JP5366119B2 - シミュレーション方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、シミュレーション方法及びプログラムに関する。
コンピュータを用いて物質科学全般の現象を探求する方法として、分子動力学法に基づく分子シミュレーションが知られている。分子シミュレーションによって、分子のポテンシャルエネルギや最安定構造等物質の特性を、分子レベルで解明することが可能である。
分子動力学法に基づく分子シミュレーションに関して、種々の研究がなされている。たとえば少ない計算量で分子動力学計算を実行するシミュレーション方法の発明が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
予め設定された複雑な形状の物性値または物理量を求める分子シミュレーションを行う場合、適当に原子を配置したとしても、配置された原子位置に基づいてポテンシャルを修正することにより、原子間相互作用のパラメータを定めることが可能でる。
しかしながら、原子間距離があまりに異なる領域が存在すると、強度(ヤング率)に異方性が生じてしまう。具体的には、Voronoi解析を行ったときの要素(メッシュ)の面積(2次元の場合)、もしくは体積(3次元の場合)の分散が大きいときに不具合が生じやすい。
特開2006−285866号公報
本発明の目的は、高効率でシミュレーションを行うシミュレーション方法を提供することである。
また、高効率でシミュレーションを行うシミュレーション方法を実行させるプログラムを提供することである。
本発明の一観点によれば、
(a)シミュレーション対象の1つの物体を密な領域と疎な領域とに分ける工程と、
(b)前記密な領域を、第1の粒子間距離以下の粒子間距離で分布する複数の粒子で表し、前記疎な領域を、前記第1の粒子間距離よりも大きい粒子間距離で分布する複数の粒子で表す工程と、
(c)前記密な領域、前記疎な領域の各々の中で、粒子位置に基づいてポテンシャルを修正することにより粒子の力学的相互作用を定義する工程と、
(d)前記疎な領域との境界における前記密な領域の表面に存在する粒子と、前記密な領域との境界における前記疎な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を、前記密な領域と前記疎な領域との境界に存在する粒子からなる系内で力とトルクのバランスが保たれるように定義する工程と、
(e)前記工程(c)及び(d)において定義された力学的相互作用に基づいて、前記密な領域及び前記疎な領域内の粒子の挙動をシミュレーションする工程と
を有するシミュレーション方法が提供される。
また、本発明の他の観点によると、
種々のシミュレーションを行うためにコンピュータを、
シミュレーション対象の1つの物体を密な領域と疎な領域とに分けるための情報を入力する手段、
前記密な領域を、第1の粒子間距離以下の粒子間距離で分布する複数の粒子で表し、前記疎な領域を、前記第1の粒子間距離よりも大きい粒子間距離で分布する複数の粒子で表すための演算を行う手段、
前記密な領域、前記疎な領域の各々の中で、粒子位置に基づいてポテンシャルを修正することにより粒子の力学的相互作用を定義する第1の定義手段、
前記疎な領域との境界における前記密な領域の表面に存在する粒子と、前記密な領域との境界における前記疎な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を、前記密な領域と前記疎な領域との境界に存在する粒子からなる系内で力とトルクのバランスが保たれるように定義する第2の定義手段、
前記第1及び第2の定義手段で定義された力学的相互作用に基づいて、前記密な領域及び前記疎な領域内の粒子の挙動をシミュレーションする手段
として機能させるためのプログラムが提供される。
本発明によれば、高効率でシミュレーションを行うシミュレーション方法を提供することができる。
また、高効率でシミュレーションを行うシミュレーション方法を実行させるプログラムを提供することができる。
2次元の場合と3次元の場合とに分けて、原子(粒子)が細かく配置された領域と、粗く配置された領域とを、両領域間で物理量が連続的に変化するように接着(Glue)する手法の実施例について説明する。
まず、図1〜図7を参照し、2次元の場合について、実施例による粗密領域接着手法を説明する。
図1(A)に原子が密に配置された2次元領域と、原子が疎に配置された2次元領域を示す。
図1(B)に示すように、これら2つの領域を接着して、1つの領域を形成する。この際、密な領域の内部と疎な領域の内部は、それぞれポテンシャル修正法で相互作用のパラメータを決定しておく。
図2(A)に、密に配置された領域の原子と、疎に配置された領域の原子の接着前の状態を示す。
図の上方の原子g〜gは密に配置された領域に属する原子である。原子gとgとはバネ定数k01のバネで結合しているとする。同様に、原子gとgとはバネ定数k12のバネで、原子gとgとはバネ定数k23のバネで、原子gとgとはバネ定数k34のバネで結合していると考える。
図の下方の原子i及びjは疎に配置された領域に属する原子である。原子iとjとはバネ定数kijのバネで結合しているとする。
疎な領域の原子i、j上に、密な領域の原子g〜gを接着する。原子g〜gは、疎な領域の表面を構成するライン(原子iと原子jとを結ぶ直線)上に存在する。
図2(B)を参照する。接着に当たって、原子g、gの位置が、それぞれ原子i、jの位置と一致するときには、密な領域の原子g、gを消去し、代わりに疎な領域の原子i、jを用いる。原子g、gの位置が、それぞれ原子i、jの位置と極めて近い場合も同じく処理する。
また、密な領域の原子同士を結合していたバネ、及び疎な領域の原子同士を結合していたバネをすべて消去する。代わりに、隣り合う原子同士がすべてバネ定数kijのバネで結合すると考える。具体的には、原子iと原子g、原子gと原子g、原子gと原子g、及び原子gと原子jとはすべてバネ定数kijのバネで結合すると考える。
図2(C)を参照して、接着後、原子iと原子jとを結ぶ方向に直交する方向に作用する力について説明する。
原子iと原子jとを結ぶ直線から、当該直線と直交する方向にΔrだけ変位している原子には、変位している方向と反対方向に変位Δrに比例する力が加わると考える。たとえば、図2(C)において、原子iと原子jとを結ぶ直線と直交する方向にΔrだけ変位している原子gには、



