JP5369507B2 - 海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブル - Google Patents

海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブル Download PDF

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Description

本発明は、長距離大容量の電力輸送に好適な海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブルに関する。
送電用として従来から海底ケーブルに用いられているソリッドケーブルは、例えば次のような工程で製造される。まず、導体の外周を内部半導電層で覆った後、内部半導電層の外周に絶縁テープ(絶縁紙)を巻回して絶縁層を形成し、その外側に外部半導電層を形成して、ケーブルコアとする。このケーブルコアをタンク内に巻き取り、絶縁層中の水分を除去するために真空加熱乾燥する。次いで、タンク内に高粘度の絶縁油を導入して絶縁層に加圧含浸させる。そして、絶縁層の上に金属シースを被せ、その外側に防食層を被せ、さらにその外側に、鉄線鎧装、保護層等が形成される。このようなソリッドケーブルの構成例は、例えば図5(鉄線鎧装、保護層は省略)に示される。このケーブルは、中心から順に、導体1、内部半導電層2、油浸絶縁層(以下、絶縁層という)3、外部半導電層4、金属シース(鉛等からなる)5、防食層(ポリエチレン等からなる)6を備える。
このような構成にあって、従来、絶縁油に対して膨潤しないクラフト紙で絶縁層3を形成し、その絶縁層3に比較的に粘度の高い絶縁油(高粘度油)を含浸させたソリッドケーブルが使用されていた。しかし、絶縁油は高温になるほど粘度が低下するため、そのソリッドケーブルでは、使用最高温度が55℃程度に制限されていた。ここで、負荷オン(ON)で導体が最高温度になった後に負荷遮断(OFF)すると、膨張して絶縁層の外側に移動した高粘度油は、温度低下に充分に追従できず、特に、絶縁層の内側(導体近傍)が負圧となり、その部分にボイドが発生する。通常は、絶縁性能に影響を及ぼさないように設計され、使用温度が55℃以下に制限される。ここで、送電容量を大きくするために使用最高温度を55℃以上にしようとした場合、負荷遮断(OFF)時に発生するボイドでの放電が絶縁破壊の原因になり得る。従って、長距離大容量の電力輸送を実現するための高温使用化、大容量化の要請に応えることが難しかった。
そこで、絶縁層3に含浸させる絶縁油として、60℃での粘度が10cst以上500cst未満の中粘度絶縁油(中粘度油)を用いると共に、絶縁層3の少なくとも一部に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを含む絶縁テープを用いるようにしたソリッドケーブルとその製造方法が提案された(例えば特許文献1参照)。このようなソリッドケーブルでは、高粘度油に比べて粘度の低い中粘度油を使用しているため、温度変化に伴う油量変化を抑制することができ、負荷オン時に絶縁層の外周側に移動した絶縁油が負荷遮断時に内周側に戻りやすく、絶縁破壊に至るようなボイドの発生が抑制される。このような特徴を活かして高温使用化、大容量化の要請に応えることが期待できる。
特開平11-224546号公報
ところで、ソリッドケーブルを海底ケーブルとして使用する場合等には、布設経路に高低差が発生する。このような高低差があると、重力の影響で絶縁油、特に中粘度油が下方に移動して高所部分で絶縁油の枯渇状態が発生すること(油垂れ)があった。
一般に、外部半導電層4と金属シース5との間には、銅線織込み布テープ(図示略)が巻回され、この銅線で外部半導電層4と金属シース5との導通を確保している。この銅線織込み布テープの巻回層は絶縁層3に比べれば隙間が多く、絶縁層3の外側に移動した絶縁油が絶縁層3に戻れないと、その隙間内に絶縁油が停留されることになる。その際、ケーブルの布設経路に高低差があると、隙間内に停留する絶縁油が銅線織込み布テープの巻回層に沿って下方に移動するため、高所部分で絶縁油が枯渇しやすくなる。さらに、このような絶縁油の枯渇状態によって、負荷変動時等に発生したボイドの軸方向への成長が促進されることも懸念される。特に、海底ケーブルは補修が困難であるため、絶縁油の枯渇状態を発生させにくくするための対策が求められていた。
一方、高粘度油を含浸させたソリッドケーブルでは、中粘度油を用いたソリッドケーブルに比べて油垂れは発生しにくい。しかし、上述した負荷遮断時におけるボイドの発生による絶縁性能の低下の他、中粘度油を含浸させたソリッドケーブルに比べて、絶縁油の含浸工程により多くの時間を要するという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、ケーブル使用時に高い絶縁性能を確保できる海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブルを提供することにある。
