本発明のシート積載装置、その制御方法および画像形成システムの実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態のシート積載装置は、画像形成装置に接続され、画像形成装置とともに画像形成システムを構成する。
(全体構成)
図1は実施の形態におけるシート積載装置を備えた画像形成システムの構成を示す図である。画像形成システムは、画像形成装置10およびシート積載装置(スタッカ)800から構成される。画像形成装置10は、原稿画像を読み取るイメージリーダ200およびプリンタ300を備える。
イメージリーダ200には、原稿給送装置100が搭載されている。原稿給送装置100は、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ左方向へ給紙し、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を左から流し読み取り位置を経て右へ搬送し、その後、外部の排紙トレイ112に向けて排出する。
この原稿がプラテンガラス102上の流し読み取り位置を左から右へ向けて通過するときに、この原稿画像は流し読み取り位置に対応する位置に保持されたスキャナユニット104により読み取られる。この読み取り方法は、一般的に、原稿流し読みと呼ばれる方法である。具体的には、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、原稿の読取り面がスキャナユニット104のランプ103の光で照射され、その原稿からの反射光がミラー105、106、107を介してレンズ108に導かれる。このレンズ108を通過した光は、イメージセンサ109の撮像面に結像する。
このように流し読み取り位置を左から右へ通過するように原稿を搬送することによって、原稿の搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする、原稿読み取り走査が行われる。
すなわち、原稿が流し読み取り位置を通過する際、主走査方向に原稿画像を1ライン毎にイメージセンサ109で読み取りながら、原稿を副走査方向に搬送することによって原稿画像全体の読取りが行われる。光学的に読み取られた画像は、イメージセンサ109によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ109から出力された画像データは、後述する画像信号制御部202(図2参照)において所定の処理が施された後、プリンタ300の露光部110にビデオ信号として入力される。
なお、原稿給送装置100により原稿をプラテンガラス102上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿を読み取ることも可能である。この読取り方法は、いわゆる原稿固定読みと呼ばれる方法である。
原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取る場合、まず、ユーザ(操作者)は、原稿給送装置100を持ち上げてプラテンガラス102上に原稿を載置する。そして、スキャナユニット104を左から右へ走査させることにより、イメージリーダ200は原稿の読取りを行う。すなわち、原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取る場合、原稿固定読みが行われる。
プリンタ300内の露光部110は、入力されたビデオ信号に基づき、レーザ光を変調して出力する。このレーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には、走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。露光部110は、原稿固定読みの場合、正しい画像(鏡像でない画像)が形成されるように、レーザ光を出力する。感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。
また、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、各カセット114,115、手差給紙部125または両面搬送パス124から用紙が給紙される。この用紙は、感光ドラム111と転写部116との間に搬送される。感光ドラム111に形成された現像剤像は、転写部116により給紙された用紙上に転写される。
現像剤像が転写された用紙は定着部117に搬送される。定着部117は用紙を熱圧することによって現像剤像を用紙上に定着させる。定着部117を通過した用紙は、フラッパ121および排出ローラ118を経てプリンタ300から外部(スタッカ800)に向けて排出される。
ここで、用紙をその画像形成面が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出する場合、プリンタ300は、定着部117を通過した用紙をフラッパ121の切換動作により反転パス122内に導く。そして、その用紙の後端がフラッパ121を通過した後、プリンタ300は、用紙をスイッチバックさせ、排出ローラ118によりプリンタ300からスタッカ800に向けて排出する。
この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。この反転排紙は、原稿給送装置100を使用して読み取った画像を形成する場合、コンピュータから出力された画像を形成する場合など、先頭頁から順に画像形成する際に行われる。その排紙後の用紙順序は正しい頁順になる。
また、手差給紙部125からOHPシートなどの硬い用紙が給紙され、この用紙に画像を形成する場合、プリンタ300は、用紙を反転パス122に導くことなく、画像形成面を上向きにした状態(フェイスアップ)で排出ローラ118により排出する。
さらに、用紙の両面に画像形成を行う両面記録が設定されている場合、つぎのような制御が行われる。すなわち、フラッパ121の切換動作により用紙を反転パス122に導いた後、両面搬送パス124に搬送し、両面搬送パス124に導かれた用紙を前述したタイミングで感光ドラム111と転写部116との間に再度給紙する制御が行われる。
プリンタ300から排出された用紙は、スタッカ800に送られる。スタッカ800はノンソート積載、シフトソート積載などの処理を行う。
(システムブロック図)
つぎに、画像形成システム全体の制御を司るコントローラの構成について、図2を参照しながら説明する。図2は画像形成システム全体の制御を司るコントローラ60の構成を示すブロック図である。本実施形態では、コントローラ60は画像形成装置10内に置かれている。なお、コントローラ60は、画像形成装置10の外部に、あるいはスタッカ800内に置かれてもよい。
