JP5356999B2 - 放射線検出器 - Google Patents
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Description
この要求を実現するセンサとして、加工性が良く、安価で容易に入手できかつ物理的に安定なプラスチックシンチレータが一般的に用いられている。
光電子増倍管は、プラスチックシンチレータに比べて高価のため、プラスチックシンチレータより口径が小さいものが選択され、口径の違いを吸収してプラスチックシンチレータで発した光を光電子増倍管に効率良く伝達するためにライトガイドを間に介在させている。
ライトガイドは、アクリルを機械加工し、側面に酸化チタン微粉を含む反射材を塗布して光反射層を形成し、放射線入射面側がプラスチックシンチレータに接着剤で光学接合される。一方、光電子増倍管は、ガラス製で熱膨張率がライトガイドと大きく違うため、高粘度のシリコンオイルでライトガイドに光学接合される。(特許文献1参照)
蓄積された静電気は、空気絶縁の限界を超えると放電する。
ライトガイド側面の光反射層は、厚すぎると剥がれ易くなるので、適切な厚みに管理されている。そのため光反射層厚では、静電気の放電光の一部が透過して光電子増倍管に伝達され、ノイズとなって指示が突変する障害を発生することがある。
一般に、体積抵抗率が1010Ω・cm以下のゴム体は、摩擦で生成された静電気が速やかに中和するため、電荷は光を伴う放電まで蓄積されない。ニトリルゴムは、体積抵抗率が1010Ω・cmと低いものを容易に入手できるため、放電に至る前に静電気が逐次中和され、放電を防止できる。
クッションとしては、検出器ケースとライトガイドの間に押し込んで固定するように、ニトリルゴムを型に流し込んで成型したもの、または袋状のニトリルゴムにポッティング材を流し込んで固化したものが使用される。ニトリルゴムは黒色のため、ニトリルゴムとポッティング材の間で静電気放電が発生しても遮光するため障害にならない。
献2参照)
そして、発生した強い放電光の極一部は、ライトガイド側面の光反射層を通してライトガイド内に侵入し光電子増倍管に伝達され、ノイズとなって指示が突変して検出器を誤動作させる問題があった。
また、シリコンオイルの代わりに透明ゲル状結合剤を使用したものは、接着力が弱いため温度変化で接合面に隙間が発生し、光伝達が変化する問題があった。
また、シリコンオイルの代わりにライトガイドと光電子増倍管を静電気が蓄積しにくいゲル状結合剤で光学結合し、検出器ケースの内側にねじ込みリングを設け、該ねじ込みリングでソケットを押さえ込むことにより、透明ゲル状結合剤をライトガイドと光電子増倍管に密着させるようにしたので、接合面に隙間が発生して光伝達が変化することがなく、信頼性の高い放射線検出器を提供できると共に、シリコンオイルを使用した場合に必要な光電子増倍管取り付け前後のシリコンオイルの脱泡作業をなくすことができ、組立費を大幅に低減できる効果がある。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当部分を示す。
図1は、実施の形態1による放射線検出器の構成を示す断面図である。
図1において、プラスチックシンチレータ1は、入射した放射線のエネルギーを吸収して光に変換する。略円錐台をしたライトガイド2は、光を伝達する光伝達ブロック201と
、その光伝達ブロック201の側面に密着して(重ねて)設けられた光反射層202と、首の部位に光伝達ブロックと一体で加工されたオイルフェンス203から構成されている。
そして、光伝達ブロック201の面積の大きい面は、プラスチックシンチレータ1に光学接
着剤3で光学接合され、プラスチックシンチレータ1の光を光伝達ブロック201に直進さ
せて、または光反射層202で反射させて伝達する。光反射層202は、透明接着剤に酸化チタン微粉を練りこんだもので、乾燥すると白色の層を形成し、酸化チタン微粉で光が反射される。