本発明の別の目的は、ケーブル使用時の油垂れを抑制できる中粘度油を含浸させた海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブルを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ケーブル製造時に絶縁油の含浸時間を短縮することができ、かつケーブル使用時に高い絶縁性能を確保することができる高粘度油を含浸させた海底ソリッドケーブルの製造方法及び海底ソリッドケーブルを提供することにある。
従来、絶縁油を絶縁層に含浸させる際に、含浸温度を高くすれば、より短期間に含浸が行えるが、絶縁テープに樹脂フィルムとクラフト紙の複合テープが用いられている場合、含浸温度によっては樹脂フィルムが膨潤する。通常、絶縁油は絶縁層の外周側から含浸されるため、含浸工程の初期に絶縁層の外周側の樹脂フィルムが膨潤すると、その樹脂フィルムが油の含浸通路となるクラフト紙を圧縮し、含浸通路が狭くなったり閉塞されたりする。その結果、絶縁層の内周側にまで十分に絶縁油を含浸させることができず、また、仮にできたとしても非常に長時間を要することになる。そのため、含浸時に樹脂フィルムが膨潤することは、ソリッドケーブルの製造過程においては、好ましくない現象と考えられていた。
本発明者らは、従来の認識から発想を転換し、この樹脂フィルムの膨潤特性を、ケーブル使用時の絶縁油の移動抑制や、ケーブル絶縁特性の改善に積極的に利用することを検討し、本発明を完成するに至った。樹脂フィルムの膨潤特性とは、絶縁油の温度と、その温度で絶縁層に油を含浸させる前後における樹脂フィルムの厚さの増加率との関係をいう。樹脂フィルムの厚さの増加率={(油含浸膨潤後の絶縁テープの厚み−油含浸前の絶縁テープの厚み)/油含浸前の絶縁テープの厚み}×100とする。
本発明の海底ソリッドケーブルの製造方法は、絶縁油が含浸された絶縁層を備える海底ソリッドケーブルの製造方法であって、以下の工程を備えることを特徴とする。
樹脂フィルムを含む絶縁テープを導体の外周に巻回して絶縁層を形成する工程。
前記絶縁層に、中粘度以上の粘度の絶縁油を含浸させる工程。
前記樹脂フィルムを膨潤させて、絶縁油が含浸された含浸通路を狭小化する工程。
前述したように、絶縁油に対して膨潤しないクラフト紙を用いた絶縁層に高粘度油を含浸させた従来のソリッドケーブルでは、高粘度油が導体近傍の急速な温度低下に充分に追従できず、その部分にボイドが発生しやすくなるため、使用最高温度が55℃程度に制限されていた。しかし、クラフト紙に代えて、例えばポリオレフィン系等の樹脂フィルムを含む絶縁テープで形成した絶縁層は、中粘度又は高粘度の絶縁油を含浸させると樹脂フィルムが膨潤する。従って、このような膨潤特性を活用すれば、ケーブル使用時における絶縁特性のよい海底ソリッドケーブルを製造することができる。
具体的には、絶縁油の含浸工程の後に、樹脂フィルムの膨潤を利用して含浸通路を狭小化する工程を設けることにより、ケーブル使用時に絶縁油の移動を抑制することができる。これにより、樹脂フィルムが膨潤されて絶縁テープ自体の絶縁特性が高められる。また、中粘度絶縁油の場合には、負荷ON時に絶縁層の外側への絶縁油の移動が抑制される結果、金属シースと絶縁層との間に介在する絶縁油の量を低減して、油垂れを抑制することができる。さらに、高粘度絶縁油の場合には、負荷ON時に絶縁層の外側への絶縁油の移動が抑制される結果、ボイドの発生が抑えられて絶縁特性が向上する。従って、このような海底ソリッドケーブルは、高低差が発生する上に、部分的に陸上に露出するため外気の温度変化の影響を受けやすい陸上側部分にも好適に適用することができる。
このような海底ソリッドケーブルの製造方法では、前記絶縁油の含浸工程では、前記樹脂フィルムを低膨潤させ、前記含浸通路を狭小化する工程では、前記樹脂フィルムを高膨潤させるようにしてもよい。
この構成によれば、絶縁油の含浸工程では、樹脂フィルムを低膨潤とすることで絶縁油の含浸通路を確保し、高粘度油であっても短時間で絶縁層への含浸を行うことができる。一方、前記含浸通路を狭小化する工程では、前記樹脂フィルムを高膨潤させることで含浸通路を狭小化し、ケーブル使用時における絶縁油の移動を抑制することができる。
含浸工程での樹脂フィルムの低膨潤と、含浸通路を狭小化する工程での樹脂フィルムの高膨潤は、例えば、含浸工程における絶縁油の含浸温度よりも高い温度に絶縁層を加熱することで実現できる。つまり、含浸通路の狭小化工程として、絶縁油の含浸温度よりも高温に絶縁層を加熱すればよい。
この構成によれば、含浸温度よりも高い温度に油浸絶縁層を加熱することで、樹脂フィルムを効果的に膨潤させ、含浸通路を狭小化することが容易にできる。
また、絶縁油の含浸工程後における樹脂フィルムの厚さ増加率で表される膨潤特性を考慮して、絶縁層の形成条件を選択することが好ましい。
