JP5246479B2 - ソリッドケーブル、及びソリッドケーブルの製造方法 - Google Patents

ソリッドケーブル、及びソリッドケーブルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、長距離大容量の電力輸送に好適なソリッド電力ケーブル(以下、ソリッドケーブルという)とその製造方法に関する。特に、絶縁層に含浸された絶縁油の軸方向への移動を抑制することによりボイドを発生させにくくしたソリッドケーブルとその製造方法に関する。
送電用として従来から用いられているソリッドケーブルは、例えば次のような工程で製造される。まず、導体の外周を内部半導電層で覆い、内部半導電層の外周に絶縁テープ(絶縁紙)を巻回して絶縁層を形成した後、これをタンク内に巻き取り、絶縁層中の水分を除去するために加熱乾燥する。次いで、タンク内に高粘度の絶縁油を導入して絶縁層に含浸させる。その後、絶縁層の上に形成された金属シースの外側に防食層を被せる。このようなソリッドケーブルの構成例を図2に示す。この例では、中心から順に、導体1、内部半導電層2、油浸絶縁層(以下、絶縁層という)3、外部半導電層4、金属シース(鉛等からなる)5、防食層(ポリエチレン等からなる)6等で構成される。
このような構成にあって、従来、絶縁層3にクラフト紙を用い、その絶縁層3に比較的に粘度の高い絶縁油(高粘度油)を含浸させたソリッドケーブルが使用されている。しかし、絶縁油は高温になるほど粘度が低下するため、そのソリッドケーブルでは、導体の使用最高温度が55℃程度に制限されていた。ここで、使用最高温度を55℃以上にしようとした場合、負荷オン(ON)で導体が最高温度になった後に負荷遮断(OFF)すると、膨張して絶縁層の外側に移動した高粘度油は、導体近傍の急速な温度低下に充分に追従できない。そのため、この高粘度油は絶縁層の内側に戻れず、絶縁層の導体近傍が負圧となりその部分にボイドが発生しやすくなる。その結果、このボイドでの放電が絶縁破壊の原因になり得る。従って、長距離大容量の電力輸送を実現するための高温使用化、大容量化の要請に応えることが難しかった。
そこで、絶縁層3に含浸させる絶縁油として、60℃での粘度が10cst以上500cst未満の中粘度絶縁油(中粘度油)を用いると共に、絶縁層3の少なくとも一部に、ポリオレフィン系樹脂フィルムを含む絶縁テープを用いるようにしたソリッドケーブルとその製造方法が提案された(例えば特許文献1参照)。このようなソリッドケーブルでは、高粘度油に比べて粘度の低い中粘度油を使用しているため、負荷オン時に絶縁層の外周側に移動した絶縁油が負荷遮断時に内周側に戻りやすく、絶縁破壊に至るようなボイドの発生が抑制される。このような特徴を活かして高温使用化、大容量化の要請に応えることが期待できる。
特開平11-224546号公報
ところで、ソリッドケーブルを海底ケーブルとして使用する場合等には、布設経路に高低差が発生する。このような高低差があると、重力の影響で絶縁油、特に中粘度油が下方に移動して高所部分で絶縁油の枯渇状態が発生することがあった。
一般に、外部半導電層4と金属シース5との間には、銅線織込み布テープ(図示略)が巻回され、この銅線で外部半導電層4と金属シース5との導通を確保している。この銅線織込み布テープの巻回層は絶縁層3に比べれば隙間が多く、絶縁層3の外側に移動した絶縁油が絶縁層3に戻れないと、その隙間内に絶縁油が停留されることになる。その際、ケーブルの布設経路に高低差があると、隙間内に停留する絶縁油が銅線織込み布テープの巻回層に沿って下方に移動するため、高所部分で絶縁油が枯渇しやすくなる。さらに、このような絶縁油の枯渇状態によって、負荷変動時等に発生したボイドの軸方向への成長が促進されることも懸念される。特に、海底ケーブルは補修が困難であるため、絶縁油の枯渇状態を発生させにくくするための対策が求められていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、絶縁層に含浸される絶縁油が絶縁層の外側に移動し、さらにその絶縁油が金属シースの直下で軸方向へも移動することを抑制できるようにしたソリッドケーブル及びその製造方法を提供することにある。
