JP5361460B2 - Vベルト式無段変速機 - Google Patents
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Description
このため,動力伝達部には複数のギアおよびその軸受部材等を設ける必要があり,結果として動力伝達部が大型化するという課題を有していた。
本発明の目的は,上記課題を解決し,動力伝達部を小型化できるVベルト式無段変速機を提供することにある。
前記駆動ユニットは,進退動する出力軸を備え,
前記動力伝達部は,前記プーリ軸と平行で別な支持軸によって回動可能に支持され,前記出力軸と連動して回動することで前記可動プーリをスライドさせる回動部材を有するとともに、
前記動力伝達部は,前記回動部材と前記可動プーリのうち回動部材に設けられたカムと,該カムと当接する,可動プーリに設けられたカムフォロアとを有し,カムとカムフォロアとの当接部が,前記可動プーリと該可動プーリが取り付けられるプーリ軸を支持する軸受部との間において該軸受部に隣接して配置され、
前記駆動ユニットは、モータと、該モータの動力を前記出力軸へ伝達する減速ギア列とを有し、モータの軸線および減速ギア列におけるギアの軸線がいずれも前記プーリ軸と直交方向に配置され、前記駆動ユニットは前記回動部材とともに前記可動プーリに隣接して配置されていることを特徴とする。
このVベルト式無段変速機によれば,駆動ユニットの出力軸の進退動で動力伝達部の回動部材が回動し,これによって可動プーリがスライドするので,従来技術の動力伝達部では必要とされた複数のギアおよびその軸受部材を設ける必要がなくなる。このため,従来技術に比べて,動力伝達部の構造を著しく簡素化することができ,したがって小型化を図ることが可能となる。結果として,Vベルト式無段変速機全体を小型化することが可能となる。
しかも,回動部材の支持軸は,プーリ軸と平行なので,支持軸を容易に構成することができる。回動部材の支持軸はプーリ軸と直交するように構成することも可能であるが,そのように構成すると,支持軸の構成が困難になる。例えば無段変速機のケースを作製する上で,支持軸の構成が困難になる。
これに対し,回動部材の支持軸を,プーリ軸と平行に配置することで,支持軸を容易に構成することが可能となる。
また、前記動力伝達部は,前記回動部材と前記可動プーリのうちの回動部材に設けられたカムと,該カムと当接する,可動プーリに設けられたカムフォロアとを有し,カムとカムフォロアとの当接部が,前記可動プーリと該可動プーリが取り付けられるプーリ軸を支持する軸受部との間において該軸受部に隣接して配置されている構成となっているので、カムとカムフォロアとの当接により可動プーリがスライドする際に,プーリ軸に対し,該プーリ軸と直交する方向の力が作用したとしても,プーリ軸が撓みにくくなって可動プーリが円滑にスライドしやすくなる。
図1は本発明に係るVベルト式無段変速機の一実施の形態を用いた一例としてのスクータ型の自動二輪車を示す側面図,図2は同自動二輪車におけるVベルト式無段変速機を備えたパワーユニットの側面図,図3は図2における部分省略III−III断面図である。
図1に示すように,この自動二輪車10は,車体フレーム11の後部に,ピボット軸12とリアクッションユニット13とでパワーユニット(スイングユニット)20を車体フレーム11に対しピボット軸12回りに揺動自在に懸架した車両である。ヘッドパイプ11hに操舵自在にフロントフォーク14を取り付け,このフロントフォーク14の下端に前輪15Fを取り付けてある。フロントフォーク14の上部にはステアリングハンドル15を取り付けてある。
車体フレーム11は後部に左右一対のシートフレーム11s(一方のみ図示)を有している。このシートフレーム11s上に乗員が跨って座るシート16が設けられ,このシート16の下方に,上方へ開口する収納ボックス17が設けられている。収納ボックス17の後方には燃料タンク18が配置されている。
クランクケース31に保持されたボールベアリング31b,31bでクランク軸31cが回転可能に支持され,シリンダブロック32内にピストン32pが摺動可能に設けられている。クランク軸31cとピストン32pとがコンロッド32cで連結されており,ピストン32pの往復動でクランク軸31cが回転する。クランク軸31cは後述するプライマリ軸(駆動軸)51を構成する。シリンダヘッド33には,燃焼室33cに連通する吸気管35(図1)と排気管36(図1)が接続されている。図2に示すように吸気管35には,燃料供給装置35aおよびエアクリーナ35cが接続されている。排気装置36には,消音器(図示せず)が接続される。
主として図3に示すように,Vベルト式無段変速機50は,第1のプーリ軸であるプライマリ軸(駆動軸)51に支持された駆動プーリ60と,第2のプーリ軸であるセカンダリ軸(従動軸)52に支持された従動プーリ70と,これら駆動プーリ60と従動プーリ70との間に掛け渡されたVベルト53とを有している。また,このVベルト式無段変速機50は,前記駆動プーリ60,従動プーリ70,およびVベルト53を収容するケース40と,前記駆動プーリ60の溝幅を変更する溝幅可変機構80(図4)と,この溝幅可変機構80を作動させる駆動ユニット90と,この駆動ユニット90の動力を前記溝幅可変機構80へ伝達する動力伝達部100とを備えている。
