JP5367285B2 - 管路ライニング材およびコンパウンド - Google Patents

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本発明は、地中に埋設された管路の内周壁を裏打ちする用途に用いられ、ラジカル重合性モノマーによって架橋する硬化性樹脂を主成分としたコンパウンドを含浸し該硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材、およびその管路ライニング材に含浸するコンパウンドに関する。
埋設されている下水道管等の管路には、老朽化や、地盤沈下あるいは地上圧力の変動等によって損傷しているものがある。損傷した既設管を補修する場合、非開削で行うことが補修費用の低減や交通障害を最小限に抑える点からも好ましい。
そこで、既設管の非開削補修工法として、既設管の内周壁に管路ライニング材を押し付けその内周壁を管路ライニング材によって裏打ちする技術が種々提案されている(例えば、特許文献1等参照)。また、新規に管路を埋設した場合であっても、その新設管の内周壁を管路ライニング材によって裏打ちすることがある。
管路ライニング材には、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の硬化性樹脂を主成分としたコンパウンドが含浸されており、これらの硬化性樹脂には、ラジカル重合性モノマーの一つとしてスチレンモノマーが用いられている。このスチレンモノマーには、硬化性樹脂に緻密な3次元結合を形成する架橋剤としての役割がある他、硬化性樹脂の粘度を調整する粘度調整剤としての役割や、低コストな希釈剤としての役割がある。ところが、スチレンモノマーには臭気性という大きな問題がある。例えば、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合、管路内周壁に管路ライニング材を押し付けるとともに熱硬化性樹脂を加熱するため、管路内に温水を循環させることがある。この場合、管路ライニング材における、管路内周壁に接する面とは反対の内側の面からスチレンモノマーが透過すると、循環する温水にスチレンモノマーの臭いがついてしまい、その温水排出時にスチレンモノマーの臭気が一気にたちこめる。この臭気は、補修現場一帯にたちこめる他、管路に接続した取付管を経由して民家に到達し、住民に多大な迷惑をかけてしまう。また、管路内周壁に管路ライニング材を裏打ちした後の数日間は、残ったスチレンモノマーが補修した管路内に透過する恐れがあり、こうして透過したスチレンモノマーの臭気も、取付管を経由して民家に到達してしまう。
そこで、スチレンモノマーを一切含有しない管路ライニング材を用いることが考えられ、本願発明者もノンスチレンタイプの管路ライニング材の研究を行った。その結果、ノンスチレンタイプの管路ライニング材でも、短期の機械的特性は十分であることが確認された。
特開平4−319135号公報
しかしながら、スチレンモノマーは他のモノマーと比較して、コスト、硬化性、希釈性、耐水性等のバランスが優れており、何よりも、管路ライニング材においては特に重要な長期の機械的特性に与える影響が大きいことが判明した。すなわち、ノンスチレンタイプの管路ライニング材では、何十年といった長期の機械的特性は、スチレンモノマーを含有した管路ライニング材に遠く及ばず、実使用に耐え得ることも困難であるといえる。
本発明は、上記事情に鑑み、スチレンモノマーの臭気を可能な限り抑えつつ、良好な長期の機械的特性を得られる管路ライニング材、およびその管路ライニング材に含浸させるコンパウンドを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の管路ライニング材は、地中に埋設された管路の内周壁を裏打ちする用途に用いられ、ラジカル重合性モノマーによって架橋する硬化性樹脂を主成分としたコンパウンドを含浸しその硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材において、
スチレンモノマーを2.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有していることを特徴とする。
本発明の管路ライニング材は、硬化性樹脂が硬化する前の管路ライニング材であり、その形状は、スリーブ状に限らず、シート状であってもよい。また、ここにいう管路には、既設管の他、新設管も含まれ、本発明の管路ライニング材は、管路補修に限らず、管路の平滑な内周面形成等にも用いられる。
本発明の管路ライニング材は、スチレンモノマーを2.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有している。本願発明者が、鋭意研究を重ねた結果、スチレンモノマーが2.5重量%未満であると、硬化性樹脂が硬化した管路ライニング材における、何十年といった長期の機械的特性が悪化しすぎてしまうことが判明した。一方、スチレンモノマーが8.5重量%を越えるとスチレンモノマーの臭気が鼻に付くようになることが確認された。本発明の管路ライニング材によれば、スチレンモノマーの臭気を可能な限り抑えつつ、良好な長期の機械的特性が得られる。
ここで、上記管路の内周壁側に位置することになる外側ライニング部材と、
上記外側ライニング部材よりも内側に位置することになるものであって、その外側ライニング部材よりも厚みが薄い内側ライニング部材とを有し、
上記外側ライニング部材が、スチレンモノマーを3.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有したものである態様であってもよい。
また、この態様では、上記内側ライニング部材が、スチレンモノマーを含有しないものであることが好ましい。