・・(1)

の力が作用するとする。ここで負の符号は力Fの作用する向きが変位Δrと反対方向であることを示す。力Fは原子iと原子jとを結ぶ直線に直交する方向に働く。
また、式(1)の力Fの反作用として、原子iに作用する力F、原子jに作用する力Fをそれぞれ以下の式(2)、(3)で導入する。



・・(2)



・・(3)

ここでl、lはそれぞれ原子gの存する点から直線ijに下ろした垂線の足と、原子i、原子jとの間の距離を示す。力F、Fの働く向きは、力Fの働く向きと反対方向である。
力F、F、Fを式(1)〜(3)で示すように定めることで、図示の系内で力とトルクのバランスが保たれる。
このようにして、原子が密に配置された2次元領域と、疎に配置された2次元領域とを接着する。
本願発明者らは、上述のように原子密度の異なる2つの2次元領域を接着して、精度確認のためのシミュレーションを行った。
図3〜図7を参照して、シミュレーションについて説明する。
図3(A)及び(B)に、精度確認のための計算系を示す。
図3(A)を参照する。半径6mmの半円筒と、半径20mmの半円筒の円筒面を、お互いの頂点部分が接触するように接触させ、半径6mmの半円筒側から接触点に垂直に、500N/mmの荷重をかけるシミュレーションを行った。
シミュレーションに当たっては、2つの半円筒を形成する材料にSUSを想定し、ヤング率を208GPa、密度を7800kg/m、ポアソン比を0.27に設定した。
図3(B)は、2つの半円筒の接触部分、及び粗密両領域が接着された部分の拡大写真である。シミュレーションにおいては、2つの半円筒の接触部分の近傍にのみ、密領域を導入し、2つの半円筒の接近距離、及び接近距離と理論値との間の誤差を求めた。なお、上記条件で接触された2つの円筒が接近する距離の理論値は16.84μmである。
図4(A)及び(B)を参照する。まず、比較例として2つの半円筒に粗密領域を設けず、メッシュ幅を一様としてシミュレーションを行った。メッシュ幅は半円筒を構成する原子の原子間距離に相当する。
図4(A)を参照して、第1の比較例について説明する。第1の比較例においては、半径6mmの半円筒のメッシュ幅を0.3mmとし、半径20mmの半円筒のメッシュ幅を0.5mmとしてシミュレーションを行った。
第1の比較例において、2つの半円筒の接近距離は17.78μmであり、理論値との誤差は、5.58%であった。
図4(B)を参照して、第2の比較例について説明する。第2の比較例においては、半径6mmの半円筒のメッシュ幅を0.08mmとし、半径20mmの半円筒のメッシュ幅を0.1mmとしてシミュレーションを行った。
第2の比較例において、2つの半円筒の接近距離は17.20μmであり、理論値との誤差は、2.14%であった。
第1の比較例と第2の比較例とを比べたとき、メッシュ幅の小さい第2の比較例の方が理論値との誤差が小さいことがわかる。
図5を参照して、基本シミュレーションについて説明する。基本シミュレーションにおいては、疎領域については、第1の比較例と等しいメッシュ幅を用い、密領域については、第2の比較例と等しいメッシュ幅を用いた。すなわち、半径6mmの半円筒については、疎領域のメッシュ幅を0.3mm、密領域のメッシュ幅を0.08mmとし、半径20mmの半円筒については、疎領域のメッシュ幅を0.5mm、密領域のメッシュ幅を0.1mmとして、2つの半円筒の接近距離を計算した。その結果、2つの半円筒の接近距離は17.48μm、理論値との誤差は3.21%であった。
全体のメッシュ幅を一様に細かくした第2の比較例には及ばないが、メッシュ幅が一様に粗い第1の比較例に比べると、理論値との誤差が小さくなっていることがわかる。
次に本願発明者らは、上述の基本シミュレーションよりも、疎領域のメッシュ幅を粗くしてシミュレーションを行った。
図6(A)を参照する。本図に示す例では、半径6mmの半円筒の疎領域のメッシュ幅を0.6mm、半径20mmの半円筒の疎領域のメッシュ幅を1.0mmとした。その結果、2つの半円筒の接近距離は17.50μm、理論値との誤差は3.92%であった。
図6(B)を参照する。本図に示すのは、図6(A)に示す例より更に疎領域のメッシュ幅を粗くした例である。本例においては、半径6mmの半円筒の疎領域のメッシュ幅を1.2mm、半径20mmの半円筒の疎領域のメッシュ幅を2.0mmとした。2つの半円筒の接近距離は17.33μm、理論値との誤差は2.91%という結果が得られた。
図6(A)及び(B)を参照して説明したシミュレーションと、基本シミュレーションとの比較から、誤差は、疎領域のメッシュ幅の大小にかかわらず、ほぼ等しくなることがわかる。