絶縁テープの樹脂フィルムの膨潤特性は、予め把握することができる。通常、樹脂フィルムと絶縁油が同一であれば、含浸温度が高い程、樹脂フィルムの膨潤量は大となる。従って、例えば、含浸温度が90〜100℃では、樹脂フィルムの膨潤量は比較的に小さく低膨潤となり、含浸温度が110〜120℃では、膨潤量が比較的に大きく高膨潤となる。また、一般に、高粘度油に対する樹脂フィルムの膨潤量は、中粘度油に対する膨潤量よりも大である。例えば、同一温度にて、中粘度油に対する厚さ増加率が2%であるのに対して、高粘度油に対する厚さ増加率は3%程度になる。このように樹脂フィルムの膨潤特性は予め把握できるため、その膨潤特性に応じて絶縁層の形成条件を選択すれば、絶縁油を含浸させやすい絶縁層或いはケーブル使用時に、絶縁油が移動しにくい油浸絶縁層を容易に形成することができる。
その絶縁層の形成条件の一つとしては、絶縁層の形成工程における絶縁テープの巻回張力を調整することで、絶縁層中に絶縁油の含浸通路を形成することが挙げられる。
絶縁テープの巻回張力は、高くすれば絶縁テープの層間の面圧が高められ、含浸通路を狭小化して、ケーブル使用時に油垂れを発生しにくくできるが、ケーブル製造工程では絶縁テープに破断や座屈等が発生しやすくなる。一方、張力を下げると、油垂れが発生しやすくなり、かつ、絶縁テープのギャップの乱れや皺が発生しやすくなる。そこで、絶縁テープが適正に巻回できる張力範囲において、張力を低めに設定すれば、絶縁層中に絶縁油の含浸通路を形成しやすくできる。その結果、後の含浸工程において、絶縁油の含浸を効率化することができる。この効果は、高粘度油の場合において特に顕著である。本発明方法では、後工程で、含浸通路の狭小化を行うため、絶縁油の含浸時における含浸通路は、比較的広く採ってもケーブル使用時に絶縁油が過度に移動することはない。
また、絶縁層の形成工程における絶縁テープの巻回張力は、前記絶縁油の含浸温度に応じて調整することが好ましい。
絶縁油の含浸温度が低ければ、絶縁油の粘度が高いため、絶縁テープの巻回張力を低めに設定して、絶縁層中の含浸通路を広めに形成することで、絶縁油の含浸を容易にすることができる。逆に、絶縁油の含浸温度が高ければ、絶縁油の粘度が低いため、絶縁テープの巻回張力を高めに設定しても、絶縁層中の含浸通路を確保することが可能であり、絶縁油の含浸が過度に長期化することがない。
また、絶縁層を形成する工程において、クラフト紙を導体に巻回するときの巻回条件よりも緩和した巻回条件にて前記絶縁テープを巻回することで、絶縁油の含浸通路を形成することが好ましい。
絶縁テープの巻回張力を調整すれば、絶縁層中の含浸通路の広狭を調整できることは既に述べたが、この巻回張力の高低を決める基準としては、クラフト紙のみからなる油浸絶縁層のソリッドケーブルを製造する際の、クラフト紙の巻回条件が挙げられる。絶縁テープをクラフト紙のみとする場合、クラフト紙は絶縁油に膨潤されないため、クラフト紙を導体に巻回する際の巻回条件が基準として適切であると言える。例えば、樹脂フィルムを含む絶縁テープの巻回張力を、クラフト紙の巻回張力よりも低下させると、含浸通路をより広く採ることができる。この場合も、絶縁層の含浸通路を広く採ることができれば、絶縁油の含浸を容易に行うことができる。
その他、前記絶縁油の含浸工程に先立って、前記絶縁テープの水分含有量を調整することで、前記絶縁層中に絶縁油の含浸通路を形成することも挙げられる。
例えば、絶縁層を形成した後に絶縁テープの水分を除去すると、その水分除去に伴って絶縁テープの厚さが目減りする。その結果、絶縁テープに絶縁油の含浸通路を容易に形成することができる。この場合も、絶縁層の含浸通路を十分に確保できれば、絶縁油の含浸を容易に行うことができる。
前記絶縁テープとしては、ポリオレフィン系の樹脂フィルムとクラフト紙を一体化して形成されたものが好ましい。
このような絶縁テープであれば、クラフト紙を絶縁油の主たる含浸通路と利用することができる。また、このような絶縁テープは、絶縁油を含浸させると、ある温度では樹脂フィルムが膨潤する。その膨潤量は、絶縁油の種類や絶縁テープに占める樹脂フィルムの厚さの割合や含浸温度によって決定される。従って、絶縁層に絶縁油を含浸した後には、樹脂フィルムを絶縁油で適切に膨潤させることで、含浸通路となるクラフト紙を圧縮して、絶縁油の含浸通路を狭小化することができる。もちろん、樹脂フィルムの膨潤は、絶縁テープの増し締めも可能にするため、その分だけ絶縁テープの巻回張力を低下させることとしてもよい。
前記絶縁油としては、中粘度油が挙げられる。
絶縁油に中粘度油を用いれば、高粘度油に比べて、ケーブル製造時には絶縁層への含浸が容易であり、ケーブル使用時には、負荷遮断時における絶縁層でのボイドの発生が少ない。一方、樹脂フィルムの膨潤により、含浸通路の狭小化が行われるため、中粘度油であっても、油垂れは効果的に抑制される。
他の絶縁油としては、高粘度油も利用できる。
絶縁油に高粘度油を用いれば、ケーブル使用時には、中粘度油を用いたソリッドケーブルに比べて油垂れは発生しにくい。一方、ケーブル製造時において、絶縁油の含浸時には、絶縁層の含浸通路を確保した状態で絶縁油を含浸することができ、含浸作業を効率化できる。さらに、高粘度油は中粘度油に比べて樹脂フィルムを膨潤させやすく、その膨潤により、含浸通路の狭小化が行われるため、一層、絶縁油の移動は効果的に抑制される。
