JP5374779B1 - 太陽電池及び、この太陽電池における酸化物層の形成方法、積層酸化物層の形成方法 - Google Patents

太陽電池及び、この太陽電池における酸化物層の形成方法、積層酸化物層の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン基板と銅を主体とする金属電極との間の相互拡散を抑止し、密着性を高め、オーミック接触特性を得ることのできる界面酸化物層を備えた太陽電池を提供する。
【解決手段】銅を主体とする電極10を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板1から成る太陽電池において、電極とシリコン基板1との界面に二種類の積層した非晶質構造の積層酸化物層101,102が存在し、積層酸化物層101,102の電気抵抗率を1MΩcm以下、含まれるシリコンの価数を+2または+3、厚さを2nm以上30nm以下とし、シリコン基板1に接する第一の酸化物層101はシリコンを含有する酸化物から成り、その原子濃度比がシリコンの1.0に対して酸素が1.3以上1.8以下であり、電極10に接する第二の酸化物層102は銅とマンガンを含有する酸化物から成り、その原子濃度比が銅の1.0に対してマンガンが0.5以上2.0以下である構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅を主体とする金属配線からなる太陽電池及び、この太陽電池における酸化物層の形成方法、積層酸化物層の形成方法に関する。
シリコンを基板とする太陽電池は一般に、集電電極として銀が用いられている。近年、銀の原料価格が高騰し、太陽電池全体の材料価格の2割以上を占めるに至っているため、原料価格の安い銅へ転換して低価格化する努力がなされている。
しかし、銅とシリコンとは相互拡散し、Cu3Siなどの銅シリサイドを形成することが知られる。また、銅はシリコン中に高速拡散し、シリコンのバンドギャップの深いエネルギー位置にアクセプター準位を形成することが知られる。これらの現象により、太陽電池特性が劣化するので、集電電極として銅を用いてシリコンを基板とする太陽電池を構成する場合、銅とシリコンの相互拡散を抑止するための拡散バリア層が必要となる。
また、銅とシリコンとは相互の仕事関数の差に起因して、界面の電気的接触特性がショットキー接触となり、高い接触抵抗を有する界面を形成する。このため、シリコンセルの内部で発生した電力を外部に取り出す際に、大きい電力ロスを伴う。この電力ロスを極力低減するには、界面の電気的接触特性がオーミック接触となることが必要である。一般に金属と半導体の接触特性は、電圧の対数と電流の対数が比例関係になり、比例係数が1のときにオーミック接触と定義されるので、比例係数が1に近く、接触抵抗が小さい値になることが好ましい。
このような条件を満たす界面層を形成するために、多くの研究がなされている。
例えば、非特許文献1(E. J. Lee et al., Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 74, pp. 65-70 (2002))によれば、シリコン基板上に無電解メッキ法によってニッケルを成膜し、その後の熱処理によってニッケルシリサイドを形成し、さらにその後に電界メッキ法によって銅を形成して電極としている。
非特許文献2(J.-H. Guo and J. E. Cotter, Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 86, pp. 485-498 (2005))も同様に、無電解メッキ法でニッケルを形成することを提案している。ここで得られるニッケルシリサイドはシリコン基板とオーミック接触を形成し、低い接触抵抗を有することが知られている。しかし、銅に対する拡散バリア性が不十分であることも周知の事実であり、シリコン基板からなる太陽電池に用いることが困難である。
非特許文献3(S. K. Matlow and E. L. Ralph, Solid-State Electronics, vol. 2, pp. 202-208 (1961))では、シリコン基板上に置換メッキ法によって金を成膜し、その後に電界メッキ法によって銅を形成して電極としている。ここでも界面電気特性はオーミック接触になるものの、銅とシリコンの相互拡散を抑止することはできない。
非特許文献4(J. Kang et al., Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 74, pp. 91-96 (2002))では、シリコン基板上に熱蒸着法によってチタン薄膜と銅薄膜の積層を形成し、その後に電界メッキ法によって銅の厚膜を形成して電極としている。しかし、チタンは銅と金属間化合物を形成して配線抵抗を徒に増加させるだけでなく、銅とシリコンの拡散バリア性能は不十分のままである。
特許文献1(特開2011−238903号公報)では、シリコン基板上にニッケルまたはコバルトを成膜して急速加熱することでシリサイド層を形成し、オーミック接触を得る。さらにNiP、CoP、CoWPのいずれかを形成して拡散バリア層とし、その後にCuを成膜することを提案している。しかし、ここで提案された拡散バリア層は、長期間の使用環境において十分な信頼性を有してはいない。
特許文献2(特開2012−60123号公報)では、シリコン基板上に蒸着法を用いて第一の金属膜としてアルミニウム(Al)を成膜し、さらに第二の金属膜としてチタンタングステン(TiW)を成膜して拡散バリア層としている。しかし、蒸着法は高価な真空装置を用いたプロセスであり、太陽電池の低価格化の要求を満足できない。さらに、Al/TiWは金属膜であるため組織が微細な柱状晶となり、多数の結晶粒界が存在して拡散経路となる。このため、拡散バリア性に関する十分な信頼性を有してはいない。
特許文献3(特開2004−266023号公報)では、シリコン基板上に蒸着法を用いてTi、Ni、Cr、Ptのいずれかを成膜して拡散バリア層とすることが提案されている。しかし、これらの金属膜も柱状晶組織を有するため適格ではない。
特許文献4(特表2006−523025号公報)では、Ti、W、Crのいずれかを成膜して拡散バリア層とすることが提案されている。しかし、これらの金属膜も柱状晶組織を有するため適格ではない。
上記のように、シリコンを基板とし、銅を集電電極とする太陽電池において、SiとCuの相互拡散を有効に抑止する拡散バリア層は実現していない。一方で、半導体集積回路(LSI)の多層配線における拡散バリア層として、マンガンとシリコンを含む酸化物がCuとSiO2の間の拡散バリア層として有効であることが報告されている。
例えば、非特許文献5(J. Koike and M. Wada, Applied Physics Letters, vol. 87, 041911 (2005))では、SiO2絶縁体層上にCu−Mn合金を蒸着し、熱処理によって界面に形成したMnSixyがCuとSiO2間の相互拡散に対して優れた拡散バリア性を有することが報告されている。
特許文献5(特開2005−277390号公報)では、Mnxy、MnxSiyz、Mnxyz、及びMnxyzからなる群から選択された材料を主成分とする拡散バリア層が提案され、Cuを主成分とする配線層と、Si、C、F、Oのいずれかから成る層間絶縁層との間の相互拡散を抑止する効果があるとしている。
