JP5361032B2 - 卓球用ラケット - Google Patents
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Description
一方、特許文献2に記載のものは、本発明者の開発に係るもので、前記特許文献1記載のものと比較すると、木質板ラケット本体に対する炭素繊維シート素材等の補強部材の配設の仕方に工夫を施しているので、前記のような木質板ラケット本体が本来有している撓りの良さ等の特性の良さが全く減殺されてしまうという弊害はないが、しかしそれでも木質板ラケット本体の特性の良さが必ずしも充分に発揮されるとはいえないおそれもときとして無しとは言えず、木質板のラケット本体の材質並びに細く絞られたグリップ部構造に伴う脆弱性の是正等その弱点の補強が万全になされたとは言いいがたいものであった。 即ちこの場合には、特許文献1記載のものと異なり、木質板ラケット本体1の広幅の打球面部(ラケット板体)2とこれに繋がる細幅のグリップ部3の外面全体に亘って炭素繊維素材やコルクシートの補強部材が接着されているものではないが、ラケット本体1の外面には本体撥形補強部材4が装着されている。この本体撥形補強部材4は、特許文献2の図2のbに示すように先端部が左右両側に翼状に拡開されて撥のような形状を有して、ラケット板体(打球面部)2のグリップ部3に続く細く絞られた下部周辺部とグリップ部3の外面全体に亘って接着されており、その内側にはコルクシート等の柔軟材7が重合接着されている。 従ってこの場合には、打球面部2にも斯かる撥形補強部材4の先端部の左右両側に拡開された撥形形状の部分や撥形補強部材4の内側に重合されたコルクシート等の柔軟材7による影響を受けて、ときとして打球面部2を含めてラケット本体1全体に必要以上の硬直化が発生するおそれがあり、また、ときとして打球時に有害で不快な衝撃振動のみならず意図する打球操作に必要で有益な適度な衝撃振動までもが除去されて手元側に伝わらないというおそれもあり、必ずしも木質板ラケットの適切な補強が万全になされているとは云い難い面をも有していた。 なお、特許文献2には、前記先端部が左右に拡開されて広幅の打球面部の周辺部にまでかかる撥形補強部材4を用いずに、ラケット本体のグリップ部3の外面に取り付けられるグリップ5の底面全体に亘って、グリップ底部補強部材9を施したものが示されているが、このグリップ底部補強部材9の内側にはやはりコルクシート等の柔軟材7が重合して接着されており、この場合においても、その影響等の関係で剛性が増して木質板ラケット本体がときとして硬直化するというおそれも無きにしもあらずで、やはりそれによっても前記木質板ラケットの脆弱性の弱点の補強が万全になされたとは云い難い面もあった。
そしてこの場合、前記ほぼ四辺形状の補強部材の小片を用いるときには、前記グリップ部の表面側外面又はグリップの底面部と平行にその幅方向に沿って一杯に横方向水平状に重合接着せしめるものであり、ほぼ円形状の補強部材の小片を用いるときには、前記グリップ部の表面側外面又はグリップの底面部と平行にその幅寸法内の位置に横方向水平状に重合接着せしめるものとする。
そしてまた、そのほぼ四辺形状の補強部材の小片又はほぼ円形状の補強部材の小片は、グリップ部の表面側外面又はグリップの底面部に直接に横方向水平状に接着される代わりに、グリップ部の表面側外面又はグリップの底面部に形成された切欠溝内にその底面に沿って横方向水平状に重合接着される場合もある。
即ち、上記に指摘したとおり特許文献1に記載のものは、炭素繊維シート素材等の補強部材片がラケット本体の広幅の打球面部とそれに続く細く絞られたグリップ部との面方向全面に沿って配設されているため、炭素繊維シート素材等の補強部材がもたらす強い剛性等による影響をまともに受けてとりわけ打球面部を含むラケット本体全体が必要以上に硬直化し、木質板ラケットの有する撓り等による良い特性が減殺され、打球の初速スピードとそれに伴うボールの勢い等による威力や飛びが増すという有利な面が見られる反面、打球時にボールに対する吸収力や接触時間が充分でないためボールに充分な回転をかけて意図する方向に操作するという操作性には優れず、また、炭素繊維素材等による高い振動減衰率によりラケット本体の手元側に集中する打球時に有害で不快な衝撃振動は除去される反面、打球時に必要な適度な衝撃振動までもが除去されて手元側に伝達されず、ボールに対する意図した打球の感触が得られないという難点が生じ、これによっては木質板ラケットの適切な補強がなされたとは云い難いものであった。 