光電子増倍管4は、ライトガイド2にシリコンオイル(光結合オイル)5で光接合され、ライトガイド2から伝達される光を電子に変換して増倍し、ソケット6は、光電子増倍管4に高圧電源を分割して印加すると共に信号の電流パルスを抽出し、前置増幅器7は、電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。
一体で削り加工され、光電子増倍管4を包囲してシリコンオイル5の流出を防止する。
オイルフェンス203の外側には、ネジ部203aが設けられ、このネジ部203aに穴明きキ
ャップ形状の延長フェンス8のねじ部8aがねじ込まれる。
磁気シールド9は、外部の磁界の影響を受けないように光電子増倍管4を遮蔽する。
検出器ケース10は、組み込まれたプラスチックシンチレータ1、ライトガイド2、光学接着剤3、光電子増倍管4、シリコンオイル5、ソケット6、前置増幅器7、延長フェンス8、磁気シールド9を収納して、外部から光の侵入を遮断すると共に、外部の電磁ノイズの影響を受けないように光電子増倍管4、ソケット6、前置増幅器7を遮蔽する。
磁気シールド9は、検出器ケース10の内側に設けられたねじ込みリング13に取り付けられる。なお、前置増幅器7は、検出器ケース10には収納せず、検出器ケース10の外部に電磁シールドを施して配置してもよい。
また、放射線検出器を別置の電磁シールド内に収納して使用する場合は、磁気シールド9を省略してもよい。
ライトガイド2は、検出器ケース10との間にクッション12がはめ込まれて固定されており、測定対象ガスに対して圧力バウンダリー(圧力境界)として機能する。
測定対象ガスの圧力は、プラスチックシンチレータ1を介してライトガイド2に伝達され、ライトガイド2からクッション12へ伝達されて最終的に検出器ケース10が受け止める。
ライトガイド2の材質としては、一般的にアクリルが使用され、加工性に優れているた
め容易にオイルフェンス203を一体で加工でき、延長フェンス8もアクリルを加工して容易に製作できる。
脱泡処理した後で、ライトガイド2と光電子増倍管4をシリコンオイル5で光学結合し、結合時に巻き込んだ微量の気泡を脱泡処理し、さらに、オイルフェンス203外側のネジ部203aに、延長フェンス8のねじ部8aをねじ込むことによりオイルフェンスの嵩上げが行われる。また、延長フェンス8は、後述のようにその高さを調節する必要があるため、上述のねじ機構203a、ねじ部8aによりその高さが調節可能な構造になっている。
オイルフェンス203の高さは、脱泡したシリコンオイル5の層の上に斜めに光電子増倍
管4を接し、空気を巻き込まないように徐々に接合させる作業の障害にならないように決定する。また、延長フェンス8の高さ(長さ)は、航空機が離着陸する際、航空機輸送の離陸角度および着陸角度でシリコンオイル5が流出しないように決定(設定)する。
また、シリコンオイル5は、高粘性のために、ポンプに起因する試料ガスの圧力変動及び脈動でライトガイド2が微振動しても、ライトガイド2及び光電子増倍管4からのシリコンオイルの剥離は発生しない。
実施の形態1では、延長フェンス8の上部は開放された構造であるが、実施の形態2は、図2に示すように、光電子増倍管4の径が変わる曲線箇所(傾斜外周面)との隙間を静電気が蓄積しにくい、例えばニトリルゴム製のパッキン14でシールしてシリコンオイル5を密封したものである。
このように、光電子増倍管4を挿通させた穴開きキャップ状延長フェンス8の穴縁部と、光電子増倍管の外周面間の隙間に、パッキン14を介在させてシリコンオイル5を密封したので、開放の場合に微量だが経年的にシリコンオイルが蒸発し、光電子増倍管の周辺部材に付着することで発生する静電気放電も防止できるので、長期に亘り信頼性の高い放射線検出器を提供できる。
実施の形態1では、ライトガイド2と光電子増倍管4をシリコンオイル5で光学結合したが、実施の形態3における放射線検出器は、図3に示すように、入射する放射線のエネルギーを吸収して光に変換するシンチレータ1と、このシンチレータに接着剤で光学結合されて上記光を直進または反射させて伝達するライトガイド2と、このライトガイドから伝達された光を電子に変換する光電子増倍管4と、この光電子増倍管とライトガイド2とを光学結合する静電気が蓄積しにくい性状の透明ゲル状結合剤15、この透明ゲル状結合剤の流出を防止するフェンス部204、光電子増倍管4に高圧電源を分割して印加すると共に信号の電流パルスを抽出して出力するソケット6と、このソケットから出力された電
