上記構成では、開口縁部の屋外側に、ビス止め部分(入隅部104,113及び枠部材105,111の取付板部105a,111a)となる隙間を確保する必要がある。シーリング材によってその隙間をシールすることが困難であるため、防水シール107,115を圧入する構成を採用するしかない。
ここで、前記防水シール107,115を隙間に圧入する上では、その圧縮の程度が大きい程、防止シール107,115のシール性能が高くなる。そのため、高い防水性を確保するためには、防水シール107,115の厚みを隙間の寸法よりもできるだけ大きくする必要がある。
しかしながら、防水シール107,115の厚みが増すほど隙間への圧入が困難となるため、その圧入作業の施工性が悪いという問題がある。そうかといって、その施工性改善のために防水シール107,115の厚みを薄くしてしまうと、防水性能が低下してしまうため、その対策を採用できない。
しかも、開口部102を屋外側から見た場合に、開口縁部に設けられた枠部材105,111の周囲で、防水シール107,115があらわになってしまう従来の構成では、建物の美観という観点でも改善の余地がある。
そこで、本発明は、防水性を確保しながら、施工性を向上させるとともに、外観の見栄えもよくなる開口部構造、及び壁体の端縁部に枠部材を設置する設置方法を提供することを主たる目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
すなわち、第1の発明では、建物の壁体に屋内外を連通する開口部が形成され、前記壁体における前記開口部側の端縁部に枠部材が設置される開口部構造であって、前記壁体の端縁部は、外壁面に対して裏面となる当接面を有するとともに、前記枠部材は、前記当接面に前記裏面側から当接した状態で前記壁体に固定される枠下地部を有する構造とした。
この第1の発明によれば、枠部材はその枠下地部が外壁の裏面側で当接した状態で設置された構造となっており、この場合、防水性は裏面側の当接部分で確保することが可能となる。このため、屋外側から枠部材をビス止めしていた従来の構造とは異なり、ビス止め用の隙間を屋外側に設ける必要がなく、そこに防水シールを圧入するといった作業も不要となる。これにより、防水性を確保しながら、施工性を向上させ、また、外観の見栄えもよくすることができる。
なお、前記開口部は、ドア(扉)や窓障子等の開閉体が設けられる開口部であり、具体的には、玄関口、勝手口及び窓等が例として考えられる。前記枠部材は、前記開閉体を開閉可能に支持するものであり、具体的にはドア枠や窓枠等が例として考えられる。中でも、開閉体としてのドアが設置される、玄関口や勝手口等の開口部である場合に、開口部の下側を除く、左右及び上側に設置される枠部材に関して、上記構造を採用することが好適となる。
第2の発明では、前記枠下地部は、前記当接面と対向する対向面を有しており、その対向面と前記当接面との間には防水部材が設けられているとした。
この第2の発明によれば、防水部材により、外壁の裏面側で、前記枠下地部が設置された箇所の防水性を確保することができる。
第3の発明では、前記壁体は、外壁面を表面とする外壁面材とその下地フレームとを有する外壁パネルを備え、その外壁パネルの端縁部では、前記外壁面材の裏面と前記下地フレームの端面とで入隅部が形成され、その入隅部を形成する面材裏面を前記当接面とした。
この第3の発明によれば、外壁面材の裏面を、前記枠下地部が当接する当接面として利用している。外壁パネルそのものは既存の構成であるため、その既存構成を利用して当接面を外壁の裏側に形成することで、構成の簡素化を実現できる。
第4の発明では、前記枠下地部は、前記対向面に取り付けられた前記防水部材と、前記対向面の反対側に設けられた下地本体とが一体化されてなり、前記下地本体が前記下地フレームに固定されているとした。
この第4の発明によれば、枠下地部は防水部材と下地本体とが一体化されてなり、そのうち、防水部材を前記当接面に当接させた状態で、前記外壁パネルの端縁部に固定される。そして、枠部材が有する枠下地部は防水部材と下地本体とが一体化され、その下地本体を下地フレームに固定すれば枠部材が設置される。このため、枠部材の設置を容易に行うことができ、施工性向上に寄与できる。