こうすることで、管路ライニング材における、管路内周壁に接する面とは反対の内側の面、すなわち、管路ライニング材によって裏打ちされた管路の内周壁表面を構成することになる面からスチレンモノマーが透過することを抑えることができ、スチレンモノマーの臭気がより鼻に付かなくなる。
さらに、上記外側ライニング部材が、上記管路の内周壁に接することになるガスバリア層を有し、
上記内側ライニング部材が、上記管路の内周壁表面を構成することになる伸長層を有するものであって、
上記ガスバリア層が、上記伸長層よりも、伸長率は劣るものの気体遮断性は勝るものであることがより好ましい。
管路内周壁表面の平滑度が上記伸長層によって高まる。また、この管路ライニング材における外側の面からスチレンモノマーの臭気が洩れ出すことが、上記ガスバリア層によって抑えられ、スチレンモノマーの臭気がより一層鼻に付かなくなる。
上記目的を達成するための本発明のコンパウンドは、ラジカル重合性モノマーによって架橋する硬化性樹脂を主成分とし、地中に埋設された管路の内周壁を裏打ちする管路ライニング材に含浸するコンパウンドにおいて、
4.5重量%以上10.0重量%以下のスチレンモノマーと、11.5重量%以上23.5重量%以下のメタクリル酸エステルとを含むラジカル重合性モノマーを含有するものであることを特徴とする。
本発明のコンパウンドは、本発明の管路ライニング材に含浸されるものである。
本発明によれば、スチレンモノマーの臭気を可能な限り抑えつつ、良好な長期の機械的特性を得られる管路ライニング材、およびその管路ライニング材に含浸させるコンパウンドを提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の管路ライニング材の一実施形態を示す斜視図である。
図1に示す管路ライニング材1は、地中に埋設された下水道管の内周壁を裏打ちする際に用いられるスリーブ状のものであるが、図1には、スリーブ状の管路ライニング材1が扁平につぶされた様子が示されている。この管路ライニング材1は、ベースホース10とキャリブレーションホース20という2つのスリーブ状のライニング部材が一体になった
ものである。以下、管路ライニング材1の径方向外側を単に外側と称し、径方向内側を単に内側と称することにする。ベースホース10はキャリブレーションホース20の外側に位置するものであり、本発明にいう外側ライニング部材の一例に相当する。反対に、キャリブレーションホース20は、ベースホース10の内側に位置するものであり、本発明にいう内側ライニング部材の一例に相当する。キャリブレーションホース20は、ベースホース10よりも厚みが薄いものである。
ベースホース10は、基材層11とガスバリア層12とを有する。図1に示す基材層11は、ポリエステルの不織布である。なお、この基材層11は、ポリエステルに限らず、ナイロン、アクリル、ビニロンなどの有機繊維質材料からなる不織布であってもよいし、その有機繊維質材料からなる織布であってもよいし、カーボン繊維やガラス繊維などの無機繊維質材料からなる不織布あるいは織布であってもよく、さらには、有機繊維質材料と無機繊維質材料を組み合わせたのものであってもよい。
図1に示す基材層11には、低スチレンタイプのコンパウンドが含浸されている。このコンパウンドは、本発明のコンパウンドの一例に相当するものである。基材層11に含浸するコンバウンドはビニルエステル(エポキシアクリレート)樹脂を主成分とするものである。なお、ビニルエステル樹脂に代えて、不飽和ポリエステル樹脂や、ウレタンアクリレート樹脂等を用いてもよい。ビニルエステルは、ラジカル重合性モノマーによって架橋する熱硬化性樹脂の一種であり、コンバウンドにはラジカル重合性モノマーも含有されている。ここでは、ラジカル重合性モノマーに、メタクリル酸エステルおよびスチレンモノマーを用いている。基材層11に含浸するコンパウンド全量に対して、メタクリル酸エステルの含有率は、11.5重量%以上23.5重量%以下の範囲であり、スチレンモノマーの含有率は、4.5重量%以上10.0重量%以下の範囲である。スチレンモノマーが4.5重量%未満であると、硬化性樹脂が硬化した管路ライニング材における、何十年といった長期の機械的特性が悪化しすぎてしまう。一方、スチレンモノマーが10.0重量%を越えるとスチレンモノマーの臭気が鼻に付くようになる。メタクリル酸エステルが11.5重量%を下回ると所望の粘度を得ることができなくなる。また、所望の粘度を得るためには、メタクリル酸エステルが23.5重量%を上回ると、スチレンモノマーの含有率が必然的に低下してしまい、結果的に管路ライニング材における長期の機械的特性の悪化につながる。その他、コンバウンドには、充填剤(フィラー)や、硬化剤(過酸化物等)、各種の添加剤等も含有されている。
ガスバリア層12は、基材層11を外側から覆うものであり、基材層11に含浸されたコンパウンドが外側へ滲出することを抑える機能の他、スチレンモノマーの臭気が外側へ漏れ出すことを抑える機能も有する。すなわち、ガスバリア層12は、不透水性かつ気体透過性が低い(気体遮断性が高い)という特性を有する。図1に示すガスバリア層12は、ナイロン(NY)をポリエチレン(PE)で挟み込んだ積層構造(PE/NY/PE)のものである。なお、ポリエチレンに代えて、ポリプロピレン等の他のポリオレフィンを用いてもよく、さらには、積層構造ではなく単層構造のものであってもよい。
キャリブレーションホース20は、基材層21と伸長層22とを有する。図1に示すキャリブレーションホース20の基材層21も、ベースホース10の基材層11と同じく、ポリエステルの不織布である。なお、この基材層21も、ポリエステルに限らず、ナイロン、アクリル、ビニロンなどの有機繊維質材料からなる不織布であってもよいし、その有機繊維質材料からなる織布であってもよいし、カーボン繊維やガラス繊維などの無機繊維質材料からなる不織布あるいは織布であってもよく、さらには、有機繊維質材料と無機繊維質材料を組み合わせたのものであってもよい。
