JP5359632B2 - ヘッドユニット、液体吐出装置、及び、ヘッドユニットの駆動方法 - Google Patents

ヘッドユニット、液体吐出装置、及び、ヘッドユニットの駆動方法 Download PDF

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本発明は、インクジェット式プリンター等に搭載されるヘッドユニット、インクジェット式プリンター等の液体吐出装置、及び、ヘッドユニットの制御方法に関するものであり、特に、駆動信号に含まれる駆動パルスを圧力を発生させる素子に印加することにより液体の吐出を制御可能なヘッドユニット、液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法に関するものである。
液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象物)に対して吐出・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
上記プリンターは、吐出駆動パルスを圧力発生素子(例えば、圧電振動子や発熱素子等)に印加してこれを駆動することにより圧力発生室内の液体に圧力変化を与え、この圧力変化を利用して圧力発生室に連通したノズルから液体を吐出させるように構成されたものがある。例えば、特許文献1に開示されているプリンターでは、ノズルのメニスカスを圧力発生室側に最大限引き込む準備の膨張工程と、この状態を保持してインク滴の吐出のタイミングを図るホールド工程と、圧力発生室の収縮によってインク滴を吐出させる第1の収縮工程と、吐出動作の反動によるメニスカスの引き込みを低減する第2の収縮工程と、を含む駆動パルス(駆動波形)が用いられている。即ち、膨張工程でメニスカスを圧力発生室側に引き込んだ後、圧力発生室側を収縮させることにより、メニスカスの引き込みの反動を利用してインク滴を吐出させることができるようになっている。
特許第3412682号公報
ところで、上記した従来の駆動パルスのように、圧力発生室を単に膨張・収縮させてインクを吐出する構成では、従来家庭などで使用されていたインクジェットプリンターにおけるインク等の液体よりも粘度の高い液体(以下、高粘度液体ともいう。)を用いたときに微小な液滴を吐出することが困難であった。
図11は、従来の駆動パルスによって高粘度液体を吐出する動作におけるノズルのメニスカスの動きを説明する模式図である。なお、図の上側が圧力発生室側、図の下側が吐出側である。図11(a)に示すように、膨張工程において急激に圧力発生室側に引き込むと、メニスカスは、ノズル内周面の影響を受け難い中央部ほどより速い速度で圧力発生室側に移動する一方、ノズル内周面に近いほどその粘性力が影響してノズル内周面に引っ張られて圧力変化に追従し難いため移動速度が遅くなる(以下、この部分を境界層と呼ぶ)。このため、従来の膨張工程ではメニスカス全体を大きく引き込むことができない。吐出されるインク滴を微小化するには、境界層を含めてメニスカス全体を大きく引き込み、その反動でメニスカス中央部を吐出側に押し出して、この中央部だけを切り離して吐出させる必要がある。しかしながら、メニスカス全体を大きく引き込めないと、中央部を押し出したときに、図11(b)に示すように、境界層と一緒に押し出されてしまうため、その結果、吐出されるインク滴が大きくなってしまう。
また、図11(c)に示すように、高粘度のインクでは、ノズルから吐出された際にインクの後端部が尾のように伸びる現象(尾曳)がより顕著になる傾向にある。そして、この尾の部分がインク滴本体から分離して飛翔し、着弾対象物において正規の位置(望ましい位置)に着弾しない虞があった。例えば、インクジェットプリンターでは、尾の部分がミストになって正規の位置からずれて着弾してドットが分離し、これにより、画質の劣化が生じるという問題があった。特に、高粘度液体では、尾の部分が幾つにも分離することにより、これらの複数に分離した部分(サテライトインク滴或いはミスト)が画質を著しく低下させる原因となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高粘度液体を吐出する場合に液滴の微小化を図ると共にミスト等の発生を抑えてドットの分離を防止することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吐出するノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
を備えるヘッドユニットであって、
前記吐出パルスは、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張要素と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮要素と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張要素と、を含むパルス波形であり、
前記第1の圧力発生室膨張要素は、第1の変化率で電位が変化する第1急膨張要素と、当該第1急膨張要素よりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化する第1緩膨張要素と、を少なくとも含み、
前記第2の圧力発生室膨張要素は、第3の変化率で電位が変化する第2急膨張要素と、当該第2急膨張要素よりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化する第2緩膨張要素と、を少なくとも含み、前記第2急膨張要素と前記第2緩膨張要素との間に、前記第2急膨張要素によって膨張された圧力発生室の膨張状態を一定時間維持する膨張維持要素を含み、
前記膨張維持要素は、前記第2急膨張要素により圧力発生室が膨張された後、ノズル内周面側のメニスカスが圧力発生室側から吐出側に移動方向を反転するまで圧力発生室の膨張状態を維持し、
前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、