コントローラ60は、CPU回路部150を有する。CPU回路部150は、CPU151、ROM152、RAM153を内蔵し、CPU151がROM152に格納されている制御プログラムを実行することにより、後述する各部を総括的に制御する。RAM153は、制御データを一時的に保持し、また、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
原稿給送装置制御部101は、CPU回路部150からの指示に基づき、原稿給送装置100の駆動制御を行う。
イメージリーダ制御部201は、スキャナユニット104、イメージセンサ109などの駆動制御を行い、イメージセンサ109から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部202に転送する。
画像信号制御部202は、イメージセンサ109からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。また、画像信号制御部202は、コンピュータ210から外部I/F209を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。この画像信号制御部202の動作は、CPU回路部150により制御される。プリンタ制御部301は、入力されたビデオ信号に基づき、露光部110を駆動する。
操作表示装置制御部401は、操作表示装置400とCPU回路部150との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置400は、後述するように、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための液晶表示部などを有する。操作表示装置400は、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力するとともに、CPU回路部150からの信号に基づき、対応する情報を液晶表示部に表示する。
スタッカ制御部801は、スタッカ800に搭載され、CPU回路部150と情報のやり取りを行うことにより、スタッカ全体の駆動制御を行う。
(スタッカ構成)
つぎに、スタッカ800の構成について図3を参照しながら説明する。図3はスタッカ800の内部構成を示す図である。スタックトレイ821a、821bは、画像形成装置10から排出され、順次装置内に取り込まれるシートを、多数枚積載するスタックトレイであり、モータ(図示せず)により駆動されて個々に昇降する。なお、スタックトレイ821a、821bを特に区別する必要がない場合、スタックトレイ821と総称する。
幅方向シート規制部材822a、822bおよび搬送方向シート規制部材(先端シート規制ユニット)823は、それぞれモータ(図示せず)により駆動され、スタックトレイ821a、821bにおけるシートの積載性を向上させる。ここで、幅方向とは、シートの搬送方向に直交する方向のことである。なお、幅方向シート規制部材822a、822bを特に区別する必要がない場合、幅方向シート規制部材822と総称する。
画像形成装置10から排出されたシートは、シート入口部の搬送パス811を経て、スタッカ800に引き込まれる。搬送パス812は、スタッカ800のスタックトレイ821にシートを搬送するための搬送パスである。
さらに、搬送パス812の搬送経路途中には、スタックトレイ821へシートをオフセットして排紙するシフトソートモードの際、シートをその幅方向の所定の位置にシフトさせながら搬送する横方向レジストレーション補正装置850が設けられている。なお、幅方向及び横方向とは、シートの搬送方向に直交する方向である。この横方向レジストレーション補正装置を、以下、横レジ補正装置と称する。
この横レジ補正装置850は、シフトソートモードの際、スタックトレイ821に排紙されるシート全てに対して動作し、シートの横方向レジストレーション(以下、横レジ)を補正すると共に、シートを幅方向の所定の位置にシフトさせながら搬送する。
横レジ補正装置850で横レジの補正が行われたシートは、搬送パス813を経て、スタック部810に導かれる。
満載位置検知センサ817a、817bは、スタックトレイ821a、821bの積載満載を検知するものであり、スタックトレイ821a、821bをシート取り出し位置に下降させる際に用いられる。なお、満載位置検知センサ817a、817bを特に区別する必要がない場合、満載位置検知センサ817と総称する。
満載位置検知センサ817により検知されるスタックトレイ821の位置がシート積載の満載位置である。スタッカ制御部801は、満載位置検知センサ817により、スタックトレイ821が満載位置へ下降してきたことを検知すると、CPU回路部150に通知する。CPU回路部150は、スタッカ800へのシートの搬送を中断させるように各ブロック(部)を制御する。なお、スタックトレイ821aの満載検知には、満載位置検知センサ817aが対応する。また、スタックトレイ821bの満載検知には、満載位置検知センサ817bが対応する。
スタックトレイ821の下限位置(取り出し位置)は、満載位置検知センサ817がスタックトレイ821を検知した位置(満載検知位置)よりさらに所定量だけ下降した位置にある。
シート有無検知センサ818a、818bは、それぞれスタックトレイ821a、821bの上にシートが積載されているか否かを判断するために用いられる。なお、スタックトレイ821aのシート検知には、シート有無検知センサ818aが対応する。スタックトレイ821bのシート検知には、シート有無検知センサ818bが対応する。
画像形成装置10からシートが排出される際、CPU回路部150からスタッカ制御部801に、予め排出されるシートのサイズや排出先の情報が送られる。スタッカ制御部801は、このシートサイズ情報に従って、幅方向シート規制部材822および先端シート規制ユニット823をシートのサイズに合わせて移動させ、排出先情報に従って、スタックトレイ821a、821bを移動させる。これにより、スタックトレイ821に整列した状態で順次積載することが可能となる。
先端シート規制ユニット823は、紙面検知センサ816、ローレットベルト824およびストッパ825からなる。先端シート規制ユニット823は、積載動作を行っていない場合、スタック部810の左側のホームポジション位置に待機している。先端シート規制ユニット823は、スタック部810への積載開始の指示を受けると、スタックトレイ821に積載するシートの長さや積載モードに応じて、モータ(図示せず)により駆動され、搬送方向に移動する。