第5の発明では、前記枠下地部は、前記防水部材を前記当接面に押し当てるようにして設置され、その防水部材は圧縮された状態で設けられているものとした。
この第5の発明によれば、防水部材が当接面に押し当てられて圧縮された状態となっているため、その防水性能を高めることができる。
第6の発明では、前記枠下地部の押し込み量を規制して、前記枠部材が配置される位置を位置決めする位置決め構造を有する。
この第6の発明によれば、防水部材を当接面に押し当てるべく、枠下地部を押し込む場合に、その押し込み量が規制されることで、枠部材がその配置位置に位置決めされる構造となっている。このため、枠部材の配置位置の合わせを容易に行えるとともに、押し込みによる防水部材の圧縮程度の管理も容易に行える。
なお、前記第3の発明を前提とする場合、前記位置決め構造として具体的には、前記枠下地部に設けられた当接板部が、前記外壁パネルの下地フレームにその裏面側から当接した構造を採用することが好ましい。この場合、前記枠下地部を押し込むと、前記当接板部が前記下地フレームに裏面側から当接してその押し込み量が規制される。この規制により、枠部材の位置決めがなされる。
また、前記第4の発明も合わせて前提とする場合であれば、前記当接板部は、前記下地本体の裏面側(防水部材が設けられている屋外側とは反対側、つまり屋内側)に、前記当接板部を有する位置決め部材が設けられることが好ましい。この場合、位置決め部材は鉤状に形成された構成を有することが好ましく、その第1板部が前記下地本体の裏面側に取り付けられ、第2板部が前記当接板部とされる。第1板部と第2板部との段差量の設定次第で、押し込み量を変更することができる。
その他、鉤状をなす前記位置決め部材に代えて、前記下地本体の裏面側に調整板部材が設けられ、その調整板部材の裏面と前記下地フレームの裏面とが面一となることで、位置決めがなされるようにしてもよい。この場合も、調整板部材の厚さを変更すれば、枠下地部の押し込み量を変更することができる。
第7の発明では、前記枠部材は、前記壁体の端縁部より開口部側で、外壁面から屋外側に張り出す張り出し部を有し、その張り出し部と前記壁体の端縁部との間がシーリング材によりシールされているとした。
この第7の発明によれば、枠部材が張り出し部を有していても、その張り出し部と壁体の端縁部との間に形成された隙間は比較的狭いものであるため、シーリング材によるシールによって防水性を確保できる。
第8の発明では、建物の壁体に形成されて屋内外を連通する開口部において、前記壁体における前記開口部側の端縁部に枠部材を設置する方法であって、前記壁体の端縁部は外壁面に対して裏面となる当接面を有し、前記枠部材はその有する枠下地部を前記当接面に前記裏面側から当接させ、その当接状態で前記枠下地部を前記壁体に固定するようにした。
この第8の発明によれば、枠部材は、その枠下地部を外壁の裏面に当接させるようにして設置され、防水性の確保もその裏面側で行われることになる。このため、枠部材を屋外側から設置してビス止めしていた従来方法とは異なり、ビス止め用の隙間を屋外側に設ける必要がなく、そこに防水シールを圧入するといった作業も不要となる。これにより、防水性を確保しながら、施工性を向上させることができる。また、外観の見栄えもよい。
第9の発明では、前記設置方法において、前記枠下地部には、その設置箇所を防水する防止部材が予め設けられており、前記防水部材を前記当接面に押し当ててその防水部材を圧縮させ、その押し当て状態で前記枠下地部を前記壁体に固定するようにした。
この第9の発明によれば、押し当てにより圧縮された状態で防水部材が設けられるため、枠下地部の設置箇所において、高い防水性能を確保できる。
一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。ここでは、建物に設けられる開口部として玄関口を、開口部に設けられる開閉体として玄関扉を想定している。
まず、図1を参照しながら、玄関口の全体像を簡単に説明する。図1は、建物の玄関口を屋外側からみた正面図である。この説明における「左右」とは、屋外側から玄関口を見た場合、つまり、図1の図示を基準とした場合の左右をいうものとする。
