JP4852011B2 - 放射線検出器 - Google Patents

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Description

この発明は、原子炉施設,使用済燃料再処理施設,放射性同位元素使用施設,粒子線使用施設等の放出管理あるいは放射線管理に用いられる放射線を検出するための放射線検出器に関するものである。
試料ガス中に含まれる放射性物質の濃度を測定するために用いられる放射線検出器は、測定対象の希ガスを高感度で測定するために、1壊変当たりの放射線の放出割合が高いβ線を測定対象とし、β線に対して感度を高くかつ環境からのγ線に対して感度を低く、更に、入射窓のβ線の減衰をできるだけ小さくするのが望ましく、このためにセンサは大面積で薄く加工できるものが、また、センサは試料ガスに接するように配置することが要求される。
該要求を実現するセンサとして、加工性が良く、安価で容易に入手できかつ物理的に安定なプラスチックシンチレータが一般的に用いられている。それに対して光電子増倍管はセンサに比べて高価なためセンサより口径が小さいものが選択され、口径の違いを吸収してプラスチックシンチレータで発した光を光電子増倍管に効率良く伝達するためにライトガイドを間に介在させている。
また、光電子増倍管の光電面の感度は位置によりムラがあるため、光電子増倍管に入射した光量と出力される電荷量の直線性を確保するためには、光電面全体に一様に光を入射させる工夫が必要であり、プラスチックシンチレータと光電子増倍管の間にライトガイドを介在させることにより、プラスチックシンチレータにβ線が入射して反応した局部的に発した光をライトガイド内に拡散させ、ライトガイド側面で反射させて光電子増倍管の光電面に一様に入射させるようにしている。一般的にライトガイドはアクリルを機械加工して整形し、側面にTiO2(二酸化チタン)微紛を含む反射材を塗布して反射層を形成し、放射線入射面側がプラスチックシンチレータに接着剤で光学接合される。一方、光電子増倍管はガラス製で熱膨張率がライトガイドと大きく違うため、高粘度のシリコンオイル層で光学接合される。
光電子増倍管は、ガラス管、ガラス管から引き出された入出力ピン、ガラス管内に設けられた光電面と複数段のダイノードから構成され、ガラス管内部は真空で、ヘッドが光電面となっており、光電面に光が入射すると光量に応じた数の光電子が放出され、その光電子はダイノードに印加された高電圧で加速され、105〜106程度に増幅されて電流パルスとして光電子増倍管から出力される。光電子増倍管の光電面及びダイノードの感度は経年的に変化し、ゲインは時間経過に伴って初期は低下し、時間経過に伴って徐々に上昇する傾向があるが継続低に低下するものもある。このように、感度の経時変化にばらつきがあるが最終的には全てのものがゲイン低下する。総じて、初期は変化が比較的大きく、時間経過に伴って安定し、ゲインは年間で10%程度変動することがある。
また、光電子増倍管は温度に敏感で、約−0.3%/℃の温度特性がある。このため、光電子増倍管の光電面に向けて光を発するライトパルサが設けられ、ライトパルサから発する光を指標に、この指標光パルスの波高値のスペクトルピークが一定になるように、印加する高電圧を変えることにより光電子増倍管のゲインを自動調整して、または放射線検出器下流の測定部のアンプのゲインを自動調整して測定系のゲインの安定化を行っている。
ライトパルサは、α線を放射するα線源と、そのα線源から放射されたα線のエネルギーを吸収して光に変換するライトパルサ用シンチレータと、そのライトパルサ用シンチレータ上に設けられ光電子増倍管に入射する光量を調整する光学フィルタと、α線源を密閉する線源容器から構成される。ライトパルサ用シンチレータとしては、従来から潮解性がなく物理的に安定で加工性が良く、α線に対する発光効率が高いCaF2(Eu)シンチレータが使用されている。なお、CaF2(Eu)は、ユーロピウムEuをドープしたフッ化カルシウムCaF2の結晶である。