一方、本発明の海底ソリッドケーブルは、導体と、その外周に絶縁テープを多層に巻回して形成される絶縁層と、その絶縁層に含浸される絶縁油とを備える海底ソリッドケーブルである。この絶縁テープは、樹脂フィルムとクラフト紙を一体化して形成される。前記絶縁油は、中粘度以上の粘度を有する。そして、ケーブル使用時に、絶縁テープの層間が密着されるように、前記樹脂フィルムが絶縁油で膨潤されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ケーブル使用時には、樹脂フィルムが絶縁油によって膨潤され、絶縁テープ自体の絶縁特性が向上されると共に、絶縁テープの層間に実質的に隙間が生じない。そのため、絶縁油のケーブルの径方向及び軸方向への移動が抑制される。従って、このような海底ソリッドケーブルは、例えば渚付近の傾斜面に布設されても、使用時には高い絶縁性能を確保することができる。また、渚付近の傾斜部分は、海底ケーブル線路全体からすれば比較的短い。従って、このような傾斜部分に、含浸工程に時間を要する高粘度油を用いたソリッドケーブルを採用しても、海底ソリッドケーブル全体の工期に対する影響は少ない。
この海底ソリッドケーブルにおいて、絶縁油に中粘度油を用い、ケーブル使用時に、前記絶縁油のケーブル軸方向への移動を抑制するために、前記樹脂フィルムの膨潤により前記クラフト紙が厚み方向に圧縮されていることが好ましい。
この構成によれば、樹脂フィルムの膨潤によりクラフト紙が厚み方向に圧縮されることによって、油の含浸通路となるクラフト紙部分が狭小化されるため、中粘度油の移動による油垂れの発生を抑制することができる。
その他、本発明の海底ソリッドケーブルにおいて、前記絶縁油に高粘度油を用い、ケーブル使用時に、前記絶縁層内でのボイドの発生を抑制するように、前記樹脂フィルムの膨潤により前記クラフト紙が厚み方向に圧縮されていることが好ましい。
この構成によれば、樹脂フィルムの膨潤によりクラフト紙が厚み方向に圧縮されることによって、絶縁テープ間の隙間が押し潰されて絶縁層中のボイドの発生が抑えられるため、絶縁性能が向上する。
本発明の海底ソリッドケーブルの製造方法は、絶縁油の含浸工程の後段に、絶縁油が含浸された含浸通路を狭小化する工程を設けるので、ケーブル使用時に絶縁油の径方向及び軸方向への移動を抑制することができる。これにより、中粘度絶縁油の場合には、油垂れを抑制することができる。また、高粘度絶縁油の場合には、ボイドの発生が抑えられ絶縁性能が向上する。
本発明の海底ソリッドケーブルは、ケーブル使用時に、絶縁テープの層間に実質的に隙間が生じないように、樹脂フィルムが絶縁油によって膨潤されているので、ケーブル使用時に絶縁油の径方向及び軸方向への移動を抑制することができる。これにより、中粘度絶縁油の場合には、油垂れを抑制することができる。また、高粘度絶縁油の場合には、ボイドの発生が抑えられ絶縁性能が向上する。
以下に、本発明の実施の形態にかかる海底ソリッドケーブルとその製造方法について説明する。図1は、海底ソリッドケーブルCが布設された状態の説明図である。図示のように、この海底ソリッドケーブルCは、海底に布設される海底側部分Bと、少なくとも一部が陸上に布設される陸上側部分Aと、が接続部FJを介して接続されて構成される。この海底ソリッドケーブルCを構成するソリッドケーブルは、例えば図2に示すように構成される。即ち、中心から順に、導体1、内部半導電層2、油浸絶縁層(以下、絶縁層という)3、外部半導電層4、金属シース5、防食層6等で構成される。
ここで、絶縁層は、樹脂フィルムを含む絶縁テープを導体の外側に巻回して構成される。絶縁テープには、ポリオレフィン系樹脂フィルムの片側又は両側にクラフト紙をラミネートした複合テープが好適に用いられる。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両側にクラフト紙をラミネートした複合テープとポリオレフィン系樹脂フィルム単独の絶縁テープとを交互に巻回して絶縁層を形成したり、ポリオレフィン系樹脂フィルムの片側にクラフト紙をラミネートした複合テープとクラフト紙とを交互に巻回して絶縁層を形成することもできる。この複合テープとしては、樹脂フィルムであるPP(ポリプロピレン)フィルム3aの両面(又は片面)にクラフト紙3bを一体化させてテープ状にしたPPLP(登録商標,Polypropylene Laminated Paper)が挙げられる
(図2の部分拡大図参照)。
絶縁層に含浸される絶縁油には、中粘度油又は高粘度油が利用できる。中粘度油は、60℃での粘度が10cst以上500cst未満の絶縁油である。中粘度油の代表例としては、ポリブテンが挙げられる。その他、中粘度絶縁油としては、ポリスチレン系絶縁油、鉱油、アルキルベンゼン主体の合成油、重質アルキレート或いはこれらの1種以上を含む混合等が挙げられる。
