JP5354196B2 - センターベアリングサポート - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のシャフトをセンターベアリングを介して車体側に回転自在かつ弾性的に支持すると共に振動吸収及び緩衝を行うセンターベアリングサポートに関する。
センターベアリングサポートは、自動車のシャフトの外周に装着されるセンターベアリングを車体側に弾性的に支持し、走行中におけるシャフト側と車体側との間での振動伝達を低減するものである。
図5に示すように、この種のセンターベアリングサポート100は、外環101と、内環102と、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなり前記外環101と内環102を弾性的に連結するベローズ状屈曲形状の弾性体103とを備え、外環101が、車体側に取り付けられる環状のブラケット(不図示)に嵌着されると共に、内環102が、シャフト110の軸方向中間部の外周面に装着されるセンターベアリング111のアウターレースに嵌着される。
内環102における互いに軸方向反対側の端部102a,102bは、シャフト110の外周面と僅かな隙間を介して対向しており、シャフト110の外周面には、内環102の端部102a,102bの外周側を包囲する一対のダストカバー104,105が装着されている。このため、自動車の走行中に飛来する泥水や塵埃等が、不図示のグリースが充填された内環102の内周空間へ侵入しにくくなっている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来のセンターベアリングサポート100によれば、シールが非接触式であり、隙間があるので、シャフト110停止時においても、回転時においても、泥水や塵埃等の侵入を許すこととなり、シール力は低い。
また、図6に示すように、センターベアリングサポートにおいて、センターベアリング111を泥水や塵埃等から保護する為に内環102にシールリップ121をシャフト110に接するように設定しているものがあるが、当該シールリップ121はシャフト110回転時に回転せず、かつ接触式シールなので、その緊迫力により回転時の抵抗となってしまい、駆動のロスを招き、ひいては燃費悪化の原因となる(特許文献2参照)。
さらに、図7に示すように、シールリップ121をダストカバー105側面に備えた場合には、シールリップ121外周面にまで入り込んだ泥やダストの逃げ道が無く、堆積してしまう。また、センターベアリング111は微小ながら軸方向のクリアランス(ガタ)を持っており、シールリップ121をダストカバー105側面に備えた構造では押付け(または離れる)事により締め代が変動してしまう(特許文献3参照)。
特開2003−312284号公報 特開2006−182064号公報 実開昭61−128135号公報
本発明は以上の点に鑑みて、シャフト停止時には十分なシール力を確保し、シャフト回転時には抵抗を低減、または無くし、もって駆動のロスを低減させることができるセンターベアリングサポートを提供することを目的とする。また、これに加えて、泥やダストが堆積しにくく、センターベアリングに軸方向のクリアランスがあってもシール性に対する影響が少ないセンターベアリングを提供することを目的とする。
本発明に係るセンターベアリングサポートは、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明に係るセンターベアリングサポートは、車体側に固定される外環の内周側に弾性体を介して連結されるとともにセンターベアリングを保持する内環と、前記センターベアリングに挿通するシャフト側に固定されて前記シャフトと同時回転するダストカバーとを有するセンターベアリングサポートにおいて、前記ダストカバーは、前記内環の外周側に配置される円筒部を有し、前記円筒部の先端にシールリップが設けられ、前記シールリップは、前記シャフトの停止時に前記内環の外周面に所定の緊迫力をもって密接するとともに前記シャフトの回転時に遠心力によって前記緊迫力を低減させ、または、前記外周面から離間するものであり、さらに前記シールリップは、その先端部に、前記シャフト回転時に発生する遠心力を増大させるためのマスを一体に有し、前記マスは、侵入してきた泥水を堰として貯める構造を有することを特徴とする。
更に、本発明に係るセンターベアリングサポートにおいて、前記マスは、環状に成形され、当該環状のマスを円周上分断するスリットを有する構成も含まれる。
請求項1の発明に係るセンターベアリングサポートによれば、ダストカバーの円筒部の先端にシールリップが設けられ、このシールリップがシャフトの停止時に内環の外周面に所定の緊迫力をもって密接するようになっているため、外部ダストや泥水等をシールすることができる。
