JP5362983B2 - 電気炉の排ガス処理方法及び排ガス処理装置 - Google Patents
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Description
前記電気炉で発生する排ガス温度は1500℃にも達し、かつ排ガス中のCOを燃焼塔で燃焼させて除去するので、燃焼塔は水冷式とされ、また、燃焼塔以降の排ガスを導く直引きダクトは、高温排ガスが通過すること、及び、高温排ガスを冷却するために水冷ダクトが採用され、排ガスが水冷ダクトを経由する間に、集塵機での適正集塵温度になるように前記排ガスは水冷ダクトにより間接冷却されるようになっている。集塵機は一般的にはバグフィルタで構成される乾式集塵機が採用され、前記適正集塵温度は濾布の耐熱温度である250℃以下となるように水冷ダクト長さが定められ設計されている(特許文献1参照)。
例えば、特許文献2では、製鋼用電気炉の操業過程で前記電気炉から発生する高温の排ガスを、水冷ダクトで間接冷却し、散水式スプレー冷却塔に導きスプレー水で直接冷却し、こうして冷却された前記排ガスに、建屋集塵ガスを合流させて冷却した後、集塵機に導き、前記集塵機で前記排ガスを清浄化処理した後に排出する排ガス処理方法が提案されている。また、特許文献3では、電気炉排ガスの燃焼塔に排ガスを送給して燃焼した後、燃焼廃ガスをスクラップ予熱ラインに送給した後に排ガスをガスクーラーで冷却すること、燃焼塔よりスクラップ予熱ラインに至る上記直引ラインとは別途に燃焼塔より水冷バイパス(水冷ダクト)を設け、かつ、上記の水冷バイパスと建屋集塵フードから延びるフードラインを合流させた合流ラインとし、この合流ラインを途中で分岐せしめてその一方を上記ガスクーラーからのラインに合流する分岐ラインとする集塵システムとして電気炉の排ガス処理方法が提案されている。
さらにまた、燃焼塔を出た排ガスを冷却する冷却装置を新たに設ける提案として、特許文献5、6及び7に、燃焼塔下流に排ガス冷却塔を配置して、排ガスを散水冷却する電気炉の排ガス処理方法が提案されている。
また、特許文献4では、水冷ダクトで冷却した排ガスを、水スプレー冷却塔に導き、さらに冷却を行なう電気炉の排ガス処理方法が提案されているが、特許文献2、3で記載したように水スプレー冷却塔自体が水冷ダクトによる冷却に対し大掛かりな大規模設備となって利点は少ない。
そこで、本発明は上記従来例の問題点に着目してなされたものであり、簡易な構成で電気炉から発生する高温の排ガスを高精度で冷却することができる電気炉の排ガス処理方法及び排ガス処理装置を提供することを目的とするものである。
さらに、請求項3に係る電気炉の排ガス処理方法は、請求項1に係る発明において、前記スプレー水を、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が500℃〜400℃の範囲となる領域で噴霧するようしたことを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電気炉の排ガス処理方法は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記スプレー水の粒径及び流量の少なくとも一方を前記集塵機の入側排ガス温度が当該集塵機の許容温度範囲内となるように制御するようにしたことを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る電気炉の排ガス処理装置は、請求項6又は7に係る発明において、前記スプレー冷却機構は、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が500℃〜400℃の範囲となる領域に配設されていることを特徴としている。
さらに、請求項11に係る電気炉の排ガス処理装置は、請求項6乃至10の何れか1つに係る発明において、前記直引きダクトは前記燃焼室側の水冷ダクト部と、前記集塵機側の空冷ダクト部とで構成されていることを特徴としている。
さらに、粒径120μm以下のスプレー水を使用するため、排ガス中でスプレー水が完全蒸発することになり、ダクト内の水の付着や集塵機の濾布が湿ったり、濡れたりすることがなく、スプレー水使用に伴うダスト付着や、集塵効果の低下の問題も生じない。
図1は、本発明に係る電気炉の排ガス処理装置を示す概略構成図である。図中、1は製鋼用電気炉であって、鉄スクラップあるいは鉄スクラップと溶銑などを加熱溶解して精錬し、この際に高温の排ガスが発生する。
この製鋼用電気炉1で発生した高温の排ガスは、炉蓋エルボ2から摺動管3を通って燃焼塔4の燃焼室に吸引される。このとき、炉蓋エルボ2から排出される排ガスに摺動管3で外気を、排ガスとの混合比率が例えば排ガス70%、外気30%となるように吸引して両者を混合して1500℃程度の高温で燃焼塔4に吸引される。
ここで、直引きダクト5は、燃焼塔4側が水冷ダクト5wとされ、直引きファン6側が空冷ダクト5aとされ、空冷ダクト5aの直引きファン6の入側に例えば60℃の建屋集塵ガスを供給する希釈冷風ダクト8が接続されている。この希釈冷風ダクト8の空冷ダクト5aとの接続部に電動ダンパ9が配設されている。この直引きダクト5では、燃焼塔4から排気される例えば800℃の排ガスを乾式集塵機7の濾布の耐熱温度である250℃以下まで低下させる必要がある。このために、直引きダクト5内の排ガス温度が800℃〜300℃の範囲好ましくは500℃〜400℃の範囲となる水冷ダクト5wの後半側に、内部の排ガスに粒径が120μm以下で排ガスに接触することにより全て蒸発するスプレー水を供給するスプレー冷却機構11が設けられている。