高粘度油は、60℃での粘度が500cst以上、特に1000 cst以上の絶縁油である。高粘度油の代表例としては、ナフテン系油が挙げられる。より具体的には、例えばT2015(ダセック社 商品名)を挙げることができる。このT2015の粘度は60℃にて1200cst、比重は0.93(5℃)であり、直流海底ソリッドケーブルの絶縁油として実績がある。
このような構成の海底ソリッドケーブルCは、例えば次のような工程で製造される。まず、導体1の外周を内部半導電層2で覆い、内部半導電層2の外周に絶縁テープを巻回して絶縁層3を形成した後、外部半導電層4を形成して、ケーブルコアとする。絶縁層3を形成する際、後述するように、樹脂フィルムの絶縁油による膨潤量を考慮して、絶縁層3の形成条件を選択する。このケーブルコアをタンク(図示省略)内に巻き取り、絶縁層3中の水分を除去するために真空加熱乾燥する。次いで、タンク内に絶縁油を導入して所定の温度にて絶縁層3に加圧含浸させる。一般に、含浸温度を高くするほど、絶縁油の粘度が低下するため含浸させやすくなり含浸時間が短くなり、樹脂フィルムの膨潤量が大となるので絶縁テープ層間の面圧が大となって、油垂れを発生しにくくすることができる。しかし、過度に含浸温度を高くすると、樹脂フィルムの膨潤量が過大となり、クラフト紙部分が過度に圧縮されるため、含浸通路が塞がれ油含浸時間が長くなる。一方、油含浸温度が低いと、粘度が低下せず油を含浸させにくくなり、かつ絶縁層の樹脂フィルムが殆ど膨潤しないため、油垂れが発生しやすくなる。含浸温度は、これらの点を考慮して適切に選択すればよい。この加圧含浸後、絶縁テープの樹脂フィルムを膨潤させて、含浸通路の狭小化を行う。そして、絶縁油の含浸されたケーブルコアに金属シース5を被せ、その外側に防食層6を被せる。特に、渚近傍で傾斜面に敷設される陸上側部分Aのケーブルとして、含浸通路の狭小化を行ったソリッドケーブルを配することが油垂れ抑制や絶縁特性の向上の点で好適である。
〔中粘度油を含浸させる場合〕
陸上側部分Aに中粘度油を含浸させる場合、その陸上側部分Aは、高低差のある場所に配設され、外気の温度変化の影響を直接受けるため、特にケーブル軸方向下方への油垂れが発生しやすい環境条件下にある。従って、ケーブル使用時に油垂れを発生しにくくするための配慮が求められる。そこで、PPLPの膨潤特性(厚さ増加率)を予め測定しておき、その膨潤特性を考慮して、油含浸後に絶縁層3が最適な面圧となるように、絶縁層3の形成条件を適切に選択することができる。例えば(1)絶縁テープを巻回する際の張力(巻回張力)を調整したり、(2)絶縁油を含浸させる温度(油含浸温度)と膨潤特性との関係を把握しておき、ケーブル製造時の油含浸温度を調整すればよい。膨潤特性とは、油の温度と、その温度で絶縁層に油を含浸させる前後における樹脂フィルムの厚さの増加率との関係をいい、その増加率={(油含浸膨潤後の絶縁テープの厚み−油含浸前の絶縁テープの厚み)/油含浸前の絶縁テープの厚み}×100とする。
巻回張力は、巻回時に絶縁テープの破断が起きたり、巻回後の絶縁層に巻き乱れが生じないような範囲内で適宜に選択することができる。通常、巻回張力が大になると、絶縁層3における絶縁テープ層同士の面圧が大になり、巻回張力が小になると同面圧が小になる。しかし、面圧は、PPLPの膨潤特性によっても影響されるため、上述のように、予め把握した膨潤特性を勘案した上で、適切な巻回張力が選択されることが好ましい。通常の含浸温度では、ポリブテン油に対するPPLPの膨潤量は低いため、PPLPが膨潤することによって油の含浸が妨げられることは殆どない。但し、含浸温度条件によっては、PPLPの膨潤量が大となって面圧が過大になることがある。そのような場合には、巻回張力を低下させるか、油含浸温度を低下させるか、その双方を調整するか、の何れかを選択すればよい。従って、適切な面圧を得るためには、PPLPの膨潤特性の温度依存性を勘案した上で巻回張力や油含浸温度を適切に調整するのが好ましい。
〈ヒートサイクルによる油移動試験〉
油垂れの状態を模擬的に把握するために、ヒートサイクルによる油移動試験を行った(図3(a)〜(b)参照)。この試験では、図3(b)に示すように、まず絶縁テープと同一のラミネート構造で、シート状の素材をパイプ材12のまわりに巻き付けて絶縁層13を形成する。次に、その絶縁層13の上部に油溜め部14を設けて下方を開放の状態とする。そして、所定のヒートサイクル下で、油溜め部14に満たした油の移動状態(下方向への)を測定することで油の移動特性を評価するものである。この試験では、テストピースとして2種の絶縁テープの素材を用いた。即ち、PPフィルムの両面にクラフト紙を貼り付けたシート状素材(PPLP)のPP比率(厚さ)が小さいAと、PP比率(厚さ)が大きいBの2種の素材を用いる。それぞれの素材からなるテストピースにポリブテンを含浸させた状態にて、油溜め部14に同ポリブテンを溜めて、常温(20〜25℃)と高温(80℃)の間でヒートサイクルを繰り返し、油面の変化(減少)を測定した。
