JP5368613B1 - 導電性微粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性微粒子は、平均粒子径0.1〜20μmの樹脂微粒子の外面に無電解還元めっき法により導電層が形成されて構成されている。この導電層は、樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケル層が形成されて構成される。前記ニッケル層の厚さとリンの含有率との積を表す下記式のPNが0.10〜2.00に設定され、好適には0.15〜1.60に設定される。
PN=ニッケル層の厚さ(μm)×ニッケル層中のリンの含有率(%)
【選択図】なし
Description
請求項2に記載の発明の導電性微粒子は、請求項1に係る発明において、前記PNは0.15〜1.60であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の導電性微粒子は、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記ニッケル層中のリンの含有率は1.0〜11.0%であることを特徴とする。
本発明の導電性微粒子では、樹脂微粒子の外面に形成された導電層は少なくとも樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケル層が形成されて構成されている。そして、ニッケル層中にはリンが含有され、前記PNが0.10〜2.00に設定されている。このリンは、銅の移動を阻害する働き(バリア性)を発現し、銅が導電性微粒子の表面に到ることを抑制する。このため、導電性微粒子が電気的接続部位の接続に用いられるとき、所定厚さのニッケル層及びそのニッケル層に含まれるリンにより、銅層中の銅のマイグレーションが抑えられる。また、樹脂微粒子側に導電性の良い銅層、最外層に銅層の表面酸化を抑えるニッケル層を設けることにより、導電性微粒子の電気抵抗の上昇を抑えて導電性を維持することができる。
本実施形態の導電性微粒子は、平均粒子径0.1〜20μmの樹脂微粒子の外面にめっきにより導電層が形成されて構成されている。前記導電層は少なくとも樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケルを主成分として含むニッケル層が形成されている。このニッケル層中には、リン(P)が含まれるとともに、前記ニッケル層の厚さとリンの含有率との積を表す下記式のPNが0.10〜2.00に設定される。
以下に、この導電性微粒子の各構成要素について順に説明する。
(樹脂微粒子)
この樹脂微粒子は電気絶縁性を有し、導電性微粒子の核となるもので、その材質は特に制限されないが、有機系重合体等が用いられる。有機系重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド等の線状重合体;ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレントリ(メタ)アクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、両末端アクリル変性ポリブタジエンオリゴマー等を単独又は他の重合性単量体と重合させて得られる網状重合体;フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体の単独又は他の重合性単量体と共重合させて得られる樹脂等が挙げられる。前記有機系重合体を形成するための重合方法は特に制限されず、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法、乳化重合法等が挙げられる。
CV値(%)=(σ/Dn)×100・・・・(1)
(式中、σは粒子径の標準偏差を表し、Dnは数平均粒子径を表す。また、標準偏差及び数平均粒子径は、任意の樹脂微粒子300個を電子顕微鏡で観察、測定することにより得られる値である。)
樹脂微粒子には、「相互侵入高分子網目構造を形成し得る化合物」すなわち架橋性化合物を含浸させることができる。この架橋性化合物としては、樹脂微粒子内部において加熱により相互侵入高分子網目構造を形成することができるような化合物であれば、制限されない。この架橋性化合物として好適には、架橋反応し得る官能基を複数個有する化合物である。該架橋性化合物の複数の官能基により架橋反応が進行することによって、相互侵入高分子網目構造が形成される。
(導電層)
この導電層は樹脂微粒子側の内層に銅層、最外層にニッケル層が形成されて構成される。導電層は銅層とニッケル層のみで構成されていてもよく、或いは銅層とニッケル層との間又は樹脂微粒子と銅層との間に銀層、スズ層、パラジウム層等の他の金属層が設けられていてもよい。前記銅層は、純銅又は銅と亜鉛との合金(黄銅)、銅とスズとの合金(青銅)等の銅合金により形成される。
PN=ニッケル層の厚さ(μm)×ニッケル層中のリンの含有率(%)