プラスチックシンチレータは、γ線に対する感度を低く抑えるため厚みを薄くしており、その厚みを透過するような高いエネルギーのβ線が入射すると波高値スペクトルに厚み相当のピークを生じる。例えば、1mm厚のプラスチックシンチレータに校正用線源Sr-90(ストロンチウム90)/Y-90(イットリウム90)を照射すると、放射平衡にあるY-90のβ線2.28MeVが1mm厚を通過する時に付与したエネルギー相当にスペクトルピークが現れる。これに対して、α線は透過性が小さいため全てのエネルギーがプラスチックシンチレータに付与される。ただし、単位エネルギー当たりの光変換効率はβ線に比べて小さい。
このようにβ線の信号パルスは波高値が比較的低レベルに抑えられるため、ライトパルサの指標パルスは、そのβ線のスペクトルピークと離して高いレベルに形成させる必要がある。ライトパルサ用α線原としては、従来から入手し易いAm-241(アメリシウム241)が使用されており、放射されるα線のエネルギーは約5.5MeVである。ライトパルサのα線による指標パルス波高値のスペクトルピークが前置増幅器のダイナミックレンジ(入出力の直線性が良好なレンジ範囲)に収まるように、かつ、ライトパルサの指標パルス波高値のスペクトルピークがβ線パルス波高値のスペクトルピークに対して相対的に高くなるように調整することにより、指標パルスのスペクトルピークのテール(尾)がβ線の測定ウィンドウに混入してそれがバックグラウンド値(BG値)を押し上げるのを抑制する。両者のスペクトルピークの位置を最適に調節するために、ライトガイド上面の遮光膜を取り替えて適合するものを選択することにより光量の相対比が所定の値になるように調整が行われている。(特許文献1参照)
また、光電子増倍管に到達する光量を増加させて信号レベルとノイズレベルとの比(S/N比)を高めるために、ライトガイドと光電子増倍管を光結合オイルで接合している。(特許文献2参照)
従来の放射線検出器は以上のように構成されているため、ライトパルサにより光電面の一部に集中的に大きな光量が入射されて部分的にゲインの経時変化が加速し、ライトパルサの光パルスとプラスチックシンチレータの光パルスに対する光電面の感度比の経時変化が生じるため、当初の両者の光量の相対比の調整に狂いが生じ、それにより放射線検出器の定期交換周期が短くなる。
また、ライトパルサのα線による指標パルス波高値のスペクトルピークを前置増幅器のダイナミックレンジに収まるように、かつ、ライトパルサの指標パルス波高値のスペクトルピークが、校正用線源を照射におけるプラスチックシンチレータの信号パルス波高値のスペクトルピークに対して高い所定のレベルになるように、ライトガイド上面の遮光膜を取り替えながら適合するものを選択して光電子増倍管に入射する光量の相対比の調整を行っているが、この調整に多大の作業時間を要している。
測定対象β線がプラスチックシンチレータと反応して発する光パルスの光量を犠牲にし、ライトパルサの光パルスと光電子増倍管に入射するプラスチックシンチレータの光パルスについて、光量の相対比の調整を行うためS/N比が低下し、その結果としてβ線の信号パルスの弁別レベルを上げざるを得なくなり、低エネルギーβ線の感度が低下もしくは低エネルギーβ線が測定できない。
また、測定対象β線がプラスチックシンチレータと反応して発する光を効率良く光電子増倍管に伝達し、S/N比を良好に維持するために、ライトガイドと光電子増倍管を光結合オイルで接合しているが、ライトガイドの光電子増倍管側の面に光結合オイルに面してライトパルサを設けた場合は、ライトパルサ周辺に付着した気泡を取り除く脱泡工程に時間がかかる。
また、ライトパルサを構成するCaF2(Eu)シンチレータがα線源のα線に反応して発する光量の温度特性が約−0.3%/℃に対し、測定対象のβ線を検出するプラスチックシンチレータが測定対象の放射線を検出して発する光量の温度特性が約−0.1%/℃で、両者の温度特性に差があるため、光電子増倍管のドリフトを高精度で補償しても、シンチレータの種類による温度特性の違いが補償残として残る。
特開平6−289144号公報(図1及びその説明) 特開平8−220241号公報(図1及びその説明)
