本発明の課題は、上記に鑑み、取り扱いのしやすい日焼け止め塗布具を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は、大面積塗布部と小面積塗布部を一体収納してなる油性日焼け止め塗布具を提供する。油性日焼け止めは日焼け止め効果が大きい反面、塗布のために伸ばしたあとの手の平に残存し、手の平がべたついて不快な上、その手で髪を触るとギシギシ、パサパサの状態となるととともに、紺や黒の衣服を触ると白く汚れてしまう。また、皮製のハンドバッグ等を持つと持ち手の部分がベタベタ、ネトネトの状態となる。かといって手を洗うと、手の平側だけでなく、せっかく手の甲側に塗布した日焼け止めも落ちてしまう。手は紫外線に曝される率が高いとともによく使うため、日焼け止めが落ちやすくこまめに塗り直すことが望まれるが、そのために手の平側が汚れては上記のような不都合があるため、塗り直しが容易でない。ここにおいて、上記、大面積塗布部と小面積塗布部を一体収納してなる油性日焼け止め塗布具は、手の平や指の指紋側を汚さずに手の指の甲側等の細部に油性日焼け止めを塗布できるとともに、手の甲等の比較的大面積の部分には手の甲同士のすり合わせ等により速やかに塗布することを可能にする。
本発明の具体的な特徴によれば、大面積塗布部は液状の油性日焼け止め剤を収容する容器を含み、小面積塗布部は半分固形スティック状の油性日焼け止め剤を含む。これにより、手の平や指の指紋側を汚さずに半分固形スティック状の油性日焼け止め剤にて細部の塗布が可能となるとともに、半分固形スティック状の油性日焼け止め剤では塗布に手間取る手の甲等の比較的大面積の部分には液状の油性日焼け止め剤にて速やかに塗布することが可能となる。
本発明のより具体的な特徴によれば、油性日焼け止め塗布具は容器とスティック状の油性日焼け止め剤を連結する連結部を有する。これにより、両者を一体的に取り扱うことができ、適宜必要な方の使用が可能となる。さらに具体的な特徴によれば、連結部には、紫外線測定部が設けられ、日焼けの原因と対策を連携させることができる。
本発明の他のより具体的な特徴によれば、連結部は、容器の蓋である。これによって容器に通常設けられる蓋を利用して液状の油性日焼け止め剤と半分固形スティック状の油性日焼け止め剤を連結することができる。 本発明のさらに他のより具体的な特徴によれば、連結部は、スティック状の油性日焼け止め剤の収納部である。これによって、スティック状の油性日焼け止め剤をコンパクトに連結収納することができる。
本発明の他の具体的な特徴によれば、油性日焼け止め塗布具の大面積塗布部は液状の油性日焼け止め剤を収容する容器を含み、小面積塗布部は液状の油性日焼け止め剤の細部塗布部である。これによって、液状の油性日焼け止め剤を用いて大面積部および小面積部への塗布が可能となる。より具体的な特徴によれば、容器の蓋に細部塗布部が収納される。また、収納部を利用して細部塗布部への油性日焼け止め剤供給構造を設けることも可能である。さらに具体的な特徴によれば、この蓋には紫外線測定部が設けられる。
本発明のさらに他の具体的な特徴によれば、油性日焼け止め塗布具の大面積塗布部は液状の油性日焼け止め剤を収容する容器を含み、小面積塗布部は容器に着脱可能な油性日焼け止め剤の流出制御部を有する。これによって、液状の油性日焼け止め剤の流出制御と小面積部への容易な塗布が可能となる。より具体的な特徴によれば、油性日焼け止め塗布具は、流出制御部を有する第1部分とこの流出制御部を覆う第2部分を有し、第1部分と第2部分を一体化させて前記容器から除去することで容器を大面積塗布部とするとともに、第1部分と容器とを一体化させて第2部分を除去することで流出制御部を小面積塗布部とする。
本発明の他の特徴によれば、液状の油性日焼け止め剤を収容する容器と、容器の蓋と、この蓋に設けられた紫外線測定部とを有する日焼け止め塗布具が提供される。これによって、日焼けの原因と対策を連携させることができる。また、蓋側に紫外線測定部が設けられるので、蓋と容器が一体である場合も、蓋が取り外された場合も、紫外線測定の際に不用意に液状の日焼け止め剤が零れることがない。さらに、蓋側に紫外線測定部が設けられるので、容器の油性日焼け止め剤が消耗した際も容器側を交換することで、紫外線測定部を継続使用することができる。また、容器側は、通常の日焼け止め製品であればよく、蓋を交換するだけで、紫外線測定機能つきの日焼け止め塗布具とすることができる。この場合、必要に応じ、容器の口の径を補正する補助環を設けることもできる。
