実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による状態制御システムを示す構成図である。
図において、状態制御システムは、複数台の状態制御装置100a,100b,100cと、これらを相互に接続するネットワーク200によって構成されている。状態制御装置100a,100b,100cは、例えば温度調節計であり、以下、本実施の形態では温度調節計として説明する。尚、本実施の形態では、状態制御装置100a,100b,100cを3台としたが、この台数に限定されるものではなく、2台以上であればよい。
状態制御装置100a,100b,100cは、それぞれ優先度を有しており、ここでは状態制御装置100aが最も高く、状態制御装置100cが最も低いとする。即ち、優先度は、状態制御装置100a>状態制御装置100b>状態制御装置100cであるとする。優先度は、装置毎に予め設定してもよく、また、ネットワーク200における各状態制御装置100a,100b,100cを識別するための装置アドレスに基づき、例えば若番順に優先度が高いといったように、自動的に決定されるようにしてもよい。
各状態制御装置100a,100b,100cは、時刻情報送受信部101と駆動信号演算部102と制御信号生成部103を備え、時刻情報送受信部101は、時刻情報監視部104と時刻情報送出部105を有している。また、各状態制御装置100a,100b,100cには、測定信号出力部300と制御対象400とが接続されている。ここで、測定信号出力部300は、例えば、温度制御環境の温度を測定する温度センサであり、制御対象400は、温度制御環境の温度制御を行うためのヒータである。
時刻情報送受信部101は、ネットワーク200を介して伝達される時刻情報の送受信を行う通信インタフェースである。尚、時刻情報については後述する。時刻情報監視部104は、自装置より優先度が高い装置から出力される時刻情報を監視するための機能部であり、本実施の形態では、状態制御装置100bは状態制御装置100aからの時刻情報を、状態制御装置100cは状態制御装置100bからの時刻情報を監視する。時刻情報送出部105は、制御信号生成部103から出力完了信号が出力された場合は、これを受けて時刻情報をネットワーク200に送出するための機能部である。駆動信号演算部102は、受信した時刻情報と、この時刻情報の受信時刻と、予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて、自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する機能部である。尚、駆動信号遅延時間とは、機械的な動作遅れ等による状態制御装置間のオンの重なりを回避するための予め定められた遅延時間である。また、駆動信号を出力する時間の具体的な算出方法については後述する。
制御信号生成部103は、駆動信号演算部102から通知された出力開始タイミングで制御対象400への駆動信号を送出する信号生成部である。即ち、制御信号生成部103は、測定信号出力部300からの測定信号に基づいてPID演算等を行い、温度制御環境が所定の温度設定値となるよう、制御対象400への操作量に基づく駆動信号を送出する。尚、制御信号生成部103における温度制御のための演算処理については公知であるため、ここでの演算部等の図示は省略している。また、駆動信号としては、オンとオフとの時間比率を変化させる信号であるとする。
次に、実施の形態1の状態制御システムの動作について説明する。
先ず、状態制御システムの前提として、それぞれの状態制御装置100a,100b,100cは、ネットワーク200における時刻同期機能等により状態制御装置間で時刻同期がなされているとする。尚、この時刻同期とは、状態制御システムが絶対時刻で同期する以外に、例えば状態制御システムとしてのカウンタ値といったシステム内部で閉じられた時間的な同期が行われていることも含む。
状態制御システムの動作として最初に全体の動作を説明する。
図2は、状態制御装置100a,100b,100cの動作を示すタイミングチャートである。
図2に示すように、各状態制御装置100a,100b,100cは、それぞれ4チャンネルの制御が可能なよう構成され、各装置内ではチャンネル1からチャンネル4までの時間比例信号が重ならないよう制御されている。チャンネル1からチャンネル4までの時間比例信号の送出の順番は予め定められている。ここでいう「予め定められている」の意味としては、常に同じ順番に設定することの他に、制御対象の状態に応じて定期的に順番を変更することも含まれる。例えば、設定値と測定値(制御量)との偏差の大きさに応じて各チャンネルの時間比例信号の送出の順番を周期毎に変更することも含まれる。
優先度が中位の状態制御装置100bは、上位の状態制御装置100aからの出力完了を示す時刻情報21に基づいて自装置の時間比例信号の出力開始タイミングを演算し、チャンネル1からチャンネル4までの制御を行う。そして、全てのチャンネルの時間比例信号の出力が完了すると、自装置の出力完了を示す時刻情報22を出力する。優先度が最下位の状態制御装置100cは、これを受けて自装置の時間比例信号の出力開始タイミングを演算し、チャンネル1からチャンネル4までの制御を行う。このような動作により、図中の破線枠23に示すように、時間比例周期の範囲内で各状態制御装置100a,100b,100cの時間比例信号の出力が重なることなく制御が行われる。尚、時間比例周期は、優先度が最上位の状態制御装置100aの制御開始タイミングからの次の制御開始タイミングまでの時間である。以下、それぞれの状態制御装置100a,100b,100cの動作について説明する。
図3〜図5は、実施の形態1の各状態制御装置の動作を示すフローチャートであり、図3は最上位の優先度を持つ状態制御装置100a、図4は中位の優先度を持つ状態制御装置100b、図5は最下位の優先度を持つ状態制御装置100cの動作を示している。
最上位の状態制御装置100aでは、制御対象400への制御動作を開始すると、図3に示すように、制御信号生成部103はチャンネル1〜4の時間比例信号の出力を開始する(ステップST101)。次に、制御信号生成部103は、チャンネル1〜4の時間比例信号の出力が完了すると、出力完了信号を時刻情報送受信部101に送出する(ステップST102)。時刻情報送受信部101の時刻情報送出部105は、制御信号生成部103からの出力完了信号を受け取ると、時刻情報を出力する(ステップST103)。この時刻情報とは、絶対時刻やカウンタ値によって出力完了時刻を表す情報である。
尚、状態制御装置100aは優先度が最上位であるため、時刻情報監視部104が監視するための自装置より優先度が高い時刻情報が存在せず、そのため、制御信号生成部103は、時刻情報監視部104の監視結果とは無関係に時間比例周期毎に時間比例信号を出力する。
次に、中位の優先度を持つ状態制御装置100bの動作を図4のフローチャートに沿って説明する。
状態制御装置100bでは、時刻情報監視部104が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置100aの時刻情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST201)。時刻情報監視部104が時刻情報を検知すると、駆動信号演算部102は、時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST202)。この演算としては、先ず、自状態制御装置の受信時刻から上位装置の時刻情報で示す時刻を引き算して通信時間(Aとする)を算出する。尚、自状態制御装置の受信時刻とは、自状態制御装置において、上位の状態制御装置の時刻情報を受信し、かつ、その電文の解釈を完了した時刻である。
次に、通信時間(A)と予め定められた駆動信号遅延時間(Bとする)とを比較して(ステップST203)、自制御対象400への時間比例信号の出力開始タイミングを演算する。先ず、ステップST203において、通信時間(A)が駆動信号遅延時間(B)より小さかった場合は、ステップST204に移行して「優先度が一つ上の装置の出力完了時刻+B」の経過後、出力開始を制御信号生成部103に通知する。一方、ステップST203において、A≧Bであった場合は、直ちに出力開始するよう制御信号生成部103に通知する。制御信号生成部103は、駆動信号演算部102からの出力開始の通知を受けた場合は自制御対象400への時間比例信号の出力を開始する(ステップST205)。尚、駆動信号遅延時間(B)については、全ての状態制御装置に対して同一の値とするか、あるいは、上位装置との通信路の線路長や制御対象等に基づいて、状態制御装置毎に異なる値としてもよい。
その後は、図3のステップST102以降の処理と同様に、チャンネル1〜4の時間比例信号の出力が完了したかを判定し(ステップST206)、完了した場合は、時刻情報送出部105が、時刻情報を出力する(ステップST207)。
