JP5364511B2 - 円筒型電池 - Google Patents
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Description
−円筒型電池の構造−
以下、この発明の円筒型電池の一実施形態を、リチウム二次電池を例として図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒型電池の一実施形態を示す断面図であり、図2は、図1に示された円筒型電池の電極群の一部を切断した外観斜視図であり、図3は、図1に示された円筒型電池の分解斜視図である。但し、図3においては、負極集電板および電池容器は、図示を省略されている。
円筒型電池1は、例えば、外形40mmφ、高さ100mmの寸法を有する。
この円筒型電池1は、有底円筒型の電池容器2およびハット型の蓋3の内部に、以下に説明する発電用の各構成部材を収容している。電池容器2は、その開放側の側部が内側に突出すように変形され、溝2aが形成されている。
軸芯15は軸方向(図面の上下方向)に延出された中空な細い筒形状を有し、上部には、正極集電部材31が圧入されている。正極集電部材31は、例えば、アルミニウムにより形成され、円盤状の基部31aの軸芯側に、下面側に突出して形成され、軸芯15の内面に圧入される下部筒部31bを有し、外周縁に上面側に突き出す上部筒部(側部)31cを有する。
正極集電部材31は、電解液によって酸化されるので、アルミニウムで形成することにより信頼性を向上することができる。アルミニウムは、なんらかの加工により表面が表出すると、直ちに、表面に酸化アルミウム皮膜が形成され、この酸化アルミニウム皮膜により、電解液による酸化を防止することができる。
また、正極集電部材31をアルミニウムで形成することにより、正極シート11の正極リード11b1を超音波溶接またはスポット溶接等により溶接することが可能となる。
負極シート12の負極リード12b1は、すべて、負極集電部材21の外周筒部21cに、超音波溶接またはスポット溶接により溶接される。各負極リード12b1は大変薄いため、大電流を取りだすために、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまで全長にわたり、所定間隔で多数形成されている。
負極集電部材21の下面には、銅製の負極通電リード22が溶接されている。
負極通電リード23は、電池容器2の底部において、電池容器2に溶接されている。電池容器2は、例えば、0.5mmの厚さの炭素鋼で形成され、表面にニッケルメッキが施されている。このような材料を用いることにより、負極通電リード23は、電池容器2に抵抗溶接により溶接することができる。
正極集電部材31の上部筒部31cの外周には、正極シート11の正極リード11b1およびリング状の押え部材32が溶接されている。正極リード11b1は多数あるので、正極集電部材31の上部筒部31cの外周に密着させておき、正極リード11b1の外周に押え部材32を巻き付けて仮固定し、この状態で溶接される。
電極群10を構成する正極シート11に形成された多数の正極リード11b1が、正極集電部材31の上部筒部31cに溶接されることにより、正極集電部材31は電極群10と一体的に構成される。
絶縁板41は、開口部41aと下方に突出す側部41bを有している。
絶縁材41の開口部41a内には、アルミニウム製の内蓋35が嵌合されている。この内蓋35の下面には、第2フレキシブル接続部材34が、その一部が内蓋35に溶接されている。第2フレキシブル部材34は、多数のアルミニウム箔を積層して一体化することにより、大電流を流すことが可能とされ、且つ、フレキシブル性を付与されている。
内蓋35には、第1フレキシブル部材33と第2フレキシブル部材34を溶接するための開口部36が形成されている。
蓋3の周縁部3aの上下面および外周側面は、開裂弁37の周縁部により覆われている。開裂弁37は、当初、図3に図示されているように円盤状の基部に対して垂直に起立した側壁37bを有する形状に形成されており、蓋3の周縁部3aが搭載された後、プレス等によりかしめられ、コ字状に折曲されて、蓋3の周縁部3aの上面側を覆う。
なお、蓋3が鉄で形成されている場合には、別の円筒型電池と直列に接合する際、鉄で形成された別の円筒型電池とスポット溶接により接合することができる。
