JP2010104177A - ソリッドケーブルの中間接続構造 - Google Patents

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修二 真山
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正幸 廣瀬
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宗久 三谷
Katsuya Yamanishi
克也 山西
Hiroshi Hirota
博史 広田
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Abstract

【課題】中間接続箇所の形成時に当該接続箇所から絶縁油が抜け出ることを抑制できるソリッドケーブルの中間接続構造、及び中間接続方法を提供する。
【解決手段】導体10とケーブル絶縁油が含浸されたケーブル油浸絶縁層11とを具えるソリッドケーブル1の端部において、ケーブル油浸絶縁層11から導体10の端部を露出させて導体10同士を接続し、ケーブルコア1cの端部及び導体接続部20の外周に絶縁材を巻回して接続部絶縁層21を形成する。この絶縁材は、かけ油の温度に加熱したかけ油用絶縁油をかけながら巻回する。このかけ油用絶縁油は、かけ油の温度における動粘度が20mm2/s以下であり、60℃における動粘度がケーブル絶縁油の動粘度の1/2以上であるものを利用する。かけ油を行うときに動粘度が低いため絶縁材の巻回作業を行い易く、中間接続箇所の施工時に動粘度が高いため、脱油し難い。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁油が含浸された絶縁層を有するソリッドケーブル同士を接続する中間接続構造、及びこの接続構造を形成する中間接続方法に関する。特に、中間接続箇所の形成時に当該接続箇所から絶縁油が抜け出ることを抑制することができるソリッドケーブルの中間接続構造に関するものである。
長距離大容量の直流電力ケーブルとして、導体の外周にクラフト紙を巻回して、高粘度の絶縁油を含浸させた絶縁層を具えるソリッドケーブルが利用されている。また、使用温度の更なる高温化、大容量化を図ることが可能なソリッドケーブルとして、ポリプロピレンとクラフト紙との複合テープを巻回して、中粘度の絶縁油を含浸させた絶縁層を具えるソリッドケーブルが提案されている(特許文献1)。
長距離の電力線路を形成する場合、ソリッドケーブル同士を接続する中間接続部が設けられる。この中間接続部には、予め工場で組み立てられるFJ(Factory joint)と呼ばれる接続部がある。FJの具体的な組立手順は、以下の通りである(図1参照)。(1)ソリッドケーブル1のケーブルコア1cの端部においてケーブル油浸絶縁層11を構成するテープ状の絶縁材の一部を除去したり巻き解して導体10の端部を露出させる→(2)露出させた導体10同士を溶接などで接続する→(3)ケーブル油浸絶縁層11において絶縁材が除去された箇所を埋めるように別のテープ状の絶縁材を巻回して、ケーブルコア1cの端部及び導体接続部20の外周を覆うと共に、ケーブル油浸絶縁層11の絶縁材を巻き戻して接続部絶縁層21を形成する→(4)接続部絶縁層21の外周に、金属シース22、防食層23を設ける。船上で組み立てる船上ジョイントと呼ばれる接続部の場合は、更に、(5)補強層24、外装25などを設ける。
上記接続部絶縁層を形成する場合、絶縁材に、ソリッドケーブルの絶縁層に含浸する絶縁油(以下、ケーブル絶縁油と呼ぶ)と同じ絶縁油を含浸させておくと共に、この絶縁材を巻回する際、ケーブル絶縁油よりも動粘度が低い絶縁油(以下、かけ油用絶縁油と呼ぶ)を所定の温度に加熱して更に動粘度を下げた状態にし、このかけ油用絶縁油を絶縁材にかけながら絶縁材を巻回する。