前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、ヘッドユニットである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 振動子ユニットの構成を説明する斜視図である。 図4Aは、ノズルの形状を説明する断面図であり、図4Bは、ノズルをテーパー部分側から見た図である。 インク流路を模式的に説明する図である。 評価結果の一覧を示す図である。 吐出駆動パルスの構成を説明する波形図である。 (a)〜(c)は、インク滴を吐出する際のメニスカスの動きを示す模式図である。 (a)〜(c)は、インク滴を吐出する際のメニスカスの動きを示す模式図である。 第2の実施形態における吐出駆動パルスの構成を説明する波形図である。 従来の吐出駆動パルスを用いてインク滴を吐出する際のメニスカスの動きを示す模式図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
液体を吐出するノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
を備えるヘッドユニットであって、
前記吐出パルスは、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張要素と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮要素と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張要素と、を含むパルス波形であり、
前記第1の圧力発生室膨張要素と前記第2の圧力発生室膨張要素は、複数の異なる電位変化率を有し、
前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、
前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、ヘッドユニット。
ここで、「電位変化率」とは、単位時間当たりの電位の変化量を意味する。
このようにすることで、高粘度液体を吐出する場合に液滴の微小化を図ると共にミスト等の発生を抑えてドットの分離を防止することができる。
かかるヘッドユニットであって、前記ノズルの第1部分は、テーパー角度が40度以上の円錐台状の空間を区画することが望ましい。
このようにすることで、液体の尾の部分が過度に長くなることを抑制できる。尚、40度とあるのは、厳密な角度を示すものではなく、多少のばらつきが許容される。
また、前記ノズルの第2部分は、断面積をノズル方向と直交する面で変えない形状であることが望ましい。
このようにすることで、吐出された液体滴の飛行方向を安定させることができる。
また、前記第1の圧力発生室膨張要素は、第1の変化率で電位が変化する第1急膨張要素と、当該第1急膨張要素よりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化する第1緩膨張要素と、を少なくとも含むことが望ましい。
このようにすることで、第1急膨張要素の前に、より緩やかな電位変化の第1緩膨張要素を発生させることにより、吐出される液滴の微少化を図ることができる。すなわち、第1緩膨張要素によってメニスカスを圧力発生室側に比較的緩やかに引き込むことにより、圧力変化に追従し難いノズル内周面側のメニスカスを、圧力変化に追従しやすい中央部側のメニスカスに追従させることができる。その後、第1急膨張要素により急激にメニスカスを引き込んだ後、圧力発生室を膨張させてメニスカスの中央部を押し出すことにより、この中央部を微少な液滴として吐出させることができる。
また、前記第2の圧力発生室膨張要素は、第3の変化率で電位が変化する第2急膨張要素と、当該第2急膨張要素よりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化する第2緩膨張要素と、を少なくとも含むことが望ましい。
また、前記第2の圧力発生室膨張要素は、前記第2急膨張要素と前記第2緩膨張要素との間に、前記第2急膨張要素によって膨張された圧力発生室の膨張状態を一定時間維持する膨張維持要素を含み、前記膨張維持要素は、前記第2急膨張要素により圧力発生室が膨張された後、ノズル内周面側のメニスカスが圧力発生室側から吐出側に移動方向を反転するまで圧力発生室の膨張状態を維持することが望ましい。
このようにすることで、第2急膨張要素によって比較的速い速度で圧力発生室を膨張させることで、圧力発生室収縮要素によって吐出側に盛り上がったメニスカス中央部(柱状部)の周囲が急激に引き込まれるので柱状部を小さくすることができる。その後、第2緩膨張要素により比較的遅い速度で圧力発生室を再度膨張させることにより、柱状部が過度に伸びることを抑制することができる。これにより、液滴の一層の微少化と尾曳の抑制に寄与することができる。
液体を吐出するノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
を備える液体吐出装置であって、
前記吐出パルスは、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張要素と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮要素と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張要素と、を含むパルス波形であり、
前記第1の圧力発生室膨張要素と前記第2の圧力発生室膨張要素は、複数の異なる電位変化率を有し、
前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、
前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、液体吐出装置。
このようにすることで、高粘度液体を吐出する場合に液滴の微小化を図ると共にミスト等の発生を抑えてドットの分離を防止することができる。
