図1Aは本発明のピアス装着補助具の一例の断面図であり、図1Bはピアス装着補助具にピアスキャッチを保持した状態を説明するための断面図である。
図1のとおり、ピアス装着補助具100は、棒状の本体10と、ヘッド20とを有している。ヘッド20は、本体10の先端に接続されている。ヘッド20には、本体10との接続面と反対側の面に凹部21が形成されており、凹部21は、本体10と反対側に向かって開口している。詳細は後述するが、ピアス装着補助具100は、凹部21によってピアスキャッチを保持する。本体10は、使用者が、補助具100を操作する際に補助具100を把持する把持部50を提供する。本実施形態では、本体10はヘッド20との接続部から図示下方(凹部21の開口23から見て凹部21の底部側の方向)へと延びる棒状体、具体的には円柱である。この形態において、把持部50は棒状体である本体10の側面である。このように、本体10は、凹部21の開口23側を上方としたときに下方側において把持部50を提供する。ただし、把持部50の位置はヘッド20の直下に限らず、凹部21の開口23よりも底部25側であればよい。
図2に示すように、ヘッド20の側面には、環状の凸部20aが形成されている。凸部20aが形成された部分におけるヘッドの外径は、中空となった本体10の先端の内径よりも若干大きく設定されている。したがって、図3に示すように、本体10の先端にヘッド20の環状の凸部20aが挿入されると、環状の凸部20aには環の中心から円周に向かう弾性力が働き、本体10の先端を内面から押圧する。同時に、本体10の先端とヘッド20の環状の凸部20aとの間には接触面の接線に平行な方向に摩擦力が生じる。このような態様によって、ヘッド20は本体10の先端に、着脱自在に保持される。図示したように、ヘッド20の側面には、複数の凸部20aを形成してもよい。なお、ヘッド20と本体10の先端とをそれぞれ雄ネジ加工および雌ネジ加工することでも、ヘッド20を本体10に着脱自在に接続できる。ただし、接着材などを用いて、ヘッド20を本体10に固定しても構わない。
図4のように、本体10はヘッド20を昇降させる機構を備えてもよい。昇降機能を備えていると、ヘッド20が本体10内に収容された収容状態からヘッド20が本体10から露出した使用状態への移行と、使用状態から収容状態への移行とが可能となる。ピアス装着補助具100を使用しないときは、収容状態にできるので、ヘッド20の損傷を防ぎ、ヘッド20を衛生的に保つことができる。さらに図4Cのように、収容状態においては上からキャップ10aをかぶせることで、さらにヘッド20を衛生的に保つことができる。本体10の昇降機構は、口紅などに用いられている汎用の機構を用いればよい。
再び図1を参照しながらヘッド20の説明を続ける。ヘッド20は、全体が軟質の樹脂で構成されている。凹部21の側面22には、凹部21の開口23付近において凹部21の中心に向けて突出する一対の凸部(突出部)24が形成されている。一対の凸部24は対向する側面22にそれぞれ形成されている。凹部21の底部25には、後退部26(窪み)が形成されている。詳しくは後述するが、後退部26は、ピアスピン2へのピアスキャッチ1の取付け時に、ピアスピン2の先端が凹部21の底部25に突き刺さることを回避するために形成されている。なお、ピアスピン2の先端が凹部21の底部25に突き刺さることを回避するために、後退部26を形成する代わりに、貫通孔を形成してもよい。
ピアス装着補助具100は、図1に示すように、対向する一対の凸部24の間隔W1が、凹部21に保持させる予定のピアスキャッチ1の突起4の幅W2よりも若干狭いものを使用する。外部から凹部21にピアスキャッチ1が押し込まれると、図1Bに示すように、ピアスキャッチ1が一対の凸部24によって挟まれ、凹部21に保持される。より具体的には、ピアスキャッチ1が凹部21の開口23から内方へと押し込まれると、一対の凸部24の間隔がW1からW2へと広がるようにヘッド20が弾性変形する。弾性変形した一対の凸部24は、一対の凸部24が向かい合う方向にピアスキャッチ1を押圧する。押圧によって、弾性変形した一対の凸部24とピアスキャッチ1との間には、押圧方向と垂直な方向に摩擦力が生じる。すなわち、ピアスキャッチ1が一対の凸部24の間に挟持されて凹部21に保持される。向かい合う一対の凸部24の間隔W1は、1mm以上5mm以下、特に1mm以上3mm以下が好ましい。
