JP5352816B2 - ディーゼルエンジンの燃料供給制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、廃食油をディーゼルエンジン燃料の原料として利用する方法には、廃食油をメタノールと反応させてメチルエステル化し、生成された脂肪酸メチルエステルを軽油と所定の割合で混合し、これをディーゼルエンジンの燃料油、すなわちバイオディーゼル燃料とする技術が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
このようなバイオディーゼル燃料は、黒煙などの有害排気ガスの排出量が少なく、環境負荷の少ない燃料として注目されている。
また、単純に廃食油を石油系燃料油と混合し、この混合油をディーゼルエンジン燃料とする方式では、リノール酸などの不飽和脂肪酸を含む廃食油をディーゼル燃料として使用すると、これらの酸化や重合により生成されるグリセリンなどのガム状物質がディーゼルエンジンの燃料フィルタや燃料噴射ノズル、燃料ポンプなどを含む燃料供給系に支障を来たし、ノッキングの発生や回転ムラ及び回転数低下の要因となり、ディーゼルエンジンを安定して運転させることができなくなり、しかも、バルブやピストンを損傷するという問題を生じさせる要因ともなっていた。
本実施の形態に示すディーゼルエンジンの燃料供給制御装置は、軽油等の石油系燃料油と、従来のようにエステル化処理で改質をしない非精製の廃食油等の廃油とを混合し、この混合油をディーゼルエンジンの燃料として供給できるようにしたものである。
このような燃料供給制御装置が適用されるディーゼルエンジン12は、図1に示すように、石油系燃料油と廃油との混合油もしくは石油系燃料油が空気に混合された混合ガスを燃焼させることにより回転エネルギーを取り出すエンジン本体14と、エンジン本体14に石油系燃料油と廃油との混合油もしくは石油系燃料油を供給する燃料供給手段16と、エンジン本体14に空気を供給する空気供給手段18と、エキゾーストマニホールド20を含んで構成される。
燃料供給ポンプ1602は、後述する燃料混合タンク3602からの混合油もしくは石油系燃料油をエンジン本体14の燃料噴射弁(図示省略)に供給するものである。
噴射量制御装置1604は、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)48によって制御されるアクチュエーター1606によって駆動されるものであり、燃料供給ポンプ1602から図示省略の燃料噴射弁を介して噴射される燃料の噴射量を調整する。
エアクリーナ1802は、エンジン本体12に供給する空気から塵埃を除去するものである。
インテークマニホールド1806は、エアクリーナ1802で濾過された空気をエンジン本体12の各シリンダへ均等に配分するものである。
過給器1804は、エアクリーナ1802からインテークマニホールド1806を通してエンジン本体12に供給する空気を圧縮し外気圧より高圧にしてエンジン本体12の各シリンダに送り込むための空気圧縮機である。
エキゾーストマニホールド20は、エンジン本体12の各シリンダの排気ガスを集めてマフラに送り出すためのものである。
回転数検出器26は、ディーゼルエンジン12の回転軸1202の一端に設けられ、外周縁の全周に亘り一定ピッチの突起が形成されてなる回転円盤2602と、この回転円盤2602の突起に近接して配置された回転センサ2604とから構成される。回転センサ2604では、回転円盤2602の突起に対応した正弦波状の信号が回転円盤2602の回転によって生成され、この信号は、後述するECU44に、ディーゼルエンジン12の回転数算出用の情報として取り込まれるように構成されている。
ディーゼルエンジンの燃料供給制御装置は、図1に示すように、廃油を貯留する第1の燃料タンク32と、石油系燃料油を貯留する第2の燃料タンク34と、燃料混合手段36と、廃油量調節手段38と、石油系燃料油量調節手段40と、燃料切換バルブ(特許請求の範囲に記載した燃料切換手段に相当する)42と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)44と、燃料リターン用切換バルブ46を含んで構成される。
また、撹拌機3604はECU44によって起動及び停止制御されるように構成され、さらに液面計3606で検出される上限レベル及び下限レベルの信号はECU44に取り込まれ、廃油量調節手段38、石油系燃料油量調節手段40及び撹拌機3604の制御に供されるように構成されている。
なお、燃料供給ポンプ1602でエンジンの燃料噴射ノズルに供給される余分な廃油は燃料リターン用切換バルブ46及び戻し管64を通して燃料混合タンク3602に戻される。また、燃料供給ポンプ1602でエンジンの燃料噴射ノズルに供給される余分な石油系燃料油は燃料リターン用切換バルブ46及び戻し管66を通して第2の燃料タンク34に戻される。
第2の制御手段4412は、これらの変動量判定情報に基づいて燃料切換バルブ42に対し切り換え制御指令を出力して第2の燃料タンク34から石油系燃料油を一定時間供給し、ディーゼルエンジン12を石油系燃料油のみで駆動するとともに上記燃料供給系を石油系燃料油でパージ処理する機能を発揮する。