最後に、本願発明者らは、理論値との誤差とアスペクト比との関係について調査した。アスペクト比は、疎領域のメッシュ幅を密領域のメッシュ幅で除したものとして定義される。
調査に当たっては、図3(A)及び(B)を参照して説明した計算系において、2つの半円筒の疎領域のメッシュ幅をともに0.5mmに固定し、密領域のメッシュ幅を様々に変化させることでアスペクト比を変化させた。そして変化させたアスペクト比を与えるメッシュ幅ごとに、2つの半円筒の接近距離、及び接近距離と理論値との間の誤差を求めた。
図7は、アスペクト比と誤差との関係を示すグラフである。グラフの横軸はアスペクト比を任意単位で表し、縦軸は、誤差を単位「%」で表す。
アスペクト比が大きくなるほど誤差は小さくなっている。これはアスペクト比を大きくするために、密領域のメッシュ幅を小さくしたためであると考えられる。
グラフから、実施例による接着手法は、アスペクト比を大きくすることによる不都合は生じないものと考えられる。
次に、図8〜図13を参照し、3次元の場合について、実施例による粗密領域接着手法を説明する。
図8(A)に原子が密に配置された3次元領域と、原子が疎に配置された3次元領域を示す。
図8(B)に示すように、これら2つの領域を接着して、1つの領域を形成する。この際、密な領域の内部と疎な領域の内部は、それぞれポテンシャル修正法で相互作用のパラメータを決定しておく。
図9(A)に、密に配置された領域の原子と、疎に配置された領域の原子の接着前の状態を示す。
図の左側の原子g〜gは密に配置された領域に属する原子である。原子g、g、gが形成する三角形の原子g、gを結ぶ辺の中点に原子gが配置されている。また、原子g、gを結ぶ辺の中点に原子gが、原子g、gを結ぶ辺の中点に原子gが配置されている。
図の右側の原子i、j、及びkは疎に配置された領域に属する原子である。原子i、j、kが形成する三角形は、密領域の原子g、g、gが形成する三角形と合同である。
原子iとjとはバネ定数kijのバネで結合しているとする。同様に、原子jとkとはバネ定数kjkのバネで、原子kとiとはバネ定数kkiのバネで結合しているとする。
疎な領域の原子i、j、kのつくる三角形上またはその内部に、密な領域の原子g〜gを接着する。
図9(B)を参照する。接着に当たって、密な領域の原子位置と疎な領域の原子位置とが一致した場合、密な領域の原子を取り除き、代わりに疎な領域の原子を用いる。
図9(B)においては、それぞれ疎な領域の原子i、j、kと位置が一致する密な領域の原子g、g、gを取り除き、その位置には原子i、j、kを残す。原子g、g、gの位置が、それぞれ原子i、j、kの位置と極めて近い場合も同じく処理する。
図9(C)を参照する。疎な領域の原子同士を結合していたバネをすべて消去し、代わりに、隣り合う原子同士を結ぶバネを想定する。原子i、jを結ぶ辺に平行な方向に隣り合う原子間を結ぶバネのバネ定数はすべてkijとする。同様に、原子j、kを結ぶ辺に平行な方向に隣り合う原子間を結ぶバネのバネ定数はすべてkjkとし、原子k、iを結ぶ辺に平行な方向に隣り合う原子間を結ぶバネのバネ定数はすべてkkiとする。
三次元形状にメッシュを切る場合、図9(A)〜(C)に示すように、接着箇所の粗密両領域の原子配置を相似形とすることが望ましい。しかしながら実際には、そうすることは困難であり、全く異なった形状に配置された粗密領域の原子同士を接着する場合が多い。そこでそのような場合には、以下のルールで結合させる。以下のルールを用いることにより、疎密両領域のメッシュを相似にしなくても接着が可能となる。
図10を参照する。
原子i、j、kを疎な領域に属する原子とする。原子ij間の距離をrij、原子jk間の距離をrjk、原子ki間の距離をrkiとする。また、原子iとjとはバネ定数kijのバネで結合しているとする。同様に、原子jとkとはバネ定数kjkのバネで、原子kとiとはバネ定数kkiのバネで結合しているとする。
疎な領域の原子i、j、kで形成される三角形上またはその内部(三角形要素上)に、密な領域の原子gを接着する。原子i、j、kで形成される三角形は、原子gを囲む、Delaunay三角形分割によって得られた三角形である。
なお、Delaunay三角形分割とは、隣接するVoronoi点同士をつないで領域を分割することをいう。Voronoi点とは、Voronoi多面体(2次元ならば垂直二等分線、3次元ならば垂直二等分面で囲まれた領域)を構成する点である。
このとき原子gは、原子i、j、kとそれぞれ下の式(4)〜(6)で表されるバネ定数kgi、kgj、kgkのバネで結合されると考える。