特開平11-224546号公報
しかし、従来の中間接続構造では、その施工時に脱油箇所が生じる恐れがあり、この脱油により絶縁性能の低下を招く恐れがある。
従来通りの手順で中間接続部(FJ)を組み立てた後、FJを解体して接続部絶縁層を調べたところ、接続部絶縁層を構成する絶縁材間や、接続部絶縁層を構成する絶縁材とケーブルの絶縁層(ケーブル油浸絶縁層)を構成する絶縁材との間に満たされていたかけ油用絶縁油が無くなっている箇所があった。この脱油は、かけ油用絶縁油の動粘度が低いことで、絶縁材に一旦付着しても、FJを組み立てている間などに導体の接続箇所側や接続部絶縁層の外部(ケーブルの導体側やケーブルの金属シースの直下など)に抜け出たりすることで生じたと考えられる。絶縁材間に絶縁油が存在しない部分は、電気的な弱点部分となり、絶縁特性の低下を招く恐れがある。
また、動粘度が低い絶縁油をかけ油に用いてFJを形成し、このFJを有するソリッドケーブルを海底などに布設して線路を運転すると、FJが運転時の使用最高温度(海底の場合、60℃程度)に達した際に、上述のようにかけ油用絶縁油が移動して、脱油が生じる恐れがある。
そこで、本発明の目的の一つは、中間接続箇所に脱油が生じ難いソリッドケーブルの中間接続方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記中間接続構造を形成することができるソリッドケーブルの中間接続方法を提供することにある。
かけ油用絶縁油の抜け出しを抑制するには、このかけ油用絶縁油の動粘度を高めることが考えられる。しかし、かけ油用絶縁油の動粘度を高めると、かけ油を行っている際に空気を巻き込み易くなることからボイドを生じたり、塊が生じ易くなることからかけ油後に絶縁材間に厚い油膜が残り、この厚い油膜の存在により絶縁材間に空隙(ボイド)が生じたりする恐れがある。これらのボイドも電気的弱点となることから、ボイドが生じないように中間接続部を形成することが望まれる。
従って、かけ油用絶縁油に要求される特性は、かけ油を行うときには、油膜が薄く、空気を巻き込まないように動粘度が低く、ケーブルの接続作業中、特にかけ油が接続部絶縁層に触れて冷却されたときの温度(概ね60℃)において、脱油し難いように動粘度が高いことが挙げられる。また、かけ油用絶縁油は、中間接続箇所が運転時の使用最高温度に達したときにも、動粘度が高いことが好ましい。例えば、海底に線路を構築した場合、運転時の使用最高温度は概ね60℃である。このような要求特性を満たす絶縁油を検討したところ、かけ油を行うときの温度において動粘度が低く、上記冷却されたときの温度及び運転時の使用最高温度、即ち60℃において動粘度がある程度高い絶縁油が得られた。本発明の中間接続方法は、この特定の絶縁油をかけ油に利用する。
具体的には、本発明のソリッドケーブルの中間接続方法は、導体の外周にケーブル油浸絶縁層を具えるソリッドケーブル同士を接続する方法に係るものであり、以下の導体の接続工程と、接続部絶縁層の形成工程とを具える。
導体の接続工程:上記導体及びケーブル油浸絶縁層を具える各ケーブルコアの端部においてそれぞれ、上記ケーブル油浸絶縁層から導体の端部を露出させ、露出させた導体同士を接続する。
接続部絶縁層の形成工程:上記導体と導体を覆うケーブル油浸絶縁層とが段階的に露出されたケーブルコアの端部、及び上記導体の接続箇所の外周にテープ状の絶縁材を巻回して接続部絶縁層を形成する。
特に、上記接続部絶縁層は、所定のかけ油の温度に加熱したかけ油用絶縁油を上記絶縁材にかけながら形成する。そして、このかけ油用絶縁油は、以下の粘度特性を満たす。
粘度特性:上記接続部絶縁層を形成する際に行われるかけ油の温度における動粘度が20mm2/s以下であり、60℃における動粘度が上記ケーブル絶縁油の動粘度の1/2以上である。