このPNは0.10〜2.00であり、0.15〜1.60であることが好ましく、PNをこの範囲に設定することにより、銅層中の銅がニッケル層中に移動、拡散したとき、ニッケル層中における銅の移行を阻害し、銅が導電性微粒子表面に到ることを抑制することができる。このPNが0.10を下回る場合、ニッケル層の厚さが薄く又はリンの含有率が少なくなり、銅に対する十分なバリア性を発揮することができなくなる。その一方、PNが2.00を上回る場合、ニッケル層の厚さが厚くなり過ぎ或いはリンの含有率が多くなり過ぎて、導電性微粒子の電気抵抗が増大する傾向を示す。
さて、導電性微粒子において、導電層は樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケル層が形成されて構成されている。このため、銅層のみの場合には表面酸化により電気抵抗特性が低下し、ニッケル層のみの場合には電気抵抗特性が不足するのに対し、銅層とニッケル層とを設けた場合には銅層とニッケル層との相乗的作用が発現される。すなわち、ニッケル層が銅層の表面酸化を抑えるとともに、銅の拡散を抑制しつつ、電流容量を高め、良好な電気抵抗特性すなわち良好な導電特性を発現することができる。
(1)本実施形態の導電性微粒子においては、導電層は樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケル層が形成され、該ニッケル層中にはリンが含まれるとともに、前記PNが0.10〜2.00に設定されている。このリンは銅の移動に対するバリア性を発現するため、導電性微粒子が電気的接続部位の接続に用いられるとき、所定厚さのニッケル層及びそのニッケル層中に含まれるリンにより、銅のマイグレーションが抑制される。また、樹脂微粒子側の銅層と最外層のニッケル層の積層構成により、銅層の表面酸化が抑えられると同時に、導電性微粒子の電気抵抗の上昇を抑えて導電性を良好に維持することができる。
(2)前記PNが好ましくは0.15〜1.60であることにより、銅に対する耐マイグレーション性を一層向上させ、それを安定して維持することができる。
(3)前記ニッケル層の厚さは0.03〜0.15μmであることが好ましい。この場合には、銅の移動に対する十分なバリア性を発揮できるとともに、電気抵抗性を低く維持でき、かつ銅層の酸化を抑制することができる。
(4)前記ニッケル層中のリンの含有率は1.0〜11.0%であることが好ましい。この場合、銅に対する耐マイグレーション性を良好に発揮させることができるとともに、導電性微粒子の導電性を向上させることができる。
(5)前記ニッケル層を、リンを含むニッケル層とリンを含まないニッケル層とにより形成することにより、ニッケル層中におけるリンの含有域又はリンの含有率を容易に調整することができ、銅に対する耐マイグレーション性を適切に発揮することができる。
(6)前記銅層の厚さは0.05〜0.16μmであることが好ましい。このとき、銅の優れた延伸性に基づいて銅層が樹脂微粒子の繰り返しの変形に追従することができ、電気的な接続を良好に維持することができる。
(実施例1)
2Lセパラブルフラスコにポリビニルピロリドン3.5質量%メタノール溶液400g、スチレン42g及びp−トリメトキシシリルスチレン63gを充填し、窒素気流下において緩やかに攪拌しつつ60℃に加温した。これにアゾビスイソブチロニトリル4gを加え、9時間反応させた。反応終了後室温に冷却し、水酸化カリウムの5質量%水溶液200gを追加し、60℃で2時間攪拌して加水分解反応及び架橋反応を行った。得られた粒子を洗浄し、シラノール基を有する平均粒子径3μmの樹脂微粒子Aを得た。
(比較例1)
前記実施例1における銅めっき樹脂微粒子Cをそのまま使用した。
(実施例2〜14、16〜19及び比較例2〜4)
前記実施例1における樹脂微粒子Aに実施例1と同様の手順で銅めっき及びニッケルめっきを施し、導電性微粒子を得た。各実施例及び比較例における銅層及びニッケル層の厚さ、ニッケル層中のリン含有率は、めっき液の配合を調整して表1及び表2に示すように設定した。
(実施例15)
実施例1の銅層及びニッケル層を形成した導電性微粒子を純水400mLに分散した後、70℃に加温し、酢酸ニッケル12.4g/L、ヒドラジン6.4g/Lを各々10mL/分の速度で440mLずつ同時に滴下し、厚さ0.05μmのリンを含まないニッケル層をさらに形成した導電性微粒子を得た。すなわち、この導電性微粒子のニッケル層は、内周側のリンを含むニッケル層と外周側のリンを含まないニッケル層とが積層されて形成されている。
(比較例5及び6)
前記銅めっき樹脂微粒子Cを純水400mLに分散した後、70℃に加温し、酢酸ニッケル12.4g/L、ヒドラジン6.4g/Lを各々10mL/分の速度で440mLずつ同時に滴下し、所定厚さのリンを含まないニッケル層を形成した導電性微粒子を得た。
(比較例7)