図1に示すキャリブレーションホース20の基材層21には、ノンスチレンタイプのコンパウンドが含浸されている。キャリブレーションホース20に用いるコンパウンドも、硬化性樹脂を主成分とするものであり、ここでの硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、および不飽和ポリエステルアクリレートから選ばれた熱硬化性樹脂を用いることができる。また、キャリブレーションホース20に用いるコンパウンドには、スチレンモノマーを含まないラジカル重合性モノマーも含まれている。その他、このコンバウンドにも、充填剤(フィラー)や、硬化剤、各種の添加剤等が含まれている。
伸長層22は、この管路ライニング材1の最内周面を形成するポリウレタンからなる伸長性に優れたものである。すなわち、ベースホース10のガスバリア層12よりも、気体遮断性は劣るものの伸長性は勝るものである。
次に、図1に示す管路ライニング材1を製造する方法について説明する。
図2は、工場において図1に示す管路ライニング材を製造する工程を示すフローチャートである。
まず、裏打ちする管路に適合した適宜の材料が用意される(ステップS11)。ここで用意される材料には、コンパウンドを未含浸のベースホース10と、同じくコンパウンドを未含浸のキャリブレーションホース20が含まれる。これらのホース(10,20)は、裏打ちする管路の長さに応じた長さにカットされたスリーブ状のものであり、別々に用意される。ここで用意されるベースホース10は、ガスバリア層12が外側に位置し、そのガスバリア層12の内側に基材層11が位置する。一方、キャリブレーションホース20は、伸長層12が外側に位置し、その伸長層12の内側に基材層21が位置する。すなわち、図1に示すキャリブレーションホース20の状態とは表裏が逆の状態にある。また、ベースホース20に含浸するコンパウンドのもとになる、ベースホース用主剤、充填剤(フィラー)、硬化剤(過酸化物等)、および各種の添加剤も用意される。ここで用意されるベースホース用主剤は、熱硬化性樹脂であるビニルエステルを主成分(50重量%以上)とするものである。このベースホース用主剤には、メタクリル酸エステルおよびスチレンモノマーを含むラジカル重合性モノマーが含有されている。また、ベースホース用主剤における、メタクリル酸エステルの含有率は15.5重量%以上31.0重量%以下の範囲内であり、スチレンモノマーの含有率は6重量%以上13重量%以下の範囲内である。さらに、ベースホース用主剤には、揺変性付与剤としてのシリカ、硬化促進剤としてのナフテン酸コバルト、および重合禁止剤等も含まれている。加えて、キャリブレーションホース20に含浸するコンパウンドのもとになる、キャリブレーションホース用主剤、充填剤(フィラー)、硬化剤、および各種の添加剤も用意される。キャリブレーションホース用主剤は熱硬化性樹脂を主成分とし、この主剤にはスチレンモノマーを含まないラジカル重合性モノマーが含有されている。
次いで、樹脂混合が行われる(ステップS12)。ここでは、ベースホース用主剤、充填剤、硬化剤、および各種の添加剤が混合され、ベースホース用コンパウンドが調整される。また、キャリブレーションホース用主剤、充填剤、硬化剤、および各種の添加剤も混合され、キャリブレーションホース用のコンパウンドも調整される。
続いて、ステップS11で用意したベースホース10の基材層11に、ステップS12で調整したベースホース用コンパウンドを含浸するとともに、ステップS11で用意したキャリブレーションホース20の基材層21に、ステップS12で調整したキャリブレーションホース用コンパウンドを含浸する(ステップS13)。このステップS13では、ベースホース10の基材層11にはコンパウンドを飽和に含浸し、キャリブレーションホース20の基材層21にはコンパウンドを過飽和に含浸する。すなわち、コンパウンドの含浸率を、ベースホース10の基材層11よりもキャリブレーションホース20の基材層21の方を高くしておく。こうして、コンパウンドが含浸されたベースホース11と、コンパウンドが含浸された基材層21が内側に位置するキャリブレーションホース20とが別々に準備される。なお、ベースホース10の基材層11にはコンパウンドを過飽和に含浸し、キャリブレーションホース20の基材層21にはコンパウンドを飽和に含浸してもよい。
次に、コンパウンドが含浸されたベースホース11の内側にキャリブレーションホース20を反転挿入する(ステップS14)。
図3は、図1に示すステップS14におけるキャリブレーションホースの反転挿入の様子を示す断面図である。
基材層21が内側に位置するキャリブレーションホース20をその基材層21が外側にくるようにめくり返しながら、キャリブレーションホース20をベースホース10の内側に挿入する。キャリブレーションホース20は、ベースホース10の一端側からベースホース11の内側に入れ込まれ、空気又は水の力によって反転挿入される。キャリブレーションホース20は、ベースホース10よりも厚みが薄いものであるため、反転挿入は容易に行われる。キャリブレーションホース20を反転挿入することで、ベースホース10の基材層11とキャリブレーションホース20の基材層21が接触し、図1に示す、ベースホース10とキャリブレーションホース20という2つのスリーブ状のライニング部材が一体になった管路ライニング材1が完成する。図1に示すように、管路ライニング材1の最外側面はガスバリア層12によって構成されるとともにその最内側面は伸長層22によって構成され、ガスバリア層12と伸長層22の間に、熱硬化性樹脂を含浸した基材層11,21が配置される。ここで完成した管路ライニング材1には、その管路ライニング材1全体に対して、スチレンモノマーが2.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有されている。スチレンモノマーが2.5重量%未満であると、硬化性樹脂が硬化した管路ライニング材における、何十年といった長期の機械的特性が悪化しすぎてしまう。一方、スチレンモノマーが8.5重量%を越えるとスチレンモノマーの臭気が鼻に付くようになる。
