JP5365581B2 - 薄膜付ウェーハの評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体デバイスの作製に使われる薄膜付ウェーハの膜厚分布を算出する薄膜付ウェーハの評価方法に関し、特に、SOI層膜厚分布を算出する評価方法に関する。
近年、デザインルールの微細化に伴って、SOIデバイス作製、特にFD−SOI(Fully Depleted SOI)デバイス作製に用いるSOIウェーハのSOI層膜厚分布が、デバイス製造プロセス、ひいては、トランジスタ特性に影響を与えるようになってきている。集積回路においては、回路を構成するトランジスタの特性を均一にすることが重要である。
基板の表面に薄膜を有する薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚分布を算出する現有の膜厚測定方法は、分光エリプソ法、反射分光法によるポイント毎の膜厚測定が一般的であるが、1μm程度の分解能で、広範囲の面内を膜厚分布測定できる膜厚分布測定装置は市販されていない。
分光エリプソ法、反射分光法によるポイント測定においては、各測定点毎に、ある波長範囲(一般的には、可視光域)のスペクトルを取り、そのスペクトルに対してモデル膜構造にフィティングすることで各測定点の膜厚を求めている。従って、1μm程度の分解能で測定を行おうとすると、測定点数が極端に増えるため、計算量と時間の制約から現実的に測定不可能である。
またスペクトル測定を行うためには、広い波長範囲の波長領域が必要なため、空間分解能を高くして多点膜厚測定を行うことが事実上不可能である。よって、これらの方法でウェーハ全面を一括して測定可能な装置としては、現状では数100μm程度の空間分解能の装置しか存在しない。
このように、薄膜、特にはSOI層の膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、高精度で低コストかつ簡便に行うことができる薄膜付ウェーハの評価方法が求められている。
尚、特許文献1には、SOIに白色光を照射し、反射光を各波長別に分光し、波長別の干渉情報からSOI層膜厚を算出する技術が開示されており、特許文献2には、1μm未満のSOI層に488nmのレーザー光を照射し、その正反射光を検出し、照射光との干渉縞によって面内の膜厚バラツキを検査することが記載されている。
特開2002−343842号公報 特開平08−264605号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、デバイスに影響するミクロな薄膜(SOI層)膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、高精度で低コストかつ簡便に行うことができる薄膜付ウェーハの評価方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明では、基板の表面上に薄膜を有する薄膜付ウェーハの前記薄膜の膜厚分布を算出する薄膜付ウェーハの評価方法であって、前記薄膜付ウェーハ表面の一部領域に単一波長λの光を照射し、前記領域からの反射光を検出して前記領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、前記領域内の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から前記領域内における薄膜の膜厚分布を算出することを特徴とする薄膜付ウェーハの評価方法を提供する。
このように、適当な単一波長λの光を選び、薄膜付ウェーハ表面の一部領域に該単一波長λの光を照射し、該領域からの反射光を検出して該領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、前記領域内の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から前記領域内における薄膜の膜厚分布を算出する評価方法を用いることで、照射する光の波長を一波長に限定しているため計算量が少なくすみ、薄膜の膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、十分な空間分解能で低コストかつ簡便に行うことができる。
またこのとき、前記波長λとして、前記薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚設定値から算出される照射光の反射率(R)が0.2以上、かつ、前記薄膜膜厚に対する反射率変動率(ΔR/R)の絶対値が0.02/nm以上となるように前記波長λを選択することが好ましい。
本発明における薄膜付ウェーハの評価方法では、照射する光の波長λとして、薄膜の膜厚設定値に対して反射率の変動が大きい波長を選択することによって、正確な評価を行うことができる。そして、薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚設定値から算出される照射光の反射率(R)が0.2以上であれば、反射光強度が十分であり、正確な評価を行うことができる。また、薄膜膜厚に対する反射率変動率が絶対値で0.02/nm以上であれば、薄膜の膜厚変動に対する感度が十分なものとなり、正確な評価を行うことができる。