次に、最下位の優先度を持つ状態制御装置100cの動作を図5のフローチャートに沿って説明する。
状態制御装置100cでは、時刻情報監視部104が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置100bの時刻情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST301)。時刻情報監視部104が時刻情報を検知すると、駆動信号演算部102は、時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST302)。このステップST302における演算内容及びステップST305までの処理は、図4で示した優先度が中位の状態制御装置のステップST202〜ST205までの処理と同様である。また、状態制御装置100cは優先度が最下位であるため、優先度が上位の状態制御装置100a,bのように、時刻情報送出部105による時刻情報の送出は行わない。
尚、上記の説明では、最下位の優先度を持つ状態制御装置100cは、時刻情報送出部105から時刻情報を送出しないようにしたが、最下位の優先度の状態制御装置100cであっても、時刻情報を送出するようにしてもよい。このような構成であっても、他の状態制御装置100a,100bの時刻情報監視部104では、自装置より優先度の低い状態制御装置100cから送出された時刻情報は無視することになるため、各状態制御装置100a,100b,100cの制御動作に影響はない。
図6は、実施の形態1の処理を従来の処理と比較して示す説明図である。
図中の時刻T1で上位装置の時間比例出力61a,61bが完了し、出力完了を示す情報が下位装置に出力された場合、従来であれば、(a)に示すように、所定の通信時間(電文解釈の時間も含む)の後(時刻T2)、予め定められた駆動信号遅延時間が経過した時刻(時刻T4)を自装置の時間比例出力の開始タイミングとする。これは、単に出力完了を示す情報だけでは、下位装置が電文解釈を完了した時点で、上位装置が何ms前に時間比例出力が完了したかを知ることができないからである。従って、各状態制御装置のオンの重なりを回避するための安全を考えた場合、電文解釈完了(時刻T2)後に駆動信号遅延時間のタイマを開始せざるを得ないことになる。
一方、(b)に示す実施の形態1の状態制御システムでは、上位装置から出力される時刻情報には、上位装置の出力完了時刻を含んでいるため、下位装置は、上位装置の出力完了時刻に駆動信号遅延時間を加算した時刻(時刻T3)を自装置の時間比例出力の開始タイミングとすればよく、通信時間(A)≦遅延設定時間(B)であれば、実質的に通信による伝送に要した時間のロスを解消することができる。
尚、上記の説明では、状態制御装置100a,100b,100cが3台の場合を説明したが、4台以上設けてもよい。4台以上設けた場合は、優先度が最上位と最下位以外の状態制御装置は、全て上述した状態制御装置100bの動作(図4の動作)と同様の動作を行うことになる。また、状態制御装置が2台のみであってもよく、この場合は、上述した優先度が最上位の状態制御装置100aの動作(図3の動作)と、優先度が最下位の状態制御装置100cの動作(図5の動作)を行うことになる。
また、上記実施の形態1では、各状態制御装置100a,100b,100cは、4チャンネル全てを対象として時間比例出力が重ならないよう制御を行ったが、このような制御の対象とはしないチャンネルが含まれていてもよい。即ち、1台の状態制御装置の中、もしくは他の状態制御装置との組み合わせにおいて、同時オンさせたくないチャンネルで、上記のような状態制御装置100a,100b,100cの同期制御を行えばよい。それ以外のチャンネルについては、複数チャンネルの同時オンを許容するような別の制御等で時間比例出力が送出される。このような場合、各状態制御装置100a,100b,100cは、同時オンさせたくないチャンネルの時間比例制御が完了した時点で時刻情報を送出することになる。あるいは、同時オンしてもよいチャンネルは他のチャンネルのオンオフ状態に制限されることなくオンオフさせることも可能である。更に、以上の例の他に同時にオンさせたくないチャンネルの扱いは様々な組み合わせが考えられる。
更に、上記実施の形態1では、同一の優先度を持つ状態制御装置が1台ずつとして説明したが、同一の優先度を持つ状態制御装置が複数台であってもよい。
図7は、このような場合の優先度と状態制御装置との関係を示す説明図である。
図7において、状態制御装置100a−1,100a−2は、優先度が最上位の装置であり、状態制御装置100b−1,100b−2,100b−3は優先度が中位の装置、状態制御装置100c−1,100c−2は優先度が最下位の装置である。このように、同一の優先度に複数の状態制御装置が存在する場合、下位の状態制御装置は優先度が一つ上の状態制御装置における最後の状態制御装置から時刻情報を受けた場合に自装置の時間比例制御を行う。また、優先度のランクが同じであれば、時間比例出力は同時であっても構わない。例えば、優先度が中位の状態制御装置100b−1,100b−2,100b−3は、優先度が上位の状態制御装置100a−1,100a−2の2台から時刻情報を受信した場合に時間比例制御を行う。ここで、優先度が最上位の状態制御装置100a−1,100a−2以外の状態制御装置は、一つ上の優先度のランクには状態制御装置が何台有るかを予め情報として有しており、この情報に基づいて最後の装置の時刻情報を受信したかを判定する。尚、図7の例では全ての優先度のランクで複数台の状態制御装置が存在しているが、優先度のランク毎に複数台や1台のみといった構成が混在していてもよい。
以上のように、実施の形態1の状態制御装置によれば、他の状態制御装置と時刻同期し、制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力する状態制御装置であって、駆動信号を出力した後に、駆動信号の出力が完了した時刻を示す時刻情報を他の状態制御装置へ送出する時刻情報送出部を有するので、状態制御装置を複数組み合わせた場合の状態制御装置間の通信時間の無駄を無くすことができ、制御対象への駆動信号を出力するまでの時間を短縮することができる。
また、実施の形態1の状態制御装置によれば、時刻情報は、駆動信号の出力が完了した時刻を示す情報としたので、自状態制御装置は、他の状態制御装置の駆動信号遅延時間といった情報を持つ必要がなく、単に出力完了後に時刻情報を送出すればよいため、時刻情報を送出するための構成を簡素化することができる。
また、実施の形態1の状態制御装置によれば、他の状態制御装置と時刻同期し、制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力する状態制御装置であって、他の状態制御装置から時刻情報を受信し、この時刻情報と時刻情報の受信時刻と予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部を有するので、他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態1の状態制御装置によれば、他の状態制御装置と時刻同期すると共に、予め定められた優先度が付与され、制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力する状態制御装置であって、制御対象への駆動信号が出力された後に、駆動信号の出力が完了した時刻を示す時刻情報を優先度が下位の状態制御装置へ送出する時刻情報送出部と、優先度が上位の状態制御装置から時刻情報を受信し、この時刻情報と時刻情報の受信時刻と予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを備え、優先度に応じて時刻情報の送出および/または駆動信号の演算を行うようにしたので、優先度の異なる状態制御装置を複数組み合わせた場合の状態制御装置間の通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態1の状態制御装置によれば、駆動信号演算部は、受信した時刻情報が示す時刻と自状態制御装置の受信時刻との差を、時刻情報を送信した他の状態制御装置からの通信時間として求め、駆動信号遅延時間が通信時間より長い場合は、時刻情報が示す時刻に駆動信号遅延時間を加算した時間を、一方、駆動信号遅延時間が通信時間以下の場合は自状態制御装置の現在時刻を自状態制御装置への駆動信号を出力する時間とするようにしたので、他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態1の状態制御装置によれば、同時に駆動信号を出力しない複数の制御対象に対応して複数の制御チャンネルを有し、時刻情報送出部は、最後の制御チャンネルへの駆動信号が出力された後に時刻情報を送出するようにしたので、状態制御装置が複数の制御チャンネルを有する場合でも、他の状態制御装置に対して、自装置の制御完了を正確に伝えることができる。
