JP5373767B2 - 誘電膜製造方法及びその誘電膜製造方法を用いたキャパシタ層形成材の製造方法 - Google Patents

誘電膜製造方法及びその誘電膜製造方法を用いたキャパシタ層形成材の製造方法 Download PDF

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Description

本件出願に係る発明は、誘電膜製造方法、その誘電膜製造方法を用いたキャパシタ層形成材の製造方法、キャパシタ層形成材、及び、キャパシタ回路に関する
特許文献1に開示されているように、近年の多層プリント配線板の内層に位置するキャパシタ回路を含むキャパシタ層は、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構造を持つキャパシタ層形成材をエッチング加工して得られるものである。そして、このときの誘電層は、一定量の電荷を蓄積するためのものであり、この誘電層の形成方法には、種々の方法が採用されている。
特に、広面積のキャパシタ層形成材を得るため、特許文献4に開示されているゾル−ゲル法を用いた方法が採用されてきた。特許文献2には、基板表面に水酸化処理を施した後、該基板上に、金属アルコキシドを原料とする酸化物誘電体薄膜を形成する酸化物誘電体薄膜の製造方法が開示されている。ここで、薄膜として形成できる酸化物誘電体は、誘電特性を有する金属酸化物であって、例えば、LiNbO、Li、PbZrTiO、BaTiO、SrTiO、PbLaZrTiO、LiTaO、ZnO、Ta等を用いるとある。この方法で得られた、酸化物誘電体薄膜は、配向性に優れ、結晶性の良好な酸化物誘電体薄膜とある。
中でも、特許文献2に開示のゾル−ゲル法を用いた誘電層の形成は、特許文献3に開示された化学的気相成長法(CVD法)、特許文献4に開示されたスパッタリング蒸着法を用いた誘電層の形成に比べ、真空プロセスを用いることも不要で、誘電層を広い面積の基板上に形成することも容易であるという利点がある。このゾル−ゲル法を用いた誘電層の形成には、スピンコート法を用いるのが一般化している。
しかし、近年は、広面積のキャパシタ層形成材に対する要求、誘電層の製膜速度を速くして生産性を向上させたいという要求がある。このことから、特許文献5に開示されたような、泳動電着法が検討されている。この特許文献5には、良好な結晶品質を有する強誘電体膜の製造方法、及びこの製造方法により得られる強誘電体膜を提供することを目的として、強誘電体原料の粒子を帯電させる工程と、帯電させた粒子を、泳動電着法により第1電極に電着させて強誘電体材料膜を形成する工程と、強誘電体材料膜を、熱処理する工程とを含む強誘電体膜の製造方法が開示されている。
先行技術文献
特表2002−539634号公報 特開平07−294862号公報 特開平06−140385号公報 特開2001−358303号公報 特開2005−34731号公報
しかしながら、特許文献5に開示の製造方法では、アモルファスの強誘電体原料の粒子を帯電させ、泳動電着法により電極に電着させて強誘電体膜を形成する際の泳動安定性に欠けるため、高密度な強誘電体膜を得ることが困難であった。
従って、本件発明では、誘電体粒子を含有した誘電体粒子含有スラリーを用いて、泳動電着法で誘電膜を形成する際の泳動安定性に優れた誘電膜製造方法の提供を目的とする。
そこで、鋭意研究の結果、本件発明者等は、以下の発明に係る泳動電着法をもって、高密度な誘電膜の形成を可能とし、この誘電膜の製造方法をもって、良好な品質のキャパシタ層形成材の提供を可能とした。
誘電膜製造方法: 本件発明に係る誘電膜製造方法は、誘電体粒子分散スラリー内に、カソード電極とアノード電極とを配置して電解することで、いずれか一方の電極上に誘電膜を形成する誘電膜製造方法であって、当該誘電体粒子分散スラリーが含有する誘電体粒子は、仮焼成した誘電体粒子であり、その平均1次粒子径が180nm以下のチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウムの基本組成を備える1次粒子が凝集した2次粒子を用いて誘電膜を形成することを特徴とする。
誘電層付下部電極形成材の製造方法: 本件発明に係る誘電層付下部電極形成材の製造方法は、上述の誘電膜製造方法を用いて、誘電層/下部電極形成層の2層構成の誘電層付下部電極形成材を製造する方法であって、以下の工程A〜工程Cを備えることを特徴とする。
工程A: 誘電膜を形成する側の電極材として、下部電極形成層となる電極材を準備する。
工程B: 仮焼成した誘電体粒子であり、その平均1次粒子径が180nm以下のものを用いて、これを溶媒に分散させ誘電体粒子分散スラリーを得る。
工程C: 下部電極形成層となる電極材と対極とを、誘電体粒子分散スラリー内に配置して、泳動電着法でいずれか一方の電極材表面に誘電層を形成し、誘電層付下部電極形成材を形成する。
