JP5372491B2 - ボールペン - Google Patents

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Description

本発明は、インキ収容筒の先端部に、筆記用ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部にボールペン用インキを直詰めしてなるボールペンである。
従来から、顔料を用いたボールペン用インキはよく知られていて、特開2003−291579号公報「布書き用ボールペン」等で開示されている。
また、インキ色を白色又はパステル色とするために、白色樹脂粒子を用いたインキ組成物を使用するボールペンとしては、特開2006−70236号公報「水性インキ組成物」が知られている。
「特開2003−291579号公報」 「特開2006−70236号公報」
しかし、一般的に用いられる顔料は、比重が高いためインキ中で顔料沈降が起こり易く、筆記不良や筆跡の濃淡が発生する問題があった。また、特許文献1では、100〜30000mPa・s(25℃)とインキ粘度が高いために、書き味が悪く、良好な筆記ができないという問題があった。
また、特許文献2では、白色樹脂粒子を用いているため、沈降速度は遅くなるが、ボールペンチップが上向きの状態で放置すると、経時により顔料が沈降して、書き出し時に白色樹脂粒子の色が得られ難い問題があった。
本発明の目的は、書き味及び筆跡が良好で、顔料が沈降しても、書き出し時に所望の色が得られやすいボールペンを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、インキ収容筒の先端部に、筆記用ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部にボールペン用インキを直詰めしてなるボールペンにおいて、前記ボールの後方に、弁座を設け、前記弁座に弁部材を移動可能に配置した弁機構を具備するとともに、前記ボールペン用インキが、着色剤として少なくとも顔料を含有してなるボールペン用インキであって、100m当たりインキ消費量が250mg〜450mgであり、前記ボールペン用インキの粘度が、20℃、剪断速度384sec−1において5mPa・s〜50mPa・s、前記弁座に弁部材を配置した状態で、前記筆記用ボールから弁部材までのインキ収容室の体積が、20mm以下であるとともに、前記弁座の後方に、第二弁座を設け、該第二弁座に第二弁部材を移動可能に配置した第二弁機構を具備したことを特徴とする。
さらにまた、前記着色剤が中空樹脂粒子であることを特徴とする。
本発明は、書き味及び筆跡が良好で、顔料が沈降しても、書き出し時に所望の色が得られやすいボールペンを提供することができた。
本発明の特徴は、ボールペンチップ又はチップホルダー内にボール弁機構を具備するとともに、100m当たりインキ消費量が250mg〜450mg、ボールペン用インキの粘度が、20℃、剪断速度384sec−1において5mPa・s〜50mPa・sにするとともに、筆記用ボールから弁部材までのインキ収容室の体積を20mm以下とすることである。
20℃において、剪断速度384sec−1において5mPa・s未満であると、筆跡に滲みが発生する可能性があり、さらに、筆跡乾燥性に影響を及ぼす可能性もある。また、インキ粘度が50mPa・sを超えると、書き味及び筆跡乾燥性も低下するとともに、前記したインキ消費量の実現が困難となるため、5mPa・s以上、50mPa・s以下、非浸透面への筆記性を考慮して、より好ましくは、10〜30mPa・sとする。尚、本発明に用いるボールペン用インキは、ニュートニアンインキであるため、剪断速度1.94sec−1にてインキ粘度を測定しても、略同等の粘度を示す。
また、100m当たりのインキ消費量が250mg未満では、筆跡濃度が薄くなる傾向であるとともに、100m当たりのインキ消費量が450mgを超えると、筆跡乾燥性が悪く、擦過性が低下するため、100m当たりインキ消費量は250mg以上、450mg以下、好ましくは、300mg以上、450mg以下とする。
また、本発明は、着色剤として顔料を用いているが、顔料の沈降の発生を抑制するためには、顔料分散剤の配合や粘度調整が考えられる。しかし、剪断速度384sec−1において50mPa・s以下の低粘度のボールペン用インキでは、顔料の沈降を防止できない。特に金属顔料は、比重が高く、前記した顔料の沈降が顕著である。こうした顔料の沈降が発生すると、書き出しから顔料が沈降している部分までインキが消費されないと、顔料の色が表示されないといった不具合が発生する。