その結果を、図3(a)中に、素材Aを▲印、素材Bを●印で示す。図3(a)の横軸はヒートサイクル数を示し、縦軸は油面の変化を示す。図3(a)から明らかなように、PP比率が小さい素材Aでは油面の変化が顕著であり、PP比率が大きい素材Bでは油面の変化が少ないことが判る。これにより、PP比率の低い方が、ヒートサイクルによってケーブル長手方向に油が移動しやすいことが示唆される。従って、油垂れを発生させにくくするための絶縁層3の形成条件として、絶縁テープのPP比率を高くすることが好ましい。例えば、PPフィルムの両面にクラフト紙がラミネートされた複合テープ(PPLP)を用いる場合、PPLP全体の厚さに対するPPフィルムの厚さの比率を、例えば60%〜90%に設定するのが好ましい。このように適切な素材を選択した後に、上述のように、巻回張力や油含浸温度等を適切に選択すればよい。
例えば、油含浸温度が比較的に低い場合(例えば100℃以下)には、絶縁テープの膨潤量が僅少で絶縁テープ間の面圧値に殆ど影響を及ぼさない。そのため、絶縁テープの巻回張力を適切に選択することによって、最も簡易かつ確実に最適な面圧を確保することができる。即ち、巻回時の張力の選択に際しては、絶縁テープの巻回工程及び巻取工程で技術的に問題がない範囲で許容される最大の張力で絶縁テープを巻回するのが好ましい。技術的に問題がない範囲とは、ケーブル製造工程で絶縁テープの座屈や破れ、皺等が発生したり、ケーブルが固すぎて曲げにくく巻き取れなくなる等のトラブルが生じない範囲をいう。これらは、ケーブルのサイズ(径、長さ)や使用する絶縁油の種類等により経験的に得ることができる。特に、上述したヒートサイクルによる油移動試験の結果を参考にしてPP比や巻回張力を決定することが好適である。
また、油含浸温度は、絶縁層3の性能が低下(劣化)しない範囲で選択されるべきであり、絶縁層3がポリオレフィン系の樹脂フィルムを含む場合、それらの油中融点を考慮して最高許容温度が決定される。ポリエチレンの油中融点は110℃程度、ポリプロピレンでは130℃〜140℃である。絶縁油としてポリブテン等の中粘度油を用いる場合、温度を高くすれば粘度が低下するため、絶縁層3への含浸が容易となりより、短い時間で含浸させることができるが、温度を下げるための時間が長くかかる。従って、含浸が容易となる範囲内のできるだけ低い温度で含浸させるのが好ましい。そこで、油含浸温度と絶縁テープの膨潤特性(厚さ増加率)の関係を考慮して、適切な面圧を得られるように、油含浸温度(と含浸時間)を選択すれば、ケーブル使用時に油垂れしない海底ソリッドケーブルを得ることができる。PPフィルムを含む絶縁テープにポリブテンを含浸させる場合、その含浸温度は、例えば120℃以下に設定することができる。このような好ましい含浸温度の選択のためにも、上述のようなヒートサイクルによる油移動試験を参考にすることができる。
そして、絶縁油を絶縁テープに含浸させた後、絶縁テープを膨潤させるために、油含浸温度より高い温度に絶縁テープを更に加熱するようにしてもよい。このようにすれば、含浸後の加熱によって、絶縁テープの樹脂フィルムを膨潤させることができるため、その膨潤代を考慮して、油含浸温度を適宜に低く設定することができる。これにより、絶縁油を絶縁層3に含浸させやすくなり、かつ含浸後に絶縁層の温度が低下するまでに要する時間を短くしてトータルでの油含浸時間を短縮化することができる。ポリプロピレンフィルムを含む絶縁テープにポリブテンを含浸させる場合、例えば油含浸温度を100℃以下に設定して、油含浸後に110℃あるいは120℃に更に加熱するようにしてもよい。ちなみに、PP比70%のPPLPのポリブテン(グレードHV-15)に対する膨潤特性の測定例では、初期値に対する厚さ増加率は、100℃で+0.92%、120℃では+2.20%であった。
或いは、油含浸後の膨潤代を考慮して、その分だけ、巻回張力を低く設定するようにしてもよい。これにより、巻回張力の選択幅が広くなり、絶縁テープに座屈や破れ、皺等を発生させない適切な張力の選択が可能となる。例えば絶縁テープに大きな張力を作用させると、座屈や破れ、皺等のトラブルが発生しやすくなるため、絶縁テープに所要の張力を作用させることが困難になることがある。このような場合に、トラブルを発生させない範囲の適切な張力で絶縁テープを巻回した後好ましい温度で油を含浸させ、更に、上述のように、後の加熱によって所要の面圧を確保することができる。このようにすれば、トータルでの油含浸時間も短くて済む。
更に、絶縁層3に絶縁油を含浸させる際の油含浸温度に応じて、巻回張力を調整するようにしてもよい。油含浸温度に応じて、絶縁テープの膨潤量が変化するため、その膨潤特性を考慮して、巻回張力を調整することによって、より適切な面圧を確保することができる。
このように、中粘度油の場合は、高粘度油に比べて絶縁層への含浸が比較的容易に行える。そのため、絶縁テープ同士を密着させるために、比較的高い巻回張力で絶縁層を形成しておいても、絶縁油の含浸通路は確保できる。但し、絶縁油の含浸条件によっては中粘度油でも含浸しにくい場合があり、その場合は、後に「高粘度油を含浸させる場合」で述べるように、絶縁層の形成条件を調整して、予め含浸通路を広めに採ることが好ましい。