特許文献6(特開2009−231739号公報)では、Cu合金中のMnがSiOC絶縁層と反応した結果、MnとCとHを含む酸化物が形成され、CuとSiOC間の相互拡散を抑止する効果があるとしている。
しかし、これらの報告は、絶縁性のSiO2およびSiOCなどの層とCuとの拡散バリア性に関しては優れた特性を有してはいるものの、Cu配線の周囲に絶縁層が存在するために下地のSi基板との電気的伝導性、すなわち良好なオーミック接触特性は得られないという課題がある。
これらの報告に対して、コンタクトプラグ構造を発明の対象とし、絶縁層を介することなく、シリコン基板とCuとの拡散バリア性と電気的伝導性を両立させることを試みた報告がある。
特許文献7(特開2011−61187号公報)では、高濃度ドープされたn型Si基板上にNiあるいはCoのシリサイドを形成してSi基板とのオーミック接触特性を実現し、さらにシリサイド上にMn酸化物を形成して拡散バリア層としての機能を付与したことが報告されている。しかし、シリサイドが均一な厚さで形成されないため、Si基板表面近傍のエミッター層を不均一に浸食し、太陽電池の性能が劣化するという問題がある。
特許文献8(特開2011−171334号公報)では、シリサイド表面に酸素プラズマ処理を施して酸化物を形成して界面密着性を改善するとともに、MnαSiβγとMnOxの積層酸化物を形成することにより、優れた拡散バリア性を得たことが報告されている。しかし、シリサイド表面に形成される酸化物は高抵抗であるため、その厚さを1.5nm以下、好ましくは1.0nm以下に限定する必要があり、太陽電池セルの全面積に均一な厚さで形成することができず、十分な拡散バリア性が得られないという課題を有する。
特許文献9(特開2010−98195号公報)では、シリコンへのオーミック接合が得られると共に、シリコン中への元素の拡散を抑制できる配線構造及びその製造方法として、シリコン層と、このシリコン層上に設けられるマンガンが添加された銅合金からなる下地層と、この下地層の上に設けられる銅層からなり、シリコン層および下地層を加熱することで、シリコン層と下地層との界面を含む領域でMnを濃化し、拡散バリア層を形成した例が報告されている。この報告においても、界面において酸化物を用いた配線構造を実現することの困難性が指摘されている。
特開2011−238903号公報 特開2012−60123号公報 特開2004−266023号公報 特表2006−523025号公報 特開2005−277390号公報 特開2009−231739号公報 特開2011−61187号公報 特開2011−171334号公報 特開2010−98195号公報
E. J. Lee et al., Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 74, pp. 65-70 (2002) J.-H. Guo and J. E. Cotter, Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 86, pp. 485-498 (2005) S. K. Matlow and E. L. Ralph, Solid-State Electronics, vol. 2, pp. 202-208 (1961) J. Kang et al., Solar Energy Materials and Solar Cells, vol. 74, pp. 91-96 (2002) J. Koike and M. Wada, Applied Physics Letters, vol. 87, 041911 (2005)
上述のように、銅を集電電極とし、シリコンを基板とする太陽電池において、銅とシリコンの相互拡散を抑止する拡散バリア層は、種々の金属膜が開示されているが、これらの金属膜は長期使用に耐えうる十分な拡散バリア性を有していないという課題がある。
LSIの多層配線構造において、Mnを主体とする酸化物を拡散バリア層とすることで、銅配線とSiO2絶縁層間の良好な拡散バリア性が得られることが開示されているが、シリコン基板とのオーミック接触特性が得られないという課題がある。
LSIのコンタクトプラグ構造において、Mnを主体とする酸化物と金属シリサイドの積層膜を形成して、良好な拡散バリア性とオーミック接触特性を両立できることが開示されているが、シリサイドがシリコン基板表面近傍のエミッター層を浸食するため、太陽電池の性能が劣化するという課題がある。
さらに、LSIのコンタクトプラグ構造において、Mnを主体とする酸化物と金属シリサイドとの密着性を改善するために、金属シリサイドの表面に酸化物を形成することが開示されているが、酸化物が高抵抗であるために、酸化物の厚さを1.5nm以下に制御する必要があり、均一な厚さに成膜することが困難であるという課題がある。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、シリコン基板と銅を主体とする金属電極との間の相互拡散を抑止するとともに、密着性を高め、オーミック接触特性を得るための界面酸化物層を備えた太陽電池及び、この太陽電池における酸化物層の形成方法、積層酸化物層の形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、上記の電極と上記のシリコン基板の界面に、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する酸化物層が存在し、上記の酸化物層の電気抵抗率は1MΩcm以下である太陽電池に係る
特に、上記の酸化物層に含まれるシリコンの価数は+2または+3であること、上記の酸化物層における銅とマンガンとシリコンの原子濃度分布は、上記の酸化物層の膜厚の中心部においてマンガンが最大の濃度を示し、上記の中心部からシリコン基板側に向かってシリコン濃度が増加し、上記の中心部から金属電極側に向かって銅濃度が増加することを特徴とする。さらに、上記の酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下であること、二つの離れた電極間に電圧を付加して電流を測定したとき、電流の対数と電圧の対数が比例関係にあり、比例係数が1.0以上、1.3以下であることをそれぞれ特徴とする。
また、本発明は、銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、上記の電極と上記のシリコン基板との界面に、非晶質構造を有し、二種類の積層した積層酸化物層が存在し、この積層酸化物層のうち上記のシリコン基板に接する第一の酸化物層は、シリコンを含有する酸化物から成り、上記の電極に接する第二の酸化物層は、銅とマンガンを含有する酸化物から成り、上記の積層酸化物層の電気抵抗率は1MΩcm以下である太陽電池に係る
特に、上記の第一の酸化物層はシリコンを含有し、そのシリコンと酸素との原子濃度比は、シリコンが1.0に対して酸素が1.3以上、1.8以下であること、上記の第二の酸化物層における銅とマンガンの原子濃度比は、銅が1.0に対してマンガンが0.5以上、2.0以下であること、上記の積層酸化物層に含まれるシリコンの価数は+2または+3であることを特徴とする。さらに、上記の積層酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下であること、二つの離れた電極間に電圧を付加して電流を測定したとき、電流の対数と電圧の対数が比例関係にあり、比例係数が1.0以上、1.3以下であることをそれぞれ特徴とする。