混合比設定手段4408は、回転変動量判定手段4404からの各変動量判定情報に基づいて廃油と石油系燃料油との混合比を上記第1、第2、第3及び第4の運転状態に応じて設定するものである。
また、第2の制御手段4412は、運転状態判定手段4406が上記第2の運転状態であると判定された時に第1の制御手段4410に対し制御指令を出力して混合比設定手段4408で設定された現時点の混合比が維持されるように廃油量調節手段38の電磁ポンプ3808及び流量制御バルブ3810と石油系燃料油量調節手段40の電磁ポンプ4008及び流量制御バルブ4010を制御する。
また、第2の制御手段4412は、運転状態判定手段4406が上記第4の運転状態であると判定された時に燃料切換バルブ42に対し切り換え制御指令を出力して第2の燃料タンク34からの石油系燃料油のみを一定時間(例えば10分間程度)供給しディーゼルエンジン12を石油系燃料油のみで駆動するとともに燃料供給手段16を構成する燃料ポンプ1602及び噴射ノズルを含む燃料供給系を石油系燃料油でパージ処理(掃除)する機能を有する。さらに、第2の制御手段4412は、第4の運転状態時に、上記燃料供給系が石油系燃料油でパージ処理される毎に混合比設定手段4408に対し混合比変更指令を出力して廃油の混合割合が減少されるように混合比設定手段4408で設定される混合比を、ディーゼルエンジン12の回転数が安定した目標回転数に達するまで段階的に変更する制御機能を備える。
タイマー82は、ディーゼルエンジン12の運転時間及び燃料供給手段16を構成する燃料ポンプ1602及び噴射ノズルを含む燃料供給系を石油系燃料油で単位時間(例えば1時間)毎に一定の時間(例えば1分間)パージ処理するためのパージ処理時間を管理するものである。
ディーゼルエンジン12が廃油と石油系燃料油との混合油で回転駆動されている状態において、ECU44が動作を開始すると、まず、タイマー82がオン状態かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において、タイマー82がオンされていないと判定された時は、回転数検出器26で生成された信号がECU44に取り込まれる(ステップS12)。これに伴い、回転変動量算出手段4402では、上記取り込まれた回転数検出器26からの信号に基づいてディーゼルエンジンの実回転数を算出し、この実回転数を基にディーゼルエンジン12の目標回転数(例えば、1500rpm)に対する実回転数の回転変動量を算出する(ステップS13)。
運転状態判定手段4406では、第1の変動量判定情報に応じてディーゼルエンジン12が運転される状態を第1の運転状態と判定し、さらに、第2の変動量判定情報に応じてディーゼルエンジン12が運転される状態を第2の運転状態と判定し、また、第3の変動量判定情報に応じてディーゼルエンジン12が運転される状態を第3の運転状態として判定する。さらに、第4の変動量判定情報に応じてディーゼルエンジン12が運転される状態を第4の運転状態として判定する(ステップS15)。
したがって、廃油が比較的良質なものである場合は、廃油の混合比を90rpm程度まで上げることができる。これに伴い、廃油を有効利用でき、かつ廃油の使用比率を向上できる。
したがって、軽油等の石油系燃料油を利用してディーゼルエンジン12の燃料供給系をパージ処理することにより、ノッキングの発生や回転ムラ及び発電機の発電に支障を来たすような回転数低下を防止でき、しかも、質の悪い廃油をディーゼルエンジンの燃料として使用した場合であっても、ディーゼルエンジンを長期にわたり安定して運転することが可能になる。
また、本発明における第1、第2の設定値は、上記実施の形態に示す値に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
14……エンジン本体
16……燃料供給手段
18……空気供給手段
26……回転数検出器
32……第1の燃料タンク
34……第2の燃料タンク
36……燃料混合手段
38……廃油量調節手段
40……石油系燃料油量調節手段
42……燃料切換バルブ
44……ECU
4402……回転変動量算出手段
4404……回転変動量判定手段
4406……運転状態判定手段
4408……混合比設定手段
4410……第1の制御手段
4412……第2の制御手段
4414……第3の制御手段
82……タイマー
Claims (6)
- 石油系燃料油と非精製の廃油とを混合し当該混合油を燃料としてディーゼルエンジンに供給するディーゼルエンジンの燃料供給制御装置であって、
前記廃油を貯留する第1の燃料タンクと、
前記石油系燃料油を貯留する第2の燃料タンクと、
前記廃油と前記石油系燃料油とを混合する燃料混合手段と、
前記第1の燃料タンクから前記燃料混合手段に供給される前記廃油の供給量を調節する廃油量調節手段と、
前記第2の燃料タンクから前記燃料混合手段に供給される前記石油系燃料油の供給量を調節する石油系燃料油量調節手段と、
前記燃料混合手段で混合された混合油を前記ディーゼルエンジンに供給する燃料供給手段と、
前記ディーゼルエンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記ディーゼルエンジンの目標回転数に対する前記検出された回転数の変動量を算出する回転変動量算出手段と、