キャパシタ層形成材の製造方法: 本件発明に係るキャパシタ層形成材を製造する方法であって、上述の工程A〜工程Cを経て誘電層付下部電極形成材を形成し、その後、当該誘電層付下部電極形成材の誘電層の表面に上部電極形成層を設け、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材とする工程Dを備えることを特徴とする。
キャパシタ回路: 本件発明に係るキャパシタ回路は、本件発明に係る製造方法で得られる誘電層付下部電極形成材又は本件発明に係る製造方法で得られるキャパシタ層形成材を用いて得られることを特徴とする。
本件発明に係る誘電膜製造方法を用いることによって、高密度な誘電膜の形成が可能になる。この結果、広面積の下部電極形成層の表面に、高密度な誘電膜の形成が可能で、良好な品質のキャパシタ層形成材の提供が可能になる。また、適正な製造条件を採用することにより、広面積で且つ安定した膜厚の誘電膜を得ることも可能である。
発明を実施するため最良の形態
以下、本件発明に係る誘電膜製造方法、その誘電膜製造方法を用いたキャパシタ層形成材の製造方法、キャパシタ層形成材、及び、キャパシタ回路の各形態に関して説明する。
誘電膜製造方法の形態: 本件発明に係る誘電膜製造方法は、誘電体粒子を分散させた誘電体粒子分散スラリー内に、カソード電極とアノード電極とを配置して泳動電着することで、いずれか一方の電極上に誘電膜を形成する誘電膜製造方法である。この泳動電着法を簡単に説明すれば、誘電体粒子を分散させた誘電体粒子分散スラリー内にある誘電体粒子の表面を正又は負に帯電した帯電粒子として、電解することで、当該帯電粒子を泳動させ、いずれか一方に電着させ誘電膜を形成する。この泳動電着法は、いわゆる電気泳動現象を利用したものであり、広面積の誘電膜が短時間で形成可能である。
そして、この誘電体粒子分散スラリー内に含ませる誘電体粒子として、仮焼成した誘電体粒子であり、平均1次粒子径が180nm以下の1次粒子が凝集した2次粒子を用いることが好ましい。この平均1次粒子径が180nmを超えると、泳動電着して得られる誘電膜の表面が粗くなり、均一な厚さの誘電膜の形成が困難になる。なお、粒子の凝集状態を無視して考えれば、この1次粒子が微細になるほど、平滑な泳動電着面を備える誘電膜の形成が可能になるはずである。この平均1次粒子の下限値は5nm程度である。この5nm未満の平均1次粒子径の場合には、粒子凝集が激しくなり造粒して得られる2次粒子径の調整が困難で、最終焼成を行い形成した誘電層に欠陥が生じやすくなる。また、平均1次粒子径が10nm〜30nmの誘電体粒子を用いることが、より好ましい。即ち、より細かい粒子を使用する程、後述する2次粒子の粒径も微細にすることが可能である。しかし、平均1次粒子径が10nm〜30nmの誘電体粒子を用いることが、本件発明が採用する泳動電着法において、安定した泳動安定性を得るために好適な粒径を備える2次粒子を得易くなる。なお、この2次粒子を用いることで膜厚0.1μm〜5μmの誘電層を形成することが可能になる。そして、その中でも微細な誘電体粒子を選択的に用いることで、膜厚0.1μm〜1μm未満の誘電層を形成することも可能である。
また、ここで言う誘電体粒子は、平均1次粒子径が180nm以下の誘電体粒子を凝集させ、仮焼成した後に、粒径調整した造粒粒子(2次粒子)を用いることが好ましい。ここで言う「仮焼成」は、600℃〜1000℃の範囲の温度で行うことが望ましい。
この粒子径の調整は、例えば、原料粉を用いて誘電体粒子を形成し、これを一旦仮焼成し、疑似固化した誘電体粒子を、n−ブタノール等の有機溶媒と混合し、メディアミルを用いて行うことができる。図1に、仮焼成して、メディアミルを用い、粒子分散性を高めた誘電体粒子を含有する誘電体粒子スラリーを用いて泳動電着して得られた誘電層の走査型電子顕微鏡写真を示す。そして、図2には、前述の仮焼成した誘電体粒子の粒子径調整を行うことなく、単に超音波振動で攪拌分散させた誘電体粒子を含有する誘電体粒子含有スラリーを用いて泳動電着して得られた誘電層の走査型電子顕微鏡写真を示す。この図1と図2とを対比することで、粒子径の調整を行ったスラリーを用いた誘電膜(図1)の方が、粒子径の調整を行わないスラリーを用いた誘電膜(図2)と比べて、粒径が細かく且つ粒子径が均一であることが理解できる。
また、仮焼成した粒子を用いて粒子径調整してスラリーとしたものを用いた場合と、仮焼成していない粒子を用いて粒径調整してスラリーとしたものを用いた場合とでは、泳動電着性能に顕著な差が生じる。ここで、電着泳動法における「仮焼成誘電体粒子」と「未仮焼成誘電体粒子」との泳動性能を推察できる流動電位に関して述べる。流動電位とは固体と液体との相互作用で電荷分離の生じた電気二重層に流体の流動が加わることにより生じる電位差のことである。 例えば、Ba/Sr=70/30のBST系誘電体粒子の濃度が30wt%になるようにn−ブタノールに分散させたスラリーと、アセトンとを混合してBST系誘電体粒子が10.0g/l濃度の誘電体粒子分散スラリーを調製し、PARTICLEMETRIX社製のStabiSizerを用いて測定した。このときの流動電位が、「未仮焼成誘電体粒子」を用いたスラリーの場合には16mV程度であるのに対して、「仮焼成誘電体粒子」を用いたスラリーの場合には81mVと飛躍的に高くなる。即ち、「仮焼成誘電体粒子」を用いる方が「未仮焼成誘電体粒子」を用いる場合に比べて、飛躍的に安定した泳動性能が得られることになる。また、電着泳動法に用いるスラリー中の粒子は、負に帯電するよりは、正に帯電させる方が、泳動電着性に優れる結果が得られる。