紙面検知センサ816は、先端シート規制ユニット823に備えられ、スタックトレイ821上に積載されたスタッカシート束の上面を検知するセンサである。紙面検知センサ816は、スタックトレイ821にシートを順次積載する際、モータ(図示せず)によりスタックトレイ821をシート受け取り位置に保つために用いられる。
ローレットベルト824は、駆動装置(図示せず)により時計回りに回転し、ローレットベルト824と、スタックトレイ821aあるいはスタックトレイ821bとの間にシートを引き込み、シートの先端をストッパ825に突き当てる。ローレットベルト824は、スタックトレイ821がシート受け取り位置にある場合、シートの最上面に当接するように取り付けられている。
シートの先端部を把持してシートを搬送するグリッパ830は、バネ(図示せず)により、口を閉じる方向に加圧された状態で、駆動ベルト831に取り付けられており、駆動装置(図示せず)により口を開く。駆動ベルト831は、駆動装置(図示せず)により駆動され、時計回りに回転する。駆動ベルト831を駆動させることにより、グリッパ830で先端が把持されたシートは、搬送パス813の出口からスタックトレイ821aあるいはスタックトレイ821bの上に搬送される。
ドリー820は、スタックトレイ821ごと積載されたシートを運搬する。ドリー820は、その四隅にそれぞれ1つ、計4つのキャスタを備えており、スタッカ800から分離してシートを運搬することが可能である。
スタックトレイ821aまたはスタックトレイ821bに積載されたシートを取り出す場合、スタッカ制御部801は、スタックトレイ821aまたはスタックトレイ821b、あるいは両方のトレイをモータ(図示せず)により下降させる。そして、スタッカ制御部801は、満載位置検知センサ817aあるいは満載位置検知センサ817bにより検知した位置からさらに所定距離降下させた下限位置で、スタックトレイ821aまたはスタックトレイ821bを停止させる。下限位置で停止した状態で、スタッカ800のドアを開け、ドリー820を引き出すと、スタックトレイ821ごとシート積載束が引き出され、シートを運搬することができる。このようにして、スタックトレイに積載されたシートの取り出しが可能となる。
(操作表示装置)
図4は操作表示装置400の外観を示す正面図である。操作表示装置400には、画像形成動作を開始するためのスタートボタン402、画像形成動作を中断するためのストップキー403および置数設定等を行うテンキー404〜412、414が配置されている。また、操作表示装置400には、クリアキー415、リセットキー416などが配置されている。
また、操作表示装置400の上部には、タッチパネルが形成された液晶表示部420が配置されている。液晶表示部420の画面上には、ソフトキーが配置される。
本画像形成装置は、後処理モードとして、ノンソート、グループソート、シフトソートなどの各処理モードを有する。これらの処理モードの設定は、操作表示装置400からの入力操作により行われる。例えば、後処理モードを設定する際、図4に示す初期画面でソフトキーである「ソータ」キー413を選択すると、メニュー選択画面が液晶表示部420に表示される。そして、このメニュー選択画面を用いて、処理モードの設定が行われる。また、液晶表示部420には、装置の各種設定を行うユーザモードキー417が設けられている。
(スタッカの基本動作)
スタッカ800の基本動作を図5〜図9を用いて説明する。図5及び図6はスタッカ800の動作を示す図である。図7〜図9はスタック部810内の動作を示す図である。シートSが画像形成装置10からスタッカ800に搬送される前、画像形成装置10内のCPU回路部150は、シートのサイズにより2つの積載モードから1つを選択し、選択した積載モードをスタッカ制御部801に通知し、シートの積載制御を行わせる。
搬送方向の長さが230mm未満のシートを積載する場合、スタッカ800は、スタックトレイ821b、スタックトレイ821aの順にシートを積載する(第1の積載モード)。図10は第1の積載モードでシートが積載される際のスタック部810内の動作を示す図である。
また、搬送方向の長さが230mm以上のシートを積載する場合、スタッカ800は、スタックトレイ821a、821bに跨ってシートを積載する(第2の積載モード)。図11は第2の積載モードでシートが積載される際のスタック部810内の動作を示す図である。第2の積載モードでは、スタックトレイ821a、821bの昇降を行う場合、スタッカ制御部801は、両トレイの位置や速度を完全に同期させて昇降制御を行う。
第1の積載モードを実行する場合、スタッカ800は、まずシートをスタックトレイ821bに積載していく。そして、満載位置検知センサ817bによってスタックトレイ821bが満載位置まで下降したことが検知されると、スタッカ800は、次にスタックトレイ821aへの積載を行う。
つぎに、この第1の積載モードにおける積載動作ついて詳細に説明する。
(トレイ積載準備)
スタックトレイ821bへの積載が確定すると、画像形成装置10は、スタッカ800内部にシート搬送が開始される前に予め通知されるサイズ情報や排紙先情報を、スタッカ800に通知する。スタッカ800は、それらの情報に基づいて、幅方向シート規制部材822をシートサイズに応じた所定位置へ移動させるとともに、先端シート規制ユニット823をスタックトレイ821bの上方に移動させる積載準備処理を行う。
積載準備処理では、図5Aに示すように、スタッカ800は、先端シート規制ユニット823および幅方向シート規制部材822とスタックトレイ821a、821bとが干渉しないように、スタックトレイ821a、821bを図中矢印方向に降下させる。この後、スタッカ800は、図5Bに示すように、先端シート規制ユニット823および幅方向シート規制部材822を移動させた後、スタックトレイ821を紙面検知センサ816によりトレイ最上面が検知される位置まで図中矢印方向に上昇させる。但し、積載準備処理を行う前に、スタックトレイ821a、821bの一方が下降中であった場合は、下降中のスタックトレイを、先端シート規制ユニット823および幅方向シート規制部材822を移動させたことに応じて上昇させることはしない。
(トレイ積載動作)
図6Aに示すように、画像形成装置10の装置本体から排出されたシートSは、スタッカ800の搬送パス811に搬送され、搬送パス811に備え付けられたローラ対によってスタッカ800の内部に搬送される。
搬送パス811を経て、シートSが横レジ補正装置850に至ると、横レジ補正装置850は、シートSに対して横レジの補正を行う。
図6Bに示すように、横レジ補正装置850内に組み込まれた搬送ローラ851と搬送ローラ852がシートを挟持した状態で、横レジ補正装置850は、モータ(図示せず)により、搬送方向に対して垂直な幅方向へ移動することで、シートをシフトさせる。スタッカ800は、センサ(図示せず)により、シートの端部を検出し、搬送中心から紙幅の1/2の位置と、検出したシート端部の位置との差分を補正するように、横レジ補正装置850を移動させ、シートの横レジのズレを補正する。