図1に示されているように、建物には、屋内の玄関と屋外とを連通する玄関口11が設けられている。玄関口11は縦長の矩形状をなすように形成され、その周囲には壁体である外壁部12の外壁面が広がっている。この玄関口11の開口縁部のうち、左右及び上側の開口縁部は、外壁部12の端縁部13〜15によって形成されている。
そこには、それぞれ枠体21〜23が設置されている。左右に設けられて鉛直(縦)方向に延びているのは縦枠21,22であり、左縦枠21は左側端縁部13に、右縦枠22は右側端縁部14に設けられている。また、上側に設けられて水平(横)方向に延びるているのは上横枠23であり、上側端縁部15に設けられている。
これら各枠体21〜23を設置する上では、それぞれが個別に、外壁部12の端縁部13〜15に対して設置される。他の設置態様として、左右の縦枠21,22及び上横枠23がコ字状をなす扉枠として一体的に構成され、その扉枠が外壁部12の端縁部13〜15に設置される構成を採用してもよい。
なお、この実施形態では、玄関口11の下側開口縁16に下横枠24が設けられているが、この下横枠24が省略された玄関口11としてもよい。
[開口部構造]
次に、下横枠24を除く、上記各枠体21〜23が設置された開口縁部の構造を、図2乃至図4を参照しながら詳しく説明する。なお、左右の開口縁部はいずれも同じ構造を有するため、左側開口縁部に関する説明にとどめる。
図2は、図1におけるA−A断面図、つまり左側開口縁部の断面図である。図2において、玄関口11の左方には、外壁パネル31が設けられている。外壁パネル31の屋内側には、図示されていないが、断熱材や石膏ボード等の内装材といった各種の壁構成部材が設けられている。それら各種の壁構成部材と、前記外壁パネル31とで外壁部12が構成されている。この外壁部12の開口側端縁部が、前記左側端縁部13となっている。
外壁パネル31は、外壁面を形成する外装材32と、外装材32の裏面側(屋内側)に取り付けられた下地フレーム33とを備えている。外壁面材としての外装材32は、例えば窯業系サイディング等により形成されている。下地フレーム33は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなるフレーム材が、矩形枠状に連結されることで構成されている。この下地フレーム33が梁等に取り付けられることにより、外壁パネル31が固定されている。
前記外装材32の開口側端縁部は、前記下地フレーム33(開口側の縦フレーム材34)よりも開口内側に突出している。この外装材32の突出により、外壁パネル31の開口側端縁部では、その裏面側に、縦フレーム材34のウエブ34aの外面と、外装材32の裏面35aとで入隅部35が形成されている(後述する図5(a)参照)。
前記入隅部35には、前記左縦枠21を設置する上での下地部分となる縦木枠41が設けられ、この縦木枠41に前記左縦枠21が取り付けられている。縦木枠41は、複数の木製板材が組み合わされ、入隅部35よりも幅広の四角形状に形成されてなる。縦木枠41は、プレート42を介在させて縦フレーム材34のウエブ34aに当接され、縦フレーム材34の内側(フランジ形成側)からビス43で固定されている。このビス43による固定は、縦方向に沿って所定間隔ごと複数の個所で行われる(前述した図1を参照)。
図3は、左縦枠21と縦木枠41との結合を示す断面図である。左縦枠21は、ステンレス等の金属材料より構成される板材によって、図3に示されているように、その横断面が全体として略矩形状をなすように形成されている。屋内側となる部分では、一の角部が切り欠かれた形状とされ、その切り欠き部分が縦木枠41との重なり空間51となっている。図示のように、この重なり空間51に縦木枠41の角部を入り込ませることで、左縦枠21が縦木枠41に組み付けられる。その状態で、縦木枠41の一面と当接する取付板部52を、左縦枠21はその長手方向に沿って有している。その両者を当接させた状態で、ビス53により左縦枠21と縦木枠41とが結合される。また、玄関口11側からもビス54で結合されており、これら直交方向からのビス止めにより左縦枠21は縦木枠41に強固に結合される。