また、シャフト回転時には、シャフトに固定されたダストカバーおよびシールリップも同時に回転し、回転の遠心力によってシールリップの径が拡大し、回転時に遠心力によって緊迫力を低減させ、または、外周面から離間することで、回転時の抵抗を低減、または、無くすことができる。この場合において、ラビリンスシールにより、シール性を確保することができる。
すなわち、シャフト停止時のシール性を確保しつつ、回転時の抵抗を低減、または無くすことが可能となる。
このことにより、駆動ロスを軽減し、燃費を向上させることができる。
さらに、円筒部の先端にシールリップを設けたことにより、泥やダストが堆積しにくく、センターベアリングに軸方向のクリアランスがあっても、シール性に対する影響が少ない。
また、シールリップにマスを設定しているため、シャフト回転時に発生する遠心力を増大させ、シールリップ先端が内環の外周面から離れやすいという効果が得られる。
請求項2の発明に係るセンターベアリングサポートによれば、請求項1による効果に加え、マスにスリットを設けたため、シャフト回転時、シールリップが径方向に広がりやすく、シールリップ先端が内環の外周面から離れやすいといった効果が得られる。
本発明の第一実施形態に係るセンターベアリングサポートの半裁断面図 (A)は同センターベアリングサポートの要部拡大断面図、(B)は同センターベアリングサポートの軸回転状態を示す要部拡大断面図 本発明の第二実施形態に係るセンターベアリングサポートにおけるダストカバーおよびシールリップの斜視図 (A)は同センターベアリングサポート要部断面図、(B)は同センターベアリングサポートの軸回転状態を示す要部拡大断面図 従来例に係るセンターベアリングサポートの半裁断面図 他の従来例に係るセンターベアリングサポートの半裁断面図 他の従来例に係るセンターベアリングサポートの要部断面図
つぎに、発明を実施するための形態を図面にしたがって説明する。
第一実施形態・・・図1に示すように、本実施形態のセンターベアリングサポートは、ベロー部5cを備えたゴム状弾性材料の弾性体5を介して内環1と外環4を接続したものである。
内環1および外環4はそれぞれ板金等の所定の金属によって環状に成形されており、内環1は、内環本体2と、別体のベアリング押え環3とからなる。
弾性体5は所定のゴムによって環状に加硫成形されており、かつ加硫成形と同時に内環本体2および外環4にそれぞれ加硫接着されている。またこの弾性体5は、内環本体2の外周面に接着された内周接着部5aと、外環4の内周面に接着された外周接着部5bとを備えていて、この両接着部5a,5bの間にベロー部5cが一体成形されている。
また内環本体2の内周側にセンターベアリング6が嵌着されて、ベアリング押え環3によって押えられている。このセンターベアリング6を介して当該センターベアリングサポートがシャフト7を回転自在にかつ弾性的に支持する。また外部からダストが侵入してセンターベアリング6の作動を阻害しないように、ダストカバー8,9が配置されている。
ダストカバー8は板金等の所定の金属によって環状に成形されており、シャフト7に嵌着された取付部8aと、この取付部8aの外周端部から軸方向一方に延びる円筒部8bとを一体に備えている。また、この円筒部8bの先端部には、ゴム状弾性材料からなるシールリップ10を備えている。
ダストカバー9は板金等の所定の金属によって環状に成形されており、シャフト7に嵌着された取付部9aと、この取付部9aの外周端部から軸方向一方に延びる円筒部9bとを一体に備えている。また、この円筒部9bの先端部には、ゴム状弾性材料からなるシールリップ11を備えている。
前記シールリップ10は、シャフト7停止時には、内環本体2のうち弾性体5が接着されていない筒状部2aの外周面に所定の緊迫力をもって密接しており、シャフト7回転時には遠心力により前記緊迫力を低減させ、または、前記外周面から離間する。
前記シールリップ11は、シャフト7停止時には、ベアリング押え環3の内筒の外周面に所定の緊迫力をもって密接しており、シャフト7回転時には遠心力により前記緊迫力を低減させ、または、前記外周面から離間する。
上記構成を備えたセンターベアリングサポートは、以下の作用効果を奏する。
内環本体2の端部外周を包囲するダストカバー8、ベアリング押え環3を包囲するダストカバー9内周側に設けられたシールリップ10,11は、図2(A)に示すように、シャフト7停止時には前記内環1に所定の緊迫力をもって密接しており、外部ダストや泥水等をシールすることができ、図2(B)に示すように、シャフト7回転時には遠心力により前記緊迫力を低減させ、または、前記外周面から離間し、回転時の抵抗とならない。