また、操作表示装置400において、シフトソートモードが設定された場合、横レジ補正装置850は、横レジのズレ量に加え、手前側あるいは奥側への束のずらし量を加算し、シートをシフトさせる。
図7に示すように、シートSは、搬送パス813を経て、スタック部810に搬送される。スタック部810に搬送されたシートSは、図8Aに示すように、シートSのスタック部810への侵入に合わせて待機していたグリッパ830に把持される。シートSの把持後、駆動ベルト831を駆動することにより、シートSは、スタックトレイ821bに向けて搬送される。
シートSが先端シート規制ユニット823に接近すると、図8Bに示すように、グリッパ830は、負荷(図示せず)により口を開き、シートSを解放する。図8Cに示すように、シートSは、慣性で搬送方向へ進みながら、スタックトレイ821bの最上面に落下する。その後、シートSは、ローレットベルト824によりストッパ825へ向けて、スタックトレイ821bの最上面を滑りながら搬送される。
そして、図8Dに示すように、シートSは、ローレットベルト824によりストッパ825に突き当てられて停止する。幅方向シート規制部材822は、シートの搬送方向に対して直角な方向(シートの幅方向)に、シートSの整合動作を行い、シートの側端を揃える。積載完了後、紙面検知センサ816により、スタックトレイ821bの最上面が一定になるように、スタッカ800は、負荷(図示せず)によりスタックトレイ821bを一定距離まで下降させる動作を行う。
図9Aに示すように、スタックトレイ821bにシートが積載され、満載位置検知センサ817bによりスタックトレイ821bが下限位置まで降下したことが検知されると、スタックトレイ821bは満載状態となる。スタッカ800は、シートの積載先をスタックトレイ821aに切り換える。
図9Bに示すように、スタックトレイ821bからスタックトレイ821aへと排紙先切り換えにおける積載準備処理は、予め通知されるサイズ情報や排紙先情報に基づいて、行われる。すなわち、スタッカ800は、幅方向シート規制部材822を移動させるとともに、先端シート規制ユニット823を移動させる際、スタックトレイ821に干渉しないように、スタックトレイ821aとスタックトレイ821bを所定量降下させる。その後、スタッカ800は、先端シート規制ユニット823をスタックトレイ821aの上方に移動させる。
先端シート規制ユニット823の移動を終えると、図9Cに示すように、スタッカ800は、紙面検知センサ816により最上面が検知される位置まで、スタックトレイ821aを上昇させる。
図9D、図10に示すように、先端シート規制ユニット823の移動が完了し、スタックトレイ821aが最上面まで上昇すると、スタッカ800は、スタックトレイ821aへの積載を開始する。スタックトレイ821aへのシートの積載の流れは、スタックトレイ821bへのシートの積載の流れと同じである。
一方、第2の積載モードを実行する場合、図11に示すように、スタッカ800は、シートが跨って積載されるように、スタックトレイ821aとスタックトレイ821bの駆動を同期させる。そして、スタッカ800は、先端シート規制ユニット823をシートの搬送方向の先端を規制する位置に移動させる。なお、シート積載の流れは、前述した第1の積載モードと同様である。
(トレイ取り出し操作)
スタッカ800のトレイ取り出し操作を図12〜図15を用いて説明する。図12はスタッカ800の外観を示す図である。図13〜図15はスタッカ800の内部動作を示す図である。スタッカ800の前面はカバー840(カバー部材)で覆われている。カバー840には、取り出しスイッチ841が配置されている。取り出しスイッチ841は、スタックトレイ821aの取り出し開始を指示する取り出しスイッチ841aと、スタックトレイ821bの取り出し開始を指示する取り出しスイッチ841bの2つで構成されている。
画像形成装置10からスタッカ800のスタックトレイ821aへ積載動作を行う場合のスタックトレイ821aの取り出し操作について説明する。図13Aに示すように、スタックトレイ821aへ積載動作を行っている状態で、スタックトレイ821aの取り出しを行う場合、ユーザは取り出しスイッチ841aを押す。
取り出しスイッチ841aが押されると、スタッカ制御部801を介して画像形成装置10に取り出し要求が通知される。画像形成装置10内のCPU回路部150は、この取り出し要求を認識すると、スタックトレイ821aへの積載動作を一時中断するために、画像形成動作を停止する。
図13Bに示すように、スタッカ800は、中断前に画像形成された最後のシートS1の、スタックトレイ821aへの積載が完了すると、スタッカ制御部801を介してシートS1の積載完了を画像形成装置10に通知する。そして、スタッカ800は、スタックトレイ821aの取り出し下降動作が可能な取り出し処理待ち状態となる。
画像形成装置10内のCPU回路部150は、シートS1の積載完了を認識すると、スタックトレイ821aの取り出し許可をスタッカ800に通知する。
スタッカ800は、画像形成装置10から取り出し許可を受けると、取り出しが許可されたスタックトレイ821aへの積載を禁止する積載不可情報を画像形成装置10に通知する。画像形成装置10は、積載不可情報を受けるとスタッカ800へのシートの排出開始を禁止する。即ち、画像形成装置10は画像形成動作の開始を禁止する。
そして図14Aに示すように、スタックトレイ821aは、トレイ下降動作を開始し、取り出し処理中となる。図14Bに示すように、スタックトレイ821aは、満載位置検知センサ817aにより検知された位置からさらに所定距離降下させた下限位置で停止し、ドリー820にセットされる。その後、カバー840が開けられる状態となる。
一方、画像形成装置10は、CPU回路部150により積載不可情報を認識すると、積載不可情報がセットされている間、スタックトレイ821aに対する積載動作を一時禁止状態にする、つまり、スタッカ800へのシートの排出開始を禁止する。
図15Aに示すように、スタッカ800は、ユーザがカバー840を閉めた時、シート有無検知センサ818aによって、スタックトレイ821aに積載されている束が取り除かれたことを検出すると、つぎのような動作を行う。スタッカ800は、先端シート規制ユニット823、幅方向シート規制部材822およびスタックトレイ821をホームポジションに移動させる初期化動作を開始する。