本発明のソリッドケーブルは、導体の外周に、絶縁油が含浸される絶縁層、及び金属シースが形成されるソリッドケーブルに係る。そして、このケーブルは、前記絶縁油が絶縁層と金属シースとの間に移動することを抑制するための高粘度部を、前記絶縁層と金属シースとの間に備えることを特徴とする。
このような構成によれば、絶縁層と金属シースとの間の隙間を高粘度部によって狭小化したり埋めることができる。つまり、負荷オン時に絶縁油が絶縁層の外側に移動しようとしても、高粘度部がバリアのように機能して絶縁油を絶縁層内に極力留めようとする。そのため、絶縁層と金属シースとの間に形成される隙間に絶縁油が移動されることが抑制される。その結果、この隙間に移動される絶縁油の量を低減できると共に、高粘度部自体が隙間内に存在する絶縁油の油流抵抗要素として機能するため、絶縁油がケーブル軸方向に移動することを抑制できる。さらに、この絶縁油の移動の抑制により、絶縁層内に生じるボイドの軸方向への成長も抑制することが期待できる。
より詳しくは、(1)まず、高粘度部によって、絶縁層と金属シースとの間にある微小な空間が埋められることによって油の流通空間が縮小される。そのため、絶縁油が絶縁層の外側に移動することを抑制すると共に、絶縁層と金属シースとの空間を介して絶縁油が長手方向へ移動することも抑制される。(2)また、高粘度部を粉体状、微粒状等の素材で形成した場合には、ケーブルの長手方向に沿う直線的な流通経路が蛇行状乃至は網目状等となることによっても絶縁油の移動が抑制される。(3)さらに、その高粘度部自体が移動しにくく、かつ絶縁油と混じることによって、絶縁油に粘性が付与されることによってもその移動を抑制することができる。高粘度部は、絶縁層と金属シースとの間に層状(絶縁層の全周)に形成されることが望ましいが、これに限定されない。例えば、絶縁層と金属シースとの間に、不連続な断続状(海島状等)に形成されてもよく、連続的ではあるが層をなさない状態(例えば螺旋状等)に形成されてもよい。
前記高粘度部には、前記絶縁層に含浸される絶縁油よりも粘度が高い絶縁油が含まれてもよい。例えば、中粘度の絶縁油として用いられるポリブデンは製品の粘度範囲が広く、高粘度部を形成するための素材として好適である。例えば絶縁層に含浸させるポリブデンの60℃での粘度が100cstである場合、同温度での粘度300cstのポリブデンで高粘度部を形成すればよい。このような粘度の高い絶縁油によって、絶縁層と金属シースとの間の隙間を埋めることにより、絶縁層の外側に絶縁油が移動することを抑制し、かつソリッドケーブルの布設状態に高低差があっても絶縁層と金属シースとの間の絶縁油が軸方向へ移動することも抑制でき、高所部分での油脱状態の発生を防ぐことができる。
前記高粘度部には、高粘度の絶縁油が含まれてもよい。高粘度絶縁油として、60℃における粘度が500cst以上の絶縁油を用いることが好ましい。例えば、精製されたナフテン系油からなるT2015(ダセック社 商品名:60℃における粘度が1200cst)を挙げることができる。このような高粘度の絶縁油は、ケーブル使用時において金属シースの最高温度が60℃程度となってもほとんど移動することはない。従って、このような高粘度絶縁油によって形成される高粘度部を、絶縁層と金属シースとの間の配設しておくことにより、絶縁油の軸方向への移動をより効果的に抑制することができる。
前記高粘度部には、ゴム系素材が含まれてもよい。例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム等の合成ゴムは、油に混じると膨潤(膨張)し、その移動を効果的に抑制するため、高粘度部にこれらの素材を含めることで、絶縁油の軸方向への移動が抑制され、高所部分での油脱状態の発生を防ぐことができる。その他、(1)絶縁層を構成する素材の耐熱温度よりも融点が低く、融点以上に加温されると、粘着性が増加するような素材、(2)絶縁層を構成する素材の耐熱温度よりも低いガラス転移点を有し、ガラス転移点以上に加温されると、粘着性が増加するような素材、(3)可塑剤を含み、温度を上げることにより、可塑剤が滲出して、粘着性が増加するような素材等々で、高粘度部を形成してもよい。