上記本発明接続方法により、本発明の中間接続構造を形成することができる。本発明のソリッドケーブルの中間接続構造は、導体の外周にケーブル油浸絶縁層を具えるソリッドケーブル同士を接続する接続構造に係るものであり、導体と導体を覆うケーブル油浸絶縁層とが段階的に露出された一対のケーブルコアの端部と、導体接続部と、接続部絶縁層とを具える。導体接続部は、上記ケーブル油浸絶縁層から露出された導体同士を接続している箇所である。接続部絶縁層は、上記ケーブルコアの端部及び上記導体接続部の外周にテープ状の絶縁材を巻回して構成され、絶縁油が含浸されている。そして、上記絶縁材間に存在する絶縁油は、上述の粘度特性を満たす。
本発明中間接続方法によれば、かけ油用絶縁油は、かけ油を行うときの温度における動粘度が十分に低いため、絶縁材に満遍なくかけ渡すことができる上に、絶縁材の巻回も行い易い。また、このかけ油用絶縁油は、かけ油の際、上述のように動粘度が低いため、絶縁材間に厚い油膜が形成され難く、また、空気を巻き込み難いため、ボイドの発生を効果的に低減することができる。かつ、このかけ油用絶縁油は、接続部絶縁層に触れて、所定のかけ油の温度から冷却されると、動粘度が高くなる。特に、60℃における動粘度は、従来のかけ油用絶縁油の動粘度よりも高い。このような絶縁油をかけ油に用いることで、接続部絶縁層を構成する絶縁材間だけでなく、絶縁層の継ぎ目部分を構成する接続部絶縁層の絶縁材とケーブルの油浸絶縁層の絶縁材との間にも当該かけ油用絶縁油が存在する。そして、この絶縁材間に存在するかけ油用絶縁油は、上述のように冷却されて60℃程度になったときに十分に動粘度が高く、FJの組立途中において絶縁材間から抜け難い。そのため、本発明中間接続構造は、ボイドの存在やかけ油用絶縁油の抜けによる電気的弱点が存在し難く、絶縁特性に優れる。また、このかけ油用絶縁油は、上述のように60℃における動粘度が高いことから、本発明の中間接続構造を具えるソリッドケーブルを海底などに布設して運転した際、使用最高温度(60℃程度)に達した場合でも移動し難く、運転時においても脱油が生じ難い。以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明におけるかけ油用絶縁油は、上述の粘度特性を満たす種々のものが利用できる。特に、かけ油の温度における動粘度は、従来のかけ油に用いられていた絶縁油と同等程度であると、絶縁油をかける作業や絶縁材の巻回作業が行い易く好ましい。また、60℃における動粘度は、高い方が好ましく、60℃におけるケーブル絶縁油の動粘度よりも高くても構わない。
本発明の一形態として、絶縁材間に存在する絶縁油は、ケーブル絶縁油よりも動粘度が低い絶縁油をベース油とし、増粘剤を含有している構成が挙げられる。
上記構成によれば、ベース油に対して増粘剤の含有量を調整したり、ベース油の動粘度を調整することで、上述の粘度特性を満たすかけ油用絶縁油を容易に得ることができる。特に、ベース油として、ケーブル絶縁油よりも動粘度が低いものを用いると、かけ湯の温度を比較的低温にすることができ、かけ油の作業が行い易い。ベース油は、例えば、低密度のポリブデン油が挙げられる。増粘剤には、絶縁油と混じることにより絶縁油の粘性を高められる任意のものを利用することができる。具体的には、ポリイソブチレン、ゴム系素材や樹脂系の有機固体材料などから選択される1種以上が挙げられ、組み合わせて含有させてもよい。
上記ゴム系素材は、絶縁油に接触すると膨張することで、絶縁油の移動を抑制することができるものが利用できる。例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴムなどの合成ゴムが挙げられる。
