JP5369705B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、通信装置に関し、特にプロセス制御システムにおいて、上位制御装置とフィールドバスに接続されたフィールド機器との間のデータ通信を中継するために用いられる通信装置に関する。
従来から化学プラント等で使用されるプロセス制御システムでは、上位制御装置とフィールドバスに接続されたフィールド機器との間のデータ通信を中継する通信装置として、フィールドバス通信モジュール(以下、通信モジュールと略す)を設置することが一般的である(下記特許文献1参照)。
この通信モジュールは、上位制御装置から送信される制御信号をフィールドバスの通信プロトコルに準拠する信号に変換して、各種のフィールド機器に送信する一方、各種のフィールド機器から得られたプロセスデータを上位側の通信プロトコルに準拠するデータに変換して、上位制御装置に送信する機能を有している。
さらに、この通信モジュールは、上位システム(ユーザが使用する監視用端末など)による監視・保全を目的として、フィールドバスの通信環境に関する測定値を時系列的に取得し、内部メモリの測定値記憶領域にFIFOバッファ方式(ロータリバッファ方式)によって順次記憶する機能を有している。通信モジュールは、上位システムの要求に応じて、上記のように記憶した測定値を上位システムに送信する。
なお、ここで通信環境に関する測定値とは、通信不能などの重大な通信異常には至らない、軽微な通信異常(例えば、データの再送など)の発生回数を指す。具体的には、例えば、測定値記憶領域に1時間分の測定値が記憶可能であると想定すると、10秒間に発生したデータの再送などの軽微な通信異常をカウントして、そのカウント値をその10秒間における通信環境の測定値として取得して測定値記憶領域に記憶し、これを10秒間隔で360回繰り返すことにより、測定値記憶領域に1時間分の測定値を記憶する。
特開2005−122592号公報
上記のように、従来では、通信環境に関する測定値を通信モジュールの内部メモリにおける測定値記憶領域の容量分(例えば1時間分)だけ保存しておくことは可能であるが、FIFOバッファ方式で測定値を記憶するが故に、1時間分の測定値を書き込んだ後に先頭アドレスから次の1時間分の測定値が順次上書きされることになる。
従って、ユーザがフィールドバス上の通信異常発生時にタイムリーに測定値を取得可能な環境に置かれているとは限らない(監視用端末の前にユーザが常駐していない等)ため、異常解析に必要な測定値の取得時期を逃してしまうと、測定値が上書きされてしまい、異常解析を行うためには、次に同じような現象(測定値の変動など)が再現するのを待つ必要がある。また、場合によっては同じような現象が再現せず、結局、異常解析に必要な測定値を得られなくなる可能性もある。
このような問題に対して、通信モジュールの内部メモリの容量を大きくすることも考えられるが、1日単位や1月単位、若しくは1年単位で測定値を記憶するには膨大な容量を有する内部メモリが必要となり、その場合、コストの大幅な増大及び装置サイズの大型化を招くという他の問題が発生する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、コストの増大及び装置サイズの大型化を最小限に抑えつつ、通信環境に関する測定値を長期保存可能な通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の通信装置は、時系列的に取得した通信環境に関する測定値を記憶するための測定値記憶部を備える通信装置であって、前記測定値を前記測定値記憶部の短期記憶領域に順次記憶する一方、前記短期記憶領域の全領域の更新が完了する度に当該全領域の測定値の積算値を長期記憶領域に順次記憶し、所定の閾値を超えた前記測定値がある場合には前記通信環境における異常発生を判断し、異常発生時の測定値の前後の測定値の変動傾向を基に詳細情報記憶領域に対するコピー優先度を判断し、該コピー優先度が高い場合に異常発生時の測定値を含む前後の測定値群を前記短期記憶領域から前記詳細情報記憶領域にコピーする制御部を備えることを特徴とする。