また、本発明は、上記の太陽電池における電極とシリコン基板の界面に、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する酸化物層を形成する方法であって、銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用い、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いて、これらの混合溶液をシリコン基板上に湿式塗布することを特徴とする。さらに、原料となる錯体化合物を湿式塗布した後に、200℃以上、800℃以下の温度で焼成することを特徴とする。
また、本発明は、上記の太陽電池における電極とシリコン基板との界面に、非晶質構造を有し、二種類の積層した積層酸化物層を形成する方法であって、銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用い、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いて、これらの混合溶液をシリコン基板上に湿式塗布することを特徴とする。さらに、原料となる錯体化合物を湿式塗布した後に、200℃以上、800℃以下の温度で焼成することを特徴とする。
本発明は、銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、上記の電極と上記のシリコン基板の界面に、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する酸化物層が存在し、上記の酸化物層の電気抵抗率は1MΩcm以下である構成を具備する。酸化物層が結晶性であると、結晶粒界が高速拡散経路になるため拡散バリア性が乏しいものの、本発明において酸化物層が非晶質構造を有するので、高速拡散経路である結晶粒界が存在せず、良好な拡散バリア性を発現することができる。また、酸化物層にシリコンを含有しているので、下地のシリコン基板との濡れ性に優れており、均一かつ均質な酸化物層を形成することができる。酸化物層に含有される銅は金属電極との密着性向上に寄与し、マンガンとシリコンは拡散バリア性の向上に寄与することができる。さらに、酸化物層の電気抵抗率は1MΩcmを超えると、オーミック接触条件から極端に外れるので好ましくないが、1MΩcm以下になるようにしたので、金属電極とシリコンの間の導電特性がオーミックとなる。
本発明は、上記の酸化物層に含まれるシリコンの価数は+2または+3である。シリコンの価数は最大が+4であり、この場合は全ての価電子が結合に寄与しているため、導電性が悪い。良く知られている例はSiO2であり、これは絶縁性の酸化物である。一方で、価数が+3または+2であると、結合に寄与しない電子が存在し、ホッピングによっていくらかの電気伝導性を発現しうるため、界面の電気的接触特性の観点からいうと好ましい。しかし、価数がさらに減少して+1以下になると膜自体の力学的硬度が劣化し、膜剥離の原因になるため、好ましくない。
本発明は、上記の酸化物層における銅とマンガンとシリコンの原子濃度分布が、酸化物層の膜厚の中心部においてマンガンが最大の濃度を示し、酸化物層の中心からシリコン基板側に向かってシリコン濃度が増加し、酸化物層の中心から金属電極側に向かって銅濃度が増加する構成である。酸化物層の中心においてマンガンが最大の濃度を示すようにしたので、シリコン基板と金属電極との相互拡散が発生することを有効に防止できる。また、酸化物層の中心からシリコン基板側に向かってシリコン濃度が減少するようにしたので、酸化物層を形成する際にシリコン基板との濡れ性に優れ、欠陥の無い均一な厚さの酸化物層とすることができ、拡散バリア性の向上に寄与する。さらに、酸化物層の中心から金属電極側に向かって銅濃度が増加するようにしたので、酸化物層中の銅原子と金属電極間に強い相互作用が作用し、酸化物層と金属電極との密着性が向上する。
本発明は、上記の酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下である。酸化物層の厚さが2nm未満であると、酸化物がシリコン基板表面上に一様に形成されず、一部未形成の部分が発生するため拡散バリア性が悪化する。一方で、酸化物層の厚さを2nm以上にすることでシリコン基板表面上に一様に形成することが可能となり、拡散バリア性を確保することができる。また、厚さが30nmを超えると酸化物層の電気抵抗が高くなり過ぎるのでオーミック接触特性が得られない。30nm以下ではオーミック接触特性が得られるため好ましい。
また、本発明は、銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、上記の電極と上記のシリコン基板との界面に、非晶質構造を有し、二種類の積層した積層酸化物層が存在し、この積層酸化物層のうち上記のシリコン基板に接する第一の酸化物層は、シリコンを含有する酸化物から成り、上記の電極に接する第二の酸化物層は、銅とマンガンを含有する酸化物から成り、上記の積層酸化物層の電気抵抗率は1MΩcm以下である構成を具備する。積層酸化物層は非晶質構造を有するので、結晶粒界が存在しないため、良好な拡散バリア性を発現する。さらに、二種類の積層した積層酸化物層が形成されているため、従来の金属層や金属シリサイド層とは異なり、良好な拡散バリア性を有する。また、第一の酸化物層がシリコンを含有しているので、下地のシリコン基板との濡れ性に優れており、均一かつ均質な酸化物層を形成することができる。さらに、第二の酸化物層がマンガンを含有しているので拡散バリア性に優れ、銅を含有しているので、銅を主体とした金属からなる配線との密着性に優れる。このほか、積層酸化物層の電気抵抗率が1MΩcm以下になるようにしたので、金属電極とシリコンの間の導電特性がオーミックとなる。
本発明は、上記のシリコンを含有する第一の酸化物層におけるシリコンと酸素の原子濃度比は、シリコンが1.0に対して酸素が1.3以上、1.8以下である。一般にシリコン酸化物はシリコンの原子濃度を1.0とした場合に酸素の原子濃度が2.0で安定な絶縁性酸化物となる。しかし、酸素濃度を1.8以下とすることによって、シリコンと結合する酸素が欠乏し、僅かではあるが電気伝導に寄与する電子が形成されるようになる。その結果、第一の酸化物層は絶縁性ではなく、高抵抗ではあるが導電性の酸化物となる。酸素濃度が1.8より大きくなるとシリコン酸化物の絶縁性の傾向が強くなり、導電性が悪化するため好ましくない。一方で、酸素濃度は薄すぎても好ましくない。酸素濃度が1.3より小さくなると、シリコン表面上にシリコン粒子が凝集し、積層酸化物層の膜厚が不均一になる傾向がある。よって、酸素濃度はシリコン濃度を1.0とした場合に、1.3以上であり、1.8以下であることが好ましい。