図2に戻り、左縦枠21と結合された縦木枠41が縦フレーム材34に固定された状態では、左縦枠21の取付板部52が、前記入隅部35を形成する外装材32の裏面35aと対向している。そして、その両面の間には、縦防水シール44が圧縮された状態で設けられている。防水部材としての縦防水シール44は、弾性を有して一定量の圧縮が可能となる樹脂素材により形成されている。
また、左縦枠21は、外装材32の表面(外壁面)よりも屋外側に張り出した形状をなしている。その外壁面より張り出した部分が、張り出し部に相当する。この張り出し部分の存在により、外装材32の開口側端縁部との間には若干の隙間45が存在している(後述する図5(b)参照)。この隙間45にはシーリング材46が設けられ、そこでも防水性が確保されている。
この実施形態では、外装材32の前記裏面35aが当接面であり、それと対向する取付板部52の面が対向面に相当する。左縦枠21の取付方法として図5及び図6を用いて後に説明するように、左縦枠21、縦木枠41及び防水シール44は予め一体化されており、それが外壁パネル31の開口側端縁部に設置されるようになっている。このため、その一体化されたもの(縦枠アセンブリ81)が枠部材に相当し、枠下地部は、縦木枠41、取付板部52及び防水シール44等を含んで構成されている。
前記縦木枠41において、前記取付板部52との当接面とは反対側の面には、左縦枠21の取り付けに際して位置決め機能を発揮する位置決め板47がビス48を用いて取り付けられている。その機能については、左縦枠21の取付に関する説明として後述する。位置決め板47は鉤状に形成されており、その第1板部47aが縦木枠41と当接して取り付けられている。一方、第2板部47bは、縦フレーム材34のフランジ34bに当接された状態でビス49により固定されている。なお、この位置決め板47が位置決め部材に相当し、第2板部47bが当接板部に相当する。そして、位置決め板47の第2板部47bと、フランジ34bとが当接した構成が、位置決め構造となっている。
続いて、上側の開口部構造を説明する、図4は、図1のB−B断面図、つまり上側開口縁部の断面図である。図4において、玄関口11の上方には、外壁パネル31が設けられている。この外壁パネル31を含む外壁部12の開口側端縁部が、前記上側端縁部15となっている。前述した左側端縁部13の構造と同様に、外装材32の開口側端縁部は、下地フレーム33(開口側の横フレーム材36)よりも開口内側に突出している。このため、横フレーム材36のウエブ36aの外面と、外装材32の裏面37aとで入隅部37が形成されている(後述する図6(a)参照)。
この入隅部37には、調整合板61を介在させた状態で、前記上横枠23を設置する上での下地部分となる横木枠62が設けられ、この横木枠62に前記上横枠23が取り付けられている。横木枠62は、横フレーム材36のウエブ36aに対し、玄関口11から上方に向けてビス63で固定されている。このビス63による固定は、横方向に沿って所定間隔ごと複数の個所で行われる(前述した図1を参照)。
上横枠23は、前記左縦枠21と同様、ステンレス等の金属材料より構成された板材で、その横断面が全体として略矩形状をなすように形成されている。この上横枠23は、その上面部分から鉛直方向に起立して、前記横木枠62の屋外側端面に当接する取付板部71を、その長手方向に沿って有している。その両者を当接させた状態でビス72により固定されることで、上横枠23は横木枠62に固定される。
その固定状態では、上横枠23の取付板部71は前記入隅部37を形成する外装材32の裏面37aと対向している。そして、その両面の間には、横防水シール64が圧縮された状態で設けられている。防水部材としての横防水シール64は、弾性を有して一定量の圧縮が可能となる樹脂素材によって形成されている。
また、上横枠23は外装材32の表面(外壁面)よりも屋外側に張り出した形状をなしている。その外壁面より張り出した部分が、張り出し部に相当する。この張り出し部分の存在により、外装材32の開口側端縁部との間には若干の隙間65が形成されている(後述する図6(b)参照)。この隙間65にはシーリング材66が設けられ、そこでも防水性が確保されている。