液体を吐出するノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
を備え、前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、ヘッドユニットの駆動方法であって、
前記吐出パルスを前記素子に印加することによる吐出動作は、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張工程と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮工程と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張工程と、を含み、
前記第1の圧力発生室膨張工程と前記第2の圧力発生室膨張工程は、膨張の過程で膨張速度が変化する、ヘッドユニットの駆動方法。
このようにすることで、高粘度液体を吐出する場合に液滴の微小化を図ると共にミスト等の発生を抑えてドットの分離を防止することができる。
===実施形態===
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1はプリンターの電気的な構成を示すブロック図である。このプリンターは、プリンターコントローラー1とプリントエンジン2とで概略構成されている。プリンターコントローラー1は、ホストコンピューター等の外部装置との間でデータの授受を行う外部インターフェース(外部I/F)3と、各種データ等を記憶するRAM4と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM5と、各部の制御を行う制御部6と、クロック信号を発生する発振回路7と、記録ヘッド10へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路8と、ドットパターンデータや駆動信号等を記録ヘッド10に出力するための内部インターフェース(内部I/F)9とを備えている。
制御部6は、各部の制御を行うほか、外部装置から外部I/F3を通じて受信した印刷データを、ドットパターンデータに変換し、このドットパターンデータを内部I/F9を通じて記録ヘッド10側に出力する。このドットパターンデータは、階調データをデコード(翻訳)することにより得られる印字データによって構成してある。また、制御部6は、発振回路7からのクロック信号に基づいて記録ヘッド10に対してラッチ信号やチャンネル信号等を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号に含まれるラッチパルスやチャンネルパルスは、駆動信号を構成する各パルスの供給タイミングを規定する。
駆動信号発生回路8は、制御部6によって制御され、圧電振動子20を駆動するための駆動信号を発生する。本実施形態における駆動信号発生回路8は、インク滴(液滴の一種)を吐出して記録紙(着弾対象物の一種)上にドットを形成するための吐出駆動パルスや、ノズル37(図2参照)に露出したインク(液体の一種)の自由表面、即ち、メニスカスを微振動させてインクを攪拌するための微振動パルス等を一記録周期内に含む駆動信号COMを発生するように構成されている。
次に、プリントエンジン2側の構成について説明する。プリントエンジン2は、記録ヘッド10と、キャリッジ移動機構12と、紙送り機構13と、リニアエンコーダー14とから構成されている。記録ヘッド10は、シフトレジスター(SR)15、ラッチ16、デコーダー17、レベルシフター(LS)18、スイッチ19、及び圧電振動子20を備えている。プリンターコントローラー1からのドットパターンデータSIは、発振回路7からのクロック信号CKに同期して、シフトレジスター15にシリアル伝送される。このドットパターンデータは、2ビットのデータであり、例えば、非記録(微振動)、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調の記録階調(吐出階調)を表す階調情報によって構成されている。具体的には、非記録は階調情報「00」、小ドットは階調情報「01」、中ドットが階調情報「10」、大ドットが階調情報「11」と表される。
シフトレジスター15には、ラッチ16が電気的に接続されており、プリンターコントローラー1からのラッチ信号(LAT)がラッチ16に入力されると、シフトレジスター15のドットパターンデータをラッチする。このラッチ16にラッチされたドットパターンデータは、デコーダー17に入力される。このデコーダー17は、2ビットのドットパターンデータを翻訳してパルス選択データを生成する。このパルス選択データは、駆動信号COMを構成する各パルスに各ビットを夫々対応させることで構成されている。そして、各ビットの内容、例えば、「0」,「1」に応じて圧電振動子20に対する吐出駆動パルスの供給又は非供給が選択される。
そして、デコーダー17は、ラッチ信号(LAT)又はチャンネル信号(CH)の受信を契機にパルス選択データをレベルシフター18に出力する。この場合、パルス選択データは、上位ビットから順にレベルシフター18に入力される。このレベルシフター18は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合、スイッチ19を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフター18で昇圧された「1」のパルス選択データは、スイッチ19に供給される。このスイッチ19の入力側には、駆動信号発生回路8からの駆動信号COMが供給されており、スイッチ19の出力側には、圧電振動子20が接続されている。
そして、パルス選択データは、スイッチ19の作動、つまり、駆動信号中の駆動パルスの圧電振動子20への供給を制御する。例えば、スイッチ19に入力されるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ19が接続状態になって、対応する吐出駆動パルスが圧電振動子20に供給され、この吐出駆動パルスの波形に倣って圧電振動子20の電位レベルが変化する。一方、パルス選択データが「0」である期間中は、レベルシフター18からはスイッチ19を作動させるための電気信号が出力されない。このため、スイッチ19は切断状態となり、圧電振動子20へは吐出駆動パルスが供給されない。