・・(4)



・・(5)



・・(6)

ここで、rgi、rgj、rgkはそれぞれ、原子gと原子i、原子gと原子j、原子gと原子k間の距離を表す。またNは、原子i、j、kで形成される三角形上またはその内部に存在する密領域の原子(疎領域に接着される原子)の数である。更に、rr、kkはそれぞれ下の式(7)、(8)で求められる値である。



・・(7)



・・(8)

すなわちrrは、原子i、j、kの原子間距離rij、rjk、rkiの平均値であり、kkは原子i、j、k間を結ぶバネのバネ定数kij、jk、kiの平均値である。
次に、図11を参照して、接着後、原子i、j、kで定められる平面に垂直な方向に作用する力について説明する。疎領域原子i、j、kで形成される三角形上またはその内部に接着された密領域の原子gが、原子i、j、kで定められる平面からΔrだけ離れた場合、原子g、i、j、kに働く、平面に垂直な方向の力を、それぞれF、F、F、Fとすると、それらはそれぞれ下式(9)〜(12)で表されると考える。



・・(9)



・・(10)



・・(11)



・・(12)

ここで、Kは比例定数であり、(9)式において負符号は変位Δrの方向とは反対向きに力Fが作用することを示す。また、l、l、lはそれぞれ、原子gから、原子i、j、kで定められる平面に下ろした垂線の足Hから、原子j、k、iまでの距離である。更に、θは、原子iと垂線の足Hを結ぶ直線と、原子jと垂線の足Hを結ぶ直線とのなす角度であり、θは、原子iと垂線の足Hを結ぶ直線と、原子kと垂線の足Hを結ぶ直線とのなす角度である。また、δは下式(13)で計算される値である。



・・(13)

力F、F、F、Fを式(9)〜(12)で示すように定めることで、図示の系内で力とトルクのバランスが保たれる。
このようにして、原子が密に配置された3次元領域と、疎に配置された3次元領域とを接着する。
本願発明者らは、2次元の粗密領域の接着の場合と同様に、原子密度の異なる2つの3次元領域を接着して、精度確認のためのシミュレーションを行った。
図12及び図13を参照して、シミュレーションについて説明する。
図12(A)及び(B)に、精度確認のための計算系を示す。
図12(A)を参照する。直径30mmの球と直径13mmの球とを、2球の中心を結ぶ直線に沿って、相対速度100m/sで衝突させるシミュレーションを行い、2球の接触時間τからヤング率を導出し、設定値との比較を行った。シミュレーションにおいて、ヤング率は208GPaに設定した。なお、接触時間τとヤング率Eとの関係は、下式(14)〜(16)を用いて表される。



・・(14)



・・(15)



・・(16)