なお、この実施形態では、外装材32の前記裏面37aが当接面であり、それと対向する取付板部71の面が対向面に相当する。上横枠23の取付方法として図7及び図8を用いて後に説明するように、上横枠23、横木枠62及び防水シール64は予め一体化されており、それが外壁パネル31の端縁部に設置されるようになっている。このため、その一体化されたもの(横枠アセンブリ82)が枠部材に相当し、枠下地部は、横木枠62、取付板部71及び防水シール64等を含んで構成されている。
横木枠62において、前記取付板部71との当接面の反対側の面には、上横枠23の取り付けに際して位置決め機能を発揮する位置決め板67がビス68を用いて取り付けられている。その機能については、上横枠23の取付に関する説明として後述する。左縦枠21の設置構成における位置決め板47と同様、ここでも位置決め板67は鉤状に形成されており、その第1板部67aが横木枠62に取り付けられている。一方、第2板部67bは、調整合板61及び横フレーム材36のフランジ36bに当接された状態で、ビス69により固定されている。なお、この位置決め板67が位置決め部材に相当し、第2板部67bが当接板部に相当する。そして、位置決め板67の第2板部67bと、フランジ36bとが当接した構成が、位置決め構造となっている。
このように左縦枠21及び上横枠23が設置され、かつ同様に右縦枠22が設置された状態で、図2及び図4に示されているように、玄関ドア25がこれらの枠体21〜23に対して取り付けられる。
[枠体の設置方法]
次に、外壁部12の端縁部13〜15に対して、左右の縦枠21,22及び上横枠23を取り付ける取付作業について説明する。なお、ここでも、左右の縦枠21,22では同じ取付作業が行われるため、左縦枠21の取付作業に関する説明にとどめる。
まず、左縦枠21の取付作業について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5及び図6は、左縦枠21の取付作業を示す断面図である。図5は取付前の状態を示し、図6(a)(b)は被取付側に対して取付側を押圧する前後の状態を示している。
図5において、被取付側となる外壁部12の開口側端縁部の構成、つまり、玄関口11を基準とした場合の前記左側端縁部13の構成は前記図2を用いて説明したとおりであり、外壁パネル31に入隅部35が形成されている。一方、取付側では、前記左縦枠21に縦木枠41、縦防水シール44及び位置決め板47が取り付けられて、それらが一体化された縦枠アセンブリ81として構成されている。この縦枠アセンブリ81は、枠部材に相当する。
縦枠アセンブリ81において、左縦枠21と縦木枠41との結合は、前記図3を用いて説明したとおりである。縦防水シール44は、左縦枠21の取付板部52が縦木枠41にビス止めされた状態で、その取付板部52に接着剤等によって固着されている。縦防水シール44は圧縮される前の状態であり、取付板部52への接着面とその反対側の面(以下、先端面44aという)との間の寸法(厚さ)は、図2に示した状態よりも長くなっている。そして、その先端面44aをその垂直方向へ向けて弾性力に抗して押圧すれば、縦防水シール44が圧縮されるようになっている。位置決め板47は、その第1板部47aが縦木枠41の前記縦防水シール44の設置側と反対側の面にビス止めされている。
このように構成された縦枠アセンブリ81を、前記入隅部35を形成する外装材32の裏面35aに、前記縦防水シール44の先端面44aを当接させるようにして、左側端縁部13に取り付ける。
この場合、図6(a)に示されているように、縦防水シール44の先端面44aを外装材32の裏面35aに当接させ、その当接状態から、位置決め板47の第2板部47bが縦フレーム材34のフランジ34bに当接するまで押し込むようにする。すると、その押圧力Fを受けて、図6(b)に示されているように、縦防水シール44が圧縮されるとともに、左縦枠21の先端部が屋外側へさらに張り出した状態となる。この場合の押し込み量(縦防水シール44の圧縮量)L1は、縦防水シール44の先端面44aを当接させただけの状態において、位置決め板47の第2板部47bとフランジ34bとの間の寸法(換言すれば、第1板部47aと第2板部47bとの間の段差量)に依存する。