有機固体材料としては、融点がかけ油の温度以下であり、この融点以上に加熱されると粘着性が増加するような材料が利用できる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、天然ゴム(NR)、合成ゴム(イソプレンゴム)(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ウレタンゴム(U)などの高分子材料が挙げられる。或いは、ガラス転移点がかけ油の温度以下であり、このガラス転移点以上に加熱されると粘着性が増加するような熱可塑性合成樹脂が利用できる。例えば、ポリ酢酸ビニル(30℃)、ナイロン6(登録商標)(47℃)、ナイロン66(登録商標)(49℃)、ポリエチレンテレフタレート(80℃)、ポリ塩化ビニル(82℃)、ポリスチレン(100℃)などの高分子材料が挙げられる。なお、上記()内はガラス転移点(温度)を示す。或いは、温度を上げることにより、可塑剤が滲み出て、粘着性が増加するような高分子材料、即ち、可塑剤が添加されている熱可塑性合成樹脂や合成ゴムが利用できる。例えば、フタル酸エステルを可塑剤とする塩化ビニル樹脂(軟質)、フタル酸ジエチルを可塑剤とするポリスチレン、ジメチルフタレートを可塑剤とするゴムなどが挙げられる。
或いは、増粘剤を含有させなくても、上述の粘度特性を満たす種々の絶縁油を利用することができる。
本発明の一形態として、ケーブル絶縁油は、60℃における動粘度が10mm2/s(10cst)以上500mm2/s(500cst)未満である構成が挙げられる。また、ケーブル油浸絶縁層の少なくとも一部及び接続部絶縁層の少なくとも一部は、絶縁紙とプラスチック層とを有する複合テープを巻回してなる構成が挙げられる。
ケーブル絶縁油として、上述の中粘度油を用いると共に、絶縁層の構成材料として、上述の複合テープを用いることで、使用温度の高温化による大容量化が図れる。また、上述の中粘度油を用いることで、従来の高粘度油と比較して、ケーブル油浸絶縁層に含浸させ易い。上記粘度を満たす絶縁油は、例えば、ポリスチレン系絶縁油、鉱油、アルキルベンゼン主体の合成油、及び重質アルキレートから選択される1種、或いは、これら2種以上の混合油などが利用できる。
ケーブル油浸絶縁層や接続部絶縁層はテープ状の絶縁材を巻回して構成する。この絶縁材として、絶縁紙の一面にプラスチック層を具えたり、二枚の絶縁紙の間にプラスチック層を具える複合テープを利用すると、絶縁特性が高く好ましい。複合テープは、プラスチック層の厚さの割合(k値)が高いものを利用すると、抵抗率ρが大きく、絶縁特性が高い。k値の高い複合テープは、例えばスーパーカレンダー加工を施すことで製造することができる。
本発明の一形態として、接続部絶縁層を構成する絶縁材に含浸されている絶縁油の動粘度がケーブル絶縁油よりも高い構成とすることが挙げられる。
上記構成によれば、絶縁材自体からも脱油することを効果的に防止することができる上に、絶縁材間に存在する絶縁油の抜け落ちの抑制に寄与すると考えられる。そのため、この構成では、かけ油用絶縁油自体の脱油の抑制効果と絶縁材に含浸された絶縁油による脱油の抑制効果との相乗効果が期待できる。
本発明ソリッドケーブルの中間接続構造は、脱油が生じ難い。本発明ソリッドケーブルの中間接続方法は、上記本発明中間接続構造を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明ソリッドケーブルの中間接続構造の部分断面模式図である。ソリッドケーブル1は、中心から順に、導体10、ケーブル油浸絶縁層11、金属シース12、防食層13、補強層14、外装15を具える。ケーブル油浸絶縁層11には、絶縁油(ケーブル絶縁油)が含浸されている。接続される一対のソリッドケーブル1は、その端部において上記各構成部材が段剥ぎされている。両ケーブル1を接続する中間接続構造2は、導体10と導体10を覆うケーブル油浸絶縁層11とが段階的に露出された一対のケーブルコア1cの端部と、この露出された導体10同士を接続する導体接続部20と、上記ケーブルコア1cの端部及び導体接続部20の外周に構成される接続部絶縁層21とを具える。接続部絶縁層21にも絶縁油が含浸されている。この中間接続構造2の最も特徴とするところは、接続部絶縁層21に含浸される絶縁油にある。以下、絶縁層及び絶縁油を中心に説明する。
