−第1の実施の形態−
図1は、第1の実施の形態における地図データ処理装置において、地図データの授受について説明する図である。車載用ナビゲーション装置(地図データ処理装置)1は、地図データ記憶装置12から、地図データを読み取る。また、車載用ナビゲーション装置1は、携帯電話などの通信装置4を介して、地図サーバ6から、地図データ記憶装置12に格納されている地図データを更新するためのデータを受け取る。
地図サーバ6は、例えば、車載用ナビゲーション装置1に各種データを送信する情報センター(不図示)内に設置されており、古い地図データから最新の地図データまでを地図データベース7に保有している。地図サーバ6は、地図データの一部を更新する更新データを無線通信を介してナビゲーション装置1に提供することができる。
ナビゲーション装置1は、制御装置11と地図データ記憶装置12を有する。制御装置11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路から構成される。地図データ記憶装置12は、例えば、ナビゲーション装置1の内部に設けられたハードディスクである。地図データ記憶装置12は、ナビゲーション装置1の電源が落とされても、書きこまれているデータが消えない記憶装置であればどのようなものでもよい。
図2は、車載用ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御装置11、地図データ記憶装置12、現在地検出装置13、メモリ15、通信インターフェース16、モニタ17、入力装置18を有する。
現在地検出装置13は、車両の現在地を検出する装置であり、例えば車両の進行方位を検出する方位センサや車速を検出する車速センサやGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ等から構成される。
メモリ15は、現在地検出装置13によって検出された車両位置情報等を格納したり、制御装置11が演算した推奨経路上のノード情報やリンク情報等を格納するメモリである。メモリ15は、制御装置11のワーキングエリアである。通信インターフェース16は、通信装置4を接続するインターフェースである。通信インターフェース16を介して携帯電話の利用や、インターネットとの接続が可能である。
モニタ17は、地図や推奨経路や各種情報を表示する表示装置である。モニタ17は、ナビゲーション装置本体の一部として一体に設けてもよいし、筐体としては別々に設けてもよい。さらに、モニタ17のみを、ナビゲーション装置本体とケーブルなどによって接続し、分離した位置に設けるようにしてもよい。入力装置18は、経路探索時に車両の目的地等を入力したりする入力装置である。リモコンであってもよいし、モニタ17の画面上に設けられたタッチパネルなどで構成してもよい。制御装置11は、現在地検出装置13で検出された車両の現在地情報と地図データ記憶装置12に格納された地図データなどを使用して、道路地図の表示、経路計算(経路探索)、経路誘導等の各種のナビゲーション処理を行う。なお、制御装置11が実行する各種の処理プログラムは、制御装置11内部に設けられたROM(不図示)に組み込まれている。
−地図データの構造−
上述した地図データのデータ構造について、さらに詳しく説明する。地図データは、地図に関する情報であり、少なくとも、道路データ、および、背景データが含まれる。道路データは、道路の表示や車両の現在地の特定やマップマッチングなどに使用されるデータである。背景データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。
本実施の形態の地図データは、レベル、および、リージョンという概念で管理される。本実施の形態では、地図データを縮尺率が異なる7つのレベルに分け、最詳細の縮尺率のレベルをレベル0とし、最広域地図のレベルをレベル6とする。各レベルは縮尺率が異なる地図データを含むものであるが、対象となる領域は各レベルとも同じである。すなわち、日本全土が対象であると、各レベルごとに縮尺率が異なる日本全土の地図データを有する。例えば、レベル0では縮尺率1/6250、レベル1では縮尺率1/25000、レベル2では縮尺率1/100000、レベル3では縮尺率1/400000、レベル4では縮尺率1/1600000、レベル5では縮尺率1/6400000、レベル6では縮尺率1/128000000の日本全土の地図データを有する。すなわち、レベル0〜6に対応して7つの地図データのセットがある。レベル0側を下位レベル、レベル6側を上位レベルとする。
