JP5374474B2 - 回転慣性力補助部材及びこれを備えた自転車の駆動輪 - Google Patents

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本発明は、自転車のフリーホイールに設けられ、走行中におけるギアクランクの回転慣性力を補助するための回転慣性力補助部材及びこれを備えた自転車の駆動輪に関する。
初期のチェーン駆動式自転車のギアクランクは、チェーンを介してではあるが後輪のハブと直接繋がっていた。これによれば、後輪の回転慣性力をギアクランクに直接付与することができるという利点がある一方で、ギアクランクに取り付けられたペダルが後輪の回転に連動して回転するので、後輪が回転している間は、乗員が常にペダルを漕ぎ続けなければならないという不便があった。
その後、フリーホイールが発明されたことで、このような不便は解消された。すなわち、フリーホイールは、駆動方向に限ってペダルの回転に連動して回転し、ペダルの回転力をハブに伝える一方で、ハブから伝えられた車輪回転力に対しては空転するので、惰性走行のときには、乗員はペダルを漕がなくてすむようになった。しかし、その一方で、ギアクランクは、それまでチェーンを介してではあるが後輪から直接付与されていた回転慣性力を得られなくなったため、ギアクランクの回転慣性力(ギアクランクが、自身を回転させ続けようとするエネルギー)の低下を招いてしまった。
ギアクランクは、本来、回転バランスが悪く回転慣性力を受けにくい形状である。このため、フリーホイールが後輪に組み込まれるようになり、後輪からの回転慣性力を得られなくなったことで、特に登坂時のようなゆっくりとした回転時に、ギアクランクの回転慣性力が不足してしまい、クランクアームが、ペダルの踏力が有効に働く位置まで到達しづらくなるという新たな弱点が生じた。そこで、ギアクランクの回転慣性力の低下を解消するための方法が種々検討された。
例えば、後輪に多段階変速ギアを導入することにより、ギアクランクの回転慣性力を増加させる手法が考え出された。これによれば、後輪のギアの歯数を増やすと、ギア比が相対的に下がるので、その結果、ギアクランクの回転速度が上がり、ギアクランク自体の回転慣性力を増加させることができる。しかし、ギア比を下げたことで、ペダルを漕ぐ回数を増やさなければならなくなったため、乗員にとって負担が大きかった。また、多段階変速ギアの導入に併せて、チェーンの長さをシングルギア用のチェーンよりも長くしたり、ディレーラ等の部品を用いたりする必要があるため、結果として、ギアクランクの回転慣性力を低下させる要素を増やしてしまうことになった。
また、前記したように、ギア比を下げるとペダリングの負担が増加するため、ギア比を下げずにスムーズなペダリングを実現する手法として、自転車を構成する全ての部品を軽量化されるようになった。これにより、ギア比を下げずにスムーズなペダリングが可能となったが、その一方で、ギアクランクの質量を軽くしたことで、ギアクランクの回転慣性力の低下を招いてしまった。そして、これを解消すべく、ペダルを重くすることによってギアクランク自体の回転慣性力を増加させるという軽量化の流れに相反した対策を講じていた。
このように、従来、ギアクランク自体の回転慣性力を増加させることで、フリーホイールが導入されたことにより生じたギアクランクの回転慣性力の低下を解消することが試みられてきたが、根本的な解決には至っていないのが現状である。
そこで本発明は、ギアクランクの回転慣性力を間接的に補助することが可能な回転慣性力補助部材およびこれを備えた自転車の駆動輪を提供することで、フリーホイールが導入されたことにより生じたギアクランクの回転慣性力の不足分を補助することを目的とする。
前記課題を解決した請求項1に係る発明は、ペダルがそれぞれ取り付けられ、前記ペダルに入力された踏力によって駆動方向に回転する一対のクランクアームと、この一対のクランクアームと連動するスプロケットと、を有するギアクランクと、自転車の駆動輪のハブと直結し、駆動方向の回転力のみを前記ハブに伝えるフリーホイールと、前記フリーホイールのスプロケットと前記ギアクランクの前記スプロケットとの間に掛け回され、前記ギアクランクで発生した前記駆動方向の回転力を前記フリーホイールに伝える無端のチェーンと、を少なくとも有する前記駆動輪の駆動機構における前記フリーホイールの周面に突出して設けられ、前記駆動方向の回転力により前記フリーホイールと共に駆動方向に回転して、前記フリーホイールの回転慣性力を増加させることにより、当該フリーホイールと前記チェーンを介して連結された前記ギアクランクの回転慣性力を間接的に補助することを特徴とする回転慣性力補助部材である。
これによれば、乗員によってギアクランクに取り付けられたペダルに踏力が入力されると、この踏力が、ギアクランクによって駆動方向の回転力に変換される。そして、この駆動方向の回転力が、チェーンを介してフリーホイール及びフリーホイールに設けた回転慣性力補助部材に伝えられて、フリーホイール及びフリーホイールに設けた回転慣性力補助部材が駆動方向に回転する。このように、フリーホイールが駆動方向に回転するのに伴って、フリーホイールに設けた回転慣性力補助部材が駆動方向に回転することで、フリーホイールの駆動方向の回転慣性力を増加させることができる。そして、回転慣性力補助部材によって増加したフリーホイールの回転慣性力によって、チェーンが駆動方向に引っ張られるため、ギアクランクが駆動方向に回転しやすくなる。このようにして、回転慣性力補助部材によってフリーホイールの回転慣性力が増加され、このフリーホイールの回転慣性力が、チェーンを介してギアクランクに伝えられることで、ギアクランクの回転慣性力を補助することができる。つまり、回転慣性力補助部材がギアクランクの回転慣性力を間接的に補助することができる。