従来の放射線検出器は以上のように構成されているため、上記のように、ライトパルサにより光電面の一部に集中的に大きな光量が入射されて部分的にゲインの経時変化が加速し、ライトパルサの光パルスとプラスチックシンチレータの光パルスに対する光電面の感度比の経時変化が生じるため、当初の両者の光量の相対比の調整に狂いが生じ、それにより放射線検出器の定期交換周期が短くなるため、ライトパルサの光パルスとプラスチックシンチレータの光パルスに対する光電面の感度比の変化を抑制することが課題であった。
この発明は、前述のような実情に鑑みてなされたもので、ライトパルサの光パルスと測定用シンチレータの光パルスに対する光電面の感度比が経時的に変化し、その結果としてドリフト補償精度が低下するという従来の現象を抑制し、長期間安定した特性が得られ、放射線検出器の寿命が長くなるようにすることを目的とするものである。
この発明に係わる放射線検出器は、
測定対象の放射線を検出して光に変換する測定用シンチレータ、
この測定用シンチレータに光学結合されて上記光を直進または反射させて伝達するライトガイド、
このライトガイドから伝達された光を電子に変換増幅する光電子増倍管、
この光電子増倍管から出力される電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器、
上記ライトガイドの上記測定用シンチレータ側の面に開口された穴内に配設されたライトパルサ、
および上記ライトガイドと上記光電子増倍管との間に設けられた光結合オイル層を備え、
上記ライトパルサは、指標線源、該指標線源から放射された指標放射線のエネルギーを光に変換するライトパルサ用シンチレータ、このライトパルサ用シンチレータに光学結合され上記ライトパルサ用シンチレータで発光した光を導出する光学窓、この光学窓で蓋をして上記指標線源を密閉する線源容器、上記光学窓上に設置され入力した光量に対して出力する光量を調節する光学フィルタを備え、上記光学窓を上記ライトガイド側に向けて、該ライトガイドの内部に指標パルスが放射されるように上記穴内に配設されている
ものである。
この発明は、測定対象の放射線を検出して光に変換する測定用シンチレータ、この測定用シンチレータに光学結合されて上記光を直進または反射させて伝達するライトガイド、
このライトガイドから伝達された光を電子に変換増幅する光電子増倍管、この光電子増倍管から出力される電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器、上記ライトガイドの上記測定用シンチレータ側の面に開口された穴内に配設されたライトパルサ、および上記ライトガイドと上記光電子増倍管との間に設けられた光結合オイル層を備え、上記ライトパルサは、指標線源、該指標線源から放射された指標放射線のエネルギーを光に変換するライトパルサ用シンチレータ、このライトパルサ用シンチレータに光学結合され上記ライトパルサ用シンチレータで発光した光を導出する光学窓、この光学窓で蓋をして上記指標線源を密閉する線源容器、上記光学窓上に設置され入力した光量に対して出力する光量を調節する光学フィルタを備え、上記光学窓を上記ライトガイド側に向けて、該ライトガイドの内部に指標パルスが放射されるように上記穴内に配設されており、特に、上記ライトガイドの上記測定用シンチレータ側の面に開口する穴を設け、この穴内に上記ライトパルサの光学窓をライトガイド側に向け、該ライトガイドの内部に指標パルスが放射されるようにライトパルサを配設したので、ライトパルサで発した光は、測定用シンチレータで発した光と同様に、ライトガイド内に拡散され、ライトガイド側面で反射しながら上記光電子増倍管に一様に入射するので、ライトパルサにより光電面の一部に集中的に大きな光量が入射されて部分的にゲインの経時変化が加速し、ライトパルサの光パルスと測定用シンチレータの光パルスに対する光電面の感度比が経時的に変化し、結果としてドリフト補償精度が低下するという従来の現象が抑制され或いはなくなるため、長期間安定した特性が得られ、放射線検出器の寿命が長くなる。更に、ライトパルサに入力した光量に対して出力する光量を調節する光学フィルタを備えたので、予め光学フィルタを選定しておけば、放射線検出器毎に光量の相対比を合わせ込む調整が不要になるので放射線検出器の製造コストを大幅に削減できると共に、測定対象の放射線の信号レベルを低下させることなく、測定対象の放射線を低エネルギーまで高感度で測定できる。