本発明のソリッドケーブルの製造方法は、導体の外周に、絶縁油が含浸される絶縁層、及び金属シースが形成されるソリッドケーブルの製造方法に係る。この方法において、前記絶縁層に絶縁油を含浸させる工程と、前記絶縁油が絶縁層と金属シースとの間に移動することを抑制するための高粘度部を、前記絶縁層の外周に形成する工程と、前記高粘度部の外周に金属シースを形成する工程とを備えることを特徴とする。
このような方法によれば、絶縁油を含浸させた絶縁層の外周に高粘度部を形成すると共に、その高粘度部の外側を金属シースで覆うことによって、金属シースと絶縁層の間の隙間に高粘度部が形成されたソリッドケーブルを得ることができる。このようなソリッドケーブルは、布設状態に高低差が発生しても、高粘度部によって絶縁油が絶縁層の外側に移動することを抑制でき、さらに絶縁層と金属シースとの間を介した絶縁油の軸方向への移動も抑制することができるため、高所部分での油脱状態の発生を防ぐことができ、ひいてはボイドの成長を抑制することができる。この方法においても、高粘度部は、不連続な断続状(海島状等)に形成されてもよく、連続的ではあるが層をなさない状態(例えば螺旋状等)に形成されてもよい。
また、高粘度部を形成する工程と金属シースを形成する工程は、高粘度部を形成した後に金属シースを形成しても良いし、高粘度部の形成とほぼ同時に金属シースの形成を行っても良い。例えば、前者としては、ケーブルコアの外側にゴム系素材を巻回して高粘度部を形成した後、そのゴム系素材の外側に金属シースを形成することが挙げられる。後者としては、ケーブルコアに押出機で金属シースを形成する際、押出機にケーブルコアを導入する直前で同コアに高粘度油をかけるなどして高粘度部を形成することが挙げられる。
本発明のソリッドケーブルは、絶縁層と金属シースとの間に高粘度部を備えるので、ソリッドケーブルの布設状態に高低差が発生しても、絶縁油の軸方向への移動が抑制できる。
本発明のソリッドケーブルの製造方法は、絶縁油を含浸させた絶縁層の外周に高粘度部を形成すると共に、その高粘度部の外側を金属シースで覆うことによって、金属シースと絶縁層の間に、高粘度部を形成することができる。
<ケーブルの基本構成>
以下に、本発明の実施の形態に係るソリッドケーブルとその製造方法について説明する。図1は、海底に布設されるソリッドケーブル(以下、海底ソリッドケーブルという)の断面を示す。この例では、中心から順に、導体1、内部半導電層2、油浸絶縁層(以下、絶縁層という)3、外部半導電層4、高粘度部7、金属シース(例えば鉛被)5、防食層6を備える。
ここで、絶縁層3には、クラフト紙を用いても良いが、ポリオレフィン系樹脂フィルムを含む絶縁テープが好適に利用できる。その具体例としては、ポリオレフィン系樹脂フィルム単独の絶縁テープの他、ポリオレフィン系樹脂フィルムの片側又は両側にクラフト紙をラミネートした複合テープ等が用いられる。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両側にクラフト紙をラミネートした複合テープとポリオレフィン系樹脂フィルム単独の絶縁テープとを交互に巻回して絶縁層3を形成してもよい。ポリオレフィン系樹脂フィルムの代表例としてはポリプロピレンが挙げられる。
また、絶縁層に含浸される絶縁油としては、中粘度油が好適に利用できる。中粘度油の具体例としては、ポリスチレン系絶縁油、ポリブテン、鉱油、アルキルベンゼン主体の合成油、重質アルキレート或いはこれらの1種以上を含む混合物が挙げられる。
そして、絶縁層3と金属シース5との間に、高粘度部7を層状(閉ループ)に形成している。通常、外部半導電層4と金属シース5との間には、銅線織込み布テープ(図示略)が巻回され、この銅線で外部半導電層4と金属シース5との導通を確保している。高粘度部7は、後述するように、銅線織込み布テープの巻回層自体に形成する場合と、銅線織込み布テープの巻回層の内側又は外側に形成する場合とがある。
以下、上記のケーブルに形成する高粘度部を具体的に説明する。
<実施形態1>
まず、絶縁油を利用した高粘度部7が挙げられる。絶縁油を用いた高粘度部7の代表例としては、銅線織込み布テープの巻回層の微細な隙間に所定の絶縁油が含浸されることで実質的に銅線織込み布テープの巻回層自体に高粘度部7を形成した構成が挙げられる。
(中粘度油による高粘度部)