また、実施の形態1の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置を時刻同期させた状態制御システムであって、優先度が上位の状態制御装置は、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻を示す時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備え、優先度が下位の状態制御装置は、優先度が上位の状態制御装置から時刻情報が送出されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報と時刻情報の受信時刻と予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部とを備えたので、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができる。
また、実施の形態1の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置を時刻同期させた状態制御システムであって、優先度が最上位の状態制御装置は、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻を示す時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備え、優先度が最下位の状態制御装置は、自状態制御装置より優先度が一つ上の状態制御装置から時刻情報が出力されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報と時刻情報の受信時刻と予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置への駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部とを備え、優先度がそれ以外の状態制御装置は、自状態制御装置より優先度が一つ上の状態制御装置から時刻情報が出力されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報と時刻情報の受信時刻と予め定められた駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置への駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻を示す時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備えたので、優先度が3段階以上の状態制御装置を組み合わせた場合でも状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができる。
また、実施の形態1の状態制御システムによれば、駆動信号演算部は、受信した時刻情報が示す時刻と時刻情報の受信時刻との差を、時刻情報を送信した他の状態制御装置からの通信時間として求め、駆動信号遅延時間が通信時間より長い場合は、時刻情報が示す時刻に駆動信号遅延時間を加算した時間を、一方、駆動信号遅延時間が通信時間以下の場合は自状態制御装置の現在時刻を自状態制御装置への駆動信号を出力する時間とするようにしたので、状態制御システムとして他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態1の状態制御システムによれば、各状態制御装置は、同時に駆動信号を出力しない複数の制御対象に対応して複数の制御チャンネルを有し、時刻情報送出部は、最後の制御チャンネルへの駆動信号が出力された後に時刻情報を送出するようにしたので、各状態制御装置が複数の制御チャンネルを有する場合でも、他の状態制御装置に対して、自装置の制御完了を正確に伝えることができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、時間比例出力の開始タイミングを自状態制御装置で演算して求めたが、これを優先度が上位の状態制御装置で行い、その演算結果を含めて下位の状態制御装置に出力してもよく、これを実施の形態2として以下説明する。尚、状態制御システムとしての図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1を援用して説明する。
実施の形態2の時刻情報送出部105は、自装置の時間比例信号の出力が完了した時刻に優先度が一つ下の駆動信号遅延時間を加算した時刻を時刻情報として出力するよう構成されている。尚、駆動信号遅延時間については、全ての状態制御装置に対して同一の値とするか、あるいは状態制御装置毎に異なる値としてもよいのは実施の形態1と同様である。また、駆動信号演算部102は、上位装置から送信された時刻情報で示す時刻と自装置の現在時刻とに基づいて時間比例信号の出力開始タイミングを求めるよう構成されている。状態制御装置100a,100b,100cにおける他の各構成は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、実施の形態2の状態制御システムの動作について説明する。
実施の形態2の状態制御システムの前提として、それぞれの状態制御装置100a,100b,100cは、ネットワーク200における時刻同期機能等により状態制御装置間で時刻同期がなされているのは実施の形態1と同様である。
先ず、最上位の優先度を持つ状態制御装置100aの動作について説明する。状態制御装置100aの基本的な動作は図3のフローチャートで示した実施の形態1と同様である。但し、ステップST103において送出する時刻情報は、(自装置の出力完了時刻)+(優先度が中位の状態制御装置100bの駆動信号遅延時間)の時刻となっている点が異なる。また、状態制御装置100aは優先度が最上位であるため、時刻情報監視部104が監視するための自装置より優先度が高い時刻情報が存在せず、そのため、制御信号生成部103は、実施の形態1と同様に、時刻情報監視部104の監視結果とは無関係に時間比例周期毎に時間比例信号を出力する。
次に、中位の優先度を持つ状態制御装置100bの動作について説明する。
図8は、中位の優先度を持つ状態制御装置100bの動作を示すフローチャートである。
状態制御装置100bでは、時刻情報監視部104が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置100aの時刻情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST401)。時刻情報監視部104が時刻情報を検知すると、駆動信号演算部102は、時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST402)。この演算として、受信した時刻情報は、状態制御装置100bの時間比例信号の出力開始時刻を示しているので、現在時刻(Cとする)と、出力開始時刻(Dとする)とを比較する(ステップST403)。ステップST403の比較の結果、現在時刻(C)が出力開始時刻(D)に達していなかった場合は、現在時刻(C)が出力開始時刻(D)になるまで待ち(ステップST404)、C=Dとなった時点で、制御信号生成部103に対して出力開始を指示し、制御信号生成部103が時間比例出力を開始する(ステップST405)。一方、ステップST403において、C≧Dであった場合は、そのままステップST405に移行して直ちに出力開始を指示する。
その後は、状態制御装置100aの処理と同様に、制御信号生成部103においてチャンネル1〜4の時間比例信号の出力が完了したかを判定し(ステップST406)、完了した場合は、時刻情報送出部105が、時刻情報として、(自装置の出力完了時刻)+(優先度が最下位の状態制御装置100cの駆動信号遅延時間)の時刻を出力する(ステップST407)。
次に、最下位の優先度を持つ状態制御装置100cの動作を説明する。
図9は、最下位の優先度を持つ状態制御装置100cの動作を示すフローチャートである。
状態制御装置100cでは、時刻情報監視部104が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置100bの時刻情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST501)。時刻情報監視部104が時刻情報を検知すると、駆動信号演算部102は、時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST502)。このステップST502における演算内容及びステップST505までの処理は、図8で示した優先度が中位の状態制御装置のステップST402〜ST405までの処理と同様である。また、状態制御装置100cは優先度が最下位であるため、優先度が上位の状態制御装置100a,bのように、時刻情報送出部105による時刻情報の送出は行わない。尚、実施の形態2においても、実施の形態1で説明したように、最下位の優先度の状態制御装置100cであっても、時刻情報を送出するようにしてもよい。