〔高粘度油を含浸させる場合〕
ケーブル長さ方向に高低差があると共に、外気の温度変化の影響を直接受ける陸上側部分Aに高粘度油を含浸させる場合、安定した高い絶縁性能が求められ、ケーブル使用時に絶縁層3中の絶縁テープの層間にボイドを発生させないようにするための配慮が求められる。そこで、PPLPの膨潤特性(厚さ増加率)を予め測定しておき、その膨潤特性を考慮して、絶縁層3の形成条件を選択することが望ましい。PPLPの膨潤特性については、中粘度油の場合と同様に定義される。
例えばT2015(ダセック社 商品名)等の高粘度油を絶縁層3に含浸させる場合、含浸時に、絶縁層3中に油の含浸通路を形成するために、絶縁層3を形成する絶縁テープのPPフィルムの膨潤を低く抑え、低膨潤させることができる含浸温度で、絶縁層3に高粘度油を含浸させる。そして、含浸後、前記含浸温度よりも高い温度で絶縁層3を加熱して、PPフィルムを高膨潤させることにより、含浸通路を狭小化するようにすることが好ましい。具体的には、高粘度油を含浸させる際の含浸温度を例えば100℃程度に設定すれば、絶縁テープの膨潤を低く抑えることができる(低膨潤)。従って、主たる含浸通路となるクラフト紙がPPフィルムで圧縮されないようにでき、高粘度油でも含浸しやすい含浸通路を確保して、高粘度油の含浸が容易となる。そして、高粘度油を含浸させた後では、絶縁層3を例えば120℃程度に加熱すれば、絶縁テープのPPフィルムが高膨潤するため、含浸通路を狭小化することができる。このような状態では、ケーブル使用時に絶縁油が絶縁層の径方向に移動することが抑制されるため、ボイドの発生が殆どなく、金属シースの温度が80℃程度の温度になっても高粘度油はほとんど移動することはなく、絶縁特性が安定して向上する。より具体的には、絶縁テープ同士は厚さ方向に密着され、絶縁テープを構成するPPフィルムは高粘度油によって膨潤され、クラフト紙は絶縁油に含浸されている。その結果、絶縁テープ層間に実質的に絶縁油のみからなる隙間は存在しない。これにより、高い絶縁特性を確保することができる。
また、別の方法では、例えば図4のフローチャートに示すような工程で、例えばT2015(商品名)等の高粘度油を含浸させてもよい。この場合、絶縁油の含浸時に、絶縁層3中に油の含浸通路を形成するために、絶縁層3を形成する絶縁テープの水分含有量を調整する。即ち、絶縁テープに予め、例えば10重量%程度の水分を含ませておく(S1)。その水分は絶縁テープ中のクラフト紙に吸収される。その状態で内部半導電層2の外周に絶縁テープを巻回し(S2)、その後のケーブルコアの真空乾燥過程で、例えば100℃にて水分を乾燥させて水分量を数重量%程度に低下させる(S3)。これにより、絶縁テープ中のクラフト紙の厚みの目減り分だけ、絶縁テープ間に、油の含浸通路となる隙間を形成することができる。このような含浸通路を絶縁層3内に形成した状態にて、高粘度油を含浸させることができる(S4)。そして、含浸終了後には、絶縁層3を、例えば120℃程度に昇温加熱する(S5)。温度の上昇に伴い絶縁テープのPPフィルムがさらに膨潤するため、含浸通路が狭小化される。これにより、ケーブル使用時にボイド(隙間)の発生がなく、絶縁特性が安定して向上する。つまり、絶縁油の含浸時には十分に広い含浸通路を確保しながら、ケーブル使用時には含浸通路を狭小化して絶縁油の移動が抑制できるという、相反する条件を満足することができる。このケーブル使用時に金属シースが80℃程度の温度になっても高粘度油がほとんど移動しないことは前例と同じである。上述のような水分量を調整するための乾燥過程は、通常のソリッドケーブルの製造工程中の真空乾燥工程を利用することができるため、別途、設備の改良や付加を必要とせず、絶縁層3の形成条件の設定が容易である。
尚、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて改良、変更等は自由であり、各実施の形態間での構成、方法の組み合わせも自由である。例えば、絶縁層の形成工程において、絶縁テープの巻回張力の調整と絶縁テープの水分量の調整の双方を行っても良い。その他、導体1の撚り合わせ状態を調整することによっても、絶縁油、特に高粘度油を含浸させるための隙間を絶縁層中に形成することができる。より具体的には撚り線を緩く撚り合わせた状態の導体1に絶縁テープを巻回した後、撚り線を緊張させるように導体1に張力を作用させる。すると、導体1の径が縮小するため、絶縁テープ間に隙間を形成することができる。或いは、加熱により膨張した状態の導体1に絶縁テープを巻回した後、導体1の温度を低下させることにより、導体1の径を縮小させれば、絶縁テープ間に絶縁油を含浸させるための隙間を形成することができる。
本発明の海底ソリッドケーブルの製造方法は、ケーブル使用時に安定した高い絶縁性能を確保できる海底ソリッドケーブルを提供できるので、例えば渚部に配設される海底ソリッドケーブルの陸上側部分の製造分野に好適である。