図3は、地図データのレベル、および、リージョンの関係を説明する概念図であり、代表して、レベル3と4を示している。符号101は、本地図データの対象となる領域を示す。日本全土の地図データを扱うとすると、領域101は日本全土を含む範囲となる。レベル3もレベル4も同じ範囲の領域を対象としている。図3に示すように、地図データは、レベルに応じて、複数の矩形領域に分割されている。本明細書では、分割された矩形領域をリージョンと呼ぶ。ただし、リージョンは、地図上の所定の領域を表す概念であり、矩形領域に限定されることはない。図3に示す例では、レベル3では、領域101は、m×n個のリージョン102に分けられており、レベル4では、p×q個のリージョン103に分けられている。
レベル3とレベル4では、領域101を分割したリージョンの数は異なる。これは、縮尺率の小さい(分母の値が大きい)より広域地図を扱うレベル4と、レベル4に比べて縮尺率の大きい(分母の値が小さい)より詳細地図を扱うレベル3とでは、扱うデータ量も異なるためである。すなわち、各レベルにおいて扱うデータ量に応じた適切な分割を行うようにしている。ただし、同一レベル内では、1つのリージョンの大きさは同じである。
本実施の形態では、道路をノードとリンクとリンク列という概念で表す。ノードは交差点や道路上特に指定された点を言う。リンクは隣接するノード間の道路に該当し、リンク列は1本の道路等を連続した複数のリンクで表したものである。ノード間は、補間点により位置情報等が補間される。図4は、リンク列とリンクの構成の一例を示す図であり、4つのリンクから、ある1つのリンク列が構成されている。
第1の実施の形態におけるデータ処理装置では、地図データ記憶装置12に格納されている地図データに含まれる道路データは、リレーショナルデータベース形式にて、リンク単位で管理されている。
図5は、リンク単位で管理されている道路データの構造を示す図である。各リンクデータには、各リンクに固有のリンクID、形状データ、属性データ、および、関連IDが含まれている。すなわち、リンクID、形状データ、属性データ、および、関連IDによって、1つのレコードが形成されている。
リンクIDには、そのデータがリンクであることを示すデータ、および、リンクを特定するためのデータが少なくとも含まれている。形状データには、そのリンクを構成するノードの座標データ、および、補間点の座標データが含まれる。属性データには、そのリンクの属性情報、すなわち、幅員、制限速度、道路名称、路線番号、一方通行などの規制情報等のデータが含まれる。関連IDには、そのリンクと関連するノードのID、そのリンクを含むリンク列のID、そのリンクを含むリージョンのID等のデータが含まれる。
第1の実施の形態における地図データ処理装置では、地図データ記憶装置12に格納されている道路データを、リンク単位で部分的に更新することができる。地図サーバ6は、地図データ記憶装置12に格納されている道路データにリンクデータを追加する場合には、追加するリンクデータを車載用ナビゲーション装置1に送信する。また、地図データ記憶装置12に格納されているリンクデータを削除する場合には、削除するリンクのIDを明示して、データを削除する旨の指示データを送信する。なお、リンクデータの内容を更新する場合には、古いリンクデータを削除し、新たなリンクデータを追加する処理を行う。すなわち、追加する新しいリンクデータとともに、古いリンクデータを削除する旨の指示データを車載用ナビゲーション装置1に送信する。
また、第1の実施の形態における地図データ処理装置では、地図表示などのために地図データ記憶装置12から道路データを読み出す処理を行う時に、リンク単位の道路データをリンク列単位のデータに構築し、さらに、リンク列単位の道路データに基づいて、リージョン単位の道路データを構築して、リージョン単位で道路データを読み出すようにする。リージョン単位で道路データを読み込むことにより、リンク単位やリンク列単位で道路データを読み込む場合に比べて、道路データの読み込み速度や地図の表示速度を速くすることができる。
図6は、リンク単位の道路データに基づいて、リージョン単位に構築された道路データの構造を示す図である。以下では、リージョン単位で管理されている道路データをリージョンデータと呼ぶ。リージョンデータには、リージョンごとに固有のリージョンID、そのリージョン内に含まれている複数のリンク列のデータ、および、関連IDが含まれている。リージョンIDには、そのデータがリージョンであることを示すデータ、および、リージョンを特定するためのデータが少なくとも含まれている。関連IDには、他のリージョンと関連づけるためのリージョンID等が含まれる。