また、本発明の通信装置において、前記短期記憶領域は、1時間分の測定値を記憶可能な容量を有し、前記長期記憶領域は、前記短期記憶領域の1時間分の積算値を24時間分記憶可能な容量を有する第1長期記憶領域と、前記第1長期記憶領域の24時間分の積算値を1月分記憶可能な容量を有する第2長期記憶領域と、前記第2長期記憶領域の1月分の積算値を1年分記憶可能な容量を有する第3長期記憶領域とに区分されており、前記制御部は、前記測定値を前記短期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶する一方、前記短期記憶領域の1時間分の更新が完了する度に当該1時間分の積算値を前記第1長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、前記第1長期記憶領域の24時間分の更新が完了する度に当該24時間分の積算値を前記第2長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、前記第2長期記憶領域の1月分の更新が完了する度に当該1月分の積算値を前記第3長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶することを特徴とする。
また、本発明の通信装置において、前記制御部は、上位制御装置とフィールドバスに接続されたフィールド機器との間のデータ通信を中継する機能を有し、前記フィールドバスの通信環境に関する測定値を取得することを特徴とする。
本発明によれば、測定値を測定値記憶部の短期記憶領域に順次記憶する一方、前記短期記憶領域の全領域の更新が完了する度に当該全領域の測定値の積算値を長期記憶領域に順次記憶するため、測定値記憶部の容量増大を最小限に抑えることができる。その結果、コストの増大及び装置サイズの大型化を最小限に抑えつつ、通信環境に関する測定値を長期保存可能な通信装置を実現可能となる。
本発明の一実施形態に係る通信モジュールCM(通信装置)を備えたプロセス制御システムの構成概略図である。 通信モジュールCMの動作に関する第1説明図である。 通信モジュールCMの動作に関する第2説明図である。 通信モジュールCMの動作に関する第3説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る通信モジュール(通信装置)を備えるプロセス制御システムの構成概略図である。この図1において、符号CMは通信モジュール、符号FBはフィールドバス、符号F1〜Fnはフィールド機器、符号CTはコントローラ(上位制御装置)、符号CBは制御バス、符号UTは監視用端末である。
このようなプロセス制御システムにおいて、通信モジュールCMは、フィールドバスFBを介して各フィールド機器F1〜Fnと通信可能に接続されていると共に、コントローラCTと通信可能に接続されている。また、コントローラCTは、制御バスCBを介して監視用端末UTと通信可能に接続されている。
フィールドバスFBは、例えばFoundation Fieldbus FF-H1やProfibus-PAなどのフィールドバス通信プロトコルに準拠したデータ通信用バスである。フィールド機器F1〜Fnは、例えば化学プラント等の各種プロセス装置に設置された温度計や流量計、電子制御弁などの計測機器やプロセス制御機器である。これらフィールド機器F1〜Fnは、計測データ(温度や流量等のプロセスデータ)をフィールドバスFB及び通信モジュールCMを介してコントローラCTに送信する。また、フィールド機器F1〜Fnは、コントローラCTから通信モジュールCM及びフィールドバスFBを介して受信した制御信号に応じて、プロセス制御(例えば電子制御弁の開閉等)を行う。
コントローラCTは、内部メモリに記憶されたプロセス制御プログラム及び監視用端末UTから制御バスCBを介して送信される指示信号に基づいて、通信モジュールCM及び各フィールド機器F1〜Fnを制御することにより、プロセス制御システムの全体動作を統括制御するものである。具体的には、このコントローラCTは、フィールド機器F1〜Fnに対して通信モジュールCM及びフィールドバスFBを介して制御信号を送信する。また、コントローラCTは、フィールド機器F1〜FnからフィールドバスFB及び通信モジュールCMを介して受信したプロセスデータを監視用端末UTに送信すると共に、プロセスデータに基づいて各フィールド機器F1〜Fnを制御する。
制御バスCBは、監視用端末UTなどからなる上位システムで使用される通信プロトコルに準拠したバスであり、例えばLAN(Local Area Network)やイントラネット用のバスである。監視用端末UTは、ユーザインタフェースとして使用されるPC(Personal Computer)等の端末であり、ユーザによる操作入力に応じた指示信号を制御バスCBを介してコントローラCTに送信したり、コントローラCTから送信されるプロセスデータや後述する通信モジュールCMから送信される通信環境測定データをディスプレイ上に表示する機能を有する。
通信モジュールCMは、コントローラCTとフィールドバスFBに接続された各フィールド機器F1〜Fnとの間のデータ通信を中継するために用いられる通信装置であり、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、フラッシュメモリ4及び送受信回路5を備えている。