<ソリッドケーブル>
《導体など》
導体10は、複数の銅素線を撚り合わせた、いわゆるキーストン導体が利用できる。金属シース12は、鉛により形成される。防食層13は、ポリエチレン(PE)といった樹脂により形成される。補強層14は、金属シース12にかかるフープストレスを分担する層であり、ステンレス鋼といった高抗張力材料などからなる帯状材を巻回して構成される。外装15は、鉄線が利用できる。
《ケーブル油浸絶縁層》
ケーブル油浸絶縁層11は、導体10側から順に内部半導電層(図示せず)、主絶縁層、外部半導電層(図示せず)を具える。主絶縁層は、例えば、二枚の絶縁紙の間にプラスチック層を有する複合テープを螺旋状にギャップ巻きして構成される。複合テープは、二枚のクラフト紙の間にポリプロピレン(PP)層を有するPPLP(住友電気工業株式会社の登録商標)が利用できる。この複合テープは、PP層の厚さの割合(k値)が40〜90%である適宜なもの、例えば、スーパーカレンダー加工によりk値を高めたものを利用できる。
なお、主絶縁層において内周側(導体直上)及び外周側(金属シースの直下)にクラフト紙を巻回してなる低ρ層を具える構成とすると、主絶縁層においてストレスが高く導体の影響を受け易い部分が受けるストレスを低減することができる。
ケーブル油浸絶縁層11に含浸されるケーブル絶縁油として、ここでは、以下の粘度特性を有する中粘度のポリブテン油(日本石油化学株式会社製HV-15)を用いている。
[粘度特性]
60℃における動粘度:約200mm2/s
100℃における動粘度:約30mm2/s
<中間接続構造>
《導体接続部など》
導体接続部20は、各ケーブル1のケーブルコア1cの端部から露出された導体10同士を溶接したり、接続スリーブを用いて導体10同士を接続することで構成される。接続部絶縁層21の外周には、ケーブル1と同様に、内側から順に、鉛により形成される金属シース22、ポリエチレンにより形成される防食層23、ステンレス鋼帯などにより構成される補強層24、鉄線などで構成される外装25を具える。
《接続部絶縁層》
接続部絶縁層21は、導体接続部20及び露出された導体10近くのケーブル油浸絶縁層11の外周に、ケーブル油浸絶縁層11と同様のテープ状の絶縁材(PPLP(登録商標))を螺旋状にギャップ巻きすると共に、ケーブル油浸絶縁層11を構成する絶縁材の一部を巻き戻して構成される。接続部絶縁層21の形成にあたり巻き足す絶縁材は、巻回前にケーブル絶縁油と同様の絶縁油(上述した中粘度油)を含浸させている。また、絶縁材間には、ケーブル絶縁油とは別の絶縁油が存在する。この絶縁材間に存在する絶縁油は、後述するように中間接続構造を組み立てる際にかけ油として利用されたものである。
そして、このかけ油用絶縁油の粘度特性が従来のかけ油用絶縁油と異なる点が最大の特徴である。従来のかけ油用絶縁油は、図2に太実線で示すように、任意の温度における動粘度がケーブル絶縁油(図2に細実線で示す)よりも低いものを利用していた。これに対して、接続部絶縁層21の絶縁材間に存在するかけ油用絶縁油は、図2に破線で示すように、かけ油を行うときの所定の温度(通常、90〜110℃程度。ここでは、100℃とする)における動粘度が、ケーブル絶縁油(ここでは上述の中粘度油)よりも低く、従来のかけ油用絶縁油と同程度である。具体的には、接続部絶縁層21の絶縁材間に存在するかけ油用絶縁油は、上記かけ油の温度における動粘度が、20mm2/s以下を満たす。かつ、接続部絶縁層21の絶縁材間に存在するかけ油用絶縁油は、図2に示すように、60℃における動粘度が、従来のかけ油に用いていた絶縁油よりも高い。具体的には、接続部絶縁層21の絶縁材間に存在するかけ油用絶縁油は、60℃における動粘度が、ケーブル絶縁油(上述の中粘度油)の動粘度の1/2以上を満たす。