図6に示す例では、1つのリージョンデータの中に、リンク列1,リンク列2,…,リンク列N(Nは3以上の自然数)のデータが含まれている。各リンク列データには、リンク列ごとに固有のリンク列ID、そのリンク列を構成するリンクのデータ、および、関連IDが含まれている。リンク列IDには、そのデータがリンク列であることを示すデータ、および、リンク列を特定するためのデータが少なくとも含まれている。関連IDには、他のリンク列、リンク、ノード、リージョン等と関連づけるためのリンク列ID、リンクID、ノードID、リージョンID等が含まれる。
なお、リンクデータに変更がなければ、リンク列データを構成するリンクデータの内容、リンク列ID、および、関連IDは、リンク列データを構築するたびに同じとなる。従って、リンク列データを構成するリンク列IDおよび関連IDは、予め用意しておいて、地図データ記憶装置12に格納させておく。同様に、リージョンデータのリージョンIDおよび関連IDも予め用意しておいて、地図データ記憶装置12に格納させておく。リンクデータの変更により、リンク列データの関連ID等が変更になる場合や、リージョンデータの関連ID等が変更になる場合には、更新用のリンクデータとともに、変更する関連ID等のデータを地図サーバ6から車載用ナビゲーション装置1に送信すればよい。
図7は、ナビゲーション装置1の制御装置11によって行われる処理内容を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1の電源がオンすると、処理装置11はステップS10の処理を開始する。ステップS10では、地図データの読み込み指示があるか否かを判定する。例えば、ユーザが入力装置18を用いて、モニタ17に地図を表示する指示を出すと、地図データの読み込み指示があったと判断する。地図データの読み込み指示があると判定すると、ステップS20に進み、読み込み指示がないと判定すると、ステップS60に進む。
ステップS20では、モニタ17に地図を表示するための地図データを、地図データ記憶装置12から読み込む。上述したように、地図データ記憶装置12には、リンク単位で道路データが格納されているので、リンク単位で道路データを読み込む。例えば、自車位置を中心とした周囲の所定範囲に対応する複数のリージョン内に属する複数のリンクデータを読み込む。地図データを読み込むと、ステップS30に進む。
なお、地図表示データには、道路データ以外にも背景データなどがあるが、ここでは説明を簡単にするため、道路データについてのみ説明する。
ステップS30では、読み込んだリンクデータに基づいて、リンク列データを構築する。 ここでは、リンクデータの関連IDに基づいて、そのリンクを含むリンク列を特定して、リンク列データを構築する。このリンク列データには、図6に示すように、リンク列ID、リンクデータ、および、関連IDが含まれる。リンク列データを構築すると、ステップS40に進む。
ステップS40では、ステップS30で構築したリンク列データに基づいて、リージョンデータを構築する。ここでは、リンク列データの関連IDに基づいて、そのリンク列を含むリージョンを特定して、リージョンデータを構築する。このリージョンデータには、図6に示すように、リージョンID、リンク列データ、および、関連IDが含まれる。
ステップS40に続くステップS50では、リージョンデータが完成したか否かを判定する。リージョンデータが完成したと判定すると、ステップS10に戻る。この後、リージョン単位で道路データを読み込む処理が行われ、モニタ17には、読み込んだ道路データに基づいた地図が表示される。リージョン単位で道路データを読み込むことにより、リンク単位やリンク列単位で道路データを読み込む場合に比べて、道路データの読み込み速度や地図の表示速度を速くすることができる。
一方、ステップS10において、地図データの読み込み指示がないと判定すると、ステップS60に進む。ステップS60では、道路データの更新指示があったか否かを判定する。ここでは、更新用の道路データが地図サーバ6から送信されてくると、道路データの更新指示があったと判定する。道路データの更新指示がないと判定するとステップS10に戻り、更新指示があったと判定すると、ステップS70に進む。
ステップS70では、地図サーバ6から送信されてくるデータに基づいて、地図データ記憶装置12に格納されている道路データを更新する。例えば、地図サーバ6から、新たなリンクデータを受信した場合には、受信したリンクデータを地図データ記憶装置12に追加・格納する。また、リンクデータを削除する旨の指示データを受信した場合には、指示されたリンクデータを削除する処理を行う。新たなリンクデータと、リンクデータを削除する旨の指示データとを受信した場合には、指示されたリンクデータを削除するとともに、新たなリンクデータを追加する処理を行う。