CPU1は、ROM2に記憶された制御プログラムに従って、通信モジュールCMの全体動作を統括制御するものである。具体的には、このCPU1は、制御プログラムを実行することで、コントローラCTと各フィールド機器F1〜Fnとの間のデータ通信を中継する機能と、時系列的にフィールドバスFBの通信環境に関する測定値を取得する通信診断機能とを備える。
ここで、CPU1におけるデータ通信の中継機能とは、送受信回路5を制御することにより、コントローラCTから送信される制御信号をフィールドバスFBの通信プロトコルに準拠する信号に変換して、各フィールド機器F1〜Fnに送信する一方、各フィールド機器F1〜Fnから受信したプロセスデータを上位システム側の通信プロトコルに準拠するデータに変換して、コントローラCTに送信する機能を指す。
また、CPU1における通信診断機能とは、送受信回路5の通信動作を監視することで、フィールドバスFBの通信環境に関する測定値を時系列的に取得し、その取得した測定値をフラッシュメモリ4に記憶する機能を指す。ここで、通信環境に関する測定値とは、通信不能などの重大な通信異常には至らない、軽微な通信異常(例えば、データの再送など)の発生回数を指す。本実施形態において、CPU1は、10秒間に発生したデータの再送などの軽微な通信異常をカウントして、そのカウント値をその10秒間における通信環境の測定値として取得するものとする。
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラムやその他の設定データを記憶する読み出し専用の不揮発性メモリである。RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種演算処理を行う際に、データの一時保存先に用いられる揮発性のワーキングメモリである。フラッシュメモリ4は、CPU1による制御に応じて上記の測定値を記憶する書き換え可能な不揮発性メモリである。
本実施形態において、フラッシュメモリ4の全記憶領域は、1時間分の測定値を記憶可能な容量を有する短期記憶領域と、短期記憶領域の1時間分の積算値を24時間分記憶可能な容量を有する第1長期記憶領域と、第1長期記憶領域の24時間分の積算値を1月分記憶可能な容量を有する第2長期記憶領域と、第2長期記憶領域の1月分の積算値を1年分記憶可能な容量を有する第3長期記憶領域と、異常発生時の測定値を含む前後の測定値群を短期記憶領域からコピーするための詳細情報記憶領域とに区分されているものとする。
つまり、CPU1は、10秒間隔で取得した測定値を短期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶する一方、短期記憶領域の1時間分の更新が完了する度に当該1時間分の積算値を第1長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、第1長期記憶領域の24時間分の更新が完了する度に当該24時間分の積算値を第2長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、第2長期記憶領域の1月分の更新が完了する度に当該1月分の積算値を第3長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶する。
また、CPU1は、測定値が所定の閾値を超えたか否かを監視することで通信環境における異常発生の有無を判断し、異常発生時の測定値を含む前後の測定値群を短期記憶領域から詳細情報記憶領域にコピーする。この際、CPU1は、測定値の変動傾向を基に詳細情報記憶領域に対するコピー優先度を判断し、コピー優先度が高い場合に短期記憶領域から詳細情報記憶領域への測定値のコピーを実行する機能を有する。
また、CPU1は、監視用端末UTの要求に応じて、フラッシュメモリ4の短期記憶領域及び詳細情報記憶領域に記憶された測定値と、第1長期記憶領域、第2長期記憶領域及び第3長期記憶領域に記憶された積算値とを通信環境測定データとして、コントローラCT及び制御バスCBを介して監視用端末UTに送信する。
送受信回路5は、CPU1による制御に応じて、コントローラCTから送信される制御信号をフィールドバスFBの通信プロトコルに準拠する信号に変換して、各フィールド機器F1〜Fnに送信する一方、各フィールド機器F1〜Fnから受信したプロセスデータ及び通信環境測定データを上位システム側の通信プロトコルに準拠するデータに変換して、コントローラCTに送信する。