その一つとして、絶縁層3に含浸される絶縁油よりも粘度が高い絶縁油で高粘度部7を構成することが挙げられる。例えば、絶縁層3に含浸させる中粘度の絶縁油として用いられるポリブデンは製品の粘度範囲が広く、高粘度部7を形成するための素材として選択することができる。絶縁層3に含浸させるポリブデンの60℃での粘度が100cstである場合、同温度での粘度300cstのポリブデンで高粘度部7を形成すればよい。つまり、絶縁層3に含浸される絶縁油も、高粘度部7を構成する絶縁油も中粘度油とするが、前者よりも後者を高粘度とする。このような高粘度部7を外部半導電層4と金属シース5の間に断面が閉ループの層状となるように形成することで、銅線織込み布テープの巻回層に存在する微細な隙間を埋めることができる。そのため、絶縁油が銅線織込み布テープの巻回層に存在する微細な隙間に移動することを抑制し、さらにはその絶縁油がケーブル軸方向に移動することも効果的に抑制することができる。
この高粘度部7を形成するためには、まず導体1の外周に形成した絶縁層3に粘度100cstのポリブデンを含浸させ、その後、外部半導電層4、銅線織込み布テープの巻回層を順次形成する。続いて、導体1から銅線織込み布テープの巻回層までのケーブルコアの外側に金属シース5を形成する際、高粘度部7を形成する。具体的には、金属シース5を形成するための押出機の直前でケーブルコアに、粘度300cstのポリブデンを塗布又は回し掛けて高粘度部7を形成し、引き続いて高粘度部7の外周に金属シース5を形成すればよい。この方法によれば、高粘度部7の形成と金属シース5の形成とがほぼ同時に行える。
このような高粘度部7を外部半導電層4と金属シース5の間に形成した海底ソリッドケーブルは、たとえ、布設時に、陸上に近い部分等で軸方向に高低差が発生した場合においても、高粘度部7によって絶縁油の軸方向への移動が抑制され、高所部分での油脱状態の発生が防がれる。即ち、課通電時には、導体温度の上昇に伴う絶縁層の温度変化により粘度100cstのポリブデンの粘度が低下し、その絶縁油が径外方に移動しようとする。しかし、外部半導電層4と絶縁層3との間、つまり銅線織込み布テープの巻回層には、粘度300cstのポリブデンが含浸されており、この高粘度部7の絶縁油はケーブルの使用温度範囲で殆ど移動しない。そのため、ケーブル軸方向への油流通路になりやすい銅線織込み布テープの巻回層の隙間には絶縁層3から移動してきた粘度100cstのポリブデンが含浸される余地が殆どない。その結果、絶縁層3と金属シース5との間を介して絶縁層3の絶縁油がケーブル軸方向に移動することを効果的に抑制できる。
(高粘度油による高粘度部)
次に、高粘度部7に絶縁油を用いる他の構成としては、絶縁層3に含浸する絶縁油を中粘度絶縁油とし、高粘度部7を高粘度絶縁油で構成することが挙げられる。例えば、60℃の粘度が1200cst、比重が0.93(5℃)の高粘度油であるT2015(ダセック社 商品名)で高粘度部7を形成する。その場合、高粘度部7は、ケーブル使用時における金属シースの最高温度が80℃程度の温度であってもほとんど移動することはない。従って、このような高粘度絶縁油によって形成される高粘度部7を、絶縁層3と金属シース5との間の配設しておくことにより、絶縁油の軸方向への移動をより効果的に抑制することができる。高粘度油で高粘度部7を構成する場合も、その形成方法は上述した方法と同様である。
これらの高粘度部7は、上述のように、絶縁層3と金属シース5との間に層状(断面が閉ループ状)に形成されることが望ましいが、これに限定されることはない。絶縁層3と金属シース5との間に、例えば螺旋状に形成されてもよく、その螺旋状体は、連続的であってもよく、不連続的であってもよい。例えば、所定の領域を占める海島状に分散(分布)させてもよい。要するに、外部半導電層4と金属シース5の導通が確保でき、かつ絶縁油の軸方向への移動を抑制できる程度に形成されればよく、その形態の如何を問わない。この高粘度部7の形態は、高粘度部7を構成する絶縁油を塗布又は回し掛けする領域を変えることにより容易に調整できる。また、高粘度部7の厚さは、絶縁層3の絶縁油が絶縁層3と金属シース5との間を介してケーブル軸方向に移動することを抑制できる限り、薄い方が好ましい。
<実施形態2>