このような動作を行うデコーダー17、レベルシフター18、スイッチ19、制御部6、及び駆動信号発生回路8は、吐出制御手段として機能し、ドットパターンデータに基づき、駆動信号の中から必要な吐出駆動パルスを選択して圧電振動子20に印加(供給)する。その結果、圧電振動子20が伸張又は収縮し、この圧電振動子20の伸縮に伴って圧力発生室35(図2参照)が膨張又は収縮することにより、ドットパターンデータを構成する階調情報に応じた量のインク滴がノズルから吐出される。
図2は、上記記録ヘッド10(液体噴射ヘッドの一種)の構成を説明する要部断面図である。この記録ヘッド10は、ケース23と、このケース23内に収納される振動子ユニット24と、ケース23の底面(先端面)に接合される流路ユニット25等を備えている。上記のケース23は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット24を収納するための収納空部26が形成されている。振動子ユニット24は、圧力発生素子の一種として機能する圧電振動子20と、この圧電振動子20が接合される固定板28と、圧電振動子20に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル29とを備えている。図3に示すように、圧電振動子20は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電振動子である。
流路ユニット25は、流路形成基板30の一方の面にノズルプレート31を、流路形成基板30の他方の面に振動板32をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット25には、リザーバー33(共通液体室)と、インク供給口34と、圧力発生室35と、ノズル37とを設けている。そして、インク供給口34から圧力発生室35を経てノズル37に至る一連のインク流路が、各ノズル37に対応して形成されている。
上記ノズルプレート31は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば360dpi)で複数のノズル37が列状に穿設されたステンレス等の金属製の薄いプレートである。このノズルプレート31には、ノズル37を列設してノズル列(ノズル群)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば360個のノズル37によって構成される。
上記振動板32は、支持板38の表面に弾性体膜39を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板38とし、この支持板38の表面に樹脂フィルムを弾性体膜39としてラミネートした複合板材を用いて振動板32を作製している。この振動板32には、圧力発生室35の容積を変化させるダイヤフラム部40が設けられている。また、この振動板32には、リザーバー33の一部を封止するコンプライアンス部41が設けられている。
上記のダイヤフラム部40は、エッチング加工等によって支持板38を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部40は、圧電振動子20の自由端部の先端面が接合される島部42と、この島部42を囲う薄肉弾性部43とからなる。上記のコンプライアンス部41は、リザーバー33の開口面に対向する領域の支持板38を、ダイヤフラム部40と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー33に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
そして、上記の島部42には圧電振動子20の先端面が接合されているので、この圧電振動子20の自由端部を伸縮させることで圧力発生室35の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力発生室35内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド10は、この圧力変動を利用してノズル37からインク滴を吐出させるようになっている。
図4Aは、ノズルの形状を説明する断面図である。図4Bは、ノズルをテーパー部分側から見た図である。図4Aと図4Bに示すように、ノズル37は漏斗状をしており、テーパー形状のテーパー部分371と、このテーパー部分371における吐出側端部に連通するストレート部分372とを有する。テーパー部分371は、円錐台状の空間を区画する部分であり、ノズル37における第1部分に相当する。ストレート部分372は、ノズル37における第2部分に相当し、断面積をノズル方向と直交する面でほぼ変えない形状であって円柱状の空間を区画する部分である。言い換えれば、吐出方向と直交する方向の断面形状が、吐出方向における何れの場所においても一定の円形である部分である。テーパー部分371は、圧力発生室35側(図4Aにおける下側)に向かうほど開口面積が大きくなっている。言い換えれば、インク滴の吐出側における開口面積が圧力発生室35側における開口面積よりも小さく定められている。例えば、テーパー部分371における中間位置の直径φ37bは圧力発生室35側の端部の直径φ37aよりも小さい。また、吐出側端部(ストレート部分372側の端部)の直径φ37cは中間位置の直径φ37bよりも小さい。
