JP5374304B2 - 繊維強化樹脂製チーズの成形方法 - Google Patents
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Description
この真空注入成形法については、例えば特許文献3にその基本的な技術が開示されており、これは、成形型に繊維レイアップ層を配置し、この上に樹脂分配用の注入管を配設してバッグフィルムで包被するとともに、その周囲をシールして、真空吸引されたバッグフィルム内に樹脂を注入することにより成形品とするものであり、これに類するものとして特許文献4がある。
繊維補強材を構成する強化繊維としては、例えばガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維や、アラミド繊維等の有機繊維などが挙げられ、繊維補強材としては、例えばガラスクロス、カーボンクロス、ケブラークロスなどの編織物、不織布、チョップドストランドマット、ステッチマット、ステッチクロス、それらを積層組み合わせたもの等が挙げられる。
繊維補強材としては、円筒管の外周面に直接に巻回されるバインダー形態のものや、所定の長さにカットされたシート状物等が挙げられ、このシート状物は、多数枚用いられ、それらをそれぞれ周方向に位置をずらせながら、一端のみを接着し、他端は隣り合うシート状物の外面に重なり合うように配設して周方向に沿って重ね張りされるように、略風車状に配設される。また、シート状物は、上記のように周方向に位置をずらすことに加え、さらに幅方向にもずらすか、或いは幅が少しずつ異なる繊維補強材を順次積層することにより、両端面がなだらかになるように積層するのが好ましい。シート状物のサイズとしては例えば円筒管の外周長を約2分割から6分割する長さに相当する大きさのものや、さらに高次に分割(例えば7〜50分割)して多重に重なり合うようにしたものなどが挙げられる。
このようにして、所望の繊維強化樹脂製チーズが成形される。
離型材は固化した注入樹脂の離型性を高めるものであり、注入樹脂と非接着性の材料からなるシートが好ましい。
樹脂拡散部材は注入樹脂の拡散を促進するものであり、注入樹脂を繊維補強材に偏りなく含浸させるとともに、円筒管上の所望の範囲全体に注入樹脂を拡散させうるものであり、網状のシート材が好ましい。
樹脂拡散部材は繊維補強材の種類、厚みなどの条件により、成形可能であれば使用しなくてもよい。
また、注入樹脂としては、例えば、低粘度系のビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂などが好ましい。
なお、上記成形過程において、「繊維補強材をバッグフィルムで円筒管上に気密に覆うとともに、バッグフィルム内を真空状態に減圧する減圧ラインおよびバッグフィルム内に樹脂を注入する注入ラインを接続し、バッグフィルム内に減圧下で流動性樹脂を吸引注入し、樹脂を固化する」成形について、これをインフュージョン成形ともいう。
繊維補強材2は、図5に示すように、一端が、円筒管1或いはそれに巻回されるバインダーに接着され、略風車状に配設、積層されるシート状物が好ましく、このものは、所定にカットしたものを所定の厚みになるように積層される。その際、シート状物の1枚毎の円周方向長さは、短すぎると枚数が増え作業性が悪くなり、長すぎるとシワを解消する効果がなくなるため、円周長の1/6〜1/2程度が望ましい。このシート状物は、一端のみを接着或いは糊付けし、必要長さ毎ずらして必要枚数貼り付けられる。次に、積層されたシート状物の外側から伸縮材(伸縮性不織布)3でシート状物を円筒管1或いはそれに巻回されるバインダーに沿わせながら巻き込む。この上から離型布を巻き、成形部中央に樹脂拡散媒体を巻付け、両端には減圧吸引口を設け、さらに外側をシール材を介して真空フィルムで覆う。
