JP5375106B2 - 圧電素子及びそれを備える流体機器 - Google Patents

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本発明は、圧電素子に関し、詳細には、AgまたはCuを含有する電極を備える圧電素子及びそれを備える流体機器に関する。
従来、圧電セラミックを用いた圧電素子が提案されている。圧電素子には、安価であることが求められるため、内部電極の形成材料としては、安価なAgまたはAg合金が多く使用されている。しかしながら、Agはマイグレーションしやすい。このため、AgまたはAg合金により内部電極を形成した場合、Agのマイグレーションに起因して電極間が短絡してしまうおそれがある。
例えば、下記の特許文献1には、Ag/Pd合金からなる内部電極を有する圧電素子においてAgのマイグレーションを抑制する技術が提案されている。特許文献1では、プラス極側の電極からマイナス極側の電極へとAgイオンが移動することによりAgのマイグレーションが発生することに着目し、マイナス極側の電極はAg/Pd合金により形成する一方、プラス極側の電極にマイグレーションしにくいPtまたはPdからなる電極を用いることによりAgのマイグレーションを抑制する技術が提案されている。
特開平3−283581号公報
例えば電極に印加される電圧の極性が変化しない場合は、上記の特許文献1に記載の技術を用いることによりAgのマイグレーションを抑制することができる。しかしながら、例えば、圧電振動素子などのように、電極に印加される電圧の極性が変化する圧電素子においては、上記の特許文献1に記載の技術では、Agのマイグレーションを十分に抑制することが困難であった。例えば、第1の電極をAg合金により形成し、第2の電極をPtにより形成した場合、第2の電極に対して正の電圧が印加されている場合はマイグレーションを抑制できるものの、第1の電極に対して正の電圧が印加されている場合はマイグレーションを抑制することができなかった。
また、Ag以外の安価な導電材料としてはCuも挙げられるが、Cuを電極形成材料として用いた場合にも、Agを電極形成材料として用いた場合と同様に、マイグレーションを十分に抑制することが困難であった。
本発明の目的は、少なくとも一部の電極がAg、Cu、またはAg及びCuのうちの少なくとも一方を含む合金により形成されている圧電素子であって、電極に印加される電圧の極性が変化する場合にもマイグレーションが発生しにくい圧電素子を提供することにある。
本発明に係る圧電素子は、素子本体と、第1及び第2の外部電極とを備えている。素子本体は、複数の圧電体層と、複数の第1の対向電極と、複数の第2の対向電極とを有する。圧電体層は、圧電材料からなる。複数の圧電体層は、厚み方向に積層されている。複数の第1の対向電極及び複数の第2の対向電極とは、厚み方向において、圧電体層を介して互いに対向するように交互に配置されている。第1の外部電極には、複数の第1の対向電極が接続されている。第1の外部電極は、素子本体の表面に設けられている。第2の外部電極には、複数の第2の対向電極が接続されている。第2の外部電極は、素子本体の表面に設けられている。複数の第1及び第2の対向電極のうちの、最も外側に位置している最外層対向電極以外の対向電極は、AgまたはCuを主成分として含んでいる。最外層対向電極は、最外層対向電極以外の対向電極に主成分として含まれている導電材料よりもマイグレーションしにくい導電材料からなり、前記第1の外部電極には、第1の電圧(V1)が印加される一方、前記第2の外部電極には、前記第1の電圧(V1)よりも電圧値が低い第2の電圧(V2)と、前記第1の電圧(V1)よりも電圧値が高い第3の電圧(V3)とが選択的に印加される
例えば、最外層対向電極以外の対向電極がAgを主成分として含んでいる場合は、最外層対向電極の少なくとも一方は、Agよりもマイグレーションしにくい導電材料からなる。また、例えば、最外層対向電極以外の対向電極がCuを主成分として含んでいる場合は、最外層対向電極の少なくとも一方は、Cuよりもマイグレーションしにくい導電材料からなる。
なお、「第1の電圧(V1)よりも電圧値が低い第2の電圧(V2)」とは、「V1>V2」を意味し、V1の絶対値とV2の絶対値との大小関係は問われない。同様に、「第1の電圧(V1)よりも電圧値が高い第3の電圧(V3)」とは、「V1<V3」を意味し、V1の絶対値とV3の絶対値との大小関係は問われない。