本発明は、上記の銅とマンガンを含有する第二の酸化物層における銅とマンガンの原子濃度比は、銅が1.0に対してマンガンが0.5以上、2.0以下である。一般にマンガン酸化物はMnO,Mn34、Mn23が存在し、これらは絶縁性酸化物である。しかし、銅が混合することによってスピネル構造に由来する強固な結合を有する複合酸化物が形成されるとともに、非整数比の複合酸化物となることによって電気伝導性を付与することもできる。銅とマンガンの原子濃度比が、銅を基準値の1.0とした場合、マンガンが2.0以下であるとき、スピネル構造が安定相として存在することができる。また、この濃度比で形成されるスピネル構造では、銅とマンガンが非整数比で混合できる固溶領域を有するため、高抵抗ではあるが導電性の酸化物となる。さらに、銅を含有しているため、銅を主体とする金属配線との密着性に優れている。一方で、マンガン濃度が0.5より小さいと、第二の酸化物層中に二酸化銅の粒子が形成されて組織が不均一となり、場所ごとの導電性や密着性も不均一となるので好ましくない。また、マンガンの原子濃度比が2.0より大きいと、絶縁性のマンガン酸化物の形成傾向が増加して、第二の酸化物層の導電性が悪化するため好ましくない。
本発明は、上記の積層酸化物層に含まれるシリコンの価数は+2または+3である。価数が+3または+2であると、結合に寄与しない電子が存在し、ホッピングによっていくらかの電気伝導性を発現しうるため、界面の電気的接触特性の観点からいうと好ましい。しかし、価数がさらに減少して+1以下になると膜自体の力学的硬度が劣化し、膜剥離の原因になるため、好ましくない。また、上記の積層酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下である。積層酸化物層の厚さを2nm以上にすることでシリコン基板表面上に一様に形成することが可能となり、拡散バリア性を確保することができる。また、厚さが30nmを超えると積層酸化物層の電気抵抗が高くなり過ぎるのでオーミック接触特性が得られないが、30nm以下ではオーミック接触特性が得られるため好ましい。
本発明において、二つの離れた金属電極間に電圧を付加して電流を測定したとき、電流の対数と電圧の対数が比例関係にあり、比例係数が1.0以上、1.3以下である。比例係数が1.0であれば完全なオーミック接触特性となり、好ましい。比例係数が1.0より大きくなるに従って完全なオーミック接触特性から外れることになるが、比例係数が1.3以下であれば、シリコン太陽電池が発生する電圧の範囲において十分な電流が流れるため、太陽電池から電力を取り出すには支障がない。しかし、比例係数が1.3より大きくなると流れる電流値が極端に小さくなり、太陽電池の変換効率が悪化するので好ましくない。
また、本発明に係る太陽電池における酸化物層を形成する方法及び、積層酸化物層を形成する方法は、銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用い、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いて、これらの混合溶液をシリコン基板上に湿式塗布する構成である。銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用いたので、混合溶液を作製する際に銅錯体とマンガン錯体を均一に混合することができる。また、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いたので、シリコン基板表面に吸着反応することによって基板表面が疎水性から親水性に変化する。その結果、シリコン基板表面上における混合溶液の濡れ性が向上して均一な厚さの塗布膜を形成することができる。
また、本発明は、原料となる錯体化合物を湿式塗布した後に、200℃以上、800℃以下の温度で焼成する。混合溶液の塗布膜は有機鎖分子を含んでいるため、焼成温度が200℃より低いと有機物が膜中に残存し、焼成後の酸化物層の密度が低く力学的強度が乏しいので金属電極との密着強度が乏しい。また、拡散バリア性も劣化する。一方で焼成温度を200℃以上にすることで、有機鎖分子が熱分解して膜中から蒸発するので、焼成後の酸化物層は高密度となり、金属電極との密着性および拡散バリア性に優れた層となる。しかし、焼成温度が800℃より高くなると酸化物層と金属電極ならびにシリコン基板が反応して酸化物層自体が変質する。その結果、拡散バリア性が著しく損なわれるので好ましくない。
本発明に係る太陽電池に関し、金属電極とシリコン基板の界面に二種類の積層した積層酸化物層が存在する場合の模式図である。 本発明に係る他の太陽電池に関し、金属電極とシリコン基板の界面に酸化物層が存在する場合の模式図である。 汎用的なシリコン太陽電池セルの模式図である。 PERLセルの模式図である IBCセルの模式図である。 MWTセルの模式図である 図1に模式図で示した太陽電池の顕微鏡画像図である。 図2に模式図で示した太陽電池の顕微鏡画像図である。
本発明に係る太陽電池に関し、図1に金属電極とシリコン基板の界面に二種類の積層した積層酸化物層が存在する場合の模式図を示す。実用に供される太陽電池のシリコン基板は上部表面がアルカリ液によってエッチングされて凹凸状のテクスチャー組織を有しているが、図面の簡素化のためにテクスチャー組織は省略する。図中に記載した積層酸化物層100は、非晶質構造を有し、シリコン基板1に接してシリコンを含有する第一の酸化物層101と、金属電極10に接して銅とマンガンを含有する第二の酸化物層102から成る。第一の酸化物層101はシリコンを含んでいるので、塗布法によって積層酸化物層を形成する際に、原料となる混合溶液のシリコン基板1上での濡れ性を向上させて、積層酸化物層(第一の酸化物層101)を均一の厚さで形成することに寄与する。第二の酸化物層102は、銅を含有することで金属電極10との密着性を向上することに寄与する。さらに第二の酸化物層102は、マンガンを含有するので良好な拡散バリア性を発現することができる。
第一の酸化物層101におけるシリコンと酸素の原子濃度比は、シリコンが1.0に対して酸素が1.3以上、1.8以下であるので、第一の酸化物層101は絶縁性ではなく、高抵抗ではあるが導電性となる。
第二の酸化物層102における銅とマンガンの原子濃度比は、銅が1.0に対してマンガンが0.5以上、2.0以下であるので、スピネル構造に由来する強固な結合を有する複合酸化物が形成されるとともに、非整数比の複合酸化物となることによって電気伝導性を付与することができる。さらに、銅を含有しているため、銅を主体とする金属配線との密着性に優れている。
上記の条件を満足する積層酸化物層100の電気抵抗率は、1MΩcm以下であり、厚さが30nm以下であれば良好な導電性を示し、金属電極10とシリコン基板1がオーミック接触特性を発現するようになる。また、厚さを2nm以上とすることによって拡散バリア性を確保することができる。
また、本発明に係る他の太陽電池に関し、図2に金属電極とシリコン基板の界面に酸化物層が存在する場合の模式図を示す。酸化物層110は、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する。この酸化物層110の膜厚の中心部においてマンガン濃度が最大値を示すようにしたので良好な拡散バリア性を発現する。また、酸化物層110の中心からシリコン基板1側に向かってシリコン濃度が増加し、酸化物層110の中心から金属電極10側に向かって銅濃度が増加する構成である。その結果、均一な厚さを有し、金属電極10との密着性に優れた酸化物層110とすることができる。