減圧吸引口を真空ポンプに取り付け内部を徐々に減圧していく。その際シート状物は圧縮されていくが、発生しようとするシワは接着或いは糊付けされていない他端側へ逃がすことができる。所定の真空圧にまで達し、シワがないことを確認後、樹脂注入管を内部に挿入し樹脂拡散媒体に接するように設置し、樹脂を注入する。樹脂に熱硬化性のものを使えば熱を加えて、あるいは硬化剤を樹脂に加えておけばその後硬化し、所定の形状物が成形できる。また、熱可塑性の樹脂を用いる場合は、液化するまで加温された樹脂を注入後冷却し固化させて成形する。
具体的には、例えば、円筒管1の直径:500mm、必要積層枚数:10枚、繊維補強材長さ:円周長の1/4の場合、45度カット部の円周長≒1885[略3.141×(500+700)/2として算出]、繊維補強材長さ=1885/4≒472、繊維補強材端面ずらし代(ピッチ)=472/10=47.2となり、長さ472mmの繊維補強材を47.2mmずつずらして貼り付けていき、全周で10×4=40枚貼り付けることになる。
また、略風車状に積層する方法として、所定の長さにカットされた同幅の繊維補強材を円周方向にずらしながら積層すると、円筒管と積層部の両端部に厚み分の段差ができ、高圧力円筒管の場合、応力集中が懸念される。
それを回避する方法として、図6に示すように、幅の異なる繊維補強材を順次積層することや、同幅の繊維補強材を順次幅方向にずらしながら積層すると、幅方向の端部がなだらかな厚みになり、応力集中が回避される。
例えば、幅300mmで長さ500mmの繊維補強材を10mm毎に左に順次5枚ずらして積層し、更に右に10mm毎10枚ずらして積層し、又、左に10mm毎ずらして積層し、所定厚みまで積層すると、トータル幅400mmで、左右50mm幅が順次厚みが減じ、なだらかな両端部になる。
更に、従来ハンドレイアップ成形法などで実施されているように、幅が順次異なる繊維補強材を積層することも、インフュージョン成形においても有効である。
2 繊維補強材
3 伸縮材
Claims (5)
- 一端が略45度に切断された円筒管が相互に略90度に配設されるように切断面を突合せ、固定したのち、突合せ部の外周部およびその周縁部一帯の円筒外面を繊維補強材で包被し、この繊維補強材をバッグフィルムで円筒管上に気密に覆うとともに、バッグフィルム内を真空状態に減圧する減圧ラインおよびバッグフィルム内に樹脂を注入する注入ラインを接続し、バッグフィルム内に減圧下で流動性樹脂を吸引注入し、樹脂を固化して直角曲り円筒管を成形し、次いで該円筒管の頂部をその上記原料円筒管と同等サイズで略45度に切断し、このものを、端部を略45度に切断された、上記原料円筒管と同等サイズの別の円筒管と、それらの切断面において直角につき合わせてチーズ形にし、その接合部およびその周縁部一帯の円筒外面を繊維補強材で包被し、この繊維補強材をバッグフィルムで円筒管上に気密に覆うとともに、バッグフィルム内を真空状態に減圧する減圧ラインおよびバッグフィルム内に樹脂を注入する注入ラインを接続し、バッグフィルム内に減圧下で流動性樹脂を吸引注入し、樹脂を固化することを特徴とする繊維強化樹脂製チーズの成形方法。
- 包被するのは、巻き付けにより行うことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂製チーズの成形方法。
- 巻き付けは、所定の長さに切断された多数の繊維補強材を、それぞれ円周方向に位置をずらせながら、一方の端面のみを接着して、略風車状に積層することを特徴とする請求項2に記載の繊維強化樹脂製チーズの成形方法。
- 巻き付けは、繊維補強材を幅方向にもずらすことにより、両端面がなだらかになるように積層することを特徴とする請求項3に記載の繊維強化樹脂製チーズの成形方法。
- 幅が少しずつ異なる繊維補強材を順次積層し、両端面をなだらかにすることを特徴とする請求項3に記載の繊維強化樹脂製チーズの成形方法。
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