最後に、図2に示すステップS15において、完成したスリーブ状の管路ライニング材1を偏平にし、つづら折りにして折り畳んだ状態で低温保管する。なお、完成したスリーブ状の管路ライニング材1を巻き取った状態で低温保管してもよい。低温保管されている管路ライニング材1は、折り畳んだ状態のまま保冷車によって施工現場に運搬される。
次に、施工現場における管路ライニング方法について説明する。
図4は、施工現場において図1に示す管路ライニング材を用いて管路を補修する工程を示すフローチャートである。
まず、施工現場では施工準備がなされ(ステップS21)、次いで、管路内の洗浄、および管路内を走行するテレビカメラを用いて管路内の調査が行われる(ステップS22)。この調査によって、管路における損傷箇所の確認等がなされる。
続いて、管路ライニング材1を管路内に引き込み、管路ライニング材1を管路内にセットする(ステップS23)。
図5は、図4に示すステップS23において管路内に管路ライニング材をセットした様子を示す断面図である。
図5に示す管路95は、下水を流すために地中に埋設されたコンクリート製のものであり、マンホール90,90を通じて地上からアクセスすることが可能である。この管路95の途中には、取付管96が接続されている。また、図5に示す管路95には、老朽化により管路95の全体に亘ってひび割れ951が生じており、管路95の全長(マンホール90とマンホール90の間)に亘って、管路95の内周面95aを管路ライニング材1によって裏打ちする。なお、図5では、管路95の全長を実際よりもかなり短く示している(以降に参照する図6および図7においても同じ)。
保冷車81で運搬されてきた管路ライニング材1は、保冷車81からロール82を介してウインチ83により管路95内に引き込まれ、管路95の全長にわたって管路ライニング材1がガスバリア層12を最も外側にした状態でセットされる。管路ライニング材1は、折り畳まれているので、管路95内に簡単に引き込むことができる。
次に、図4に示すステップS23において、管路ライニング材1を拡径する。
図6は、図4に示すステップS23において管路ライニング材を拡径した様子を示す断面図である。
管路95内にセットされた管路ライニング材1の両端に、不図示の治具を取り付ける。また、保冷車81で運搬されてきた管路ライニング材1における、伸長層22よりも内側の空間S内には温水供給ホース86が予め工場内で引き込まれている。この温水供給ホース86は、管路ライニング材1の、引き込み口側とは反対側の端部まで延びている。さらに、管路ライニング材1の引き込み口側の一端には、上記空間S内につながる温水回収ホース87を接続する。図6に矢印で示すように、管路ライニング材1における上記空間S内には、ボイラー車85により加熱された約80℃の温水が温水供給用ホース86から供給されるとともに、その空間S内に供給された温水は、管路ライニング材1の引き込み口側から温水回収ホース87を通ってボイラー車85に回収される。管路ライニング材1は、温水供給用ホース86から供給される温水によって、そのガスバリア層12が管路95の内周壁95aに押し付けられるまで拡径するとともに加熱される。管路ライニング材1の拡径にあたり、伸長層22は、ガスバリア層12および基材層11,21を介して管路内周壁95aに沿って良好に伸び、管路ライニング材1における、伸長層22によって形成される内周面は、平滑な面になる。このようにして管路ライニング材1が径方向に膨張した状態でその管路ライニング材1を60分〜180分ほど加熱するため、図4に示すステップS24では温水を循環させる。温水回収ホース87からボイラー車85に回収された温水は、ボイラー車85で約80℃まで再加熱され、温水供給用ホース86から再び管路ライニング材1の空間S内に供給される。こうすることで、管路ライニング材1は、管路95の内周壁95aに押し付けられた状態で、基材層11,21に含浸されている熱硬化性樹脂が硬化し、管路95の内周壁95aが管路ライニング材1によって裏打ちされ、老朽化した管路95の内周壁95aの内側に管路ライニング材1による新たな自立管路が形成される。
なお、ステップS23〜S24では、温水を用いその温水を循環させたが、温水に代えて蒸気を用いてもよい。蒸気を用いる場合には、管路ライニング材1の空間S内に一旦供給した蒸気を再利用せずにその場で排気する。
そして、図4に示すステップS25において温水を冷却して排出した後、ステップS26において両端の管口仕上げを行う。この管口仕上げでは、管路95の、マンホール90に開口した開口部分952で管路ライニング材1を切断し、その切断部分を養生する。
図7は、図4に示すステップS26において管口仕上げが行われた管路の様子を示す断面図である。
図7には、管路ライニング材1によって裏打ちした管路95につながる取付管96が示されている。この取付管96は、図5および図6では図示省略していた民家97から汚水桝98を介して管路95まで延びているものである。図4に示すステップS26の管口仕上げが終了すると、硬化した管路ライニング材1における、取付管96の接続部分に対応する箇所hを穿孔し、取付管96と管路ライニング材1による新たな自立管路とをつなげる(ステップS27)。なお、取付管96と新たな自立管路との接続部分を、必要に応じて再度、裏打ちしてもよい。その後、管路ライニング材1の伸長層22によって形成された内周壁の状態をテレビカメラによって最終確認し(ステップS28)、施工現場の片付けを行って(ステップS29)、管路補修の全工程が終了する。
図8は、図7に示す管路ライニング材1のA―A’断面図である。