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1〜図3により説明する。図1は放射線検出器の構成の一例を示す縦断側面図、図2はライトパルサの構成の一例を示す縦断側面図、図3はスペクトルピークの相対位置の一例を示す線図である。
図1において、測定用シンチレータ1は、入射した測定対象のβ線のエネルギーを吸収して光に変換する。測定用シンチレータ1は透明接着剤2によりライトガイド3に光学結合され、測定用シンチレータ1で発した光はライトガイド3の内部で拡散され、その側面で反射されて伝達される。シリコンオイル層4はライトガイド3と光電子増倍管5を光学的に接合し、測定用シンチレータ1で発した光を、ライトガイド3からシリコンオイル4を経由して光電子増倍管5に入射させる。オイルフェンス6はライトガイド3の首の部分を囲繞するようにして設けられ、シリコンオイル層4からシリコンオイルの流出を防止する。光電子増倍管5は入射した光を電子に変換増幅し、前置増幅器7はソケット8を経由して光電子増倍管5から出力された電流パルスを電圧パルスに変換してコネクタ9から出力する。検出器ケース10は組み込まれた上記1〜8を収納し、検出器ケース10とコネクタ9で光電子増倍管5と前置増幅器7を電気的にシールドすると共に外部からの光の進入を遮断する。ライトパルサ11は、ライトガイド3の測定用シンチレータ1側の面に加工された穴31に埋め込まれてライトガイド3に向けて指標パルス光を放射し、ライトガイド3からシリコンオイル層4を経由して光電子増倍管5に指標パルス光が入射される。
ライトパルサ11の縦断側面図である図2において、α線源111はα線を放射し、ライトパルサ用シンチレータ112はそのα線のエネルギーを吸収して光に変換し、光学窓113はライトパルサ用シンチレータシ112に光学接合され、ライトパルサ用シンチレータ112で発光した光を集光して透過させる。線源容器114は光学窓113で蓋をしてα線源111を密閉する。光学フィルタ115は光学窓113上に設置され、入力した光量に対して出力する光量を調節する。
測定用シンチレータ1としては、加工性が良く、安価で容易に入手できかつ物理的に安定な、例えば、プラスチックシンチレータが使用される。
α線源111としては、入手が容易で半減期が432年と長いAm-241(アメリシウム241)が使用される。Am-241から放射されるα線は約5.5MeVである。
ライトパルサ用シンチレータ112としては、潮解性がなく物理的にも安定で加工性が良く、α線に対する発光効率が高い、例えばCaF2(Eu)シンチレータが使用される。なお、CaF2(Eu)は、ユーロピウムEuをドープしたフッ化カルシウムCaF2の結晶である。
CaF2(Eu)シンチレータとプラスチックシンチレータにおいて、β線の単位エネルギーを光量に変換する効率のプラスチックシンチレータに対するCaF2(Eu)の比は約2.2である。また、シンチレータが放射線の単位エネルギーを光量に変換する効率は、一般にβ線よりα線の方が低く、CaF2(Eu)のα/β比は約0.2である。なお、プラスチックシンチレータのα/β比は0.02であり、プラスチックシンチレータはα線に対する発光効率が低いためライトパルサ用としては適さない。
ライトパルサ11の発光の光電子増倍管5への収集率に対する測定用シンチレータ1の発光の光電子増倍管5への収集率の比が0.7の場合、プラスチックシンチレータ製の測定用シンチレータ1の厚みを飛程400keV相当として、これを前置増幅器7の出力で、0.4Vとなるようにすると、Am-241から放射されるα線約5.5MeVは、前置増幅器7の出力で(1)式に示すように3.5Vとなる。
5.5MeV×0.4V/0.4MeV×2.2×0.2÷0.7=3.5V …(1)
前置増幅器7のダイナミックレンジが0〜2.5Vで、ライトパルサ11のパルス波高値スペクトルピークをダイナミックレンジ内の1.8V程度にするためには、光学フィルタ115により指標パルス波高値を50%程度減衰させる必要がある。光学フィルタは5%刻みのものが容易に入手でき、比較的安価である。