流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器7と、光電子増倍管4が外部の磁界から影響を受けないように遮蔽する磁気シールド9と、この磁気シールド、シンチレータ1、ライトガイド2、光電子増倍管4、ソケット6、前置増幅器7などの部材を収納する検出器ケ
ース10と、この検出器ケースにライトガイド2を固定するクッション12を備え、検出器ケース10の内側にねじ込みリング13を設け、このねじ込みリングでソケット6を、バネ16を介して押さえ込むことにより、透明ゲル状結合剤15をライトガイド2と光電子増倍管4とに密着させたものである。
実施の形態3では、ソケット6を介して透明ゲル状結合剤15を押さえ込むようにしたが、実施の形態4では、図4に示すように、実施の形態3と同様にねじ込みリング13によって、バネ18、磁気シールド9、およびパッキン(磁気シールドの内側に設けられ静電気が蓄積しにくい材質の押さえゴム)を介して光電子増倍管4の径が変わる曲線箇所(傾斜外周面)を押圧し、さらに光電子増倍管4を押さえ込むことにより、透明ゲル状結合剤15をライトガイド2と光電子増倍管4とに密着させたものである。なお、図3と同一構成部分については、説明を省略する。
この実施の形態4の場合、光電子増倍管4の曲線箇所(傾斜外周面)の機械的強度が大きいことから、かつ、支えの接触面積を広く確保できることから、長期に亘り信頼性の高い放射線検出器を提供できると共に、耐震強度を増加することができる効果がある。
2 ライトガイド
201 光伝達ブロック
202 光反射層
203 オイルフェンス
204 フェンス部
3 光学接着剤 4 光電子増倍管
5 シリコンオイル 6 ソケット
7 前置増幅器 8 延長フェンス
9 磁気シールド 10 検出器ケース
11 Oリング 12 クッション
13 ねじ込みリング 14 パッキン
15 透明ゲル状結合剤 16 バネ
17 パッキン(押さえゴム) 18 バネ。
Claims (2)
- 入射する放射線のエネルギーを吸収して光に変換するシンチレータと、このシンチレータに接着剤で光学結合されて上記光を伝達するライトガイドと、このライトガイドから伝達された光を電子に変換する光電子増倍管と、この光電子増倍管を上記ライトガイドに光学結合する光結合オイルと、上記ライトガイドと一体成形され上記光電子増倍管を包囲して上記光結合オイルの流出を防止するオイルフェンスと、上記光電子増倍管に電圧を印加すると共に信号の電流パルスを抽出して出力するソケットと、このソケットから出力された電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器と、上記光電子増倍管が外部の磁界から影響を受けないように遮蔽する磁気シールドと、この磁気シールド、上記シンチレータ、上記ライトガイド、上記光電子増倍管、上記ソケット、上記前置増幅器などの部材を収納する検出器ケースと、この検出器ケースに上記ライトガイドを固定するクッションを備え、
上記オイルフェンスに、このオイルフェンスの高さを嵩上げする延長フェンスを設けると共に、この延長フェンスは、嵩上げ高さの調節可能なねじ機構により上記オイルフェンスに取り付けたことを特徴とする放射線検出器。 - 上記光電子増倍管を挿通させた上記延長フェンスの上部開口縁部と、上記光電子増倍管の外周面間の隙間に、パッキンを介在させ、このパッキンにより、上記光結合オイルを密封したことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
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