こうした問題を鑑みて、書き出した後に、できるだけ早く顔料の色を表示するために、本発明では、筆記用ボールの後方に、ボール弁機構を具備し、弁座に弁部材を配置した状態で、筆記用ボールから弁部材までのインキ収容室の体積が、20mm以下であることを特徴とする筆記用ボールから弁部材までのインキ収容室の体積が、20mm以下、さらに好ましくは、10mm以下にする。これは、顔料が沈降する部分の体積を制限することで、書き出した後に、できるだけ早く顔料の色を表示し、筆跡濃度を復帰するものである。但し、体積が小さすぎると弁機構の設置が困難であるため、1mm以上とすることが好ましい。
インキ消費量が多い程、インキ収容室内のインキを消費するための筆記距離を短くすることができるので好ましいが、前述の通り、消費量が多すぎると、筆跡乾燥性の悪化等、筆跡に影響が発生する恐れがあるため、インキ消費量は、250mg〜450mgとする。
また、100m当たりのインキ消費量は、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度65°、筆記荷重100gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100m当たりのインキ消費量としてある。
さらに、インキ収容室内のインキを消費した後に、顔料が沈降している部分までインキが消費されないと、顔料の色が表示されないため、前記弁機構の後方に、第二弁座を設け、該第二弁座に弁部材を移動可能に配置した第二弁機構を具備することが好ましい。第二弁機構を具備することによって、弁部材及び第二弁部材が、弁座及び第二弁座に配置した状態で、弁部材から第二弁部材までの第二インキ収容室を設けることにより、第二弁部材より後方へのインキ流通を遮断し、インキ収容室内のインキを消費した後に、顔料が沈降する部分の体積を制限することで、できるだけ早く顔料の色を表示することができる。
また、インキ収容室のインキを消費している間に、沈降していた第二インキ収容室のインキの顔料が、顔料の自重及び第二弁部材の移動による撹拌によって、復帰するので、弁部材までのインキを消費した後に、顔料が沈降した薄い筆跡となることを抑制することができる。
第二インキ収容室の体積は、特に限定されないが、インキ収容室内のインキを消費するのに必要な時間等を考慮して、10mm〜50mmすることが好ましく、20mm〜40mmが最も好ましい。
さらにまた、ボールペンチップ又はチップホルダーの後端部をインキ収容筒内に延設し、ボールペンチップ又はチップホルダー後端部とインキ収容筒の内壁に、環状空間を形成し、ボールペンチップ又はチップホルダー後端部に、弁機構を具備することによって、インキ収容室内のインキを消費した後に、インキ収容筒内の先端部にある上積み部分のインキが追従せず、それより後方のインキが消費されるため、早く顔料の色を表示し、筆跡濃度を復帰することができるので好ましい。
本発明における弁機構とは、チップ先端部が上向きの状態で、弁座にボール等の弁部材が載置してインキ流路を遮断し、筆記時等、チップ先端部が下向きの状態で、弁部材が、弁座から離脱してインキ流路を解放する機構のことである。
また、インキ収容室の体積とは、ボールペン用インキが収容される空間の体積を示すものであり、弁部材及びチップ内にコイルスプリング等を配設した場合は、コイルスプリング等の体積を除いた部分の体積を示すものである。
本発明に用いる着色剤については、少なくとも顔料を含有していれば、染料を併用して用いることができる。顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられる。具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、可逆性熱変色顔料等が例示できる。また着色樹脂粒子や無色樹脂粒子を、顔料もしくは染料で着色したもの等も用いることもできる。これらの顔料の含有量は、経時安定性を考慮して、インキ組成物全量に対し、1質量%以上、30質量%以下が好ましい。単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。また、染料としては、従来からボールペンに採用されている水溶性染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能であり、染料の含有量は、インキ組成物全量に対し、1質量%以上、10質量%以下が好ましい。