以下,Vベルト式無段変速機50の構成について順次説明する。
プライマリ軸51は,軸受部材であるベアリング31b,31bで両端支持される大径部51aと,この大径部51aに段部51dを介して設けられていて駆動プーリ60における可動プーリ62の支持部を構成する小径部51bとを有している。
駆動プーリ60はプライマリ軸(プーリ軸)51の軸方向に移動しない固定プーリ(固定半体)61と,プライマリ軸51に対し軸方向に移動可能で相対回転不能に取り付けられた可動プーリ(可動半体)62とを有している。
溝幅可変機構80は,可動プーリ62をプーリ軸51における可動プーリ62の支持部51bに沿って軸方向へスライドさせることでプーリ60の溝幅すなわち固定プーリ61と可動プーリ62との間隔を変更するための機構である。
溝幅可変機構80は,プーリ軸51に対し相対回転不能に設けられたトルク伝達部110と,可動プーリ62に設けられていて,トルク伝達部110との間でトルク伝達がなされるボス部63とを有している。
図4〜図6に示すように,トルク伝達部110は,プーリ軸51の半径方向へ伸びる半径方向部分111と,この半径方向部分111に一体に設けられていて,軸線方向に伸びる軸線方向部分112とを有している。軸線方向部分112は,可動プーリ62の,プーリ軸51における可動プーリ62の支持部51bとの対向面(この実施の形態ではボス部63の内周面)63aより半径方向に関して外側に位置している。軸線方向部分112は複数(この実施の形態では周方向に等ピッチで3個)設けてある。
トルク伝達部110の半径方向部分111は円板状部分111aを半径方向へ3箇所で放射状に延設し,その延設部の先端にそれぞれ軸線方向部分112を一体的に形成した形状となっている。
可動プーリ62のボス部63には,トルク伝達部110の軸線方向部分112が挿入される穴65が設けられている。この穴65は横断面扇形であり軸線方向部分112の横断面と対応し,略合致している。この穴65の円周方向における端面がトルク伝達面64を形成している。軸線方向部分112はボス部63の穴65に挿入された状態で,上述したように,ボス部63の内周面63aより半径方向に関して外側に位置する。
緩衝部材66は,トルク伝達部110における軸線方向部分112の先端部内側に装着されるもので,軸線方向部分112の先端部に適合した形状を有している。図6に示す緩衝部材66は,湾曲状の内周壁部66aと,両側壁部66b,66bと,底壁部66cと,内周壁部66aにおいて半径方向外方へ向けて突出した突起66dとを有する一体成型品である。
緩衝部材66は,内周壁部66aの突起66dを軸線方向部分112の穴112dに嵌め合わせるようにして,内周壁部66aを軸線方向部分112の先端部分の内側に接合させることで軸線方向部分112の先端部分に装着される。
軸線方向部分112は緩衝部材66が装着された状態で緩衝部材66とともにボス部63の穴65に挿入される。緩衝部材66が穴65に挿入された状態では,緩衝部材66の側壁部66bにおける外側面66b1がボス部63におけるトルク伝達面64と当接するトルク伝達面を構成する。
図4,図5に示すように,可動プーリ62のボス部63の外周には,該可動プーリ62をスライドさせるための回動部材120が配置される。回動部材120については,動力伝達部100とともに後に詳しく説明する。
駆動ユニット90は,モータMの動力を出力軸91へ伝達する減速ギア列92を備えている。減速ギア列92の最終段のギア92eには同心状にボールネジ(雄ネジ)93が結合されている。出力軸91の基部側は円筒状に形成され,その内面にボールネジ(雌ネジ)91bが形成されていて,この雌ネジ91bが,ボールネジ(雄ネジ)93に螺合している。したがって,モータMの駆動で減速ギア列92を介してボールネジ93が回転すると,その回転方向に応じて出力軸91が,その軸線方向(図5における矢印Y1,Y2方向)へ進退動する。
回動部材120は,プーリ軸51と平行な支持軸121によって回動可能に支持され,駆動ユニット90の出力軸91と連動して回動することで可動プーリ62をスライドさせる。この実施の形態では,支持軸121は,シリンダブロック32の雌ネジ穴32sにネジ結合させたボルトによって構成されている。
回動部材120の一端122はピン123で駆動ユニット90の出力軸91に連結されている。回動部材120の他端124には図4(b)にも示すようにカム125が設けられている。
具体的には,出力軸91が図5において矢印Y1方向へ突出すると,回動部材120が図5において反時計方向へ回動し(仮想線参照),図4において可動プーリ62が矢印X1方向へスライドする。逆に,出力軸91が図5において矢印Y2方向へ移動すると,回動部材120が図5において時計方向へ回動し(実線参照),図4において可動プーリ62が矢印X2方向へスライドする。