またこのとき、前記反射率変動率(ΔR/R)の絶対値が0.05/nm以上となるように前記波長λを選択することが好ましい。
このように、反射率変動率が絶対値で0.05/nm以上となる波長を選択すれば、膜厚変動に対する感度が高く、より正確な評価が可能となる。
またこのとき、前記波長λは、可視光波長から選択された単一の波長であることが好ましい。
本発明の薄膜付ウェーハの評価方法は、一般的な光学顕微鏡装置を用いることができ、また、可視光波長から選択された単一の波長で行うことができるため低コストな評価方法である。
またこのとき、前記ピクセルの一辺のサイズを、前記波長λの1/2以上100μm以下とすることが好ましい。
このように、ピクセルの一辺のサイズが波長λの1/2以上100μm以下であれば、焦点が結びにくくなる恐れがなく、より正確に薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚分布を算出することができる。
またこのとき、前記領域をデバイス製造工程のリソグラフィー露光サイトに一致させることができる。
本発明の薄膜付ウェーハの評価方法で光を照射する領域を、用いる顕微鏡の倍率や視野範囲を調整することによって、デバイス製造工程のリソグラフィー露光サイトに一致させることができる。
またこのとき、前記領域内における薄膜の膜厚分布の算出を、複数箇所で行うことにより、前記薄膜付ウェーハ全面の膜厚分布を求めることができる。
このように、一部領域内における薄膜の膜厚分布の算出を、複数個所で行うことで、ウェーハ全面の評価が可能である。本発明の薄膜付ウェーハの評価方法によれば、このようなウェーハ全面における評価であっても、波長を一波長に限定しているため、計算量が少なく低コストで薄膜付ウェーハの評価を行うことができる。
またこのとき、前記評価する薄膜付ウェーハとして、前記基板と前記薄膜との間、又は前記薄膜上に、第二薄膜が形成された薄膜付ウェーハを用いることができる。
このように、本発明では、評価する薄膜付ウェーハとして、基板と薄膜との間、又は薄膜上に、第二薄膜が形成された、即ち2層の薄膜を有する薄膜付ウェーハを用いることができる。
またこのとき、前記基板及び前記薄膜をシリコン単結晶とし、前記基板と前記薄膜との間に形成された前記第二薄膜をシリコン酸化膜とすることができる。
このように、評価する薄膜付ウェーハとして、基板及び薄膜がシリコン単結晶であり、第二薄膜がシリコン酸化膜である、SOIウェーハを用いることができる。SOI層膜厚とBOX層(シリコン酸化膜層)厚の組み合わせに応じて適切な波長λを選ぶことによって、1μm以下の分解能でSOI層膜厚の膜厚分布、均一性を定量的に評価することが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、デバイスに影響するミクロな薄膜膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、低コストかつ簡便に十分な空間分解能で行うことができる、薄膜の膜厚分布測定、膜厚均一性評価方法を提供することができる。また、薄膜の膜厚設定値に対して反射率の変動が大きい波長を選択することによって、より正確な評価を行うことができる。特に、SOIウェーハの評価を行う場合に、SOI層膜厚とBOX層(シリコン酸化膜層)厚の組み合わせに応じて適切な波長を選ぶことによって、1μm以下の分解能でSOI層膜厚の膜厚分布、均一性を定量的に評価することが可能になる。
SOIウェーハのBOX層厚を固定した(145nm)場合に、3つの代表的な波長のSOI層膜厚に対する反射率の変動を示した図である。 本発明の薄膜付ウェーハの評価方法に用いることができる一般的な光学顕微鏡装置の概略図である。 実施態様1〜6における、反射率Rの波長依存性の算出結果である。 実施態様1〜6における、反射率の差ΔRの波長依存性の算出結果である。 実施態様1〜6における、反射率変動率ΔR/Rの波長依存性の算出結果である。 実施例1における2箇所の測定領域におけるSOI層の顕微鏡像である。 図6の顕微鏡像の各ピクセルの光強度のヒストグラムを示した図である。 実施例2における2箇所の測定領域におけるSOI層の顕微鏡像である。 図8の顕微鏡像の各ピクセルの光強度のヒストグラムを示した図である。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、従来、薄膜(SOI層)付ウェーハの薄膜(SOI層)膜厚測定、均一性評価を、ウェーハ全面に渡って、低コストかつ簡便に行うことができる薄膜付ウェーハの評価方法が求められていた。
そこで、本発明者が種々検討した結果、基板の表面上に薄膜を有する薄膜付ウェーハの前記薄膜の膜厚分布を算出する薄膜付ウェーハの評価方法であって、前記薄膜付ウェーハ表面の一部領域に単一波長λの光を照射し、前記領域からの反射光を検出して前記領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、前記領域内の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から前記領域内における薄膜の膜厚分布を算出することを特徴とする薄膜付ウェーハの評価方法であれば、照射する光を一波長に限定しているため、デバイスに影響するミクロな薄膜の膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、低コストかつ簡便に、十分な空間分解能で行うことができることを見出した。