また、実施の形態2においても、状態制御装置100a,100b,100cが3台の場合を説明したが、4台以上設けてもよい。4台以上設けた場合は、優先度が最上位と最下位以外の状態制御装置は、全て上述した状態制御装置100bの動作(図8の動作)と同様の動作を行うことになる。また、状態制御装置が2台のみであってもよく、この場合は、上述した優先度が最上位の状態制御装置100aの動作と、優先度が最下位の状態制御装置100cの動作(図9の動作)を行うことになる。
更に、実施の形態2においても、各状態制御装置100a,100b,100cは、4チャンネル全てを対象として時間比例出力が重ならないよう制御を行ったが、このような制御の対象とはしないチャンネルが含まれていてもよい。また、実施の形態2においても、同一の優先度を持つ状態制御装置が1台ずつとして説明したが、実施の形態1における図7で示したように、同一の優先度を持つ状態制御装置が複数台であってもよい。
以上のように、実施の形態2の状態制御装置によれば、時刻情報は、駆動信号の出力が完了した時刻に予め定められた他の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻を示す情報としたので、時刻情報を受信した状態制御装置は、自装置で駆動信号遅延時間に基づく演算を行う必要がなく、時間比例出力の開始タイミングを演算するための構成を簡素化することができる。
また、実施の形態2の状態制御装置によれば、他の状態制御装置と時刻同期し、制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力する状態制御装置であって、他の状態制御装置の制御対象への駆動信号の出力が完了した時刻に予め定められた自状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻を示す時刻情報を受信し、この時刻情報と自状態制御装置の現在時刻とに基づいて状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部を有するようにしたので、他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態2の状態制御装置によれば、他の状態制御装置と時刻同期すると共に、予め定められた優先度が付与され、制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力する状態制御装置であって、制御対象への駆動信号が出力された後に、駆動信号の出力が完了した時刻に優先度が下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻情報を、優先度が下位の状態制御装置へ送出する時刻情報送出部と、優先度が上位の状態制御装置から時刻情報を受信し、この時刻情報と自状態制御装置の現在時刻とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを備え、優先度に応じて時刻情報の送出および/または駆動信号の演算を行うようにしたので、優先度の異なる状態制御装置を複数組み合わせた場合の状態制御装置間の通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態2の状態制御装置によれば、駆動信号演算部は、自状態制御装置の現在時刻と他の状態制御装置から受信した時刻情報の時刻とを比較し、時刻情報が示す時刻に到達していない場合は時刻情報が示す時刻を、一方、時刻情報が示す時刻を既に経過している場合は自状態制御装置の現在時刻を自状態制御装置への駆動信号を出力する時間とするようにしたので、他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
また、実施の形態2の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置を時刻同期させた状態制御システムであって、優先度が上位の状態制御装置は、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻に優先度が下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備え、優先度が下位の状態制御装置は、優先度が上位の状態制御装置から時刻情報が送出されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報が示す時刻と自状態制御装置の現在時刻とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部とを備えたので、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができる。
また、実施の形態2の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置を時刻同期させた状態制御システムであって、優先度が最上位の状態制御装置は、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻に優先度が一つ下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備え、優先度が最下位の状態制御装置は、自状態制御装置より優先度が一つ上の状態制御装置から時刻情報が出力されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報が示す時刻と自状態制御装置の現在時刻とに基づいて自状態制御装置への駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部とを備え、優先度がそれ以外の状態制御装置は、自状態制御装置より優先度が一つ上の状態制御装置から時刻情報が出力されたかを監視する時刻情報監視部と、時刻情報監視部が時刻情報を検知した場合、この時刻情報が示す時刻と自状態制御装置の現在時刻とに基づいて自状態制御装置への駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部と、駆動信号を出力する制御信号生成部と、駆動信号の出力が完了した時刻に優先度が一つ下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻情報を送出する時刻情報送出部とを備えたので、優先度が3段階以上の状態制御装置を組み合わせた場合でも状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができる。
また、実施の形態2の状態制御システムによれば、駆動信号演算部は、自状態制御装置の現在時刻と他の状態制御装置から受信した時刻情報とを比較し、他の状態制御装置から受信した時刻情報が示す時刻に到達していない場合は他の状態制御装置から受信した時刻情報の時刻を、一方、他の状態制御装置から受信した時刻情報を既に経過している場合は自状態制御装置の現在時刻を自状態制御装置への駆動信号を出力する時間とするようにしたので、状態制御システムとして他の状態制御装置との通信時間の無駄を無くすことができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、優先度が上位の状態制御装置は、優先度が下位の状態制御装置に対して、駆動信号の出力が完了した時刻を時刻情報として送出するようにしたが、この時刻情報に代えて、自装置より優先度が上位の状態制御装置の操作量を全て加算した値を送出するようにしてもよく、これを実施の形態3として次に説明する。
図10は、実施の形態3の状態制御システムを示す構成図である。
図において、状態制御システムは、複数台の状態制御装置110a,110b,110cと、これらを相互に接続するネットワーク200によって構成されている。また、状態制御装置110a,110b,110cには、測定信号出力部300と制御対象400とが接続されており、これらの状態制御システムとしての基本的な構成は図1に示した実施の形態1と同様である。また、状態制御装置110a,110b,110cの優先度についても、実施の形態1と同様に、状態制御装置110aが最も高く、状態制御装置110cが最も低いとする。
各状態制御装置110a,110b,110cは、駆動信号送受信部111と駆動信号演算部112と制御信号生成部113と駆動信号遅延時間記憶部116とを備え、駆動信号送受信部111は、駆動信号監視部114と駆動信号送出部115を有している。