そして、詳細は後述するが、プレス等により、ガスケット43の外周壁部43bを折曲して基部43aと外周壁部43bにより、開裂弁37と蓋3を軸方向に圧接するように加工される。これにより、正極集電部材31に一体化された電極群10を軸方向に強固に保持する。
以下、上記構成の円筒型電池の製造方法の一例を説明する。
正極処理部11aと、多数の正極リード11b1が形成された正極未処理部11bを有する正極シート11を作製する。また、負極処理部12aと、多数の負極リード12b1が形成された負極シート12を作製する。
正極シート11と負極シート12とを、両シート間にセパレータ13を挟んで軸芯15の周囲に多重に捲回して電極群10を作製する。
以下において、説明を簡素にして明瞭にするために、この有底円筒部材を電池容器2として説明する。
電池容器2内に収納した発電ユニット20の負極通電リード22を、電池容器2に抵抗溶接により溶接する。
次に、電池容器2を絞り加工して、電池容器2の一部を内方に突出し、外面にほぼV字状の溝2aを形成する。
電池容器2の溝2aは、発電ユニット20の上端部、換言すれば、正極集電部材31の上端部近傍に位置するように形成する。
電解液を注入する際、第1フレキシブル接続部材33は、注入に邪魔とならない位置に曲げておく。また、電解液の注入が終わったあとは変形させて、その開放端部が内蓋35の開口部36に対応する位置に配置する。
第2フレキシブル接続部材34の開放端部を内蓋35の開口部36に対応する位置にして、第1フレキシブル接続部剤31の開放端部と重合させておく。
第1フレキシブル接続部材33と第2フレキシブル接続部材34の溶接に際しては、上述した如く、それぞれの開放端部の位置を変位させるために、第1フレキシブル接続部材33および第2フレキシブル接続部材34を変形させる必要があるが、それぞれが、アルミニウム箔等の薄い金属箔を複数積層して形成されているので、変形に十分な可撓性を有している。
この後、蓋3および電池容器2をかしめて、ガスケット43により、蓋3、換言すれば、正極集電部材31および電極群10を軸方向に保持すると共に、正極集電部材31を軸方向と垂直な方向に対して確実に保持させるための加工を行う。
その方法を、図1に図示された領域Aの拡大断面を示す図4〜図6を用いて説明する。
図4に図示された状態では、ガスケット43は、電池容器2の溝2aの内側に留まっている。また、発電ユニット20は、その上端の位置が、電池容器2の溝2aの上部に対応する。
また、正極集電部材31の上部筒部31cの上面に形成された微小な突起31dは、絶縁板41の下面に対応して配置されている。
プレス加工は、プレス面の傾斜が垂直に近いものから、順次、水平に近づくように傾斜が緩やかになる成形金型に変更して、複数回行うようにしてもよい。
プレス加工の進行と共に、正極集電部材31の上部筒部31cの上面に形成された微小な突起31dは、絶縁板41の下面に近接していく。
このため、正極集電部材31に一体化されている電極群10は、絶縁板41および正極集電部材31によって、軸方向に垂直に作用する衝撃や振動等の外力に抗して強固に保持される。
正極集電部材31の微小な突起31dは、絶縁板41に対して強く圧接することにより、軸方向に垂直な方向に作用する外力に抗して電極群10を保持するようにすればよく、微小な突起31dを絶縁板41に食い込ませることは必須ということではない。しかし、少なくとも微小な突起31dの一部を絶縁板41に食い込ませれば、大きな保持力を得ることができる。
なお、上記実施形態における、正極集電部材31の微小な突起31dの形状は、以下に示すように、種々、変形することが可能である。
図9は、正極集電部材の実施形態2を示す外観斜視図であり、図10は、図9のX−X線切断断面図である。
実施形態2では、正極集電部材31の上部筒部31cの上面に形成される微小な突起31dは、断面が半円形を有する。すなわち、正極集電部材31の上部筒部31cのリングの幅内に、断面が半円形の微小な突起31dをリング形状に形成したものである。このような、実施形態の場合でも、微小な突起31dを絶縁板41に食い込ませて、軸方向に垂直方向作用する外力に抗して正極集電部材31に一体化された電極群10を強固に保持することができる。
図11は、正極集電部材の実施形態2を示す外観斜視図であり、図12は、図11のXII−XII線切断断面図である。