テーパー部分371は、以下のように作用していると考えられる。すなわち、圧力発生室35を収縮してインクを加圧すると、その力はノズル37内のインクにも作用する。この力(吐出方向への押圧力)を受けると、テーパー部分371に沿って移動する。テーパー部分371はインクが流れる流路を絞っているので、インクに与えられる力はより大きなものとなって応力が集中する。これにより、テーパー部分371におけるストレート部分372との境界部分に、圧力の高い部分を集中させることができる。そして、インクを加圧するタイミングを、テーパー部分371まで引き込まれたメニスカスがストレート部分372に戻る前に定めている。言い換えれば、ストレート部分372のインクが極力少ない状態でインクを加圧している。これにより、テーパー部分371の吐出側端部に存在するインクに加圧力を集中させることができ、インクを局所的に強く加圧できる。
このような考えに基づいて、テーパー角度θ37についての検討をした。ここでは、テーパー角度θ37を20度、25度、30度、40度、50度、60度、80度に定め、それぞれのテーパー角度のノズル37から粘度8mPa・s、10mPa・s、15mPa・s、20mPa・s、30mPa・s、40mPa・sのインクを吐出させて評価を行った。なお、この評価においては、ノズル37のインピーダンスZ37がインク供給口34のインピーダンスZ37よりも小さくなるようにノズル37の形状を定めている。また、テーパー角度θ37が80度以上のノズル37については評価の対象から外している。これは、80度以上であれば(要するに、鋭角にならない角度範囲のテーパー面が設けられていれば)テーパー面に沿ってインクが流れるので、圧力集中の効果が得られるからである。この場合、テーパーの最大角度は圧力室35の幅、ノズル37ピッチ、ノズル37の長さ等によって決まる。
図5は、評価結果の一覧を示している。この図において縦の項目はインクの粘度であり、横の項目はテーパー角度θ37である。そして、評価結果に関し、記号×は、インクが滴状にならず吐出されなかったことを意味する。また、記号△は、インク滴における飛行方向の後側に生じる尾の部分が、プリンタとして支障が生じうる長さであることを意味する。この評価では、尾の部分が500μmよりも長い場合に、△の評価としている。従って、記号○は、尾の部分がプリンタ1として支障が生じない程度の長さであることを示している。
この評価結果から次のことがいえる。すなわち、テーパー角度θ37とインクの粘度との間には相関関係があり、粘度が高いインクほどテーパー角度θ37を大きくすることが好ましいといえる。このことは、インクを吐出できない評価×に着目すると理解できる。例えば、テーパー角度が20度の場合には、粘度20mPa・s以上のインクで評価×になっており、テーパー角度が25度及び30度の場合には粘度30mPa・s以上のインクで評価×になっている。そして、テーパー角度が40度以上60度以下の場合には粘度40mPa・sのインクで評価×になっている。また、テーパー角度が80度以上の場合には粘度40mPa・sのインクで評価△になっている。
評価○に着目すると、テーパー角度θ37にはインクの粘度に応じた適正範囲があることが判る。例えば、粘度が8mPa・s以上であって15mPa・s以下のインクを吐出させるのであれば、テーパー角度θ37は40度以上であればよいことが判る。また、粘度が8mPa・s以上であって30mPa・s以下のインクを吐出させるのであれば、テーパー角度θ37は50度以上であればよいことが判る。
次に、テーパー部分371の長さL37aについて検討する。応力をテーパー部分371におけるストレート部分372側に集中させるという作用効果からすれば、テーパー部分371が設けられていればこの作用効果を得られる。従って、長さは問わないといえる。そして、高粘度インクをより安定的に吐出させるという観点からすれば、長さL37aはストレート部分372以上の長さ(ノズル37長さL37の1/2)を有することが好ましいといえる。加えて、本実施形態のノズル37のノズル37長さL37が100μmであり、そのうちの80μmがテーパー部分371の長さL37aである。そうすると、テーパー部分371の長さL37aは、ノズル37長さL37の4/5を有することがより好ましいといえる。このように、ノズル37長さL37におけるテーパー部分371の比率を増やすと、圧力の高い部分を容易に得ることができる。
図6は、インク流路を模式的に説明する図である。模式的な図であるので、インク流路は、実際とは異なる形状で示されている。しかし、インク供給口34に関しては、実際も矩形状の開口を有する直方体状の空間として構成されている。従って、インク供給口34の開口の大きさは、圧力室35を区画する面であってインク供給口34と連通する面の外縁よりも小さく定められている。
ところで、高粘度インクは、通常のインクよりもインク供給口34を通過しにくい特性を有する。このため、圧力室35へのインクの供給が追いつかず、インクが不足した状態でインクの吐出動作が行われると、インクの吐出が不安定になると考えられる。
このような事情に鑑み、本実施形態のヘッド10では、ノズル37の開口面積を、インク供給口34の開口面積に基づいて定めている。ここでノズル37の開口面積は、ストレート部分372における開口φ37cの面積である。すなわち、図6に示すように、ノズル37の吐出側の開口面積Snzlが、インク供給口34の圧力室35側の開口面積Ssupの1/10以下になるように構成している。これにより、ノズル37からのインク滴の吐出量を制限しつつ、圧力室35へのインクの供給量を確保している。その結果、圧力室35へのインクの供給不足を解消でき、インクの吐出を安定化できる。
図7は、上記構成の駆動信号発生回路8が発生する駆動信号COMに含まれる吐出駆動パルスDPの構成を説明する波形図である。例示した吐出駆動パルスDPは、本実施形態におけるプリンターにおいて吐出可能なインク滴のうち最もサイズの小さいインク滴を吐出するための吐出駆動パルス(小ドット吐出駆動パルス)である。この吐出駆動パルスDPは、基準電位VLから第1膨張電位VH1まで電位を上昇させて圧力発生室35を基準容積から最大膨張容積まで膨張させる第1の圧力発生室膨張要素p1と、圧力発生室35の膨張状態を一定時間維持する第1膨張電位VH1で一定な第1ホールド要素p2と、第1膨張電位VH1から収縮電位VL2まで一定勾配で電位を降下させて圧力発生室35を収縮させる第1収縮要素p3(圧力発生室収縮要素)と、圧力発生室35の収縮状態を維持する収縮電位VL2で一定な第2ホールド要素p4と、収縮電位VL2から第2膨張電位VH2まで電位を上昇させて圧力発生室35を膨張させる第2の圧力発生室膨張要素p5と、圧力発生室35の膨張状態を一定時間維持する第2膨張電位VH2で一定な第3ホールド要素p6と、第2膨張電位VH2から基準電位VLまで一定勾配で電位を降下させて圧力発生室35を収縮させて基準容積まで復帰させる第2収縮要素p7と、を含んで構成されている。