次に、上記のように構成された通信モジュールCMの動作について、図2〜図4を参照して説明する。なお、通信モジュールCMのデータ通信中継機能に関する動作は従来と同様であるため説明を省略し、以下では本実施形態の特徴である通信診断機能に関する動作に着目して説明する。
図2は、通信モジュールCMのフラッシュメモリ4の短期記憶領域SR、第1長期記憶領域LR1、第2長期記憶領域LR2及び第3長期記憶領域LR3にデータが記憶される様子を表した模式図である。この図2に示すように、まず、通信モジュールCMのCPU1は、10秒間隔で取得した通信環境に関する測定値(10秒間の通信異常発生回数を示すカウント値)を短期記憶領域SRにFIFOバッファ方式を用いて記憶する。
短期記憶領域SRは1時間分の測定値を記憶可能な容量を有しているため、上記のようなCPU1の記憶動作により、1時間で360個の測定値が短期記憶領域SRに記憶されることになる。なお、図中のD〔1〕〜D〔360〕は、10秒間隔で取得した各測定値を表している。また、その1時間分のデータの内、D〔1〕は最も古いデータであり、D〔360〕は最も新しいデータである。
ここで、CPU1は、短期記憶領域SRの1時間分の更新が完了する(つまりD〔1〕からD〔360〕までの測定値が全て更新される)と、その1時間分の測定値の積算値A1(=D〔1〕+D〔2〕+・・・+D〔360〕)を第1長期記憶領域LR1にFIFOバッファ方式を用いて記憶する。上述した短期記憶領域SRに対する記憶動作は、次の1時間についても同様に実施されるため、1時間間隔で積算値A1が算出されて第1長期記憶領域LR1に順次記憶されることになる。
第1長期記憶領域LR1は24時間分の積算値A1を記憶可能な容量を有しているため、上記のような記憶動作により、24時間で24個の積算値A1が第1長期記憶領域LR1に記憶されることになる。なお、図中のA1〔1〕〜A1〔24〕は、1時間間隔で得られた各積算値を表している。また、その24時間分のデータの内、A1〔1〕は最も古いデータであり、A1〔24〕は最も新しいデータである。
ここで、CPU1は、第1長期記憶領域LR1の24時間分の更新が完了する(つまりA1〔1〕からA1〔24〕までの積算値が全て更新される)と、その24時間分の積算値の積算値A2(=A1〔1〕+A1〔2〕+・・・+A1〔24〕)を第2長期記憶領域LR2にFIFOバッファ方式を用いて記憶する。上述した第1長期記憶領域LR1に対する記憶動作は、次の24時間についても同様に実施されるため、24時間間隔で積算値A2が算出されて第2長期記憶領域LR2に順次記憶されることになる。
第2長期記憶領域LR2は1月分(例えば30日分)の積算値A2を記憶可能な容量を有しているため、上記のような記憶動作により、1月で30個の積算値A2が第2長期記憶領域LR2に記憶されることになる。なお、図中のA2〔1〕〜A2〔30〕は、24時間間隔(1日間隔)で得られた各積算値を表している。また、その1月分のデータの内、A2〔1〕は最も古いデータであり、A2〔30〕は最も新しいデータである。
ここで、CPU1は、第2長期記憶領域LR2の1月分の更新が完了する(つまりA2〔1〕からA2〔30〕までの積算値が全て更新される)と、その1月分の積算値の積算値A3(=A2〔1〕+A2〔2〕+・・・+A2〔30〕)を第3長期記憶領域LR3にFIFOバッファ方式を用いて記憶する。上述した第2長期記憶領域LR2に対する記憶動作は、次の1月についても同様に実施されるため、1月間隔で積算値A3が算出されて第3長期記憶領域LR3に順次記憶されることになる。
第3長期記憶領域LR3は1年分(12ヶ月分)の積算値A3を記憶可能な容量を有しているため、上記のような記憶動作により、1年で12個の積算値A3が第3長期記憶領域LR3に記憶されることになる。なお、図中のA3〔1〕〜A3〔12〕は、1月間隔で得られた各積算値を表している。また、その1年分のデータの内、A3〔1〕は最も古いデータであり、A3〔12〕は最も新しいデータである。
上記のような記憶動作が繰り返されることにより、短期記憶領域SRには直近の1時間分の測定値が保存され、第1長期記憶領域LR1には直近の24時間分(1日分)の積算値A1が保存され、第2長期記憶領域LR2には直近の1月分の積算値A2が保存され、第3長期記憶領域LR3には直近の1年分の積算値A3が保存されることになる。
すなわち、従来では、1時間分の測定値を1日単位や1月単位、若しくは1年単位で記憶するためには膨大な容量を有するメモリが必要となっていたが、本実施形態では、1時間分(360個)の測定値を記憶可能な短期記憶領域SRに加えて、24時間分(24個)の積算値A1を記憶可能な第1長期記憶領域LR1と、1月分(30個)の積算値A2を記憶可能な第2長期記憶領域LR2と、1年分(12個)の積算値A3を記憶可能な第3長期記憶領域LR3とを設定可能な程度の小容量のフラッシュメモリ4を用意すれば足りるため、コストの増大及び装置サイズの大型化を最小限に抑えつつ、通信環境に関する測定値の長期保存が可能である。