実施形態3では、正極集電部材31の上部筒部31cの上部側側面に切り込みを入れ、その切り込みの上部側を、持ち上げて、切り込み部の奥から表面に向けて、上昇するように傾斜させたものである。すなわち、正極集電部材31の上部筒部31cのリングの側面から切り込みにより、上部筒部31cの上面側の部分をリング状に突き出させたものである。このような、実施形態の場合でも、微小な突起31dを絶縁板41に食い込ませて、軸方向に垂直方向作用する外力に抗して正極集電部材31に一体化された電極群10を強固に保持することができる。
実施形態1〜3は、それぞれ、図1に図示する円筒型電池の構造を有しており、正極集電部材31の上部筒部31cに形成した微小な突起31dのみを、上記各実施形態に示す形状としたもので行った。また、比較例として、正極集電部材31と絶縁板41との間に隙間が設けられているもの、換言すれば、Hplate<Hspaceの関係を満たす(但し、Hplateは正極集電部材31の軸芯15の上面との接触面から微小な突起31dまでの高さ、Hspaceは軸芯15の上面から絶縁板41の下面までの高さ)、従来の構造を有する円筒型電池に対して、同様な振動試験を行った結果を掲載する。
なお、正極集電部材31に形成する微小な突起31dは、上記実施形態以外にも、種々、変形して実施することができる。
図13は、この発明の実施形態4を示す外観斜視図であり、図14は、図13のXIV−XIV線切断断面図である。
実施形態4では、正極集電部材31の上部筒部31cの上面に形成される微小な突起31dは、断面が三角形に形成されている。すなわち、正極集電部材31の上部筒部31cのリングの幅内に、断面が三角形の微小な突起31dをリング形状に形成したものである。このような、実施形態の場合でも、微小な突起31dを絶縁板41に食い込ませて、軸方向に垂直方向作用する外力に抗して正極集電部材31に一体化された電極群10を強固に保持することができる。
その他、本発明の円筒型電池は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、正極と負極とがセパレータを介して軸芯に捲回された電極群と、電極群の軸方向の一端側および他端側に配置され、それぞれ、正極および負極の一方および他方に接続された一対の集電部材と、電極群および一対の集電部材を収容し、一対の集電部材の一方に接続された電池容器と、一対の集電部材の他方に接続された蓋と、集電部材と蓋とを電気的に接続する接続部材と、一対の集電部材の他方と蓋との間に配置された絶縁部材と、蓋の外周縁と電池容器の軸方向の一方の側縁との間に介在され、かしめにより固定されたゴム製のガスケットと、を具備し、一対の集電部材の他方は、少なくとも一部が絶縁部材に食い込む微小な突起を有するものであればよい。
2 電池容器
2a 溝
3 蓋
3a 周縁部
3b 筒部
10 電極群
11 正極シート(正極)
11a 正極処理部
11b 正極未処理部
11b1 正極リード
12 負極シート(負極)
12a 負極処理部
12b 負極未処理部
12b1 負極リード
13 セパレータ
15 軸芯
20 発電ユニット
21 負極集電部材
31 正極集電部材
31a 基部
31b 下部筒部
31c 上部筒部
31d 微小な突起
35 内蓋
37 開裂弁
41 絶縁板
43 ガスケット
43a 基部
43b 外周壁部
43c 筒部
Claims (3)
- 正極と負極とがセパレータを介して軸芯に捲回された電極群と、
前記電極群の軸方向の一端側および他端側に配置され、それぞれ、前記正極および前記負極の一方および他方に接続された一対の集電部材と、
前記電極群および前記一対の集電部材を収容し、前記一対の集電部材の一方に接続された電池容器と、
前記一対の集電部材の他方に接続された蓋と、
前記集電部材と前記蓋とを電気的に接続する接続部材と、
前記一対の集電部材の他方と前記蓋との間に配置された絶縁部材と、
前記蓋の外周縁と前記電池容器の軸方向の一方の側縁との間に介在され、かしめにより固定されたゴム製のガスケットと、
を具備し、前記一対の集電部材の他方は、少なくとも一部が前記絶縁部材に食い込む微小な突起を有することを特徴とする円筒型電池。 - 請求項1に記載の円筒型電池において、前記集電部材は基部および基部より前記絶縁板側に向けて起立する筒部を有し、前記微小な突起は、前記集電部材の筒部の上面に、前記筒部の厚さより薄い厚さに形成されていることを特徴とする円筒型電池。
- 請求項2に記載の円筒型電池において、前記微小な突起は、前記筒部の上面にリング状に連続して形成されていることを特徴とする円筒型電池。
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