凹部21へのピアスキャッチ1の押し込み方を図5によって説明する。図5はピアス装着補助具の使用状態を説明するための断面図である。まず、図5Aに示すように、使用者の身体(例えば耳たぶ)に接触する盤面6が図5Aにおいて下を向き、突起4が上を向くようにピアスキャッチ1を机7に置く。その後、図5Bに示すように、ピアスキャッチ1のヘッド20が図示下方(本体10から見て机7の方向)になるようにする。このとき、ヘッド20は図示上方(机7から見て本体10の方向)とする。次いで、机面に平行な面におけるヘッド20の位置がピアスキャッチ1と同じ位置になるように、ピアス装着補助具100を移動させる。このように、ピアスキャッチ1の突起4が凹部21に収容されるようにヘッド20の机面に平行な面における位置を合わせた状態で、ピアス装着補助具100を図示下方(本体10から見て机7の方向)に移動させ、ヘッド20を当該机面に押しつける。ピアス装着補助具100によれば、こうした単純な動作によってピアスキャッチ1をヘッド20の凹部21に保持させることができる。したがって、従来型の補助具では必須であった、手指を用いて行う当該保持のための細やかな作業が不要になる。
ピアス装着補助具100を用いたピアス31の装着方法について、図6A〜図6Cを参照しながらさらに説明する。まず、図6Aに示すように、耳たぶ8aの表側(図6Aの右側)8bにピアスの飾り部9が配置され、耳たぶ8aの裏側(図6Aの左側)8cからピアスピン2の先端が突出するように、耳たぶ8aに形成された孔30にピアスピン2を貫通させる。続いて、上記のようにしてピアス装着補助具100の凹部21にピアスキャッチ1を保持させる。次に、一方の手でピアス31の飾り部9を押さえつつ、もう一方の手で筆を握る要領でピアス装着補助具100の本体10を持ち、図6Bに示すように、ピアスピン2をピアスキャッチ1の孔3に挿入させる。そして、ピアスキャッチ1の突起4の間にピアスピン2が挟み込まれるように、ピアスピン2の伸長方向に沿ってヘッド20を耳たぶの裏側8cに接近させる。最終的には、図6Cのように、ピアスピン2の先端はピアスキャッチ1の孔3に差し込まれ、ピアスピン2の先端においてピアスキャッチ1は固定される。なお、ピアス装着補助具100では、図1Aに示すように、凹部21の底部25に後退部26が形成されている。これにより、ピアスピン2の先端がピアスキャッチ1の突起4よりもかなり突出した状態で固定される場合であっても、突出箇所を後退部26内に受け入れることができ、底部25にピアスピン2の先端が突き刺さるという不具合を回避し易い。続いて、ヘッド20を耳たぶの裏側8cから引き離す。一対の凸部24の間隔(図1Aにおける間隔W1)は、ピアスキャッチ1の突起4の幅(図1Bにおける幅W2)よりも若干狭い程度のものを使用しているので、ピアスキャッチ1の突起4がピアスピン2を挟み込む力よりも、凹部21の一対の凸部24が押圧によってピアスキャッチ1を凹部21内に保持しようとする力が小さい。このため、ヘッド20をピアスピン2の伸長方向に沿って耳たぶの裏側8cから引き離すと、ピアスキャッチ1はピアスピン2の先端に固定され凹部21から脱離する。以上のようにして、ピアス装着補助具100を用い、耳たぶ8aにピアス31を装着できる。
ヘッド20は種々の形態を採り得る。例えば図7はヘッド20の一実施形態である。ヘッド20には一の字型の溝があるので、地金キャッチに例示される図26の形状のような突起4を容易に挟持することができる。また、形状が単純なので大量生産に適している。
図8はヘッドの別の実施形態である。ヘッド125は、溝が十字型になっているため、縦、横どちらの溝によってもピアスキャッチ1を保持することができるため便利である。また、縦と横の溝の間隔を変えることで、少なくとも二種類の大きさの突起4を挟持することができる。
図9はヘッドの別の実施形態である。ヘッド126は、三種類の角度からピアスキャッチを保持することができる。また、溝の間隔を変えることで、少なくとも三種類の大きさの突起4を挟持することができる。同様に考えて、溝の数をさらに増やすこともできる。
図10は、ヘッドの別の実施形態である。図10Aはヘッド127の上面図、図10Bはヘッド127と本体10の断面図、図10Cはピアスキャッチ1を保持しているヘッド127の斜視図である。ヘッド127の凹部の開口は、開口上方から見て(平面視で)円形である。図7〜図9のヘッドを用いた場合、図27のような半球形(ドーム状)の突起4を保持することは難しいが、ヘッド127を用いれば図27のような突起4を備えたピアスキャッチ1を容易に保持できる。