上記本発明の具体的な特徴によれば、容器と蓋との着脱に応じ紫外線測定部が制御される。他の具体的な特徴によれば、蓋の操作に応じ紫外線測定部が制御される。さらに他の具体的な特徴によれば、蓋は着脱可能な付属品を有し、蓋と付属品との着脱に応じ紫外線測定部が制御される。より具体的には、この付属品は小面積塗布部である。これらの特徴により、特に紫外線測定のための操作部を設けなくても、紫外線塗布具の自然な使用を通じ、日焼けの原因と対策を連携させることができる。
上記のように、本発明によれば、手の平を汚さずかつ速やかに指を含む手の甲側に日焼け止めを塗布できる日焼け止め塗布具が提供される。また日焼けの原因と対策を簡単に連携させることも可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係る日焼け止め塗布具の実施例1を示す斜視図である。実施例1の日焼け止め塗布具は、液状の油性日焼け止めクリームを収容する日焼け止めクリーム容器本体(以下「容器本体」と略称する)2とこれにネジ結合する蓋4からなる日焼け止めクリーム容器をベースに構成される。これら容器本体2とその蓋4は通常の市販日焼け止めクリーム製品であって、実施例1は、蓋4と交換して容器本体2にネジ結合可能なクリーム容器蓋兼用スティック蓋(以下「兼用蓋」と略称する)6、および兼用蓋6における容器本体2と逆側にネジ結合される日焼け止めスティック容器(以下「スティック容器」と略称する)8を有する。
スティック容器8には、油性の半固形日焼け止めスティック10(以下「スティック」と略称する)が収容されており、スティック操作ダイヤル12を回転させることにより突出方向(図面下方)に繰り出される。なお、スティック10は、新品状態で最も引っ込めて兼用蓋6にネジ結合されたとき図1のようにその先端が兼用蓋6に入り込む長さを持つ。従って、スティック容器8は新品状態のスティック10を完全に収容する長さを有する必要がない。なお、スティック容器8には、兼用蓋6にネジ結合している状態においてスティックが兼用蓋6内に突出するのを防止するため、スティック操作ダイヤル12の回転を規制する繰出ロック機構14が設けられている。
以上のような実施例1の日焼け止め塗布具を使用して、例えば手の甲側に日焼け止めを塗布する場合、例えばまず、スティック容器8が兼用蓋6に結合している状態で兼用蓋6を容器本体2から外し、容器本体2から日焼け止めクリームを手の甲に垂らして手の甲同士をすり合わせることにより日焼け止めクリームを延ばす。ここまでは、容器本体2と蓋4からなる通常の日焼け止めクリーム製品の使用と同様である。次に指の甲側や指の間などの細部に日焼け止めを塗布する際は、容器本体を兼用蓋6で閉じるとともに、スティック容器8を兼用蓋6から外して、スティック10により塗布を行う。スティック10は半固形なので、リップスティックのように、スティック容器8を持って手を汚すことなく指の甲側や指の間などの細部に日焼け止めを塗布することができる。この際、スティックが磨耗すれば、スティック操作ダイヤル12を回転させて突出量を調節する。このようにして、手の甲のように広い面積部分には容器本体からの日焼け止めクリームを迅速に延ばし塗布するとともに、細部についてはスティックを使用することにより、いずれも手の平側を汚すことなく、速やかに塗布を完了することができる。
兼用蓋6は、さらに紫外線(以下「UV」と称する)センサ16を備えており、UV測定が可能である。測定は、兼用蓋6の容器本体2への着脱を検知する第1スイッチ18、またはスティック容器8の兼用蓋6への着脱を検知する第2スイッチ20によって行われるので、特に操作部を要しない。なお、第1スイッチ18、第2スイッチ20は検知スイッチであるとともに電源スイッチを兼ねており、これらのスイッチが上記のメカ的な動きを検知するとまず給電が開始され、この給電開始が検知を兼ねている。測定結果は液晶などからなる表示部22表示される。また、測定は、スティック操作ダイヤル12が繰出ロック機構14により規制された範囲内で回転したことを検知する第3スイッチ24によっても行われる。このようにして、スティック操作ダイヤル12はUV測定操作ダイヤルとしても兼用されるので、以下、「兼用ダイヤル12と称する。また、繰出ロック機構14は、第3スイッチにUV測定操作を伝達する機構を兼用しているので以下「兼用機構14」と称する。なお、使用者は兼用ダイヤル12の機能を知らなくても、スティック容器8を兼用蓋6から外して回転させればスティック10が進退し、スティック容器8が兼用蓋6にネジ結合している状態で誤って回転させたとき回転が規制されるとともにUV計測結果が表示部22に表示されるので、直ちにその意義と使用法を理解することができる。
兼用蓋6には、UVセンサ16の電源として電池26が内蔵されており、消耗したときは、スティック容器8を兼用蓋6から外した状態にて交換することが可能である。また補助電源として、色素増感太陽電池28が表示部22に隣接するレイアウトで兼用蓋6に配置されている。