図2に示す酸化物層110の電気抵抗率は、1MΩcm以下であり、厚さが30nm以下であれば良好な導電性を示し、金属電極10とシリコン基板1がオーミック接触特性を発現するようになる。また、厚さを2nm以上とすることによって拡散バリア性を確保することができる。
図3に本発明により構成され、汎用的に使用されることが期待できるシリコン太陽電池セルAの模式図を示す。シリコン太陽電池セルAは、n−p接合で構成されるシリコン基板1Aに光照射をすることによって電子・正孔対が形成され、電子はn型層へ、正孔はp型層へ移動して、基板の両端に電位差を発生する。基板両端に金属電極10Aを接続して短絡すれば太陽電池から電流が流れ、電力を得ることができる。また、シリコン基板1Aのn型層は、金属電極10Aとの良好なオーミック接触特性を得るために、表面近傍が不純物濃度の高いn+領域となっている。同様にp型層は、金属電極10Aとの界面における電子の再結合を抑制するために、アルミニウムを不純物として拡散させたp+領域となっている。本発明の特徴は、金属電極10Aとシリコン基板1Aのn+領域との界面に本発明独自の二種類の積層した積層酸化物層100又は酸化物層110を形成するようにしたことである。
図3のシリコン太陽電池セルAの作製方法を例示する。まず、p型のシリコンウェハーの上部表面にリン(P)を拡散してn+領域を形成する。その後、シリコンウェハーの下部表面に蒸着法やペースト印刷法などの方法を用いてアルミニウム膜を形成して加熱することによってシリコンウェハー表面近傍にアルミニウムが拡散してp+領域を形成する。マスク形状を適切に設計することによってアルミニウム膜の一部は、バス電極を形成するためにシリコン表面が露出した状態となっている。
この時点でシリコン基板1Aの表面に、銅錯体、マンガン錯体、およびシランカップリング剤を混合して作製した溶液を塗布する。溶液の塗布はスピンコーティング法やディップコーティング法、スプレーコーティング法などの湿式塗布法を用いることができる。その後、200℃以上、800℃以下の温度で焼成することにより、揮発成分ならびに有機成分を蒸発させ、所望の酸化物層(積層酸化物層100又は酸化物層110)を形成することができる。
酸化物層は、塗布後の室温における放置時間によって、あるいは焼成温度に達するまでの加熱速度によって、図1に示す積層酸化物層100としたり、図2に示す酸化物層110としたりすることができる。得られる効果はどちらの酸化物層でも同様である。こうして得られた酸化物層付のシリコン基板1Aの上部表面、ならびに下部表面に銅を主体とする金属から成る金属電極10Aを形成する。電極の形成方法はメッキ法、スクリーン印刷法などがある。ここではスクリーン印刷法を用いて銅ペーストを印刷し、窒素雰囲気にて500℃、1分の焼成をすることで金属電極10A(金属配線)を形成した。その後、プラズマ化学気相成長法を用いてウェハー上部表面に窒化珪素膜を形成し反射防止膜とした。反射防止膜は金属配線と酸化物層の全面を被覆しても良いし、酸化物層の表面だけに限定しても良い。全面を被覆した場合は、その後のはんだテープの接着の際に、接着部に対応する金属配線表面に形成された窒化珪素膜をパルスレーザーなどを用いて除去する必要がある。
このようにして形成されたシリコン太陽電池セルAは、安価な銅を主体とする金属配線を有しているので大幅なコスト削減が可能であり、配線抵抗とコンタクト抵抗が低いので、セルの直列抵抗を低減でき、変換効率を向上することが可能となる。
図4にPERL(Passivated Emitter Rear Locally Diffused)セルBの模式図を示す。図3との違いは、シリコン基板1Bの下部表面においてp+領域が金属電極10Bの接合部に限定されていることと、電極接合部以外の下部表面はシリコン酸化膜、あるいはアルミニウム酸化膜などの絶縁体で被覆されていることである。汎用的なシリコン太陽電池セルAでは、p+領域とアルミニウム膜との界面で正孔の再結合が生じるため、変換効率が悪化する恐れがあるが、PERLセルBにおいては、この界面部分を絶縁性の酸化膜で被覆したので正孔の再結合を抑止し、変換効率の改善に寄与することができた。このPERLセルBにおける本発明の特徴は、金属電極10Bとシリコン基板1Bのn+領域ならびにp+領域との界面に本発明独自の酸化物層(積層酸化物層100又は酸化物層110)を形成するようにしたことである。
図5にIBC(Interdigitized Back Contact)セルCの模式図を示す。IBCセルCの特徴は、n型シリコン基板を用いて電子と正孔を分離するn−p接合領域をシリコン基板1Cの下部に配置したことである。その結果、電力を取り出す全ての金属電極10Cをシリコン基板1Cの下部に配置することになり、電極によるシャドウロスを完全になくすことができ、変換効率の改善に寄与する。このIBCセルCにおける本発明の特徴は、金属電極10Cとシリコン基板1Cのn+領域ならびにp+領域との界面に本発明独自の酸化物層(積層酸化物層100又は酸化物層110)を形成するようにしたことである。
IBCセルCの作製方法を例示する。n型のシリコン基板1Cを用いて、上部表面近傍にリン(P)を拡散させてn+領域を形成し、その上に反射防止膜を形成する。下部表面にはフォトリソグラフィー法を用いて不連続に窓が開けられたシリコン酸化物膜を形成する。窓の部分からPを拡散してn+領域を形成し、ホウ素(B)を拡散してp+領域を形成する。このウェハーの表面に、銅錯体、マンガン錯体、およびシランカップリング剤を混合して作製した溶液を塗布して200℃以上、800℃以下の温度で焼成する。その結果、p+領域ならびにn+領域の表面に酸化物層(積層酸化物層100又は酸化物層110)が形成される。さらにその上に金属電極10Cを形成してIBCセルCとすることができる。
図6にMWT(Metal Wrap Through)セルDの模式図を示す。MWTセルDの特徴は、シリコン基板1Dの下部表面にバス電極を配置し、シリコン基板1Dの厚さ方向に形成した貫通孔(ビアホール)に埋め込んだ金属電極10Dを通じて、シリコン基板上部表面のフィンガー電極との接続を形成している。貫通孔はパルスレーザーを照射して形成するのが一般的である。また、金属電極10Dの埋め込みはメッキ法あるいは印刷法などの方法を用いる。このようにして作製したMWTセルDは、太陽光が当たるシリコン基板表面から太幅のバス電極がなくなるので、シャドウロスによる変換効率のロスを改善できる。このMWTセルDにおける本発明の特徴は、金属電極10Dとシリコン基板1Dのn+領域との界面に本発明独自の酸化物層(積層酸化物層100又は酸化物層110)を形成するようにしたことである。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
シリコン基板は単結晶のp型シリコンウェハーを用いた。p型不純物はホウ素(B)であり、不純物濃度はおよそ1x1016cm-3であった。このウェハーの上部表面をKOH溶液によってエッチングし、凹凸状のテクスチャー組織を形成した。その後、上部表面にPOCl3を塗布し高温で熱処理を行って、シリコン中にリン(P)を拡散せしめ、n+領域を形成した。Pの濃度は最大でおよそ1x1019cm-3であった。このようにしてn−p接合を有するシリコン基板を作製した。本発明では、金属電極とシリコン基板との間の密着性、およびオーミック接触特性、拡散バリア性に着目しているので、作製したシリコン基板の上部表面に本発明独自の酸化物層を形成し、これらの特性を評価した結果を説明する。