式(14)においてμは換算質量、νは2球の相対速度を示す。また、式(15)において、R及びR´は、2球それぞれの半径を示す。更に、式(16)におけるσはポアソン比である。
シミュレーションに当たっては、2つの球を形成する材料にSUSを想定し、密度を7800kg/m、ポアソン比を0.27に設定した。また、先に述べたように、ヤング率を208GPaとした。このとき式(14)〜(16)を用いて、接触時間τの理論値は、約21.61μmと計算される。
図12(B)に、2つの球の中心を通る断面を示す。シミュレーションにおいては、2つの球の表面近傍に密領域を導入し、それ以外の球の内部領域(中心部)に疎領域を画定して、上述のルールで接着した。
シミュレーションは、疎密両領域のアスペクト比が2、3、4、5、10の各場合について行った。なお、比較例としてアスペクト比1の場合(領域の密度が一様とされ、疎密領域の接着が行われない場合)のシミュレーションも実施した。
図13(A)及び(B)にシミュレーションの結果を示す。図13(A)は、アスペクト比と接触時間τとの関係を表し、図13(B)は、アスペクト比とヤング率Eとの関係を表す。両図ともに、横軸はアスペクト比を任意単位で示す。また、図13(A)における縦軸は、接触時間τを単位「μs」で示し、図13(B)における縦軸は、ヤング率Eを単位「GPa」で示す。
アスペクト比が大きくなるにつれ、接触時間τは短く(図13(A))、ヤング率Eは大きくなる(図13(B))ことがわかる。しかしアスペクト比が10以下であるならば、たとえばヤング率Eは設定値から5%以内の誤差で求められることが確認される。
図14は、実施例によるシミュレーション方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、1つの物体を密な領域と疎な領域とに分ける。
そして、ステップS102において、密な領域、疎な領域のそれぞれに粒子を配置する。すなわち、疎な領域を、疎に分布する複数の粒子で表し、密な領域を、密に分布する複数の粒子で表す。
次に、ステップS103において、疎密それぞれの領域に対してポテンシャル修正法を用い、相互作用のパラメータを決定する。すなわち、疎な領域、密な領域の各々の粒子の力学的相互作用を定義する。
続いて、ステップS104において、疎な領域の表面に存在する粒子と密な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を定義する。
具体的には、ステップS104aにおいて、疎密それぞれの領域が2次元領域である場合、疎な領域の表面を構成するライン上に存在する、密な領域の粒子を探索する。疎密両域が3次元領域である場合は、疎な領域の表面を構成する三角形要素上に存在する、密な領域の粒子を探索する。
そして、ステップS104bにおいて、2次元の場合はライン上、3次元の場合は三角形要素上にある密な領域の粒子と、疎な領域の粒子とを、図1〜図13を参照して説明した接着手法を用いて接着(Glue)し、相互作用のパラメータを決定する。
最後に、ステップS105において、分子動力学計算(粒子法によるシミュレーション)を実行する。ステップS103及びS104において定義された力学的相互作用に基づいて、密な領域及び疎な領域内の粒子の挙動をシミュレーションする。
実施例によるシミュレーション方法を用いると、たとえば接触問題を含む分子シミュレーションを行うに当たって、物体同士が接触する箇所には密に粒子を配置し、それ以外の箇所には疎に粒子を配置し、これらを接着(Glue)することで、全体の粒子数を少なくし、シミュレーションの効率を高めることができる。
従来のポテンシャルを修正する手法だけでは、モデルに配置する粒子間距離(メッシュの大きさ)は、一番小さい領域に律速してしまい、特に3次元解析を行う場合、極端に粒子数が多くなってしまって、実質的には計算を行うことが不可能であった。しかしながら、実施例によるシミュレーション方法によれば、接着(Glue)の考え方を用いることにより、2次元解析であれば10分の1、3次元解析であれば100分の1程度の粒子数で、接着(Glue)をしない場合と同等の結果を得ることが可能である。
図14にフローチャートを示したシミュレーション方法は、プログラムにより、コンピュータで実行することができる。
図15は、実施例によるシミュレーション方法を実行するシミュレーション実行装置のシステム構成図である。
