JP5374344B2 - 舶用ボイラ構造 - Google Patents
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Description
たとえば図7に示す舶用ボイラ1は、火炉2の天井に複数本のバーナ3を横並びに配置(図示の例では3本のバーナ3を1列に配置)した下向き燃焼方式を採用している。
以下、上述した燃焼ガス温度分布と伝熱管腐食速度との相関関係について、図8に示す舶用ボイラの減肉マップに基づいて具体的に説明する。図8に示す減肉マップは、過熱器5を構成する上下方向の伝熱管5aを火炉2の出口側から見た図であり、火炉2の幅方向に多数配列された伝熱管5aの腐食速度をマップ表示したものである。この減肉マップにおいては、幅方向を破線により分割して各伝熱管5aを示すとともに、各伝熱管5aにクロスハッチング部、ハッチング部及び白色部(ハッチングなし)を施して異なる伝熱管腐食速度領域の分布を表示している。なお、図示の伝熱管腐食速度領域は、クロスハッチング部、ハッチング部及び白色部の順に小さくなり、この場合の蒸気は、過熱器5の幅方向において紙面左側から流入する。
すなわち、過熱器5の伝熱管5aは、蒸気流入方向の下流側で、かつ、炉底部2aに近い領域で腐食速度が高くなる傾向にある。なお、図8に示す減肉マップでは、蒸気流れ方向において最も下流側となる火炉2の側壁付近よりも、火炉2の幅方向においてバーナ3が配置され、燃焼ガスの主流が通過する火炉中央側に寄った炉底部2aの近傍に、最も大きな腐食速度の領域が存在する傾向が確認される。
このような背景から、舶用ボイラにおいては、運転中の火炉内で炉底部付近に伸長する火炎状況や過熱器等の熱交換器内部へ流入する高温ガスの状況を把握することで、伝熱管に対する的確な高温酸化腐食対策を可能にすることが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転中の火炉内炉底部付近において、火炎伸張や火炉内部での火炎の偏り、熱交換器内部への高温ガス流入状況を把握し、伝熱管に対する的確な高温酸化腐食対策を可能にした舶用ボイラ構造を提供することにある。
本発明に係る舶用ボイラ構造は、火炉の上部に設置されたバーナを備え、該バーナの燃焼で発生した燃焼ガスが火炉から下流側の熱交換器群を通過して流れるように構成された舶用ボイラ構造において、前記火炉の炉底部で前記熱交換器群の直前となる位置に、耐火材の内部温度を検出する1または複数の温度検出部を耐火材内部に埋設して設置したことを特徴とするものである。
また、発明に係るバーナの制御方法は、熱交換器群を有する舶用ボイラの火炉に設けられたバーナの制御方法において、前記舶用ボイラの火炉の炉底部で、かつ前記熱交換器群の直前となる位置に設けられた耐火材内部に埋設された温度検出部により耐火材の内部温度を検出する工程と、前記検出された耐火材の内部温度に基づきバーナの燃焼条件を調整する工程と、を備えている。
また、上述した火炉内のモニタリングは、船舶の航行中(舶用ボイラの運転中)に実施されるので、停船ドッグ前に危険部位の予測や把握が可能となり、従って、高温酸化腐食の進行が疑われる伝熱管に対して必要な対策を講じることにより、局所的な高腐食速度の発生等を防止し、舶用ボイラの信頼性や耐久性を向上させることができる。
図2に示す舶用ボイラ1は、火炉2の上部に設置された複数のバーナ3を備えている。このバーナ3は、燃焼用空気を用いて供給された燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成して下流の熱交換器に供給する。なお、図中の符号3aは風箱であり、バーナ3は風箱3aの内部に配置されている。
過熱器5に導入された蒸気は、たとえば図3(b)に矢印で示すように、ガス流れ方向において下流側となるガス出口8側のヘッダ11から流入し、最初(1列目)の伝熱管5aを通ってガス流れ方向上流側のヘッダ11に流入した後、2列目の伝熱管5aを通って再度ガス流れ方向下流側のヘッダ11に流入する。以下同様に、ガス流れ方向上流側及びガス流れ方向下流側へ向けて交互に流れることにより、燃焼ガスの過熱を受けて温度上昇しながら、過熱器5の幅方向出口側へ流れていく。