これにより、乗員の踏力を補助することができ、乗員が自転車を漕ぎやすくなる。また、ギアクランクの駆動方向の回転慣性力を間接的に補助することができるので、ギアクランクが駆動輪のタイヤと同じペースで回転しやすくなり、回転慣性力補助機構を設けない場合よりも長い時間、ギアクランクが駆動輪のタイヤの回転に遅れないようにすることができる。これにより、乗員が自転車を漕ぎやすくなる。
さらに、回転慣性力補助部材は、フリーホイールの周面に突出して設けられるという簡素な構成であるため、導入費用が安価となる。
またさらに、回転慣性力補助部材によって、フリーホイールの回転慣性力が増加されることで、フリーホイールに直結されたハブを駆動方向に回転させやすくなる。つまり、駆動輪の回転慣性力を増加することができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の回転慣性力補助部材の設けられる位置が前記駆動輪の半径方向における重心位置よりもハブ寄りであることを特徴とする。
これによれば、駆動輪の半径方向の重心位置よりも内側に回転慣性力補助部材を設けることで、駆動輪の質量が回転慣性力補助部材の質量の分だけ大きくなると共に、駆動輪の重心位置が、回転慣性力補助部材を設けていない場合と比べてハブ寄りの位置に移動する、つまり、駆動輪の半径方向の重心位置から回転中心までの距離が小さくなるため、回転慣性力補助部材の分だけ駆動輪の質量が増えたとしても、駆動輪の始動トルクの大幅な増加を抑制することができる。
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の回転慣性力補助部材は、リング状部材として構成され、前記フリーホイールに嵌合固定されていることを特徴とする
これによれば、回転慣性力補助部材をフリーホイールと別体のリング状部材とし、フリーホイールに嵌合固定することによってフリーホイールに設けたことで、構成が簡素となり、また、既存の自転車の構成要素を変更することなく、既存の自転車に回転慣性力補助部材を後から追加することができる。これにより、回転慣性力補助機構の導入費用を抑えることができる。さらに、フリーホイールは、駆動輪においてスポークの外側に設けられる部材であるため、駆動輪に装着された状態のフリーホイールに、回転慣性力補助部材を後から取り付け及び取り外す際の作業が行いやすいことから、回転慣性力補助部材の導入が容易となる。
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の回転慣性力補助部材が、前記フリーホイールと一体成形され、当該フリーホイールの周面から突出して設けられる円板状部材であることを特徴とする。
これによれば、回転慣性力補助部材を、回転慣性力を受けやすい円板状部材としたことにより、フリーホイールの駆動方向の回転慣性力を効果的に増大させることができ、これによって、ギアクランクの駆動方向の回転慣性力を効果的に補助することができる。また、フリーホイールと回転慣性力補助部材を一体成形したことにより、回転慣性力補助部材をフリーホイールの製造工程で同時に製造することができるので、製造工程が簡素化され、回転慣性力補助部材の導入費用を抑えることができる。さらに、部品点数を増やさずに回転慣性力補助部材を導入することができる。またさらに、フリーホイールは、スポークの外側に設けられる部材であるため、既存の自転車のフリーホイールを、回転慣性力補助部材を備えたフリーホイールに、容易に交換することができる。このように、既存の自転車に回転慣性力補助部材を容易に導入することができる。
また、請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転慣性力補助部材を備えたことを特徴とする自転車の駆動輪である。
これによれば、駆動輪のフリーホイールに設けた回転慣性力補助部材によって、フリーホイールの駆動方向への回転慣性力が増加し、この回転慣性力がチェーンを介してギアクランクに伝えられることで、ギアクランクに駆動方向への回転慣性力が補助されるので、踏力の比較的小さい利用者であっても、乗りやすい自転車となる。
本発明によれば、フリーホイールに回転慣性力補助部材を設けることによって、ギアクランクに駆動方向への回転慣性力を間接的に補助することができるので、ギアクランクに取り付けられたペダルを漕ぎやすくすることができ、自転車を乗りやすくすることができる。特に、上り坂の走行や、長距離を走行した場合の、利用者の足への負担を軽減することができる。このようにして、フリーホイールが導入されたことにより生じたギアクランクの回転慣性力の低下を解消することができる。また、構成が簡素であるため、導入費用を抑えることができる。
本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材を備える駆動輪を含む自転車の全体構成を示す概念図である。 本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材を備える駆動輪の全体構成を示す斜視図である。 (a)は、駆動輪に取り付けられた状態の本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材を含むフリーホイールを、自転車の側面から見た図であり、(b)は、駆動輪に取り付けられた状態の本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材を含むフリーホイールを、自転車の正面から見た図である。