ここで、この吐出駆動パルスDPにおける各圧力発生室膨張要素p1,p5は、複数の電位変化率を有することを特徴としている。即ち、各圧力発生室膨張要素p1,p5は、圧力発生室の膨張の過程で膨張速度を変えるように構成されている。
まず、第1の圧力発生室膨張要素p1は、第1の変化率(従来の微小インク用吐出駆動パルスの第1の圧力発生室膨張要素と同等の変化率)で電位が変化する第1急膨張要素p1bと、この第1急膨張要素p1bよりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化する第1緩膨張要素p1aと、から構成されている。第1緩膨張要素p1aは、基準電位VLから第1中間電位VM1まで電位を上昇させて圧力発生室35を基準容積から第1中間膨張容積まで比較的緩やかに膨張させる波形要素である。また、第1急膨張要素p1bは、第1中間電位VM1から第1膨張電位VH1まで電位を上昇させて圧力発生室35を第1中間膨張容積から最大膨張容積まで比較的急峻に膨張させる波形要素である。
また、第2の圧力発生室膨張要素p5は、第3の変化率(第1急膨張要素p1bの第1の変化率と同等か又はこれよりも少し大きい変化率)で電位が変化する第2急膨張要素p5aと、この第2急膨張要素p5aよりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化する第2緩膨張要素p5cと、これらの第2急膨張要素p5と第2緩膨張要素p5cとの間に発生する中間ホールド要素p5b(本発明における膨張維持要素に相当)から構成されている。第2急膨張要素p5aは、収縮電位VL2から第2中間電位VM2まで電位を上昇させて圧力発生室35を比較的急峻に膨張させる波形要素である。中間ホールド要素p5bは、第2中間電位VM2で一定な波形要素である。第2緩膨張要素p5cは、第2中間電位VM2から第2膨張電位VH2まで電位を上昇させて圧力発生室35を比較的緩やかに膨張させる波形要素である。
上記吐出駆動パルスDPが圧電振動子20に印加されると次のように作用する。まず、第1の圧力発生室膨張要素p1の第1緩膨張要素p1aにより圧電振動子20が収縮して、基準電位VLに対応する最小容積から第1中間電位VM1で規定される第1中間膨張容積まで圧力発生室35が緩やかに膨張する(第1緩膨張工程)。これにより、図8(a)に示すように、メニスカスが、圧力発生室35側に比較的ゆっくりとした速度で引き込まれる。このようにメニスカスをゆっくり引き込むことにより、メニスカスにおけるノズル内周面近傍の境界層をメニスカス中央部に追従させながら全体的に圧力発生室側に移動させることができる。なお、図における矢印はメニスカスの移動方向を示す。
続いて、内径が一定なストレート部37aと圧力発生室35側に向けて次第に内径が大きくなるテーパー部37bとの境界を越える程度までメニスカスが引き込まれたタイミングで、第1の圧力発生室膨張要素p1の第1急膨張要素p1bが圧電振動子20に印加される。この第1急膨張要素p1bにより、圧電振動子20が収縮して圧力発生室35が第1中間膨張容積から最大膨張容積までインクが吐出されない程度に急激に膨張する(第1急膨張工程)。これにより、図8(b)に示すように、メニスカスが、第1緩膨張工程よりも速い速度で圧力発生室35側に引き込まれ、メニスカス全体を大きく引き込むことができる。この圧力発生室35の膨張状態は、第1ホールド要素p2の供給期間中に亘って維持される。その後、第1収縮要素p3が圧電振動子20に印加されることにより圧電振動子20が急激に伸長して圧力発生室35の容積が最大膨張容積から収縮電位VL2に対応する収縮容積まで収縮する(第1の収縮工程。圧力発生室収縮工程に相当)。この圧力発生室35の急激な収縮によって圧力発生室35内のインクが加圧され、これにより、図8(c)に示すように、圧力変動に追従し易いメニスカスの中心部分が吐出側に押し出されて柱状に盛り上がる(以下、この部分を柱状部という。)。そして、圧力発生室35の収縮状態は、第2ホールド要素p4の供給期間に亘って維持される。
その後、第2の圧力発生室膨張要素p5の第2急膨張要素p5aが圧電振動子20に印加され、これにより、圧電振動子20が収縮して圧力発生室35が収縮容積から第2中間電位VM2に対応する第2中間膨張容積まで急激に膨張する(第2急膨張工程)。これにより、メニスカスにおいて柱状部の周囲が、比較的速い速度で圧力発生室35側に引き込まれる。一方、柱状部は、第1の収縮工程で吐出側に押し出されたときの慣性力により、吐出側に移動を続ける。続いて、中間ホールド要素p5bが圧電振動子20に印加されて、中間膨張容積が一定時間維持される。この間に、図9(a)に示すように、メニスカスの境界層の移動方向が圧力発生室35側から吐出側に反転する。このタイミングで、第2緩膨張要素p5cが圧電振動子20に印加され、これにより、圧力発生室35が第2中間膨張容積から第2膨張電位VH2に対応する第2膨張容積まで緩やかに再度膨張する(第2緩膨張工程)。これにより、図9(b)に示すように、メニスカスにおいて柱状部の周囲が、比較的ゆっくり圧力発生室35側に引き込まれる。この際、柱状部は、最大限まで伸びる。このときの圧力発生室35の膨張状態は、第3ホールド要素p6の供給期間中に亘って維持される。