まず、キーボードなどの入力装置から、シミュレーション対象(物体)に関する情報、たとえば大きさ、形状、材料などの情報が入力される。そしてそのシミュレーション対象(物体)を、どのように疎な領域と密な領域に分けるかを決定する情報、たとえば画定される疎密両領域が2次元領域か、3次元領域か、それらの領域の形状や大きさ(範囲)、更に、それぞれの領域における粒子の粒子間距離等の、疎領域及び密領域に関する情報が入力される。
中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、メインメモリに保存されている相互作用パラメータ決定プログラムを実行する。
相互作用パラメータ決定プログラムは、入力された情報を基に、前図S101に示したように、1つの物体を密な領域と疎な領域とに分ける。そしてS102に示したように、密な領域、疎な領域のそれぞれに粒子を配置する位置を決定する。すなわち、疎な領域を、疎に分布する複数の粒子で表し、密な領域を、密に分布する複数の粒子で表すための演算を行う。
そしてS103に示したように、疎密それぞれの領域に対してポテンシャル修正法を用い、相互作用のパラメータを決定する。すなわち、疎な領域、密な領域の各々の中での粒子の力学的相互作用を定義する。
更に、ステップS104に示したように、疎な領域の表面に存在する粒子と密な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を定義する。具体的には、ステップS104aに示したように、疎密それぞれの領域が2次元領域である場合、疎な領域の表面を構成するライン上に存在する、密な領域の粒子を探索する計算を行う。疎密両域が3次元領域である場合は、疎な領域の表面を構成する三角形要素上に存在する、密な領域の粒子を探索する計算を行う。そして、S104bに示したように、2次元の場合はライン上、3次元の場合は三角形要素上にある密な領域の粒子と、疎な領域の粒子とを、図1〜図13を参照して説明した接着手法を用いて接着(Glue)し、相互作用のパラメータを決定する。
その後、中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、メインメモリに保存されているシミュレーション実行プログラムを実行し、S105に示したように、粒子法によるシミュレーションを実行する。
シミュレーションの結果は、ディスプレイやプリンタなどの出力装置を介して表示される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
原理的には、量子的な現象を除くすべての古典現象を解析するシミュレーションに利用することができる。特に、機構、弾性の動解析における摩擦による発熱、破壊の計算に好適に用いることができる。
(A)及び(B)は、2次元疎密領域の接着について示す図である。 (A)は、密に配置された領域の原子と、疎に配置された領域の原子の接着前の状態を示し、(B)は、両領域の原子の接着後の状態を示し、(C)は、接着後、原子iと原子jとを結ぶ方向に直交する方向に作用する力を示す図である。 (A)及び(B)は、精度確認のための計算系を示す図である。 (A)及び(B)は、それぞれ第1、第2の比較例について説明するための図である。 基本シミュレーションについて説明するための図である。 (A)及び(B)は、基本シミュレーションよりも、疎領域のメッシュ幅を粗くして行ったシミュレーションについて説明するための図である。 アスペクト比と誤差との関係を示すグラフである。 (A)及び(B)は、3次元疎密領域の接着について示す図である。 (A)は、密に配置された領域の原子と、疎に配置された領域の原子の接着前の状態を示し、(B)及び(C)は、両領域の原子の接着後の状態を示す。 密に配置された領域の原子と、疎に配置された領域の原子の接着後の状態を示す図である。 疎密両領域の接着後、疎領域原子i、j、kで定められる平面に垂直な方向に作用する力について説明するための図である。 (A)及び(B)は、精度確認のための計算系を示す図である。 (A)は、アスペクト比と接触時間τとの関係を表す図であり、(B)は、アスペクト比とヤング率Eとの関係を表す図である。 実施例によるシミュレーション方法を示すフローチャートである。 実施例によるシミュレーション方法を実行するシミュレーション実行装置のシステム構成図である。
符号の説明
S101〜S105、S104a、S104b ステップ