図11は、ヘッドの別の実施形態である。この形態は図7の形態と図10の形態の特徴を併せ持つ。すなわち、ヘッド128は、図26のような形状の突起4と図27のような半球形の突起4の両方を保持することができる。さらに、溝の数を増やして図12のヘッド129や図13のヘッド130の形態を採ると半球形の突起を保持することができるとともに、図26のような形状で複数の大きさの突起を保持することができる。また、溝の数をさらに増やすこともできる。ヘッド127,128のように、凹部の開口には、開口の上方から見て、円形、または円形の円周の一部を外側へと拡張した形状であることが好ましい。
ヘッド20を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリカプロラクトンといった熱可塑性樹脂が好ましい。本体10の材料は、これら熱可塑性樹脂でもよく金属であってもよい。また、凹部21の形状、具体的には一対の凸部24の間隔が異なる複数種のヘッド20と1つの本体10とからなるキットを構成することもできる。こうすると、ピアスキャッチ1のサイズに応じたヘッド20を採用することによって種々のサイズのピアスキャッチに適用することが可能となる。このような態様によれば、ヘッド20の取付けおよび取り外しにより、長期の使用によって傷んだヘッド20を新品に交換することが可能になる。
本発明の別の例のピアス装着補助具110は、図14に示すように、一対の凸部24、24’の間隔が異なって凹部21,21’の形状が互いに相違する2種類のヘッド20、20’が、棒状の本体10の上端と下端にそれぞれ配置された態様とすることもできる。この態様によれば、本体10を握る方向を反転させるだけで、使用するヘッド20、20’を切り替えられるため便利である。
次に、本発明のピアス装着補助具の別例につき、図15の断面図を参照しながら説明する。なお、ピアス装着補助具100と同一の構成部品には同一符号を付し説明を省略する。また、本説明において、ヘッドは図7の形状のものを採用するが、上記いずれのヘッドを採用してもよい。このピアス装着補助具200は、図15に示すように、断面T字型の押出部材11と、断面くの字型に屈曲した反発部材12と、断面T字型のボタン13とを有している。ヘッド20には、ヘッド20における本体10側の端部から凹部21に貫通する孔27が形成されている。本体10には、内部空間14aが形成されている。また、本体10には、本体10におけるヘッド20側の端部から内部空間14aに貫通する孔14bと、本体10における把持部50から内部空間14aに貫通する14cとが形成されている。孔14bは、本体10におけるヘッド20が配置された側の端面15aの中央に形成されている。孔14cは、本体10の把持部50の長手方向における中央付近に形成されている。押出部材11は孔27内と孔14bとにわたって配置されており、押出部材11の肉細部17が孔14bに挿入されている。内部空間14aのヘッド20側の端部である上端から反対側の端部である下端にわたって、反発部材12が配置されている。反発部材12は、樹脂または金属によって構成されていることが望ましい。反発部材12の下端16aは内部空間14aの下側の壁面に固定されて、反発部材12の上端16bは押出部材11の肉細部17に接続されている。また、内部空間14aには、ボタン13の大端13aが配置されている。ボタン13の大端13aは、反発部材12の屈曲部分16cに接している。ボタン13の小端13bは、孔14cを介して外部に突出している。大端13aの径は孔14cの径よりも大きく、小端13bの径は孔14cの径よりも小さい。この形状によって、ボタン13が本体10の外部に脱落するおそれがなくなると同時にボタン13を内部空間14aの内方に向けて滑らかに押し込むことができる。
図16は、図15に示すピアス装着補助具200における押出部材11等の動作を説明するための図である。図16に示すように、ボタン13を内部空間14aの内方に押し込むと、反発部材12の上端16aが孔14b内に入り込むように反発部材12が変形する。これに付随して、押出部材11が本体10の端面15aからヘッド20の凹部21の開口23に向けて移動する。凹部21内に保持されたピアスキャッチ1は、上記のように移動する押出部材11の上端面18によって、凹部21から押し出される。