その後、図9(c)に示すように、柱状部分が途中で千切れて、メニスカスから分離した部分が、ノズル37の内径よりも小さい径の微小な数plのインク滴としてノズル37から吐出される。そして、第3ホールド要素p6の後に続いて、インク滴の吐出による反動でメニスカスが圧力発生室35側に引き込まれるタイミングで、第2収縮要素p7が圧電振動子20に印加されて圧電振動子20が伸張すると、圧力発生室35が第2膨張電位VH2で規定される第2膨張容積から基準容積まで収縮する(第2の収縮工程)。これにより、メニスカスが圧力発生室側に引き込まれることを抑えて、メニスカスの残留振動が抑制されると共に、メニスカスを吐出されたインク滴に近づけることで余分なインクがメニスカスに吸収され、これにより、吐出されたインク滴の後端部の尾のように伸びること(尾曳)が抑制される。
このように、第1の圧力発生室膨張要素p1(第1の圧力発生室膨張工程)では、第1緩膨張要素p1aによって最初は比較的遅い速度で圧力発生室35を膨張させることで、メニスカスの境界層を中央部に追従させながら引き込むことができ、その後、第1急膨張要素p1bによって比較的速い速度で圧力発生室35を膨張させることで、メニスカス全体を大きく引き込むことができる。また、第2の圧力発生室膨張要素p5(第2の圧力発生室膨張工程)では、第2急膨張要素p5aにより比較的速い速度で圧力発生室35を膨張させることで、第1の収縮工程において吐出側に盛り上がった柱状部の周囲が急激に引き込まれ、柱状部を小さくすることができ、その後、中間ホールド要素p5bによって膨張状態を維持してメニスカスの境界層の移動方向が圧力発生室35側から吐出側に反転するタイミングを待ってから第2緩膨張要素p5cにより比較的遅い速度で圧力発生室35を再度膨張させることにより、柱状部が過度に伸びることを抑制することができる。その結果、従来よりも高粘度のインクを用いる場合においても、インク滴の微小化が可能となり、また、インク滴の尾曳が抑えられるのでミスト等の発生が防止され、ドットの分離を抑制することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
上記実施形態では、本発明における吐出駆動パルスの一例として、図7に示す吐出駆動パルスDPを挙げて説明したが、吐出駆動パルスの形状はこれには限られない。要は、少なくとも、圧力発生室を予備的に膨張させるための第1の圧力発生室膨張要素p1と、膨張した圧力発生室を収縮させてメニスカスを押し出すための第1収縮要素p3(圧力発生室収縮要素)と、その後圧力発生室を膨張させる第2の圧力発生室膨張要素p5とを含む構成の吐出駆動パルスであれば、任意の波形のものを用いることができる。
例えば、図10は第2の実施形態における吐出駆動パルスDP′の構成を例示する図である。この第2の実施形態における吐出駆動パルスDP′は、まず、第1の圧力発生室膨張要素p1において、第1緩膨張要素p1aと第1急膨張要素p1bとの間に、中間ホールド要素p1cが設けられている点が上記第1の実施形態の吐出駆動パルスDPとは異なる。この中間ホールド要素p1cを設けることにより、第1緩膨張要素p1aによる圧力発生室35の引き込みの後、第1急膨張要素p1bによる圧力発生室35の引き込みのタイミングを調整することができる。また、吐出駆動パルスDP′は、第2の圧力発生室膨張要素p5において、第2急膨張要素p5と第2緩膨張要素p5cとの間の中間ホールド要素p5bが無い点も上記第1の実施形態における吐出駆動パルスDPと異なっている。
また、上記各実施形態では、第1の圧力発生室膨張要素p1及び第2の圧力発生室膨張要素p5に関し、2つの変化率を有する構成を例示したが、これには限られず、3つ以上の変化率を有する構成を採用することもできる。
また、上記各実施形態では、圧力発生素子として、所謂縦振動型の圧電振動子20を例示したが、これには限られず、例えば、所謂撓み振動型の圧電振動子を採用することも可能である。この場合、例示した駆動信号に関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
さらに、ノズルの形状に関し、上記実施形態では、内径が一定なストレート部37aと圧力発生室35側に向けて次第に内径が大きくなるテーパー部37bとから構成されるノズルを例示したがこれには限られない。要は、吐出側よりも圧力発生室側の断面積が大きくなっているような構造のノズルであれば良い。
そして、本発明は、複数の駆動信号を用いて吐出制御が可能な液体吐出装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンターコントローラー,2…プリントエンジン,6…制御部,8…駆動信号発生回路,10…記録ヘッド,20…圧電振動子,24…振動子ユニット,35…圧力発生室,37…ノズル

Claims (5)

  1. 液体を吐出するノズルと、
    前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
    前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
    前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
    前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
    を備えるヘッドユニットであって、
    前記吐出パルスは、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張要素と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮要素と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張要素と、を含むパルス波形であり、
    前記第1の圧力発生室膨張要素は、第1の変化率で電位が変化する第1急膨張要素と、当該第1急膨張要素よりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化する第1緩膨張要素と、を少なくとも含み、