なお、道路データの更新処理は、地図データの各レベルごとに行う。上述したように、地図データ記憶装置12には、レベル0〜6に対応して7つの地図データが格納されており、地図サーバ6からは、地図データの各レベルに応じた更新用データが送信されてくる。従って、ナビゲーション装置1の制御装置11は、地図サーバ6から送信されてくる各レベルごとの更新用データに基づいて、各レベルごとに、道路データの内容を更新する処理を行う。
ステップS70に続くステップS80では、道路データの更新処理が完了したか否かを判定する。道路データの更新処理が完了していないと判定するとステップS70に戻り、完了したと判定すると、ステップS10に戻る。
第1の実施の形態における地図データ処理装置によれば、地図表示要求などがあったときに、地図データ記憶装置12に第1のデータ単位(リンク単位)で記憶されている地図データを第1のデータ単位(リンク単位)で読み出して、第1のデータ単位(リンク単位)より大きい第2のデータ単位(リージョン単位)の地図データを構築し、地図データ記憶装置12に記憶されている地図データを用いた処理を行う際に、構築した第2のデータ単位(リージョン単位)で地図データを読み出す。リージョン単位で地図データを読み出すことにより、データの読み出し速度や地図の表示速度を迅速化させることができる。また、地図データ記憶装置12には、リンク単位で地図データを記憶させておくので、リンク単位での地図データの更新が可能となる。これにより、リージョン単位での無駄なデータ更新を行う必要がなくなる。また、情報センターから、無線通信を介して、更新用のデータを受信する場合には、リンク単位の小さいデータ量でデータ更新を行うことにより、通信費を抑制することができる。
−第2の実施の形態−
第1の実施の形態における地図データ処理装置では、道路データをリンク単位で地図データ記憶装置12に記憶していた。第2の実施の形態における地図データ処理装置では、道路データをリンク列単位で地図データ記憶装置12に記憶しておき、リンク列単位で道路データの更新を行う。
リンク列データの構成は、図6に示すリンク列データの構成と同じである。すなわち、各リンク列データには、リンク列ごとに固有のリンク列ID、そのリンク列を構成するリンクのデータ、および、関連IDが含まれている。
リンク列単位での道路データの更新方法は、第1の実施の形態において説明したリンク単位での道路データの更新方法と同じである。すなわち、地図サーバ6から、新たなリンク列データを受信した場合には、受信したリンク列データを地図データ記憶装置12に追加・格納する。また、リンク列データを削除する旨の指示データを受信した場合には、指示されたリンク列データを削除する処理を行う。新たなリンク列データと、リンク列データを削除する旨の指示データとを受信した場合には、指示されたリンク列データを削除するとともに、新たなリンク列データを追加する処理を行う。
第2の実施の形態における地図データ処理装置では、地図表示要求などに応答して、地図データ記憶装置12から道路データを読み出す処理を行う時に、リンク列単位の道路データに基づいて、リージョン単位の道路データを構築して、リージョン単位で道路データを読み出すようにする。リンク列単位の道路データに基づいてリージョン単位の道路データを構築する方法は、第1の実施の形態における地図データ処理装置において、リンク列単位の道路データに基づいて、リージョン単位の道路データを構築する方法と同じである。リンク列単位の道路データに基づいて、リージョン単位の道路データを構築してから、リージョン単位でデータを読み込むことにより、リンク列単位で道路データを読み込む場合に比べて、道路データの読み込み速度や地図の表示速度を速くすることができる。
第2の実施の形態における地図データ処理装置によれば、地図データ記憶装置12に第1のデータ単位(リンク列単位)で記憶されている地図データを第1のデータ単位(リンク列単位)で読み出して、第1のデータ単位(リンク列単位)より大きい第2のデータ単位(リージョン単位)の地図データを構築し、地図データ記憶装置12に記憶されている地図データを用いた処理を行う際に、構築した第2のデータ単位(リージョン単位)で地図データを読み出す。リージョン単位で地図データを読み出すことにより、データの読み出し速度や地図の表示速度を迅速化させることができる。また、地図データ記憶装置12には、リンク列単位で地図データを記憶させておくので、リンク列単位での地図データの更新が可能となる。これにより、リージョン単位での無駄なデータ更新を行う必要がなくなる。また、情報センターから、無線通信を介して、更新用のデータを受信する場合には、リンク列単位の小さいデータ量でデータ更新を行うことにより、通信費を抑制することができる。