図15Bに示すように、幅方向シート規制部材822およびスタックトレイ821がホームポジション位置に到達すると、初期化動作が完了する。スタッカ800は、取り出し操作されたスタックトレイ821aの取り出し操作完了、および取り出し処理が行われていたスタックトレイ821aへの排紙を禁止する排紙不可情報の解除を、画像形成装置10に通知し、取り出し処理中の状態から抜ける。
これにより、画像形成装置10は、CPU回路部150によって、取り出し操作されたスタックトレイ821aの取り出し操作が完了したことを認識し、スタックトレイ821aへの積載を許可状態にする。この積載が許可状態になることで、一時中断されていた画像形成動作が開始され、シート積載動作が再開される。
なお、スタックトレイ821aへ積載動作を行っていない状態で、取り出しスイッチ841aが押された場合、画像形成装置10内のCPU回路部150は、スタッカ800から通知された取り出し要求に対し、すぐに取り出し許可をスタッカ800に通知する。これにより、スタッカ800の取り出し下降動作が開始される。
また、スタックトレイ821bの取り出し操作も、取り出しスイッチ841bを押すことで、スタックトレイ821aと同様な流れで行われる。
また、第1の積載モード時、スタックトレイ821aへの積載動作中、スタックトレイ821bの取り出し操作が行われた場合、スタックトレイ821aの積載動作を継続しながら、スタックトレイ821bの取り出し可能なコンティニュアス動作が行われる。図16はスタックトレイ821aに積載動作中、スタックトレイ821bの取り出し操作が行われた場合のスタッカ800の内部動作を示す図である。同様に、スタックトレイ821bへの積載動作中、スタックトレイ821aの取り出し操作も可能である。
また、第2の積載モード時、スタックトレイ821aとスタックトレイ821bに跨ってシートが積載された状態で取り出しを行う場合、ユーザは、取り出しスイッチ841aあるいは取り出しスイッチ841bのいずれかを押す。これにより、スタッカ800からスタッカ制御部801を介して画像形成装置10に取り出し要求が通知される。
画像形成装置10内のCPU回路部150は、この取り出し要求を認識すると、スタックトレイ821への積載動作を一時中断するために、画像形成動作を停止する。さらに、画像形成装置10内のCPU回路部150は、搬送中の最終シートの積載完了を認識すると、スタックトレイ821aとスタックトレイ821bの取り出し許可をスタッカ800に通知する。
スタッカ800は、スタックトレイ821aとスタックトレイ821bの取り出し下降動作を開始する。スタックトレイ821a、821bの下降動作は、両トレイの位置および速度を完全に同期させ、スタックトレイ821aの場合と同様な流れで行われる。
このように、スタッカ800では、スタックトレイ821の取り出し操作は、ユーザが任意のタイミングで取り出しスイッチ841を押すことで開始される。
また、スタックトレイ821a、821bへの積載動作開始や、スタックトレイ821aとスタックトレイ821b間の排紙先切り換えも、画像形成装置10のプリント状況によって任意のタイミングで発生する。
このため、取り出しスイッチ841aの押下による取り出し操作開始でスタックトレイ821aの取り出し処理が行われている状態で、取り出し対象ではないスタックトレイ821bへシート積載を行うプリントジョブの開始が指示されることがある。つまり、トレイ取り出し処理と積載準備処理が重なるタイミングが発生する。
このトレイ取り出し処理とプリントジョブ開始に伴う積載準備処理が重なるタイミングを考慮せず、プリント開始を許可すると、カバー840が開いた状態で積載準備処理が行われ、ユーザが積載準備処理で移動するユニットに触れてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、トレイ取り出しの際に2種類の優先制御の何れかが行われる。第1の優先制御では、スタックトレイ821a、821bのどちらか一方でも、取り出し下降動作が開始されている取り出し処理中の状態では、スタック部810へのプリントジョブを禁止する。つまり、スタックトレイ821の下降動作中、シート積載準備処理が行われないようにする。
また、第2の優先制御では、スタックトレイ821a、821bのどちらか一方が取り出し処理中の状態であっても、カバー840が開く前であれば、スタック部810へのプリントジョブが許可される。つまり、トレイ取り出し処理を一時中断し、シート積載準備処理が優先的に行われる。
そして、積載準備処理を優先的に行い、取り出し対象でない他方のスタックトレイ821へのシート積載動作が開始された後、取り出し対象のスタックトレイ821のトレイ取り出し処理が再開する。従って、カバー840が開いた状態で、積載準備処理は行われない。
このように、2種類の優先制御により、カバー840が開いた状態でユーザが積載準備処理で移動するユニットに触れる事態を発生しないようにすることができる。
つぎに、第1の優先制御と第2の優先制御における、ユーザ操作性について説明する。第1の優先制御(トレイ取り出し優先制御)には、トレイ取り出し処理を優先させるので、スタックトレイ821の取り出しが早くなるというメリットがある。しかし、ユーザがスタックトレイ821の取り出し作業を完了してカバー840を閉めるまで、積載可能なスタックトレイ821があっても、スタック部810へのプリントジョブを開始できないというデメリットがある。
一方、第2の優先制御(プリント優先制御)には、取り出し処理中であっても、積載準備処理を優先的に処理するので、つぎのようなメリットがある。すなわち、システム全体を止めずにスタック部810へのプリントジョブを処理することで、画像形成システムを停止することなく、プリント動作を継続させることができるというメリットがある。しかし、積載準備処理が終わるまで、ユーザはトレイ取り出し作業を待たされるというデメリットがある。
(トレイ取り出し制御選択)
このように、上記2つの優先制御には、それぞれメリットおよびデメリットがあるので、ユーザのニーズに合わせて2つの取り出し制御を選択できるようにすることが、ユーザ操作性の観点において重要である。すなわち、取り出し対象のトレイ取り出しを早く行いたいユーザに対しては、第1の優先制御を行い、取り出し作業を待たされてもプリント動作を継続してシート積載を続けたいユーザに対しては、第2の優先制御を行うことが重要である。
本実施形態では、2つの優先制御のどちらか一方をユーザが任意に手動で選択することが可能である。液晶表示部420(図4参照)において、ユーザが、ソフトキーである「ユーザモード」キー417を押下すると、図17に示す画面が液晶表示部420に表示される。図17は液晶表示部420に表示されたトレイ取り出しモード設定画面を示す図である。このトレイ取り出しモード設定画面には、「プリント優先」のソフトキー501、「取り出し優先」のソフトキー502、「キャンセル」のソフトキー503および「OK」のソフトキー504が配置されている。