    前記第2の圧力発生室膨張要素は、第3の変化率で電位が変化する第2急膨張要素と、当該第2急膨張要素よりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化する第2緩膨張要素と、を少なくとも含み、前記第2急膨張要素と前記第2緩膨張要素との間に、前記第2急膨張要素によって膨張された圧力発生室の膨張状態を一定時間維持する膨張維持要素を含み、
    前記膨張維持要素は、前記第2急膨張要素により圧力発生室が膨張された後、ノズル内周面側のメニスカスが圧力発生室側から吐出側に移動方向を反転するまで圧力発生室の膨張状態を維持し、
    前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、
    前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、ヘッドユニット。
  2. 前記ノズルの第1部分は、テーパー角度が40度以上の円錐台状の空間を区画する、請求項1に記載のヘッドユニット。
  3. 前記ノズルの第2部分は、断面積をノズル方向と直交する面で変えない形状である、請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
  4. 液体を吐出するノズルと、
    前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
    前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
    前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
    前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
    を備える液体吐出装置であって、
    前記吐出パルスは、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張要素と、該第1の圧力発生室膨張要素によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮要素と、該圧力発生室収縮要素によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張要素と、を含むパルス波形であり、
    前記第1の圧力発生室膨張要素は、第1の変化率で電位が変化する第1急膨張要素と、当該第1急膨張要素よりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化する第1緩膨張要素と、を少なくとも含み、
    前記第2の圧力発生室膨張要素は、第3の変化率で電位が変化する第2急膨張要素と、当該第2急膨張要素よりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化する第2緩膨張要素と、を少なくとも含み、前記第2急膨張要素と前記第2緩膨張要素との間に、前記第2急膨張要素によって膨張された圧力発生室の膨張状態を一定時間維持する膨張維持要素を含み、
    前記膨張維持要素は、前記第2急膨張要素により圧力発生室が膨張された後、ノズル内周面側のメニスカスが圧力発生室側から吐出側に移動方向を反転するまで圧力発生室の膨張状態を維持し、
    前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、
    前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、液体吐出装置。
  5. 液体を吐出するノズルと、
    前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力発生室と、
    前記圧力発生室に連通し、前記圧力発生室に前記液体を供給する液体供給部と、
    前記圧力発生室内の前記液体に前記圧力変化を与えるための動作をする素子と、
    前記ノズルから前記液体を吐出させるべく前記素子を動作させる吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
    を備え、前記ノズルは、前記液体の吐出側が圧力発生室側よりも小さい開口面積に定められる第1部分と、前記第1部分の吐出側端部に連通する第2部分と、を有し、前記液体が吐出される側の前記ノズルの開口の面積は、前記液体供給部の開口であって前記圧力発生室側の開口の面積の1/10以下である、ヘッドユニットの駆動方法であって、
    前記吐出パルスを前記素子に印加することによる吐出動作は、前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを該圧力発生室側に引き込む第1の圧力発生室膨張工程と、該第1の圧力発生室膨張工程によって膨張された圧力発生室を収縮させてメニスカスを吐出側に押し出す圧力発生室収縮工程と、該圧力発生室収縮工程によって収縮された前記圧力発生室を膨張させてメニスカスを圧力発生室側に再度引き込む第2の圧力発生室膨張工程と、を含み、
    前記第1の圧力発生室膨張工程は、第1の変化率で電位が変化することによる第1急膨張工程と、当該第1急膨張工程よりも前で発生されて第1の変化率よりも小さい第2の変化率で電位が変化することによる第1緩膨張工程と、を少なくとも含み、
    前記第2の圧力発生室膨張工程は、第3の変化率で電位が変化することによる第2急膨張工程と、当該第2急膨張工程よりも後で発生されて第3の変化率よりも小さい第4の変化率で電位が変化することによる第2緩膨張工程と、を少なくとも含み、前記第2急膨張工程と前記第2緩膨張工程との間に、前記第2急膨張工程によって膨張された圧力発生室の膨張状態を一定時間維持する膨張維持工程を含み、
    前記膨張維持工程は、前記第2急膨張工程により圧力発生室が膨張された後、ノズル内周面側のメニスカスが圧力発生室側から吐出側に移動方向を反転するまで圧力発生室の膨張状態を維持する、ヘッドユニットの駆動方法。
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