本発明に係る圧電素子の他の特定の局面では、第3の電圧(V3)から第1の電圧(V1)を減算した値(V3−V1)が、第1の電圧(V1)から第2の電圧(V2)を減算した値(V1−V2)よりも大きい。この構成によれば、第1の対向電極の電位が第2の対向電極の電位よりも高く、第1の対向電極からのAgやCuのマイグレーションが発生し得るときにおける第1の対向電極と第2の対向電極との間の電圧を小さくすることができる。従って、マイグレーションの発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、V3−V1>V1−V2とすることにより、第1の対向電極の電位が第2の対向電極の電位よりも高い期間における、第1の対向電極から第2の対向電極側へのAgやCuの移動量よりも、第2の対向電極の電位が第1の対向電極の電位よりも高い期間における、第2の対向電極側から第1の対向電極側へのAgやCuの移動量を大きくすることができる。よって、第1の対向電極からマイグレーションしたAgやCuが第2の対向電極に至ることを効果的に抑制することができる。従って、第1の対向電極からのAgやCuのマイグレーションに起因する電極間の短絡を効果的に抑制することができる。
本発明に係る圧電素子の別の特定の局面では、第1の電圧(V1)は、0Vである。すなわち、第1の外部電極は、グラウンド電極に接続されている。この構成によれば、圧電素子の構成をシンプルにすることができる。
本発明に係る圧電素子のさらに他の特定の局面では、最外層対向電極以外の対向電極は、Agを主成分として含んでおり、最外層対向電極は、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはCu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金である。
本発明に係る圧電素子のさらに別の特定の局面では、最外層対向電極以外の対向電極は、Cuを主成分として含んでおり、最外層対向電極は、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはSn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金である。
本発明に係る圧電素子のまた他の特定の局面では、複数の第1及び第2の対向電極のうち、最外層対向電極以外の対向電極は、AgまたはAg/Pd合金により形成されている。
本発明に係る圧電素子のまた別の特定の局面では、圧電素子の変位方向が厚み方向である。この場合、マイグレーションの原因となるクラックが素子本体の表面に顕著に発生しやすいが、最外層対向電極がマイグレーションしにくい導電材料からなるため、マイグレーションの発生を効果的に抑制することができる。
本発明に係る流体機器は、上記本発明に係る圧電素子を備えている。
本発明のある特定の局面では、流体機器は、ポンプまたはバルブである。
本発明では、複数の第1及び第2の対向電極のうち、最外層対向電極以外の対向電極は、安価なAgやCuを主成分として含んでいるため、圧電素子のコストを低減でき、かつ、複数の第1及び第2の対向電極のうち、最も外側に位置している最外層対向電極は、最外層対向電極以外の対向電極に主成分として含まれている導電材料よりもマイグレーションしにくい導電材料からなるため、最外層部に位置する圧電体層にクラックが生じた場合であってもマイグレーションが発生しにくく、よって、電極間が短絡することを効果的に抑制することができる。
圧電素子の模式的断面図である。 図1におけるII部分を拡大した模式的断面図である。 圧電素子に印加する電圧のタイムチャートの一例である。 ポンプの模式的断面図である。 図4におけるV−V矢視図である。 バルブの模式的断面図である。 開状態のバルブの模式的断面図である。 閉状態のバルブの模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本実施形態に係る圧電素子の模式的断面図である。図1に示すように、圧電素子1は、素子本体10を備えている。本実施形態では、素子本体10は、略直方体状に形成されている。但し、本発明において、素子本体10の形状は特に限定されず、例えば、平面視形状が矩形、円形、楕円形または多角形である板状であってもよい。
素子本体10は、厚み方向zに積層されている複数の圧電体層11と、複数の第1の対向電極12aと、複数の第2の対向電極12bとを備えている。圧電体層11は、圧電セラミックなどの適宜の圧電材料により形成されている。圧電セラミックの具体例としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミックなどが挙げられる。