次に、ゴムや樹脂系の有機固体材料を用いた高粘度部について説明する。これら有機固体材料は、繊維材として銅線織込み布テープの布素材の一部又は全部に代えて利用したり、粉粒体、編組材又はテープ材として銅線織込み布テープの内側又は外側に配することが挙げられる。これら有機固体材料で高粘度部を構成することにより、銅線織込み布テープによる外部半導電層4と金属シース5との導通が難しい場合は、有機固体材料にカーボンや金属などの導電性フィラーを添加するなどして導電性を付与することが好ましい。
(ゴム系素材)
まず、高粘度部7にゴム系素材を含む構成が挙げられる。例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム等の合成ゴムは、油に接すると膨潤(膨張)し、絶縁油の移動を効果的に抑制する。そのため、銅線織込み布テープ自体又は同布テープに近接してゴム系素材を配することで、膨潤したゴム系素材が銅線織込み布テープの隙間を圧縮し又は隙間に入り込んで、絶縁油が絶縁層3から絶縁層3と金属シース5との間に移動しようとすることを抑制できる。その結果、絶縁層3と金属シース5との間を介して絶縁油が軸方向に移動することが抑制され、油脱状態の発生を防ぐことができる。
このゴム系素材は、例えば粉体状、微粒状、テープ状等であってもよく、また、これらをテープ材に担持させたものであってもよく、その形態の如何を問わない。何れの形態であっても、絶縁層3に対して絶縁油を含浸させた後、これらの素材を外部半導電層4又は銅線織込み布テープの上にふりかけたり、巻回することによって、絶縁層3の外周に高粘度部7を形成することができる。その他、有機固体材料以外の材料としては、合成ゴム系ラテックス接着剤などの流体で高粘度部7を形成してもよい。例えば、外部半導電層4又は銅線織込み布テープの外周に合成ゴム系ラテックス接着剤を直接塗布してもよい。
(低融点樹脂)
また、絶縁層3を構成する素材の耐熱温度よりも融点が低く、融点以上に加温されると粘着性が増加するような素材で高粘度部7を形成してもよい。例えば絶縁層3を形成する絶縁テープのベースとなるPP(ポリプロピレン)の耐熱温度(140℃)よりも融点又は耐熱温度の低い材料として、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、天然ゴム(NR)、合成ゴム(イソプレンゴム)(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ウレタンゴム(U)等の高分子材料を挙げることができる。
このような低融点樹脂を用いた高粘度部7を形成するには、まず、ソリッドケーブルを製造段階において、絶縁層3に絶縁油を含浸させた後、銅線織込み布テープ自体又は同布テープに近接して低融点樹脂を配する。低融点樹脂の形態及び配置の仕方は上記ゴム系素材と同様である。その後、絶縁層3の融点(耐熱温度)以下で、かつ高粘度部に用いる低融点樹脂の融点以上の温度にケーブルを加熱する。この加熱により、粘着性が増加した低融点樹脂が銅線織込み布テープの隙間を圧縮し又は隙間に入り込んで、絶縁油が絶縁層3から絶縁層3と金属シース5との間に移動しようとすることを抑制できる。その結果、絶縁層3と金属シース5との間を介して絶縁油が軸方向に移動することが抑制され、油脱状態の発生を防ぐことができる。
(低ガラス転移点樹脂)
また、絶縁層3を構成する素材の耐熱温度よりも低いガラス転移点を有し、ガラス転移点以上に加温されると、粘着性が増加する熱可塑性合成樹脂で高粘度部7を形成してもよい。このような素材としては、例えばポリ酢酸ビニル(30℃)、ナイロン6(登録商標)(47℃)、ナイロン66(登録商標)(49℃)、ポリエチレンテレフタレート(80℃)、ポリ塩化ビニル(82℃)、ポリスチレン(100℃)等の高分子材料を挙げることができる。上記()内はガラス転移点(温度)を示す。
このような低ガラス転移点樹脂を用いた高粘度部7を形成するには、まず、ソリッドケーブルを製造段階において、絶縁層3に絶縁油を含浸させた後、銅線織込み布テープ自体又は同布テープに近接して低ガラス転移点樹脂を配する。低ガラス転移点樹脂の形態及び配置の仕方は上記ゴム系素材と同様である。その後、絶縁層3の融点(耐熱温度)以下で、かつ高粘度部に用いる低ガラス転移点樹脂のガラス転移点以上の温度にケーブルを加熱する。この加熱により、粘着性が増加した低ガラス転移点樹脂が銅線織込み布テープの隙間を圧縮し又は隙間に入り込んで、絶縁油が絶縁層3から絶縁層3と金属シース5との間に移動しようとすることを抑制できる。その結果、絶縁層3と金属シース5との間を介して絶縁油が軸方向に移動することが抑制され、油脱状態の発生を防ぐことができる。