ここで、泳動電着性を評価する場合には、通常、ゼータ電位を用いることが一般化しているにも拘わらず、流動電位を用いた理由に関して述べておく。今回のスラリーの電位測定においてはスラリー濃度が高くレーザーか光が透過せず、汎用型のゼータ電位計では測定が困難であったのが理由である。しかし、ゼータ電位と流動電位とは、良好な相関があり、共に絶対値が高いほど粒子分散性がよくなり、泳動電着により良好な電着膜(表面観察、断面観察共に良好なモルフォロジーの密な膜)が得られる。よって、念のために、レーザー光を用いず測定が可能な流動電位計及び超音波式のゼータ電位計での測定を実施して確認した結果、相互の相関性があることが確認できた。
また、誘電体粒子に仮焼成を施すことにより、後述する誘電体粒子分散スラリーに用いる極性を有する有機溶媒への誘電材成分の溶出を最小限に抑制して、誘電材のストイキオメトリの変化が小さくなるため、最終的な誘電層の誘電特性の劣化も防止できる。ここで、600℃未満の温度で仮焼成しても、有機溶媒中において誘電体粒子を構成する誘電材のストイキオメトリの変化も防止し難い。一方、1000℃を超える温度で焼成すると、泳動電着法による誘電膜の表面が粗くなるため好ましくない。
更に、この誘電体粒子は、比表面積が100m/g以下が好ましい。この比表面積が100m/gを超えるようになると、スラリー化の際の分散が困難になり、帯電粒子の泳動挙動が不安定化して、泳動電着で形成する誘電膜の厚さが不安定化する傾向があるため好ましくない。そして、より好ましくは比表面積が20m/g以下である。この比表面積に関しても、特段の下限値を規定していないが、経験的に1m/g程度が下限である。この比表面積は、BET法で測定したものである。
そして、前記誘電体粒子は、ペロブスカイト型の誘電体粒子を用いる。中でも、常誘電体粒子を用いることが好ましい。ここで言うペロブスカイト型の誘電体粒子とは、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸ビスマス等の基本組成を備えるものである。中でも、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウムのいずれかの基本組成を備えるものが、特に好ましい。泳動電着法で用いる誘電体粒子として、泳動電着性が安定しているからである。なお、念のために(Ba1−x Sr)TiO(0≦x≦1)を例にとり、明記しておくが、ここで言う化学量論組成において、Aサイト元素(Ba,Sr)とBサイト元素(Ti)との比及び酸素(O)の組成は一定の範囲で変動させる場合もある。
また、ここでペロブスカイト型の誘電体粒子であるチタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の基本組成と称している理由に関して述べておく。上記ペロブスカイト型の誘電体粒子にマンガン、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、ランタン、ニオブ、マグネシウム、スズから選ばれる一種又は二種以上を含ませることもあるからである。これらの添加成分は、これらを粒界に偏析させることで、リーク電流の流路を遮断することができる。
以上のようにして得られる誘電膜は、そのままキャパシタ層形成材の誘電層として用いても構わない。しかし、事後的に最終焼成処理を行うことも好ましい。このときの最終焼成処理条件は、700℃〜1200℃の最終焼成温度で加熱し、X線回折法で分析したとき、(100)方向の結晶子サイズが50nm〜200nmの組織を備える誘電膜とすることが好ましい。(100)方向の結晶子サイズが50nm以上となると、誘電率が向上する。一方、(100)方向の結晶子サイズが200nmを超えると、キャパシタ回路に加工した際の長期使用に耐える長寿命化が達成困難になる。ここで言う結晶子サイズは、集中法で得られたX線回折データからScherrerの式を用いて算出した値である。そして、念のために記載しておくが、仮焼成温度より最終焼成温度を高くするのが通常である。
そして、以上に述べてきた誘電体粒子は、粒子表面に焼結助剤層を形成して用いることも好ましい。このように誘電体粒子が焼結助剤層を備えることで、上述の最終焼成処理での粒子同士の焼結による粒子連結を促進させることが可能だからである。この焼結助剤層は、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウムの各酸化物、これらの水酸化物、又はこれらの混合物で構成されるものである。誘電体粒子の表面への焼結助剤層の形成方法に特段の限定はない。湿式法でも、メカノケミカルな攪拌凝着法であっても構わない。