複数の第1の対向電極12aと複数の第2の対向電極12bとは、厚み方向zにおいて、圧電体層11を介して互いに対向するように交互に配置されている。
本実施形態では、第1の対向電極12aは、厚み方向zにおいて隣り合う圧電体層11の間に配置されている。第1の対向電極12aは、素子本体10の表面に露出していない。このため、第1の対向電極12aは、第1の内部電極を構成している。
一方、第2の対向電極12bには、厚み方向zにおいて隣り合う圧電体層11の間に配置されている第2の内部電極12b1と、素子本体10の表面に露出している第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3とが含まれる。
なお、本実施形態では、最外層対向電極12b2,12b3が素子本体10の表面に露出している例について説明した。但し、本発明に係る圧電素子は、この構成に限定されない。例えば、素子本体10の上に形成された最外層対向電極12b2,12b3の上に、樹脂や無機物等からなる保護層が形成されていてもよい。
素子本体10の第1の端面10aの上には、第1の外部電極13aが形成されている。上記の第1の対向電極12aは、この第1の外部電極13aに接続されている。一方、素子本体10の第2の端面10bの上には、第2の外部電極13bが形成されている。上記の第2の対向電極12bは、この第2の外部電極13bに接続されている。
本実施形態の圧電素子1は、これら第1及び第2の外部電極13a、13bに電圧が印加されることにより駆動される。詳細には、第1及び第2の外部電極13a、13bの間に、第1の外部電極13aの電圧の方が相対的に高くなるような電圧、または第1の外部電極13aの電圧の方が相対的に低くなるような電圧が選択的に印加されることによって圧電素子1は駆動される。
本実施形態では、素子本体10内に位置している第1の対向電極12aと第2の内部電極12b1とは、AgまたはCuを主成分として含んでいる。なお、「主成分として含む」とは、50重量%以上含むことを意味する。
圧電素子1をより低コストにする観点からは、第1の対向電極12aと第2の内部電極12b1とは、AgまたはCuを70重量%以上含むAg合金により形成されていることが好ましく、AgまたはCuにより形成されていることがさらに好ましい。Ag合金の具体例としては、例えば、Ag/Pd合金などが挙げられる。Cu合金の具体例としては、例えば、Cu/Ni合金などが挙げられる。
一方、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3の少なくとも一方は、第1の対向電極12aと第2の内部電極12b1とに主成分として含まれる導電材料よりもマイグレーションしにくい導電材料により形成されており、AgやCuを含んでいない。具体的には、第1の対向電極12aと第2の内部電極12b1とがAgを主成分として含む場合は、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3の少なくとも一方は、Agよりもマイグレーションしにくい導電材料により形成されている。また、第1の対向電極12aと第2の内部電極12b1とがCuを主成分として含む場合は、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3の少なくとも一方は、Cuよりもマイグレーションしにくい導電材料により形成されている。
Agよりもマイグレーションしにくい導電材料の具体例としては、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはCu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金などが挙げられる。また、Cuよりもマイグレーションしにくい導電材料の具体例としては、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはSn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金などが挙げられる。これらの導電材料の中でも、Fe、Pd及びPtは、マイグレーションしにくい。このため、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3は、Fe、Pd及びPtにより形成されていることがより好ましい。