また特許文献2に記載のものは、打球面部も含めてラケット本体全体が炭素繊維シート素材の補強部材による強い剛性の影響をまともに受けるという弊害は除かれるが、それでも細く絞ったラケット本体のグリップ部の長さ方向に沿った面方向全面のみならずその先端部に続く左右両側に翼状に拡開する広幅のラケット本体の打球面部のグリップ部側周辺部の一部にまで及ぶ炭素繊維シート素材からなる撥形補強部材を用い且つその内側面全体にコルクシート等の柔軟材が重合して施されている、或いはこのラケット本体の打球面部の一部にまで及ぶ先端部が左右両側に翼状に拡開する撥形補強部材を用いずにグリップの底面部全面に亘り補強部材を施すものであっても更にその内側面側には同様に全面に亘ってコルクシート等の柔軟材が重合して施されているという関係上、ときとしてラケット本体全体が炭素繊維シート素材の持つ強い剛性の影響を受けて必要以上に硬直化する弊害が生ずるおそれを避けられず、また、ときとして打球時に有害で不快な衝撃振動のみならず意図する打球操作に必要で有益な適度な衝撃振動までもが除去されて手元側に伝わらないというおそれもあり、必ずしも木質板ラケットの脆弱性等の弱点に対する適切な補強が万全になされているとは云い難い面をも併せて有していた。
これに対し請求項1に係る本件発明においては、上記の如く構成したため、即ち木質板ラケット本体に対する炭素繊維シート素材等の補強部材の配設を木質板の持つ撓りの良さ等の特性が減殺されないように適度に且つ適切に施すことにより、木質板ラケット本体の材質上並びに細く絞られたグリップ部の構造上に伴って生ずる脆弱性等の弱点の補強が確実且つ適切になされて、上述の先行文献等の従来技術が有する諸難点が確実に解消され、ラケット本体を構成する木質板とそれに施す炭素繊維素材等の補強部材とが持つ双方の特性の良さが打球時に有効に発揮されるとともに,使用者の意図する戦法と戦略に応じた良好な打球感と打球操作を得ることができる卓球用ラケットを提供することが可能となったものである。
そして、ラケット本体のグリップ部の弱点が適度且つ適切に補強されたことにより、打球時に有害で不快な衝撃振動は除去されるとともに打球時に必要な適度な衝撃振動は手元に確実に伝達されるという利点も併有しているものである。
なお、その中でも、請求項23に記載のもの(後述の図8に示すもの)においては、炭素繊維シート素材等の補強部材片がラケット本体のグリップ部の表面側外面に取り付けられるグリップの底面の長さ方向に沿った面にそれと平行に従ってグリップ底面に対し横方向水平状に重合配設されているものではなく、長さがグリップの手元側から先端部に至る長さより短い長さで縦幅がグリップの上面から底面に至る厚さ寸法と等しいほぼ長方形状の補強部材片を,グリップの面方向中央部に長さ方向に沿ってその厚さ方向と平行に従ってグリップ底面に対しグリップの上面から底面に亘って縦方向垂直状に挿入配設されているものであるから、この配設状況により、この場合が木質板ラケット本体の材質上並びに広幅の打球面部に対しこれに続き細く絞られたグリップ部の構造上に伴う脆弱性等の問題点の補強を最も適度に且つ適切になし得るものの一つであると位置づけられる。
11 ラケット本体の打球面部(ラケット板体)
12 ラケット本体のグリップ部
13 ラケット本体のグリップ部の外面に取り付けられるグリップ
14 強化繊維シート素材等からなる平面ほぼ四辺形状の補強部材の小片
15 平面ほぼ円形状の補強部材の小片
16 ほぼ長方形状の補強部材片
17 グリップ内縦方向挿入配設のほぼ長方形状の補強部材片
18 グリップ内縦方向挿入配設のほぼ長方形状の補強部材片
19 平面ほぼ四辺形状の補強部材の小片
20 平面ほぼ四辺形状の補強部材の小片
21 切欠溝
22 平面ほぼ円形状の補強部材の小片
23 切欠溝
24 平面ほぼ四辺形状の補強部材の小片
25 切欠溝
Claims (11)
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面とこれに取り付けられるグリップとの間において、そのグリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った任意の一部の場所に形成した切欠溝内に、その底面の内部形状とほぼ等しい形状の強化繊維シート素材等の補強部材の小片を重合接着せしめてなることを特徴とする卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面に取り付けられるグリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った任意の一部の場所に形成した切欠溝内に配設される強化繊維シート素材等からなる補強部材の小片として、炭素繊維(カーボン)、アラミド繊維、ガラス繊維(グラスファイバー)、チタン、アルミの金属薄片又はチタン、アルミの合金薄片のいずれかを素材とするものを用いたことを特徴とする請求項1記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体及びこれに取り付けられるグリップがペンホルダー型であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体及びこれに取り付けられるグリップがシェークハンド型であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体として、木質単板を用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体として、木質合板を用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面に取り付けられるグリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った任意の一部の場所に形成された切欠溝内に重合接着される強化繊維シート素材等の補強部材の小片の配設手段として、前記グリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った手元側末端部寄り、中間部寄り、又は先端部寄りのいずれかの任意の場所の一箇所に、縦寸法がグリップの長さの約四分の一程度、横寸法がグリップのほぼ幅寸法に等しい寸法で採寸され適宜深さを有し平面形状がほぼ四辺形状である切欠溝をグリップの底面と平行にその幅方向に沿って形成し、該切欠溝内にその底面の内部形状とほぼ等しい四辺形状の補強部材の小片をその底面と平行に横方向水平状に重合接着せしめたものを用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面に取り付けられるグリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った任意の一部の場所に形成された切欠溝内に重合接着される強化繊維シート素材等の補強部材の小片の配設手段として、前記グリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った手元側末端部寄り、中間部寄り、又は先端部寄りのいずれかの任意の場所の一箇所に、直径がグリップの幅寸法より小径に採寸され適宜深さを有してほぼ円筒形状である切欠溝をグリップの底面と平行にその幅寸法内の位置に形成し、該切欠溝内にその底面の内部形状とほぼ等しい円形状の補強部材の小片をその底面と平行に横方向水平状に重合接着せしめたものを用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面に取り付けられるグリップの底面部の手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に至るまでの長さ方向に沿った任意の一部の場所に形成された切欠溝内に重合接着される強化繊維シート素材等の補強部材の小片の配設手段として、グリップの底面部にその手元側末端部からラケット本体の打球面部側先端部に向かって、横幅がグリップの横幅より狭く長さがグリップの長さより短尺で適宜深さに採寸されたほぼ長方形状の切欠溝をグリップの底面部と平行にその長さ方向に沿ってその幅寸法内の位置に形成し、該切欠溝内にその底面の内部形状とほぼ等しい形状の強化繊維シート素材等の補強部材の小片をその底面と平行に横方向水平状に重合接着したものを用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面とこれに取り付けられるグリップとの間において、前記グリップの面方向で長さ方向に沿った中央部にグリップの手元側末端部よりラケット本体の打球面部側先端部に向かって、縦幅がグリップの上面より底面に至る厚さ寸法に等しく長さがグリップの長さより短尺に採寸された強化繊維シート素材等のほぼ長方形状の補強部材の小片を、グリップ内にそのグリップの厚さ方向と平行にグリップの上面から底面に亘って縦方向垂直状に挿入配設せしめたことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の卓球用ラケット。
- ラケット本体のグリップ部の表面側外面とこれに取り付けられるグリップとの間において、前記グリップの面方向で長さ方向に沿った中央部にグリップの手元側末端部よりラケット本体の打球面部側先端部に向かって、縦幅がグリップの上面より底面に至る厚さ寸法に等しく長さがグリップの長さより短尺に採寸された強化繊維シート素材等のほぼ長方形状の補強部材の小片を、グリップ内にそのグリップの厚さ方向と平行にグリップの上面から底面に亘って縦方向垂直状に挿入配設するとともに、前記グリップの底面部の手元側末端部寄りの位置に、縦寸法がグリップの長さの約四分の一程度、横寸法がグリップのほぼ幅寸法に等しい寸法を有し平面形状がほぼ四辺形状の補強部材の小片を、グリップの面方向と平行にその幅方向に沿って横方向水平状に重合接着せしめたものを用いたことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の卓球用ラケット。
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