また、この焼結助剤層は、アルミネート系成分、シリケート系成分、ゲルマネート系成分のいずれかの成分又はこれらの混合成分で構成されても構わない。これらの焼結助剤層の形成は、金属アルコキシド系溶液を用いる方法で形成することも可能である。所定の成分の金属アルコキシド系溶液に誘電体粒子を浸漬し、その後加熱処理を行い、焼結助剤層付誘電体粒子を調製する。このようにして、焼結助剤層を設けた誘電体粒子を含有するスラリーを用いて形成した誘電膜を、800℃程度の温度で熱処理するとボイドの少ない誘電膜が得られる。
以上に述べてきた焼結助剤層を備えていない誘電体粒子を用いる場合には、誘電体粒子分散スラリーとして、単に有機溶媒を分散溶媒として用いることが好ましい。ここで言う「有機溶媒」には、ケトン系有機溶媒であるアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ヘキサノン等の使用が可能である。また、アルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の使用が可能である。更に、エーテル系溶媒は、エチルエーテル、メチルエーテル等の使用が可能である。これらに共通して言えるのは、出来る限り、強い極性を有する溶媒を選択使用することが好ましい。
一方、以上に述べた焼結助剤層を備える誘電体粒子を用いる場合には、前記誘電体粒子分散スラリーを構成する有機溶媒にヨウ素を含有させることが好ましい。このようにヨウ素を用いることで、有機溶媒中に分散させた誘電体粒子の粒子表面の帯電を容易にするのである。そして、このときのヨウ素濃度は、0.05g/l〜3.0g/lの範囲にあることが好ましい。ヨウ素濃度が0.05g/l未満の場合には、有機溶媒中に分散させた誘電体粒子の粒子表面の帯電を促進できないため、良好な泳動電着を行えなくなる。一方、ヨウ素濃度が3.0g/lを超えるようにしても、むしろ帯電状態が安定化せず、粒子分散性及び泳動性が低下するため好ましくない。このヨウ素の添加方法に関して、特段の限定はないが、ヨウ素純度の高い薬品を用いることが好ましい。例えば、和光純薬工業株式会社製の粒状のヨウ素タブレットを粉砕して用いる等である。また、ここで言うヨウ素濃度が0.1g/l〜0.4g/lの範囲、更に0.15g/l〜0.35g/lの範囲が、より好ましい。このようにヨウ素濃度を、より狭い範囲で制御することにより、有機溶媒中に分散させた誘電体粒子の粒子表面の帯電状態が安定化すると共に、有機溶媒中での粒子の粒子分散性及び泳動性がバランスのとれた状態になり、泳動電着安定性が飛躍的に向上する。
更に、当該誘電体粒子分散スラリーに含ませる誘電体粒子含有量に特段の限定はない。しかし、誘電体粒子を0.2g/l〜20g/lの分散濃度で含有させることが、泳動電着性が安定化するため好ましい。誘電体粒子の分散濃度が0.2g/l未満の場合には、誘電膜の形成速度が遅くなるため、工業的生産性を満足し得ない。一方、誘電体粒子の分散濃度が、20g/lを超える場合には、過剰濃度となり、表面の平滑な誘電膜が得られなくなるため好ましくない。また、誘電体粒子を5g/l〜15g/lの分散濃度で含有させることが、より好ましい。工業的に求められる速度で誘電膜を形成でき、その他の操業条件に多少の変動があっても、表面の平滑な誘電膜が安定的に得られ易いからである。
また、前記誘電体粒子分散スラリーを調製する際に、凝集した誘電体粒子の解粒を行うため、当該有機溶媒に、誘電体粒子とメディアと、必要に応じて分散剤とを共存させて、機械的に攪拌することで凝集した誘電体粒子の解粒を行うことが好ましい。このとき、誘電体成分が凝集した造粒粒子である誘電体粒子の適正な凝集状態を破壊しないように、前記誘電体粒子分散スラリーに対して、ジルコニアビーズ(2mm径)を用いて、メディア粉砕を行うようなメカニカルな手法で解粒することが好ましい。係る場合の分散剤とは、ケイ素系分散剤が挙げられる。
キャパシタ層形成材の製造形態: 本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造方法は、上述の誘電膜製造方法を用いて、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材を製造する方法であって、以下の工程A〜工程Dを備えることを特徴とするものである。
工程Aでは、誘電膜を形成する側の電極材として、下部電極形成層となる電極材を準備する。この電極材は、平面でも、一定の凹凸を備える表面でも、3次元構造体でも構わない。この誘電膜を形成する側の電極は、キャパシタ層形成材を製造する際に下部電極形成層を構成することになる。よって、下部電極形成層にふさわしい材質としては、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金のいずれか又はこれらのクラッド材を用いる。そして、この電極材の概念には、金属箔を含むものである。なぜなら、キャパシタ層形成材の下部電極形成層の厚さは、1μm〜200μm、特に10μm〜100μmであることが好ましいからである。この厚さが1μm未満では、キャパシタ回路形成材としてのハンドリング性に欠け、キャパシタ回路を形成したときの電極としての信頼性にも著しく欠ける。一方、100μmを超える厚さとすることには、実用上の要求が殆どない。また、下部電極形成層の厚さを10μm未満とする場合には、箔としてのハンドリングが困難となる。そこで、金属箔として、接合界面を介して、金属箔とキャリア箔とが張り合わせられたキャリア箔付金属箔を用いることも好ましい。係る場合のキャリア箔は、本件発明に言うキャパシタ回路形成材に加工して以降の任意の段階で除去すれば良い。