−第3の実施の形態−
第1および第2の実施の形態における地図データ処理装置では、地図データに含まれる道路データを読み出す処理を行う際に、道路データをリージョン単位のデータに構築してから、リージョン単位で読み出すようにした。第3の実施の形態における地図データ処理装置では、地図データに含まれる背景データを読み出す処理を行う際に、背景データをリージョン単位のデータに構築してから、リージョン単位で読み出す。なお、リージョンは、所定の領域を示す単位であり、ここでは、第1の実施の形態におけるリージョンと、第2の実施の形態におけるリージョンとは同じものとする。
背景データには、山、海、鉄道、施設などを表示するためのポリゴンデータやポリラインデータ、また、ポリゴンデータやポリラインデータのまとまりである種別データが含まれる。ポリゴンデータは、閉じた領域を表すものであり、例えば、施設を表示するデータである。ポリラインデータは、鉄道などの線状のものを表示するデータである。種別データは、複数のポリゴンデータやポリラインデータによって、1つのまとまりを表すデータであり、例えば、海岸線や、川などである。
地図データ記憶装置12には、リレーショナルデータベース形式で、ポリゴン単位やポリライン単位で背景データが格納されている。図8は、ポリゴンデータの詳細なデータ構造を示す図である。各ポリゴンデータには、ポリゴンデータごとに固有のポリゴンID、形状データ、属性データ、および、関連IDが含まれている。ポリゴンIDには、そのデータがポリゴンデータであることを示すデータ、および、ポリゴンを特定するためのデータが少なくとも含まれている。
形状データには、そのポリゴンを構成する形状要素点データが含まれる。属性データには、そのポリゴンの属性情報、例えば、ポリゴンが施設であれば、施設の名称などのデータが含まれる。関連IDには、そのポリゴンと関連するリンクID、そのポリゴンを含む種別のID、そのポリゴンを含むリージョンのID等のデータが含まれる。なお、図8では、ポリゴンデータのデータ構造を示しているが、ポリラインデータのデータ構造も同様である。
背景データには、また、様々なマークを表示するための記号・注記データも含まれる。様々なマークとは、例えば、学校や郵便局のマークである。地図を表示する際には、マークとともに、そのマークの名称(例えば、○○郵便局)も表示される。この名称を「注記」と呼ぶ。地図データ記憶装置12には、リレーショナルデータベース形式で、記号・注記データ単位の背景データも格納されている。
図9は、記号・注記データの詳細なデータ構造を示す図である。各記号・注記データには、記号・注記データごとに固有の記号・注記ID、記号位置データ、書き出し位置データ、注記データ、および、関連IDが含まれている。記号・注記IDには、そのデータが記号・注記データであることを示すデータ、および、記号を特定するためのデータが少なくとも含まれている。記号位置データは、記号の位置座標を示すデータであり、書き出し位置データは、注記の位置座標を示すデータである。注記データは、上述したように、記号の名称(例えば、○○郵便局)等のデータである。
図10は、地図を表示する際に表示されるマーク(記号)および注記の位置関係を示す図である。マーク(記号)131の位置は、記号位置データに基づいて決定される。また、注記132の位置は、書き出し位置データに基づいて決定される。例えば、記号位置データが(X,Y)であり、書き出し位置データが(ΔX,ΔY)の場合には、地図上の(X,Y)の位置にマーク131が表示され、(X+ΔX,Y+ΔY)の位置に、注記132が表示される。