ユーザが「取り出し優先」のソフトキー502を押下して設定を完了すると、前述したトレイ取り出しを優先する第1の優先制御(トレイ取り出し優先制御)が設定される。
また、ユーザが「プリント優先」のソフトキー501を押下して設定を完了すると、トレイ積載継続を優先する第2の優先制御(プリント優先制御)が設定される。
ここで設定された情報は、CPU回路部150内のRAM153に保存され、スタッカ制御部801を介してスタッカ800にも通知される。なお、この設定された情報は、電源OFFにされても、その前に不揮発性メモリに書き込む等の周知のバックアップ方法により保持される。
つぎに、本実施形態の画像形成システムにおける、上記2つの優先制御を、フローチャートを用いて説明する。
(トレイ取り出し優先制御)
図18はトレイ取り出し優先制御手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、CPU回路部150内のROM152に格納されており、CPU151によって実行される。なお、ここでは、スタッカ800への積載動作が行われていない状態で、プリントジョブを投入した場合を例に説明する。
まず、CPU回路部150は、液晶表示部420を介してユーザにより入力されたジョブの設定を受け付け、置数や排紙先などの各種情報をRAM153に保存する(ステップS1)。ジョブの設定には、シートのサイズ情報(定型の場合、サイズ種類情報)、「普通紙」や「コート紙」といったマテリアル種類に関する情報、置数、両面設定等が含まれる。
CPU回路部150は、ユーザが操作表示装置400のスタートボタン402を押下するまで待機する(ステップS2)。CPU回路部150は、ユーザによってスタートボタン402が押下されたことを検知すると、スタックトレイ821a、821bである両トレイの積載不可情報により、取り出し処理中であるか否かを判断する(ステップS3)。
この積載不可情報は、ユーザが取り出しスイッチ841a、842bのいずれかを押し、前述したトレイ取り出し操作によりトレイ取り出し処理が開始されると、スタッカ制御部801からCPU回路部150に通知される。なお、この積載不可情報は片側のスタックトレイ821の取り出しであっても通知される。
CPU回路部150は、積載不可情報により取り出し処理中でないと判断した場合、ステップS9の処理に進む。一方、取り出し処理中と判断した場合、CPU回路部150は、ステップS2で投入されたジョブの排紙先情報からスタック部積載ジョブであると判断し、スタック部810への積載プリントジョブであるとして、ジョブの開始を保留する(ステップS4)。すなわち、このステップS4の処理において、CPU回路部150は、画像形成装置10からスタック部810内のスタックトレイ821a、821bへのシートの積載を禁止する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、取り出しスイッチ841a、842bで指定されたスタックトレイ821の下降動作が完了すると、カバー840の開操作を許可し、カバー840が開くのを待つ(ステップS5)。ユーザによってカバー840が開かれると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、カバー840が閉まるのを待つ(ステップS6)。なお、このカバー840の開操作の許可は、表示や音声等による通知、カバーのロック解除等によって行われる。
ユーザによってカバー840が閉められると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801に対し、スタック部810の初期化動作の開始を指示する(ステップS7)。スタッカ制御部801は、この初期化動作の開始の指示を受けた後、スタッカ800の初期化完了により、両トレイの積載不可情報の解除と初期化完了をCPU回路部150に通知する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介してスタック部810の初期化完了と積載不可情報の解除を待つ(ステップS8)。
CPU回路部150は、スタック部810の初期化完了と積載不可情報の解除を受けると、スタッカ制御部801を介してスタッカ800に対し、保留されているジョブのスタック部積載準備の指示を行う(ステップS9)。これにより、スタッカ800は、スタック部積載準備を開始する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、スタック部積載準備完了を待つ(ステップS10)。CPU回路部150は、スタック部積載準備完了を認識すると、スタッカ800に対してプリント動作を開始させる(ステップS11)。この後、CPU回路部150は本処理を終了する。
このように、トレイ取り出し優先制御では、取り出しスイッチ841が押され、取り出し動作が開始されている場合、スタック部積載ジョブの開始を保留することで、取り出し処理を優先的に処理することができる。
また、スタック部積載ジョブの開始を保留することで、カバー840が開いている状態で、積載準備処理が行われることを防止することができる。このように、CPU回路部150は本発明の制御手段として機能する。
(プリント優先制御)
図19および図20はプリント優先制御手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、CPU回路部150内のROM152に格納されており、CPU151によって実行される。なお、ここでは、スタッカ800への積載動作が行われていない状態で、プリントジョブを投入した場合を例に説明する。
まず、CPU回路部150は、液晶表示部420を介してユーザにより入力されたジョブの設定を受け付け、置数や排紙先などの各種情報をRAM153に保存する(ステップS21)。ジョブの設定には、シートのサイズ情報(定型の場合、サイズ種類情報)、「普通紙」や「コート紙」といったマテリアル種類に関する情報、置数、両面設定等が含まれる。
CPU回路部150は、ユーザが操作表示装置400のスタートボタン402を押下するまで待機する(ステップS22)。このスタートボタン402の押下は、シートの積載開始の要求を認識するシート積載認識手段の一例である。CPU回路部150は、ユーザによってスタートボタン402が押下されたことを検知すると、スタックトレイ821a、821bである両トレイの積載不可情報により、取り出し処理中であるか否かを判断する(ステップS23)。
この積載不可情報は、ユーザが取り出しスイッチ841a、842bのいずれかを押し、前述したトレイ取り出し操作によりトレイ取り出し処理が開始されると、スタッカ制御部801からCPU回路部150に通知される。