以下、本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材について説明する。本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材は、駆動輪のフリーホイールに設けられ、ギアクランクの駆動方向の回転慣性力を間接的に補助するものである。
ここでは、本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材の詳細な説明に先立ち、駆動輪、フリーホイールおよびギアクランクの構成について図1及び図2を参照して説明する。なお、「駆動輪」とは、自転車を駆動させるための車輪のことをいい、一般的なタウン用自転車では主に後輪である。
図1及び図2に示すように、駆動輪10は、車軸16が挿通される軸部11aと、この軸部11aの両側に設けられ、スポーク14の一端側を取り付けるフランジ部11bとを備え、駆動輪10の中心部を構成するハブ11と、駆動輪10の外枠部分を構成するリム12と、リム12の外周に取り付けられるタイヤ13と、一端側がハブ11のフランジ部11bに取り付けられ、他端側がリム12に取り付けられてハブ11とリム12とを連結する細棒状部材であるスポーク14と、スポーク14の外側に設けられ、ハブ11に直結すると共にチェーン30を介してギアクランク20と連結されるフリーホイール15と、を主に備えて構成されている。この駆動輪10は、一般的なタウン用自転車の車輪を想定している。
フリーホイール15は、図3に示すように、ギアクランク20から伝えられた駆動方向の回転力をハブ11に伝えるものであり、ハブ11の一方のフランジ部11bの外側に直結する円筒状の本体部15aと、この本体部15aの一方側、つまり、駆動輪10に対して外側となる側の端部の周面に延設され、チェーン30が掛け渡されるスプロケット15bと、を有して構成されている。
本体部15aは、内径が、車軸16の外径よりも若干大きく形成されており、円筒状の空間内に、ハブ11を貫通した車軸16が挿通されるようになっている。また、本体部15aの内部には、動力を一方向のみ伝え、もう一方向への回転は空転する、いわゆるラチェット機構(図示せず)が設けられている。
なお、図3に二点鎖線で示すのは、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15の重心位置である。
図1に示すように、ギアクランク20は、自転車B本体を挟んで左右に配置されるクランクアーム21,21と、連結部材(図示せず)を介して一方のクランクアーム21と連結されるスプロケット22と、を主に備えている。
クランクアーム21は、略棒状部材であり、基端部に、自転車B本体に取り付けられる本体取付部21aを有し、先端部に、ペダル23を取り付けるペダル取付部21bを有している。また、一方のクランクアーム21は、連結部材(図示せず)を介してスプロケット22と連結されるようになっている。
このようなクランクアーム21,21は、互いに180度周期の同位相で自転車B本体の駆動軸(図示せず)に一体的に軸着されるようになっている。
スプロケット22は、チェーン30を介してペダル23,23の駆動方向の回転力をフリーホイール15に伝えるためのものである。スプロケット22は、リング状部材であって、周面が鋸刃状となっており、この周面にチェーン30が掛け渡されるようになっている。このスプロケット22は、連結部材(図示せず)を取り付けるための取付部(図示せず)を有しており、連結部材(図示せず)を介して一方のクランクアーム21と連結されている。このようなギアクランク20は、公知のものを適宜用いることができる。
以上説明したフリーホイール15と、ギアクランク20と、フリーホイール15のスプロケット15bとギアクランク20のスプロケット22に掛け回されたチェーン30と、により駆動輪10の駆動機構が構成されている。
この駆動機構は、乗員がクランクアーム21,21に取り付けられたペダル23,23に踏力を入力すると、クランクアーム21,21によって、駆動方向(自転車Bを前進させる方向)の回転力に変換され、この駆動方向の回転力がスプロケット22からチェーン30を介してフリーホイール15のスプロケット15bに伝えられて、フリーホイール15が駆動方向に回転する。さらに、この駆動方向の回転力が、フリーホイール15から車軸16を介してハブ11に伝えられて、駆動輪10全体が駆動方向に回転するようになっている。
次に、本発明の本実施形態に係る回転慣性力補助部材1について説明する。
図2及び図3に示すように、回転慣性力補助部材1は、前記したフリーホイール15の周面から突出して設けられる円板状部材である。回転慣性力補助部材1は、ここでは、図3(b)に示すように、フリーホイール15の周面の一部を突出させてフリーホイール15と一体的に形成されている。また、回転慣性力補助部材1は、外周縁部が円弧状に形成されている。このようにすると、空気抵抗を少なくすることができる。
次に、回転慣性力補助部材1の寸法について説明する。
ここで、回転慣性力補助部材1は、フリーホイール15に設けられ、チェーン30を介してフリーホイール15に伝えられた駆動方向の回転力によって、フリーホイール15と共に回転してフリーホイール15の回転慣性力を増加させることによって、ギアクランク20の回転慣性力を間接的に補助するものである。このため、ギアクランク20自体の回転慣性力、フリーホイール15自体の回転慣性力、及び、ギアクランク20とフリーホイール15との関係に応じて、ギアクランク20の回転慣性力を補助するのに必要な回転慣性力が決定される。そして、その回転慣性力を得るために必要な回転慣性力補助部材1の寸法が求められる。
そこで、回転慣性力補助部材1の寸法の詳細な説明に先立ち、一般的な26インチのタウン用自転車に適用されるギアクランクとフリーホイールとを例にとって、それぞれの回転慣性力及び両者の関係について説明する。ここでは、フリーホイールに回転慣性力補助部材1が設けられていないものとする。