駆動信号送受信部111は、ネットワーク200を介して伝達される駆動信号情報の送受信を行う通信インタフェースである。駆動信号監視部114は、自装置より優先度が高い装置から出力される駆動信号情報を監視するための機能部であり、本実施の形態では、状態制御装置110bは状態制御装置110aからの駆動信号情報を、状態制御装置110cは状態制御装置110bからの駆動信号情報を監視する。駆動信号送出部115は、自装置の優先度をN番目とした場合に、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報を駆動信号情報としてネットワーク200に送出するよう構成されている。尚、Nは1以上の整数であり、以降の実施の形態でも同様である。駆動信号遅延時間記憶部116は、自装置の優先度が(N+1)番目とした場合に、2から(N+1)番目までの状態制御装置、即ち、自装置以上の優先度を持つ全ての状態制御装置の駆動信号遅延時間を記憶する記憶部である。尚、駆動信号遅延時間については、全ての状態制御装置に対して同一の値とするか、あるいは、上位装置との通信路の線路長や制御対象等に基づいて、状態制御装置毎に異なる値としてもよい。
駆動信号演算部112は、受信した駆動信号情報と、駆動信号遅延時間記憶部116に記憶された駆動信号遅延時間とに基づいて、自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する機能部である。制御信号生成部113は、駆動信号演算部112から通知された出力開始タイミングで制御対象400への駆動信号を送出する信号生成部であり、基本的な機能は実施の形態1の制御信号生成部103と同様である。
次に、実施の形態3の状態制御システムの動作について説明する。
ここで、それぞれの状態制御装置110a,110b,110cはネットワーク200における時刻同期機能等により状態制御装置間で時刻同期がなされているのは実施の形態1と同様である。
図11〜図13は、実施の形態3の各状態制御装置の動作を示すフローチャートであり、図11は最上位の優先度を持つ状態制御装置110a、図12は中位の優先度を持つ状態制御装置110b、図13は最下位の優先度を持つ状態制御装置110cの動作を示している。
最上位の状態制御装置110aでは、制御対象400への制御動作を開始すると、図11に示すように、制御信号生成部113はチャンネル1〜4の時間比例信号の出力を開始する(ステップST601)。即ち、状態制御装置110aは優先度が最上位であるため、駆動信号監視部114が監視するための自装置より優先度が高い時刻情報が存在せず、そのため、制御信号生成部113は、駆動信号監視部114の監視結果とは無関係に時間比例周期毎に時間比例信号を出力する。
また、制御信号生成部113により、チャンネル1〜4の時間比例信号の出力が開始されると、駆動信号送受信部111の駆動信号送出部115は、駆動信号情報を出力する(ステップST602)。即ち、この時点では自装置の操作量が判明しているため、時間比例信号の出力完了を待たずに駆動信号情報を出力することができる。また、この駆動信号情報としては、状態制御装置110aは優先度が最上位であるため、自装置の操作量のみの情報となる。
次に、中位の優先度を持つ状態制御装置110bの動作を図12のフローチャートに沿って説明する。
状態制御装置110bでは、駆動信号監視部114が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置110aの駆動信号情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST701)。駆動信号監視部114が駆動信号情報を検知すると、駆動信号演算部112は、駆動信号遅延時間記憶部116に記憶されている値を用いて時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST702)。この演算としては、自装置の優先度がN+1番目であった場合、1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応した合計時間と、優先度が2からN+1番目(優先度が2番目の状態制御装置から自状態制御装置)までの駆動信号遅延時間を合計した時間を時間比例周期の先頭時刻に加算した時刻を時間比例信号の出力開始時刻とする。そして、駆動信号演算部112は、現在時刻が算出した出力開始時刻に達するまで待ち(ステップST703)、現在時刻が出力開始時刻になった時点で、制御信号生成部113に対して出力開始を指示し、制御信号生成部113が時間比例出力を開始する(ステップST704)。
その後は、状態制御装置110aの処理と同様に、制御信号生成部113により、チャンネル1〜4の時間比例信号の出力が開始されると、駆動信号送受信部111の駆動信号送出部115は、駆動信号情報を出力する(ステップST705)。状態制御装置110bは自装置より優先度が高い状態制御装置が存在するため、自装置より優先度が上位の全ての状態制御装置の操作量の合計値を駆動信号情報とする。
次に、最下位の優先度を持つ状態制御装置110cの動作を図13のフローチャートに沿って説明する。
状態制御装置110cでは、駆動信号監視部114が、一つ上の優先度を持つ状態制御装置110bの駆動信号情報がネットワーク200に出力されたかを監視している(ステップST801)。駆動信号監視部114が駆動信号を検知すると、駆動信号演算部112は、駆動信号遅延時間記憶部116に記憶された値を用いて、時間比例信号の出力開始時刻を演算する(ステップST802)。このステップST802における演算内容及びステップST804までの処理は、図12で示した優先度が中位の状態制御装置のステップST702〜ST704までの処理と同様である。また、状態制御装置110cは優先度が最下位であるため、優先度が上位の状態制御装置110a,bのように、駆動信号送出部115による駆動信号の送出は行わない。
尚、上記の説明では、最下位の優先度を持つ状態制御装置110cは、駆動信号送出部115から駆動信号情報を送出しないようにしたが、最下位の優先度の状態制御装置110cであっても、駆動信号情報を送出するようにしてもよい。このような構成であっても、他の状態制御装置110a,110bの駆動信号監視部114では、自装置より優先度の低い状態制御装置110cから送出された駆動信号情報は無視することになるため、各状態制御装置110a,110b,110cの制御動作に影響はない。
以上のように、実施の形態3の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量を演算し、操作量に応じた駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置が時刻同期された状態制御システムであって、優先度がN番目の状態制御装置は、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報を送出する駆動信号送出部を有し、優先度が(N+1)番目の状態制御装置は、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間を記憶する駆動信号遅延時間記憶部と、N番目の状態制御装置から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と、駆動信号遅延時間記憶部に記憶された優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを有するようにしたので、実施の形態1と同様に、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができると共に、優先度が下位の状態制御装置では、駆動信号情報の受信から自装置の時間比例出力の開始まである程度の時間があるため、特に高速演算を行う必要がなく、駆動信号演算に高い演算性能を必要としない効果がある。
実施の形態4.
実施の形態2では、優先度が上位の状態制御装置は、優先度が下位の状態制御装置に対して、駆動信号の出力が完了した時刻に下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した時刻を時刻情報として送出するようにしたが、この時刻情報に代えて、自装置より優先度が上位の状態制御装置の操作量を全て加算した値に下位の状態制御装置の駆動信号遅延時間を加算した値を送出するようにしてもよく、これを実施の形態4として次に説明する。
図14は、実施の形態4の状態制御システムの構成図である。
図において、状態制御システムは、複数台の状態制御装置120a,120b,120cと、これらを相互に接続するネットワーク200によって構成されている。また、状態制御装置120a,120b,120cには、測定信号出力部300と制御対象400とが接続されており、これらの状態制御システムとしての基本的な構成は実施の形態1〜3と同様である。また、状態制御装置120a,120b,120cの優先度についても、実施の形態1〜3と同様に、状態制御装置120aが最も高く、状態制御装置120cが最も低いとする。