あるいは、過熱器5に導入された蒸気には、図3(b)に破線矢印で示すように、ガス流れ方向において上流側となる火炉2側のヘッダ11から流入し、最初(1列目)の伝熱管5aを通ってガス流れ方向下流側のヘッダ11に流入した後、2列目の伝熱管5aを通って再度ガス流れ方向上流側のヘッダ11に流入するというように、ガス流れ方向下流側及びガス流れ方向上流側へ向けて交互に流れることにより、燃焼ガスの過熱を受けて温度上昇しながら、過熱器5の幅方向出口側へ流れていく経路もある。
従って、過熱器5の伝熱管5aを流れる蒸気は、蒸気入口側で2本のヘッダ11に接続された伝熱管5aよりも、蒸気出口側で2本のヘッダ11に接続された伝熱管5a内を流れる蒸気温度が高くなる。
このとき、耐火材20の炉内側表面から適当な深さ(距離)を有する位置に検出素子31を埋設すれば、火炉2内の高温を直接計測することを回避できるため、検出素子31の溶融等を防止することができる。なお、耐火材20の埋設位置で検出した内部温度Tは、耐火材20の温度分布に基づく補正を行うことにより、炉底部2a付近の温度推定値を略正確にモニタリングすることができる。
そして、内部温度Tが危険領域にある場合には、すなわち、監視点温度が規定値の上限温度Tuを超えて高温となる傾向を有する場合には、バーナ3の燃焼条件等を調整することにより、火炎の伸張を抑制して火炎の短炎化を図る、もしくは複数本のバーナ3の空気流量アンバランスを調整することなどにより火炎の偏り具合を是正すればよい。
また、温度検出部30により内部温度Tを計測することは、舶用ボイラ1の運転中において火炉2内の温度、より正確には炉底部2a近傍の温度をモニタリングすることになるので、このモニタリングにより高温酸化腐食の腐食速度が高いと推測される領域の伝熱管5aには、適切な保護対策を施すことが好ましい。
そこで、腐食速度の高い領域にあると推測される伝熱管5aについては、たとえば図6に示すように、伝熱管5aのガス流れ方向上流側に金属板等のプロテクタ40を取り付けることにより、高温の燃焼ガスが直接伝熱管5aに当たらないような保護対策を施すことが可能となる。図示の構成例では、伝熱管5aから所定の間隔を設けた位置に、U字ボルト・ナット41等支持具を用いてプロテクタ40を固定しているが、このようなプロテクタ40及び支持構造に限定されることはない。すなわち、腐食速度の高い領域にある伝熱管5aについて、高温の燃焼ガスが直接当たらない、もしくは火炉からの輻射熱が直接照射されないような対策を施せばよい。
なお、本発明は上述した実施形態の舶用ボイラに限定されるものではなく、たとえば蒸発管群6の下流にリヒートバーナ及びリヒートファーネスを備えた舶用ボイラ(舶用リヒートボイラ)にも適用可能であるなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 火炉
3 バーナ
4 フロントバンクチューブ
5 過熱器
6 蒸発管群
20 耐火材
30 温度検出部
40 プロテクタ
HE 熱交換器(過熱器)
Ht 伝熱管群(熱交換器群)
Claims (3)
- 火炉の上部に設置されたバーナを備え、該バーナの燃焼で発生した燃焼ガスが火炉から下流側の熱交換器群を通過して流れるように構成された舶用ボイラ構造において、
前記火炉の炉底部で前記熱交換器群の直前となる位置に、耐火材の内部温度を検出する1または複数の温度検出部を耐火材内部に埋設して設置したことを特徴とする舶用ボイラ構造。 - 前記温度検出部により運転中の火炉内温度をモニタリングし、高温酸化腐食の腐食速度が高いと推測される領域の伝熱管に保護対策を施したことを特徴とする請求項1に記載の舶用ボイラ構造。
- 熱交換器群を有する舶用ボイラの火炉に設けられたバーナの制御方法において、
前記舶用ボイラの火炉の炉底部で、かつ前記熱交換器群の直前となる位置に設けられた耐火材内部に埋設された温度検出部により耐火材の内部温度を検出する工程と、
前記検出された耐火材の内部温度に基づきバーナの燃焼条件を調整する工程と、
を備えたバーナの制御方法。
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JP2009277747A JP5374344B2 (ja) | 2009-12-07 | 2009-12-07 | 舶用ボイラ構造 |
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