(酸化物層原料溶液)
酸化物層を形成するために、銅錯体と、マンガン錯体と、シランカップリング剤を混合して酸化物層原料溶液とした。
第一の原料は、銅錯体である。銅錯体としては次のものが例示できる。銅(II)フォーメート、銅(II)アセテート、銅(II)ブチレート、銅(II)プロピオネート、銅(II)ペンタノエート、銅(II)ヘキサノエート、銅(II)エチルヘキサノエート、銅(II)オレエート、銅(II)ベンゾエート、銅(II)グルコネート、銅(II)サリチレート、銅(II)アセチルアセトナート、などがある。これらのうち、実施例では銅(II)アセテートを用いた例を示す。
酸化物層を形成するための第二の原料は、マンガン錯体である。マンガン錯体としては次のものが例示できる。マンガン(II)アセテート、マンガン(II)ブチレート、マンガ(II)オクトエート、マンガン(II)ヘキサノエート、マンガン(II)エチルヘキサノエート、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(II)オレエート、マンガン(II)カルボニル、シクロペンタディエニルマンガントリカルボニル、シクロペンタディエニルマンガンジカルボニル、シクロペンタディエニルイソシアノシクロヘキサンマンガンジカルボニルなどがある。これらのうち実施例ではマンガン(II)アセテートを用いた例を示す。
酸化物層を形成するための第三の原料はシランカップリング剤である。シランカップリング剤としては次のものが例示できる。ビニル系の官能基を有するものとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどがある。エポキシ系の官能基を有するものとしては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルメチルシメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどがある。スチリル系の官能基を有するものとしては、p−スチリルトリメトキシシランなどがある。メタクリル系の官能基を有するものとしては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどがある。アクリル系の官能基を有するものとしては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどがある。アミノ系の官能基を有するものとしては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩などがある。ウレイド系の官能基を有するものとしては、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどがある。メルカプト系の官能基を有するものとしては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。スルフィド系の官能基を有するものとしては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどがある。イソシアネート系の官能基を有するものとしては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどがある。これらのうち、実施例ではビニルトリエトキシシランを用いた例を示す。
(酸化物層焼成方法)
銅(II)アセテート2.0モル、マンガン(II)アセテート2.0モル、およびビニルトリエトキシシラン1.0モルを1リットルのエチルアルコールに溶かして原料溶液とした。スピンコート法を用いて、シリコン基板上に原料溶液を塗布した。シリコン基板は、評価項目に応じて、平坦な表面を有するp型ウェハー又は、凹凸のテクスチャー表面を有し、n−p接合からなるシリコン基板のいずれかを用いた。また、原料溶液を塗布する方法は、スピンコーティングに限らず、ディップコーティング法でも良い。その際は、塗布膜の厚さを均一にするために、シリコン基板を原料溶液の浴から取り出しながら空気や窒素などのガスを吹きつけて余分に付着した溶液を除去すると良い。さらには、スプレーコーティング法によってシリコン基板表面に原料溶液を吹き付けても良い。ノズル形状とスプレー圧力を制御することによって膜厚を制御することができる。ここでは、スピンコート法によって原料溶液を塗布し、3000ppmの酸素を含有する窒素ガス雰囲気において2種類の熱処理を行った。第一の種類は、200℃で5分、その後400℃で5分の二段階熱処理を行った。第二の種類は、200℃で5分の熱処理を経ずに、直接400℃に急速加熱して400℃にて10分の一段階熱処理を行った。なお、以下、二段階熱処理により得られた酸化物層を積層酸化物層といい、一段階熱処理により得られた酸化物層を単層酸化物層というものとする。
(酸化物層の組成)
シリコン基板は平坦表面p型ウェハーを用いた。酸化物層中の銅とマンガンの組成比は蛍光X線分光分析法(XRF)を用いて分析した。また、X線光電子分光分析法(XPS)を用いて試料表面からスパッタリングしながら深さ方向の組成分析をした。シリコンと酸素の組成比は、シリコンに対する酸素の濃度比が最大になる場所におけるピーク強度から求めた。また、シリコン2p電子に対応するピーク位置のケミカルシフトより、シリコンの価数を求めた。
二段階熱処理を行った試料のXRF分析の結果、銅とマンガンの平均組成比はCu:Mn=1.0:1.2であった。XPSを用いて試料表面から深さ方向の組成分析を行った結果、積層酸化物層の最表面は銅とマンガンを主要に含む酸化物(第二の酸化物層)からなっており、その下層にはシリコンを主要に含む酸化物(第一の酸化物層)からなっていた。銅とマンガンを主要に含む酸化物(第二の酸化物層)中から得た銅とマンガンのピーク強度から求めた組成分布は、平均組成比がCu:Mn=1.0:1.2±0.3であった。同様に、シリコンを主要に含む酸化物(第一の酸化物層)中においてシリコンと酸素の組成分布を測定したところ、Si:O=1.0:1.7±0.1が最大酸素含有領域で観測され、シリコン基板に近づくに連れて酸素量は減少した。また、Siのピーク位置から見積もったシリコンの価数は、SiO2に対応する+4ではなく、酸素欠損を有するSiO2-xに特徴的な+3乃至+2であった。
一段階の熱処理後の単層酸化物層においても、XRFを用いて組成分析した結果、銅とマンガンとシリコンと酸素が検出された。さらに、XPS分析を行い、X線の試料表面法線に対する入射角度を82°とすることによって酸化物表面から約5nmの深さの層を分析した。その結果、銅とマンガンの組成比はCu:Mn:Si=1.0:1.5±0.3:0.4±0.2であった。また、Siのピーク位置から見積もったシリコンの価数は、+3乃至+2であった。
(酸化物層の組織)