更に、本発明者は薄膜(SOI層)の膜厚に対する反射率の変動に着目し、以下のような実験を行った。
図1は、SOIウェーハ(SOI層/BOX層/Si基板)のBOX(シリコン酸化膜:埋め込み酸化膜)層厚が145nmの場合、3つの代表的な波長(488nm、532nm、633nm)のSOI層膜厚に対する反射率の変動を計算により算出した図である。
この図1の算出結果によれば、これら3つの波長を用いた場合の反射率はSOI層膜厚に強い依存性が見られる。すなわち、適当な波長を用いて反射率(反射光強度)を測定すれば、それをSOI層膜厚に換算することが可能であることが判った。すなわち、適当な波長を用いれば、反射率の変動が大きいSOI層膜厚領域では反射率のSOI層膜厚への換算が容易かつ正確に行うことができることが判った。
例えば、SOI層の膜厚が90nm程度の場合、波長が488nm、633nmの照射光を用いると反射率の変動が大きい為、反射率がほぼ一定となっている波長532nmの照射光を用いる場合に比べ、SOI層膜厚への換算を容易かつ正確に行うことが可能となることが判った。
本発明者は、このような特性を利用し、薄膜の膜厚の設定値に対して反射率の変動が大きい単一の波長を選択することによって、反射率の薄膜膜厚への換算がより正確に可能となることを見出した。
即ち、本発明においては、薄膜付ウェーハの薄膜の厚さに応じて、適当な波長λを選び、波長λの光を薄膜付ウェーハ表面に照射し、SOI表面からの反射率を、多数に分割した領域(ピクセル)毎に、高空間分解で測定することでSOI層膜厚分布、均一性評価をより正確に行うことができる。
一般に、SOIウェーハの製造工程において、製造するSOIウェーハのSOI層膜厚、BOX層膜厚はユーザーの仕様により設定されており、その膜厚設定値を狙い値としてSOIウェーハを製造した後に、検査工程などでSOI層膜厚の面内分布が評価される。
本発明は、このSOI層膜厚とBOX層膜厚の設定値を使用して、照射光の波長と反射光の反射率等との関係をシミュレーションにより算出し、その結果から、測定を行う照射光として適切な波長λを選択してSOIウェーハに照射し、その反射光を検出することによってSOI層膜厚分布を評価するものである。
波長λの選択方法としては、予め、評価対象のSOIウェーハの製造において設定されたSOI層膜厚、BOX層膜厚(すなわち、SOIウェーハ製造上の狙い値)において、SOI層膜厚変動に伴う反射率差及び反射率変動率の照射波長依存性を算出しておき、反射率変動の大きくなる波長から単一波長λを選択する。そして、選択した波長λの光をSOI表面の一部領域に照射し、該領域からの反射光を検出し、該領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、該領域内の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から前記領域内におけるSOI層の膜厚分布を算出する。
以下、本発明の実施の形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の評価方法を適用することができる薄膜付ウェーハとしては、SOIウェーハが挙げられ、SOI層膜厚、BOX層膜厚のどんな組み合わせのSOIウェーハに対しても評価が可能である。また、SOIウェーハ以外でも、単層膜、SOI/BOX以外の2層膜を有する薄膜付ウェーハに対しても評価が可能であり、その薄膜材料としては、例えば、SiGe、Ge、III−V、II−VI化合物半導体等他の半導体材料、Al,クォーツ、HfO、等高誘電率絶縁材料、Graphene等が挙げられる。また、2層以上であっても、膜厚分布測定を行いたい層よりも他の層の厚さが均一であるか、あるいは、他の層の屈折率の方が小さい場合は、充分に適用できる評価方法である。
以下では、SOIウェーハを評価する場合について説明する。
本発明の評価方法では、予めシュミレーションにより、評価するSOIウェーハの製造段階で設定されたSOI層膜厚、BOX層膜厚(即ち、SOIウェーハ製造上の狙い値)において、SOI層膜厚変動に伴う反射率差及び反射率変動率の照射波長依存性を算出しておき、反射率、反射率変動の大きくなる波長から単一波長λを選択する。
具体的には、BOX層膜厚を設定値に固定し、SOI層膜厚の設定値L(nm)と、例えばこの設定値L(nm)より1nmだけ増加したL+1(nm)の両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。更に、これらの反射率の差(ΔR=RL+1−R)を反射率で割った反射変動率(ΔR/R)も算出する。そして、照射光の反射率(R)、及び、反射率変動率(ΔR/R)が十分な波長λを選択する。
この際、薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚設定値から算出される照射光の反射率(R)が0.2以上、かつ、薄膜膜厚に対する反射率変動率(ΔR/R)の絶対値が0.02/nm以上となるように波長λを選択することが好ましい。