また、本発明の海底ソリッドケーブルは、ケーブル使用時に安定した高い絶縁性能を確保できるので、例えば渚部に配設される海底ソリッドケーブルの陸上側部分に好適に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る海底ソリッドケーブルの布設状態の説明図である。 同海底ソリッドケーブルの断面図である。 同中粘度絶縁油におけるヒートサイクルによる油移動試験の説明図で、(a)は試験結果を示すグラフ、(b)はテストピースの断面図である。 同高粘度絶縁油を絶縁層に含浸させる場合の工程手順を示すフローチャートの一例である。 従来のソリッドケーブルの断面図である。
符号の説明
1 導体 2 内部半導電層 3 絶縁層
3a 樹脂フィルム(PPフィルム) 3b クラフト紙
4 外部半導電層 5 金属シース 6 防食層
12 パイプ材 13 絶縁層 14 油溜め部
A 陸上側部分
B 海底側部分
C 海底ソリッドケーブル
FJ 接続部

Claims (10)

  1. 絶縁油が含浸された絶縁層を備える海底ソリッドケーブルの製造方法であって、
    ポリオレフィン系の樹脂フィルムとクラフト紙を一体化させた絶縁テープであり、絶縁テープ全体の厚さに対する前記樹脂フィルムの厚さの比率が60%〜90%である絶縁テープを導体の外周に巻回して絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層に、60℃での粘度が10cst以上の粘度の絶縁油を含浸させる工程と、
    前記樹脂フィルムを膨潤させて、絶縁油が含浸された含浸通路を狭小化する工程と、
    を備え、
    前記絶縁層の形成工程では、前記絶縁油の含浸工程後における樹脂フィルムの厚さ増加率で表される膨潤特性を考慮して、前記絶縁層の形成条件を選択し、
    前記絶縁油の含浸工程では、前記樹脂フィルムを低膨潤させ、
    前記含浸通路を狭小化する工程では、前記絶縁油の含浸温度より高い温度に絶縁層を加熱して前記樹脂フィルムを高膨潤させる海底ソリッドケーブルの製造方法。
  2. 前記絶縁層を形成する工程の前に、前記絶縁テープに所定量の水分を付加する工程と、
    前記絶縁油の含浸工程に先立って、真空乾燥によって前記絶縁テープの水分含有量を所定量以下に低下させることで、前記絶縁層中に絶縁油の含浸通路を形成する工程と、
    を備える請求項に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  3. 前記絶縁層の形成工程における絶縁テープの巻回張力を調整することで、絶縁層中に絶縁油の含浸通路を形成する請求項1又は請求項2に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  4. 前記絶縁層の形成工程における絶縁テープの巻回張力は、前記絶縁油の含浸温度に応じて調整する請求項に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  5. 前記絶縁層を形成する工程において、クラフト紙を導体に巻回するときの巻回条件よりも緩和した巻回条件にて前記絶縁テープを巻回することで、絶縁油の含浸通路を形成する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  6. 前記絶縁油が、60℃での粘度が10cst以上500cst未満の中粘度油である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  7. 前記絶縁油が、60℃での粘度が500cst以上の高粘度油である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の海底ソリッドケーブルの製造方法。
  8. 導体と、その外周に絶縁テープを多層に巻回して形成される絶縁層と、その絶縁層に含浸される絶縁油とを備える海底ソリッドケーブルであって、
    前記絶縁テープは、ポリオレフィン系の樹脂フィルムとクラフト紙を一体化して形成され、かつ絶縁テープ全体の厚さに対する前記樹脂フィルムの厚さの比率が60%〜90%であり、
    前記絶縁油が、60℃での粘度が10cst以上の粘度を有し、
    ケーブル使用時に、絶縁テープの層間が密着されるように、前記樹脂フィルムが絶縁油で膨潤され、かつ前記樹脂フィルムの膨潤により前記クラフト紙が厚み方向に圧縮されており、
    絶縁油が含浸された樹脂フィルムの厚さ増加率で表される膨潤特性を考慮して、前記絶縁層が形成されている海底ソリッドケーブル。
  9. 前記絶縁油が、60℃での粘度が10cst以上500cst未満の中粘度油である請求項に記載の海底ソリッドケーブル。
  10. 前記絶縁油が、60℃での粘度が500cst以上の高粘度油である請求項に記載の海底ソリッドケーブル。
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