(可塑剤含有樹脂)
さらに、可塑剤を含む素材であって、温度を上げることにより、可塑剤が滲出して、粘着性が増加するような高分子材料で高粘度部7を形成することもできる。可塑剤が添加されている熱可塑性合成樹脂や合成ゴムは、加温されると可塑剤が滲出して表面がねばねばした粘着性を帯びる。例えば、塩化ビニル樹脂(軟質)には可塑剤としてフタル酸エステルが添加されているため、これを加熱すると、可塑剤が表面に滲出して粘着性を帯びてくる。従って、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂をテープ状等として、これを絶縁層3の外周に配することによって高粘度部7を形成することができる。
このような可塑剤含有樹脂を用いた高粘度部7を形成するには、まず、ソリッドケーブルを製造段階において、絶縁層3に絶縁油を含浸させた後、銅線織込み布テープ自体又は同布テープに近接して可塑剤含有樹脂を配する。可塑剤含有樹脂の形態及び配置の仕方は上記ゴム系素材と同様である。その後、絶縁層3の融点(耐熱温度)以下で、かつ可塑剤が滲出するような温度にケーブルを加熱する。この加熱により、粘着性が増加した可塑剤含有樹脂が銅線織込み布テープの隙間を圧縮し又は隙間に入り込んで、絶縁油が絶縁層3から絶縁層3と金属シース5との間に移動しようとすることを抑制できる。その結果、絶縁層3と金属シース5との間を介して絶縁油が軸方向に移動することが抑制され、油脱状態の発生を防ぐことができる。その他、フタル酸ジエチルを可塑剤とするポリスチレン、ジメチルフタレートを可塑剤とするゴム等が、可塑剤を含む素材として利用できる。
尚、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、改良、変更等は自由である。例えば、上記実施形態1による絶縁油を用いた高粘度部と、実施形態2による有機固体材料による高粘度部との双方からなる高粘度部としてもよい。
本発明のソリッドケーブルは、絶縁層に含浸される絶縁油の軸方向への移動を抑制できるので、高低差が発生しやすく長距離大容量の電力輸送が要求される海底ソリッドケーブルに好適である。
本発明の実施の形態に係るソリッドケーブルの断面図である。 従来のソリッドケーブルの断面図である。
符号の説明
1 導体
2 内部半導電層
3 油浸絶縁層(絶縁層)
4 外部半導電層
5 金属シース
6 防食層
7 高粘度部

Claims (5)

  1. 導体と、導体の外周に設けられて絶縁油が含浸される絶縁層と、該絶縁層の外周に設けられる金属シースとを備えるソリッドケーブルであって、
    前記絶縁油が絶縁層と金属シースとの間に移動することを抑制するための高粘度部を、前記絶縁層と金属シースとの間に備えることを特徴とするソリッドケーブル。
  2. 前記高粘度部には、前記絶縁層に含浸される絶縁油よりも粘度が高い絶縁油が含まれることを特徴とする請求項1に記載のソリッドケーブル。
  3. 前記高粘度部には、高粘度の絶縁油として、60℃における粘度が500cst以上の絶縁油が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のソリッドケーブル。
  4. 前記高粘度部には、ゴム系素材が含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のソリッドケーブル。
  5. 導体と、導体の外周に設けられて絶縁油が含浸される絶縁層と、該絶縁層の外周に設けられる金属シースとを備えるソリッドケーブルの製造方法であって、
    前記絶縁層に絶縁油を含浸させる工程と、
    前記絶縁油が絶縁層と金属シースとの間に移動することを抑制するための高粘度部を、前記絶縁層の外周に形成する工程と、
    前記高粘度部の外周に金属シースを形成する工程とを備えることを特徴とするソリッドケーブルの製造方法。
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