まず、ギアクランクのモーメントと、フリーホイールのモーメントをそれぞれ求める。なお、モーメントは、対象物自身の質量と、対象物の回転中心から重心位置までの距離とを乗算することによって求めることができる。以下の寸法及び質量は、一般的な26インチのタウン用自転車に適用する場合を想定して設定している。
ギアクランクのモーメント(回転を生じさせる力)は、一組のクランクアームとスプロケットと一組のペダルのモーメントを合計することで求めることができる。
ここで、対象物αのモーメントMoαは、次の式(1)により求めることができる。
Figure 0005374474
式(1)において、Wは、対象物αの質量であり、Lは、対象物αの回転中心から重心位置までの距離である。
まず、一般的な26インチのタウン用自転車では、クランクアームの質量はおよそ350gである。また、クランクアームの本体取付部の中心からペダル取付部の中心までの距離は、およそ16.5cmである。クランクアームは、先端側(ペダル取付部側)から回転中心側(本体取付部側)に向かうにつれて幅広形状となっており、重心位置が若干回転中心寄りとなることから、クランクアーム21の回転中心から重心位置までの距離は、およそ8cmであると想定される。以上から、片方のクランクアームのモーメントは、350(g)×8(cm)=2800(g・cm)となる。また、一組のクランクアームのモーメントMoは、2800×2=5600(g・cm)となる。
次に、一般的な26インチのタウン用自転車では、スプロケットの質量はおよそ200gであり、スプロケットの半径はおよそ5cmである。また、スプロケットの回転中心から重心位置までの距離はおよそ3cmと想定される。以上から、スプロケットのモーメントMoは、200(g)×3(cm)=600(g・cm)となる。
さらに、一般的な26インチのタウン用自転車では、ペダルの質量はおよそ160gであり、回転中心からペダルまでの距離、すなわち、クランクアームの本体取付部の中心からペダル取付部の中心までの距離は、およそ16.5cmである。以上から、片方のペダルのモーメントMoは、160(g)×16.5(cm)=2640(g・cm)となり、一組のペダルのモーメントMoは、2640(g・cm)×2=5280(g・cm)となる。
そして、一組のクランクアームのモーメントMoと、スプロケットのモーメントMoと、一組のペダルのモーメントMoとを合計した結果、ギアクランクのモーメントMoは、11480(g・cm)となる。
一方、一般的な26インチのタウン用自転車では、フリーホイールの質量はおよそ150gであり、回転中心から重心位置までの距離はおよそ1.5cmである。以上から、フリーホイールのモーメントMoは、150(g)×1.5(cm)=225(g・cm)となる。
以上に基づいて、一般的な26インチ自転車に適用されるフリーホイールとギアクランクとを比較すると、フリーホイールは、ギアクランクに対し、質量は1/10強程度であり、モーメントは、約1/50程度であることがわかる。したがって、一般的な26インチ自転車に適用されるフリーホイールの回転慣性力は、ギアクランクの回転慣性力よりも非常に小さいといえる。しかし、その一方で、フリーホイールは、ギアクランクよりも回転バランスが良く回転慣性力を得やすい形状であるため、フリーホイール自身の回転慣性力を増やすことができれば、フリーホイールとチェーンを介して直結するギアクランクの回転慣性力を補助することが可能である。本発明は、このような着眼点から、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けてフリーホイールの回転慣性力を増加し、これによって、ギアクランクの回転慣性力を間接的に補助することを図っている。
次に、回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に設けることによって、停止する直前のギアクランク20の回転慣性力を補助するために必要な、回転慣性力補助部材1の回転慣性力について説明する。
ここでは、乗員がペダル23を漕ぐのを止めたことにより、駆動方向への回転が停止する直前のギアクランク20に対し、駆動方向の回転慣性力を補助する場合を想定する。
なお、ギアクランク20の回転慣性力Eは、次の式(2)により求めることができる。
Figure 0005374474
式(2)において、ωは、単位時間当たりのギアクランク20の回転数である。
ギアクランク20の単位時間当たりの回転数ωを1と仮定すると、回転が停止する寸前のギアクランク20の回転数ωは、およそ1/3程度か、1/4程度まで減少すると考えられる。このように回転数ωの値が小さくなると、ωの値はさらに小さくなる。従って、前記式(2)により、回転が停止する寸前のギアクランク20の回転慣性力Eは、走行時に得られるギアクランク20の回転慣性力Eの1/9〜1/16程度にまで低下することになる。
このようにギアクランク20自体の回転慣性力Eが低下すると、チェーン30の長さや質量、また、フリーホイール15のラチェット機構(図示せず)の摩擦等、ギアクランク20の回転慣性力Eに対して抵抗となる要素の影響が相対的に大きくなり、ギアクランク20の回転慣性力Eがより低下しやすくなる。
そして、チェーン30を介して直結するギアクランク20と回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15との回転バランスを良好に保ちつつ、停止する直前のギアクランク20に、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15から駆動方向への回転慣性力を補助し、さらに、駆動輪10の回転慣性力を増加させるという副次的な効果を得るためには、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイールの回転慣性力Eが、ギアクランク20の回転慣性力Eと少なくとも同等程度あれば足りると考えられる。