反射率が0.2以上であれば、反射光強度が十分であり、正確な評価を行うことができる。また、反射率変動率が0.02/nm以上であれば、膜厚変動に対する感度が十分なものとなり、正確な評価を行うことができる。従って、反射率が0.2以上、反射率変動率が0.02/nm以上となる波長を選択することが好ましい。また、反射率変動率が0.05/nm以上となる波長を選択すれば、膜厚変動に対する感度が高く、より正確な評価が可能となる。
次いで、評価するSOIウェーハ表面の一部領域に、上記のように予め選択した単一波長λの光を照射し、照射した領域から反射光を検出して該領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、領域内の反射光強度分布を求め、反射光強度分布から領域内における薄膜の膜厚分布を算出する。
選択した単一波長λの光を照射する具体的な方法としては、図2に示すように、例えば波長選択のためのバンドパスフィルター1を取り付けた一般的な光学顕微鏡装置2の光源3からの照射光を、評価する薄膜付ウェーハ4の一部領域に照射することで行うことができる。
即ち、単一波長λの光を照射する光学顕微鏡装置2を用い、評価する薄膜付ウェーハ4の一部領域の顕微鏡反射像を測定し、得られた画像を解析してピクセル毎の反射光強度を測定することによって、前記領域内の反射光強度分布を求め、この反射光強度分布から前記領域内における薄膜の膜厚分布を算出することができる。
波長選択にはOAフィルター、液晶波長フィルター等を用いることもできる。また、観察視野内の光照射強度が一定になる照射系、及び視野内の感度が一定になる光学検出系を使うことが好ましい。光照射強度が一定とならない照射系においても、参照サンプル面(例えば、シリコン単結晶ウェーハの鏡面研磨面)を基準として、光照射強度を更正することができる。
このように、本発明の薄膜付ウェーハの評価方法は、通常の顕微鏡光学系を用いて可視光で行えるため低コストである。また、空間分解能は、顕微鏡の倍率を変えることで、照射光の波長程度から100μm程度まで自由に選ぶことが可能である。
また、ピクセルの一辺のサイズを、選択した波長λの1/2以上100μm以下とすることが好ましく、このようなピクセルサイズであれば、焦点が結びにくくなる恐れがなく、より正確に薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚分布を算出することができる。
また、一部領域の測定を複数箇所で行うことで、ウェーハ全面の評価も可能である。ウェーハ全面の評価であっても、波長を一波長に限定しているため計算量が少なく低コストですばやく評価が可能である。
尚、より正確な膜厚分布評価のため、SOIウェーハを製造した後に、設定値に近い膜厚が得られているかについて、一旦、従来の膜厚測定方法(分光エリプソ法、反射分光法など)によって大まかに膜厚を確認した後、本発明による詳細な膜厚分布(ミクロな膜厚分布)の測定を行うこともできる。
尚、本発明の薄膜付ウェーハの評価方法で光を照射する領域を、顕微鏡の倍率や視野範囲を調整することによって、デバイス製造工程のリソグラフィー露光サイトに一致させることもできる。デバイス製造工程のリソグラフィー露光時にステッパーで使用されるサイトは、例えば、26×8mm程度のサイズであるため、顕微鏡の倍率や視野範囲を調整することによってリソグラフィー露光サイトに一致させることができる。
尚、本発明において薄膜とは、基板上に形成された膜であって、その膜を透過した照射光が下地(基板表面又は他の膜)との界面で反射し、その反射光を薄膜の表面側から検出することのできる膜厚を有する膜をいう。
以下、実施態様、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施態様1)
<膜厚設定値:SOI/BOX/(Si基板)=88nm/145nm/(Si基板)>
まず、図3(a)に示すように、BOX層膜厚を設定値である145nmに固定し、SOI層膜厚の設定値である88nmと、それより1nmだけ増加した89nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。算出に際しては、波長400〜800nmの範囲において、SOI層とSi基板の屈折率として3.68〜5.59、BOX層の屈折率として1.45〜1.47を使用した。(屈折率は文献値で、波長依存性あり。)
その反射率の差(ΔR=R89−R88)を取ったものが図4(a)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R88)を図5(a)に示す。図3(a)、5(a)より、例えば600〜650nm付近の波長は、反射率(R88)、及び、反射率変動率(ΔR/R88)のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば630nmを選択する。波長630nmの場合、反射率(R88)は0.47、反射率変動率(ΔR/R88)は0.0783/nmである。
(実施例1)
上記実施態様1におけるシュミレーション結果に基づき、図6に630nmの波長の光を使って取った2箇所の測定領域(測定領域1、測定領域2)におけるSOI層の顕微鏡像を示す。(ピクセルサイズ1μm、測定領域0.5mm×0.5mm(500×500ピクセル))。