各状態制御装置120a,120b,120cは、駆動信号送受信部121と駆動信号演算部128と制御信号生成部123と駆動信号遅延時間記憶部129とを備え、駆動信号送受信部121は、駆動信号監視部124と駆動信号送出部127を有している。ここで、駆動信号送受信部121の駆動信号監視部124は、実施の形態3の駆動信号監視部114と同様である。また、制御信号生成部123は、実施の形態3の制御信号生成部113と同様である。
駆動信号送出部127は、自装置の優先度をN番目とした場合、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とを送出するよう構成されている。また、駆動信号演算部128は、自装置の優先度を(N+1)番目とした場合、N番目の状態制御装置から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出するよう構成されている。更に、駆動信号遅延時間記憶部129は、自装置の優先度をN番目とした場合、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動遅延時間を記憶する記憶部である。
次に、実施の形態4の状態制御システムの動作について説明する。
先ず、最上位の優先度を持つ状態制御装置120aの動作について説明する。状態制御装置120aの基本的な動作は図11のフローチャートで示した実施の形態3と同様である。但し、ステップST602において送出する駆動信号情報は、自装置の操作量に加えて、優先度が中位の状態制御装置120bの駆動信号遅延時間を出力する点が異なる。また、状態制御装置120aは優先度が最上位であるため、駆動信号監視部124が監視するための自装置より優先度が高い状態制御装置から出力される駆動信号情報が存在せず、そのため、制御信号生成部123は、実施の形態3と同様に、駆動信号監視部124の監視結果とは無関係に時間比例周期毎に時間比例信号を出力する。
また、中位の優先度を持つ状態制御装置120bの動作についても、その基本的な動作は図12で示した実施の形態3のフローチャートと同様である。但し、ステップST702における出力開始時刻の演算とステップST705において送出する駆動信号情報の内容が異なる。先ず、出力開始時刻の演算では、駆動信号監視部124によって受信された駆動信号情報には、自装置より優先度が上位の状態制御装置全ての操作量と自装置の駆動信号遅延時間が含まれているため、駆動信号演算部128は、これらの情報に基づいて出力開始時刻を演算する。即ち、自装置の優先度がN+1番目であった場合、1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応した合計時間と、優先度が2からN+1番目(優先度が2番目の状態制御装置から自状態制御装置)までの駆動信号遅延時間を合計した時間を時間比例周期の先頭時刻に加算した時刻を時間比例信号の出力開始時刻とする。
また、ステップST705の駆動信号情報の送出においても、駆動信号送出部127は、優先度が上位の状態制御装置から自状態制御装置までの操作量の合計値に加えて、駆動信号遅延時間記憶部129から、優先度が最下位の状態制御装置120cまでの駆動信号遅延時間の合計値を取り出し、これら操作量と駆動信号遅延時間を含んだ駆動信号情報を出力する点が異なっている。尚、この場合の駆動信号遅延時間の合計値としては、状態制御装置120b,120cの駆動信号遅延時間の合計値となる。
更に、最下位の優先度を持つ状態制御装置120cの動作についても、その基本的な動作は図13で示した実施の形態3のフローチャートと同様である。但し、ステップST802における出力開始時刻の演算が異なる。即ち、優先度が中位の状態制御装置120bから送出された駆動信号情報に含まれる操作量と駆動信号遅延時間とに基づいて出力開始時刻を演算する。それ以外は実施の形態3と同様である。
尚、上記実施の形態3,4においても、状態制御装置110a〜110c,120a〜120cが3台の場合を説明したが、4台以上設けてもよい。4台以上設けた場合は、優先度が最上位と最下位以外の状態制御装置は、全て上述した状態制御装置110b(120b)の動作と同様の動作を行うことになる。また、状態制御装置が2台のみであってもよく、この場合は、上述した優先度が最上位の状態制御装置110a(120a)の動作と、優先度が最下位の状態制御装置110c(120c)の動作を行うことになる。
更に、実施の形態3,4においても、各状態制御装置110a〜110c,120a〜120cは、4チャンネル全てを対象として時間比例出力が重ならないよう制御を行ったが、このような制御の対象とはしないチャンネルが含まれていてもよい。また、実施の形態3,4においても、同一の優先度を持つ状態制御装置が1台ずつとして説明したが、実施の形態1における図7を用いて説明したように、同一の優先度を持つ状態制御装置が複数台であってもよい。また、優先度のランク毎に複数台や1台のみといった構成が混在していてもよい。
以上のように、実施の形態4の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量を演算し、該操作量に応じた駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置が時刻同期された状態制御システムであって、優先度がN番目の状態制御装置は、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動遅延時間を記憶する駆動信号遅延時間記憶部と、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とを送出する駆動信号送出部とを有し、優先度が(N+1)番目の状態制御装置は、N番目の状態制御装置から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを有するようにしたので、実施の形態2と同様に、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができると共に、優先度が下位の状態制御装置では、駆動信号情報の受信から自装置の時間比例出力の開始まである程度の時間があるため、特に高速演算を行う必要がなく、駆動信号演算に高い演算性能を必要としない効果がある。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、各状態制御装置が個々に操作量を演算するようにしたが、1台の装置(マスタ制御装置)で各状態制御装置の操作量を演算するようにしてもよく、これを実施の形態5,6として説明する。
図15は、実施の形態5による状態制御システムの構成図である。
実施の形態5の状態制御システムは、1台のマスタ制御装置130と、複数台のスレーブ装置(状態制御装置)140a,140bと、これらを相互に接続するネットワーク200によって構成されている。本実施の形態でもスレーブ装置140a,140bは温度調節計として説明する。尚、図示例ではスレーブ装置140a,140bとして2台のみ示しているが、更に多くの装置が設けられていてもよい。
マスタ制御装置130は、スレーブ装置140a,140bの制御を行う装置であり、駆動信号送出部131と操作量演算部132とを有している。駆動信号送出部131は、操作量演算部132で演算された操作量信号に基づいて、スレーブ装置140a,140bに対して駆動信号情報を送出する機能部である。また、駆動信号送出部131は、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対しては、優先度が1からN番目までの各状態制御装置の操作量に対応する情報を送出するよう構成されている。操作量演算部132は、スレーブ装置140a,140bからの測定信号に基づいてPID演算等を行って各スレーブ装置140a,140bにおける制御対象400への操作量を求め、これを操作量信号として出力する機能部である。
スレーブ装置140a,140bは、マスタ制御装置130から与えられる駆動信号情報に基づいて、制御対象400を制御するための駆動信号である時間比例出力を行う装置であり、信号送受信部141、駆動信号演算部142、制御信号生成部143、駆動信号遅延時間記憶部146を備えている。信号送受信部141は、ネットワーク200に対する信号の送受信を行う通信インタフェースとしての機能を有するもので、駆動信号受信部144と測定信号送信部145を備えている。駆動信号受信部144は、ネットワーク200に出力されたマスタ制御装置130からの駆動信号情報を受信する通信制御部である。測定信号送信部145は、温度センサである測定信号出力部300から出力された温度測定信号をマスタ制御装置130宛に送信する通信制御部である。
駆動信号演算部142は、駆動信号受信部144で受信した駆動信号情報と駆動信号遅延時間記憶部146に記憶されている自装置までの各スレーブ装置の駆動信号遅延時間に基づいて、自装置の時間比例出力の開始タイミングを演算する機能部である。駆動信号遅延時間記憶部146は、自装置の優先度を(N+1)番目とした場合に、優先度が2番目からN+1番目までの駆動信号遅延時間の値を記憶している。制御信号生成部143は、駆動信号演算部142で演算された開始タイミングに基づいて、マスタ制御装置130の操作量演算部132で演算された操作量に対応した時間比例出力を制御対象400に対して送出するための機能部である。