図3は指標パルス及び信号パルスのスペクトルを示したもので、aは指標パルスのスペクトルピークが許容範囲内にある場合を示し、bは指標パルスのスペクトルピークが許容範囲を外れて小さい場合を示す。cは校正用線源Sr-90(ストロンチウム90)/Y-90(イットリウム90)を照射した場合に、測定ウィンドウdに現れる信号パルスのスペクトルピークを示す。eは校正用線源Sr-90/Y-90のスペクトルピーク位置を示し、fは指標パルスのスペクトルピークの許容下限位置を示し、gは指標パルスのスペクトルピークの許容上限位置を示す。fはeの3倍に、gはeの8倍の位置とし、指標パルスのスペクトルピークがf〜gの範囲になるように指標パルスの光量を調整する。
従来の放射線検出器では、ライトパルサにより光電面の一部に集中的に大きな光量が入射されて部分的にゲインの経時変化が加速し、ライトパルサの光パルスとプラスチックシンチレータの光パルスに対する光電面の感度比の経時変化が生じるため、当初の両者の光量の相対比の調整に狂いが生じ、それにより放射線検出器の定期交換周期が短くなるため、ライトパルサの光パルスとプラスチックシンチレータの光パルスに対する光電面の感度比の変化を抑制することが課題であったが、本実施の形態1によれば、上記のように、ライトガイド3の測定用シンチレータ1側の平面に開口した穴31を設け、その穴31の中にライトパルサ11の光学窓113をライトガイド3側に向けて埋め込み、ライトガイド3内部に指標パルスが放射されるようにライトパルサ11を取り付けたので、ライトパルサ11で発した光は、測定用シンチレータ1で発した光と同様に、ライトガイド3内に拡散され、ライトガイド3側面で反射されて光電子増倍管5に一様に入射するので、ライトパルサ11により光電子増倍管5の光電面の一部に集中的に大きな光量が入射されて部分的にゲインの経時変化が加速することによる、ライトパルサ11の光パルスと測定用シンチレータ1の光パルスに対する光電面の感度比の経時変化がなくなるため、放射線検出器の寿命が長くなる。
また、従来の放射線検出器では、測定対象β線がプラスチックシンチレータと反応して発する光を効率良く光電子増倍管に伝達し、S/N比を良好に維持するために、ライトガイドと光電子増倍管を光結合オイルで接合しているが、ライトガイドの光電子増倍管側の面に光結合オイルに面してライトパルサを設けているので、ライトパルサ周辺に付着した気泡を取り除く脱泡処理に長時間を要するが、本実施の形態1によれば、上記のように、ライトパルサ11を埋め込むための穴31をライトガイド3の測定用シンチレータ1側の面に開口して設けたことにより、ライトガイド3の光電子増倍管側の面は平面となるため、脱泡処理が短時間で済むようになり、製造コストを低減できる。
また、従来の放射線検出器では、ライトパルサのα線による指標パルス波高値のスペクトルピークを前置増幅器のダイナミックレンジに収まるように、かつ、ライトパルサの指標パルス波高値のスペクトルピークが、校正用線源を照射におけるプラスチックシンチレータの信号パルス波高値のスペクトルピークに対して高い所定のレベルになるように、ライトガイド上面の遮光膜を取り替えながら適合するものを選択して光電子増倍管に入射する光量の相対比の調整を行っていることから、この調整に多大の作業時間を要しており、調整時間の削減が課題であったが、本実施の形態1によれば、上記のように、ライトパルサ11に入力した光量に対して出力する光量を調節し波高値調整する光学フィルタ115を備えた構造としたので、予め光学フィルタ115を選定しておけば、放射線検出器毎に光量の相対比を合わせ込む調整が不要になるので放射線検出器の製造コストを削減できると共に、測定対象の放射線の信号レベルを低下させることがないため、S/N比を好適な状態に維持して測定対象の放射線を低エネルギーまで、高感度で測定できる。
なお、光学フィルタ115はすりガラスとして散乱により光量を抑制する半透明のフィルタであり、特許文献1における図3の光調整用遮光膜とは異なり、ライトパルサ11の光学窓113開口部を狭めることなく光を放出することが可能である。