前述した顔料の中でも中空樹脂粒子を用いることが最も好ましい。これは、中空樹脂粒子は、一般に用いられる顔料とは異なり、粒子内部に空隙を有し、かつ粒子の外殻は、ポリマーで架橋された中空状のポリマー層であり、前記粒子内部に空隙を有したものである。粒径が大きく、比重が高い酸化チタン等の顔料とは異なり、粒子内部を空隙にすることで、比重を低くできるため、沈降を抑制できるためである。
また、中空樹脂粒子の外殻のポリマー層はとしては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、架橋型スチレン−アクリル樹脂等のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、マレイン系樹脂などが挙げられる。また、上記中空樹脂粒子は、単独又は2種以上組み合わせて混合して使用してもよい。具体的には、アクリル系樹脂としては、MH5055、MH5055A(日本ゼオン(株)社製)、SX863(A)、SX864(B)、SX865(B)、SX866(A)、SX866(B)、SX8782(D)、AE865(JSR(株)社製)、ロイペークOP−62、同OP−84J、同OP−91、HP1055(ローム アンドハース ジャパン(株)社製)等や、それらを加工した中空樹脂粒子を用いたものが挙げられ、これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、前述した顔料を分散する分散剤としては、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等や、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の水溶性樹脂を添加することができる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。この中でも分散性能と定着性能を兼備していれば、粘度制限のあるインキ組成物を構築する上で最も効率的な処方となるため、分散性能と乾燥後の定着性能を兼備したアクリル系樹脂を用いることが最も好適である。
アクリル系樹脂としては、ジョンクリル52、同57、同60、同61J、同62同63、同67、同70、同354、同501、同586、同587、同678、同680、同682、同683、同690、同6610、HPD−71、同−96、同671、PDX−6102B等(ジョンソンポリマー(株)社製)、ポリビニルピロリドンとしては、PVP K−15、同−30、同−90、同−120等(アイエスピー・ジャパン(株)社製)が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明において、ボールペンに一般的に採用されている有機溶剤を用いることができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3―メトキシブタノール、3―メトキシー3―メチルブタノール等のグリコールエーテル類などが例示でき、これらを1種もしくは2種以上混合して用いることができる。
また、濡れ性の向上及び書き味向上のため、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アセチレングリコール系、リン酸エステル系、フッ素系、シリコーン系などが挙げられ、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
その他として、トリエタノールアミン等のpH調整剤、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防菌剤、尿素、ソルビット等の保湿剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤を添加することができる。
実施例1
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明するが、本発明のボールペンは実施例に限定されるものではない。尚、図面中同じ部材、同じ部品については同じ番号を付してある。
図1、図2に示すボールペン1は、筆記用ボール5を回転自在に設けたボールペンチップ4を、チップホルダー3を介して、インキ収容筒2の先端開口部に装着してある。また、筆記用ボール5は、コイルスプリング6によりチップ先端縁の内壁に押圧してある。
また、インキ収容筒2の内部には、ボールペン用インキ10と該インキの後端に当接しインキの消費と共に追従するグリース状のインキ追従体11が直詰めしてある。
チップホルダー3内には、弁座3aを設けてあり、この弁座3aにボールからなる弁部材7を移動可能に配置して、弁機構を具備してある。弁座3aに筆記用ボール5を配置した状態で、コイルスプリング6の体積を除いた筆記用ボール5から弁部材7までのインキ収容室B1の体積は、18mmであった。