凹部21における一対の凸部24の間隔(図1Aにおける間隔W1)がピアスキャッチ1の突起4の幅(図1Bにおける幅W2)に対して狭すぎると、ピアスキャッチ1の突起4がピアスピン2を挟み込む力よりも凹部21の一対の凸部24が押圧によってピアスキャッチ1を凹部21内に保持しようとする力が大きくなる。凹部21がこのような形状でかつ図1のように押出部材を有さないピアス装着補助具を用いた場合、体の一部にピアス31を取り付けた(体の一部を介してピアスピン2とピアスキャッチ1を接続した)後に当該ピアス装着補助具を体の一部から離しても、凹部21の一対の凸部24はピアスキャッチ1を保持し続ける。つまり、接続したピアスキャッチ1とピアスピン2が再度外れてしまうので、ピアスピン2へのピアスキャッチ1の取付けができない。しかし、ピアス装着補助具200によれば、凹部21からのピアスキャッチ1の脱離を補助でき、こうした不具合の発生を回避できる。このように、本発明のピアス装着補助具は、凹部の底部に孔が形成されており、当該孔内に配置され、所定の操作によってピアスキャッチを凹部の開口に向けて押し上げるように駆動し、凹部からのピアスキャッチの脱離を補助する、押出部材をさらに有することが好ましい。
なお、反発部材12は、上記のとおり、樹脂または金属で構成され、弾性変形できることが望ましい。これにより、ボタン13を押し込み、反発部材12を変形させた後、ボタン13を離すだけで反発部材12を変形前の断面くの字型に戻すことができる。換言すると、ボタン13を押し込んだ後、ボタン13を離すだけでボタン13は元の位置に戻る。したがって、凹部21からのピアスキャッチの脱離を補助する操作を反復して実施することもできる。なお、押出部材11の上端面18には、後退部19が形成されているので、当該脱離補助操作の際にピアスピン2の先端が上端面18に突き刺さることが防止される。
図17は、本発明のピアス装着補助具の別例の断面図である。このピアス装着補助具201は、ピアス装着補助具110と同様に、一対の凸部24、24’の間隔W1、W1’が異なって(W1<W1’)、凹部21、21’の形状が互いに相違する2種類のヘッド20、20’が本体10の上端と下端にそれぞれ配置されている。さらに、ヘッド20、20’には、ピアス装着補助具200と同様のピアスキャッチの脱離を補助するための機構が形成されている。図17に示すように、ピアス装着補助具201では、ピアス装着補助具200とは異なり、反発部材12の下端16bが、内部空間14aの下側の壁面に固定される代わりに、内部空間14aに貫通する孔14dに挿入された押出部材11’の肉細部17’に接続されている。ピアス装着補助具201のボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、押出部材11、11’の肉細部17、17’に接続する反発部材12の上端16a、下端16bがそれぞれ孔14b、14d内に入り込むように反発部材12が変形する。これに付随して、押出部材11、11’が対応する凹部21、21’の開口23、23’に向けて移動する。このような機構を形成することによって、1つのボタン13を操作するだけで、凹部21および凹部21’からのピアスキャッチ1の脱離補助作用が得られる。
図18は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具202では、図18に示すように、孔14cが、本体10におけるヘッド20が配置された側と反対側の端面15bの中央に形成されている。ボタン13は、端面15bの孔14cから突出するように内部空間14aに配置されている。ボタン13は断面略十字型である。ボタン13の内部空間14a側の端部32aが押出部材11の肉細部17に接続されている。ボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、押出部材11が本体10の端面15aからヘッド20の凹部21の開口23に向けて移動する。ピアス装着補助具202はこのように作用して、ピアスキャッチ1の脱離補助作用を提供する。なお、押出部材11の肉細部17によって中心が貫かれた状態で、換言すれば、押出部材11の肉細部17の周囲を取り囲むように、コイルバネ状の反発部材12がボタン13の端部32aと本体10の端面15aとの間に配置されている。ボタン13の端部32aは反発部材12よりも外径が大きく、反発部材12の外径は孔14aよりも大きい。このため、ボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、反発部材12が、ボタン13の端部32aによって本体10の端面15aに向けて押し潰されて、縮む。押し込んだボタン13を離せば、反発部材12は縮む前の状態に戻るため、押出部材11を初期位置に簡単に戻せる。