この第2板部47bとフランジ34bの両者が当接することにより、自動的に押し込み量L1が設定される。この実施形態では、縦防水シール44の厚さが略半分となる程度となる押し込み量L1が設定されている。この押し込んだ状態で、ビス43を用いて縦フレーム材34のウエブ34aと縦木枠41とを固定し、かつ位置決め板47の第2板部47bと縦フレーム材34のフランジ34bとを固定すれば、左縦枠21の取り付けが完了する。
続いて、上横枠23の取付作業について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7及び図8は、上横枠23の取付作業を示す断面図である。図7は取付前の状態を示し、図8(a)(b)は被取付側に対して取付側を押圧する前後の状態を示している。
図7において、被取付側となる外壁部12の開口側端縁部の構成、つまり、玄関口11を基準とした場合の前記上側端縁部15の構成は、前記図4を用いて説明したとおりであり、外壁パネル31に入隅部37が形成されている。一方、取付側では、前記上横枠23に横木枠62、横防水シール64、調整合板61及び位置決め板67が取り付けられて、それらが一体化された横枠アセンブリ82として構成されている。この横枠アセンブリ82が、枠部材に相当する。
横枠アセンブリ82の構成、及びそれを前記上側端縁部15に取り付ける作業は、前記縦枠アセンブリ81と概ね同じである。つまり、横枠アセンブリ82では、非圧縮状態の横防水シール64が上横枠23の取付板部71に固着されており、その先端面64aを外装材32の裏面37aに当接させるようにして取り付ける。この場合、図8(a)に示されているように、横防水シール64の先端面64aを外装材32の裏面37aに当接させた後、位置決め板67の第2板部67bが横フレーム材36のフランジ36bに当接するまで押し込む。これにより、図8(b)に示されているように、横防水シール64は圧縮されるとともに、上横枠23の先端部が屋外側へさらに張り出す。ここでも、その押し込み量(横防水シール64の圧縮量)L2は、横防水シール64の厚さが略半分となる程度となるように設定されている。その状態で、ビス63を用いて横フレーム材36のウエブ36aと横木枠62とを固定し、かつ位置決め板67の第2板部67bと横フレーム材36のフランジ36bとを固定すれば、上横枠23の取り付けが完了する。
ちなみに、上記図5及び図6の図示から明らかなように、縦枠アセンブリ81は、その一部(縦木枠41の一部や縦防水シール44)が、外壁パネル31に形成された入隅部35に入り込んだ状態で設置される。このため、玄関口11の左右に縦枠アセンブリ81が設置された状態において、その両縦枠アセンブリ81間の外寸法は、玄関口11の開口領域における横幅(外装材32の端面間の寸法)よりも大きくなっている。
以上の構成により、以下に示す有利な効果が得られる。
(1)外装材32の裏面35a,37aに、防水シール44,64を押し当てるようにして枠アセンブリ81,82を設置する設置方法により、左右及び上側の各枠体21〜23が外壁部12の端縁部13〜15に設置される。玄関口11の開口縁部は、枠アセンブリ81,82の下地部分が、外壁面に対する裏面側に当接した構造となっている。この場合、その裏面側で防水性が確保されている。このため、屋外側からビス止めしていた従来の構造とは異なり、ビス止め用の隙間を屋外側に設けることも、そこにシールを圧入するといった作業も不要となる。これにより、防水性を確保しながら、施工性を向上させ、また、外観の見栄えもよくすることができる。
(2)枠アセンブリ81,82の防水シール44,64を押し当てる面として、外装材32の裏面35a,37aを利用している。外壁パネル31そのものは既存の構成であるため、その既存構成を利用して押し当て面が形成されているため、構成の簡素化を実現できる。