上記のようにUVセンサ6、表示部22およびこれらの電源を含むUV測定部を兼用蓋6に配置することにより、日焼け止めクリームが空になったときは容器本体2と蓋4よりなる通常の日焼け止めクリーム製品を新たに購入して兼用蓋6を取り付ければよい。また、UV測定部が兼用蓋6側に設けられているので、兼用蓋6を取り外した際にも、UV測定のために兼用蓋6をどのような姿勢にしても容器本体の日焼け止めクリームが誤ってこぼれることはない。さらにスティック容器8についても、兼用蓋6と分離可能なので、スティック10が消耗したときは新たに購入して付け代えればよい。このようにして、兼用蓋6は、日焼け止めクリームと日焼け止めスティックとを一体化して広い面積部分と細部に手の平側を汚すことなく日焼け止めの塗布を行うことを可能にするとともに、クリームとスティックのそれぞれの消耗の際、独立してこれらを交換することを可能にする。
図2は、実施例1の内部構成を示すブロック図であり、図1に対応する部分には同一の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。液状の油性日焼け止めクリーム30は容器本体2に収容され、兼用蓋6を取らない限り、外にこぼれることはない。ボタン電池などからなる電池26は、電池ホルダ32に収容され、スティック容器8を取出した状態で交換可能である。色素増感太陽電池28は蓄電池34に接続され電池ホルダ32からの給電を補助して電力を制御部36に供給する。なお、図示を省略しているが、電池ホルダ32および蓄電池34からの電力は、UVセンサ16や表示部22等にも電力を供給する。制御部36は、マイクロコンピュータ等からなり、UVセンサ16や表示部22を含む兼用蓋6全体の機能を制御する。また、兼用蓋6のスティック先端収容部38はスティック10の先端部を収容するために設けられているスペースである。
スティック容器8のスティック繰り出し機構40は、スティック容器8が兼用蓋6から取り外された状態において兼用ダイヤル12が回転させられるとき、これに連動してスティック10を繰り出す。検知ピン42は、スティック容器8が兼用蓋6から取り外された状態で図の下方に突出し、この状態において繰り出しロック/UV測定操作伝達兼用機構42は、兼用ダイヤル12の回転に連動してスティック繰り出し機構がスティック10を繰り出すのを許可する。一方、スティック容器8が兼用蓋6に取り付けられたときは検知ピンは兼用蓋6に押されて図示のように引っ込み、この状態では、繰り出しロック/UV測定操作伝達兼用機構42は、兼用ダイヤル12の回転に連動するスティック繰り出し機構の動きを規制してスティック10の繰り出しを禁止する。一方、この状態においても兼用ダイヤルはわずかの回転が可能でこの回転は検知ピンを水平方向にわずかにスライドさせる。第3スイッチはこの検知ピンのスライドを検知し、制御部36にUV測定信号として伝達される。UV測定などに関する制御部36の機能は後述する。
図3は、上記本発明の実施例1における図1の制御部36の機能を示すフローチャートである。フローは容器本体2からの兼用蓋6の取り外し、または兼用蓋6からのスティック容器8の取出し、または、スティック容器8が兼用蓋6に取り付けられている状態における兼用ダイヤル12の操作によるメカ操作によって給電が開始されることによりスタートする。なお、フローがスタートするとフローが終了するまで給電状態は自己保持される。フローがスタートすると、ステップS2で兼用ダイヤルが操作中であるかどうかどうかチェックする。スティック容器8が兼用蓋6に取り付けられているとき兼用ダイヤル12の動きは規制されており、操作がないとバネによりニュートラル位置にあるが操作力が加えられている間のみわずかに回転変位し、この変位状態が第3スイッチにより検知される。
ステップS2で兼用ダイヤル12の操作による回転変位が検知中であったときは、ステップS4に進み、UV測定および表示を開始する。これは、図3のフローが兼用ダイヤル12の操作により開始された場合であることを意味する。なお、既にUV測定が開始された状態でステップS4に至ったときはUV測定と表示を継続する。そしてステップS2に戻り、ダイヤル操作が検知中かどうかチェックする。以下、ダイヤル操作が検知中である限り、ステップS2およびステップS4を繰り返す。一方、操作停止により兼用ダイヤルがニュートラル位置に戻ることによりステップS2でダイヤル操作が検知されなくなるとステップS6に移行し、UV測定および表示を停止してステップS8に移行する。兼用ダイヤル操作によるUV測定は意図的に行われる可能性が高いので、操作終了に伴い直ちに測定を終了するのが適切であるからである。また、ステップS2で最初からダイヤル操作が検知されない時は、直ちにステップS6に移行するが、このときは元々UV測定が開始されていないからステップS6では何もせずステップS8に移行する。