また、コストを低くする観点からは、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3は、安価であるCu/Ni合金により形成されていることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態では、第1及び第2の対向電極12a、12bのうち、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3を除く電極は、全て安価なAg若しくはAgを含む合金またはCu若しくはCuを含む合金により形成されている。従って、例えば上記の特許文献1に記載の圧電振動素子のように、一層おきに、高価なPtやPdからなる電極を配置した圧電振動素子と比較して、AgやCu以外の導電材料により形成される電極の数量を減らせるため、低コストな圧電素子1を実現することができる。
また、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3のうちの少なくとも一方がマイグレーションしにくい導電材料により形成されているため、以下に詳述する通り、マイグレーションの発生を効果的に抑制することができる。なお、より効果的にマイグレーションの発生を抑制する観点からは、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3の両方をマイグレーションしにくい導電材料により形成することが好ましい。
本発明者らが鋭意研究した結果、マイグレーションは、素子本体10の各所において同時に進行するのではなく、素子本体10の最外層部から進展したクラックを通じて進行することがわかった。具体的には、図2に示すように、圧電体層11のうち、最外層に位置する圧電体層11a、11bの第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3側の表層から内部に向かって発生したクラック14を通じてマイグレーションが進展する。このため、電極間の短絡は、第1または第2の最外層対向電極12b2,12b3からの電極材料のマイグレーションに起因して、第1または第2の最外層対向電極12b2,12b3と、その電極と圧電体層11a、11bを介して対向する第1の対向電極12a1,12a2との間で主として発生する。
ここで、本実施形態のように、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3をマイグレーションしにくい導電材料により形成している場合、圧電体層11a、11bにクラック14が生じても、第1及び第2の最外層対向電極12b2,12b3からの電極材料のマイグレーションが生じ難い。従って、電極間が短絡することを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態の圧電素子1は、例えば、図3に示すような電圧を印加することにより圧電素子1を圧電振動素子として機能させることができる。
図3に示す例においては、第1の対向電極12aに、第1の電圧(V1)として、0Vの電圧が印加される。すなわち、第1の対向電極12aはグラウンド電位に接続される。そして、第2の対向電極12bには、第1の電圧(V1)よりも電圧値が低い第2の電圧(V2)と、第1の電圧(V1)よりも電圧値が高い第3の電圧(V3)とが交互に印加される。詳細には、本実施形態では、第3の電圧(V3)から第1の電圧(V1)を減算した値(ΔV1=V3−V1)が、第1の電圧(V1)から第2の電圧(V2)を減算した値(ΔV2=V1−V2)よりも大きくされている(ΔV1>ΔV2)。このため、第1の対向電極12aの電位が第2の対向電極12bの電位よりも高く、第1の対向電極12aからのAgのマイグレーションが発生し得るときにおける第1の対向電極12aと第2の対向電極12bとの間の電圧を小さくすることができる。従って、マイグレーションの発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、ΔV1>ΔV2とすることにより、第1の対向電極12aの電位が第2の対向電極12bの電位よりも高い期間における、第1の対向電極12aから第2の対向電極12b側へのAgやCuの移動量よりも、第2の対向電極12bの電位が第1の対向電極12aの電位よりも高い期間における、第2の対向電極12b側から第1の対向電極12a側へのAgやCuの移動量を大きくすることができる。よって、第1の対向電極12aからマイグレーションしたAgやCuが第2の対向電極12bに至ることを効果的に抑制することができる。従って、第1の対向電極12aからのAgやCuのマイグレーションに起因する電極間の短絡を効果的に抑制することができる。