第3の実施の形態における地図データ処理装置では、地図データ記憶装置12に格納されている背景データを、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位で更新することができる。すなわち、地図サーバ6は、ポリゴンデータ・ポリラインデータを追加する場合には、追加するポリゴンデータ・ポリラインデータを車載用ナビゲーション装置1に送信する。また、地図データ記憶装置12に格納されているポリゴンデータ・ポリラインデータを削除する場合には、削除するデータのIDを明示して、ポリゴンデータ・ポリラインデータを削除する旨の指示データを送信する。なお、ポリゴンデータ・ポリラインデータの内容を更新する場合には、古いポリゴンデータ・ポリラインデータを削除し、新たなポリゴンデータ・ポリラインデータを追加する処理を行う。すなわち、追加する新しいポリゴンデータ・ポリラインデータとともに、古いポリゴンデータ・ポリラインデータを削除する旨の指示データを車載用ナビゲーション装置1に送信する。記号・注記データの追加・削除・更新の方法は、ポリゴンデータ・ポリラインデータの追加・削除・更新の方法と同じである。
また、第3の実施の形態における地図データ処理装置では、地図表示要求などに応答して、地図データ記憶装置12から背景データを読み出す処理を行う時に、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・種別データ単位の背景データに基づいて、種別データ単位の背景データを構築し、さらに、種別データ単位の背景データに基づいて、リージョン単位の背景データを構築して、リージョン単位で背景データを読み出すようにする。リージョン単位で背景データを読み込むことにより、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位や、記号・注記データ単位で背景データを読み込む場合に比べて、背景データの読み込み速度や地図の表示速度を速くすることができる。
図11は、ポリゴンデータ・ポリラインデータ単位の背景データに基づいて、リージョン単位に構築された背景データの構造を示す図である。以下では、リージョン単位で管理されている背景データを背景リージョンデータと呼ぶ。背景リージョンデータには、リージョンごとに固有のリージョンID、そのリージョン内に含まれている複数の種別データ、および、関連IDが含まれている。リージョンIDには、そのデータがリージョンであることを示すデータ、および、リージョンを特定するためのデータが少なくとも含まれている。関連IDには、他のリージョンと関連づけるためのリージョンID等が含まれる。
各種別データには、種別ごとに固有の種別ID、その種別データを構成するポリゴンデータおよびポリラインデータ、および、関連IDが含まれている。種別IDには、そのデータが種別データであることを示すデータ、および、種別を特定するためのデータが少なくとも含まれている。関連IDには、背景リージョンデータ等、他のデータと関連づけるためのID等が含まれる。なお、第1の実施の形態における地図データ処理装置と同様に、リージョンデータのリージョンIDや関連ID、および、種別データの種別IDや関連IDは、予め用意しておいて、地図データ記憶装置12に格納させておく。
図12は、記号・注記データ単位の背景データに基づいて、リージョン単位に構築された背景データの構造を示す図である。この背景リージョンデータには、リージョンごとに固有のリージョンID、そのリージョン内に含まれている複数の種別データ、および、関連IDが含まれている。各種別データには、種別ごとに固有の種別ID、その種別データを構成する記号・注記データ、および、関連IDが含まれている。この場合の種別は、例えば、施設の名称であり、「郵便局」という種別であれば、郵便局という種別データの中に、複数の郵便局の記号・注記データが含まれる。
図13は、第3の実施の形態における地図データ処理装置において、ナビゲーション装置1の制御装置11によって行われる処理内容を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1の電源がオンすると、処理装置11はステップS110の処理を開始する。ステップS110では、地図データの読み込み指示があるか否かを判定する。例えば、ユーザが入力装置18を用いて、モニタ17に地図を表示する指示を出すと、地図データの読み込み指示があったと判断する。地図データの読み込み指示があると判定すると、ステップS120に進み、読み込み指示がないと判定すると、ステップS160に進む。
ステップS120では、モニタ17に地図を表示するための背景データを、地図データ記憶装置12から読み込む。上述したように、地図データ記憶装置12には、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位で背景データが格納されているので、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位で背景データを読み込む。例えば、自車位置を中心とした周囲の所定範囲に対応するリージョン内に属する複数の背景データを読み込む。背景データを読み込むと、ステップS130に進む。