上記接続部絶縁層21のかけ油用絶縁油は、従来のかけ油用絶縁油をベース油とし、このベース油に増粘剤を含有させたものである。具体的には、ベース油として、上述のケーブル絶縁油よりも動粘度が低いポリブデン油(日本石油化学株式会社製LV品)を用いており、増粘剤には、ポリイソブチレンを用いている。増粘剤の含有量は、所望の動粘度になるように適宜調整するとよい。
なお、絶縁材間に存在する絶縁油、及び絶縁材自体に含浸された絶縁油は、例えば、中間接続構造をケーブルの軸方向に直交するように切断し、この断面において、絶縁材間に存在する絶縁油、及び絶縁材自体に含浸された絶縁油をそれぞれ抽出し、それぞれの分子量分布を調べることで特定することができる。
<中間接続構造の組立手順>
上記構成を具える中間接続構造2は、以下のようにして形成することができる。
接続する一対のソリッドケーブル1のケーブルコア1cの端部においてそれぞれ、各構成部材を段剥ぎして導体10を露出させる。ケーブル油浸絶縁層11の端部側を構成する絶縁材は、導体10の端部側が概ね細くなるようにテーパ状に剥ぎ取ったり、巻き解したりする。そして、露出された導体10を例えば、溶接により接合する。
導体10同士を接続した導体接続部20の外周に、内部半導電層を形成した後、その外周に、予め絶縁油を含浸させた絶縁材を巻回すると共に、ケーブル油浸絶縁層11の巻き解した絶縁材を巻き戻して、主絶縁層を形成する。これら絶縁材の巻回は、所定の温度(かけ油の温度、ここでは100℃)に加熱して動粘度を下げた状態のかけ油用絶縁油を絶縁材にかけながら行う。この工程により、巻回された絶縁材間、及びこの接続部絶縁層21を構成する絶縁材とケーブル油浸絶縁層11の巻き戻した絶縁材との間には、接続部絶縁層21を構成する絶縁材に含浸された絶縁油とは異なるかけ油用絶縁油が存在する。主絶縁層の外周に外部半導電層を形成して接続部絶縁層21が形成される。
上記接続部絶縁層21の外周に鉛管を配置し、鉛管の両端部をケーブル1の金属シース12に溶接して、金属シース22を形成する。金属シース22の外周にポリエチレン(PE)テープを巻回した後、PEを溶融して防食層23を形成する。防食層23の外周にステンレス鋼帯を巻回し、ケーブル1の補強層14にステンレス鋼帯を溶接して、補強層24を形成する。最後に、鉄線を巻回して、ケーブル1の外装15に鉄線を溶接して、外装25を形成する。上記工程により、中間接続構造2が形成される。
上述のように、かけ油を行うときに動粘度が低く、かけ油が冷却されて60℃になったときの温度において動粘度が高い絶縁油をかけ油用絶縁油としたことで、中間接続構造の組み立て途中などで、絶縁油の抜け落ちを効果的に低減できる。また、上記かけ油用絶縁油を用いることで、絶縁材間に厚い油膜が形成されたり、空気を巻き込んだりし難いため、ボイドが発生しにくい。更に、60℃における動粘度が高いことから、この中間接続構造を具えるソリッドケーブル線路を海底などに構築して運転した際にも、中間接続箇所において脱油が生じ難い。従って、このソリッドケーブル線路は、所望の絶縁特性を十分に満たすと期待される。更に、上記かけ油用絶縁油を用いることで、かけ油のかけ回しや絶縁材の巻回を容易に行うことができる。
(変形例)
上記実施形態では、接続部絶縁層を構成する絶縁材に含浸させる絶縁油として、ケーブル絶縁油と同様のものを用いたが、ケーブル絶縁油よりも動粘度が高いものを利用してもよい。このような絶縁油として、例えば、ポリブテン油(日本石油化学株式会社製商品名:HV-35)が利用できる。上記特定の粘度特性を有するかけ油用絶縁油の使用に加えて、含浸用絶縁油として、上述のように動粘度が高いものを用いると、この含浸用絶縁油による脱油の抑制効果も期待できる。従って、この構成は、中間接続箇所における脱油をより効果的に低減できる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、ケーブル絶縁油の組成や動粘度、接続部絶縁層に利用する絶縁油の組成や動粘度、絶縁層の構成材料などを適宜変更することができる。