図8に示す管路ライニング材1は、ベースホース10のガスバリア層12が管路95の内周壁95aに接しており、そのガスバリア層12の内側には、ベースホース10の基材層11が位置している。また、ベースホース10の基材層11にはキャリブレーションホース20の基材層21が接しており、この管路ライニング材1の内周面は、キャリブレーションホース20の伸長層22によって形成されている。この伸長層22は、管路95の内周壁表面を構成することなる。すなわち、管路ライニング材1の内周面1aは、管路ライニング材1による新たな自立管路の内周面になり、この内周面1aで確定された空間S’内を下水が流れることになる。
図4に示すステップS23〜S24にかけて、ベースホース10の基材層11に含浸されていたコンパウンド中のスチレンモノマーは、キャリブレーションホース20の基材層21に拡散するものの、その基材層21には、もともとはスチレンモノマーが含有されていない。このため、ベースホース10の基材層11におけるスチレンモノマーの濃度に比べて、キャリブレーションホース20の基材層21におけるスチレンモノマーの濃度はかなり低くなり、伸長層22からスチレンモノマーが透過するにしても、その濃度は相当薄くなる。しかも、上述のごとく、コンパウンドの含浸率は、ベースホース10の基材層11よりもキャリブレーションホース20の基材層21の方が高い。このため、図4に示すステップS23〜S24にかけて、管路ライニング材1が管路内周壁95aに向けて押圧されている状態において、ベースホース10の基材層11に含浸されているコンパウンドがキャリブレーションホース20の基材層21にしみ出すよりも、キャリブレーションホース20の基材層21に含浸されているノンスチレンタイプのコンパウンドがベースホース10の基材層11にしみ出しやすく、ベースホース10側からキャリブレーションホース20側へスチレンモノマーが入り込んでくる確率は低くなる。また、そのスチレンモノマーの臭気はガスバリア層12によっても遮断され、スチレンモノマーの臭気が外側に洩れ出すことも抑えられる。さらに、キャリブレーションホース20の基材層11に含浸されているコンパウンドはノンスチレンタイプのコンパウンドであることから、管路ライニング材1の内周面1aからスチレンモノマーが透過する可能性はさらに低くなる。
なお、管路ライニング材1はスリーブ状のものであったが、シート状のものであってもよい。また、キャリブレーションホース20に含浸するコンパウンドとして、ノンスチレンタイプのものを用いたが、低スチレンタイプのものであってもよく、こうした場合には、ベースホース10に含浸するコンパウンドをノンスチレンタイプのものにしてもよい。さらに、本実施形態における管路ライニング材1は、ベースホース10とキャリブレーションホース20という2つのスリーブ状のライニング部材が一体になったものであったが、管路ライニング材は、ベースホース10を省略してキャリブレーションホース20の厚さを厚くしたものであってもよい。またさらに、ベースホース10のガスバリア層12や、キャリブレーションホース20の伸長層22は必ずしも必要なものではない。また、本実施形態では、図3に示すステップS14において工場内でキャリブレーションホース20を反転挿入するが、施工現場で反転挿入してもよい。さらにまた、本実施形態における管路ライニング材1は、既設管の管路補修に限らず、新設管の平滑な内周面形成等に用いることもできる。
[実施例]
以下、本発明の実施の形態についてより具体的に実施例を用いて詳述する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤に6.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた(下記に示す表1では“ベースホース主剤SM含有率”の欄が相当)。この実施例1では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、4.5重量%のスチレンモノマーが含まれている(表1では“ベースホースコンパウンドSM含有率” の欄が相当)。また、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、3.5重量%のスチレンモノマーが含まれている(表1では“ベースホースSM含有率”の欄が相当)。
一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には、スチレンモノマーは一切含まれておらず、架橋剤および粘度調整剤等の役割を果たす物質としてメタクリス酸エステルが所定量含まれたノンスチレンタイプのものを用いた。
この実施例1では、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、2.5重量%のスチレンモノマーが含まれている。(表1では“管路ライニング材SM含有率”の欄が相当)。
また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、23.5重量%のメタクリス酸エステルが含まれており(表1では“ベースホースコンパウンドMA含有率”の欄が相当)、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、メタクリス酸エステルが21.6重量%含まれている(表1では“管路ライニング材MA含有率”の欄が相当)。
(実施例2)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤は、実施例1と同じものを用い、実施例1と同じベースホースを使用した。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には6.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた(表1では“キャリブレーションホース主剤SM含有率”の欄が相当)。実施例2における、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、スチレンモノマーが3.5重量%、メタクリス酸エステルが20.0重量%含まれている。