なお、地図表示用データには、上述したように、背景データ以外にも道路データなどがあるが、ここでは、説明を簡単にするために、背景データについてのみ説明する。
ステップS130では、読み込んだ背景データに基づいて、種別データを構築する。 ここでは、ポリゴンデータ・ポリラインデータの関連ID、または、記号・注記データの関連IDに基づいて、そのポリゴンデータ・ポリラインデータまたは記号・注記データを含む種別を特定して、種別データを構築する。図11および図12に示すように、この種別データには、種別ごとに固有の種別ID、ポリゴンデータ・ポリラインデータまたは記号・注記データ、および、関連IDが含まれる。種別データを構築すると、ステップS140に進む。
ステップS140では、ステップS130で構築した種別データに基づいて、背景リージョンデータを構築する。ここでは、種別データの関連IDに基づいて、その種別を含むリージョンを特定して、背景リージョンデータを構築する。図11および図12に示すように、この背景リージョンデータには、リージョンごとに固有のリージョンID、種別データ、および、関連IDが含まれる。
ステップS140に続くステップS150では、背景リージョンデータが完成したか否かを判定する。背景リージョンデータが完成したと判定すると、ステップS110に戻る。この後、リージョン単位で背景データを読み込む処理が行われ、モニタ17には、読み込んだ背景データに基づいた地図が表示される。リージョン単位で背景データを読み込むことにより、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位や、記号・注記データ単位、または、種別データ単位で背景データを読み込む場合に比べて、背景データの読み込み速度や地図の表示速度を速くすることができる。
一方、ステップS110において、背景データの読み込み指示がないと判定すると、ステップS160に進む。ステップS160では、背景データの更新指示があったか否かを判定する。ここでは、更新用データが地図サーバ6から送信されてくると、背景データの更新指示があったと判定する。背景データの更新指示がないと判定するとステップS110に戻り、更新指示があったと判定すると、ステップS170に進む。
ステップS170では、地図サーバ6から送信されてくる更新用データに基づいて、地図データ記憶装置12に格納されている背景データを更新する。例えば、地図サーバ6から、新たなポリゴンデータを受信した場合には、受信したポリゴンデータを地図データ記憶装置12に追加・格納する。また、ポリゴンデータを削除する旨の指示データを受信した場合には、指示されたポリゴンデータを削除する処理を行う。新たなポリゴンデータと、ポリゴンデータを削除する旨の指示データとを受信した場合には、指示されたポリゴンデータを削除するとともに、新たなポリゴンデータを追加する処理を行う。
ステップS170に続くステップS180では、背景データの更新処理が完了したか否かを判定する。背景データの更新処理が完了していないと判定するとステップS170に戻り、完了したと判定すると、ステップS110に戻る。
第3の実施の形態における地図データ処理装置によれば、地図表示要求などに応答して、地図データ記憶装置12に第1のデータ単位(ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位)で記憶されている地図データを第1のデータ単位で読み出して、第1のデータ単位より大きい第2のデータ単位(リージョン単位)の地図データを構築し、地図データ記憶装置12に記憶されている地図データを用いた処理を行う際に、構築した第2のデータ単位(リージョン単位)で地図データを読み出す。リージョン単位で地図データを読み出すことにより、データの読み出し速度や地図の表示速度を迅速化させることができる。また、地図データ記憶装置12には、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位で地図データを記憶させておくので、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位での地図データの更新が可能となる。これにより、リージョン単位での無駄なデータ更新を行う必要がなくなる。また、情報センターから、無線通信を介して、更新用のデータを受信する場合には、ポリゴンデータ単位、ポリラインデータ単位、または、記号・注記データ単位の小さいデータ量でデータ更新を行うことにより、通信費を抑制することができる。