また、本実施の形態1によれば、ライトパルサ用シンチレータ112が指標放射線に反応した結果として前置増幅器7から出力される指標パルスの波高値と、測定用シンチレータ1が測定対象の放射線に反応した結果として前置増幅器7から出力される信号パルスの波高値との比を3〜8とすることにより、指標パルスの波高値と信号パルスの波高値を前置増幅器7のダイナミックレンジ内の好適な相対位置に配置することができ、指標パルスのスペクトルピークのテール(尾)が測定ウィンドウに混入してそれがBG値を押し上げるのを抑制できるため高感度で測定できる。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を、放射線検出器の構成の他の例を縦断側面図で示す図4によって説明する。
本実施の形態2は、図4に例示するように、実施の形態1の図1におけるシリコンオイル層4の代わりに透明ゲル状接合剤12で構成したものである。透明ゲル状接合剤12としては、例えば2液型RTVゴムで用途が透明用ゲルのものが信越化学工業(株)から市販されており容易に入手できる。
上記のように、シリコンオイル層4の代わりに透明ゲル状接合剤12を使用することにより、脱泡工程をなくすことができ、放射線検出器の製造コストを大幅に低減できると共に放射線検出器の取付姿勢の制限をなくすことができる効果を奏する。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3は、ライトパルサ用シンチレータ112として、CaF2(Eu)シンチレータの代わりにYAlO3(Ce)シンチレータを使用したものである。なお、CaF2(Eu)はユーロピウムEuをドープしたフッ化カルシウムCaF2の結晶であり、YAlO3(Ce)はセリュウムCeをドープしたイットリウムアルミ酸塩の結晶である。
YAlO3(Ce)シンチレータのα/β比は、CaF2(Eu)と同等で、α線用シンチレータとして優れている。YAlO3(Ce)は塩解性がなく物理的にも安定で加工性が良くライトパルサ用シンチレータ112として好適である。
図5は実施の形態3に係わるシンチレータの温度特性を示す図で、20℃を基準にした放射線が入射して生成される光量の変化を、20℃基準に概念的に表現したものである。hはCaF2(Eu)シンチレータのα線に対する温度特性を、iはYAlO3(Ce)シンチレータのα線に対する温度特性を、jはプラスチックシンチレータのβ線に対する温度特性を示す。使用温度範囲の0〜50℃において、iとjの温度特性は約−0.1%/℃で良く一致しており温度特性の差は小さいのに対して、hの温度特性は約−0.3%/℃と大きい。
ライトパルサを構成するCaF2(Eu)シンチレータがα線源のα線に反応して発する光量の温度特性が約−0.3%/℃に対し、測定対象のβ線を検出するプラスチックシンチレータが測定対象の放射線を検出して発する光量の温度特性が約−0.1%/℃で、両者の温度特性に差があるため、光電子増倍管のドリフトを高精度で補償しても、シンチレータの種類による温度特性の違いが補償残として残るという課題があったが、本実施の形態3によれば、上記のように、測定用シンチレータ1にプラスチックシンチレータを使用し、ライトパルサ用シンチレータ112にYAlO3(Ce)シンチレータを使用することにより、両方のシンチレータの温度特性の差はほとんどなくなり、高精度のドリフト補償が可能となるため、ライトパルサによるゲイン安定化制御においてシンチレータの温度特性が影響することがなくなるため、測定対象の放射線を高精度で連続して測定できる。
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4を、ライトパルサの構成の他の例を示す縦断側面図で示す図6によって説明する。
本実施の形態4は、図6に例示するように、実施の形態3のライトパルサ用シンチレータ112としてのYAlO3(Ce)シンチレータが発した光について、その波長をシフトする波長シフタ116を設けたものである。