なお、上記の説明から、短期記憶領域SRに記憶されているデータ(つまり直近の1時間分の測定値の変動)が最も詳細に通信環境を表す情報であることは容易に理解できよう。従って、この短期記憶領域SRに記憶されているデータを監視用端末UTに送信し、監視用端末UTのディスプレイ上に直近の1時間分の測定値をプロットしてトレンド(変動傾向)を表示することにより、ユーザは詳細な通信環境を把握することができ、通信異常の解析に役立つことになる。
また、第1長期記憶領域LR1に記憶されているデータは1時間間隔で得た積算値A1の集合であるため、通信環境を表す情報としての信頼度は低下するが、24時間に亘っておおよその通信環境を把握するには十分な情報量であり、第1長期記憶領域LR1に記憶されているデータを監視用端末UTのディスプレイ上にトレンド表示することにより、ユーザは直近の24時間に亘る通信環境を把握することができ、通信異常の解析に役立つことになる。他の第2長期記憶領域LR2及び第3長期記憶領域LR3に記憶されているデータについても同様のことが言える。
さらに、本実施形態におけるCPU1は、測定値が所定の閾値を超えたか否かを監視することで通信環境における異常発生の有無を判断し、異常発生時の測定値を含む前後の測定値群を短期記憶領域SRから詳細情報記憶領域DRにコピーする機能を有している。図3は、このような短期記憶領域SRから詳細情報記憶領域DRへのコピー動作を表す模式図である。
図3に示すように、例えば、測定値D〔100〕が所定の閾値を超えて通信環境に異常が発生したと判断された場合、CPU1は、測定値D〔100〕を含む前後の測定値群を短期記憶領域SRから詳細情報記憶領域DRにコピーする。この時、詳細情報記憶領域DRには、測定値群と共に異常発生日時も保存することが望ましい。また、前後の測定値群として、短期記憶領域SRの全領域の測定値を詳細情報記憶領域DRにコピーしても良いし(この場合、詳細情報記憶領域DRには短期記憶領域SRと同一の容量が必要である)、測定値D〔100〕を中心として所定範囲に含まれる測定値のみを詳細情報記憶領域DRにコピーするようにしても良い(この場合、詳細情報記憶領域DRの容量を小さくできる)。
そして、図3に示すように、異常発生時の詳細データを詳細情報記憶領域DRに記憶していることを識別するための情報を、長期記憶領域(図3では例として第2長期記憶領域LR2)に付加する。これにより、ユーザは過去の履歴から通信環境に異常が発生した日時を容易に把握することができ、その異常発生時の詳細なトレンドを詳細情報記憶領域DRに記憶されているデータから表示することができるようになる。
ここで、コスト削減の観点からフラッシュメモリ4の容量は小さいことが望ましいので、詳細情報記憶領域DRの数は1つから数個程度に抑えることが望ましい。そこで、本実施形態において、CPU1は、測定値の変動傾向を基に詳細情報記憶領域DRに対するコピー優先度を判断し、コピー優先度が高い場合に短期記憶領域SRから詳細情報記憶領域DRへの測定値のコピーを実行する。
図4は、短期記憶領域SRに記憶される測定値を時系列的に並べたものである。この図4に示すように、所定の閾値を超えた測定値が発生した場合に、通信環境に異常が発生したと判断されるが、その測定値の前後の測定値の変動傾向からコピー優先度が判断される。例えば、測定値D〔91〕のように突発的に高くなり、前後の測定値は低い傾向となる場合、フィールドバスFB上の工事などの一時的な異常原因が考えられるため、コピー優先度は低く設定される。
一方、例えば測定値D〔100〕のように前の測定値が上昇傾向にある場合、異常が徐々に進行しており、異常発生の前兆を把握することが可能な解析情報として極めて有効であると考えられるため、このような変動傾向にある測定値のコピー優先度を高く設定する。また、測定値D〔102〕、D〔103〕のように閾値を超えていても、前回閾値を超えた測定値から傾向が変わらない場合、測定値D〔100〕の異常発生原因が継続していると考えられるため、解析情報として不要であり、コピー優先度は低く設定される。