なお、ここで下部電極形成層に金属箔を用いる場合には、その表面粗さが可能な限り低粗度のものを用いることが好ましい。本件発明で用いる泳動電着法を採用すると、当該金属箔の表面に、多少の凹凸が存在しても、得られる誘電膜の膜厚均一性及び平滑表面が得られやすい。しかし、下部電極形成層として使用する金属箔の表面が、平滑になればなるほど、その上に形成する誘電膜表面の平滑性及び膜厚均一性も向上するからである。従って、表面粗さの大きな金属箔を使用せざるを得ない場合には、金属箔表面を化学研磨、物理研磨する等して、箔表面の平滑化を図ることが好ましい。
ここで言う金属箔とは、圧延法及び電解法等で得られたもの全てを含む。そして、当該金属箔の最表層に、これら銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金層のいずれかを備えた複合クラッド箔の如きものも含む。例えば、誘電膜を形成する側の電極(下部電極形成層)として、銅箔の表面に、ニッケル層若しくはニッケル合金層を備えた複合クラッド箔を用いることも可能である。しかし、下部電極形成層は、単一成分の金属層とすることが好ましい。当該下部電極形成層は、比較的に厚い層であるため、エッチング法で下部電極回路形状を形成するときに、エッチングレートの変化しない単一成分の層構成を備えていれば、ファインなキャパシタ回路の形成が可能となるからである。
この下部電極形成層のキャパシタ回路形成能を高くしてファインなキャパシタ回路を得たい場合には、銅又は銅合金(真鍮組成、コルソン合金組成等)で下部電極形成層を構成することが好ましい。微細なエッチング加工が可能な材質だからである。一方、この下部電極形成層のキャパシタ回路の耐熱強度を高くして、製造過程での熱履歴に対する耐熱性の向上を優先したい場合には、ニッケル又はニッケル合金(ニッケル−リン合金組成、ニッケル−コバルト合金組成等)で下部電極形成層を構成することが好ましい。
工程Bでは、仮焼成した誘電体粒子であり、その平均1次粒子径が180nm以下のものを用いて、これを有機溶媒に分散させ誘電体粒子分散スラリーを得る。また、このときの誘電体粒子分散スラリーは、上述の有機溶媒と誘電体粒子とのスラリーに対して、ヨウ素とを混合添加して泳動電解を行う場合もある。なお、このときのヨウ素の混合方法に関して特段の限定はない。また、このときの凝集状態にある誘電体粒子を解粒し、単分散化するためには、メディアを用いるビーズミル、流体ミル等を使用することが好ましい。
工程Cでは、カソード電極とアノード電極とを、誘電体粒子分散スラリー内に配置して、泳動電着法でいずれか一方の電極材表面に誘電膜を形成し、誘電膜付下部電極形成材を形成する。このとき、カソード電極又はアノード電極の一方が、誘電膜を形成する側の電極材となり、他方が誘電膜を形成しない側の電極となる。
この誘電膜を形成しない側の電極には、ステンレス鋼、チタン、不溶性陽極材のいずれかの成分で構成したものを用いることが好ましい。上述した誘電膜を形成する側の電極の材質との組み合わせで、本件発明に係る泳動電着法に適した分極特性が得られ、且つ、耐久性の点において良好な性能を発揮するからである。なお、これらの形状に関して特段の限定はない。
次に、本件発明に係る誘電膜製造方法において、厳密な条件限定はないが、以下の条件を採用して泳動電着を行うことが、操業安定性の観点から好ましい。前記カソード電極とアノード電極との極間距離を0.5cm〜20cmとし、印加電圧を2V〜200V、より好ましくは50V〜200Vとして電解することで、いずれか一方の電極上に誘電膜を形成することが好ましい。当該極間距離が1cm未満の場合には、極間距離が短すぎて、両極間への誘電体粒子分散スラリーの流入が不十分で、安定した泳動電着電解が行えない。一方、極間距離が20cmを超える場合には、極間距離が広くなりすぎて、誘電膜を形成する側の電極への誘電体粒子の泳動が不均一になり、良好な膜厚の誘電膜の形成が困難であると共に、電極間に負荷する電圧が大きくなるため経済性が損なわれる。以上のように、0.5cm〜20cmの極間距離を採用することを前提として、印加電圧は2V〜200Vとする。このとき印加電圧が2V未満の場合には、泳動速度が遅すぎて、工業生産的に求められる生産性を満足しない。一方、この印加電圧が200Vを超えると、泳動速度が速すぎて、形成した誘電膜の膜厚が不均一になるため好ましくない。