図7は、図6の各ピクセルの光強度(相対強度)のヒストグラムを示しており、表1に、光強度の広がり(ヒストグラム)から求めた測定領域のSOI層膜厚分布(P−V値)を示す。
Figure 0005365581
表1より、測定領域1、測定領域2のSOI層膜厚分布(P−V値)はそれぞれ2.46nm、1.40nmであることがわかる。
尚、表1中の反射強度バラツキ(A)は、最大反射強度(Max)、最小反射強度(Min)、平均反射強度(M)により算出された値(A=(Max−Min)/M)であり、ΔR/R88(反射率変動率)は、図5(a)から求められたSOI層膜厚1nm当たりの反射率変動率である。従って、測定領域内におけるSOI層膜厚分布(P−V値)をΔtとすると、A=Δt×(ΔR/R88)の関係からSOI層膜厚分布Δtを算出することができる。
(実施態様2)
<膜厚設定値:SOI/BOX/(Si基板)=61nm/145nm/(Si基板)>
まず、図3(b)に示すように、BOX層膜厚を設定値である145nmに固定し、SOI層膜厚の設定値である61nmと、それより1nmだけ増加した62nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。
その反射率の差(ΔR=R61−R62)を取ったものが図4(b)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R61)を図5(b)に示す。図3(b)、5(b)より、例えば600〜650nm付近の波長は、反射率(R61)、及び、反射率変動率(ΔR/R61)の絶対値のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば630nmを選択する。波長630nmの場合、反射率(R61)は0.60、反射率変動率(ΔR/R61)の絶対値は0.0475/nmである。
(実施例2)
図8に630nmの波長の光を使って取った2箇所の測定領域(測定領域3、測定領域4)におけるSOI層の顕微鏡像を示す。(ピクセルサイズ1μm、測定領域0.5mm×0.5mm(500×500ピクセル))。
図9は、図8の各ピクセルの光強度(相対強度)のヒストグラムを示しており、表2に、光強度の広がり(ヒストグラム)から求めた測定領域のSOI層膜厚分布(P−V値)を示す。
Figure 0005365581
表2より、測定領域3、測定領域4のSOI層膜厚分布(P−V値)はそれぞれ6.81nm、3.23nmであることがわかる。
(実施態様3)<膜厚設定値:SOI/BOX/(Si基板)=12nm/145nm/(Si基板)>
まず、図3(c)に示すように、BOX層膜厚を設定値である145nmに固定し、SOI層膜厚の設定値である12nmと、それより1nmだけ増加した13nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。
その反射率の差(ΔR=R12−R13)を取ったものが図4(c)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R12)を図5(c)に示す。図3(c),5(c)より、例えば400〜410nm付近の波長は、反射率(R12)、及び、反射率変動率(ΔR/R12)のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば400nmを選択する。波長400nmの場合、反射率(R12)は0.416、反射率変動率(ΔR/R12)は0.0986/nmである。
(実施態様4)<膜厚設定値:Ge/SiO/(Si基板)=10nm/145nm/(Si基板)>
まず、図3(d)に示すように、BOX層膜厚を設定値である145nmに固定し、Ge層膜厚の設定値である10nmと、それより1nmだけ増加した11nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。算出に際しては、波長400〜800nmの範囲において、Ge層の屈折率は4.08〜5.77を使用した。(屈折率は文献値で、波長依存性あり。)
その反射率の差(ΔR=R11−R10)を取ったものが図4(d)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R10)を図5(d)に示す。図3(d)、5(d)より、例えば600〜650nm付近の波長は、反射率(R10)、及び、反射率変動率(ΔR/R10)のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば630nmを選択する。波長630nmの場合、反射率(R10)は0.67、反射率変動率(ΔR/R10)は0.0310/nmである。
(実施態様5)
<膜厚設定値:InGaAs/SiO/(Si基板)=10nm/145nm/(Si基板)>
まず、図3(e)に示すように、BOX層膜厚を設定値である145nmに固定し、InGaAs層膜厚の設定値である10nmと、それより1nmだけ増加した11nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。算出に際しては、波長400〜800nmの範囲において、InGaAs層の屈折率は3.51〜4.61を使用した。(屈折率は文献値で、波長依存性あり。)