なお,この実施の形態では,回動部材120にカムを,可動プーリ62にカムフォロアであるコロを設けたが,回動部材120にコロを,可動プーリ62にカムを設けても同様の作動を得ることができる。
従動プーリ70は固定プーリ(固定半体)71と可動プーリ(可動半体)72とを備えている。上記駆動プーリ60と従動プーリ70とに無端状Vベルト53が掛け渡され,駆動プーリ60の回転が従動プーリ70に伝達される。従動プーリ70の回転数が所定回転数を越えると,従動プーリ70とセカンダリ軸52との間に設けられている遠心クラッチ54が接続状態となり,セカンダリ軸52が回転を始める。
したがって,セカンダリ軸52の回転は減速されて後輪軸55に伝達され,後輪軸55に取り付けられた後輪15R(図1)が駆動されることとなる。
(a)駆動ユニット90の出力軸91の進退動で動力伝達部100の回動部材120が回動し,これによって可動プーリ62がスライドするので,従来技術の動力伝達部では必要とされた複数のギアおよびその軸受部材を設ける必要がなくなる。このため,従来技術に比べて,動力伝達部100の構造を著しく簡素化することができ,したがって小型化を図ることが可能となる。結果として,Vベルト式無段変速機全体を小型化することが可能となる。
しかも,回動部材120の支持軸121は,プーリ軸51と平行なので,加工精度を向上させることができ,プーリ軸51の倒れ方向への力が作用することを軽減させることができる。したがって,可動プーリ62のスライドを円滑にし,モータMの負荷を軽減することができる。また,回動部材120の支持軸121はプーリ軸51と平行なので,回動部材120のプーリ軸51の軸方向への揺動範囲を小さくし,プーリ軸51の軸方向への動力伝達部100(したがってVベルト式無段変速機50)の大型化を防止することができる。同時に,ケース開口を小さくできるので,変速機ケース40の剛性を確保することができる。
(b)動力伝達部100は,回動部材120と可動プーリ62のうちの一方に設けられたカム125と,該カム125と当接する,他方に設けられたカムフォロア131とを有し,カム125とカムフォロア131との当接部が,可動プーリ62と該可動プーリ62が取り付けられるプーリ軸51を支持する軸受部31bとの間において該軸受部31bに隣接して配置されているので,カムとカムフォロアとの当接により可動プーリ62がスライドする際に,プーリ軸51に対し,該プーリ軸51と直交する方向の力が作用したとしても,プーリ軸51が撓みにくくなって可動プーリ51が円滑にスライドしやすくなる。
この実施の形態が,上述した実施の形態と異なる点は,支持軸121の取付用雌ネジ穴32sを変速機ケース40(右ケース40R)に設けた点にあり,その他の点に変わりはない。
この実施の形態によると,支持軸121の取付用雌ネジ穴32s,プーリ軸51の支持穴51h,シール51sの支持穴51f,およびガイドピン134の支持穴134aを同一部材に平行に配置することで,これらの穴の加工精度を向上させることができ,可動プーリ62をスライドさせる際にプーリ軸51の倒れ方向への力が作用することを一層軽減させることができる。したがって,可動プーリ62のスライドをより円滑にし,モータMの負荷を一層軽減することができる。
Claims (1)
- 第1のプーリ軸であるプライマリ軸に支持された駆動プーリと,第2のプーリ軸であるセカンダリ軸に支持された従動プーリと,これら駆動プーリと従動プーリとの間に架け渡されたVベルトと,前記駆動プーリおよび/または従動プーリにおける可動プーリを該可動プーリの軸線方向へスライドさせることでプーリの溝幅を変更する溝幅可変機構と,この溝幅可変機構を作動させる駆動ユニットと,この駆動ユニットの動力を前記溝幅可変機構へ伝達する動力伝達部とを備えたVベルト式無段変速機であって,
前記駆動ユニットは,進退動する出力軸を備え,
前記動力伝達部は,前記プーリ軸と平行で別な支持軸によって回動可能に支持され,前記出力軸と連動して回動することで前記可動プーリをスライドさせる回動部材を有するとともに、
前記動力伝達部は,前記回動部材と前記可動プーリのうち回動部材に設けられたカムと,該カムと当接する,可動プーリに設けられたカムフォロアとを有し,カムとカムフォロアとの当接部が,前記可動プーリと該可動プーリが取り付けられるプーリ軸を支持する軸受部との間において該軸受部に隣接して配置され、
前記駆動ユニットは、モータと、該モータの動力を前記出力軸へ伝達する減速ギア列とを有し、モータの軸線および減速ギア列におけるギアの軸線がいずれも前記プーリ軸と直交方向に配置され、前記駆動ユニットは前記回動部材とともに前記可動プーリに隣接して配置されていることを特徴とするVベルト式無段変速機。
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