(実施例3)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には10.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この実施例3では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、7.6重量%のスチレンモノマーが含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、6.5重量%のスチレンモノマーが含まれている。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には、実施例1と同じく、ノンスチレンタイプのものを用い、実施例1と同じキャリブレーションホースを使用した。実施例3では、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、4.4重量%のスチレンモノマーが含まれている。
また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、18.9重量%のメタクリス酸エステルが含まれており、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、メタクリス酸エステルが19.0重量%含まれている。
(実施例4)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤は、実施例3と同じものを用い、実施例3と同じベースホースを使用した。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には10.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この実施例4における、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、スチレンモノマーが6.5重量%、メタクリス酸エステルが16.2重量%含まれている。
(実施例5)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には13.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この実施例5では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、10.0重量%のスチレンモノマーが含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、8.5重量%のスチレンモノマーが含まれている。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には、実施例1と同じく、ノンスチレンタイプのものを用い、実施例1と同じキャリブレーションホースを使用した。実施例5では、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、5.7重量%のスチレンモノマーが含まれている。
また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、11.5重量%のメタクリス酸エステルが含まれており、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、メタクリス酸エステルが13.8重量%含まれている。
(実施例6)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤は、実施例5と同じものを用い、実施例5と同じベースホースを使用した。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には13.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この実施例6における、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、スチレンモノマーが8.5重量%、メタクリス酸エステルが10.0重量%含まれている。
(比較例1)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤とキャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤いずれにも、ノンスチレンタイプの主剤を用いた。したがって、この比較例1では、ベースホースに含浸するコンパウンドにも、そのコンパウンドを含浸したベースホースにも、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材にも、スチレンモノマーは含まれていない。また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、30.3重量%のメタクリス酸エステルが含まれており、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、25.6重量%のメタクリス酸エステルが含まれている。