前記銅めっき樹脂微粒子Cを純水400mLに分散し、硫酸ニッケル6水和物50g/L、ジメチルアミンボラン5g/L、クエン酸50g/LからなるpH7.5に調整した無電解めっき液を10mL/分の速度で155mL滴下し、水素の発生が停止するまで50℃に保持しながら撹拌を継続させた。その後、濾過、洗浄を行い、厚さ0.05μmのリンを含まないニッケル層を被覆した導電性微粒子を得た。
(導電層の厚さ及びリン含有率)
各導電層の厚さ(μm)は、得られた導電性微粒子の断面をミクロトームで切り出し、透過型電子顕微鏡で観察して測定した。また、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)により、ニッケル層中のリン濃度(質量%)及びニッケル濃度(質量%)を測定した。そして、測定されたリン濃度(質量%)をニッケル濃度(質量%)で除した値をニッケル層中のリンの含有率(P/Ni)(%)とした。
(マイグレーション)
得られた導電性微粒子をエポキシ系熱硬化型接着剤〔三井化学(株)製、ストラクトボンドXN−5A〕に濃度3質量%の割合で混合した。Line/Space=30/30μm、重なり幅5mmの櫛形電極を形成したFPC(フレキシブルプリント基板)に塗布し、無アルカリガラス基板に熱圧着した基板を作製した。その基板に30Vの電圧を印加しながら、温度85℃、相対湿度95%の環境下で500時間、恒温恒湿の促進試験を行った。この促進試験中に流れる電流値を観察し、最大電流を表1及び表2に記載した。促進試験終了後に電極を観察したところ、最大電流が0.3mA未満の場合には電極に大きな異常は見られなかったが、0.3mA以上の場合には電極間でデンドライト(樹脂状晶)の発生が見られた。
(電気抵抗)
抵抗測定キット付き微小圧縮試験機〔(株)島津製作所製、MCT-W201〕を用い、先端50μmの金属製平型圧子にて0.29mN/secの負荷速度にて、元の粒子径から10%変形させたときの電気抵抗値(Ω)を測定した(測定温度は20℃)。
(繰り返し圧縮)
導電性微粒子の繰り返し圧縮を、次の手順で実施した。
2)前記微小圧縮試験機の繰返し負荷−除荷モードにて最大荷重値P(mN)、最小荷重値:0.2mN、負荷速度:0.284mN/秒で10回負荷−除荷を繰り返す。但し、最大荷重値Pは、導電性微粒子の圧縮率が40%になるときの荷重値とする。
(単粒子率)
導電性微粒子を、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル〔(三洋化成工業(株)製、ノニポール400〕を5質量%含んだメタノールに濃度が約0.1質量%となるように分散する。そして、その分散液をスライドガラス上に垂らしカバーガラスを被せて、光学顕微鏡にて観察し、単粒子率(%)を測定した。
・ 前記ニッケル層を、外周側のリンやホウ素を含まないニッケル層と、内周側のリンを含むニッケル層とを積層して構成してもよい。その場合、電気抵抗を一層低下させ、より高性能の導電性微粒子を得ることができる。
・ 前記ニッケル層の表面すなわち導電性微粒子の表面に、酸化チタン、酸化セリウム等の酸化物層の形成、クロム被膜の形成、樹脂による被覆、3−(ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、ベンゾトリアゾール等の防錆剤の塗布等を行うことにより、ニッケル層の酸化を抑制したり、電気絶縁性を高めたりするように構成してもよい。
Claims (6)
- 平均粒子径0.1〜20μmの樹脂微粒子の外面にめっきにより導電層を形成した導電性微粒子であって、
前記導電層は少なくとも樹脂微粒子側に銅層、最外層にニッケルを主成分として含むニッケル層が形成されて構成され、前記ニッケル層中にはリンを含有するとともに、前記ニッケル層の厚さとリンの含有率との積を表す下記式のPNが0.10〜2.00であることを特徴とする導電性微粒子。
PN=ニッケル層の厚さ(μm)×ニッケル層中のリンの含有率(%) - 前記PNは0.15〜1.60であることを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子。
- 前記ニッケル層の厚さは0.03〜0.15μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性微粒子。
- 前記ニッケル層中のリンの含有率は1.0〜11.0%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性微粒子。
- 前記ニッケル層は、リンを含むニッケル層とリンを含まないニッケル層とにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の導電性微粒子。
- 前記銅層の厚さは0.05〜0.16μmであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の導電性微粒子。
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