ステップS8では、スティック容器8を兼用蓋6から取出したことを検知して図3のフローがスタートした場合であるかどうかチェックする。該当すればステップS10に移行し、UV測定および表示を開始してステップS12に移行する。ステップS12では、UV測定を開始してから所定時間(例えば10秒)経過したかどうかチェックする。そして経過がなければステップS14に移行し、スティック容器8が兼用蓋6に戻されたかどうかチェックする。検知がなければステップS12に戻り、以下、所定時間が経過するかスティック容器戻しが検知されない限りステップS12とステップS14を繰返し、UV測定と表示を継続する。一方、ステップS12でUV測定開始から所定時間の経過が検知されたとき、またはステップS14でスティック容器8が兼用蓋6に戻されことが検視されたときは、ステップS16に移行し、UV測定および表示を終了してステップS18に進む。このように、所定時間経過前でも、スティック容器が戻されたときは直ちにUV測定および表示を終了する。この場合は、日焼け止め塗布具の終了が予想されるからである。
ステップS18では、スティック容器8が兼用蓋6にも戻されたかどうか検知する。なお、ステップS18での検知は、ステップS14での検知の場合とは異なり、ステップS12での所定時間経過検知に基づきステップS16において一旦UV測定および表示が終了した後での検知である。この場合は、比較的時間をかけてスティック10による日焼け止め塗布を行ったあとでのスティック容器戻しであると考えられるので、ステップS20に進み、UV測定および表示を再開してステップS22に移行する。ステップS22では、ステップS12と同様にしてUV測定を開始してから所定時間経過したかどうかチェックする。ステップS22で所定時間の経過を待ち、経過が検知されるとステップS24に移行してUV測定および表示を終了し、ステップS26に進む。一方、ステップS8で兼用蓋6からのスティック容器8取出し検知によるフロースタートに該当しないと判断されたときは、直接ステップS26に移行する。
ステップS26では、フローは容器本体2からの兼用蓋6の取り外しを検知して図3のフローがスタートした場合であるかどうかチェックする。該当すればステップS28のUV測定・表示開始/終了処理に移行する。ステップS28の処理は、ステップS10からステップS24と同様の処理であり、これらのステップにおける「スティック容器」を「兼用蓋」と読み替えることにより理解できるので図3での図示を簡略化するとともに、説明を省略する。そして、ステップS28の処理が終了するとフローを終了する。また、ステップS26で容器本体2からの兼用蓋6の取り外し検知によるフロースタートに該当しないと判断された場合は直ちにフローを終了する。図3のフローの終了により、電源オンの自己保持状態は解除され、電源はオフとなる。従って、第1〜3スイッチのメカ的操作によって電源がオンとなるまでUV測定部による電力消費はない。
図4は、本発明の実施の形態に係る日焼け止め塗布具の実施例2を示す斜視図であり、実施例1と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また実施例1と類似する構成については、百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例2の日焼け止め塗布具も、液状の油性日焼け止めクリームを収容する容器本体2とこれにネジ結合する蓋4からなる通常の市販日焼け止めクリーム製品をベースに構成される。実施例2は、蓋4と交換して容器本体2にネジ結合可能なUV測定部搭載容器蓋(以下「容器蓋」と略称する)106、および容器蓋106における容器本体2と逆側にネジ結合される日焼け止め塗布筆(以下「塗布筆」と略称する)108を有する。
塗布筆108は、液状の日焼け止めクリームを含ませて塗布するための植毛101を有し、塗布筆108が容器蓋106に結合されているときは、図示のように植毛101が容器蓋106に収容されている。容器蓋106は、導通口103およびその容器側を開閉する内蓋105を有する。内蓋105は導通口103に沿ってスライドすることで開閉する。内蓋105を開閉するには、塗布筆108に設けられた内蓋開閉操作ダイヤル112を回転させる。内蓋開閉操作ダイヤル112の回転は、操作伝達部107および109を介して容器蓋106内の内蓋開閉機構に伝達され、内蓋105を開閉させる。内蓋開閉操作ダイヤル112には回転位置を示す指標111が設けられており、これを塗布筆108の開閉マーク113に合わせて回転させることにより開閉位置が決まる。なお、植毛101は、図示のように、内蓋105が閉じられた状態において導通口103と内蓋105の形成する空間内に収容されている。