(比較例2)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤とキャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤いずれにも、5.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この比較例2では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、スチレンモノマーが3.8重量%、メタクリス酸エステルが24.6重量%含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、3.2重量%のスチレンモノマーが含まれている。また、比較例2における、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、スチレンモノマーが3.2重量%、メタクリス酸エステルが21.0重量%含まれている。
(比較例3)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には5.5重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この比較例3では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、4.2重量%のスチレンモノマーが含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、3.4重量%のスチレンモノマーが含まれている。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には、実施例1と同じく、ノンスチレンタイプのものを用い、実施例1と同じキャリブレーションホースを使用した。ここでは、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、2.4重量%のスチレンモノマーが含まれている。また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、24.1重量%のメタクリス酸エステルが含まれており、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、メタクリス酸エステルが21.9重量%含まれている。
(比較例4)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤とキャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤いずれにも、13.5重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。ここでは、ベースホースに含浸するコンパウンドには、スチレンモノマーが10.2重量%、メタクリス酸エステルが11.2重量%含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、8.7重量%のスチレンモノマーが含まれている。また、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、スチレンモノマーが8.7重量%、メタクリス酸エステルが9.5重量%含まれている。
(比較例5)
ベースホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には45.0重量%のスチレンモノマーが含まれたものを用いた。この比較例5では、ベースホースに含浸するコンパウンドには、34.1重量%のスチレンモノマーが含まれおり、そのコンパウンドを含浸したベースホースには、29.1重量%のスチレンモノマーが含まれている。一方、キャリブレーションホースの基材層に含浸するコンパウンドの主剤には、実施例1と同じくノンスチレンタイプのものを用い、実施例1と同じキャリブレーションホースを使用した。ここでは、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、19.9重量%のスチレンモノマーが含まれている。また、ベースホースに含浸するコンパウンドには、メタクリス酸エステルが一切含まれていないが、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材には、メタクリス酸エステルが7.9重量%含まれている。この比較例5における管路ライニング材は、本願発明者が以前に使用し、スチレンモノマーの臭気が問題になった管路ライニング材の一例に相当する。
これらの、6つの実施例および5つの比較例それぞれの管路ライニング材を作製後、6日間低温保存した後、各管路ライニング材を用いて、図4に示す管路補修工程を実施し、スチレンモノマーの臭気濃度測定を行った。ここでの臭気濃度測定は、約80℃の温水を60分間循環させた(図4に示すステップS24に相当)後、循環している温水中の臭気を判定した。さらに、温水を冷却して排出した後、両端の管口を切断(図4に示すステップS26に相当)し、両管口を密栓してから60分経過後の管路内の臭気も判定した。結果を表1に示す。
Figure 0005367285
表1は、横1列ごとに、各実施例および各比較例を示すものであり、右から2つ目の欄に温水中のスチレンモノマーの臭気判定結果を示し、一番右の欄に管路内のスチレンモノマーの臭気判定結果を示す。これらの欄における◎は、スチレンモノマーの臭気を全くといってよいほど感じなかったことを表し、○は、スチレンモノマーの臭気をある程度は感じたが十分に許容できる程度であったことを表し、×は、臭気問題を引き起こすほどスチレンモノマーの臭気が鼻に付いたことを表す。なお、表中のSMはスチレンモノマーを表し、MAはメタクリル酸エステルを表す。