酸化物層の組織観察に供した試料は、二種類の熱処理(二段階熱処理)によって作製した積層酸化物層の上に、さらに銅薄膜をスパッタ法で形成したものを用いた。試料断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察するために、収束イオン顕微鏡(FIB)を用いて断面観察用の薄片を作製した。図7に、二段階熱処理を行った後の試料断面組織を示す。銅薄膜とシリコン基板の界面には、コントラストが濃い非晶質層とコントラストが薄い非晶質層が観察される。それぞれの非晶質層の厚さは4nm、2.5nmであった。これらの界面層を含む領域をX線エネルギー分散分光法(EDS)で組成分析したところ、界面のコントラストが濃い層は銅を含んだMnOxの組成に対応し、コントラストが薄い層はSiOxの組成に対応することが明らかになった。
図8に、一段階熱処理を行った後の試料断面をTEMで観察した結果を示す。図7の場合と同様に、単層酸化物層の上に銅薄膜をスパッタリング法で形成している。この場合の単層酸化物層は一様なコントラストを示し、厚さが4.2nmの非晶質構造を有する単層酸化物層が観察される。これらの界面層を含む領域をX線エネルギー分散分光法(EDS)で組成分析したところ、マンガンは単層酸化物層の中心で最大濃度を示した。単層酸化物層中のシリコン濃度はシリコン基板側から単層酸化物層の中心に向かって減少し、中心部では測定限界以下の値となった。また、単層酸化物層中の銅の濃度は、銅薄膜側から単層酸化物層の中心に向かって減少し、中心部では測定限界以下の値となった。
(酸化物層の電気抵抗率)
酸化物層の電気抵抗率を測定するために用いた試料は次のようにして作製した。まず、電気抵抗が0.1Ωの導電性シリコン基板をフッ酸(HF)とアルコールで洗浄した後に、スパッタ法を用いて銀薄膜を成膜した。銀薄膜の上に、銅錯体とマンガン錯体とシランカップリング剤からなる原料溶液を塗布し、3000ppmの酸素を含有する窒素雰囲気において熱処理を行って酸化物層を形成した。二段階の熱処理を行って形成した積層酸化物層の厚さを透過電子顕微鏡によって測定したところ、6.5nmであった。積層酸化物層の上に、微細な電極パターンの細孔を有するメタルマスクを配置して、スパッタ法により銀電極を形成した。上部と下部の銀電極間の電流・電圧特性を測定したところ、電流・電圧は直線関係が得られ、直線の勾配と膜厚から求めた積層酸化物層の電気抵抗率は1.0MΩcmであった。一方で、一段階の熱処理を行って形成した単層酸化物層の厚さは4.2nmであり、電気抵抗率は0.1MΩcmであった。
(酸化物層を介した銅配線とシリコン基板のオーミック接触)
凹凸のテクスチャー表面を有し、n−p接合からなるシリコン基板上に、酸化物層原料溶液を塗布した後、二段階または一段階の熱処理を行って積層または単層の酸化物層を形成した。さらに積層及び単層の酸化物層の上に、スパッタ法によって複数の銅電極を形成した。銅電極の形状は辺の長さが120μmx60μmの長方形とし、銅電極の間隔は50μmとした。2個の隣接する銅電極間に探針を置き、電流・電圧の関係を測定したところ、積層酸化物層か単層酸化物層かに拘らずオーミック接触特有の直線関係が得られた。また、銅電極は銅ペーストをスクリーン印刷しても形成することができた。この場合は、幅が約60μmで高さが約25μmの線形状の配線を印刷し、窒素ガス雰囲気にて500℃で5分の熱処理を行って電極とした。電極の間隔は1mmとした。2個の隣接する銅電極間に探針を置き、電流・電圧の関係を測定したところ、スパッタ法によって形成された電極の場合と同様に、オーミック接触特有の直線関係が得られた。
(酸化物層の拡散バリア性)
平坦表面を有するp型シリコン基板上に、原料溶液を塗布した。二段階熱処理あるいは一段階熱処理をして積層酸化物、あるいは、単層酸化物を得た。さらにその上にスパッタ法によって銅薄膜を形成し、拡散バリア性を評価する試料とした。これらの試料を真空中に保持し400℃で10時間の熱処理を行った後に、シリコン基板の裏面側を研磨して薄くし、二次イオン質量分析器(SIMS)を用いて厚さ方向の組成分布を分析した。シリコン基板中への銅原子の拡散の有無を精密に解析するため、スパッタセクショニングはシリコン基板側から行って、逐次SIMS分析を行った。その結果、酸化物層が積層か単層かに拘らず、シリコン基板中における銅原子の二次イオン強度は分析限界以下であり、高温長時間の熱処理においても銅とシリコンの相互拡散は見られず、酸化物層が有効な拡散バリア層として機能していることが明らかになった。
(酸化物層と銅配線の密着性)
凹凸のテクスチャーを有し、n−p接合からなるシリコン基板上に、酸化物層原料溶液を塗布した後、二段階または一段階の熱処理を行って積層または単層の酸化物層を形成した。これらの積層及び単層の酸化物層の上に銅ペーストを塗布した後に、窒素ガス雰囲気にて500℃で5分の熱処理を行った。このようにしてできた銅の膜厚は約80μmであった。この銅薄膜の密着性はJIS規格D0202−1988に従って実施した。即ち、ナイフによって銅薄膜に等間隔の網目状の切り込みを形成して10マスx10マスの領域に分断した。その表面にセロハンテープを接着して引き剥がした。その結果、どちらの酸化物層の場合でも、100マスのすべてにおいて剥離が生ぜず、良好な密着性が得られることが確認できた。
(実施例2)
酸化物層原料溶液を構成する銅(II)アセテートとマンガン(II)アセテートを2.0モル/リットルに固定し、ビニルトリエトキシシランの組成を変化して作製した種々の溶液をシリコン基板上にスピンコート法で塗布し、二段階の熱処理によって積層酸化物層を形成した。X線光電子分光分析法を用いて試料表面からスパッタリングしながら深さ方向の組成分析をした結果、酸化物の最表面は銅とマンガンを主要に含む酸化物(第二の酸化物層)からなっており、その下層にはシリコンを主要に含む酸化物(第一の酸化物層)からなっていた。シリコンを主要に含む酸化物(第一の酸化物層)中においてシリコンと酸素の組成分布を測定し、シリコンのピーク位置からシリコンの価数(Z)を見積もった。
[表1]には、積層酸化物層における第一の酸化物層中でシリコンの価数(Z)とともに、Si:O原子濃度比が最大となる箇所でのSi:Oの値(O/Si)を示す。また、積層酸化物層の電気抵抗率(ρ)を測定した結果を示す。さらに、積層酸化物層上にスパッタ法にて複数の銅電極を形成し、電極間の電流・電圧を測定し、電流の対数(log(I))と電圧の対数(log(V))をプロットして求めた直線の傾き値(log(V)/log(I)=n)を示す。評価に際しては、比例係数が1.0以上であり、1.3以下である場合を良とし、それ以外の場合を否とした。また、同じ試料を真空中にて400℃で10時間の加熱を行い、SIMS分析によって拡散バリア性を評価した。銅がシリコン基板中で検出限界以下であった場合を良とし、それ以外の場合を否とした。また、積層酸化物層の表面に銅ペーストをスクリーン印刷して焼成することによって銅配線を形成し、JIS規格に準じたテープテストを行った。テープを引き剥がした際に、銅配線の剥離が見られなかった場合を良とし、それ以外を否とした。それぞれの試験の良否の結果も併せて[表1]に示す。同様の実験を、一段階熱処理を行って単層酸化物層を形成した試料についても実施した。その結果を[表2]に示す。
[表1]より、積層酸化物層中の第一の酸化物層におけるシリコンと酸素の最大原子濃度比が1.8以下であり、1.3以上であるとオーミック特性、拡散バリア性、密着性が全て良であり、好ましい。さらに、シリコンの価数が+3あるいは+2であるときに、良好なオーミック特性と拡散バリア性が得られて、好ましい。また、[表2]より単層酸化物層中においても、シリコンと酸素の最大原子濃度比が1.8以下であり、1.3以上であるとオーミック特性、拡散バリア性、密着性が全て良であり、好ましい。さらに、シリコンの価数が+3あるいは+2であるときに、良好なオーミック特性と拡散バリア性が得られて、好ましい。