Claims (6)

  1. (a)シミュレーション対象の1つの物体を密な領域と疎な領域とに分ける工程と、
    (b)前記密な領域を、第1の粒子間距離以下の粒子間距離で分布する複数の粒子で表し、前記疎な領域を、前記第1の粒子間距離よりも大きい粒子間距離で分布する複数の粒子で表す工程と、
    (c)前記密な領域、前記疎な領域の各々の中で、粒子位置に基づいてポテンシャルを修正することにより粒子の力学的相互作用を定義する工程と、
    (d)前記疎な領域との境界における前記密な領域の表面に存在する粒子と、前記密な領域との境界における前記疎な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を、前記密な領域と前記疎な領域との境界に存在する粒子からなる系内で力とトルクのバランスが保たれるように定義する工程と、
    (e)前記工程(c)及び(d)において定義された力学的相互作用に基づいて、前記密な領域及び前記疎な領域内の粒子の挙動をシミュレーションする工程と
    を有するシミュレーション方法。
  2. 前記工程(d)において、前記疎な領域の表面に接触した前記密な領域の粒子と、該粒子が接触した前記疎な領域の表面位置を囲むDelaunay三角形分割によって得られた三角形の頂点に位置する、前記疎な領域の表面の3つの粒子との間に、力学的相互作用を定義する請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記工程(b)において、前記疎な領域との境界における前記密な領域の粒子の位置と、前記密な領域との境界における前記疎な領域の粒子の位置とが一致するように粒子を分布させ、
    前記工程(d)において、前記密な領域の粒子と前記疎な領域の粒子の位置が一致しているとき、前記密な領域の粒子を消滅させて、該位置に前記疎な領域の粒子のみを配置する請求項1または2に記載のシミュレーション方法。
  4. 種々のシミュレーションを行うためにコンピュータを、
    シミュレーション対象の1つの物体を密な領域と疎な領域とに分けるための情報を入力
    する手段、
    前記密な領域を、第1の粒子間距離以下の粒子間距離で分布する複数の粒子で表し、前記疎な領域を、前記第1の粒子間距離よりも大きい粒子間距離で分布する複数の粒子で表すための演算を行う手段、
    前記密な領域、前記疎な領域の各々の中で、粒子位置に基づいてポテンシャルを修正することにより粒子の力学的相互作用を定義する第1の定義手段、
    前記疎な領域との境界における前記密な領域の表面に存在する粒子と、前記密な領域との境界における前記疎な領域の表面に存在する粒子との間の力学的相互作用を、前記密な領域と前記疎な領域との境界に存在する粒子からなる系内で力とトルクのバランスが保たれるように定義する第2の定義手段、
    前記第1及び第2の定義手段で定義された力学的相互作用に基づいて、前記密な領域及び前記疎な領域内の粒子の挙動をシミュレーションする手段
    として機能させるためのプログラム。
  5. 前記第2の定義手段は、前記疎な領域の表面に接触した前記密な領域の粒子と、該粒子が接触した前記疎な領域の表面位置を囲むDelaunay三角形分割によって得られた三角形の頂点に位置する、前記疎な領域の表面の3つの粒子との間に、力学的相互作用を定義する請求項4に記載のプログラム。
  6. 前記第2の定義手段は、前記密な領域の粒子と前記疎な領域の粒子の位置が一致しているとき、前記密な領域の粒子を消滅させて、該位置に前記疎な領域の粒子のみを配置する請求項4または5に記載のプログラム。
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