そして、工程Cの後に、必要に応じて、当該誘電膜付下部電極形成材を、最終焼成することも好ましい。より具体的には、700℃〜1200℃の温度で加熱焼成し、焼成後の誘電層が、X線回折法で分析した(100)方向の結晶子サイズが50nm〜200nmとなるように調整する。従って、この焼成条件に関しては、結果として、(100)方向の結晶子サイズが50nm以上となる限り、どのような条件を採用しても構わない。図3には、最終焼成処理した後に、工程Dにより上部電極形成層を設けた後の誘電層の断面を示している。そして、図4には、最終焼成処理する前の誘電層の断面を示している。この図3と図4とを対比することにより、明らかに誘電体粒子の連結状態が異なることが理解できる。
工程Dでは、当該誘電膜付下部電極形成材の誘電層の表面に上部電極形成層を設け、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材とする。このときの上部電極形成層は、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金のいずれかで構成することが好ましい。上部電極形成層としてエッチング加工性を優先させる場合には銅又は銅合金を使用し、強度を優先させる場合にはニッケル又はニッケル合金を採用することが好ましい。そして、前記上部電極形成層を構成する金属層は、厚さが1μm〜100μmであることが好ましい。この金属層の厚さが1μm未満の場合には、強度が低下するため、ハンドリングに細心の注意を要すると共に、プリント配線板の多層化プレス時のプレス圧による変形を起こす場合があり好ましくない。一方、この金属層の厚さが100μmを超える場合には、エッチング法による微細な上部電極形状の加工が困難となり、形成した上部電極回路の形状が悪くなるため好ましくない。
以上のようにして得られるキャパシタ層形成材は、泳動電着法で得られる誘電膜の中でみると、極めて高密度な誘電膜を誘電層として備えている。このキャパシタ層形成材は、平均容量密度が20nF/cm〜220nF/cm、比誘電率が20〜1000という誘電特性を備える製品の製造に好適である。
[実施例1]
この実施例では、以下の工程を経て、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材を得た。
工程A: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)として、下部電極形成層となる圧延法で製造した平均厚さ50μmのニッケル箔を準備した。なお、圧延法で製造したニッケル箔の平均厚さは、ゲージ厚さとして示したものである。
工程B: 平均1次粒子径が20nmの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子を凝集させ、850℃の温度で仮焼成した後に、粒径調整して平均2次粒子径が約80nm、比表面積18.38m/gの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子とした。そして、これをn−ブタノールに分散させた懸濁液に、有機溶媒としてアセトンを混合して、誘電体粒子濃度が10g/lとなるようにして、5min間超音波振動攪拌して誘電体粒子分散スラリーを得た。
工程C: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)とステンレス板(アノード電極)とを、当該誘電体粒子分散スラリー内に15mm離間させて配置し、印加電圧を80V、通電時間4secとして、誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)上に(Ba0.9 Sr0.1)TiOの誘電膜を形成し、誘電膜付下部電極形成材を形成した。当該誘電膜付下部電極形成材を、窒素パージ雰囲気を採用して、昇温速度5℃/secで1000℃まで昇温し、1000℃で15min保持して、最終焼成して(100)方向の結晶子サイズを54.0nmとした。なお、結晶方位は、PDFNo.05−0626の参照データを基に方位付けした。
工程D: そして、当該誘電膜付下部電極形成材の誘電層の表面にメタルマスクを載置して、スパッタリング蒸着法で当該誘電膜付下部電極形成材の誘電層の表面に、厚さ0.2μmの銅層を上部電極形成層として設け、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材とした(この状態が、図3に相当する。)。
この3層構成のキャパシタ層形成材を用いて誘電特性の評価を行った。このときの誘電層厚さは2.6μmであり、1mm×1mmの電極サイズで測定したときの平均容量密度が162nF/cm、比誘電率が456、Tanδが0.034、10Vにおけるリーク電流密度が3.9×10−8A/cmであった。
[実施例2]
この実施例では、以下の工程を経て、誘電層/下部電極形成層の2層構成の誘電層付下部電極形成材を得た。
工程A: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)として、下部電極形成層となる圧延法で製造した平均厚さ50μmのニッケル箔を準備した。なお、ニッケル箔の平均厚さは、ゲージ厚さとして示したものである。