容器蓋106には、導通口103の周囲に環状のクリーム溜115が設けられており、図4の状態で、日焼け止め塗布具全体を上下に振ることにより、容器本体2内の油性日焼け止めクリームが導通口103を通って植毛101に付着し、さらに植毛101と導通口103の隙間を通ってクリーム溜115に溜まる。なお、上記の日焼け止め塗布具全体を上下に振る動作は、油性日焼け止めクリームにおいて通常行われる動作である。塗布筆108は、実施例1におけるスティック10と同様にして、細部への塗布に使用されるものであるが、上記のようにして植毛101に油性日焼け止めクリームを付着させた状態にて塗布筆108を容器蓋106から取り出して塗布する。塗布に伴って、植毛101への油性日焼け止めクリーム付着量が減少したときは、クリーム溜115に植毛101を浸して補充する。以上の使用法等の詳細は後述する。
なお、クリーム溜115に溜まった油性日焼け止めクリームが導通口103の下部から不用意に零れるのを防止するため、内蓋開閉操作ダイヤル112の指標111が開閉マーク113の「開」に合わせられ内蓋105が開いている状態では、容器蓋106にロックがかかり、これを回転させて容器本体2から外せないよう構成されている。つまり、容器蓋106は、内蓋105が閉じられた状態に限り、容器本体2から外すことが可能である。また、容器蓋106が容器本体2から外されている状態では、内蓋にロックがかかり、内蓋開閉操作ダイヤル112を回転させて指標111を開閉マーク113の「開」に合わせることができないようになっており、この状態では、内蓋105を開くことができない。なお、容器蓋106には、実施例1と同様のVU測定部が設けられているが、煩雑さを避けるため、図示を省略している。
図5は実施例2の日焼け止め塗布具における種々の状態を示す概念断面図であり、煩雑をさけるため、内蓋開閉操作ダイヤルの図示を省略している。また、図4に対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。さらに、番号は主に図5(A)に付し、図5(B)以下は煩雑を避けるため必要のない限り同じ部分への番号の図示を省略する。
図5(A)は、使用前の日焼け止め塗布具の状態であり、容器本体2に油性日焼け止めクリーム30が溜まっている。図5(B)は、容器蓋106を塗布筆108と一体的に通常の蓋と同様に容器本体2から取り外した状態である。これによって通常の日焼け止めクリームと同様、矢印117に示すように日焼け止めクリームを滴下することができる。図5(C)は、図5(A)の状態にて内蓋105を開き、矢印119に示すように日焼け止め塗布具全体を上下に振っている状態を示す。
これによって容器本体2内の油性日焼け止めクリームが液滴121に示すように容器本体2内を上下し、その一部123が導通口103を通って植毛101に付着するとともに、他の一部125は、植毛101と導通口103の隙間を抜けてクリーム溜115の上部にて上下動する。
図5(D)は、図5(C)の状態から日焼け止め塗布具を振るのをやめ、内蓋105を閉じた状態を示しており、油性日焼け止めクリームの一部123が植毛101に付着するとともに、他の一部125がクリーム溜115に溜まっている。図5(E)は、図5(D)の状態から塗布筆108を外して細部への塗布を行う状態を示している。図5(F)は、塗布に伴って植毛101への油性日焼け止めクリーム付着量が減少したとき、クリーム溜115に溜まっている日焼け止めクリームの一部125に植毛101を浸して補充する状態を示す。なお、図5(F)では、容器蓋106を容器本体2から外して植毛101を日焼け止めクリームに浸しているが、図5(E)の状態で植毛101をクリーム溜115に浸し、日焼け止めクリームの補充を行ってもよい。
なお、実施例2におけるUV測定については、実施例1と同様、特に操作スイッチなどの操作なしに測定の開始終了を行う。つまり、実施例1と同様にして、塗布筆108の容器蓋106への着脱、容器蓋106の容器本体2への着脱、内蓋開閉操作ダイヤル112の操作に連動して測定の開始および終了を行う。この意味で、内蓋開閉操作ダイヤル112は実施例1と同様、UV測定操作を兼用する兼用ダイヤルとなっているので、以下実施例2においても「兼用ダイヤル」と略称する。但し、実施例2の場合、内蓋105の開閉の規制の有無にかかわらず、その操作に伴ってUV測定の開始および終了が行われる。また、図5(F)のように容器本体2から容器蓋106が外され、さらに塗布筆108も外した自由状態では、測定や表示の確認のために容器蓋106の姿勢が過度に傾いたときにクリーム溜115に溜まっている日焼け止めクリームの一部125が容器蓋106の上部から零れる可能性があるので、測定と表示は中止される。実施例2におけるUV測定の開始と終了の詳細について後述する。