CPU回路部150は、積載不可情報により取り出し処理中でないと判断した場合、ステップS40の処理に進む。一方、取り出し処理中と判断した場合、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して積載不可情報が通知されたスタックトレイ821と、ステップS22で投入されたスタック部積載ジョブの排紙先情報とを比較する(ステップS24)。
排紙先のスタックトレイ821と取り出し処理中のスタックトレイ821とが一致する場合、CPU回路部150は、ステップS35の処理に進み、スタック部積載のプリント開始を保留する。
一方、ステップS24で排紙先のスタックトレイ821と取り出し処理中のスタックトレイ821とが一致しない場合、CPU回路部150は、つぎのような動作を行う。すなわち、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、取り出しスイッチ841で指定されたスタックトレイ821の取り出し下降動作が完了し、カバー840が開いているか否かを判断する(ステップS25)。
カバー840が開いていると判断した場合、CPU回路部150は、ステップS35の処理に進む。一方、カバー840が閉まっており、取り出し下降途中であると判断した場合、CPU回路部150は、つぎのような動作を行う。すなわち、CPU回路部150は、スタッカ制御部801によりスタッカ800へ取り出し指示がされているスタックトレイ821の下降動作の停止を指示し、取り出し処理を一時中断する(ステップS26)。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介してスタッカ800に対し、スタック部810の積載準備を指示する(ステップS27)。これにより、スタッカ800は、スタック部積載準備を開始する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、スタック部積載準備完了を認識するまで待つ(ステップS28)。CPU回路部150は、スタック部積載準備完了を認識すると、スタッカ800に対し、ステップS22で投入されたスタック部810へのプリント動作を開始させる(ステップS29)。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、スタッカ800に中断していた取り出し処理の再開を指示する(ステップS30)。そして、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、取り出しスイッチ841a、842bで指定されたスタックトレイ821の取り出し下降動作が完了し、カバー840が開くのを待つ(ステップS31)。
ユーザによってカバー840が開かれると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、カバー840が閉まるのを待つ(ステップS32)。
ユーザによってカバー840が閉められると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801に対し、スタック部810の初期化動作の開始を指示する(ステップS33)。スタッカ制御部801は、この初期化動作の開始の指示を受けた後、スタッカ800の初期化完了により、両トレイの積載不可情報の解除と初期化完了をCPU回路部150に通知する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介してスタック部810の初期化完了と積載不可情報の解除を待つ(ステップS34)。CPU回路部150は、スタック部810の初期化完了と積載不可情報の解除を受けると、本処理を終了する。
一方、ステップS24で排紙先のスタックトレイ821と取り出し処理中のスタックトレイ821とが一致しない場合、あるいはステップS25でカバー840が開いていると判断した場合、CPU回路部150は、つぎのような動作を行う。すなわち、CPU回路部150は、ステップS22で投入されたスタック部積載ジョブの排紙先では既にトレイ取り出し処理が開始されていると判断し、投入されたスタック部積載のプリントジョブの開始を保留する(ステップS35)。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、取り出しスイッチ841a、842bで指定されたスタックトレイ821の取り出し下降動作が完了すると、カバー840の開操作を許可し、カバー840が開くのを待つ(ステップS36)。
ユーザによってカバー840が開かれると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、カバー840が閉まるのを待つ(ステップS37)。
ユーザによってカバー840が閉められると、CPU回路部150は、スタッカ制御部801に対し、スタック部810の初期化動作の開始を指示する(ステップS38)。スタッカ制御部801は、この初期化動作の開始の指示を受けた後、スタッカ800の初期化完了により、取り出しトレイの積載不可情報の解除と初期化完了をCPU回路部150に通知する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介してスタック部810の初期化完了と取り出しトレイの積載不可情報の解除を待つ(ステップS39)。
CPU回路部150は、スタック部810の初期化完了と積載不可情報の解除を受けると、スタッカ制御部801を介してスタッカ800に対し、保留されているジョブのスタック部積載準備の指示を行う(ステップS40)。これにより、スタッカ800は、スタック部積載準備を開始する。
CPU回路部150は、スタッカ制御部801を介して、スタック部積載準備完了を待つ(ステップS41)。CPU回路部150は、スタック部積載準備完了を認識すると、スタッカ800に対してプリント動作を開始させる(ステップS42)。この後、CPU回路部150は本処理を終了する。
このプリント優先制御では、取り出しスイッチ841が押され、取り出し処理が開始されていても、投入されたスタック部積載ジョブの排紙先が取り出し処理中のスタックトレイ821と一致しない場合、つぎのような動作が行われる。すなわち、カバー840が開く前であれば取り出し処理を保留し、積載準備処理を優先的に処理することで、プリント動作を継続させることができる。これにより、取り出し優先制御よりも、ユーザの取り出し作業時間分だけプリント処理を早く開始することができる。
また、取り出し処理を保留し、プリント動作を優先させて積載準備処理を行うことで、カバー840が開いている状態で、積載準備処理が行われることを防止できる。このように、CPU回路部150は本発明の制御手段として機能する。