また、インキ収容室B1の後方となるチップホルダー3の後端部内に、第二弁座8aを有する被弁部材8を装着し、この第二弁座8aにボールからなる第二弁部材9を移動可能に配置して第二弁機構を具備してある。弁部材7及び第二弁部材9が、弁座3a及び第二弁座8aに配置した状態で、弁部材7から第二弁部材9までの第二インキ収容室B2の体積は、30mmであった。
インキ収容室B1のインキを消費した後に、第二インキ収容室B2のインキが筆記用ボール5に到達することになるが、第二弁部材9によって、それより後方へのインキ流通を遮断し、顔料が沈降する部分の体積を制限することで、できるだけ早く顔料の色を表示することができるので好ましい。
また、インキ収容室B1のインキを消費している間に、沈降していた第二インキ収容室B2のインキの顔料が、顔料の自重及び第二弁部材9の移動による撹拌によって、復帰するので、第一インキ収容室B1のインキを消費した後に、顔料が沈降した薄い筆跡となることを抑制することができる。尚、筆記時には、弁部材7、9は、チップホルダー3内のリブ3b、3cに当接し、ボールペンチップ4内へのボールペン用インキの流通は可能としてある。
また、チップホルダー3の後端部を前記インキ収容筒2内に延設し、チップホルダー3後端部とインキ収容筒2の内壁に、環状空間Kを形成することによって、第二インキ収容室B2のインキを消費した後に、インキ収容筒2内の先端部の上積み部分より後方のインキが消費されるため、第二インキ収容室B2のインキを消費した後に、顔料の色を表示しやくすることができる。
実施例1のボールペン用インキ10は、着色剤として中空樹脂粒子、MH5055(日本ゼオン(株)社製)と、蛍光顔料、LUMIKOL NKW−6000EシリーズのNKW−6007E(日本蛍光化学(株)社製)、樹脂エマルジョンとして、AE883(JSR(株)社製)、水溶性樹脂として、ジョンクリル57(ジョンソンポリマー(株)社製)、アセチレングリコール系界面活性剤として、ダイノール604(エアープロダクツ ジャパン(株)社製)、その他、防錆潤滑剤、防錆剤、pH調整、防菌剤を採用し、これを所定量秤量して、50℃加温しながら、ディスパー攪拌機を用いて撹拌させ、インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りであった。尚、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度384sec−1にてインキ粘度を測定したところ、18.0mPa・sであった。
具的的なインキ配合は、以下の通りである。
インキ組成1
中空樹脂粒子(MH5055)(固形分:30%) 60.0質量%
樹脂エマルジョン(AE883)(固形分:55%) 15.0質量%
水溶性樹脂(ジョンクリル57)(固形分:55%) 14.0質量%
アセチレングリコール系界面活性剤(ダイノール604) 0.8質量%
着色剤(NKW−6007E)(固形分:34%) 8.0質量%
防錆潤滑剤(プライサーフ208F) 0.5質量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量%
pH調整(トリエタノールアミン) 1.0質量%
防菌剤(プロキセルXL−2S) 0.2質量%
表1に示すように各成分を変更した以外は、インキ組成1と同様な手順でインキ組成2〜4のインキ組成物を得た。
表1
Figure 0005372491
試験及び評価
インキ組成1〜4で作製したボールペン用インキを、実施例1、または、図示はしていないが、実施例1と同様にして得た、弁機構を具備したボールペンのインキ収容筒内に充填し、インキ収容室までの体積、インキ粘度、インキ消費量が本発明の範囲であるものを実施例1〜4とし、弁機構のない従来のボールペンに充填したもの、インキ粘度、インキ消費量等、本発明とは異なるものを比較例1〜4として、下記試験を行い評価した。
表2
Figure 0005372491
顔料沈降試験:ボールペンチップを上側にし、常温にて1か月放置後、筆記試験用紙1(黒色上質紙)に手書き筆記を行った後、筆跡の濃度を目視にて観察した。
書き出しから2cm以内に筆跡に濃度の変化が無くなったもの ・・・◎
書き出しから5cm以内に筆跡に濃度の変化が無くなったもの ・・・○
筆跡に濃度の変化が無くなるまで、書き出しから5cmを超えたもの・・・× とした。
筆跡かすれ試験:走行試験機(筆記試験用紙2(JIS P3201)、筆記角度65°、筆記荷重100g、筆記速度4m/minの速度)にて筆記した筆跡を目視にて観察した。