上記のように、波長シフタ116を設けることにより、YAlO3(Ce)が発する光の波長約350nmを波長400nm〜450nmにシフトさせ、従来、波長約350nmの光を高効率で安定して透過させるために、光電子増倍管の光電面のガラスに高価な石英ガラスを使用したが、安価で波長400nm〜450nmに適合する硼ケイ酸ガラスを使用したものに切り替えることができる。
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
この発明の実施の形態1を示す図で、放射線検出器の構成の一例を示す縦断側面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、ライトパルサの構成の一例を示す縦断側面図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、スペクトルピークの相対位置の一例を示す線図である。 この発明の実施の形態2を示す図で、放射線検出器の構成の他の例を示す縦断側面図である。 この発明の実施の形態3を示す図で、放射線検出器の温度特性の一例を示す線図である。 この発明の実施の形態4を示す図で、ライトパルサの構成の他の例を示す縦断側面図である。
符号の説明
1 測定用シンチレータ、
2 透明接着剤、
3 ライトガイド、
4 シリコンオイル層、
5 光電子増倍管、
6 オイルフェンス、
7 前置増幅器、
8 ソケット、
9 コネクタ、
10 検出器ケース、
11 ライトパルサ、
111 α線源、
112 ライトパルサ用シンチレータ、
113 光学窓、
114 線源容器、
115 光学フィルタ、
116 波長シフタ、
12 透明ゲル状接合剤、
31 穴。

Claims (5)

  1. 測定対象の放射線を検出して光に変換する測定用シンチレータ、
    この測定用シンチレータに光学結合されて上記光を直進または反射させて伝達するライトガイド、
    このライトガイドから伝達された光を電子に変換増幅する光電子増倍管、
    この光電子増倍管から出力される電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器、
    上記ライトガイドの上記測定用シンチレータ側の面に開口された穴内に配設されたライトパルサ、
    および上記ライトガイドと上記光電子増倍管との間に設けられた光結合オイル層を備え、
    上記ライトパルサは、指標線源、該指標線源から放射された指標放射線のエネルギーを光に変換するライトパルサ用シンチレータ、このライトパルサ用シンチレータに光学結合され上記ライトパルサ用シンチレータで発光した光を導出する光学窓、この光学窓で蓋をして上記指標線源を密閉する線源容器、上記光学窓上に設置され入力した光量に対して出力する光量を調節する光学フィルタを備え、上記光学窓を上記ライトガイド側に向けて、該ライトガイドの内部に指標パルスが放射されるように上記穴内に配設されている放射線検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器において、上記ライトパルサ用シンチレータが指標放射線に反応した結果として上記前置増幅器から出力される指標パルスの波高値と、上記測定対象の放射線を検出する測定用シンチレータが測定対象の放射線に反応した結果として上記前置増幅器から出力される信号パルスの波高値との比を3〜8としたことを特徴とする放射線検出器。
  3. 請求項1に記載の放射線検出器において、上記光結合オイル層の代わりに透明ゲル状接合剤を使用したことを特徴とする放射線検出器。
  4. 請求項1〜3の何れか一に記載の放射線検出器において、上記ライトパルサ用シンチレータとしてYAlO3(Ce)シンチレータを、上記測定用シンチレータとしてプラスチックシンチレータを、それぞれ使用したことを特徴とする放射線検出器。
  5. 請求項4に記載の放射線検出器において、上記ライトパルサ用シンチレータのYAlO3(Ce)シンチレータが発した光の波長をシフトする波長シフタを設けたことを特徴とする放射線検出器。
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