その反射率の差(ΔR=R11−R10)を取ったものが図4(e)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R10)を図5(e)に示す。図3(e)、5(e)より、例えば600〜650nm付近の波長は、反射率(R10)、及び、反射率変動率(ΔR/R10)のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば630nmを選択する。波長630nmの場合、反射率(R10)は0.53、反射率変動率(ΔR/R10)は0.0436/nmである。
(実施態様6)
<膜厚設定値:Si/(石英基板)=60nm/(石英基板)>
石英基板上のSi薄膜の場合、図3(f)に示すように、Si薄膜の膜厚の設定値である60nmと、それより1nmだけ増加した61nmの両者について、反射率Rの波長依存性を算出する。算出に際しては、波長400〜800nmの範囲において、Si薄膜の屈折率は3.68〜5.59、石英基板(SiO)の屈折率は1.45〜1.47を使用した。(屈折率は文献値で、波長依存性あり。)
その反射率の差(ΔR=R61−R60)を取ったものが図4(f)であり、更に、反射率の差を反射率で割ったもの(ΔR/R60)を図5(f)に示す。図3(f)、5(f)より、例えば460nm付近の波長は、反射率(R60)、及び、反射率変動率(ΔR/R)のいずれも十分な値であるため、SOI層膜厚の変動に感度が高いことがわかる。そこで、照射波長として例えば460nmを選択する。波長460nmの場合、反射率(R60)は0.46、反射率変動率(ΔR/R60)は0.0813/nmである。
(実施例3〜6)
上記の実施態様3〜6において選択された波長の光を使って、それぞれ2カ所の測定領域においてピクセル毎の反射光強度を測定し、領域内の反射光強度分布を求めることで、各薄膜の膜厚分布を算出することができた。
以上により、本発明の薄膜付ウェーハの評価方法を用いれば、デバイスに影響するミクロな薄膜(SOI層)膜厚分布のウェーハ全面に渡る測定を、高精度で低コストかつ簡便に行うことができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…バンドパスフィルター、 2…光学顕微鏡装置、 3…光源、 4…薄膜付ウェーハ。

Claims (8)

  1. 基板の表面上に薄膜を有する薄膜付ウェーハの前記薄膜の膜厚分布を算出する薄膜付ウェーハの評価方法であって、
    予め、前記薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚設定値において、薄膜膜厚変動に伴う照射光の反射率差及び反射率変動率の照射波長依存性を算出しておき、
    該算出された照射光の反射率(R)が0.2以上、かつ、前記薄膜膜厚に対する反射率変動率(ΔR/R)の絶対値が0.02/nm以上となるように、単一波長λを選択し、
    前記薄膜付ウェーハ表面の一部領域に前記選択した単一波長λの光を照射し、前記領域からの反射光を検出して前記領域を多数に分割したピクセル毎の反射光強度を測定することによって、前記領域内の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から前記領域内における薄膜の膜厚分布を算出することを特徴とする薄膜付ウェーハの評価方法。
  2. 前記反射率変動率(ΔR/R)の絶対値が0.05/nm以上となるように前記波長λを選択することを特徴とする請求項1に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  3. 前記波長λは、可視光波長から選択された単一の波長であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  4. 前記ピクセルの一辺のサイズを、前記波長λの1/2以上100μm以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  5. 前記領域をデバイス製造工程のリソグラフィー露光サイトに一致させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  6. 前記領域内における薄膜の膜厚分布の算出を、複数箇所で行うことにより、前記薄膜付ウェーハ全面の膜厚分布を求めることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  7. 前記評価する薄膜付ウェーハとして、前記基板と前記薄膜との間、又は前記薄膜上に、第二薄膜が形成された薄膜付ウェーハを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
  8. 前記基板及び前記薄膜がシリコン単結晶であり、前記基板と前記薄膜との間に形成された前記第二薄膜がシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜付ウェーハの評価方法。
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