各冷却ゾーンC1〜C4のスプレーSP1〜SPnにはコンプレッサ12から供給される圧縮空気をレシーバタンク13に蓄積し、このレシーバタンク13に蓄積された圧縮空気を各冷却ゾーンC1〜C4毎に設けられた流量計FA11〜FA14を介して供給されると共に、冷却水が同様に各冷却ゾーンC1〜C4毎に設けられた流量計FA21〜FA24を介して空気流路に対して直交する方向から供給される。流量計FA11〜FA14及びFA21〜FA24を調節することにより、粒径が120μm以下で排気ガスに接触したときに全て蒸発するスプレー水を各冷却ゾーンC1〜C4のスプレーSP1〜SPnから噴霧する。
そして、各温度計21〜23で検出した排ガス温度T1〜T3がスプレー水制御手段としての排ガス冷却制御装置30に入力され、この排ガス冷却制御装置30で各部の排ガス温度T1〜T3に基づいてスプレー冷却機構11の各冷却ゾーンC1〜C4におけるスプレーSP1〜SPnのスプレー水を噴霧するスプレー本数を制御すると共に、希釈冷風ダクト8から空冷ダクト5aに供給する希釈冷風の流量を制御する電動ダンパ9の開度を制御する。
このステップS6では、算出したスプレー水噴霧流量に基づいてスプレーSP1〜SPnからスプレー水を噴霧する冷却ゾーンC1〜C4数を算出し、次いでステップS7に移行して、算出されたスプレー水を噴霧する冷却ゾーンC1〜C4数に応じて、各冷却ゾーンC1〜C4に噴霧水を供給する制御弁V11〜V14及びV21〜V24を開閉制御してからステップS8に移行する。
今、製鋼用電気炉1で、鉄スクラップあるいは鉄スクラップと溶銑などを加熱溶解する精錬が終了して次の精錬を開始する直前であるものとすると、この状態では、図4に示すように、直引きダクト5の燃焼塔4に直結された水冷ダクト5wの排ガス温度T0は図4で太い実線で示すように150℃程度に低下しており、冷却ゾーンC1の入側の排ガス温度Tも図4で太い破線で示すように150℃程度に低下し、希釈冷風ダクト8の接続前における排ガス温度T2も図4で細い実線で示すように150℃程度に低下し、直引きファン6の出側における排ガス温度T3も図4で細い破線で示すように150℃程度に低下し、希釈冷風温度T4は図4で細い一点鎖線で示すように略60℃を維持している。
このとき、各冷却ゾーンC1〜C4のスプレーSP1〜SPnには、レシーバタンク13からの圧縮空気がバイパス流路LB1〜LB4及び流量計FA11〜FA14を介して少量の圧縮空気が供給されて、スプレーSP1〜SPnの目詰まりを防止している。
ところが、冷却ゾーンC1の排ガス温度T1がさらに上昇して、ステップS5で算出されるスプレー水噴霧流量Lwが1つの冷却ゾーンから冷却水をスプレーする流量に達すると、先ず、先頭の冷却ゾーンC1が選択されて、これに対する制御弁V11及びV21が開状態に制御される。
また、図3の処理では、排ガス温度T2を250℃を判断基準とする制御を行っているが、濾布の耐熱温度を250℃とした時、望ましくは220℃と低温側で制御して、制御ムラによる温度上昇を避けるようにすることが望ましい。
その後、製鋼用電気炉1での精錬が終了すると、再度直引きダクト5内の排ガス温度が150℃前後に低下し、冷却ゾーンC1の入側の排ガス温度T1が低下して、ステップS5で算出されるスプレー水流量Lwが1つの冷却ゾーンC1で噴霧するスプレー水流量未満となると、制御弁V11及びV24が閉状態に制御され、冷却ゾーンC1の入側の排ガス温度T1が250℃未満となるとステップS2からステップS3に移行して、制御弁V11及びV21の閉状態が維持され、各冷却ゾーンC1〜C4のスプレーSP1〜SPnには目詰まりを防止する少量の空気のみが供給される状態となると共に、希釈冷風ダクト8の電動ダンパ9が閉状態に制御される。
なお、上記実施形態においては、スプレー冷却機構11を直引きダクト5の排ガス温度が400℃〜500℃の領域にスプレー冷却機構11を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、直引きダクト5の排ガス温度が800℃〜300℃の領域にスプレー冷却機構11を配置しても冷却効果が多少低下するが上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。ここで、直引きダクト5の排ガス温度が800℃を超える領域にスプレー冷却機構11を設けた場合には、排ガス温度の冷却降下温度を大きくすることができるものの、直引きファン6の出側における排ガス温度の制御精度が悪化してしまい、直引きダクト5の排ガス温度が300℃未満の領域にスプレー冷却機構11を設けた場合には、冷却降下温度の幅が狭くなり、直引きファン6の出側における排ガス温度の制御精度が悪化すると共に、スプレーSP1〜SPnから噴霧するスプレー水の粒径を例えば20μm以下に制御する必要があり、スプレーSP1〜SPnの製造が困難となると共に、空気量及び冷却水量の制御精度も高める必要があり、実用化が困難となる。