次に、図3を参照して、回転慣性力補助部材1の寸法の具体例を説明する。ここでは、回転慣性力補助部材1と、フリーホイール15と、ギアクランク20とをいずれも鉄製とする。
図3(a)および(b)では、回転慣性力補助部材1における重心位置Gよりも内側の部分(以下、「内側部」という)に符号1aを付し、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15における重心位置Gよりも外側の部分(以下、「外側部」という)に符号1bを付している。
またここでは、図3(a)に示すように、フリーホイール15の半径rを2.5cmと仮定した。また、回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に設けたときのデザイン性を考慮し、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15の回転中心から重心位置Gまでの距離Lを5cmと仮定した。さらに、回転慣性力補助部材1の回転中心から外周までの距離をxcmとした。またさらに、図3(b)に示すように、回転慣性力補助部材1の厚さをtとした。
また、回転慣性力補助部材1を効果的に機能させるためには、自転車Bのギアクランク20側とフリーホイール15側の回転バランスを考慮することが望ましい。自転車Bのギアクランク20側とフリーホイール15側の回転バランスを最も良好にするには、ギアクランク20側の回転部分の質量とフリーホイール15側の回転部分との質量とが、より近い値であると好ましい。ここでは、回転慣性力補助部材1の質量Wを、ギアクランク20の質量Wに最も近づけることとし、回転慣性力補助部材1の質量Wを、ギアクランク20の質量Wと同等の1200gと仮定した。ここで、ギアクランク20の質量と、回転慣性力補助部材1の質量とを略同等とすると、ギアクランク20側よりもフリーホイール15側の方が、フリーホイール15の質量の分だけ重くなる。しかし、例えば、26インチ自転車の鉄製のフリーホイール15の質量は、わずか150g程度で、回転中心から重心位置までの距離Lも1.5cm程度であり、モーメントMoも225(g・cm)と非常に小さいため、ギアクランク20側とフリーホイール15側の質量差がこの程度であれば、回転バランスにほとんど影響を与えることがない。
以上の前提に基づくと、図4に示す内側部1aについて次の式(3)の関係が成立する。
Figure 0005374474
式(3)において、左辺と右辺は共に、内側部1aの質量を表している。前記したように、ここでは、回転慣性力補助部材1の質量Wを1200gと仮定している。また、回転慣性力補助部材1は、重心位置の内側と外側とで質量が同等となる。従って、内側部1aの質量は、1200gの半分の600gとなる。
前記式(3)により、回転慣性力補助部材1の厚さtの値を求めると、厚さtは、およそ1.3cmとなる。
次に、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けたときの、回転中心から回転慣性力補助部材1の外周までの距離xの値を求める。ここで、図4に示す外側部1bについて、次の式(4)の関係が成立する。なお、ここでは、フリーホイール15と回転慣性力補助部材1(内側部1a及び外側部1b)とが、同じ比重n(n=7.9)であると仮定した。
Figure 0005374474
式(4)において、左辺と右辺は共に、外側部1bの質量を表している。前記式(3)において説明したように、外側部1bの質量は、1200gの半分の600gとなる。
そして、式(4)により、回転慣性力補助部材1の回転中心から外周までの距離xの値を求めると、xは、約6.6cmとなる。また、回転慣性力補助部材1の直径Rは、約13.2cmとなる。
以上のように、回転慣性力補助部材1を、厚さtが約1.3cm、直径Rが約13.2cmのリング状部材とすると、フリーホイール15のスプロケット15bと比較して、過度に目立ちすぎることがなく、フリーホイール15に自然に組み込まれた印象を与えることができる。このため、フリーホイール15の外観を良好に維持することができる。
次に、回転慣性力補助部材1の寸法をこのように設定した場合に得られる回転慣性力Eを求める。ここでは、フリーホイール15のスプロケット15bの歯数を14Tと仮定し、ギアクランク20のスプロケット22の歯数を32Tと仮定すると、回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eは、次の式(5)によって求めることができる。
Figure 0005374474
前記したように、回転慣性力補助部材1の質量Wを1200g、回転慣性力補助部材1を設けたフリーホイール15の回転中心から重心位置までの距離Lを5cmと仮定したので、前記式(1)により、回転慣性力補助部材1のモーメントMoは、6000(g・cm)となる。そして、前記式(5)により、回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eは、31346.9ω(g・cm)となる。
以上から、回転慣性力補助部材1の寸法をこのように設定すると、ギアクランク20の回転慣性力Eの3倍近い回転慣性力Eを得ることができることがわかる。