工程B: 平均1次粒子径が20nmの(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子を凝集させ、850℃の温度で仮焼成した後に、粒径調整して平均2次粒子径が約80nm、比表面積15.42m/gの(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子とした。その後、この造粒した(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子の粒子表面に、アルミニウム系焼結助剤をコーティングし、比表面積15.42m/gのアルミニウム系焼結助剤コート(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子をn−ブタノールに分散させた懸濁液に、有機溶媒としてアセトンを混合して、誘電体粒子濃度が7.5g/lとなるようにした後、ヨウ素を0.3g/l濃度となるように含有させ、5min間超音波振動攪拌して誘電体粒子分散スラリーを得た。このときのアルミニウム成分のアルミニウム系焼結助剤コート(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子に対する固着量は、Al換算で、1.32wt%であった。
工程C: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)とステンレス板(アノード電極)とを、当該誘電体粒子分散スラリー内に15mm離間させて配置し、印加電圧を120V、通電時間2secとして、誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)上に(Ba0.7Sr0.3)TiOの誘電膜を形成し、誘電膜付下部電極形成材を形成した。そして、当該誘電膜付下部電極形成材を、大気雰囲気で封入して、昇温速度10℃/secで800℃まで昇温し、800℃で15min保持して加熱を行った。このときの誘電層厚さは2.2μmであった。この誘電膜付下部電極形成材の誘電層の断面写真を図5に示す。
[実施例3]
この実施例では、以下の工程を経て、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材を得た。
工程A: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)として、下部電極形成層となる圧延法で製造した平均厚さ50μmのニッケル箔を準備した。なお、圧延法で製造したニッケル箔の平均厚さは、ゲージ厚さとして示したものである。
工程B: 平均1次粒子径が5nmの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子を凝集させ、850℃の温度で仮焼成した後に、粒径調整して平均2次粒子径が約20nm、比表面積61.26m/gの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子とした。その後、この造粒した(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子をn−ブタノールに分散させた懸濁液に、有機溶媒としてアセトンを混合して、誘電体粒子濃度が15.0g/lとなるようにした後、ヨウ素を0.2g/l濃度となるように含有させ、5min間超音波振動攪拌して誘電体粒子分散スラリーを得た。
工程C: 誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)とステンレス板(アノード電極)とを、当該誘電体粒子分散スラリー内に15mm離間させて配置し、印加電圧を80V、通電時間4secとして、誘電膜を形成する側の電極材(カソード電極)上に(Ba0.9 Sr0.1)TiOの誘電膜を形成し、誘電膜付下部電極形成材を形成した。当該誘電膜付下部電極形成材を、窒素パージ雰囲気を採用して、昇温速度5℃/secで800℃まで昇温し、800℃で30min保持した。
工程D: そして、当該誘電膜付下部電極形成材の誘電層の表面にメタルマスクを載置して、スパッタリング蒸着法で当該誘電膜付下部電極形成材の誘電層の表面に、厚さ0.2μmの銅層を上部電極形成層として設け、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材とした。
この3層構成のキャパシタ層形成材を用いて誘電特性の評価を行った。このときの誘電層厚さは0.7μmであり、1mm×1mmの電極サイズで測定したときの平均容量密度が79.4nF/cm、比誘電率が62.2、Tanδが0.063、10Vにおけるリーク電流密度が1.6×10−6A/cmであった。
[比較例]
この比較例では、実施例1で用いた造粒粒子に代えて、平均1次粒子径が20nmの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子を凝集させた未仮焼の2次粒子とした。この未仮焼の2次粒子は、平均2次粒子径が約80nm、比表面積20.27m/gの(Ba0.9Sr0.1)TiO粒子であった。その他の工程は、実施例1と同様である。