さらに、上記実施形態においては、排ガス冷却制御装置30で実行する排ガス冷却制御処理が、図3に示すように、冷却ゾーンC1〜C4に対する制御弁V11〜V14の制御の次に希釈空気量の制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図5に示すように、前述した図3におけるステップS4、S9及びS10を省略して冷却ゾーンC1〜C4に対するスプレー水の供給制御のみを行うスプレー水供給制御処理と、図6に示すように、前述した図3におけるステップS3、S5〜S7を省略した希釈冷風制御処理とを分けて実行するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、冷却ゾーンC1の入側の排ガス温度に基づいてスプレー冷却機構11をフィードフォワード制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、希釈冷風ダクト8の上流側の排ガス温度T2や直引きファン6の出側における排ガス温度T3に基づいてフィードバック制御するようにしてもよく、フィードフォワード制御とフィードバック制御との双方を行うようにしてもよい。
Claims (11)
- 電気炉から発生する高温の排ガスを付帯して設置した燃焼室に導いて燃焼させ、次いで排ガスを直引きダクトを経由して集塵機に供給し、集塵後排出するようにした電気炉の排ガス処理方法において、
前記直引きダクト内の排ガスに、蒸発可能な120μm以下の粒径のスプレー水を噴霧し、当該スプレー水が前記排ガスによって蒸発する際の気化熱で前記排ガスを冷却するようにしたことを特徴とする電気炉の排ガス処理方法。 - 前記スプレー水を、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が800℃〜300℃の範囲となる領域で噴霧するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気炉の排ガス処理方法。
- 前記スプレー水を、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が500℃〜400℃の範囲となる領域で噴霧するようしたことを特徴とする請求項1に記載の電気炉の排ガス処理方法。
- 前記スプレー水を、前記直引きダクトの複数領域で、複数の噴射ノズルから排ガスに噴射することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気炉の排ガス処理方法。
- 前記スプレー水の粒径及び流量の少なくとも一方を前記集塵機の入側排ガス温度が当該集塵機の許容温度範囲内となるように制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電気炉の排ガス処理方法。
- 電気炉から発生する高温の排ガスを燃焼させる燃焼室と、該燃焼室の排気側に一端が直結された直引きダクトと、該直引きダクトの他端側に接続された集塵機とを備えた電気炉の排ガス処理装置において、
前記直引きダクト内に、蒸発可能な120μm以下の粒径のスプレー水を排ガスに噴霧し、当該スプレー水が前記排ガスによって蒸発する際の気化熱で前記排ガスを冷却するスプレー冷却機構を配設したことを特徴とする電気炉の排ガス処理装置。 - 電気炉から発生する高温の排ガスを燃焼させる燃焼室と、該燃焼室の排気側に一端が直結された直引きダクトと、該直引きダクトの他端側に接続された集塵機とを備えた電気炉の排ガス処理装置において、
前記直引きダクト内に配設した蒸発可能な120μm以下の粒径のスプレー水を排ガスに噴霧し、当該スプレー水が前記排ガスによって蒸発する際の気化熱で前記排ガスを冷却するスプレー冷却機構と、前記集塵機の入側に配設した排ガス温度検出手段と、該排ガス温度検出手段で検出した排ガス温度に応じて前記スプレー冷却機構で噴霧するスプレー流量及び粒径の少なくとも一方を制御するスプレー水制御手段とを備えたことを特徴とする電気炉の排ガス処理装置。 - 前記スプレー冷却機構は、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が800℃〜300℃の範囲となる領域に配設されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の電気炉の排ガス処理装置。
- 前記スプレー冷却機構は、前記直引きダクト内における前記排ガスの温度が500℃〜400℃の範囲となる領域に配設されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の電気炉の排ガス処理装置。
- 前記スプレー冷却機構は、前記直引きダクトの複数領域で、複数の噴射ノズルから排ガスにスプレー水を噴射するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載の電気炉の排ガス処理装置。
- 前記直引きダクトは前記燃焼室側の水冷ダクト部と、前記集塵機側の空冷ダクト部とで構成されていることを特徴とする請求項6乃至10の何れか1項に記載の電気炉の排ガス処理装置。
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