前記したように、停止する直前のギアクランク20に、フリーホイール15に設けた回転慣性力補助部材1から駆動方向への回転慣性力を補助するためには、回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eが、ギアクランク20の回転慣性力Eと同等以上あればよい。したがって、回転慣性力補助部材1をこのような寸法とすると、回転慣性力補助部材1から、ギアクランク20に、十分な回転慣性力を補助することができるといえる。
次に、このような寸法の回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に設けた場合に、ペダリングの負荷がどれだけ増加するのかを、ペダル23,23の質量の増加分に置き換えて説明する。ここでは、26インチの自転車のフリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けた場合を例にとって説明する。
ペダリングに直接影響を与えるのは、回転慣性力補助部材1のモーメントMoである。前記式(1)により、ここでの回転慣性力補助部材1のモーメントMoは、6000(g・cm)である。また、ペダル23の重心位置は、前記したように、クランクアーム21の本体取付部21aからペダル取付部21bまでの距離である16.5cmとなる。なお、ここでは、回転慣性力補助部材1のモーメントMoを、ペダル23,23が静止している状態から、乗員がペダル23,23を漕ぎ出すときのペダリングの負荷の増加分に置き換えるため、単位時間当たりの回転数ωは考慮しない。また、片側のペダル23の質量の増加分をWPPとする。以上に基づき、回転慣性力補助部材1のモーメントMoを、左右両側のペダル23,23の質量の増加分に置き換えると、次の式(6)のように表すことができる。
Figure 0005374474
式(6)によれば、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けたことによるペダリングの負荷は、ペダル23,23をそれぞれ180g増加させたときのペダリングの負荷と同等となることがわかる。ここで、一般的な26インチの自転車に取り付けられるペダル1つ分の質量は、前記したように160gであるので、これに、増加分の180gを足すと、ペダル1つ分の質量は340gとなる。ペダル1つ分の質量が340g程度の自転車は、実際に市場に出回っており、平均的な体力を有する成人であれば乗りこなすことが可能な範囲である。以上から、回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に設けたことによるペダリングの負荷の増加は、乗員にとって過度な負担とならない程度であるといえる。
なお、ここでは、回転慣性力補助部材1のモーメントMoを、6000(g・cm)と仮定したが、これは、回転慣性力補助部材1によって、ギアクランク20の回転慣性力の3倍近い回転慣性力を得るために必要な値である。前記したように、回転慣性力補助部材1の回転慣性力が、最低限、ギアクランク20の回転慣性力と同等であれば、停止する直前のギアクランク20の回転慣性力を間接的に補助することができるので、その範囲内で、回転慣性力補助部材1の寸法を適宜調整することができる。例えば、回転慣性力補助部材1によって、ギアクランク20の回転慣性力と同等の回転慣性力を得られるように寸法を調整した場合には、モーメントMoの値は、6000(g・cm)よりも小さくなるので、これに伴い、回転慣性力補助部材1を設けたことによるペダリングの負荷の増加を少なくすることができる。このように、乗員の体力等も考慮して、回転慣性力補助部材1の寸法を適宜調整することができる。
以上説明した回転慣性力補助部材1は、駆動輪10の半径方向の重心位置よりもハブ11寄りの位置に設けられており、半径が、駆動輪10の半径方向における重心位置から回転中心までの距離よりも小さい。これにより、回転慣性力補助部材1の分だけ駆動輪10の質量が増加したとしても、駆動輪10の始動トルクNの大幅な増加を抑制することができる。
ここで、駆動輪10の始動トルクNは、次の式(7)により表される。
Figure 0005374474
式(7)において、Lは、クランクアーム21の長さ(クランクアーム21の本体取付部21aの中心と、ペダル取付部21bの中心とを直線で結んだ距離)である。また、Fは、乗員の踏力であり、次の式(8)により表される。
Figure 0005374474
式(8)において、lは、駆動輪10の半径方向における重心位置から回転中心までの距離であり、mは、駆動輪の質量であり、ωは、駆動輪10の単位時間当たりの回転数である。
ここで、駆動輪10の重心位置よりも外側に回転慣性力補助部材1を設けると、回転慣性力補助部材1を設けていない場合に比べて、回転慣性力補助部材1の分だけ駆動輪10の質量mが増えると共に、駆動輪10の半径方向における重心位置が外側に移動する。このため、駆動輪10の半径方向の重心位置から回転中心までの距離lが大きくなり、その分、始動トルクNが増えることになる。一方、駆動輪10の半径方向における重心位置よりもハブ11寄りに回転慣性力補助部材1を設けると、回転慣性力補助部材1を設けていない場合に比べて、回転慣性力補助部材1の分だけ駆動輪10の質量mが増えるが、その一方で、駆動輪10の半径方向における重心位置がハブ11側に移動する。このため、重心位置から回転中心までの距離lが小さくなる。従って、駆動輪10の質量mが回転慣性力補助部材1の分だけ増えたとしても、駆動輪10の始動トルクNの大幅な増加を抑制することができる。
以上説明したような回転慣性力補助部材1は、フリーホイール15の製造工程で、鉄板加工により、フリーホイール15と一体的に成形することができる。
このように構成された本実施形態に係る回転慣性力補助部材1および回転慣性力補助部材1を備える自転車Bの駆動輪10によれば、次のような作用効果を得ることができる。