図6は、実施例2の内部構成を示すブロック図であり、図4に対応する部分には同一の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。また図2における実施例1と類似する構成については、図4と同様、百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。上記のように実施例2も実施例1と同様のUV測定部を有する。従って図6では、図2のUVセンサ16、表示部22、電池ホルダ32と電池26、および色素増感態様電池28と蓄電池34をまとめてUV測定部127として図示している。なお、説明の都合上、特に制御部136をUV測定部内に図示している。また、実施例2では、第3スイッチ124は、操作伝達部109のメカ的な動きを検知して制御部136に通知している。
容器蓋106の内蓋開閉機構129は、操作伝達部の動きに基づいて内蓋105の開閉を行うとともに、後述のように内蓋105が開かないよう規制がかかったときは操作伝達部109および107を介して兼用ダイヤル112の動きを規制する。また、ロック機構131は、内蓋105の開閉状態をメカ的に検知し、内蓋105が開いている場合には容器蓋106と容器本体2との間の相対回転にロックをかけ、容器本体2から容器蓋106が取り外せないようにする。また、ロック機構131は容器蓋106と容器本体2の着脱状態をメカ的に検知し、容器蓋106が容器本体2から外されている状態では、内蓋にロックをかけ、このロック状態を内蓋開閉機構129、および操作伝達部109と107経由で兼用ダイヤル112に伝達して、内蓋開閉操作ダイヤル112を回転させて指標111を開閉マーク113の「開」に合わせることができないようにする。
図7は、上記本発明の実施例2における図6の制御部136の機能を示すフローチャートである。実施例1と同様、フローは容器本体2からの容器蓋106の取り外し、または容器蓋106からの塗布筆108の取出し、または、塗布筆108が容器蓋106に取り付けられている状態における兼用ダイヤル112の操作によるメカ操作によって給電が開始されることによりスタートする。フローがスタートするとフローが終了するまで給電状態は自己保持される点も、実施例1と同様である。フローがスタートすると、ステップ32で、兼用ダイヤル112の操作の有無が検知される。検知があればステップS34に移行してUV測定および表示を開始してステップS36に移行する。
ステップS36では、UV測定開始から所定時間が経過したかどうかチェックし、経過がなければステップS38に進んで、兼用ダイヤル112が再度操作されたかどうかチェックする。再操作の検知がなければステップS40に移行し、塗布筆108を取り出す操作の有無を検知する。検知があればステップS42に進んで容器蓋106が外されている状態にあるかどうかチェックする。そして容器蓋が外されていればステップS44に進んでUV測定および表示を終了し、ステップS46に移行する。一方、ステップS40で塗布筆の取り出し操作が検知されないかまたはステップS42で容器蓋が取り外し状態でなければステップS36に戻り、以下状態が変わらない限りステップS36からステップS42を繰り返して測定と表示を継続する。一方、ステップS36で所定時間の経過が検知されるか、またはステップS38で兼用ダイヤルの再操作が検知されると直ちにステップS44に移行してUV測定と表示を終了し、ステップS46に移行する。さらに、ステップS32で兼用ダイヤル操作の検知によりフローがスタートしたのでないと判断されたときは直ちにステップS46に移行する。
ステップ46では、容器蓋の取り外し操作によりフローがスターしたかどうかがチェックされる。そして該当すれば、ステップS48に移行してUV測定および表示を開始する。次いで、ステップS50では、UV測定開始から所定時間が経過したかどうかチェックし、経過がなければステップS52に進んで、容器蓋の閉じ操作の有無をチェックする。閉じ操作の検知がなければステップS54に移行し、塗布筆108を取り出す操作の有無を検知する。検知があればステップS56に進んでUV測定および表示を終了し、ステップS58に移行する。一方、ステップS54で塗布筆の取り出し操作が検知されないときはステップS50に戻り、以下状態が変わらない限りステップS50からステップS54を繰り返して測定と表示を継続する。一方、ステップS50で所定時間の経過が検知されるか、またはステップS52で容器蓋の閉じ操作が検知されると直ちにステップS56に移行してUV測定と表示を終了し、ステップS58に移行する。さらに、ステップS46で容器蓋外し操作によりフローがスタートしたのでないと判断されたときは直ちにステップS58に移行する。