すなわち、シャフト7停止時のシール性を確保しつつ、回転時の抵抗を低減、または無くすことが可能となる。
このことにより、駆動ロスを軽減し、燃費を向上させることができる。
また、シャフト7回転時には、シャフト7に固定されたダストカバー8,9も同時に回転し、回転の遠心力によってシールリップ10,11の径が拡大し、離れることで、回転時の抵抗を低減、または無くすことができる。この場合において、ラビリンスシールにより、シール性を確保することができる。
さらに、当該シールリップ10,11をダストカバー8,9側面に備えた場合には、シールリップ外周面にまで入り込んだ泥やダストの逃げ道が無く、堆積してしまうが、シールリップ10,11をダストカバー8,9先端に設けることにより、外周開放につき泥・ダスト等が堆積し難い。
また、堆積した場合でも、シャフト7が回転する事で堆積物を除去可能である。
センターベアリング6は微小ながら軸方向のクリアランス(ガタ)を持っており、シールリップ10,11をダストカバー8,9側面に備えた構造では押付け(または離れる)事により締め代が変動してしまう。当該シールリップ10,11をダストカバー8,9先端に設けることにより、クリアランス分の動きに対して本案形状は軸方向摺動にて対応可能であり、軸方向挙動に対する追従性が良い(効果が安定)。
第二実施形態・・・図3および図4に示すように、第二実施形態のセンターベアリングサポートは、上記第一実施形態の構成に加えて、さらに以下の構成を有している。
すなわち、本実施形態のセンターベアリングサポートは、上記第一実施形態の構成に加えて、シールリップ10,11に、シャフト7回転時に発生する遠心力を増大させるマス12が環状に、径方向外方へ向けて、シールリップ先端部に一体に設けられており、さらに環状に設けられたマス12には非貫通のスリット13が複数(例えば20箇所)等間隔に設けられている。
上記構成を備えたセンターベアリングサポートは、上記第一実施形態の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
シールリップ10,11先端部にマス12を設定したことにより、シャフト7回転時に発生する遠心力を増大させ、シールリップ10,11先端が内環1の外周面から離れやすいという効果が得られる。
また、侵入してきた泥水がマス12を堰としてここに貯まることにより、泥水侵入量を抑制する事が可能となる。
マス12に等間隔にスリット13を設けたことにより、シールリップ10,11が径方向に広がりやすく、シールリップ10,11先端が内環1の外周面から離れやすいといった効果が得られる。
スリット13は非貫通とすることにより、静止時のシール性が確保されている。なお、ここで「非貫通」とは、スリット13がマス12のみに形成され、シールリップ10,11内周部には達していないことをいう。
上記実施形態では、シールリップ10,11がセンターベアリング6の軸方向両方にそれぞれ設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、シールリップはセンターベアリングの少なくとも一方に設けられていれば良い。
1 内環
2 内環本体
3 ベアリング押え環
4 外環
5 弾性体
6 センターベアリング
7 シャフト
8,9 ダストカバー
10,11 シールリップ
12 マス
13 スリット

Claims (2)

  1. 車体側に固定される外環の内周側に弾性体を介して連結されるとともにセンターベアリングを保持する内環と、前記センターベアリングに挿通するシャフト側に固定されて前記シャフトと同時回転するダストカバーとを有するセンターベアリングサポートにおいて、
    前記ダストカバーは、前記内環の外周側に配置される円筒部を有し、
    前記円筒部の先端にシールリップが設けられ、
    前記シールリップは、前記シャフトの停止時に前記内環の外周面に所定の緊迫力をもって密接するとともに前記シャフトの回転時に遠心力によって前記緊迫力を低減させ、または、前記外周面から離間するものであり、
    さらに前記シールリップは、その先端部に、前記シャフト回転時に発生する遠心力を増大させるためのマスを一体に有し、
    前記マスは、侵入してきた泥水を堰として貯める構造を有することを特徴とするセンターベアリングサポート。
  2. 請求項1記載のセンターベアリングサポートにおいて、
    前記マスは、環状に成形され、当該環状のマスを円周上分断するスリットを有することを特徴とするセンターベアリングサポート。
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