乗員によってギアクランク20のクランクアーム21,21に取り付けられたペダル23,23に踏力が入力されると、この踏力が、ギアクランク20によって駆動方向の回転力に変換される。そして、この駆動方向の回転力が、チェーン30を介してフリーホイール15及びフリーホイール15に設けた回転慣性力補助部材1に伝えられて、フリーホイール15及びフリーホイール15に設けた回転慣性力補助部材1が駆動方向に回転する。このようにして、回転慣性力補助部材1は、フリーホイールの駆動方向の回転慣性力を増加させることができる。そして、回転慣性力補助部材1によって増加したフリーホイール15の回転慣性力によって、チェーン30が駆動方向に引っ張られるため、ギアクランク20が駆動方向に回転しやすくなる。このようにして、回転慣性力補助部材1が増加させたフリーホイール15の回転慣性力を、チェーン30を介してギアクランク20に伝えることで、ギアクランク20に駆動方向の回転力を間接的に補助することができる。
これによれば、回転慣性力補助部材1からクランクアーム21,21に付与された駆動方向への回転慣性力によって、乗員がペダル23,23に踏力を入力しにくい位置を通過させることができるので、乗員の踏力を補助することができる。これにより、乗員がペダル23,23を漕ぎやすくなる。
また、回転慣性力補助部材1によってフリーホイール15の回転慣性力を増加させることができるので、ペダル23,23がタイヤ13と同じペースで回転しやすくなる。つまり、回転慣性力補助部材1で増加した回転慣性力がクランクアーム21,21に伝えられることで、クランクアーム21,21に駆動方向への回転慣性力を付与することができるので、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けない場合と比べて長い時間、クランクアーム21,21の回転速度がタイヤ13の回転速度に遅れないようにすることができる。これにより、乗員がペダル23,23を漕ぎやすくなる。
さらに、フリーホイール15は、駆動輪10のスポーク14の外側に設けられる部材であるため、駆動輪10への取り付け及び取り外しが容易である。これにより、回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に設けることで、既存の自転車のフリーホイールとフリーホイール15とを交換するだけで、回転慣性力補助部材1を既存の自転車に容易に導入することができる。
またさらに、回転慣性力補助部材1を、ここでは、フリーホイール15の周面の一部を突出させて設けているので、フリーホイール15の製造工程で、回転慣性力補助部材1をフリーホイール15に一体成形することができる。このため、製造工程が簡素化され、回転慣性力補助部材1の導入費用が安価となる。
さらに加えて、回転慣性力補助部材1を、駆動輪10の半径方向の重心位置よりもハブ11寄りに設けたので、回転慣性力補助部材1の分だけ駆動輪10の質量が増えたとしても、駆動輪10の始動トルク量の大幅な増加を抑制することができるので、踏力の比較的小さい乗員であっても、自転車Bを乗りやすくすることができる。
次に、本実施形態に係る回転慣性力補助部材1および回転慣性力補助部材1を備える自転車Bの駆動輪10によって得られる副次的な効果について説明する。フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けることで、駆動輪10の回転慣性力を増加させることができるという副次的な効果が得られる。
以下、26インチの自転車のフリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けた場合に、駆動輪10の回転慣性力がどの程度増加するかについて、具体的に説明する。
まず、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けない場合における、駆動輪10の回転慣性力は、次の式(9)により求めることができる。
Figure 0005374474
ここでは、駆動輪10の質量Wを2.3Kgと仮定する。また、駆動輪10の半径rは、13(インチ)となる。そして、駆動輪10の半径方向の重心位置は、おおよそ回転中心から外周までの距離(半径r)の半分程度の位置となるので、ここでは、r/2とする。以上から、前記式(9)より、26インチ自転車のフリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けない場合における、駆動輪10の回転慣性力E26は、37.97(Kg・cm・ω)となる。
次に、回転慣性力補助部材1のモーメントMoを6000(g・cm)、つまり、6(kg・cm)としたときの、回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eは、次の式(10)により求めることができる。
Figure 0005374474
なお、回転慣性力補助部材1と駆動輪10は連動して回転するので、単位時間当たりの回転数ωの割合は同じである。そして、前記式(10)により、回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eは、6(kg・cm・ω)となる。
そして、駆動輪の回転慣性力E26に占める回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eの割合は、次の式(11)により求めることができる。
Figure 0005374474
式(11)により、駆動輪の回転慣性力E26に占める回転慣性力補助部材1の回転慣性力Eの割合は、約16パーセントとなる。従って、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けたことにより、駆動輪10の回転慣性力E26が、約16パーセント増加することがわかる。