次に、実施の形態5の状態制御システムの動作について説明する。
図16は、実施の形態5におけるスレーブ装置140a,140bの動作を示すフローチャートである。また、図17は、スレーブ装置140a,140bの動作を示すタイミングチャートである。
スレーブ装置140a,140bは、それぞれ、4チャンネルの制御が可能なよう構成され、各装置内ではチャンネル1からチャンネル4までの時間比例出力が重ならないよう制御されている。また、各スレーブ装置140a,140bは、ネットワーク200における時刻同期機能等により、時刻同期がなされているとする。更に、スレーブ装置140a,140bの優先度は、スレーブ装置140a>スレーブ装置140bの順に設定されているものとする。
マスタ制御装置130の操作量演算部132は、各スレーブ装置140a,140bからの測定信号に基づき、時間比例周期毎に各スレーブ装置140a,140bの操作量を演算する。即ち、2台のスレーブ装置140a,140bの8チャンネル分の操作量を演算する。演算結果は各スレーブ装置140a,140bに対応した操作量を示す駆動信号情報として駆動信号送出部131からネットワーク200に送出され、この駆動信号情報が各スレーブ装置140a,140bの駆動信号受信部144で受信される。駆動信号受信部144で受信された駆動信号情報は駆動信号演算部142に送られ、駆動信号演算部142では、この駆動信号情報に含まれる操作量と駆動信号遅延時間記憶部146に記憶されている駆動信号遅延時間の合計値で時間比例出力の開始タイミングを演算する。即ち、駆動信号演算部142は、図16のフローチャートに示すように、自装置より優先度の高い装置の操作量に対応した駆動時間と、自装置までの駆動信号遅延時間との合計時間が経過したかを判定し(ステップST901)、経過した場合は、制御信号生成部143に対して出力開始タイミング信号を出力する。例えば、優先度が最上位のスレーブ装置140aの場合、自装置より優先度の高い装置は存在しないので、時間比例周期の先頭時刻から直ちに出力開始タイミング信号を出力する。また、優先度が最下位のスレーブ装置140bの場合、自装置より優先度が高い装置としてスレーブ装置140aがあるため、このスレーブ装置140aの操作量に対応した駆動時間とスレーブ装置140bの駆動信号遅延時間の合計時間が経過した時点で出力開始タイミング信号を出力する。
それぞれのスレーブ装置140a,140bでは、駆動信号演算部142から出力開始タイミング信号と操作量信号とが制御信号生成部143に与えられると、制御信号生成部143は、操作量信号に基づき、図17中の破線171に示すタイミングで、1〜4チャンネルの時間比例出力を開始する(ステップST902)。その後、駆動信号演算部142は、時間比例周期が経過したかを判定し(ステップST903)、経過した場合は、一つの時間比例周期における演算処理が終了したと判定する。
以上のような動作を、各スレーブ装置140a,140bで時間比例周期毎に行うことにより、各スレーブ装置140a,140b間で所定の時間間隔(図17中、172で示す)を設けることができ、その結果、破線枠173に示すように、時間比例出力が重なることなく制御対象400の制御を行うことができる。
以上のように、実施の形態5の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置と、複数の状態制御装置の制御対象への操作量を演算し、操作量に基づく駆動信号を各状態制御装置に送出するマスタ制御装置とを備え、複数の状態制御装置とマスタ制御装置とが時刻同期された状態制御システムであって、前記マスタ制御装置は、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報を送出する駆動信号送出部を有し、優先度が(N+1)番目の状態制御装置は、優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動遅延時間を記憶する駆動信号遅延時間記憶部と、マスタ制御装置から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と駆動信号遅延時間記憶部に記憶された優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを有するようにしたので、実施の形態1〜4と同様に、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができると共に、駆動信号情報は時間比例周期の中で1回だけ送信すれば良いため、超高速なデータバスといった通信路を必要とせず、状態制御装置を分散して配置することができる。
実施の形態6.
実施の形態6は、マスタ制御装置側でスレーブ装置の駆動信号遅延時間も含めて演算を行うようにしたものである。
図18は、実施の形態6による状態制御システムの構成図である。
実施の形態6の状態制御システムは、1台のマスタ制御装置150と、複数台のスレーブ装置(状態制御装置)160a,160bと、これらを相互に接続するネットワーク200によって構成されている。これらの基本的な構成は実施の形態5と同様である。
マスタ制御装置150は、スレーブ装置160a,160bの制御を行う装置であり、駆動信号送出部151と操作量演算部152と駆動信号遅延時間記憶部153を有している。駆動信号送出部151は、操作量演算部152で演算された操作量信号と駆動信号遅延時間記憶部153に記憶された駆動信号遅延時間の値とに基づいて、スレーブ装置160a,160bに対して駆動信号情報を送出する機能部である。即ち、駆動信号送出部151は、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対しては、優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と、優先度が2番目から(N+1)番目の状態制御装置の駆動信号遅延時間を送出するよう構成されている。また、操作量演算部152は、実施の形態5の操作量演算部132と同様である。更に、駆動信号遅延時間記憶部153は、各スレーブ装置160a,160bの駆動信号遅延時間を記憶する記憶部である。
スレーブ装置160a,160bは、実施の形態5と同様に、マスタ制御装置150から与えられる駆動信号情報に基づいて、制御対象400を制御するための駆動信号である時間比例出力を行う装置であり、信号送受信部161、駆動信号演算部162、制御信号生成部163を備えている。ここで、信号送受信部161における駆動信号受信部164と測定信号送信部165および制御信号生成部163は、実施の形態5における駆動信号受信部144と測定信号送信部145および制御信号生成部143と同様である。また、駆動信号演算部162は、マスタ制御装置150の駆動信号送出部151から送出された駆動信号情報の操作量と駆動信号遅延時間に基づいて出力開始タイミングを演算するよう構成されている。即ち、自装置の優先度がN+1番目であった場合、マスタ制御装置150から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と優先度が2からN+1番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する。
次に、実施の形態6の動作について説明する。
マスタ制御装置150では、操作量演算部152が、各スレーブ装置160a,160bからの測定信号に基づき、時間比例周期毎に各スレーブ装置160a,160bの操作量を演算する。駆動信号送出部151は、操作量演算部152で演算された操作量の情報と、駆動信号遅延時間記憶部153に記憶されている駆動信号遅延時間を含んだ駆動信号情報をスレーブ装置160a,160bに送出する。即ち、スレーブ装置160aに対しては、優先度が最上位であって駆動信号遅延時間は0であるため、操作量の情報のみを駆動信号情報として送出する。一方、スレーブ装置160bに対しては、それより優先度が上位のスレーブ装置160aの操作量と、スレーブ装置160bの駆動信号遅延時間を駆動信号情報として送出する。尚、駆動信号遅延時間は、対象となるスレーブ装置を含めてそれより上位のスレーブ装置全ての合計値であるが、図示例ではスレーブ装置160bより優先度が上位の装置はスレーブ装置160aのみであるため、スレーブ装置160bの駆動信号遅延時間のみとなる。
駆動信号送出部151からネットワーク200に送出された駆動信号情報は、各スレーブ装置160a,160bの駆動信号受信部164で受信される。駆動信号受信部164で受信された駆動信号情報は駆動信号演算部162に送られ、駆動信号演算部162では、この駆動信号情報に含まれる操作量と駆動信号遅延時間の合計値で時間比例出力の開始タイミングを演算する。このタイミング演算の処理の流れについては、図16に示した実施の形態5と同様であるため、図16を援用して説明する。