図19は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具203では、図19に示すように、本体10の長手方向におけるヘッド20が配置された端面15aの近傍に孔14cが形成されている。孔14cにおける本体10の長手方向の大きさはボタン13における本体10の長手方向の大きさに比べて大きい。孔14cには、本体10の長手方向にスライド可能なボタン13が配置されている。ピアス装着補助具203では、押出部材11が断面T字型である。押出部材11の内部空間14a側の端部33は、ボタン13の内部空間14a側の端部13cに接続されている。押出部材11の肉細部17によって中心が貫かれるように、押出部材11の内部空間14a側の端部33と本体10の端面15aとの間に、コイルバネ状の反発部材12が配置されている。ボタン13をヘッド20に向けてスライドさせると、押出部材11がヘッド20の凹部21の開口23に向けて移動する。ピアス装着補助具203はこのように作用して、ピアスキャッチ1の脱離補助作用を提供する。なお、ボタン13をヘッド20に向けてスライドさせると、反発部材12がボタン13の端部13cによって本体10の端面15aに向けて押し潰されて縮む。スライドさせたボタン13を離せば、反発部材12は縮む前の状態に戻るため、押出部材11を初期位置に簡単に戻すことができる。
図20は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具204では、図20に示すように、押出部材11が断面略I字型である。押出部材11の肉細部17によって中心が貫かれるように、押出部材11の内部空間14a側の端部33と本体10の端面15aとの間に、コイルバネ状の反発部材12が配置されている。本体10の長手方向におけるヘッド20が配置された端面15aの近傍に孔14cが形成されている。ボタン13は孔14cから外部に突出している。押出部材11の内部空間14a側の端部33の傾斜面34と、ボタン13の内部空間14a側の端部32aの傾斜面35とが接触している。ボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、傾斜面35が傾斜面34に図示上向き(ヘッド20が配置されていない端面15bからヘッド20が配置された端面15aへの向き)の力を加えるように作用する。換言すると、ボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、押出部材11が本体10の端面15aからヘッド20の凹部21の開口23に向けて移動する。ピアス装着補助具204はこのように作用して、ピアスキャッチ1の脱離補助作用を提供する。なお、押出部材11の端部33は反発部材12よりも外径が大きく、反発部材12の外径は孔14aよりも大きい。このため、ボタン13を押し込むと、反発部材12が端部33によって本体10の端面15aに向けて押し潰されて、縮む。押し込んだボタン13を離せば、反発部材12が縮む前の状態に戻るため、押出部材11を初期位置に簡単に戻すことができる。
図21は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具205では、図21に示すように、ボタン13がレバー状である。本体10の長手方向におけるヘッド20が配置された端面15aの近傍に孔14cが形成されている。孔14cでは、直線形状のピン36aが、本体10によって本体10の長手方向に垂直な方向に固定されている。ピン36aはボタン13を貫通して、ボタン13を保持している。ボタン13は、ピン36aを軸にして揺動可能である。また、ピン36bは、ボタン13の内部空間14a側の端部32aと押出部材11の内部空間14a側の端部33とをピン36aと平行な方向に貫通して、端部32aと端部33を接続している。これにより、押出部材11とボタン13は、ピン36bを軸にして揺動可能である。上記の構成によって、ボタン13の外端32bを本体10に向けて押し込むと、押出部材11がヘッド20の凹部21の開口23に向けて移動する。ピアス装着補助具205はこのように作用して、ピアスキャッチ1の脱離補助作用を提供する。ピアス装着補助具205では、反発部材12がねじりコイルバネ状であり、ボタン13を本体10に向けて押し込むと、ピン36aを軸にして揺動するボタン13に押し潰されて、縮む。押しこんだボタンを離せば、反発部材12が縮む前の状態に戻るため、押し込んだボタン13を離すだけで、押出部材11を初期位置に簡単に戻すことができる。