このように、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けることで、駆動輪10の回転慣性力を増加させることができるので、自転車の乗りやすさを向上させることができ、脚力が比較的小さい利用者であっても快適に利用することが可能となるという副次的な作用効果も得ることができる。特に、上り坂の走行や長距離を走行した場合の、利用者の足への負担を軽減することができる。
なお、フリーホイール15は、一方向(駆動方向)に限ってペダル23,23の駆動力を駆動輪10に伝えるものである。従って、乗員がペダル23,23を漕ぐのをやめた場合には、フリーホイール15及びフリーホイール15に設けた回転慣性力補助部材1の回転も停止し、フリーホイール15及びフリーホイール15から駆動輪10に回転慣性力が付与されなくなる。つまり、ブレーキ時には、フリーホイール15及びフリーホイール15から駆動輪10に回転慣性力が付与されなくなるので、制動力に影響を与えることがない。このように、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けると、走行時には、ギアクランク20に駆動方向への回転慣性力を間接的に補助することができ、一方、ブレーキ時には、フリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設けていない一般的な自転車と同様のスムーズな制動が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記した実施形態では、回転慣性力補助部材1を、フリーホイール15の周面に一体成形することとしたが、これに限られず、フリーホイール15と別体としてもよい。この場合、回転慣性力補助部材1を、内径が、フリーホイール15の外径と略同等か若干大きく、外径が、本実施形態と同様の寸法のリング状部材とするとよい。またこの場合、その他の寸法(厚さや質量等)は、本実施形態で説明した回転慣性力補助部材1と同様に設定することができる。これによれば、既存の自転車のフリーホイールに、回転慣性力補助部材1を後から嵌め込むだけで、既存の自転車のギアクランクの回転慣性力を補助することができる。また、既存の自転車の構成要素を変更すること必要がないため、回転慣性力補助部材1を、既存の自転車により導入しやすくなる。
また、前記した実施形態では、鉄製のギアクランク20を備える自転車のフリーホイール15に回転慣性力補助部材1を設ける場合を例にとって説明したが、これに限られず、アルミ等の軽量な素材で形成されたギアクランクを備える自転車のフリーホイールに回転慣性力補助部材1を設けてもよいことはもちろんである。
さらに、前記した実施形態では、シングルギアのフリーホイール15に、回転慣性力補助部材1を設ける場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、多段階変速ギアのフリーホイールに回転慣性力補助部材1を設けてもよいことはもちろんである。
またさらに、前記した実施形態では、26インチの自転車に回転慣性力補助部材1を設ける場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、20〜27インチの自転車に適用することができる。
1 回転慣性力補助部材
10 駆動輪
11 ハブ
12 リム
13 タイヤ
14 スポーク
15 フリーホイール
15a 本体部
15b スプロケット
16 車軸
20 ギアクランク
21 クランクアーム
21a 本体取付部
21b ペダル取付部
22 スプロケット
23 ペダル
30 チェーン

Claims (5)

  1. ペダルがそれぞれ取り付けられ、前記ペダルに入力された踏力によって駆動方向に回転する一対のクランクアームと、この一対のクランクアームと連動するスプロケットと、を有するギアクランクと、自転車の駆動輪のハブと直結し、駆動方向の回転力のみを前記ハブに伝えるフリーホイールと、前記フリーホイールのスプロケットと前記ギアクランクの前記スプロケットとの間に掛け回され、前記ギアクランクで発生した前記駆動方向の回転力を前記フリーホイールに伝える無端のチェーンと、を少なくとも有する前記駆動輪の駆動機構における前記フリーホイールの周面に突出して設けられ、前記駆動方向の回転力により前記フリーホイールと共に駆動方向に回転して、前記フリーホイールの回転慣性力を増加させることにより、当該フリーホイールと前記チェーンを介して連結された前記ギアクランクの回転慣性力を間接的に補助することを特徴とする回転慣性力補助部材。
  2. 前記回転慣性力補助部材は、
    その設けられる位置が前記駆動輪の半径方向における重心位置よりもハブ寄りであることを特徴とする請求項1に記載の回転慣性力補助部材。
  3. 前記回転慣性力補助部材は、
    リング状部材として構成され、前記フリーホイールに嵌合固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転慣性力補助部材。
  4. 前記回転慣性力補助部材は、
    前記フリーホイールと一体成形され、当該フリーホイールの周面から突出して設けられる円板状部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転慣性力補助部材。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転慣性力補助部材を備えたことを特徴とする自転車の駆動輪。
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