筆跡にかすれが出ないもの ・・・◎
筆跡にかすれが出るが、実用上問題ないもの ・・・○
筆跡にかすれがひどく出て、実用性に乏しいもの・・・× とした。
筆跡滲み試験:走行試験機(筆記試験用紙2(JIS P3201)、筆記角度65°、筆記荷重100g、筆記速度4m/minの速度)にて筆記した筆跡を目視にて観察した。
筆跡に滲みが出ないもの ・・・◎
筆跡に滲みが出るが、実用上問題ないもの ・・・○
筆跡に滲みひどく出て、実用性に乏しいもの・・・× とした。
筆跡乾燥性試験:筆記試験用紙2(JIS P3201)に手書き筆記を行った後、筆跡の上に500gの荷重をかけた筆記用紙を重ね、荷重をかけた筆記用紙へのインキの転写具合を目視にて観察した。
紙面に殆どインキが転写されないもの ・・・◎
紙面に微小に転写されるが、実用上問題ないもの・・・○
紙面にインキが転写され、実用性に乏しいもの ・・・× とした。
実施例1〜4では、ボールペン用インキの粘度、100m当たりインキ消費量、インキ収容室の体積が、本発明の範囲内にあるため、実用上問題のないレベルの性能が得られた。
比較例1では、弁部材を配設していないため、顔料が沈降してしまい、筆跡が同等になるまでに、5cm以上、具体的には、20cm掛かってしまったため、実用性に乏しかった。
また、比較例2は、100m当たりのインキ消費量が450mgを超えているため、筆跡乾燥性が悪く、擦過性が低下し、比較例3では、100m当たりのインキ消費量が250mg未満であったため、筆跡濃度が薄く、筆跡にかすれが発生した。
比較例4は、20℃において、剪断速度380sec−1におけるインキ粘度が5mPa・s未満であるため、筆跡に滲みが発生しまい、さらに、筆跡乾燥性も悪かった。また、比較例5では、インキ粘度が50mPa・sを超えているため、筆跡にかすれが発生し、さらに筆跡乾燥性が低下した。
尚、本実施例では、便宜上、弁部材としてボールを用いているが、チップ先端部が上向きの状態で、弁座に弁部材7が載置してインキ流路を遮断し、筆記時等、チップ先端部が下向きの状態で、弁部材が、弁座から離脱してインキ流路を解放するものであれば、形状は特に限定されない。弁部材としてボールを用いることで、方向性がなく、弁座に弁部材が載置してインキ流路を遮断しやすいので最も好ましい。
また、本実施例では、便宜上、チップホルダー内に弁座を形成しているが、ボールペンチップ内やインキ収容筒内に弁座を形成してもよい。また、図示はしていないが、第二弁機構の後方に、第三の弁機構を設けても良く、第三弁機構の後方に第四の弁機構を設ける等、二つ以上の弁機構を具備してあってもよい。
本発明のボールペンは、キャップ式、ノック式等、ボールペンとして広く利用することができ、顔料が沈降しても、復帰までの時間が省略できるので、縦置きにて保管できるなど、保管状態を気にせず用いることができる。
実施例1におけるボールペンの縦断面図である。 図1における一部省略した拡大縦断面図である。
符号の説明
1 ボールペン
2 インキ収容筒
3 チップホルダー
3a 弁座
4 ボールペンチップ
5 筆記用ボール
6 コイルスプリング
7 弁部材
8 被弁部材
8a 第二弁座
9 第二弁部材
10 ボールペン用インキ
11 インキ追従体
B1 インキ収容室
B2 第二インキ収容室

Claims (2)

  1. インキ収容筒の先端部に、筆記用ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを、直接又はチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部にボールペン用インキを直詰めしてなるボールペンにおいて、前記ボールの後方に、弁座を設け、前記弁座に弁部材を移動可能に配置した弁機構を具備するとともに、前記ボールペン用インキが、着色剤として少なくとも顔料を含有してなるボールペン用インキであって、100m当たりインキ消費量が250mg〜450mgであり、前記ボールペン用インキの粘度が、20℃、剪断速度384sec−1において5mPa・s〜50mPa・s、前記弁座に弁部材を配置した状態で、前記筆記用ボールから弁部材までのインキ収容室の体積が、20mm以下であるとともに、前記弁座の後方に、第二弁座を設け、該第二弁座に第二弁部材を移動可能に配置した第二弁機構を具備したことを特徴とするボールペン。
  2. 前記着色剤が、中空樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
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