本発明ソリッドケーブルの中間接続構造は、電力供給、特に、長距離大容量の電力供給線路を構築するにあたり、ソリッドケーブル同士を接続する箇所に好適に利用することができる。本発明ソリッドケーブルの中間接続方法は、本発明ソリッドケーブルの中間接続構造の製造に好適に利用することができる。
ソリッドケーブルの中間接続構造の一部を示す断面模式図である。 絶縁油の温度と動粘度との関係を模式的に示すグラフである。
符号の説明
1 ソリッドケーブル 1c ケーブルコア 2 中間接続構造
10 導体 11 ケーブル油浸絶縁層 12,22 金属シース 13,23 防食層
14,24 補強層 15,25 外装 20 導体接続部 21 接続部絶縁層

Claims (5)

  1. 導体と導体を覆うケーブル油浸絶縁層とが段階的に露出された一対のケーブルコアの端部と、この露出された導体同士を接続する導体接続部と、これらケーブルコアの端部及び導体接続部の外周にテープ状の絶縁材を巻回して構成される接続部絶縁層とを具えるソリッドケーブルの中間接続構造であって、
    前記接続部絶縁層は、絶縁油が含浸されており、
    前記絶縁材間に存在する絶縁油は、
    前記接続部絶縁層を形成する際に行われるかけ油の温度における動粘度が20mm2/s以下であり、
    60℃における動粘度が前記ケーブル油浸絶縁層に含浸されるケーブル絶縁油の動粘度の1/2以上であることを特徴とするソリッドケーブルの中間接続構造。
  2. 前記ケーブル絶縁油は、60℃における動粘度が10mm2/s以上500mm2/s未満であり、
    前記ケーブル油浸絶縁層の少なくとも一部及び前記接続部絶縁層の少なくとも一部は、絶縁紙とプラスチック層とを有する複合テープを巻回して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のソリッドケーブルの中間接続構造。
  3. 前記絶縁材間に存在する絶縁油は、前記ケーブル絶縁油よりも動粘度が低い絶縁油をベース油とし、増粘剤を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のソリッドケーブルの中間接続構造。
  4. 前記絶縁材には、前記ケーブル絶縁油よりも動粘度が高い絶縁油が含浸されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のソリッドケーブルの中間接続構造。
  5. 導体の外周にケーブル油浸絶縁層を具えるソリッドケーブル同士を接続するソリッドケーブルの中間接続方法であって、
    前記導体及びケーブル油浸絶縁層を具える各ケーブルコアの端部においてそれぞれ、前記ケーブル油浸絶縁層から導体の端部を露出させ、露出させた導体同士を接続する工程と、
    前記導体と導体を覆うケーブル油浸絶縁層とが段階的に露出されたケーブルコアの端部、及び前記導体の接続箇所の外周にテープ状の絶縁材を巻回して接続部絶縁層を形成する工程とを具え、
    前記接続部絶縁層は、所定のかけ油の温度に加熱したかけ油用絶縁油を前記絶縁材にかけながら形成し、
    前記かけ油用絶縁油は、前記かけ油の温度における動粘度が20mm2/s以下であり、60℃における動粘度が前記ケーブル絶縁油の動粘度の1/2以上であることを特徴とするソリッドケーブルの中間接続方法。
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