この比較例でも、実施例と同様のキャパシタ層形成材を形成しようとしたが、その誘電層の膜厚が不均一であり、誘電膜の欠陥も多く、下部電極形成層が露出していたため、誘電特性の評価を満足に行うことが出来なかった。
[実施例と比較例との対比]
比較例の場合には、成膜速度が遅く、下部電極形成層に対する誘電層の密着性が低く、下部電極形成層の表面が露出するレベルの誘電膜の欠陥が多く見られた。これに対し、実施例の場合には、成膜速度が速く、膜厚も均一で、下部電極形成層に対する誘電層の密着性も良好で、下部電極形成層の表面が露出するレベルの誘電膜の欠陥は見られず、高密度な誘電膜が得られた。
本件発明に係る誘電膜製造方法を用いることで、高密度な誘電膜の形成が可能になる。この結果、広面積の下部電極形成層の表面に、高密度な誘電膜の形成が可能で、良好な品質のキャパシタ層形成材の量産性能が大きく向上する。
仮焼成して、メディアミルを用い粒子径調整し、粒子分散性を高めた誘電体粒子を含有する誘電体粒子スラリーを用いて泳動電着して得られた誘電層の走査型電子顕微鏡写真である。 仮焼成した誘電体粒子の粒子径調整を行うことなく、単に超音波振動で攪拌分散させた誘電体粒子を含有する誘電体粒子分散スラリーを用いて泳動電着して得られた誘電層の走査型電子顕微鏡写真である。 最終焼成処理し、上部電極形成層を設けた後の誘電層の断面写真である。 最終焼成処理する前の誘電層の断面写真である。 アルミニウム系焼結助剤をコーティングした(Ba0.7Sr0.3)TiO粒子で構成した誘電層の断面写真である。

Claims (11)

  1. 誘電体粒子分散スラリー内に、カソード電極とアノード電極とを配置して電解することで、いずれか一方の電極上に誘電膜を形成する誘電膜製造方法であって、
    当該誘電体粒子分散スラリーが含有する誘電体粒子は、仮焼成した誘電体粒子であり、その平均1次粒子径が180nm以下のチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウムの基本組成を備える1次粒子が凝集した2次粒子を用いることを特徴とする誘電膜製造方法。
  2. 前記誘電体粒子が構成する誘電体粉は、比表面積が100m/g以下の粉体特性を備えるものである請求項1に記載の誘電膜製造方法。
  3. 前記誘電体粒子は、常誘電体粒子である請求項1又は請求項2に記載の誘電膜製造方法。
  4. 前記誘電体粒子の仮焼成は、600℃〜1000℃の温度で熱処理したものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の誘電膜製造方法。
  5. 前記誘電膜は、700℃〜1200℃の温度での加熱によって、X線回折法で分析したときの(100)方向の結晶子サイズ50nm〜200nmに調整したものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の誘電膜製造方法。
  6. 前記誘電体粒子は、粒子表面に焼結助剤層を形成して用いる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の誘電膜製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の誘電膜製造方法を用いて、誘電層/下部電極形成層の2層構成の誘電層付下部電極形成材を製造する方法であって、
    以下の工程A〜工程Cを備えることを特徴とする誘電層付下部電極形成材の製造方法。
    工程A: 誘電膜を形成する側の電極材として、下部電極形成層となる電極材を準備する。
    工程B: 仮焼成した誘電体粒子であり、その平均1次粒子径が180nm以下のものを用いて、これを溶媒に分散させ誘電体粒子分散スラリーを得る。
    工程C: 下部電極形成層となる電極材と対極とを、誘電体粒子分散スラリー内に配置して、泳動電着法でいずれか一方の電極材表面に誘電層を形成し、誘電層付下部電極形成材を形成する。
  8. 前記工程Cの後に、前記誘電層付下部電極形成材を加熱焼成する焼成工程を設けた請求項7に記載の誘電層付下部電極形成材の製造方法。
  9. 上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構成のキャパシタ層形成材を製造する方法であって、
    請求項7又は請求項8に記載の工程を経て誘電層付下部電極形成材を形成し、
    その後、当該誘電層付下部電極形成材の誘電層の表面に上部電極形成層を設け、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成材の3層構成のキャパシタ層形成材とする工程Dを備えることを特徴とするキャパシタ層形成材の製造方法。
  10. 請求項7又は請求項8に記載の製造方法で得られた誘電層付下部電極形成材を用いて得られることを特徴とするキャパシタ回路。
  11. 請求項9に記載の製造方法で得られたキャパシタ層形成材を用いて得られることを特徴とするキャパシタ回路。
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