ステップS58では、塗布筆戻し操作によりフローがスタートしたか否かを検知する。このようなことが起こるのは、塗布筆が取り出されてから所定時間が経過し、既にUV測定が終了している場合である。ステップS58で塗布筆戻しが検知されるとステップS60に移行し、UV測定と表示を開始してステップS50に戻る。以下、塗布筆が戻されていることを前提にステップS50以下のステップが実行され、所定時間の経過、容器蓋の閉じ操作、塗布筆の取り出し総裁などに対応する。一方、ステップS58で塗布筆の取り出し操作が検知されないときはフローを終了する。図3の実施例1のフローと同様にして、図7においてもフローの終了により電源オンの自己保持状態は解除され、電源はオフとなる。
なお、上記実施例2においては、日焼け止めクリームの細部塗布に塗布筆を採用しているが、液状の日焼け止めクリームを利用して細部塗布を行う構成はこれに限るものではない。例えば、容器蓋106の上部に結合する構成として塗布筆に代えて塗布ローラや塗布スポンジ等を採用する構成も可能である。この場合、例えば図6において、植毛101に変えてスポンジローラを配置するようにする。この場合も、図5に示したような使用法が可能である。
図8は、本発明の実施の形態に係る日焼け止め塗布具の実施例3を示す斜視図であり、実施例1または実施例2と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また実施例1または実施例2と類似する構成については、二百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例3の日焼け止め塗布具も、液状の油性日焼け止めクリームを収容する容器本体202とこれにネジ結合する蓋204からなる通常の市販日焼け止めクリーム製品をベースに構成される。なお、実施例3における容器本体202は油性の日焼け止めクリームの滴下を容易にするための円錐台状のノズル部233を有する。これに対応して蓋204も円錐台状の凹部235を有し、この凹部235でノズル部233を覆うことにより容器本体2を閉じる構成である。
実施例3においても、上記のような蓋204と交換して容器本体202にネジ結合可能なUV測定部搭載容器下蓋(以下「下蓋」と略称する)206、および下蓋206における容器本体202と逆側にネジ結合される上蓋208を有する。なお、図8においては簡単のため、ネジ結合状態の図示は諸略している。実施例3においては、下蓋206の円錐台状凹部は上下が貫通しており、その上端に日焼け止めクリームの通過を制御するとともに細部の塗布に適したメッシュ部237を有する。市販製品の構造における蓋204をこのように下蓋206と上蓋208に分割することにより、本発明の実施例3では、下蓋206と上蓋208を一体的に容器本体202から取り外したときは、市販製品の蓋204と同様にして容器本体202の日焼け止めクリームを滴下することができる。一方、下蓋206を容器本体202と結合した状態で残し、上蓋208のみを取り外した場合は、容器本体202におけるノズル233の先端がメッシュ部237で覆われた状態となるので、細部の塗布が容易となる。
なお、実施例3におけるUV測定についても、実施例1および実施例2と同様、特に操作スイッチなどの操作なしに測定の開始終了を行う。つまり、実施例1または実施例2と同様にして、上蓋208の下蓋206への着脱、下蓋206の容器本体202への着脱に基づいてUV測定の開始および終了が行われる。その制御の詳細は、実施例1における図3のステップS8からステップS28を流用することができる。但し、「スティック容器」を「上蓋」と読み替え、「兼用蓋」を「下蓋」と読み替えるものとする。
図9は実施例3の日焼け止め塗布具における種々の状態を示す断面図である。また、図8に対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。さらに、番号は主に図9(A)に付し、図9(B)および図9(C)では煩雑を避けるため同じ部分への番号の図示を適宜省略する。