本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはない。例えば、地図データ記憶装置12に格納されている地図データを更新するために、地図サーバ6から、地図データ更新用のデータを無線通信を介してナビゲーション装置1に送信するものとして説明したが、地図データの更新方法は、この方法に限定されることはない。例えば、リムーバブルメモリなどの記憶媒体を介して、地図データ更新用のデータをナビゲーション装置1に提供することもできる。
上述した実施の形態では、地図データを分割した矩形領域をリージョンと呼んでいるが、リージョンという呼び名は、便宜上名づけたものであるため、必ずしもこの名称に限定されるものではない。また、リージョンは、矩形領域に限定されることはなく、例えば、市区町村や都道府県の各領域をリージョンとして設定してもよい。
地図データを地図データ記憶装置12に記憶させておく際のデータ単位は、上述したリンク単位、リンク列単位、ポリゴン・ポリラインデータ単位、記号・注記データ単位に限定されることはない。また、地図データを読み出す際に構築するデータ単位も、上述したリージョン単位に限定されることはない。すなわち、地図データ記憶装置12に第1のデータ単位で記憶されている地図データを第1のデータ単位で読み出して、第1のデータ単位より大きい第2のデータ単位の地図データを構築し、地図データ記憶装置12に記憶されている地図データを用いた処理を行う際に、構築した第2のデータ単位で地図データを読み出すものであれば、各データ単位は、上述したものには限定されることはない。
上述した各実施の形態では、道路データまたは背景データをリレーショナルデータベース形式で地図データ記憶装置12に格納するものとして説明したが、データを格納する形式は、リレーショナルデータベース形式に限定されることはない。
上述した各実施の形態では、地図データ記憶装置12に格納されている地図データの読み出し指示があった時に、第1のデータ単位で地図データを読み出して、第1のデータ単位より大きい第2のデータ単位の地図データを構築し、構築した第2のデータ単位で地図データを読み出すようにした。しかし、ナビゲーション装置1の電源オン時に、地図データ記憶装置12に格納されている地図データを第1のデータ単位で読み出して第2のデータ単位の地図データを構築し、第2のデータ単位の地図データを地図データ記憶装置12に記憶させておくこともできる。この場合、地図データの読み出し指示があれば、予め構築しておいた第2のデータ単位の地図データを読み出すようにすればよい。なお、予め構築した第2のデータ単位の地図データの記憶先は、地図データ記憶装置12とは別のデータ記憶装置であってもよい。
車両のイグニッションオン時に第2のデータ単位の地図データを構築する範囲は、自車位置を基準とした所定範囲としたり、全ての地図データを構築してもよい。
また、地図表示要求時に、図7のステップS30,S40や、図13のステップS130,S140で構築した地図データをイグニッションオフ後も保存しておくようにしてもよい。この方法によれば、一度走行した道路周辺については、リージョン単位の地図データを構築する手間を省くことができる。
図7に示すフローチャートのステップS10では、ユーザが入力装置18を用いて、モニタ17に地図を表示する指示を出すと、道路データの読み込み指示があったと判断する例を挙げて説明したが、道路データの読み込み指示は、地図の表示指示に限定されることはなく、例えば、経路探索指示や経路誘導指示であってもよい。
地図データを格納する地図データ記憶装置12は、車載用ナビゲーション装置に含まれるものとして説明したが、携帯用のナビゲーション装置に含まれるものでもよいし、パーソナルコンピュータなどのナビゲーション装置以外の機器に含まれるものであってもよい。
特許請求の範囲の構成要素と第1および第2の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、地図データ記憶装置12が地図データ記憶手段を、制御装置11がデータ処理手段、地図データ読み出し手段、および、地図データ更新手段を、通信装置4が通信装置を、地図サーバ6が更新用地図データ送信装置をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
1…車載用ナビゲーション装置、4…通信装置、6…地図サーバ、7…地図データベース、11…制御装置、12…地図データ記憶装置、13…現在地検出装置、15…メモリ、16…通信インターフェース、17…モニタ、18…入力装置