図22は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具300は、押出部材を有しておらず、ピアスキャッチの脱離を補助するための機構がピアス装着補助具200とは異なる。ピアス装着補助具300では、図22に示すように、反発部材12の上端16aが分岐しながらヘッド20の内部に、より具体的には、2方向に分岐した反発部材12のそれぞれの上端16aが、対応するそれぞれのヘッド20の一対の凸部24の近傍にまで延伸している。本体10の孔14bには、反発部材12の分岐部分37を分岐角θ1に窄めた状態で分岐部分37の基部38を収納できるように角度が付けられている。図22では、反発部材12は孔14bに収納されているものの、反発部材12には、本体10の長手方向の中心軸から外向きの反発力が働いている。図23は、ピアス装着補助具300においてボタン13を押し込んだ際の分岐部分37等の動きを説明するための図である。図23における反発部材12の分岐部分37は反発力によって、その分岐角が図22に示す角度θ1よりも広がる。このような構成により、ボタン13を押し込んでいない状態では、本体10の孔14bによってその分岐角が図22に示す角度θ1に制限され、凹部21でのピアスキャッチの保持に十分な押圧力が得られる。他方、ボタン13を押し込むと、図23に示すように反発部材12の上端16aの移動に伴って分岐部分37の分岐角が角度θ2に広がり(θ1<θ2)、ヘッド20の一対の凸部24の間の距離が広がり、ピアスキャッチに対する押圧力が緩まる。このように、反発部材12の分岐部分37は、ヘッド20に埋め込まれ、所定の操作によって凹部21の側面間の距離を広げるようにヘッド20を変形させてピアスキャッチに対する押圧力を緩め、凹部21からのピアスキャッチの脱離を補助するアームとして機能する。
図24は、本発明のピアス装着補助具の別例の断面図である。このピアス装着補助具301は、ピアス装着補助具110と同様に、一対の凸部24、24’の間隔W1、W1’が異なって(W1<W1’)、凹部21、21’の形状が互いに相違する2種類のヘッド20、20’が本体10の上端と下端にそれぞれ配置されている。さらに、ヘッド20、20’に、ピアス装着補助具300と同様のピアスキャッチの脱離を補助するための機構が形成されている。ピアス装着補助具301では、図24に示すように、反発部材12の下端16bが、内部空間14aの下側の壁面に固定される代わりに、分岐しながらヘッド20’の一対の凸部24’の近傍にまで延伸している。このため、ボタン13を内部空間14aの内方に向けて押し込むと、反発部材12の上端16aおよび下端16bの移動に伴って分岐部分37、37’の分岐角が広がる。すなわち、1つのボタン13を操作するだけで、凹部21および凹部21’からのピアスキャッチ1の脱離補助作用が得られる。
図25は、本発明のピアス装着補助具のまた別例の断面図である。このピアス装着補助具302では、本体10の孔14cが、本体10の長手方向において端面15aの近傍に形成されている。ボタン13が端面15a近傍から外部に突出するように内部空間14aに配置されている。本体10の孔14bが端面15aにおいてボタン13に近い箇所に形成されている。本体10の長手方向におけるボタン13と孔14bの中央付近で、本体10の長手方向に垂直な方向におけるボタン13よりも本体10の中心側に、直線形状のピン36cが、本体10によって本体10の長手方向およびボタン13が突出する方向に垂直な方向に固定されている。ピアス装着補助具302では、ボタン13およびピン36cを介し、ヘッド20の内部にまで、より具体的にはヘッド20の凸部24の近傍にまで延伸している、断面略くの字型のアーム39を有している。アーム39は、ピン36cを軸にして揺動可能である。ボタン13を本体10に向けて押し込むと、アーム39が揺動し、アーム39の上端40は、ボタン13が動く方向とは反対の方向に動く。これにより、ヘッド20の凸部24の間の距離が広がる。ピアス装着補助具302はこのように作用して、ピアスキャッチ1の脱離補助作用を提供する。ヘッド20は樹脂で構成されており弾性変形するため、押し込んだボタン13を離すと、ヘッド20が元の形状に戻ろうとする反発力が作用し、アーム39およびボタン13が初期位置に戻る。