即ち、駆動信号演算部162は、図16のフローチャートに示すように、自装置より優先度の高い装置の操作量に対応した駆動時間と、自装置までの駆動信号遅延時間との合計時間が経過したかを判定し(ステップST901)、経過した場合は、制御信号生成部163に対して出力開始タイミング信号を出力する。例えば、優先度が最上位のスレーブ装置160aの場合、自装置より優先度の高い装置は存在しないので、時間比例周期の先頭時刻から直ちに出力開始タイミング信号を出力する。また、優先度が最下位のスレーブ装置160bの場合、自装置より優先度が高い装置としてスレーブ装置160aがあるため、このスレーブ装置160aの操作量に対応した駆動時間とスレーブ装置160bの駆動信号遅延時間の合計時間が経過した時点で出力開始タイミング信号を出力する。
それぞれのスレーブ装置160a,160bでは、駆動信号演算部162から出力開始タイミング信号と操作量信号とが制御信号生成部163に与えられると、制御信号生成部163は、操作量信号に基づき、1〜4チャンネルの時間比例出力を開始する(ステップST902)。その後、駆動信号演算部162は、時間比例周期が経過したかを判定し(ステップST903)、経過した場合は、一つの時間比例周期における演算処理が終了したと判定する。
また、上記実施の形態5,6では、同一の優先度を持つスレーブ装置が1台ずつとして説明したが、同一の優先度を持つスレーブ装置が複数台であってもよい。
図19は、このような場合の優先度とスレーブ装置との関係を示す説明図である。
図19において、スレーブ装置140a−1,140a−2(160a−1,160a−2)は、優先度が最上位の装置であり、それぞれの操作量は1a,1bである。また、スレーブ装置140b−1,140b−2,140b−3(160b−1,160b−2,160b−3)は優先度が中位の装置であり、操作量はそれぞれ2a,2b,2cである。更に、スレーブ装置140c−1,140c−2(160c−1,160c−2)は優先度が最下位の装置であり、操作量はそれぞれ3a,3bである。尚、これらの操作量1a〜3bは、それぞれのスレーブ装置における4チャンネル分の操作量を表している。
このように、同一の優先度に複数のスレーブ装置が存在する場合、自装置より上位のスレーブ装置のうち、最も操作量の大きい(時間比例出力の時間が長い)ものを上位のスレーブ装置の操作量として、自装置の時間比例出力の開始タイミングを演算する。例えば、優先度が“中”のスレーブ装置140b−1,140b−2,140b−3(160b−1,160b−2,160b−3)は、上位のスレーブ装置140a−1,140a−2(160a−1,160a−2)の操作量1a,1bのうち、値の大きい方に基づいて時間比例出力の開始タイミングを演算する。また、優先度が最下位のスレーブ装置140c−1,140c−2(160c−1,160c−2)では、(操作量1a,1bのうち値の大きい方)+(操作量2a,2b,2cのうち最も値の大きいもの)に基づいて時間比例出力の開始タイミングを演算する。尚、この構成においても、優先度のランクが同じであれば、時間比例出力は同時であっても構わない。更に、図19の例では全ての優先度のランクで複数台のスレーブ装置が存在しているが、優先度のランク毎に複数台や1台のみといった構成が混在していてもよい。
また、上記実施の形態5,6では、各スレーブ装置140a,140b,140a−1〜140c−2(160a,160b,160a−1〜160c−2)は、4チャンネル全てを対象として時間比例出力が重ならないよう制御を行ったが、このような制御の対象とはしないチャンネルが含まれていてもよい。即ち、1台のスレーブ装置の中、もしくは他のスレーブ装置との組み合わせにおいて、同時オンさせたくないチャンネルで、上記のようなスレーブ装置140a,140b,140a−1〜140c−2(160a,160b,160a−1〜160c−2)の同期制御を行えばよい。それ以外のチャンネルについては、複数チャンネルの同時オンを許容するような別の制御等で時間比例出力が送出される。このような場合、マスタ制御装置130(150)は、操作量として、同時オンさせたくないチャンネルの各スレーブ装置140a,140b,140a−1〜140c−2(160a,160b,160a−1〜160c−2)毎の操作量を演算して、これらの操作量を各スレーブ装置140a,140b,140a−1〜140c−2(160a,160b,160a−1〜160c−2)に与える。あるいは、同時オンしてもよいチャンネルは他のチャンネルのオンオフ状態に制限されることなくオンオフさせることも可能である。更に、以上の例の他に同時にオンさせたくないチャンネルの扱いは様々な組み合わせが考えられる。
尚、上記実施の形態5,6では、実際の時間比例制御を行わない独立したマスタ制御装置130(150)を設けたが、このようなマスタ制御装置130(150)を設けず、いずれかのスレーブ装置がマスタ制御装置130(150)の機能を有するよう構成してもよい。即ち、いずれかのスレーブ装置140a,140b,140a−1〜140c−2(160a,160b,160a−1〜160c−2)が、操作量演算部132(152)を備えるよう構成してもよい。
以上のように、実施の形態6の状態制御システムによれば、それぞれが制御対象への操作量に基づく駆動信号を出力し、かつ、それぞれが優先度を有する複数の状態制御装置と、複数の状態制御装置の制御対象への操作量を演算し、操作量に基づく駆動信号を各状態制御装置に送出するマスタ制御装置とを備え、複数の状態制御装置とマスタ制御装置とが時刻同期された状態制御システムであって、マスタ制御装置は、各状態制御装置の駆動信号遅延時間を記憶する駆動信号遅延時間記憶部と、優先度が(N+1)番目の状態制御装置に対して優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と駆動信号遅延時間記憶部に記憶された優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とを送出する駆動信号送出部とを有し、優先度が(N+1)番目の状態制御装置は、マスタ制御装置から受信した優先度が1からN番目までの状態制御装置の操作量に対応する情報と優先度が2から(N+1)番目までの状態制御装置の駆動信号遅延時間とに基づいて自状態制御装置の駆動信号を出力する時間を算出する駆動信号演算部とを有するようにしたので、実施の形態5と同様に、状態制御装置間の通信時間の無駄を無くし、状態制御システムとしての性能を向上させることができると共に、駆動信号情報は時間比例周期の中で1回だけ送信すれば良いため、超高速なデータバスといった通信路を必要とせず、状態制御装置を分散して配置することができる。
また、上記実施の形態3〜6の状態制御システムによれば、各状態制御装置は、同時に駆動信号を出力しない複数の制御対象に対応して複数の制御チャンネルを有するようにしたので、各状態制御装置が複数の制御チャンネルを有する場合でも、各状態制御装置間の時間比例出力が重なることなく制御対象の制御を行うことができる。
また、上記実施の形態3〜6において、優先度が上位の状態制御装置やマスタ制御装置から、状態制御装置の操作量を示す情報を駆動信号情報として送出するようにしたが、これら優先度が上位の状態制御装置やマスタ制御装置において、操作量に対応した駆動時間を演算し、これを駆動信号情報として送出するようにしてもよい。このような構成とした場合、受信側では、この駆動時間または駆動時間に駆動信号遅延時間を加算した時間で時間比例出力の開始タイミングを演算する。
尚、各実施の形態では、状態制御装置として温度制御を行う構成を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、湿度や圧力、流量等の制御を行う状態制御装置であっても良い。
100a,100b,100c,100a−1,100a−2,100b−1,100b−2,100b−3,100c−1,100c−2,110a,110b,110c,120a,120b,120c 状態制御装置
102,112,128,142,162 駆動信号演算部
103,113,123,143,163 制御信号生成部
104 時刻情報監視部
105 時刻情報送出部
114,124 駆動信号監視部
115,127,131,151 駆動信号送出部
116,129,146,153 駆動信号遅延時間記憶部
130,150 マスタ制御装置
140a,140b,140a−1,140a−2,140b−1,140b−2,140b−3,140c−1,140c−2,160a,160b,160a−1,160a−2,160b−1,160b−2,160b−3,160c−1,160c−2 スレーブ装置(状態制御装置)
144,164 駆動信号受信部
200 ネットワーク
300 測定信号出力部
400 制御対象