また、第1の対向電極12aに印加される第1の電圧(V1)を0Vとする場合、第1の対向電極12aをグラウンド電極に接続すればよく、従って、圧電素子1を容易に構成することができる。
本実施形態の圧電振動素子としての圧電素子1は、例えばポンプなどの流体機器に使用することができる。図4及び図5に圧電素子を使用したポンプの模式的断面図を示す。
図4及び図5に示すように、ポンプ15は、ケーシング16を備えている。ケーシング16の内部には、ポンプ室18が形成されている。ポンプ室18は、流路17によって、ケーシング16に取り付けられたイン側弁19aとアウト側弁19bとに接続されている。イン側弁19aは、一方弁であり、ポンプ室18への流体の流入を許容する一方、ポンプ室18からの流体の流出を規制する。アウト側弁19bも一方弁であり、ポンプ室18への液体の流入を規制する一方、ポンプ室18からの液体の流出を許容する。ケーシング16のポンプ室18に面する壁部16aの上には、上述の圧電素子1が貼付されている。この圧電素子1の振動に伴って壁部16aも振動する。それによりポンプ室18内の容積が変化する。ポンプ室18の容積が拡大すると、それに伴いイン側弁19aを介してポンプ室18内に流体が流入する。一方、ポンプ室18の容積が縮小すると、それに伴いアウト側弁19bを介してポンプ室18内の流体が吐出される。このように、圧電素子1の振動によりポンプ室18の容積の拡大及び縮小が繰り返されることによりポンプ15が駆動される。
なお、上述の圧電素子1は、例えば、バルブの弁体としても機能する。図6は、圧電素子を用いたバルブの模式的断面図である。図6に示すようにバルブ20は、ケーシング21を備えている。ケーシング21には、内部空間が形成されている。その内部空間には、端部がケーシング21によって固定されている弁体としての圧電素子1によって流路20aが形成されている。流路20aは、ケーシング21に形成されている開口20b、20cによって外部と接続されている。
図7に示すように、圧電素子1に所定の電圧が印加されることにより、圧電素子1が流路20aの流路面積を広げる側に変位する。これにより、開口20bと開口20cとが流路20aによって接続され、バルブ20が開状態となる。
一方、図8に示すように、圧電素子1に逆極性の電圧が印加されると、圧電素子1が流路20aの流路面積を狭める側に変位する。これにより、開口20bと開口20cとの間が切断され、バルブ20が閉状態となる。
(実施例)
本実施では、図1に示す形態の圧電素子を作製した。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミック粉末と溶媒と有機バインダーとを混合し、スラリーを作成した。そのスラリーを基板上に塗布し、乾燥させた後に打ち抜くことにより、厚さ30μmのセラミックシートを作製した。セラミックシートの上にAgが80重量%含有されたAg/Pd合金を含むペーストを印刷した。そのセラミックシートを10層積層し、プレスした後に、脱脂し、1000℃で焼成することにより、内部電極層数が9層で、圧電体層の厚みが15μmである焼結体を作製した。得られた焼成体を、30mm×4mmの小片となるようにカットし、Niを63重量%以上含み、Cuを30重量%含むモネル合金からなる最外層対向電極を焼成体の両面にスパッタ法により形成し、実施例に係る圧電素子を作製した。
(比較例)
本比較例では、最外層対向電極を、Agを80重量%含みPdを20重量%含むAg/Pd合金により形成したこと以外は、上記実施例と同様にして、圧電素子を作製した。
上記のように作製した実施例に係る圧電素子と比較例に係る圧電素子について、下記の条件で湿中駆動信頼性試験を行った。この試験では、5個のサンプルをそれぞれ200万回駆動した後にサンプルの絶縁抵抗が20%以上低下したサンプルの数を不良サンプル数としてカウントした。結果を下記の表1に示す。
雰囲気温度:60℃
雰囲気湿度:95%
第1の対向電極への印加電圧:0V
駆動周波数:15Hz
駆動回数:200万回
(条件1)バイアス電圧なし、第2の対向電極への印加電圧:6V、−6V
(条件2)バイアス電圧なし、第2の対向電極への印加電圧:4.5V、−4.5V
(条件3)バイアス電圧:1.5V、第2の対向電極への印加電圧:6V、−3V
Figure 0005375106
上記の表1に示すように、最外層対向電極をAg合金により形成した比較例では、半数以上が不良サンプルとなった。それに対して、最外層対向電極をAgよりもマイグレーションしにくい導電材料により形成した実施例では、不良サンプルは発生しなかった。この結果から、最外層対向電極をAgよりもマイグレーションしにくい導電材料により形成することにより、マイグレーションが効果的に抑制され、電極間の短絡を効果的に抑制できることがわかる。