また、硬化した管路ライニング材について物性試験も行った。ここでの物性試験では、短期試験と長期試験を行った。短期試験は、JIS K−7171に基づき、変位荷重から曲げ強度と曲げ弾性係数を求めた。一方、長期試験は、JIS K−7116に基づいて行った。すなわち、一定荷重(静荷重)を1000時間加え、その結果から50年後の曲げ弾性係数を予測した。結果を表2に示す。
Figure 0005367285
表2も、横1列ごとに、各実施例および各比較例を示すものであり、左側に短期試験の結果を示し、右側に長期試験の結果を示す。
表1に示す臭気測定結果から、スチレンモノマーの含有率が低ければ、スチレンモノマーの臭気も低減することがわかる。この結果から、スチレンモノマーの含有率は、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材において8.5重量%以下に抑えることが必要になり、5.0重量%以下に抑えることが好ましく、4.5重量%以下に抑えることがより好ましい。
また、表2に示す短期試験の結果では、スチレンモノマーの含有率が低くなると、曲げ強度や曲げ弾性係数の値も低下することがわかるが、その低下はわずかであり、もっとも値が低い比較例1の管路ライニング材でも、実使用に十分耐え得るものである。しかしながら、表2に示す長期試験の結果では、スチレンモノマーの含有率が低くなると、曲げ弾性係数の値が大幅に低下している。ここで、曲げ弾性係数の値が低くても、管路ライニング材の厚さ(ガスバリア層から伸長層までの厚さ)を厚くすれば剛性が向上する。しかしながら、管路ライニング材の厚さを厚くすると、管路ライニング材のコストが上昇してしまう。そこで、本願発明者は、コストを加味しつつ50年後の実使用に耐え得るためには、曲げ弾性係数の値が最低でも1500であることが必要であると考える。このため、スチレンモノマーの含有率は、低ければ低いほどスチレンモノマーの臭気が低減し好ましいが、管路ライニング材を50年後の実使用にも耐え得るようにするためには、スチレンモノマーの含有率を、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材において2.5重量%以上にする必要があるという結論に達した。
以上のことをまとめると、硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材が、スチレンモノマーを2.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有するものであれば、スチレンモノマーの臭気を可能な限り抑えつつ、良好な長期の機械的特性が得られる。
本発明の管路ライニング材の一実施形態を示す斜視図である。 工場において図1に示す管路ライニング材を製造する工程を示すフローチャートである。 図1に示すステップS14におけるキャリブレーションホースの反転挿入の様子を示す断面図である。 施工現場において図1に示す管路ライニング材を用いて管路を補修する工程を示すフローチャートである。 図4に示すステップS23において管路内に管路ライニング材をセットした様子を示す断面図である。 図4に示すステップS23において管路ライニング材を拡径した様子を示す断面図である。 図4に示すステップS26において管口仕上げが行われた管路の様子を示す断面図である。 図7に示す管路ライニング材1のA―A’断面図である。
符号の説明
1 管路ライニング材
10 ベースホース
11 基材層
12 ガスバリア層
20 キャリブレーションホース
21 基材層
22 伸長層
95 管路
95a 内周壁

Claims (5)

  1. 地中に埋設された管路の内周壁を裏打ちする用途に用いられ、ラジカル重合性モノマーによって架橋する硬化性樹脂を主成分としたコンパウンドを含浸し該硬化性樹脂が未硬化の状態の管路ライニング材において、
    前記管路の内周壁側に位置することになる外側ライニング部材と、
    前記外側ライニング部材よりも内側に位置する内側ライニング部材とを有し、
    前記外側ライニング部材が、前記管路の内周壁に外側が接することになるガスバリア層と、コンパウンドを含浸し該ガスバリア層の内側に接する基材層とを有するものであり、
    この未硬化の状態の管路ライニング材全体を100重量%にした場合に、2.5重量%以上8.5重量%以下のスチレンモノマーと、10.0重量%以上21.6重量%以下のメタクリル酸エステルとを含有していることを特徴とする管路ライニング材。
  2. 前記内側ライニング部材は、前記外側ライニング部材よりも厚みが薄いものであり、
    前記外側ライニング部材が、スチレンモノマーを3.5重量%以上8.5重量%以下の範囲で含有したものであることを特徴とする請求項1記載の管路ライニング材。
  3. 前記内側ライニング部材が、スチレンモノマーを含有しないものであることを特徴とする請求項1又は2記載の管路ライニング材。
  4. 記内側ライニング部材が、前記管路の内周壁表面を構成することになる伸長層を有するものであって、
    前記ガスバリア層が、前記伸長層よりも、伸長率は劣るものの気体遮断性は勝るものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の管路ライニング材。
  5. 地中に埋設された管路の内周壁側に位置し、該管路の内周壁に外側が接することになるガスバリア層と該ガスバリア層の内側に接する基材層とを有する外側ライニング部材、および該外側ライニング部材よりも内側に位置する内側ライニング部材を有する管路ライニング材のうちの該基材層に含浸するコンパウンドにおいて、
    このコンパウンド全体を100重量%にした場合に、4.5重量%以上10.0重量%以下のスチレンモノマーと、11.5重量%以上23.5重量%以下のメタクリル酸エステルとを含むラジカル重合性モノマーを含有するものであることを特徴とするコンパウンド。
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