このように、コピー優先度に従って短期記憶領域SRから詳細情報記憶領域DRへの測定値のコピーを実行することにより、詳細情報記憶領域DRの数を削減できると共に、異常解析に最も重要な情報をユーザに提供することができるようになる。なお、上記のように詳細情報記憶領域DRへ測定値をコピーすると共に、コピーした測定値を新たなメッセージフレームにのせて監視用端末UTに送信することで、ユーザ側(監視用端末UT側)で異常解析に最も重要な詳細情報を保持することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態における通信モジュールCMによれば、コストの増大及び装置サイズの大型化を最小限に抑えつつ、通信環境に関する測定値を長期で保存することができると共に、フィールドバスFB上の異常発生における最も重要な時期の詳細情報を判断して保存することで、常に異常発生時と同様の重要度及び信頼度を有する情報を取得することができる。また、ユーザは、情報の取得時期に捉われることなく、異常発生時と同様の異常解析を行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような応用例が考えられる。
(1)上記実施形態では、詳細情報記憶領域DRにフィールドバスFBの通信環境に関する測定値を記憶したが、これに限らず、例えばフィールド機器F1〜Fnから得られるプロセスデータやデータステータスBad検出時の詳細情報等を記憶することにより、各フィールド機器F1〜Fnの状態解析を行うことも可能となる。
(2)ユーザからの通信環境データの送信要求時に、フラッシュメモリ4に記憶されている通信環境データを時系列に変換し、測定時刻を付加して見せることで、監視用端末UTにおけるグラフィック表示が容易となり、通信モジュールCMがオシロスコープ等の計測器としての役割を果たすことも可能となる。
(3)上記実施形態では、通信装置として、プロセス制御システムで使用され、フィールドバスFBの通信環境に関する測定値を取得する通信モジュールCMを例示して説明したが、本発明はこれに限らず、様々なシステムで使用される通信装置に適用することが可能である。
CM…通信モジュール(通信装置)、FB…フィールドバス、F1〜Fn…フィールド機器、CT…コントローラ(上位制御装置)、CB…制御バス、UT…監視用端末、1…CPU(Central Processing Unit:制御部)、2…ROM(Read Only Memory)、3…RAM(Random Access Memory)、4…フラッシュメモリ(測定値記憶部)、5…送受信回路

Claims (3)

  1. 時系列的に取得した通信環境に関する測定値を記憶するための測定値記憶部を備える通信装置であって、
    前記測定値を前記測定値記憶部の短期記憶領域に順次記憶する一方、前記短期記憶領域の全領域の更新が完了する度に当該全領域の測定値の積算値を長期記憶領域に順次記憶し、所定の閾値を超えた前記測定値がある場合には前記通信環境における異常発生を判断し、異常発生時の測定値の前後の測定値の変動傾向を基に詳細情報記憶領域に対するコピー優先度を判断し、該コピー優先度が高い場合に異常発生時の測定値を含む前後の測定値群を前記短期記憶領域から前記詳細情報記憶領域にコピーする制御部を備えることを特徴とする通信装置。
  2. 前記短期記憶領域は、1時間分の測定値を記憶可能な容量を有し、
    前記長期記憶領域は、前記短期記憶領域の1時間分の積算値を24時間分記憶可能な容量を有する第1長期記憶領域と、前記第1長期記憶領域の24時間分の積算値を1月分記憶可能な容量を有する第2長期記憶領域と、前記第2長期記憶領域の1月分の積算値を1年分記憶可能な容量を有する第3長期記憶領域とに区分されており、
    前記制御部は、前記測定値を前記短期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶する一方、前記短期記憶領域の1時間分の更新が完了する度に当該1時間分の積算値を前記第1長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、前記第1長期記憶領域の24時間分の更新が完了する度に当該24時間分の積算値を前記第2長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶し、前記第2長期記憶領域の1月分の更新が完了する度に当該1月分の積算値を前記第3長期記憶領域にFIFOバッファ方式を用いて記憶する
    ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
  3. 前記制御部は、上位制御装置とフィールドバスに接続されたフィールド機器との間のデータ通信を中継する機能を有し、前記フィールドバスの通信環境に関する測定値を取得することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信装置。
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