(選択処理)
図21はプリント優先制御またはトレイ取り出し優先制御を選択する選択処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは、CPU回路部150内のROM152に格納されており、ユーザが液晶表示部420に表示された「ユーザモード」のソフトキーを押下することによって、CPU151によって実行される。
まず、CPU回路部150は、液晶表示部420にトレイ取り出しモード設定画面(図17参照)を表示する(ステップS51)。CPU回路部150は、トレイ取り出しモード設定画面に表示されたソフトキーのいずれかが押下されるまで待つ(ステップS52)。
ユーザによってソフトキーが押下されると、CPU回路部150は、「プリント優先」のソフトキー501が押下され、続けて「OK」のソフトキー504が押下されたか否かを判別する(ステップS53)。「プリント優先」のソフトキー501が押下された場合、CPU回路部150は、プリント優先制御を選択する(ステップS54)。この後、CPU回路部150は本処理を終了する。
一方、ステップS53で「プリント優先」のソフトキー501が押下されていない場合、CPU回路部150は、「取り出し優先」のソフトキー502が押下され、続けて「OK」のソフトキー504が押下されたか否かを判別する(ステップS55)。「取り出し優先」のソフトキー502が押下された場合、CPU回路部150は、取り出し優先制御を選択する(ステップS56)。この後、CPU回路部150は本処理を終了する。
一方、ステップS55で「取り出し優先」のソフトキー502が押下されていない場合、CPU回路部150は、「キャンセル」のソフトキー503あるいは単に「OK」のソフトキー504だけが押下されたものとして、前の画面に戻る(ステップS57)。この後、CPU回路部150は本処理を終了する。
このように、ユーザは、ニーズに合わせて2つの取り出し制御のいずれか一方を選択して実行させることができる。
以上示したように、本実施形態のスタッカ800は、複数のスタックトレイ821a、821b、これらを覆うための開閉可能なカバー840などを有する。例えば、スタックトレイ821bの取り出し操作が行われた場合、スタッカ800は、スタックトレイ821aの積載動作を継続しながらスタックトレイ821bの取り出し動作が可能なコンティニュアス動作を行う。
また、スタッカ800は、シートの長さに応じて選択的に使用できるように積載トレイをシート搬送方向に複数配列し、装置内の空間を有効に使用する。また、スタッカ800は、1つの積載トレイに積めるシートサイズであれば、取り出し処理中においても、もう一方の積載トレイへの積載動作を継続することで、装置を停止させることなく、大量のシートを継続して積載する。
また、スタッカ800は、トレイ取り出し優先制御とプリント優先制御の2つのトレイ取り出し制御により、取り出し処理と積載準備処理が重なった場合でも、カバーが開いた状態で積載準備処理が行われることを防止できる。
また、スタッカ800は、ユーザのニーズに合わせて、シート積載を停止させて取り出し動作を早く行いたいユーザに対し、トレイ取り出し制御を優先的に行う。一方、スタッカ800は、取り出し動作を待たされてもプリント動作を継続してシート積載を続けたいユーザに対し、プリント制御を優先的に行う。このように2つの取り出し制御のいずれか一方を選択することで、ユーザの操作性が向上する。
また、シートを整合するために整合準備を行うので、スタックトレイに積載されるシートを整合することができ、シート束の生産性および品質が向上する。また、スタックトレイの上面または積載されたシート上面の高さが検知され、シートの積載先であるスタックトレイを、事前にシート積載位置に移動させるので、シートの積載開始に速やかに移行することができる。また、シートのシート搬送方向の長さが1つのスタックトレイに積載可能な長さよりも大きい場合、積載されるシートを複数のスタックトレイに跨って積載するので、積載されるシートのサイズの種類を増やすことができる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
例えば、上記実施形態では、カバー840はスタックトレイ821前面を覆う1枚形状を有するが、本発明は、スタックトレイ821a、スタックトレイ821bを個別に覆う2枚カバーが観音開きするカバー構造であっても適用される。
また、上記実施形態では、スタック部は2つのスタックトレイを備えていたが、3つ以上のスタックトレイを備えてもよく、本発明は同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、トレイの移動として、スタックトレイ821a、スタックトレイ821bを上下に昇降させる場合を示したが、シートの搬送方向に対して垂直な方向である幅方向に移動させるような構造においても、本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、「プリント優先制御」または「トレイ取り出し優先制御」の選択は、液晶表示部420を介してユーザの押下操作により行われたが、CPU回路部150が例えば予め登録された条件に従って自動的に選択を行うようにしてもよい。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
また、上記実施形態に記載されている構成部品の形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲は上記例示するもののみに限定されものではない。
また、上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置として、モノクロ画像形成装置について説明したが、カラー画像形成装置に適用されてもよい。また、画像形成装置は、電子写真方式に限定されるものではなく、インクジェット方式、熱転写方式、感熱方式、静電方式、放電破壊方式など各種印刷方式に適用することができる。
また、シートのマテリアル(材質)としては、紙媒体、OHPシート、厚紙用紙など、特に限定されない。また、シートの形状はタブ紙など特に限定されない。
また、上記実施形態では、シート供給装置として、画像形成装置である場合を示したが、本発明のシート積載装置は、シートを排出する種々の装置、例えば、画像形成装置に接続されたオプション装置などに対しても接続可能である。このようなオプション装置として、画像が形成された用紙を綴じるステイプル装置が挙げられる。また、用紙を折り曲げる折り装置や、用紙を仕分けするソート装置が挙げられる。また、用紙に綴じ穴をあける穴あけ装置が挙げられる。また、大量の用紙を同時に裁断可能な裁断装置が挙げられる。