前記回転変動量算出手段で算出された回転変動量が第1の設定値を下回る値である時に第1の変動量判定情報として判定し、前記回転変動量が前記第1の設定値以上で、かつ第1の設定値より大きい予め決められた第2の設定値未満の範囲である時に第2の変動量判定情報として判定し、前記回転変動量判定手段4404は、回転変動量算出手段4402で算出された回転変動量が第2の設定値である時に第3の変動量判定情報として判定する回転変動量判定手段と、
前記第1の変動量判定情報に応じて前記ディーゼルエンジンが運転される状態を第1の運転状態とし、前記第2の変動量判定情報に応じて前記ディーゼルエンジンが運転される状態を第2の運転状態とし、前記第3の変動量判定情報に応じて前記ディーゼルエンジンが運転される状態を第3の運転状態として判定する運転状態判定手段と、
前記回転変動量判定手段からの各変動量判定情報に基づいて前記廃油と前記石油系燃料油との混合比を前記第1、第2及び第3の運転状態に応じて設定する混合比設定手段と、
前記混合比設定手段で設定された混合比に基づいて前記廃油量調節手段及び前記石油系燃料油量調節手段を制御して前記第1の燃料タンクから前記燃料混合手段への前記廃油の供給量及び前記第2の燃料タンクから前記燃料混合手段への前記石油系燃料油の供給量を調節する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。 - 前記燃料供給手段は、前記燃料混合手段及び前記第2の燃料タンクの何れか一方に切り換えて前記混合油及び前記石油系燃料油の何れか一方を前記ディーゼルエンジンに供給する燃料切換手段を有し、
前記運転状態判定手段が前記第1の運転状態であると判定された時は前記混合比設定手段に対し制御指令を出力して前記廃油の混合割合が増加されるように前記混合比設定手段で設定される混合比を段階的に変更制御するとともに当該段階的な混合比に従って前記第1の制御手段により前記廃油量調節手段及び前記石油系燃料油量調節手段を制御し、前記運転状態判定手段が前記第2の運転状態であると判定された時は前記第1の制御手段に対し制御指令を出力して前記混合比設定手段で設定された現時点の混合比が維持されるように前記廃油量調節手段及び前記石油系燃料油量調節手段を制御し、前記運転状態判定手段が前記第3の運転状態であると判定された時は前記燃料切換手段に対し切り換え制御指令を出力して前記第2の燃料タンクからの石油系燃料油のみを一定時間供給し前記ディーゼルエンジンを石油系燃料油で駆動するとともに前記燃料供給手段を構成する燃料ポンプ及び噴射ノズルを含む燃料供給系を石油系燃料油でパージ処理する第2の制御手段を、
更に備えることを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。 - 前記回転変動量判定手段により前記回転変動量が前記第2の設定値を上回る値であると判定された時の前記ディーゼルエンジンの運転状態を第4の運転状態として前記運転状態判定手段で判定し、当該変動量判定情報に基づいて前記第2の制御手段は、前記燃料切換手段に対し切り換え制御指令を出力して前記第2の燃料タンクからの石油系燃料油のみを一定時間供給し前記ディーゼルエンジンを石油系燃料油で駆動するとともに前記燃料供給系を石油系燃料油でパージ処理する制御機能を備えることを特徴とする請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。
- 前記第2の制御手段は、前記燃料供給系が石油系燃料油でパージ処理される毎に前記混合比設定手段に対し混合比変更指令を出力して前記廃油の混合割合が減少されるように前記混合比設定手段で設定された混合比を、前記ディーゼルエンジンの回転数が安定した目標回転数に達するまで段階的に変更する制御機能を備えることを特徴とする請求項2または3記載のディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。
- 前記燃料供給手段は、前記燃料混合手段及び前記第2の燃料タンクの何れか一方に切り換えて前記混合油及び前記石油系燃料油の何れか一方を前記ディーゼルエンジンに供給する燃料切換手段を更に有し、
前記ディーゼルエンジンの運転時間及び前記燃料供給手段を構成する燃料ポンプ及び噴射ノズルを含む燃料供給系を石油系燃料油で単位時間毎に一定の時間パージ処理するパージ処理時間を管理するタイマーと、
前記タイマーに単位時間毎に設定された時間が到来する度に前記タイマーから前記燃料切換手段に対し切り換え制御指令を出力して前記第2の燃料タンクから石油系燃料油を一定の時間供給し前記ディーゼルエンジンを石油系燃料油のみで駆動するとともに前記燃料供給手段を構成する燃料ポンプ及び噴射ノズルを含む燃料供給系を石油系燃料油でパージ処理する第3の制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。 - 前記第1の燃料タンクは、該第1の燃料タンクから前記燃料混合手段に供給される廃油中の不純物質を除去するフィルタを備えることを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のディーゼルエンジンの燃料供給制御装置。
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