図9(A)は、使用前の日焼け止め塗布具の状態であり、容器本体202に油性日焼け止めクリーム30が溜まっている。図9(B)は、下蓋206を上蓋208と一体的に通常の蓋と同様に容器本体202から取り外した状態である。これによって通常の日焼け止めクリームと同様、日焼け止めクリーム30を滴下することができる。図9(C)は、下蓋206を容器本体202と結合した状態で残し、上蓋208のみを取り外したものであり、容器本体202におけるノズル233の先端がメッシュ部237で覆われた状態となる。従って、日焼け止めクリーム30の出方をメッシュ部237でコントロールできるとともに、メッシュ部237を塗布スポンジとして利用できるので細部への塗布が容易となる。
図10は、実施例3の内部構成を示すブロック図であり、図8または図9に対応する部分には同一の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。また図2における実施例1または図6における実施例2と類似する構成については、図8と同様、二百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。上記のように実施例3も実施例1および実施例2と同様のUV測定部を有する。図10でも、図6の実施例2と同様、図2のUVセンサ1、表示部22、電池ホルダ32と電池26、および色素増感態様電池28と蓄電池34をまとめてUV測定部227として図示している。なお、実施例10では、第3スイッチがない。図10に示すように実施例3はメッシュ部237の交換機構を有しており、交換ネジ環状部239を取りはずすことにより図10のように断面を台形形状としたメッシュ部237を交換することができる。
図11は、本発明の実施の形態に係る日焼け止め塗布具の実施例4を示すブロック図である。実施例4は実施例2を簡略化したものであるので図6と対比して異なるところのみを説明する。また両者共通するところは図6と同一番号を付し、必要のない限り説明を省略する。実施例2では、日焼け止め塗布筆108に直接日焼け止めクリームを供給する構造を有しているが、実施例4の日焼け止め塗布筆308は単なる筆であり、UV測定部搭載蓋306の上部にある筆収納部341のスペースに収納されるだけである。筆収納部341の下部は常に閉じていて開閉機構等はないので、実施例4では、第3スイッチ124もない。
実施例4において、日焼け止め塗布筆を使用して細部への塗布を行う場合、まず容器蓋306を外して例えば手の甲に日焼け止めクリームを滴下する。そして塗布筆308を外して手の甲に滴下した日焼け止めクリームに浸す。このようにして日焼け止めクリームを供給した塗布筆により指の甲側等の細部への塗布を行う。手の甲の大面積部分は、手の甲同士をすり合わせることにより日焼け止めクリームを延ばす。これにより、手の平側を汚さず、迅速に細部および大面積部の塗布を行うことができる。
なお、実施例4におけるUV測定についても、実施例1から実施例3と同様、特に操作スイッチなどの操作なしに測定の開始終了を行う。その制御の詳細は、実施例3と同様にして、実施例1における図3のステップS8からステップS28を流用することができる。但し、「スティック容器」を「塗布筆」と読み替え、「兼用蓋」を「容器蓋」と読み替えるものとする。
図12は、本発明の実施の形態に係る日焼け止め塗布具の実施例5を示すブロック図である。実施例5は実施例1に付加的構成を加えたものなので、付加構成のみについて説明し、他の部分は図示と説明を省略する。また、図示の共通部分には同一番号を付して説明を省略する。実施例5の付加構成は、UV測定部搭載クリーム容器蓋兼用スティック蓋406と容器本体の間に介在する内径が貫通した口径補正補助筒343である。口径補正補助筒343は外形が兼用蓋406に合致した共通のサイズであるとともに内径が容器本体の口の口径に併せた複数種類が用意されている。これによって種々の口径の容器本体2に共通の兼用蓋406を使用することができ、種々の容器本体に合わせた複数種の兼用蓋406を用意する必要がなくなる。例えば図12に実線で示した口径補正補助筒343は大径の容器本体に対応する内径の太いものであり、小径の容器本体に対しては、一点鎖線345で示したような内径の細い口径補正補助筒が用いられる。いずれも外径は兼用蓋406の内径に合わせた共通のものである。
使用にあたっては、容器本体2の口径に合わせた口径補正補助筒を容器本体2に取り付け、あとは実施例1と同様にして口径補助筒343または345に対して兼用蓋を着脱することで、容器本体の日焼け止めクリームの滴下を行う。なお、図12のように着脱検知は兼用蓋406と口径補正補助筒343または345の間で行われるので、第1スイッチ18は、兼用蓋406の下端に設けられる。
本発明の種々の特徴の実施は上記に説明した実施例に限るものではない。例えば、実施例3の下蓋206の先にはメッシュ237を配しているが、油性日焼け止めクリームの制御と塗布が可能な他の構造、例えば回転ポール構造も採用可能である。