くすことができる。
以上の本発明によれば、ノイズ除去用部材としてコンデンサと抵抗を追加するのみで、コモンモードチョークコイルを大型化または多段化せずに、ノイズレベルを抑制できる。すなわち、ノイズ除去用部材にかかるコストを低減し、かつノイズレベルを低減した充電装置を提供できる。
また、本発明によれば、CRアブソーバを備えなくとも、十分なノイズ低減効果を得られるため、CRアブソーバにより発生するスイッチングロスを無くすことができ、スイッチング素子に装着される放熱器を小型化または無くすことができる。すなわち、電源部のスイッチングロスを低減し、放熱器にかかるコストを低減させた充電装置を提供できる。
1:交流電源 2:トランス 3:コモンモードフィルタ 4、5、6、7:整流平滑回路 8:スイッチング制御回路 9:スイッチング素子 10、11:回路安定化用コンデンサ 12:ノイズ抑制回路 13:CRアブソーバ 14:定電圧回路 18:マイコン 19:定電圧フィードバック回路 20:定電流フィードバック回路 21:充電電流検出抵抗 22:フォトカプラ 23:リレー 24:リレー駆動回路 25:電池電圧検出回路 26:電池温度検出回路 27:過充電信号検出回路 28:電池識別回路 29:逆流阻止ダイオード 30:電圧降下回路 31、32:ノイズ除去用コンデンサ 50:電池パック50 100:充電装置

Claims (1)

  1. 携帯用電動工具の電池を充電するための充電装置であって、
    商用交流電源を整流平滑した直流電圧が入力される一次側主巻線と、前記電池への充電電力を出力する二次側主巻線と、前記充電装置の主電力を制御するスイッチング制御回路への電力を出力する一次側補助巻線と、前記充電装置の動作を制御する二次側制御回路への電力を出力する二次側補助巻線とで構成される単一のトランスと、少なくとも一つのコンデンサと少なくとも一つの抵抗を直列に接続して構成されるノイズ抑制回路とを有し、該ノイズ抑制回路を前記一次側補助巻線の正極側と前記二次側主巻線の負極側との間に接続したことを特徴とする充電装置。
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