(実施例3)
酸化物層原料溶液を構成するビニルトリエトキシシランの組成を1.0モルに固定し、銅(II)アセテートとマンガン(II)アセテートの組成比を変化して作製した種々の溶液をシリコン基板上にスピンコート法で塗布し、二段階の熱処理によって積層酸化物層を形成した。この積層酸化物層の組成を、蛍光X線分光分析法を用いて分析し、銅とマンガンの平均原子濃度比(Mn/Cu)を求めた。得られた結果を[表3]に示す。さらに、積層酸化物層上にスパッタ法にて複数の銅電極を形成し、電極間の電流・電圧を測定し、電流の対数(log(I))と電圧の対数(log(V))をプロットして求めた直線の傾き値(log(V)/log(I)=n)を示す。評価に際しては、比例係数が1.0以上であり、1.3以下である場合を良とし、それ以外の場合を否とした。同様の試料を用いて拡散バリア性も評価した。さらに、積層酸化物層の表面に銅ペーストをスクリーン印刷して焼成することによって銅配線を形成し、JIS規格に準じたテープテストを行った。テープを引き剥がした際に、銅配線の剥離が見られなかった場合を良とし、それ以外を否とした。また、積層酸化物層の電気抵抗率の値(ρ)も示した。良否の結果も併せて[表3]に示す。同様の実験を、一段階熱処理を行って単層酸化物層を形成した試料についても実施した。その結果を[表4]に示す。
[表3]より、積層酸化物層中の第一の酸化物層における銅とマンガンの平均原子濃度比が2.0以下であり、0.5以上であるとオーミック特性、拡散バリア性、密着性が全て良であり、好ましい。また、[表4]より単層酸化物層中においても、銅とマンガンの平均原子濃度比が2.0以下(更に詳細には、1.9nm以下)であり、0.5以上(更に詳細には、0.55nm以上)であるとオーミック特性、拡散バリア性、密着性が全て良であり、好ましい。
(実施例4)
平坦な表面を有し、電気抵抗が0.1Ωの良電導性のシリコン基板上に、銅(II)アセテートとマンガン(II)アセテートが2モル/リットル、ビニルトリエチルシランが1モル/リットルを混合した原料溶液をスピンコーティング法によって塗布した。塗布後に150℃において10分の熱処理を行い、さらに原料溶液を塗布した。この工程を所定の回数繰り返したのちに、400℃で10分の熱処理を行った。このようにして、酸化物層の膜厚を調整した試料の拡散バリア性と電気抵抗を測定した。その結果を[表5]に示す。電気抵抗に関しては、その値が15Ω以下の場合を良とし、それ以外を否と判断した。その結果、下記[表5]から酸化物層の膜厚は2.0nm以上であり、30nm以下(更に詳細には、29.3nm以下)であることが好ましいことが理解される。
A・汎用的なシリコン太陽電池セル
B・PERLセル
C・IBCセル
D・MWTセル
100・積層酸化物層
101・第一の酸化物層
102・第二の酸化物層
110・酸化物層(単層酸化物層)
1,1A,1B,1C,1D・シリコン基板
10,10A,10B,10C,10D・金属電極

Claims (9)

  1. 銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、
    上記の電極と上記のシリコン基板の界面に、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する酸化物層が存在し、
    上記の酸化物層に含まれるシリコンの価数を+2または+3として、上記の酸化物層の電気抵抗率1MΩcm以下とし、
    上記の酸化物層における銅とマンガンとシリコンの原子濃度分布は、上記の酸化物層の膜厚の中心部においてマンガンが最大の濃度を示し、上記の中心部からシリコン基板側に向かってシリコン濃度が増加し、上記の中心部から金属電極側に向かって銅濃度が増加する、
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 上記の酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 銅を主体とする電極を有し、n−p接合で構成されるシリコン基板から成る太陽電池において、
    上記の電極と上記のシリコン基板との界面に、非晶質構造を有し、二種類の積層した積層酸化物層が存在し、
    この積層酸化物層のうち上記のシリコン基板に接する第一の酸化物層は、シリコンを含有する酸化物から成り、上記の電極に接する第二の酸化物層は、銅とマンガンを含有する酸化物から成り、
    上記の第一の酸化物層のシリコンと酸素との原子濃度比を、シリコンが1.0に対して酸素が1.3以上、1.8以下とし、上記の積層酸化物層に含まれるシリコンの価数を+2または+3として、上記の積層酸化物層の電気抵抗率を1MΩcm以下とし、
    上記の第二の酸化物層における銅とマンガンの原子濃度比を、銅が1.0に対してマンガンが0.5以上、2.0以下とする、
    ことを特徴とする太陽電池。
  4. 上記の積層酸化物層の厚さは2nm以上であり、30nm以下である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
  5. 二つの離れた電極間に電圧を付加して電流を測定したとき、電流の対数と電圧の対数が比例関係にあり、比例係数が1.0以上、1.3以下である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の太陽電池。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の太陽電池における電極とシリコン基板の界面に、非晶質構造を有し、銅とマンガンとシリコンを含有する酸化物層を形成する方法であって、
    銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用い、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いて、これらの混合溶液をシリコン基板上に湿式塗布する、
    ことを特徴とする酸化物層の形成方法。
  7. 原料となる錯体化合物を湿式塗布した後に、200℃以上、800℃以下の温度で焼成する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の酸化物層の形成方法。
  8. 請求項3又は請求項4に記載の太陽電池における電極とシリコン基板との界面に、非晶質構造を有し、二種類の積層した積層酸化物層を形成する方法であって、
    銅の原料に銅錯体化合物を用い、マンガンの原料にマンガン錯体化合物を用い、シリコンの原料にシランカップリング剤を用いて、これらの混合溶液をシリコン基板上に湿式塗布する、
    ことを特徴とする積層酸化物層の形成方法。
  9. 原料となる錯体化合物を湿式塗布した後に、200℃以上、800℃以下の温度で焼成する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の積層酸化物層の形成方法。
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