また、比較例の(条件1)の結果と(条件2)の結果との比較から、駆動電圧を大きくする方がマイグレーションが発生しやすいことがわかる。さらに、比較例の(条件1)の結果と(条件3)の結果との比較から、正のバイアス電圧を印加することにより、マイグレーションを抑制でき、電極間の短絡を抑制できることがわかる。
さらに、追加実験として、上記実施例の圧電素子を上記(条件2)及び(条件3)で1000万回駆動した。その結果、(条件2)では不良サンプルが発生した。それに対して、(条件3)では、不良サンプルは発生しなかった。この結果からも、正のバイアス電圧を印加することにより、マイグレーションを抑制でき、電極間の短絡を抑制できることがわかる。
1…圧電素子
10…素子本体
10a…第1の端面
10b…第2の端面
11、11a、11b…圧電体層
12a…第1の対向電極
12b…第2の対向電極
12b1…第2の内部電極
12b2…第1の最外層対向電極
12b3…第2の最外層対向電極
13a…第1の外部電極
13b…第2の外部電極
14…クラック
15…ポンプ
16…ケーシング
16a…壁部
17…流路
18…ポンプ室
19a…イン側弁
19b…アウト側弁
20…バルブ
20a…流路
20b、20c…開口
21…ケーシング

Claims (9)

  1. 圧電材料からなり、厚み方向に積層されている複数の圧電体層と、前記厚み方向において、前記圧電体層を介して互いに対向するように交互に配置されている複数の第1の対向電極及び複数の第2の対向電極とを有する素子本体と、
    前記複数の第1の対向電極が接続されており、前記素子本体の表面に設けられている第1の外部電極と、
    前記複数の第2の対向電極が接続されており、前記素子本体の表面に設けられている第2の外部電極とを備え、
    前記複数の第1及び第2の対向電極のうちの、最も外側に位置している最外層対向電極以外の対向電極は、AgまたはCuを主成分として含んでおり、
    前記最外層対向電極は、前記最外層対向電極以外の対向電極に主成分として含まれている導電材料よりもマイグレーションしにくい導電材料からなり、前記第1の外部電極には、第1の電圧(V1)が印加される一方、前記第2の外部電極には、前記第1の電圧(V1)よりも電圧値が低い第2の電圧(V2)と、前記第1の電圧(V1)よりも電圧値が高い第3の電圧(V3)とが選択的に印加される、圧電素子。
  2. 前記第3の電圧(V3)から前記第1の電圧(V1)を減算した値(V3−V1)が、前記第1の電圧(V1)から前記第2の電圧(V2)を減算した値(V1−V2)よりも大きい、請求項に記載の圧電素子。
  3. 前記第1の電圧(V1)は、0Vである、請求項またはに記載の圧電素子。
  4. 前記最外層対向電極以外の対向電極は、Agを主成分として含んでおり、前記最外層対向電極は、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはCu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金である、請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電素子。
  5. 前記最外層対向電極以外の対向電極は、Cuを主成分として含んでおり、前記最外層対向電極は、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt、若しくはSn、Au、Ni,Fe、Pd及びPtのうちの少なくとも1種の金属を含む合金である、請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電素子。
  6. 前記複数の第1及び第2の対向電極のうち、前記最外層対向電極以外の対向電極は、AgまたはAg/Pd合金により形成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電素子。
  7. 前記圧電素子の変位方向が前記厚み方向である、請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電素子。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電素子を備える流体機器。
  9. ポンプまたはバルブである、請求項に記載の流体機器。
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