(3)枠体21〜23、防水シール44,64及び縦横の木枠41,62が一体化されて枠アセンブリ81,82が形成され、そのうち防水シール44,64を外装材32の裏面35a,37aに押し当てて設置するようにしている。この場合、縦横の木枠41,62を下地フレーム33に固定すれば、枠アセンブリ81,82の設置が完了する。そのため、枠体21〜23の設置を容易に行うことができ、施工性向上に寄与できる。
(4)防水シール44,64は圧縮された状態で設けられているため、高い防水性能を発揮できる。
(5)枠アセンブリ81,82を押し込むと、位置決め板47,67の第2板部47b,67bが下地フレーム33のフランジ34b、36bに当接することで、その押し込み量が規制されて位置決めされる。これにより、枠アセンブリ81,82の配置位置の合わせを容易に行えるとともに、押し込みによる防水シール44,64の圧縮程度の管理も容易に行える。また、位置決め板47,67において、その第1板部47a,67aと第2板部47b、67bとの段差量の設定次第で、押し込み量を変更することもできる。
(6)枠体21〜23は外壁面よりも屋外側に張り出した部分を有しているが、その張り出し部分と外装材32の端縁部との間に形成された隙間45,65は比較的狭い。このため、シーリング材46,66によるシールによって、防水性を確保できる。
[別の実施形態]
なお、以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
(a)上記実施の形態では、外壁パネル31において、外装材32とフレーム材34,36とで入隅部35,37が形成されているが、外壁部12を構成する他の部材によって、屋内側に入隅部35,37が形成される構成を採用してもよい。その構成は、前記外壁パネル31を有しない外壁構造を有する場合に好適となる。要は、被取付側となる外壁部12の端縁部において、防水シール44,64を押し当てる面が外壁面に対する裏面側に形成された構成を有していれば足りる。
(b)上記実施の形態では、建物に設けられる開口部として玄関口を想定して説明したが、勝手口や窓等の開口部であってもよい。また、開閉体としても、玄関ドア25ではなく、窓障子等の開閉体であってもよい。その開閉体に関しては、開き戸や引き戸等の種類が存在するが、そのいずれであってもよい。
(c)上記実施の形態では、位置決め板47,67が設けられることにより、枠アセンブリ81,82の押し込み量L1,L2が決められる位置決め構造を有しているが、その位置決め構造は省略してもよい。
また、位置決め構造を採用する場合でも、前記位置決め板47,67を用いた構成ではなく、図9に示されているように、位置決め合板91,92が用いられた構成を採用してもよい。この位置決め合板91,92は調整板部材に相当し、縦横の木枠41,62において、前記位置決め板47,67の第1板部47a,67aが取り付けられていた部分に取り付けられる。枠アセンブリ81,82を押し込む場合に、この位置決め合板91,92の反取付面(屋外側の面)が、フレーム材34,36のフランジ34b,36bと面一となるまで押し込むことでその押し込み量を判断できる。位置決め合板91,92の厚さを変更すれば、枠アセンブリ81,82の押し込み量を変更することもできる。
(d)上記実施の形態では、枠体21〜23を含む枠アセンブリ81,82を構成して、それを外壁部12の端縁部13〜15に取り付けるようにしていたが、一体化された各構成要素を個別に取り付けるようにしてもよい。これによっても、屋外側にビス止め用の隙間が形成されないため、シールの圧入作業が不要となるし、美観も向上する。とはいえ、施工性の改善という点では、枠アセンブリ81,82として設置する方が好ましい。
(e)上記実施の形態では、枠アセンブリ81,82を、その設置作業者の力によって押し込むようにしているが、ボルト及びナットを用いて、そのいずれかの締め付けに伴って枠アセンブリ81,82が押し込まれるように構成してもよい。この場合、位置決め板47,67の第2板部47b,67bとフランジ334b,36bとを結合するビス49,49に代えて、ボルト及びナットを用いて結合される構成を採用することが、その例として考えられる。